(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】中間ショルダを含むねじ接続部
(51)【国際特許分類】
F16L 15/04 20060101AFI20231017BHJP
E21B 17/042 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
F16L15/04 A
E21B17/042
(21)【出願番号】P 2022518832
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2020076430
(87)【国際公開番号】W WO2021058481
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォザーギル,アラン
(72)【発明者】
【氏名】デュフレーヌ,コーリー
(72)【発明者】
【氏名】丸田 賢
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-536818(JP,A)
【文献】特表2005-511990(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061767(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/194193(WO,A1)
【文献】特開2000-240862(JP,A)
【文献】特表2013-519854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0042709(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/04
E21B 17/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ねじ接続部であって、
第1の管状要素(12)と、第2の管状要素(14)と、を備え、
前記第1の管状要素(12)は、前記第1の管状要素の内面に画定された雌側部分(10)を含み、前記雌側部分は、第1のショルダ(26)によって前記第1の管状要素の長手方向軸(X)に対して半径方向にオフセットされた雌側内ねじ部(16d)および雌側外ねじ部(16b)を含み、前記雌側外ねじ部は、前記雌側内ねじ部よりも雌側自由端部(70)に近い位置にあり、
前記第2の管状要素(14)は、前記第2の管状要素の外面に画定された雄側部分(18)を含み、前記雄側部分は、前記雌側部分に挿入されように構成され、前記雄側部分は、第2のショルダ(28)によって前記第2の管状要素の長手方向軸(X)に対して半径方向にオフセットされた雄側内ねじ部および雄側外ねじ部を含み、前記雄側部分が前記雌側部分に接続されたときに、前記第2のショルダは、前記第1のショルダに当接し、
前記雌側部分の雌側内端部(16e)は、円錐形部分(52)を備え、前記雄側部分の雄側内端部(18e)は、前記雄側内ねじ部(18d)と雄側自由端部(20)との間に延在する雄側外端部を備え、前記雄側外端部は、ドーム状部分(50)を備え、前記雄側部分が前記雌側部分に接続されたときに、前記ドーム状部分と前記円錐形部分とが接触して、液密シールが形成され、
雄側の前記ドーム状部分は、端部(50a,50b)を有し、前記雄側自由端部(20)から最も遠い前記ドーム状部分の端部(50a)は、10mm未満の軸方向長さにあり、かつ、前記雄
側自由端部(20)に最も近い前記ドーム状部分(50)の端部(50b)は、2mm未満の軸方向長さにあり、
前記雄
側自由端部(20)に最も近い前記ドーム状部分(50)の端部(50b)は、雄側円錐面(51)に接線方向に接続される、
管状ねじ接続部。
【請求項2】
前記雌側部分の前記雌側内端部は、前記雄側外端部を収容する末端ショルダ(30)を含み、前記雄側自由端部および前記末端ショルダは、前記液密シールの下流側で互いに軸方向に離間している、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項3】
前記雌側内端部の前記末端ショルダおよび前記雄側自由端部の表面(54)は、前記第1の管状要素および前記第2の管状要素の長手方向軸(X)に対して垂直である、
請求項2に記載の管状ねじ接続部。
【請求項4】
前記雌側内端部の前記円錐形部分(52)の軸方向長さは、10mm未満である、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項5】
前記ドーム状部分と前記円錐形部分とが接触して、液密シールが形成され、これにより、前記雄側部分が前記雌側部分に接続されたときに、前記液密シールの軸方向長さが8mm未満になる、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項6】
前記液密シールは、半径方向の最大干渉が1mmである半径方向の干渉によって得られる、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項7】
前記ドーム状部分は、10mm~40mmの範囲の曲率半径を1つまたは複数有する丸みを帯びた部分である、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項8】
前記ドーム状部分は、10mm~40mmの範囲の単一の曲率半径を有する丸みを帯びた部分である、
請求項7に記載の管状ねじ接続部。
【請求項9】
前記雌側内端部の前記円錐形部分(52)は、15%~25%の範囲のテーパを有する、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項10】
前記雄側円錐面(51)のテーパは、前記雌側内端部の前記円錐形部分(52)のテーパよりも大きくなる、
請求項9に記載の管状ねじ接続部。
【請求項11】
前記雄側円錐面と前記雌側内端部の前記円錐形部分との間に半径方向の隙間(46)が画定される、
請求項10に記載の管状ねじ接続部。
【請求項12】
前記雌側内端部は、前記雌側内ねじ部と前記雌側内端部の前記円錐形部分との間に溝を有し、前記雄側部分が前記雌側部分に接続されたときに、前記雄側部分の前記雄側内ねじ部の少なくとも一部は、前記溝内に位置する、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項13】
前記溝は、急勾配のテーパ部(57)に接続される円筒状部分を備え、前記急勾配のテーパ部は、前記雌側内端部の前記円錐形部分に接続され、前記急勾配のテーパ部は、前記第1の管状要素および前記第2の管状要素の長手方向軸(X)と5°~45°の範囲の角度をなす、
請求項12に記載の管状ねじ接続部。
【請求項14】
前記急勾配のテーパ部(57)は、前記雌側内端部の前記円錐形部分のテーパよりも急勾配のテーパを有する、
請求項13に記載の管状ねじ接続部。
【請求項15】
前記雌側部分の前記雌側内ねじ部および前記雌側外ねじ部、ならびに前記雄側部分の前記雄側内ねじ部および前記雄側外ねじ部は、前記第1の管状要素および前記第2の管状要素の長手方向軸(X)に対して5.26%~6.25%の範囲の値でテーパ加工される、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項16】
前記雌側部分の前記雌側内ねじ部および前記雌側外ねじ部、ならびに前記雄側部分の前記雄側内ねじ部および前記雄側外ねじ部は、複数の台形状の歯を含み、前記複数の台形状の歯の一部は、長手方向の各端部において短くなっている、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【請求項17】
前記歯は、山頂面および谷底面を含み、前記山頂面および前記谷底面は、前記管状要素の長手方向軸に平行である、
請求項16に記載の管状ねじ接続部。
【請求項18】
前記雌側部分は、前記雌側外ねじ部(16b)と前記雌側自由端部(70)との間に雌側外テーパ部(66)を備え、前記雄側部分は、前記雄側外ねじ部(18b)と前記第2の管状要素のパイプ本体との間に画定された雄側外テーパ部(64)を備え、前記雄側部分が前記雌側部分に接続されたときに、前記雄側部分および前記雌側部分の前記雄側外テーパ部(64)および前記雌側外テーパ部(66)が接触して第2の液密シールが形成され、前記雄側部分および前記雌側部分の前記雄側外テーパ部(64)および前記雌側外テーパ部(66)は、前記雌側部分の前記雌側内端部の前記円錐形部分よりも急勾配なテーパを有し、前記雄側外テーパ部(64)および前記雌側外テーパ部(66)は、前記第1の管状要素および前記第2の管状要素の長手方向軸(X)に対して25%~55%の範囲のテーパを有する、
請求項1に記載の管状ねじ接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状要素を接続するための装置および方法に関し、より詳細には、管状要素の長手方向端部に形成された雄ねじ部および雌ねじ部を介して接続された金属製管状要素に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のタイプの管状ねじ接続部は、炭化水素の発見または輸送のために、油井などの一部として、ケーシングストリング、チュービングストリングまたはドリルパイプストリングを形成する管状要素を接続するために主に使用される。管状ねじ接続部は、ケーシングストリングに使用されて、掘削孔の安定性を提供し、および/またはより小さいケーシングストリング、チュービングまたはツールの通過を可能にするために滑らかな掘削孔を提供することができる。このような管状ねじ接続部は、強度も変動させる様々な応力の組み合わせを受ける。例えば、応力は、軸方向の張力、または軸方向の圧縮、または内部圧力、または外部流体圧力、曲げ力、ねじり力などのうちの1つまたはこれらの組み合わせである場合がある。管状接続部は、応力の組み合わせおよび困難な動作条件であっても、破断に耐え、且つ液密性またはガス密性を提供するように設計されている。応力は、坑井内にパイプを降ろす際や動作中に性質が変わることがある。例えば、引張応力が一時的に圧縮応力に変化することがある。
【0003】
炭化水素を運ぶ管には、機械的特性および気密性の点で満足のいく結果が得られるものがある。その中には、1つの雄ねじ端部および1つの雌ねじ端部をそれぞれ有する管状要素を使用して、細い組立体を形成するものがある。これらの組立体は、カップリングまたはスリーブを使用した組立体またはT&C接続部とは異なり、一般に一体型組立体または接続部と呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような一体型組立体は、一般に、雌ねじ山に対応する端部の直径が拡大され、雄ねじ山に対応する端部の直径が縮小された管で作製される。これは、管を結合させる組立体の幾何学的強度および機械的強度を確保するために、管の厚さに十分な材料をもたせるために行われる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、管状ねじ接続部は、第1の管状要素と、第2の管状要素と、を備える。第1の管状要素は、第1の管状要素の内面に画定された雌側部分を含む。雌側部分は、第1のショルダによって第1の管状要素の長手方向軸に対して半径方向にオフセットされた雌側内ねじ部および雌側外ねじ部を含む。雌側外ねじ部は、雌側内ねじ部よりも軸方向雌側自由端部に近い位置にある。第2の管状要素は、第2の管状要素の外面に画定された雄側部分を含む。雄側部分は、雌側部分に挿入されるようになっている。雄側部分は、第2のショルダによって第2の管状要素の長手方向軸に対して半径方向にオフセットされた雄側内ねじ部および雄側外ねじ部を含む。第2のショルダは、雄側部分が雌側部分に接続されたときに、第1のショルダに当接するようになっている。雌側部分は、雌側内端部を備える。雌側内端部は、円錐形部分を備える。雄側部分は、雄側内ねじ部と雄側自由端部との間に延在する雄側外端部を備える。雄側外端部は、ドーム状部分を備える。雄側部分が雌側部分に接続されたときに、ドーム状部分と円錐形部分とが接触して、内部液密シールが形成される。このような内部液密シールは、ドーム状部分の外径と円錐形部分の内径との間に、ねじ込み前に、半径方向に決定されるシール干渉量を定義することによって設置される。
【0006】
ドーム状部分は、軸方向端部を有し、雄側自由端部から最も遠いそのドーム状部分の軸方向端部は、その雄側自由端部から10mm未満の軸方向長さにある。このように軸方向長さが制限されることで、シールを提供するためのパイプ壁の幅を小さくすることができ、また、第1および第2の管状体のそれぞれの内径から半径方向に近い位置に雄側および雌側の内ねじ部および外ねじ部を設けることができる。
【0007】
雌側部分の内端部は、雄側外端部を収容する末端ショルダを含む。雄側自由端部および末端ショルダは、雄側自由端部と末端ショルダとの間で0.3mm~3mmの範囲の軸方向隙間が観察されるように、液密シールの下流側で互いに離間している。雌側内ねじ部の末端ショルダおよび雄側自由端部の表面は、接続部の軸に対して垂直である。この設計は、製造プロセスを容易にし、機械加工後の管理を容易にする。
【0008】
雌側内端部は、雌側内端部の軸方向長さが10mm超となるように、その末端ショルダから雌側内ねじ部まで延在する。雌側内端部の円錐形部分の軸方向長さは、好ましくは10mm未満である。ドーム状部分と円錐形部分とが接触して、液密シールが形成される。これにより、雄側部分が雌側部分に接続されたときに、その液密シールの軸方向長さが8mm未満になる。シールは、半径方向の最大干渉が1mm、または直径方向の最大干渉が2mmである半径方向の干渉によって得られる。
【0009】
内部液密シールのテーパ角度が減少したことで、他の部分、特に接合部の内ねじ部および外ねじ部、ならびにショルダを機械加工するためのより多くの材料を利用することができる。本発明の内部液密シールを使用すれば、API規格で許容されているよりも太いパイプを使用する必要がなくなる。内部液密シールが第1および第2の管状体のそれぞれの内径に近づくことで、臨界断面におけるパイプの幅が増大するか、またはパイプの幅に対する最大許容範囲内のパイプと少なくとも同等になる。APIの許容範囲内であれば、すべてのパイプで同じ特性が得られる。臨界断面におけるパイプの残りの幅は、臨界断面の全体的な塑性変形を減少させ、実証された使用荷重エンベロープを増加させる。
【0010】
例えば、雌側内端部の円錐形部分は、15%~25%の範囲のテーパを有してもよい。好ましくは、ドーム状部分は、10mm~100mmの範囲、より好ましくは10mm~40mmの範囲、さらにより好ましくは20mm~30mmの範囲、そして例えば25mmに等しい単一の曲率半径によって画定されてもよい。このように半径を大きくすることで、使用中にピンが撓んでも、ピンの丸みを帯びた部分がピンの円錐形部分の表面との接触を維持することができる。特に、自由端部に最も近いドーム状部分の端部は、雄側円錐面(51)と接線方向に接続される。これにより、雄側円錐面のテーパは、雌側内端部の円錐形部分のテーパよりも大きくなる。このように、丸みを帯びた部分が比較的大きい本発明のシール設計により、ピンが撓んでも、丸みを帯びた部分であることで接触が維持され、内部圧力または外部圧力、ならびに引張および圧縮サイクルでの性能レベルが維持される。より集中した圧力接触領域を可能にするために、あまり大きくない半径が選択される。雄側円錐面と雌側内端部の円錐形部分との間に半径方向の隙間を画定することで、ねじ込み時、および圧縮または引張時にドーム状部分以外の位置での接触を防止することができる。
【0011】
雌側内端部は、雌側内ねじ部と雌側内端部の円錐形部分との間に溝を有してもよい。雄側部分が雌側部分に接続されたときに、雄側部分の内ねじ部の少なくとも一部が溝内に位置するようになっている。溝の位置で臨界断面が画定されてもよい。溝は、急勾配のテーパ部を介して雌側内端部の円錐形部分に接続された円筒状部分を備える。この急勾配のテーパ部は、ねじ接続部の軸(X)と5°~45°の範囲、好ましくは20°~30°の範囲、例えば目標値を25°とした24°~26°の範囲の角度をなす。
【0012】
雌側部分は、雌側外ねじ部と雌側自由端部との間に雌側外テーパ部を備えてもよく、これに対応して、雄側部分は、雄側外ねじ部と第2の管状体のパイプ本体との間に画定された雄側外テーパ部を備えてもよく、雄側部分が雌側部分に接続されたときに、雄側部分および雌側部分の外テーパ部が接触して第2の液密シールが形成される。ここで、雄側部分および雌側部分の外テーパ部は、雌側部分の雌側内端部の円錐形部分よりも急勾配なテーパを有する。
【0013】
雌側部分の内ねじ部および外ねじ部、ならびに雄側部分の内ねじ部および外ねじ部は、5.26%~6.25%の範囲、好ましくは6%以下、より好ましくは5.5%~5.6%の範囲の値でテーパ加工される。雌側部分の内ねじ部および外ねじ部、ならびに雄側部分の内ねじ部および外ねじ部は、山頂面と谷底面とを有する複数の歯を含み、好ましくは、ねじ山は、台形状の歯である。山頂面および谷底面は、平坦であり、それぞれの管状要素の長手方向軸に平行である。雌側部分の内ねじ部および外ねじ部、ならびに雄側部分の内ねじ部および外ねじ部は、複数の歯を含み、これらの歯の一部は、長手方向の各端部において短くなっている。
【0014】
第2のショルダが第1のショルダに当接したときに、嵌合したショルダの接触面積が画定される。嵌合したショルダの接触面積は、第1のショルダおよび第2のショルダにおいて同一である。第1の管状要素の公称断面の面積に対する嵌合したショルダの接触面積の割合は、15%超且つ25%未満であり、第2の管状要素の公称断面の面積に対する嵌合したショルダの接触面積の割合は、15%超且つ25%未満である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明とそれに付随する多くの利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することでより明確になり、それにつれて、本発明とそれに付随する多くの利点を容易に得ることができるであろう。
【
図1】接続解除された状態にある、第1の管状要素の第1の端部の例示的な実施形態の片側半分および第2の管状要素の第2の端部の例示的な実施形態の片側半分を示す部分断面図である。
【
図2】接続された状態にある、第1の管状要素の第1の端部の片側半分および第2の管状要素の第2の端部の片側半分を示す部分断面図である。
【
図3】接続された状態にある、第1の管状要素の第1のショルダ部分および第2の管状要素の第2のショルダ部分を示す拡大部分断面図である。
【
図4】接続解除された状態にある、第1の管状要素のねじ部の歯のセットおよび第2の管状要素のねじ部の歯のセットの例示的な実施形態を示す拡大部分断面図である。
【
図5】所与のねじ部内の長手方向端部領域および中間領域の例示的な実施形態を示す模式図である。
【
図6】接続された状態にある、雄側部分の自由端部および雌側部分の末端ショルダの例示的な実施形態を示す拡大部分断面図である。
【
図7】第1の端部および第2の端部を含む管状要素の例示的な実施形態を示す側面図である。
【
図8】
図8の管状要素の長手方向軸に沿った、側面断面図である。
【
図9a】第1の端部が第2の端部にねじ込まれた状態にある、FEAに従った等価塑性ひずみを示す拡大部分断面図である。
【
図9b】第1の端部が第2の端部にねじ込まれた状態にある、FEAに従った等価塑性ひずみを示す拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照すると、同様の参照符号は、複数の図において同一または対応する部分を示している。
【0017】
本明細書に記載のねじ接続部は、大きな長さに達することができる管状構造体を形成するために接続される管状要素に関する。本明細書に記載の管状要素を使用して組み立てられた管状構造体は、油、ガス、水などの液体がその中を移動することができる内部チャネルを形成する。
【0018】
図1を参照すると、第1の管状要素12と第2の管状要素14との間の管状ねじ接続部10の例示的な実施形態が、接続解除された状態で示されている。第1の管状要素12および第2の管状要素14の各々が、第1の端部10aにおいて雌側部分16を含み、且つ第2の端部10bにおいて雄側部分18を含むように、第1の管状要素12および第2の管状要素14は同一形状を有してもよい。具体的には、
図1は、第1の管状要素12の第1の端部10aの上半分を横断する断面図と、第2の管状要素14の第2の端部10bの上半分を横断する断面図とを示している。第1の管状要素12の第1の端部10aおよび第2の管状要素14の第2の端部10bの断面の全体は、図を明確にするために示されていない。
【0019】
図7は、管状要素の例示的な実施形態を全体的に示している。
図7の管状要素は、第1の管状要素12であってもよく、第2の管状要素14であってもよい。また、第1の端部10aおよび第2の端部10bは、組み立て後の管状要素12および14の想定される向きを鑑みて、上流側端部および下流側端部と呼ばれる場合がある。第1の管状要素12は、第1の壁22によって画定されてもよく、第2の管状要素14は、第2の壁24によって画定されてもよい。第1の壁22および第2の壁24は、それぞれの雄側部分および雌側部分から離れた位置において、同じ公称壁厚、および同じ外径を有する。
【0020】
図8は、管状要素の長手方向軸に沿った管状要素の断面図である。第1の管状要素12の第1の端部10aは、ここではボックスとも呼ばれる管状ねじ接続部10の雌側部分16から構成される。雌側部分16は、第1の壁22の厚さが雌側部分16に沿って
図1の左側に向けて公称壁厚から徐々に減少するように、第1の壁22の内側または内面に形成される。第1の管状要素12の第1の端部10aの外径は、第1の管状要素12の長手方向に位置する他の部分と比較して、雌側部分16に沿って拡大していてもよい。
【0021】
第1の管状要素12の第2の端部10bは、ここではピンとも呼ばれる管状ねじ接続部10の雄側部分18から構成される。雄側部分18は、第2の壁24の厚さが雄側部分18に沿って
図1の右側に向けて公称壁厚から徐々に減少するように、第2の壁24の外側または外面に形成される。雄側部分18に沿った内径は、第2の管状要素14の長手方向に位置する他の部分と同じであってもよい。
図1および
図2に示すように、雄側部分18bに沿った内径は、管端矯正処理(end sizing process)によって減少されてもよい。
図2に示すように、第1の管状要素12の雄側部分18は、第2の管状要素14の雌側部分16に挿入され、これと連結するように構成される。このように、雄側部分18の長さと雌側部分16の長さは、実質的に類似していてもよい。
【0022】
雌側部分16は、外端部16aと、外ねじ部16bと、第1のショルダ部分16cと、内ねじ部16dと、内端部16eと、を含んでいてもよい。外端部16aは、雄側部分18が進入するための実質的に円錐台状の開口部を有してもよい。雌側部分16の外ねじ部16bおよび内ねじ部16dは、雄側部分18の対応する特徴とのねじ係合によって連結されるように構成される。外ねじ部16bおよび内ねじ部16dは、第1の壁22が雌側部分16に沿って
図1の右側に向けて徐々に厚くなるように、テーパ加工されている。なお、ねじ部の歯については以下で詳述する。雌側部分16の外ねじ部16bおよび内ねじ部16dは、第1の横面26を含む場合がある第1のショルダ部分16cを介して、管状要素12の長手方向軸Xに対して半径方向に、且つ第1の壁22に対して横方向にオフセットされてもよい。
図1および
図2に示す第1の横面26は、管状要素12の長手方向軸Xを中心に半径方向に向けられているが、第1の横面26は異なる向きで実現されてもよい。
【0023】
雄側部分18は、外端部18aと、外ねじ部18bと、第2のショルダ部分18cと、内ねじ部18dと、内端部18eと、を含んでいてもよい。外端部18aは、雌側部分16の外端部16aの円錐台状の開口部内に実質的に嵌合するように、円錐台状の形状を有してもよい。雄側部分18の外ねじ部18bおよび内ねじ部18dは、雌側部分16の外ねじ部16bおよび内ねじ部16dのそれぞれとのねじ係合および連結によって収容されるように構成されている。雄側部分18の外ねじ部18bおよび内ねじ部18dは、第2の壁24が雄側部分18に沿って
図1の右側に向けて徐々に薄くなるように、また、
図4を参照して以下で詳述するように、テーパ加工されてもよい。雄側部分18の内ねじ部18dおよび外ねじ部18bは、第2のショルダ部分18cによって、管状要素14の長手方向軸に対して半径方向に、且つ第2の壁24に対して横方向にオフセットされてもよい。
【0024】
図2に示すように、第2のショルダ部分18cは、雄側部分18が雌側部分16にねじ接続されたとき、または嵌合したときに、第1の横面26と接触する第2の横面28を含んでいてもよい。第2の横面28が第1の横面26と同様に向けられている限り、第2の横面28は、管状要素14の長手方向軸に対して垂直に向けられる必要はない。雌側部分16の内端部16eは、雄側部分18の内端部18eを収容するように形成されてもよい。具体的には、以下で詳述するように、雌側部分16の内端部16eは、末端ショルダ30を含んでいてもよく、雄側部分18の内端部18eは、軸方向雄側自由端部20を含んでいてもよい。また、管状要素12および14のそれぞれの外径は、第1の端部10aおよび第2の端部10bにおける部分を除いて一定であってもよい。管状要素12および14のそれぞれの外径は、第1の端部10aに沿った部分で最大であってもよく、第2の端部10bに沿った部分で最小であってもよい。さらに、管状要素12および14のそれぞれの内径は、
図2の接続された状態で示すように、第1の端部10aおよび第2の端部10bに沿っている部分を除いて一定であってもよい。管状要素12および14の内径は、第1の端部10aに沿った部分で最大であってもよく、第2の端部10bに沿った部分で最小であってもよい。
【0025】
図2は、雄側部分18が雌側部分16に挿入されてねじ込まれて接続された状態になったときに、第1の端部10aの雌側部分16と第2の端部10bの雄側部分18とがどのように連結するかを示している。接続された状態において、雌側部分16の第1の横面26および雄側部分18の第2の横面28は、互いに当接するように構成されている。このようにして、第1の横面26および第2の横面28の形状は、ねじ接続部の圧縮荷重能力に影響を与える。横面26および28は、環状に形成されてもよい。一実施形態において、第1のショルダ部分16cの環状の第1の横面26の嵌合したショルダの接触面積は、第1の管状要素12の公称断面の面積の15%超且つ25%未満であってもよく、第2のショルダ部分18cの環状の第2の横面28の嵌合したショルダの接触面積は、第2の管状要素14の公称断面の面積の15%超且つ25%未満であってもよい。
【0026】
管状要素の公称断面は、管状要素が公称外径および公称内径を有する第1の端部10aまたは第2の端部10b以外の部分における、管状要素を横断する断面として定義されてもよい。別の実施形態において、第1のショルダ部分16cの環状の第1の横面26の嵌合したショルダの接触面積は、第1の管状要素12の公称断面の面積の17%超且つ23%未満であってもよく、第2のショルダ部分18cの環状の第2の横面28の嵌合したショルダの接触面積は、第2の管状要素14の公称断面の面積の17%超且つ23%未満であってもよい。第1のショルダ部分16cおよび第2のショルダ部分18cは、管状要素12および14の軸方向に作用する圧縮荷重に対する支持を提供するのに役立つ場合がある。
【0027】
また、雌側部分16および雄側部分18の形状は、管状要素12および14の長手方向軸に沿った所定の領域において、雌側部分16の内面と雄側部分18の外面との間に隙間29および31が形成されるようになっている。隙間は、雌側部分16および雄側部分18のねじ込みを容易にして、それらの間の組み立てを容易にするために機能してもよい。例えば、
図3に示すように、管状要素12および14の組み立てを容易にするために、第1のショルダ部分16cおよび第2のショルダ部分18cに隣接して隙間29が設けられてもよい。
【0028】
ねじ部は、内ねじ部16dまたは18bであるか、または外ねじ部16bまたは18dであるか、または雄側部分18または雌側部分16の一部であるかにかかわらず、様々な形状の歯を含んでいてもよい。
図1に示すように、所与のねじ部は、2つの長手方向端部領域36aおよび36bと、2つの長手方向端部領域36aと36bの間に位置する中間領域38と、に分けられてもよい。所与のねじ部内で、複数の歯32は、同じ長さを有してもよい。この場合、ねじ部内のスタブフランク側のリードとロードフランク側のリードは、互いに等しくなる。所与のねじ部内で、複数の歯32は、異なる高さを有してもよい。この場合、中間領域38は、全体として完全に形成された複数の長い歯32から構成され、長手方向端部領域36aおよび36bは、複数の短い歯34から構成される。低い歯34は、同じ長さを有してもよいが、高さが互いに異なっていてもよく、形状が異なっていてもよい。また、短い歯34は、台形であってもよい。短い歯34と完全に形成された歯32の両方は、台形状であってもよいが、短い歯34は、異なる形状の台形であってもよい。また、ねじ部の長手方向端部領域36aおよび36bの各々は、複数の短い歯34を含んでいてもよい。さらに、短い歯34は、中間領域38に近づくにつれて高さが徐々に高くなり、中間領域38から離れるにつれて高さが徐々に低くなってもよい。
【0029】
図4は、雌側部分16の外ねじ部16bおよび内ねじ部16d、または雄側部分18の外ねじ部18bおよび内ねじ部18dの一部を構成する場合がある複数の歯32の拡大図である。
図4において、雌側部分16および雄側部分18の歯は、接続解除された状態で示されている。
【0030】
図4に示すように、台形状の構成を有する歯は、スタブフランク32aと、ロードフランク32bと、山頂面32cと、谷底面32dと、を含んでいてもよい。完全に形成された台形状の歯32の一実施形態において、山頂面32cおよび谷底面32dは、
図4に示すように山頂面32cおよび谷底面32dが平坦であり、且つ長手方向の断面に沿って互いに平行であるように、円筒状であってもよい。山頂面32cおよび谷底面32dは、互いから離間して、グリースが滞留することができるポケット31を形成する。このようなポケット31は、グリースのための螺旋状の経路を形成する(
図3)。また、山頂面32cおよび谷底面32dは、管状要素12および14の長手方向軸Xに平行であってもよい。しかしながら、中間領域38の完全に形成された歯32は、
図4に示すようにテーパ軸Yが管状要素の長手方向軸Xと角度をなすように、中間領域38に沿ってテーパが付けられるように形成されてもよい。
【0031】
雌側部分16の一実施形態において、テーパ軸Yは、外ねじ部16bおよび内ねじ部16dに沿って雌側部分16の内径が、長さ16インチ間隔ごとに約1インチから、長さ19インチ間隔ごとに約1インチまでの範囲の値で、
図4の右側に向けて減少するようになっていてもよい。同様に、雄側部分18の一実施形態において、テーパ軸Yは、外ねじ部18bおよび内ねじ部18dに沿って雄側部分18の外径が、長さ16インチ間隔ごとに約1インチから、長さ19インチ間隔ごとに約1インチまでの範囲の値で、
図4の右側に向けて減少するようになっていてもよい。
図4は、テーパ軸Yに平行な軸Y’をさらに示している。軸Y’は、山頂面32cおよび谷底面32dに対して接線方向に延在している。
【0032】
図5に模式的に示すねじ部の実施形態において、中間領域38の完全に形成された歯32、ならびに両方の長手方向端部領域36aおよび36bの低い歯34は、長手方向軸Xに平行な山頂面32cおよび谷底面32dを含んでいてもよい。
図5に示すように、長手方向端部領域36aおよび36bは、一方の長手方向端部領域が他方の長手方向端部領域よりも多くの低い歯を含むように、長さが異なるねじ部の複数の部分を占めていてもよい。接続された状態において、山頂面32cは、潤滑剤のための螺旋状の経路として形成されたポケット31を設けるために、谷底面32dから離間している(
図3)。
【0033】
さらに、雄側部分18の歯32および雌側部分16の歯32は、互いに密接に嵌合するように対応する形状を有してもよいが、雄側部分18の歯の形状および雌側部分16の歯の形状によって、1つまたは複数のポケットが形成されてもよい。例えば、
図4に示す実施形態において、ロードフランク32bと雄側部分18の山頂面32cとの間の角部は、面取り領域42を含んでいてもよい。面取り領域42は、この第1の領域において、雄側部分18の歯32と雌側部分16の歯32との間にいくらかの空間を提供する。また、スタブフランク32aと山頂面32cとの間の角部は、面取り領域44を含んでいてもよい。面取り領域44は、
図4に示すように、この第2の領域において、雄側部分18の歯32と雌側部分16の歯32との間にポケットを形成する。このようなポケットによって、雌側部分16および雄側部分18に塗布された潤滑剤をその中に集めることができ、または、管状要素12と14の間のねじ接続を容易にすることができる。また、このようなポケットは、雌側部分16への雄側部分18の滑動性能およびねじ込み性能の両方を向上させる。
【0034】
さらに、上述したように、雄側部分18は、その内端部18eにおいて自由端部20を含んでいてもよく、雌側部分16の内端部16eは、
図6に示すように雄側部分18の自由端部20を収容するように形成された末端ショルダ30を含んでいてもよい。内端部16eは、末端ショルダ30と内ねじ部16dとの間に画定される。内端部18eは、内ねじ部18dと軸方向雄側自由端部20との間に画定される。X軸に沿った内端部18eの軸方向長さは、10mm未満であってもよい。X軸に沿った内端部18eの軸方向長さは、外ねじ部18bの外部端部18b1と自由端部20との間に画定された軸方向長さの10%未満、より好ましくは8%未満である。外部端部18b1は、壁24の厚さが最大幅である管状要素14の部分から最も近い外ねじ部18bの点である。この壁24の最大幅は、管状要素14の公称幅である。
【0035】
内端部16eは、内端部18eを収容するように構成されているが、内端部16eおよび内端部18eは、限られた領域でのみ互いに接触して液密シールを形成してもよい。内端部16eのボックス面52は、内端部18eのピン面50と接触するように適合されてもよい。
【0036】
ピン面50は、比較的大きな曲率半径を有するドーム状構成に形成されており、ボックス面52は、これらの面50および52に沿って液密シールが形成されるように、円錐状構成に形成されている。ここに設けられたシールは、金属対金属式のシールである。干渉嵌合(interference fit)は、特定の位置において所与の直径の差が決定されるように接続部が設計された場合に決定される。これにより、接続された状態において、ピン面50は、ドーム状面50に設けられたものよりも局所的に小さい直径を有するボックス面52に対して半径方向に強制的に嵌合する。例えば、最大シール干渉は、半径方向の寸法において0.1mm~1mmの範囲で決定される。これは、直径方向の寸法において0.2mm~2mmに相当する。
【0037】
表面50と52が互いに接触する位置において、最大シール干渉点が決定されてもよい。本発明で提供されるシールは、ガスおよび/または液体のためのシールである。
【0038】
例えば、最大シール干渉点は、雄側自由端部20からX軸に沿った軸方向距離SPに位置していてもよい。最大シール干渉点は、ドーム状部分50の端部50aおよび50bから離間した位置にあってもよい。端部点とも呼ばれるドーム状部分50の端部50aおよび50bは、それぞれ自由端部20からゼロではない距離にある。例えば、端部50bは、自由端部20に最も近い位置にあり、端部50aは、自由端部20から最も遠い位置にある。自由端部から最も近い端部50bは、その自由端部20から2mm未満の軸方向距離、好ましくは1.8mm未満の軸方向距離にある。自由端部20から最も遠い位置にある端部50aは、自由端部20から10mm未満の軸方向距離にある。X軸に沿った端部50aと50bの間の距離は、好ましくは8mm未満であり、より好ましくは5mm未満である。ピン端部とボックス端部を表す技術的図面を重ね合わせると、ねじ込まれた位置において、ドーム状部分50とボックス円錐面52との間の重なりは、8mm未満となり、好ましくは5mm未満となる。雌側部分16と雄側部分18との実際のねじ込み位置における液密シールの軸方向長さは、雄側内端部18eの撓みにより3mm未満となり、より良好には2mm未満となる。
【0039】
ドーム状面50は、好ましくは単一の曲率半径で形成されてもよく、例えば曲率半径は、10mm~40mmの範囲、好ましくは20mm~30mmの範囲、例えば25mmの値が選択される。ドーム状面50は、端部50bにおいて円錐面51に接線方向に接続される。円錐面51は、丸みを帯びた部分53を介して自由端部20の表面54に接続される。表面54は、好ましくはX軸に垂直である。任意選択で、表面54は、X軸に垂直な方向に対して-10°~0°の角度をなす逆円錐面であってもよい。円錐面51は、軸Xに対して20%~50%の範囲の角度でテーパ加工されていてもよい。円錐面51のテーパは、例えば35%であってもよい。丸みを帯びた部分53は、好ましくは3mm未満、より好ましくは2mm未満の半径で画定される。ドーム状面50は、端部50aにおいて円筒面55に接線方向に接続される。円筒面55は、内ねじ部18dに隣接する。
【0040】
代替的に、ドーム状構成を有するドーム状面50は、複数の曲率半径を有してもよい。ボックス面52は、円錐状構成を有するように形成されて、15%~25%の範囲、例えば目標値を20%とした19.8%~20.2%の範囲のテーパによって画定されてもよい。
【0041】
好ましくは、ボックス内のボックス円錐面52のテーパは、ピンの円錐面51のテーパよりも小さい。例えば、それぞれのボックス円錐面52および雄側円錐面51の角度の差は、約5°である。
【0042】
テーパ面52は、凹状の丸みを帯びた部分56を有する端部52bにおいて、末端ショルダ30の末端ショルダ面48に接続される。凹状の丸みを帯びた部分56は、好ましくは3mm未満、より好ましくは2mm未満の半径で画定される。丸みを帯びた部分53および凹状の丸みを帯びた部分56は、同じ曲率半径を有してもよい。好ましくは、凹状の丸みを帯びた部分56は、ピンの丸みを帯びた部分53よりも大きい曲率半径を有する。
【0043】
図6に示すように、末端ショルダ面48は、X軸に対して半径方向の平面に向けられる。また、ボックスの雄側自由端部20および末端ショルダ30は、雄側自由端部20の表面54とショルダ面48とが平行で互いに離間した関係になるように構成されてもよい。ねじ込み時において、雄側自由端部20の表面54とショルダ面48との間に距離がある。例えば、その間の距離は、0.3mm~3mmの軸方向隙間であってもよい。
【0044】
代替的に、末端ショルダ面48は、雄側自由端部20の表面54から離間したまま、X軸に垂直でなくてもよい。組み立てを容易にし、シールを維持するために、半径方向の空間46が丸みを帯びた部分53と56の間に画定される。これにより、半径方向の空間46は、雄側円錐部51と雌側円錐面52との間にも画定される。
【0045】
凹状の丸みを帯びた部分56の反対側において、テーパ面52は、第2の端部52aを備える。テーパ面52は、端部52aにおいて、急勾配のテーパ部57に接続される。このような急勾配のテーパ部57は、X軸に対して5°~45°の範囲、好ましくは20°~30°の範囲のテーパを示し、例えば25°のテーパを示す。急勾配のテーパ部57のテーパは、テーパ面52のテーパよりも大きい。急勾配のテーパ部57は、雌側内ねじ部16dに隣接する円筒状部分58と接続されて、内端部16eの内面に溝が設けられる。
【0046】
円筒状部分58の下方に設けられた溝は、機械加工プロセスを補助し、機械加工の終わりにねじ切り工具を雌側内ねじ部16dから取り外すための空間を提供する。本発明で選択されたねじプロファイルによれば、ねじ山またはシール面に接触していない雌側要素の支持されていない長さが長くなるのを避けるために、急勾配のテーパ部57を小さすぎないようにする必要がある。一方、急勾配のテーパ部57と円筒状部分58との間の接合部にフープ応力が生じるのを避けるために、その急勾配のテーパ部57を大きすぎないようにする必要がある。
【0047】
雄側内ねじ部18dの少なくとも1つのターンは、接続部がねじ込まれたときに、円筒状部分58の下方、且つ円筒状部分58から離間した位置にあり、例えば不完全なねじ山から形成された雄側内ねじ部のこのターンは、雌側内ねじ部16dの対応するねじ山のターンに係合しないようになっている。円筒面58と雄側内ねじ部18dの不完全なねじ山との間の空間59は、ポケットまたは溝の容量を画定する。これは、内部液密シールが作動し始め、ねじ込みが完全には完了していないときに、ねじ込み中のドープ圧を逃がすのに役立つ。
【0048】
X軸に沿った雌側内端部16eの軸方向長さは、10mm超である。X軸に沿った雌側内端部16eの軸方向長さは、軸方向雌側自由端部70と末端ショルダ30との間で画定された軸方向長さの7%~10%の範囲、好ましくは8%~9%の範囲である。ボックスの軸方向自由端部70は、ボックス面とも呼ばれる。X軸に沿ったテーパ面52の端部52aと52bの間の距離は、好ましくは10mm未満、より好ましくは8mm未満である。接続部がねじ込まれた状態において、テーパ面52は、ドーム状面50の両側に延在する。テーパ面52は、ドーム状面50よりも長い軸方向長さを有する。
【0049】
ドーム状面50の端部50aと50bの間に画定された仮想線は、軸Xに対して傾斜した角度をなす。傾斜した角度は、同じ軸Xをもつテーパ面52の角度よりも小さい。
【0050】
図9aおよび
図9bの拡大図に示すように、ねじ込み終了時の接続部におけるひずみのFEA分析では、末端ショルダ30の上方にある第1の管状要素12の外周部に、より少ない塑性ひずみが観察された。また、
図9aに示すように、末端ショルダ30、凹状の丸みを帯びた部分56およびボックステーパ面52に塑性ひずみは観察されなかった。
【0051】
さらに、雌側部分16の外端部16aおよび雄側部分18の外端部18aは、
図1および
図2に示すように、外部の第2の液密シールを形成するために接触する表面66および表面64をそれぞれ含んでいてもよい。両方の表面66および64は、シール効果を達成するために、円錐状構成を有するように形成されてもよい。表面64および66は、内部液密シールを実現するために必要な円錐面52よりも急勾配の同じテーパ角度を有してもよい。例えば外部の第2の液密シールは、25%~55%の範囲、例えば約50%、好ましくは49.8%~50.2%の範囲のテーパを有する。
【0052】
また、雌側部分16の表面および雄側部分18の表面は、管状要素12と14の間の向上した気密性を提供するために処理されてもよい。例えば、互いに接触するように構成された雄側部分18の内端部18eおよび雌側部分の内端部16eに、金属コーティングが施されてもよい。雄側部分18の外端部18eおよび雌側部分の内端部16eのコーティング領域は、雄側部分18が雌側部分16に挿入されたときに互いに接触してもよい。これにより、シールが形成され、また、管状要素12および14の内部チャネルを移動する液体が雌側部分16と雄側部分18との間の接合部から漏出することを防止することができる。なお、接続部全体に同じコーティングが施されてもよい。
【0053】
本明細書に記載の管状接続部は、軸方向の耐荷重の点で性能の向上をもたらす寸法を有するように構成される。具体的には、ねじ部のテーパによって、ショルダ部分16cおよび18cは、管状要素12および14の壁22および24の厚さの大部分を占めることができる。管状要素12および14の内径が減少すると、すべての掘削、または他のケーシング、またはチュービング、またはツール付属品のために画定されたドリフト径が悪化してしまう。また、管状要素12および14の外径が大きくなると、以前に使用された管状構造体を収容する目的で掘削された掘削孔に管状構造体が適さなくなり、または管状構造体が掘削孔内の他の用途を妨害する場合がある。しかしながら、壁22および24の厚さが増加せず、管状要素12および14の内径および外径が大きく影響を受けないため、管状構造体の液体搬送能力を低下させることなく、掘削孔とそこで使用される他の用途との適合性を維持しながら、軸方向の圧縮耐荷重を向上させることができる。
【0054】
本発明は、7インチ(177.8mm)~16インチ(406.4mm)、さらには20インチ(508mm)までの範囲の外径を含む様々なサイズに適用され、他の例において、9と7/8インチ(250.8mm)~14インチ(355.6mm)の範囲のサイズに適用される。パイプは、鋼から形成されてもよく、一例において、80ksi~140ksiの範囲の降伏強度を有する炭素マルテンサイトステンレス鋼から形成されてもよい。壁22および24の公称壁厚は、0.453インチ(11.5mm)~0.820インチ(20.82mm)の範囲であってもよい。ドリフト径は、6インチ(152.4mm)~14.750インチ(374.65mm)の範囲であってもよく、他の例において、8.5インチ(215.9mm)~12.250インチ(311.15mm)の範囲であってもよい。
【0055】
言うまでもなく、上述した教示に照らして、本発明の多数の修正および変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実現することができることを理解されたい。