IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスエイチエル・メディカル・アーゲーの特許一覧

<>
  • 特許-スプレーノズルチップ 図1
  • 特許-スプレーノズルチップ 図2
  • 特許-スプレーノズルチップ 図3
  • 特許-スプレーノズルチップ 図4
  • 特許-スプレーノズルチップ 図5
  • 特許-スプレーノズルチップ 図6
  • 特許-スプレーノズルチップ 図7
  • 特許-スプレーノズルチップ 図8
  • 特許-スプレーノズルチップ 図9
  • 特許-スプレーノズルチップ 図10
  • 特許-スプレーノズルチップ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】スプレーノズルチップ
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/00 20180101AFI20231017BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20231017BHJP
   A61M 11/00 20060101ALI20231017BHJP
   A61M 15/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B05B15/00
B05B1/14 Z
H01L29/84 Z
H01L29/84 B
A61M11/00 F
A61M15/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022525856
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2020077990
(87)【国際公開番号】W WO2021089263
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】19207343.5
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・セール
(72)【発明者】
【氏名】ラスムス・レンスタッド
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/219798(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/172561(WO,A1)
【文献】特表2020-511282(JP,A)
【文献】特開2010-088979(JP,A)
【文献】特開2019-174478(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0012105(US,A1)
【文献】国際公開第2015/194962(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0178507(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-1/36
12/16-12/36
14/00-17/08
A61M 11/00
15/00
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレー側(3a)およびふるい側(3b)を備えた基板(3)と、
前記スプレー側(3a)に設けられたスプレー膜(7)と、
前記ふるい側(3b)に設けられたふるい膜(9)と、
を備えたスプレーノズルチップ(1)であって、
前記スプレー膜(7)にはスプレーオリフィス(11)が設けられ、前記ふるい膜(9)にはふるいオリフィス(13)が設けられ、前記基板(3)は、前記スプレーオリフィス(11)を前記ふるいオリフィス(13)と連結した流体チャネル(15)を備えており、
前記スプレーノズルチップは、前記スプレー膜(7)の変形を測定して、前記スプレー膜(7)に加えられた圧力の測定値を得るように構成された圧力検知装置(12)を備えている、スプレーノズルチップ(1)。
【請求項2】
前記スプレーオリフィス(11)は、前記スプレー膜(7)のスプレーオリフィス領域内に設けられ、前記圧力検知装置(12)は、前記スプレーオリフィス領域の変形を検出するように構成されている、請求項1に記載のスプレーノズルチップ(1)。
【請求項3】
前記圧力検知装置(12)は、ひずみゲージセンサ、容量型圧力センサ、およびピエゾ抵抗型圧力センサのうちの1つを備えている、請求項1または2に記載のスプレーノズルチップ(1)。
【請求項4】
前記圧力検知装置(12)は微小電気機械システム、すなわちMEMS圧力センサである、請求項1から3のいずれか一項に記載のスプレーノズルチップ(1)。
【請求項5】
前記圧力検知装置(12)は前記スプレー膜(7)に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のスプレーノズルチップ(1)。
【請求項6】
前記スプレー膜(7)の基準圧力領域に設けられる基準圧力検知装置(19)を備え、前記基板(3)は、前記スプレー膜(7)の前記基準圧力領域により区切られた閉鎖キャビティ(17)を備え、前記基準圧力検知装置(19)は、前記基準圧力領域の変形を測定するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のスプレーノズルチップ(1)。
【請求項7】
前記キャビティ(17)は真空キャビティである、請求項6に記載のスプレーノズルチップ(1)。
【請求項8】
前記基準圧力検知装置(19)は、ひずみゲージセンサ、容量型圧力センサ、およびピエゾ抵抗型圧力センサのうちの1つを備えている、請求項6または7に記載のスプレーノズルチップ(1)。
【請求項9】
前記基準圧力検知装置(19)はMEMS圧力センサである、請求項6から8のいずれか一項に記載のスプレーノズルチップ(1)。
【請求項10】
前記基準圧力検知装置(19)は前記スプレー膜(7)に配置されている、請求項6から9のいずれか一項に記載のスプレーノズルチップ(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のスプレーノズルチップ(1)と、
前記圧力検知装置(12)に電気的に接続されて、前記圧力検知装置(12)へと電力を供給し、且つ前記圧力検知装置(12)からの圧力測定信号を得るように構成された接触インターフェイス(21)と、
を備えた、スプレーノズル装置(29)。
【請求項12】
請求項6から10のいずれか一項に記載のスプレーノズルチップ(1)を備え、前記接触インターフェイス(21)は、前記基準圧力検知装置(19)に電気的に接続されて、前記基準圧力検知装置(19)へと電力を供給し、且つ前記基準圧力検知装置(19)からの圧力測定信号を得るように構成されている、請求項11に記載のスプレーノズル装置(29)。
【請求項13】
請求項11または12に記載のスプレーノズル装置(29)を備えている、エアロゾルディスペンサ(33)。
【請求項14】
前記エアロゾルディスペンサ(33)は薬剤送達装置である、請求項13に記載のエアロゾルディスペンサ(33)。
【請求項15】
前記薬剤送達装置は吸入器またはアイディスペンサである、請求項14に記載のエアロゾルディスペンサ(33)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全体的に、例えば薬剤送達装置のためのスプレーノズルチップに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズル装置は、液体を霧化するように、すなわち液体の噴霧煙を形成するように構成され得る。このタイプのノズル装置は、霧化される液体内に含まれた、望まれていない任意の大きい粒子を選別するためのフィルタが設けられた、ふるい側もしくはフィルタ側を備えた基板を備え得る。基板は、複数のオリフィスを備えたスプレー膜が設けられたスプレー側も備え得る。スプレー膜およびフィルタは、液体連通するように構成されている。噴霧化の工程において、液体は、わずかな圧力降下が得られるフィルタを最初に通過する。選別された液体は、続いて膜のオリフィスを通過し、これにより液体は霧化される。
【0003】
そのようなノズル装置の例は、特許文献1に開示されている。ノズル装置は、基板、複数のふるい側オリフィスを備えたふるい側膜であって、基板のふるい側に設けられた、ふるい側膜、複数のスプレー側オリフィスを備えたスプレー側膜であって、基板のスプレー側に設けられた、スプレー側膜、を備え、基板は、ふるい側膜へと延びた第1のキャビティ部、および第1のキャビティ部からスプレー側膜へと延びた第2のキャビティ部を備え、それによりふるい側オリフィスとスプレー側オリフィスとの間に流体連通軸に沿って流体連通を提供しており、第1のキャビティ部は、第2のキャビティ部の断面積よりも大きい断面積を有し、断面積は、流体連通軸を基準にしている。
【0004】
例えば喘息のような呼吸器疾患等の一部の疾患の場合、処方された治療法の順守を高め、投与技術を改善することで、症状を抑制し、合併症のリスクを減少させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/219798号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、先行技術の問題を解決または少なくとも軽減したスプレーノズルチップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本開示の第1の態様によれば、スプレーノズルチップが提供されており、このスプレーノズルチップは、スプレー側およびふるい側を備えた基板と、スプレー側に設けられたスプレー膜と、ふるい側に設けられたふるい膜と、を備え、スプレー膜にはスプレーオリフィスが設けられ、ふるい膜にはふるいオリフィスが設けられ、基板は、スプレーオリフィスをふるいオリフィスと連結した流体チャネルを備えており、スプレーノズルチップは、スプレー膜の変形を測定して、スプレー膜に加えられた圧力の測定値を得るように構成された圧力検知装置を備えている。
【0008】
それにより、エアロゾル投薬が実施されているかどうかの検出が可能である。スプレーノズルチップが吸入器に装着された場合、使用者の実施が監視され得る。
【0009】
一実施形態によれば、スプレーオリフィスは、スプレー膜のスプレーオリフィス領域内に設けられ、圧力検知装置は、スプレーオリフィス領域の変形を検知するように構成されている。スプレーオリフィス領域における圧力変化は、それにより検出され得る。
【0010】
一実施形態によれば、圧力検知装置は、ひずみゲージセンサ、容量型圧力センサ、およびピエゾ抵抗型圧力センサのうちの1つを備えている。
【0011】
一実施形態によれば、圧力検知装置は微小電気機械システム、(MEMS)圧力センサである。
【0012】
一実施形態によれば、圧力検知装置はスプレー膜に配置されている。
【0013】
一実施形態は基準圧力検知装置を備え、基板は、スプレー膜の基準圧力領域により区切られた閉鎖キャビティを備え、基準圧力検知装置は、基準圧力領域の変形を測定するように構成されている。基準圧力検知装置が吸入器に搭載された場合に、使用者が吸入すると、基準圧力領域は使用者の口に向かって変形するだろう。基準圧力検知装置は、それにより使用者の吸入技術の監視を促進し得る。
【0014】
一実施形態によれば、キャビティは真空キャビティである。
【0015】
一実施形態によれば、基準圧力検知装置は、ひずみゲージセンサ、容量型圧力センサ、およびピエゾ抵抗型圧力センサのうちの1つを備えている。
【0016】
一実施形態によれば、基準圧力検知装置はMEMS圧力センサである。
【0017】
一実施形態によれば、基準圧力検知装置はスプレー膜に配置されている。
【0018】
本開示の第2の態様によれば、スプレーノズル装置が提供されており、このスプレーノズル装置は、第1の態様によるスプレーノズルチップと、圧力検知装置に電気的に接続されて、圧力検知装置へと電力を供給し、且つ圧力検知装置からの圧力測定信号を得るように構成された接触インターフェイスと、を備えている。
【0019】
一実施形態は、基準圧力検知装置を含んだスプレーノズルチップを備え、接触インターフェイスは、基準圧力検知装置に電気的に接続されて、基準圧力検知装置へと電力を供給し、且つ基準圧力検知装置からの圧力測定信号を得るように構成されている。
【0020】
本開示の第3の態様によれば、第2の態様によるスプレーノズル装置を備えたエアロゾルディスペンサが提供されている。
【0021】
一実施形態によれば、エアロゾルディスペンサは薬剤送達装置である。
【0022】
一実施形態によれば、薬剤送達装置は吸入器またはアイディスペンサである。
【0023】
全体的に、請求項において使用されたすべての用語は、個々に明示的に定義されていない限り、その技術分野における通常の意味にしたがって解釈されるべきである。「要素、装置、構成要素、手段」などという表現は、明示的に別段の記載がない限り、「その要素、装置、構成要素、手段」などの少なくとも一つの事例を三相するとして、オープンに解釈されるべきである。
【0024】
ここに、本発明の概念の特定の実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】スプレーノズルチップの例を示した斜視図であり、そのスプレー側を示している。
図2図1に示されたスプレーノズルチップのふるい側を示した斜視図である。
図3】スプレーノズルチップの長手方向断面を示した図である。
図4】接触インターフェイスに装着されたスプレーノズルチップを示した斜視図である。
図5】接触インターフェイスに装着されたスプレーノズルチップを示した、別の角度からの斜視図である。
図6】キャリアに装着されたスプレーノズルチップおよび接触インターフェイスを示した図である。
図7図6のキャリアを示した、別の角度からの斜視図である。
図8】スプレーノズル装置を示した斜視図である。
図9図8のスプレーノズル装置の断面を示した図である。
図10図8のスプレーノズル装置の上面を示した図である。
図11図8のスプレーノズル装置を備えたエアロゾルディスペンサの側面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の概念は、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下により完全に説明されている。しかしながら、本発明の概念は多くの異なった形式において実施されてもよく、個々に説明された実施形態に限定されるとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は例として提供されており、本開示は、徹底的且つ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるであろう。同様の番号は、記載を通じて同様の要素を参照している。
【0027】
図1は、スプレーノズルチップ1の例を示している。スプレーノズル1は、エアロゾルディスペンサ内で使用されるように構成され得る。スプレーノズル1は、エアロゾルディスペンサ内に配置されるように構成され得る。
【0028】
スプレーノズルチップ1は、基板3を備えている。基板3は、スプレー側3aおよびふるい側3bを備えている。スプレー側3aおよびふるい側3bは、互いに対して反対側に配置されている。
【0029】
基板3は、例えばシリコン等のセラミックを含んでいる。例示された基盤3は、スプレー側基板3cおよびふるい側基板3dを備え、これらは結合または接合されて、基板3を形成している。代替的に、基板3は基板材料の単一片から形成され得る。
【0030】
スプレーノズルチップ1は、スプレー膜7を備えている。スプレー膜7は、例えばシリコンまたは窒化物を含み得る。スプレー膜7は、基板3のスプレー側3aに設けられている。スプレー膜7は基板3と接合されるか、または基板3を通じてエッチングにより直接形成され得る。スプレー膜7は、複数のスプレーオリフィス11を備えている。スプレー膜7は、スプレーオリフィス11を備えたスプレーオリフィス領域を備えている。
【0031】
スプレーノズルチップ1は、ふるい膜9を備えている。ふるい膜9は、例えばシリコンまたは窒化物を含み得る。ふるい膜9は、基板3のふるい側3bに設けられている。ふるい膜9は、基板3と接合されるか、または基板3を通じてエッチングにより直接形成され得る。ふるい膜9は、図2に示されたように複数のふるいオリフィス13を備えている。
【0032】
図3は、スプレーノズルチップ1の断面を示している。基板3は、スプレー側3aからふるい側3へと基板3を通じて延びた流体チャネル15を備えている。流体チャネル15は、スプレーオリフィス11をふるいオリフィス13と接続している。流体チャネル15は、スプレーオリフィス11とふるいオリフィス13との流体連通を設定するように構成されている。
【0033】
スプレーオリフィス領域は、スプレー膜7に対して流体チャネル15な内壁により形成された縁または境界により形成されている。
【0034】
図1に戻って、スプレーノズルチップ1は、圧力検知装置12を備えている。圧力検知装置12は、スプレー膜7の変形を検出するように構成されている。スプレー膜7の変形量は、スプレー膜7に作用した圧力の測定値を提供する。圧力検知装置12は、スプレー膜7に配置されている。
【0035】
圧力検知装置12は、スプレー膜7のスプレーオリフィス領域の変形を検出するように構成されている。圧力検知装置12またはその一部は、スプレー膜7のスプレーオリフィス領域に配置されている。
【0036】
圧力検知装置12は、MEMS圧力センサとされ得る。
【0037】
図1に示された例においては、圧力検知装置12はひずみゲージである。圧力検知装置12は、ホイートストンブリッジを備えている。圧力検知装置12は、ホイートストンブリッジを形成した抵抗要素12bを備えている。抵抗要素12bは、スプレー膜7のスプレーオリフィス領域に設けられている。抵抗要素12bは、例えばスプレーオリフィス11に隣接して且つ平行に延び得る。圧力検知装置12は、抵抗要素12bと電気的に接触した接触パッド12cを備え得る。接触パッド12cは、電源に電気的に接続されるように構成され得、且つ抵抗要素12bからの電流すなわち圧力測定信号を中継するように構成され得る。抵抗要素12bの任意の変形は、抵抗要素12bの電気抵抗を変化させる。次いで、このことはホイートストンブリッジを通じた電流の強さを変化させる。電流の変化は、変形の測定値を提供し、したがってスプレー膜7に作用した圧力の測定値を提供する。
【0038】
圧力検知装置12は、ひずみゲージに代えて、容量型圧力センサまたはピエゾ抵抗型圧力センサを備え得る。
【0039】
図3に示されたスプレーノズルチップ1の例においては、基板3は閉じたキャビティまたはチャンバ17を備えている。キャビティ17は、スプレー膜7により区切られている。キャビティ17は、スプレー膜7の基準圧力領域により区切られている。これにより、スプレー膜7は、キャビティ17の一側の壁を形成している。キャビティ17を形成した他の壁は、基板3により形成され得る。キャビティ17は、真空キャビティとされ得る。これにより、キャビティ17は真空を含んでいる。キャビティ17は、代替的に加圧されたチャンバ、すなわち真空でないチャンバとされ得る。
【0040】
例示されたスプレーノズルチップ1は、基準圧力検知装置19を備えており、図1にも示されている。基準圧力検知装置19は、スプレー膜7に設けられている。基準圧力検知装置19は、スプレー膜7の基準圧力領域に設けられている。基準圧力検知装置19は、スプレー膜7の基準圧力領域の変形を測定するように構成されている。
【0041】
図1および図3に示された例によれば、基準圧力検知装置19は、ひずみゲージである。基準圧力検知装置19は、ホイートストンブリッジを備えている。基準圧力検知装置19は、ホイートストンブリッジを形成した基準抵抗要素19bを備えている。基準抵抗要素19bは、スプレー膜7の基準圧力領域に設けられている。基準圧力検知装置19は、基準抵抗要素19bと電気的に接触した基準接触パッド19cを備え得る。基準接触パッド19cは、電源に電気的に接続されるように構成され、且つ電流、すなわち基準抵抗要素19bからの圧力測定信号を中継するように構成され得る。基準抵抗要素19bの任意の変形は、基準抵抗要素19bの電気抵抗を変化させる。したがって、このことは、次にホイートストンブリッジを通じた電流の強度を変化させる。電流の変化は、基準圧力領域内におけるスプレー膜7の変形の測定値を提供する。基準圧力検知装置19は、スプレーノズルチップ1が吸入器に装着された場合に、吸入を監視するために使用されることが可能である。使用者がスプレーノズルチップ1を通して吸入する場合、基準圧力領域には吸引力が作用し、この力は基準圧力領域をゆがめるか、または変形させる。それにより、基準圧力検知装置19は、使用者の吸引技術の測定を提供する。
【0042】
基準圧力検知装置19は、ひずみゲージに代えて、容量型圧力センサまたはピエゾ抵抗型圧力センサを備え得る。
【0043】
図4は、接触インターフェイス21に装着されたスプレーノズルチップ1を示している。スプレーノズルチップ1および接触インターフェイス21は、図8に示されたスプレーノズル装置29の一部を形成している。接触インターフェイス21は基板である。接触インターフェイス21は、例えばセラミックを含み得る。接触インターフェイス21は、圧力検知装置12に電気的に接続されるように構成された第1の導電性経路23を備えている。第1の導電性経路23は、接触パッド12cに接続され得る。第1の導電性経路23は、圧力検知装置12へと電流を伝達するように、および圧力検知装置12からの電流または圧力測定信号を伝達するように構成され得る。
【0044】
接触パッド12cは、例えばはんだ付けまたは導電性接着剤により第1の導電性経路23に接続され得る。
【0045】
接触インターフェイス21は、基準圧力検知装置19に電気的に接続されるように構成された第2の導電性経路25を備えている。第2の導電性経路25は、基準接触パッド19cに接続され得る。第2の導電性経路25は、基準圧力検知装置19に電流を伝達するように、および基準圧力検知装置19からの電流または圧力測定信号を伝達するように構成され得る。
【0046】
基準接触パッド19cは、例えばはんだ付けまたは導電性接着剤により第2の導電性経路25に接続され得る。
【0047】
図5は、接触インターフェイス21の、図4に示された側に対する反対側を示している。本例においては、スプレー膜7は接触インターフェイス21に面している。接触インターフェイス21には、第1の貫通開口21aが設けられている。第1の貫通開口21aは、スプレー膜7のスプレーオリフィス領域と整列されている。スプレーオリフィス11は、第1の貫通開口21a内に配置されている。スプレーオリフィス11は、接触インターフェイス21の第1の貫通開口21aを通じてアクセス可能である。
【0048】
接触インターフェイス21には、第2の貫通開口21bが設けられている。第2の貫通開口21bは、スプレー膜7の基準圧力領域と整列されている。これにより、基準圧力領域は、第2の貫通開口21bを通じてアクセス可能である。基準圧力検知装置19の一部は、第2の貫通開口21b内に配置されている。
【0049】
図6は、接触インターフェイスキャリア27の底部側を示している。接触インターフェイス21は、接触インターフェイスキャリア27上に装着されている。接触インターフェイス21および接触インターフェイスキャリア27は、代替的に一部品として一体化され得る。接触インターフェイスキャリア27は、スプレーノズル装置29の一部を形成している。接触インターフェイスキャリア27は、接触インターフェイス21の周囲に分配された複数の貫通開口27aを備えている。貫通開口27aは、スプレーノズル装置のための保護気流を提供し得る。
【0050】
図7は、接触インターフェイスキャリア27の上側を示している。接触インターフェイスキャリア27は、キャリア第1貫通開口27bを備えている。キャリア第1貫通開口27bは、接触インターフェイスキャリア27の中心に位置している。接触インターフェイスキャリア27の中心軸は、これによりキャリア第1貫通開口27bを通じて延びている。キャリア第1貫通開口27bは、スプレー膜7のスプレーオリフィス領域および第1の貫通開口21aと整列されている。キャリア第1貫通開口27bは、これによりスプレー膜7のスプレーオリフィス領域へと続いている。スプレーオリフィス11は、これによりキャリア第1貫通開口27bおよび第1の貫通開口21aを通じてアクセス可能である。
【0051】
接触インターフェイスキャリア27は、キャリア第2貫通開口27cを備えている。キャリア第2貫通開口27cは、スプレー膜7の基準圧力領域および第2の貫通開口21bと整列されている。キャリア第2貫通開口27cは、これにより基準圧力領域へと続いている。基準圧力検知装置19は、これによりキャリア第2貫通開口27cを通じてアクセス可能である。
【0052】
スプレーオリフィス11を通じた流体流れが、これにより可能となる。さらに、基準圧力検知装置19は、使用者の吸入により生じた吸引力に起因した、基準圧力領域の変形による基準圧力領域の変形を検知することが可能である。
【0053】
図8は、スプレーノズル装置29の斜視図を示している。スプレーノズル装置29は、エアロゾルディスペンサ内に搭載されるように構成されている。スプレーノズル装置29は、保持部材31およびスプレーノズルチップ1を備えている。図9は、スプレーノズル装置29の断面を示している。保持部材31は、接触インターフェイスキャリア27を保持するように構成されている。接触インターフェイスキャリア27は、接触インターフェイスキャリア27の中心軸が、スプレーノズル装置29の中心長手軸と一致するように、中心決めされている。流体チャネル15は、これによりスプレーノズル装置29内に中心決めされている。したがって図10に示されたように、スプレーノズル装置29の中心長手軸は、流体チャネル15を通じて延びている。
【0054】
スプレーノズルチップ1および/または接触インターフェイスキャリア27は、スプレーノズル装置29の主本体内にモールド成型され得る。
【0055】
図11は、吸入器等のエアロゾルディスペンサ33の例を示している。エアロゾルディスペンサ33は、薬剤送達装置とされ得る。エアロゾルディスペンサ33は、スプレーノズル装置29を備えている。エアロゾルがエアロゾルディスペンサ33により分注される場合、エアロゾルはスプレーノズルチップ1により生成される。
【0056】
エアロゾルディスペンサ33は、圧力検知装置12に電力供給するように構成された電子ユニットを備え得る。電子ユニットは、圧力検知装置12に電力供給し、および接触パッド12cを通じて圧力測定信号を受信するように構成され得る。電子ユニットは、基準圧力検知装置19に電力供給し、および接触パッド19cを通じて圧力測定信号を受信するように構成され得る。
【0057】
電子ユニットは、圧力検知装置12からの圧力測定信号を処理するように構成され得る。例えば電子ユニットは、圧力測定信号に基づいて、スプレーオリフィス領域内のスプレー膜7に加えられた圧力を決定するように構成され得る。電子ユニットは、基準圧力検知装置19からの圧力測定信号を処理するように構成されえる。例えば電子ユニットは、基準圧力領域内のスプレー膜7に加えられた吸引力または圧力を決定するように構成され得る。
【0058】
電子ユニットは、一変形によれば、圧力検知装置12および/または基準圧力検知装置19からの圧力測定信号を、スマートフォン、タブレットコンピュータ等の外部ユニットへ、またはクラウド内のサーバへ無線で送信するように構成され得る。
【0059】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して、これまでに説明されてきた。しかしながら、当業者により容易に理解されるように、これまでに開示されたもの以外の実施形態は、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 ・・・スプレーノズルチップ
3 ・・・基板
3a、 ・・・スプレー側
3b、 ・・・ふるい側
3c ・・・スプレー側基板
3d ・・・ふるい側基板
7 ・・・スプレー膜
9 ・・・ふるい膜
11 ・・・スプレーオリフィス
12 ・・・圧力検知装置
12b ・・・抵抗要素
12c ・・・接触パッド
13 ・・・ふるいオリフィス
15 ・・・流体チャネル
17 ・・・キャビティ
19 ・・・基準圧力検知装置
19b ・・・基準抵抗要素
19c ・・・基準接触パッド
21 ・・・接触インターフェイス
21a ・・・第1の貫通開口
21b ・・・第2の貫通開口
23 ・・・第1の導電性経路
25 ・・・第2の導電性経路
27 ・・・接触インターフェイスキャリア
27a ・・・貫通開口
27b ・・・キャリア第1貫通開口
27c ・・・キャリア第2貫通開口
29 ・・・スプレーノズル装置
31 ・・・保持部材
33 ・・・エアロゾルディスペンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11