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特許7368636ロキサデュスタット及びその中間体の合成方法とその中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】ロキサデュスタット及びその中間体の合成方法とその中間体
(51)【国際特許分類】
   C07D 217/26 20060101AFI20231017BHJP
   A61P 7/06 20060101ALN20231017BHJP
   A61P 13/12 20060101ALN20231017BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20231017BHJP
   A61K 31/472 20060101ALN20231017BHJP
【FI】
C07D217/26 CSP
A61P7/06
A61P13/12
A61P43/00 111
A61K31/472
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022559397
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2021100797
(87)【国際公開番号】W WO2021254469
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202010566080.2
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011148392.8
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522381915
【氏名又は名称】ジャンプカン(シャンハイ)メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、クオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ、フォンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チュントン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ツートン
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108017583(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108341777(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103435546(CN,A)
【文献】特表2019-506441(JP,A)
【文献】特表2015-524409(JP,A)
【文献】ZHANG Qiwei et al.,Chinese Journal of Pharmaceuticals,2019年,50(11),pp.1239-1244
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤の作用下で、化合物SMと化合物SM-Aとの間で、以下に示される反応を実行させる工程を含む、化合物M1の合成方法。
【化1】

(Rは、H、C~Cアルキル又はC~C10アリールであり;
は、H又はメチルであり;
は、H、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル又はC~C10アリールであり;
ここで、前記C~Cアルキル、前記C~C10アリール及び前記C~Cシクロアルキルは、1、2又は3つのRにより任意に置換され、各Rは、独立してハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、モノ(C~Cアルキル)アミノ、ジ(C~Cアルキル)アミノ、シアノ又はニトロである。)
【請求項2】
は、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、フェニル又はナフチルであり;
及び/又は、Rは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル又はナフチルであり;
及び/又は、前記酸化剤は、過硫酸塩酸化剤、過酸化物酸化剤又はその混合物であり;
及び/又は、前記酸化剤に対する前記化合物SMのモル比は1:1~1:5であり;
及び/又は、前記化合物SMに対する前記化合物SM-Aのモル比は1:1を超え;
及び/又は、反応温度は、30℃~100℃である、請求項1に記載の化合物M1の合成方法。
【請求項3】
前記過硫酸塩酸化剤は、アルカリ金属過硫酸塩、アルカリ土類金属過硫酸塩又はその混合物であり;
及び/又は、前記過酸化物酸化剤は、R-O-O-Rであり;ここで、R及びRは、それぞれ独立して、H、又は、1、2又は3つのハロゲンにより置換されていてもよいC~Cアルキル又はベンゾイルであり;
及び/又は、前記酸化剤に対する前記化合物SMのモル比は1:1.5~1:3であり;
及び/又は、前記化合物SMに対する前記化合物SM-Aのモル比は5:1を超え;
及び/又は、前記反応温度は50℃~80℃である、
請求項2に記載の化合物M1の合成方法。
【請求項4】
前記アルカリ金属過硫酸塩は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウム錯塩又はその混合物であり;
及び/又は、前記アルカリ土類金属過硫酸塩は、過硫酸マグネシウムであり;
及び/又は、前記過酸化物酸化剤は、過酸化水素、過酢酸、過トリフルオロ酢酸、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド又はその混合物であり;
及び/又は、前記酸化剤に対する前記化合物SMのモル比は1:2であり;
及び/又は、前記反応温度は65℃~70℃であり;
及び/又は、前記化合物SMに対する前記化合物SM-Aのモル比は10:1を超える、
請求項3に記載の化合物M1の合成方法。
【請求項5】
化合物SM-Aは、1、2又は3つのRにより置換されていてもよい
【化2】

又は
【化3】

であり;
及び/又は、前記化合物SM-Aが液体である場合、反応原料及び溶媒として同時に機能し;前記化合物SM-Aが固体である場合、前記化合物M1の合成は、溶媒の存在下で行われ;前記溶媒は、塩素化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒又はその混合物であり;前記溶媒は、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその混合物であることを特徴とし;
及び/又は、前記化合物SMに対する前記化合物SM-Aのモル比は20:1を超える、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の化合物M1の合成方法。
【請求項6】
化合物SMは、
【化4】

であり;
及び/又は、化合物SM-Aは、
【化5】

又は
【化6】

であり;
及び/又は、化合物M1は、
【化7】

又は
【化8】

であることを特徴とする、請求項5に記載の化合物M1の合成方法。
【請求項7】
前記化合物SMに対する前記化合物SM-Aのモル比は40:1を超える、請求項6に記載の化合物M1の合成方法。
【請求項8】
前記化合物SMに対する前記化合物SM-Aのモル比は50:1を超える、請求項7に記載の化合物M1の合成方法。
【請求項9】
酸の作用下で、化合物M1に対して以下に示される反応を実行する工程を含み;ここで、化合物M2の合成方法は、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の化合物M1の合成方法を含む、化合物M2の合成方法。
【化9】

(ここで、R、R及びRの定義は、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の通りである。)
【請求項10】
化合物M2の合成方法において、前記酸は、無機酸、有機酸又はその混合物であり;
及び/又は、化合物M2の合成方法において、溶媒は、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒又はその混合物であり;前記スルホキシド系溶媒は、DMSOであり;
及び/又は、化合物M2の合成方法において、反応温度は、25℃~50℃であることを特徴とする、請求項に記載の化合物M2の合成方法。
【請求項11】
前記無機酸は、塩酸、硫酸、リン酸又はその混合物であり;
及び/又は、前記有機酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸又はその混合物であり;
及び/又は、前記エーテル系溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその混合物であり;
及び/又は、前記アルコール系溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はその混合物であり;
及び/又は、前記アミド系溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はその混合物である、
請求項10に記載の化合物M2の合成方法。
【請求項12】
化合物M2の合成方法において、反応における溶媒は、単一の溶媒、又は、2つ又は3つ以上の溶媒の混合物である、請求項~請求項11のいずれか一項に記載の化合物M2の合成方法。
【請求項13】
水素源の存在下で、化合物M2に対して以下に示される反応を実行する工程を含み;ここで、化合物M3の合成方法は、請求項~請求項12のいずれか一項に記載の化合物M2の合成方法を含む、化合物M3の合成方法。
【化10】

(ここで、R及びRの定義は、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載された通りである。)
【請求項14】
化合物M3の合成方法において、前記水素源は、金属単体/水素供与体である、請求項13に記載の化合物M3の合成方法。
【請求項15】
前記金属単体は、亜鉛粉末、鉄粉末又はその混合物であってもよく;
前記水素供与体は、酸、ギ酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酸と塩化アンモニウムとの混合物、又は、酸とギ酸アンモニウムとの混合物のうちいずれか一つである、請求項14に記載の化合物M3の合成方法。
【請求項16】
化合物M3の合成方法において、前記金属単体は、亜鉛粉末であることを特徴とする、請求項14又は請求項15に記載の化合物M3の合成方法。
【請求項17】
前記水素供与体が酸である場合、前記酸は、無機酸、有機酸又はその混合物である、請求項15に記載の化合物M3の合成方法。
【請求項18】
前記無機酸は、塩酸、硫酸、リン酸又はその混合物であり;
前記有機酸は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸又はその混合物である、請求項17に記載の化合物M3の合成方法。
【請求項19】
前記水素供与体が酸と塩化アンモニウムとの混合物であるか、又は酸とギ酸アンモニウムとの混合物である場合、前記酸は、無機酸、有機酸又はその混合物である、請求項15に記載の化合物M3の合成方法。
【請求項20】
前記無機酸は、塩酸、硫酸、リン酸又はその混合物であり;
及び/又は、前記有機酸は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸又はその混合物である、請求項19に記載の化合物M3の合成方法。
【請求項21】
化合物M3の合成方法において、化合物M2は、
【化11】

であることを特徴とする、請求項13~請求項20のいずれか一項に記載の化合物M3の合成方法。
【請求項22】
化合物M3とNHCHCOORとの間で以下に示される反応を実行する工程を含み;ここで、ロキサデュスタットの合成方法は、請求項13~請求項21のいずれか一項に記載の化合物M3の合成方法を含む、ロキサデュスタットの合成方法。
【化12】

(ここで、Rは、H又はNaであり;Rの定義は、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載された通りである。)
【請求項23】
化合物M1、化合物M2又はその塩。
【化13】

(ここで、R、R、Rの定義は、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載された通りである。)
【請求項24】
前記化合物M1は、
【化14】

又は
【化15】

であり;
及び/又は、前記化合物M2は、
【化16】

又は
【化17】

であることを特徴とする、請求項23に記載の化合物M1、化合物M2又はその塩。
【請求項25】
ロキサデュスタットの製造における、請求項23又は請求項24に記載の化合物M1、化合物M2又はその塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は出願日が2020年6月19日である中国特許出願CN2020105660802及び出願日が2020年10月23である中国特許出願CN2020111483928の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、ロキサデュスタット及びその中間体の合成方法とその中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
ロキサデュスタット(Roxadustat)は、米国のFibroGen社によって開発され、慢性腎臓病及び末期腎疾患に関連する貧血を治療するために中国で販売されているAstellas及びAstraZenecaによって認可された、低酸素誘導因子プロリンヒドロキシラーゼ阻害剤(HIF-PHI)である。
【0004】
ロキサデュスタットの化学名は、N-[(4-ヒドロキシ-1-メチル-7-フェノキシ-3-イソキノリン)カルボニル)]グリシンであり、構造式は以下の通りである。
【0005】
【化1】
【0006】
ロキサデュスタットの既知の合成経路には、主に以下の経路が含まれる:
【0007】
(1)CN201310302822.0は、ロキサデュスタットの合成経路を開示した。当該経路では、予め中間体4-ヒドロキシ-7-フェノキシイソキノリン-3-カルボキシレートを合成し、次にテトラメチルメタンジアミンと反応させ、更に無水酢酸と反応させ、パラジウムカーボンで水素化してイソキノリン環1位のメチル化反応を完成させ、ロキサダスタットの重要な中間体である4-ヒドロキシル-1-メチル-7-フェノキシイソキノリン-3-カルボキシレートを得、最後に、グリシンとのアミノリシス反応させて最終生成物を得た。経路は以下の通りである:
【0008】
【化2】
【0009】
当該経路では、中間体5から中間体9への反応は3段階であるように見えるが、実際、中間体6から中間体8を製造する段階でかなりの副生成物7が生成されるため、モルホリンを介して中間体7を中間体8に変換する反応段階を追加する必要があり、中間体9を取得するには、実際には4つの工程が必要となる。また、当該経路では高沸点の無水酢酸、モルホリンなどの他の試薬を使用し、その後の精製で除去することが困難であり、除去プロセス中に更に多くの不純物が導入される可能性がある。また、中間体8のデアセトキシにより中間体9を製造する際に貴金属パラジウムで触媒するが、パラジウムは、価格が高く、工業生産で大量の消費と高コストが発生する。
【0010】
(2)CN201280036322.0は、ロキサデュスタットの合成経路を開示した。当該経路では、4-ニトロフタロニトリルを原料として使用し、エーテル化、加水分解、縮合後にイソシアナト酢酸エチルと反応させ、更に酸の作用下で閉環させてイソキノリン環を得、オキシ塩化リンを1位で塩素化し、次にメチル化し、最後にグリシン酸メチルエステルと縮合し加水分解してロキサダスタットを得た。経路は以下の通りである:
【0011】
【化3】
【0012】
当該経路の収率は低く、イソキノリンの1位のメチルは貴金属パラジウム触媒作用を必要とし、中間体15、9、18はすべてカラム精製を必要とし、大規模な工業生産には適していない。
【0013】
(3)CN201510299804.0は、ロキサデュスタットの合成経路を開示している。当該経路では、チロシンを出発物質として使用し、エステル化、エーテル化、環化、脱水素化してイソキノリン環を得、次に酸化再配列して重要な中間体4-ヒドロキシル-1-メチル-7-フェノキシイソキノリン-3-カルボキシレートを得、最後に酸結合剤の作用下でグリシンでアシル化してロキサダスタットを得た。経路は以下の通りである:
【0014】
【化4】
【0015】
当該経路では、中間体19から中間体20を製造する際に170~175℃の高温が必要であり、エネルギー消費量が高く、工業的に実現するのが難しい;中間体22から中間体9を製造する場合に使用する過酸化水素は、工業生産に一定のリスクがある。
【0016】
(4)EP 305769 B1は、ロキサデュスタットの合成経路を開示した。当該経路では、2-ブロモ-4-フルオロ安息香酸メチルを開始物質として使用し、フェノールでエーテル化し、イソシアナト酢酸エチルで環を閉じ、更にエチレンブチルエーテルでHeck反応を実行し、更に酸性条件下で環を閉じてイソキノリン環を形成し、最後にDBUの作用下でグリシンとアシル化してロキサダスタットを形成する。経路は以下の通りである:
【0017】
【化5】
【0018】
当該経路において、中間体24から中間体25を製造する際に、オキサゾール環上のギ酸エチルが容易に脱炭酸され、主な中間体27を製造する収率は高くなく、Heck反応は貴金属パラジウム触媒作用を必要とし、結果として全体のコストがより高くなり、大規模な工業生産に不利である。
【0019】
これから見て分かるように、ロキサデュスタットの既知の合成経路には以下の欠陥があり:煩雑な手順、副生成物を制御するための追加の反応フローの導入が必要であり;又は、除去が困難な高沸点試薬及び高価な金属パラジウム触媒を使用し;又は、収率が低く、カラムクロマトグラフィーによる精製が必要であり;又は、高温反応が必要であり、使用される試薬は危険であり、ロキサダスタットの合成経路のコストが高く、工業生産に不利である。前記状況は早急の解決を求めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明によって解決されるべき技術的問題は、先行技術におけるロキサデュスタットの合成経路における長い工程、複雑な操作、高コスト、工業生産に不利な欠陥を克服し、ロキサデュスタット及びその中間体の合成方法とその中間体を提供することである。本発明の方法は、安価で容易に入手可能な原材料を使用し、反応工程が短く、反応条件が穏やかであり、収率が高く、単純で便利な後処理手順を有し、産業化生産に適している。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、以下の技術的解決手段を通じて上記の技術的問題を解決する。
【0022】
本発明は、化合物M1の合成方法を提供し、前記方法は、以下の工程を含み:酸化剤の作用下で、化合物SM及び化合物SM-Aを以下に示される反応を実行し;
【0023】
【化6】
【0024】
は、H、C~Cアルキル又はC~C10アリールであり;
は、H又はメチルであり;
は、H、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル又はC~C10アリールであり;
ここで、前記C~Cアルキル、前記C~C10アリール及び前記C~Cシクロアルキルは、任意選択で1、2又は3つのRにより置換され、各Rは、独立してハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、モノ(C~Cアルキル)アミノ、ジ(C~Cアルキル)アミノ、シアノ又はニトロである。
本発明において、好ましくは、Rは、H、C~Cアルキル又はC~C10アリールであり;より好ましくは、Rは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、フェニル又はナフチルであり;最も好ましくは、RはH、メチル又はエチルである。
本発明において、好ましくは、Rは、H、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル又はC~C10アリールであり;より好ましくは、Rは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル又はナフチルであり;最も好ましくは、Rは、H又はメチルである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の開示によれば、当業者は、Rが存在する場合、化合物SMのR置換基及び/又は化合物SM-AのR置換基上に現れるべきであることが分かる。
【0026】
本発明の一実施形態において、化合物SM-Aは、任意選択で1、2又は3つのRにより置換された
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
又は
【0030】
【化9】
【0031】
である。
【0032】
本発明の一実施形態において、化合物SM-Aは、好ましくは、
【0033】
【化10】
【0034】
【化11】
【0035】
又は
【0036】
【化12】
【0037】
である。
【0038】
本発明の一実施形態において、化合物SMは、好ましくは
【0039】
【化13】
【0040】
である。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、化合物M1は、
【0042】
【化14】
【0043】
であってもよい。
【0044】
化合物M1の合成方法において、前記酸化剤は、当技術分野における当該反応のための通常の酸化剤であってもよい。本発明において、前記酸化剤は、例えば、過硫酸塩酸化剤、過酸化物酸化剤又はその混合物であってもよい。ここで、前記過硫酸塩酸化剤は、例えば、アルカリ金属過硫酸塩、アルカリ土類金属過硫酸塩又はその混合物であってもよい。前記アルカリ金属過硫酸塩は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウム錯塩(Oxone)又はその混合物であってもよい。前記アルカリ土類金属過硫酸塩は、過硫酸マグネシウムであってもよい。前記過酸化物酸化剤は、一般的に、ペルオキシ-O-O-を含む化合物を指す。本発明において、前記過酸化物酸化剤は、例えば、R-O-O-Rであってもよい;ここで、R及びRは、独立してH、任意選択で1、2又は3つのハロゲンにより置換されたC~Cアルキル又はベンゾイルである。前記過酸化物酸化剤は、例えば、過酸化水素(hydrogen peroxide)、過酢酸、過トリフルオロ酢酸、BPO(過酸化ベンゾイル)、TBHP(tert-ブチルヒドロペルオキシド)、DTBP(ジ-tert-ブチルペルオキシド)又はその混合物であってもよい。
【0045】
化合物M1の合成方法において、前記酸化剤の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための酸化剤の通常の使用量であってもよい。本発明において、前記化合物SM及び酸化剤のモル比は1:1~1:5であり、例えば、1:1.5~1:3であり、更に例えば、1:2である。
【0046】
化合物M1の合成方法において、前記化合物SM及び前記化合物SM-Aの使用量は、当技術分野における当該反応の通常の使用量であってもよい。本発明において、前記化合物SM-A及び前記化合物SMのモル比は1:1を超えてもよく、例えば、5:1を超え、10:1を超え、20:1を超え、40:1を超え、又は50:1を超えてもよい。原則として、コストを制御するために、当業者は、前記化合物SM-Aの使用量を適切な範囲内に制御すべきであることが分かる。
【0047】
化合物M1の合成方法において、前記化合物SM-Aが液体である場合、反応原料及び溶媒として同時に機能する。前記化合物SM-Aが固体である場合、反応原料としてのみ使用される。この際、化合物M1の合成は、溶媒の存在下で前記反応が実行される。前記溶媒は、当技術分野における当該反応の通常の溶媒であってもよく、例えば、塩素化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒又はその混合物であってもよい。前記溶媒は一般的に化合物SMに対して良好な溶解性を有し、容易に酸化されなく又は反応に関与しない。したがって、前記溶媒は、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその混合物であってもよい。
【0048】
化合物M1の合成方法において、前記反応温度は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の温度であってもよい。本発明において、前記反応温度は、30℃~100℃であってもよく、例えば、50℃~80℃あってもよく、更に例えば、60℃~70℃であってもよい。
【0049】
本発明の一実施形態において、化合物M1の合成方法において、前記反応温度は、30℃~100℃であってもよく、又例えば、60℃~70℃であってもよく、更に例えば、65℃~70℃であってもよい。
【0050】
化合物M1の合成方法において、前記反応の進行は、当技術分野における通常の検出方法(例えば、TLC、MS、HPLC又はNMRなど)によってモニタリングしてもよい。本発明において、前記反応の進行はTLCによってモニタリングされ、前記化合物SMの消失を反応の終点とする。前記反応時間は、例えば、20分~10時間(例えば、1時間、4時間、5時間、6時間又は8時間)であってもよい。
【0051】
化合物M1の合成方法において、前記酸化剤は、単独で使用することができ、又は前記酸化剤を水との混合溶液の形態で使用することができ、更に又は前記酸化剤を有機溶媒との混合溶液の形態で使用してもよい。前記水は、当技術分野における通常の水であり、例えば、精製水、蒸留水又はその混合物である。前記有機溶媒は、例えば、塩素化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒又はその混合物であってもよい。前記有機溶媒は、一般的に酸化剤に対して良好な溶解性を持つ。前記有機溶媒は、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその混合物であってもよい。前記混合溶液(水混合溶液又は有機溶媒混合溶液)において、前記酸化剤及び前記水又は前記有機溶媒のモル比は、1:1~1:50であってもよく、例えば、1:2~1:35であってもよく、更に例えば、1:2~1:30であってもよく、又例えば、1:20~1:35であってもよく、又例えば、1:20~1:30であってもよい。
【0052】
化合物M1の合成方法において、好ましくは、前記化合物SM及び前記化合物SM-Aの混合物を前記酸化剤と混合して、前記反応を実行させる工程を含む。更に好ましくは、前記化合物SM及び化合物SM-Aの混合物を30℃~100℃に加熱し、次に前記酸化剤を加えて前記反応を実行させる。
【0053】
化合物M1の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、当技術分野における通常の後処理方法によって後処理を実行してもよい。本発明において、前記後処理は、反応完了後の反応溶液を有機溶媒で抽出し、有機相を濃縮し、任意選択で濃縮後に得られた残留物を有機溶媒でスラリー化させ、固液を分離し、任意選択で固体を有機溶媒で洗浄し、乾燥させ、標的化合物を得る:又は、反応完了後の反応溶液及び水を混合し、固液を分離し、任意選択で固体を有機溶媒で洗浄し、乾燥させ、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0054】
本発明の一実施形態において、化合物M1の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、前記後処理は、反応の完了後に反応溶液を抽出し(例えば、室温で抽出し、好ましくは、エステル系溶媒、例えば、酢酸エチルで抽出し、又は塩素化炭化水素溶媒、例えば、ジクロロメタンで抽出し)、次に濃縮して濃縮溶液を得(濃縮溶液の体積は、例えば、抽出溶媒の体積の1/8~1/10であり)、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキを抽出用有機溶媒で洗浄し(好ましくは、エステル系溶媒、例えば、酢酸エチルで洗浄し、又は塩素化炭化水素溶媒、例えば、ジクロロメタンで洗浄し)、ケーキを乾燥させ(例えば、吸引又は真空乾燥させ)、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0055】
本発明の一実施形態において、化合物M1の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、前記後処理は、反応完了後に反応溶液を水と混合し(例えば、室温で混合し、水の使用量は反応溶液中で大量の固体を生成するのに適する)、固液を分離し(例えば、吸引濾過し)、ケーキを乾燥させて(例えば、吸引又は真空乾燥)、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0056】
本発明の一実施形態において、化合物M1の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、前記後処理は、反応の完了後に反応溶液を抽出し(例えば、室温で抽出し、好ましくは、エステル溶系媒、例えば、酢酸エチルで抽出し、又は塩素化炭化水素溶媒、例えば、ジクロロメタンで抽出し)、有機相中の溶媒を除去し、残留物をスラリー化させ(好ましくは、エステル系溶媒及びアルカン系溶媒の混合溶媒としての酢酸エチルとn―ヘプタンの混合溶媒でスラリー化させ、ここで、エステル系溶媒及びアルカン系溶媒の混合溶媒の体積比は、例えば、1:2/v:vであってもよい)、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキを乾燥させ(例えば、真空乾燥)、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0057】
本発明において、前記化合物M1を合成方法は、光照射がない条件で実施してもよい。例えば、化合物M1の合成方法は、水銀ランプ、タングステンランプなどの照射を必要としない。
【0058】
本発明はまた、化合物M2の合成方法を提供し、前記方法は、酸の作用下で、化合物M1を以下に示される反応を実行させる工程を含み;ここで、前記化合物M1は、前記合成方法に従って製造される;
【0059】
【化15】
【0060】
ここで、R、R及びRの定義は、上記で記載された通りである。
【0061】
化合物M2の合成方法において、前記酸は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の酸であってもよく、例えば、無機酸、有機酸又はその混合物であってもよい。前記無機酸は、例えば、塩酸(例えば、質量分率36%の濃塩酸、又は、塩化水素のエタノール溶液であってもよい)、硫酸、リン酸又はその混合物であってもよい(ここで、硫酸及びリン酸の質量分率は、例えば、30%~85%であってもよい)。前記有機酸は、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸又はその混合物であってもよい。前記酸の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよく、好ましくは、酸及び化合物M1の体積対質量比は、0.2mL/g~5mL/gであり、例えば、0.5mL/g~5mL/gであり、更に例えば、0.2mL/g~2.5mL/gであり、また例えば、1mL/g~2.5mL/gである。
【0062】
化合物M2の合成方法において、溶媒は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の溶媒であってもよく、例えば、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒又はその混合物であってもよい。前記エーテル系溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその混合物であってもよい。前記アルコール系溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はその混合物であってもよい。前記アミド系溶媒は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はその混合物であってもよい。前記スルホキシド系溶媒は、例えば、DMSOであってもよい。
【0063】
化合物M2の合成方法において、反応中の溶媒は、単一の溶媒であってもよく、又は、2つ又は2つ以上の溶媒の混合物であってもよい。
【0064】
本発明の一実施形態では、溶媒は、好ましくは、アルコール系溶媒、又はエーテル系溶媒及びアルコール系溶媒の混合溶媒であり、例えば、エタノール、又はテトラヒドロフラン及びメタノールの混合溶媒である。前記混合溶媒において、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒の体積比は、0.5:1~4:1であってもよく、例えば、1:1~2:1であってもよい。溶媒の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよく、好ましくは、酸及び化合物M1の体積対質量比は、3mL/g~10mL/gであり、例えば、3mL/g~8mL/gであり、また例えば、5mL/g~8mL/gである。
【0065】
化合物M2の合成方法において、前記反応温度は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の温度であってもよい。
【0066】
化合物M2の合成方法において、前記反応温度は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の温度であってもよい。本発明において、前記反応温度は、25℃~50℃であってもよく、また例えば、30℃~50℃であってもく、更に例えば、30℃~45℃であってもよい。
【0067】
化合物M2の合成方法において、前記反応温度は、30℃~40℃である。
【0068】
化合物M2の合成方法において、前記反応温度は、40℃~45℃である。
【0069】
化合物M2の合成方法において、化合物M1は、
【0070】
【化16】
【0071】
であってもよい。
【0072】
化合物M2の合成方法において、前記反応の進行は、当技術分野における通常の検出方法(例えば、TLC、MS、HPLC又はNMRなど)によってモニタリングしてもよい。本発明において、前記反応の進行はTLCによってモニタリングされ、前記化合物M1の消失を反応の終点とする。前記反応時間は、例えば、5時間~16時間(例えば、8時間)であってもよい。
【0073】
前記化合物M2の合成方法において、好ましくは、化合物M1及び溶媒の混合物を酸と混合して、前記反応を実行させる工程を含む。更に好ましくは、前記化合物M1と溶媒とを混合し、25℃~50℃に加熱し、次に酸を加えて、前記反応を実行させる工程を含む。
【0074】
化合物M2の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、当技術分野における通常の方法によって後処理を実行することができる。本発明において、前記後処理は、大量の固体が析出されるまでに反応完了後の反応溶液から溶媒を除去し、又は反応溶媒との極性差が比較的大きい貧溶媒を加え,固液を分離し、任意選択で固体を有機溶媒で洗浄し、乾燥させ、標的化合物を得る工程を含む。
【0075】
本発明の一実施形態において、化合物M2の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、前記後処理は、溶媒を除去するか、又は大量の固体が析出するまでに反応完了後の反応溶液を濃縮し(例えば、真空濃縮)、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキをアルコール系溶媒(例えば、メタノール)で洗浄し、乾燥させ(例えば、吸引又は真空乾燥)、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0076】
本発明の別の実施形態において、化合物M2の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、前記後処理は、溶媒を除去するか、又は大量の固体が析出するまでに反応完了後の反応溶液を濃縮し(例えば、真空濃縮)、固液を分離し(例えば、吸引濾過し)、ケーキをエーテル溶媒で乾燥させ(例えば、メチルtert-ブチルエーテル)で洗浄し、乾燥させ(例えば、吸引又は真空乾燥させ)、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0077】
本発明の一実施形態において、化合物M2の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、前記後処理は、大量の固体が析出するまでに反応完了後の反応溶液に貧溶媒を加え(貧溶媒は、好ましくは、エーテル系溶媒であり、例えば、イソプロピルエーテル)、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキをエーテル溶媒(例えば、イソプロピルエーテル)で洗浄し、乾燥させ(例えば、真空乾燥させ)、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0078】
本発明の一実施形態において、化合物M1の合成方法において、反応完了後の反応溶液は後処理を行わず、酸の作用下で直接反応させて、化合物M2を得る。
【0079】
本発明はまた、化合物M3の合成方法を提供し、前記方法は、水素源の存在下で、化合物M2を以下に示される反応を実行させることを含み;ここで、前記化合物M2は、前記合成方法に従って製造される;
【0080】
【化17】
【0081】
ここで、R及びRの定義は、上記で記載した通りである。
【0082】
化合物M3の合成方法において、前記水素源は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の水素源であってもよく、例えば、金属元素/水素供与体であってもよい。前記金属単体は、例えば、亜鉛粉末、鉄粉末又はその混合物である。前記金属元素の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよく、好ましくは、金属単体と前記化合物M2のモル比は1:1~10:1であり、例えば2:1~8:1であり、また例えば、2:1~6:1であり、また例えば、2:1~3:1である。前記水素供与体は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の水素供与体であってもよく、例えば、酸、ギ酸アンモニウム、塩化アンモニウム又はその混合物である。前記水素供与体の使用量は、当技術分野における当該反応の通常の使用量であってもよく、水素供与体と金属単体のモル比は、好ましくは、1:1を超え、10:1を超え、20:1を超え、40:1を超え、又は50:1を超える。
【0083】
化合物M3の合成方法において、前記金属単体は、好ましくは、亜鉛粉末である。
【0084】
化合物M3の合成方法において、前記水素供与体は、酸、ギ酸アンモニウム、塩化アンモニウムのいずれか1つであってもよく、又は酸及び塩化アンモニウムの混合物であってもよく、又は酸及びギ酸アンモニウムの混合物であってもよい。
【0085】
化合物M3の合成方法において、水素供与体が酸である場合、前記酸は、好ましくは、液体であり、また溶媒として同時に機能してもよい。前記酸は、好ましくは、無機酸、有機酸又はその混合物である。前記無機酸は、好ましくは、塩酸、硫酸、リン酸又はその混合物である。前記有機酸は、好ましくは、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸又はその混合物であり、より好ましくは、酢酸である。前記酸の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよく、好ましくは、酸と化合物M2の体積対質量比は、3mL/g~40mL/gであり、例えば、8mL/g~15mL/gであり、また例えば、8mL/g~10mL/gである。
【0086】
化合物M3の合成方法において、水素供与体がギ酸アンモニウム又は塩化アンモニウムであるの場合、その使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよく、好ましくは、水素供与と前記化合物M2のモル比は1:1~50:1であり、例えば、5:1~40:1であり、更に例えば、10:1~30:1である。
【0087】
化合物M3の合成方法において、水素供与体が酸と塩化アンモニウムの混合物である場合、前記酸は、好ましくは、液体であり、好ましくは、無機酸、有機酸又はその混合物である。前記無機酸は、好ましくは、塩酸、硫酸、リン酸又はその混合物である。前記有機酸は、好ましくは、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸又はその混合物であり、より好ましくは、酢酸である。前記酸の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよく、好ましくは、酸と塩化アンモニウムの体積対質量比は、2mL/g~10mL/gであり、例えば、3mL/g~8mL/gであり、更に例えば、5mL/gである。前記酸の使用量と化合物M2の体積対質量比は、1mL/g~10mL/gであり、例えば、1mL/g~5mL/gであり、更に例えば、2mL/gである。
【0088】
化合物M3の合成方法において、水素供与体がギ酸アンモニウム又は塩化アンモニウムなどの固体である場合、前記反応は溶媒中で実行してもよい。前記溶媒は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の溶媒であってもよく、例えば、水、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒又はその混合物であってもよい。前記アルコール系溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はその混合物であってもよい。前記アミド系溶媒は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はその混合物であってもよい。前記スルホキシド系溶媒は、例えば、DMSOであってもよい。溶媒の使用量は、実際のニーズに応じて選択できる。
【0089】
化合物M3の合成方法において、水素供与体が酸とギ酸アンモニウムの混合物又は酸と塩化アンモニウムの混合物である場合、前記反応は溶媒中で実行してもよい。前記溶媒は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の溶媒であってもよく、例えば、水、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒又はその混合物であってもよい。前記アルコール系溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はその混合物であってもよい。前記アミド系溶媒は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はその混合物であってもよい。前記スルホキシド系溶媒は、例えば、DMSOであってもよい。溶媒の使用量は、実際のニーズに応じて選択できる。
【0090】
化合物M3の合成方法において、前記反応温度は、当技術分野における当該反応の通常の温度であってもよい。
【0091】
本発明において、化合物M3の合成方法において、前記反応温度は、25℃~60℃であってもよく、例えば、40℃~60℃であってもよい。
【0092】
本発明の一実施形態において、化合物M3の合成方法において、前記反応温度は、25℃~60℃であってもよく、例えば、45℃~60℃であってもよく、また例えば、50℃~60℃であってもよい。
【0093】
本発明の別の実施形態において、化合物M3の合成方法において、前記反応温度は、25℃~60℃であってもよく、例えば、40℃~60℃であってもよく、また例えば、40℃~50℃であってもよい。
【0094】
化合物M3の合成方法において、化合物M2は、
【0095】
【化18】
【0096】
であってもよい。
【0097】
化合物M3の合成方法において、前記反応の進行は、当技術分野における通常の検出方法(例えば、TLC、MS、HPLC又はNMRなど)によってモニタリングしてもよい。本発明において、前記反応の進行はTLCによってモニタリングされ、前記化合物M2の消失を反応の終点とする。前記反応時間は、例えば、1時間~10時間(例えば、2時間~6時間であり、また例えば、2時間~3時間である)であってもよい。
【0098】
前記化合物M3の合成方法において、好ましくは、化合物M2及び酸の混合物を還元剤と混合して、前記反応を実行させる工程を含み;更に好ましくは、化合物M2及び酸の混合物に前記還元剤を加え、25℃~60℃に加熱し、前記反応を実行させる工程を含む。
【0099】
前記化合物M3の合成方法において、好ましくは、化合物M2及び水素供与体の混合物を金属単体と混合して、前記反応を実行させる工程を含み;更に好ましくは、化合物M2及び水素供与体の混合物に前記金属単体を加え、25℃~60℃に加熱し、前記反応を実行させる工程を含む。
【0100】
化合物M3の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、当技術分野における通常の後処理方法によって後処理を実行してもよい。本発明において、前記後処理は、反応完了後の反応溶液を固液分離し、濾液を濃縮して有機溶媒を加え固体を析出し、得られた固体を有機溶媒でスラリー化させ、固液を分離し、標的化合物を得る;又は、反応完了後の反応溶液及び水又は塩化ナトリウム水溶液を混合して固体を析出し、任意選択で得られた固体を有機溶媒でスラリー化させ、固液を分離し、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0101】
本発明の実施形態において、化合物M3の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、前記後処理は、反応完了後の反応溶液を固液分離し(例えば、濾過)、ケーキを有機溶媒(好ましくは、塩素化炭化水素溶媒及びアルコール系溶媒の混合溶媒であり、例えば、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒)で洗浄し(好ましくは、2回洗浄し)、濾液を洗浄に使用される有機溶媒の使用量の1/5~1/15に濃縮し(例えば、1/7.5~1/10)、濃縮溶液を得、次にアルコール系溶媒及び水の混合溶媒を加え(例えば、イソプロパノール及び水の混合溶媒、アルコール系溶媒と水の体積比は、例えば、1:1~1:5であってもよく、例えば、1:2であってもよく、前記混合溶媒及び前記濃縮溶液の体積比は、例えば、3:1~7.5:1であってもよく)、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキをアルコール系溶媒及び水の混合溶媒でスラリー化させ(例えば、メタノール及び水の混合溶媒、アルコール系溶媒と水の体積比は、例えば、1:3であってもよく)、固液を分離して(例えば、吸引濾過)、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0102】
本発明の一実施形態において、化合物M3の合成方法において、反応完了を検出した後、前記後処理は、反応完了後の反応溶液を塩化ナトリウム水溶液と混合し、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキに有機溶媒を加えてスラリー化させ、前記有機溶媒は、好ましくは、アセトンであり、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキを乾燥させて(例えば、真空乾燥させ)、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0103】
本発明の別の実施形態において、化合物M3の合成方法において、反応完了をモニタリングした後、前記後処理は、反応完了後に反応溶液を塩化ナトリウム水溶液と混合し、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキを乾燥させ(例えば、真空乾燥)、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0104】
本発明において、化合物M1、M2、M3の合成方法において、前記反応が終了した後、前記化合物M1、M2、M3は、後処理工程をせず、直接次の反応を実行してもよい。
【0105】
本発明はまた、ロキサデュスタットの合成方法を提供し、前記方法は、化合物M3及びNHCHCOORを以下に示される反応を実行させる工程を含み;ここで、前記化合物M3は、前記合成方法に従って製造される;
【0106】
【化19】
【0107】
ここで、Rは、H又はNaであり;Rの定義は、上記で記載した通りである;
【0108】
前記ロキサデュスタットの合成方法において、RがHである場合、前記化合物M3及びNHCHCOORは、塩基の存在下で反応し;RがNaである場合、前記化合物M3及びNHCHCOORは、任意選択で塩基の存在下で反応する。
【0109】
前記ロキサデュスタットの合成方法において、前記塩基は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の塩基であってもよい。本発明において、前記塩基は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及びピリジンの1つ又は複数から選択され;前記塩基は、好ましくは、1,8-ジアザビシクロウンデク-7-エンである。
【0110】
前記ロキサデュスタットの合成方法において、前記反応溶媒は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の溶媒であってもよい。本発明において、前記溶媒は、メタノール、エタノール、n-ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、トルエン及びベンゼンの1つ又は複数から選択され;前記溶媒は、好ましくは、メタノール、アセトニトリル又はエタノールである。
【0111】
前記ロキサデュスタットの合成方法において、反応温度は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の反応温度であってもよい。本発明において、前記反応温度は、50℃~130℃であってもよく、例えば、60℃~120℃であってもよく、更に例えば、60℃~90℃であってもよい。
【0112】
ロキサデュスタットの合成方法において、化合物M3は、
【0113】
【化20】
【0114】
であってもよい。
【0115】
ロキサデュスタットの合成方法において、前記反応の条件は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の条件であってもよい。
【0116】
本発明において、前記ロキサデュスタットの合成方法の経路は、以下に示される通りである;
【0117】
経路1:
【0118】
【化21】
【0119】
経路2:
【0120】
【化22】
【0121】
ここで、R、R及びRの定義は、上記で記載した通りであり、各工程の反応条件は、上記で記載した通りである。
【0122】
本発明はまた、化合物M1、化合物M2又はその塩を提供し:
【0123】
【化23】
【0124】
ここで、R、R及びRの定義は、上記で記載した通りである。
【0125】
化合物M2の塩は、一般的に、化合物M2及び酸で形成される塩である。前記酸は、例えば、無機酸又は有機酸であってもよく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸又はトリフルオロ酢酸であってもよい。前記酸は、好ましくは、塩酸である。
【0126】
本発明の化合物M1及びM2は、ロキサデュスタットを合成するための中間体として使用してもよい。
【0127】
本発明において、前記化合物M1は、
【0128】
【化24】
【0129】
であってもよい。
【0130】
本発明において、前記化合物M2は、
【0131】
【化25】
【0132】
であってもよい。
【0133】
本発明はまた、ロキサデュスタットの製造における前記化合物M1、前記化合物M2又はその塩の使用を提供する。
【0134】
一方、近年市販されている新薬として、上記ロキサデュスタットの新規製造方法のプロセス開発過程では、中間体不純物の研究がまだ不足しているため、本発明は、イソキノリン環含有化合物、その製造方法及び使用を提供する。当該イソキノリン環含有化合物はその後の反応に関与し、その誘導された不純物の除去が困難であり、ロキサデュスタット原薬の品質に大きな影響を与える。当該イソキノリン環含有化合物は、ロキサデュスタット合成中間体及びロキサデュスタット原料の品質を制御するための対象品として使用され、ロキサデュスタット原料及び製剤の品質を制御するために非常に必要である。
【0135】
具体的には、本発明者らは、上記新たな製造方法を使用して得られたロキサデュスタット原薬中には、0.4%~0.5%の不純物が常に存在し、ICH(ヒト用医薬品規制調和国際会議)の薬理試験ガイドラインの要件である最大0.10%まで不純物を特定するという条件を大幅に超えていることを見出した。前記不純物の構造を同定した後、4-ヒドロキシ-1-メチル-7-フェノキシイソキノリン-3-カルボン酸(化合物II)であると判明し、その構造はカルボキシル基を有し、極性や溶解性がロキサコスタットに比較的に類似しているため、分離・除去が困難である。化合物IIの起源を追跡したところ、2つの製造経路があることが確認され:(1)中間体M1-Aの加水分解から中間体M2-Aを調製する過程で、>1%の含有量の化合物Iが安定して製造され、中間体M2-Aに挟まれ、その後の亜鉛粉末の還元反応に関与して化合物IIに変換される;(2)M2-A自体も、亜鉛粉末の還元反応中の必然的な加水分解により、一定量の化合物IIを生成する。化合物IIのカルボキシルの活性が不十分であり、グリシン酸ナトリウム又はグリシンと反応せずに変換を完了することはできず、最終的にロキサデュスタット原薬に残存する。化合物IIの上記2つの生成ルートを考慮すると、中間体M2-A及びM3-A(特に、産業化生産のためのプロセススケールアップ探査及び条件最適化)を製造する工程において、それぞれ化合物I及び化合物IIに制御を与えることにより、ロキサデュスタット原薬の純度が、品質基準の要件を満たすことができる。
【0136】
【化26】
【0137】
本発明者らは、上記不純物の正確なトレーサビリティに基づいて、中間体M2-Aにおける不純物化合物I及び中間体M3-Aにおける不純物化合物IIを継続的に効果的に制御することにより、ロキサデュスタット原薬の不純物化合物IIの含有量を大幅に低減し、原薬の純度を向上させた。
【0138】
本発明は、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物又はその塩をを提供する。
【0139】
【化27】
【0140】
本発明はまた、分取液体クロマトグラフィーを用いた分離・精製の製造方法である、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法を提供する。
【0141】
本発明はまた、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法を提供し、前記方法は、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物
【0142】
【化28】
【0143】
を含む物質を高速液体クロマトグラフィー勾配溶出し、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物を得る工程を含み;
【0144】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質は、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物のM2-A
【0145】
【化29】
【0146】
であり;
【0147】
前記高速液体クロマトグラフィーの固定相は、オクタデシルシラン結合シリカゲルである;
【0148】
前記高速液体クロマトグラフィーの移動相は移動相A及び移動相Bであり;前記移動相Aは、10mmol/L NHHCO水溶液であり;前記移動相Bは、アセトニトリル:イソプロパノール(1:1)の混合溶媒である。
【0149】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物
【0150】
【化30】
【0151】
を含む物質を、カラムを適用する前に水及びアセトニトリルで溶解してもよい。
【0152】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物
【0153】
【化31】
【0154】
を含む物質を、水及びアセトニトリルで溶解する場合、前記水及びアセトニトリルの比は、4:1であってもよい。
【0155】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物
【0156】
【化32】
【0157】
を含む物質を、水及びアセトニトリルで溶解する場合、形成された溶液において、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物
【0158】
【化33】
【0159】
を含む物質の濃度は、20mg/mlであってもよい。
【0160】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記高速液体クロマトグラフィー勾配溶出のパラメーターは、以下に示された通りであってもよい:
【0161】
【表1】
【0162】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記高速液体クロマトグラフィーの勾配溶出の回数は1回又は複数回であってもよい。
【0163】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記高速液体クロマトグラフィーの勾配溶出の回数が複数である場合、前記複数は、2回又は3回であってもよい。
【0164】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記高速液体クロマトグラフィーは、分取高速液体クロマトグラフィーであってもよい。
【0165】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記高速液体クロマトグラフィーのカラムは、YMC-Triart C18 10μm 250×30mmであってもよい。
【0166】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記高速液体クロマトグラフィーの検出波長は、当技術分野における通常の検出波長であってもよく、例えば、220nm及び/又は254nmであってもよい。
【0167】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記高速液体クロマトグラフィーの注入量は、当技術分野における通常の注入量であってもよく、例えば、125mgであってもよい。
【0168】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記高速液体クロマトグラフィーのカラム温度は、当技術分野における通常のカラム温度であってもよく、例えば、室温であってもよい。
【0169】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記高速液体クロマトグラフィーの流速は、30ml/分であってもよい。
【0170】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の保持時間は6.1分であってもよい。
【0171】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記M2-A
【0172】
【化34】
【0173】
中の式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の含有量は、1.0%以上であってもよい。
【0174】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法は、更に、酸の作用下で、化合物M1-A
【0175】
【化35】
【0176】
を以下に示される反応を実行させ、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-A
【0177】
【化36】
【0178】
を得る工程を含むことができる;
【0179】
【化37】
【0180】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-Aの製造方法において、前記酸は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の酸であってもよく、例えば、無機酸、有機酸又はその混合物であってもよい。前記無機酸は、例えば、塩酸(例えば、質量分率36%の濃塩酸、又は、塩化水素のエタノール溶液であってもよい)、硫酸、リン酸又はその混合物(ここで、硫酸及びリン酸の質量分率は、例えば、30%~85%であってもよい)であってもよい。前記有機酸は、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸又はその混合物であってもよい。前記酸の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよい。好ましくは、前記酸は、質量分率36%の濃塩酸であり、又は塩化水素のエタノール溶液である。より好ましくは、前記酸は、質量分率36%の濃塩酸であり、又は質量分率33%の塩化水素のエタノール溶液である。
【0181】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-Aの製造方法において、溶媒は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の溶媒であり、例えば、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒又はその混合物であってもよい。前記エーテル系溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその混合物であってもよい。前記アルコール系溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はその混合物であってもよい。前記アミド系溶媒は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はその混合物であってもよい。前記スルホキシド系溶媒は、例えば、DMSOであってもよい。前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-Aの製造方法において、前記反応の溶媒は、単一の溶媒であってもよく、又は、2つ又は2つ以上の溶媒の混合物であってもよい。本発明の一実施形態では、溶媒は、好ましくは、アルコール系溶媒、又はエーテル系溶媒及びアルコール系溶媒の混合溶媒であり、例えば、エタノール、又はテトラヒドロフラン及びメタノールの混合溶媒である。前記混合溶媒において、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒の体積比は、0.5:1~4:1であってもよく、例えば、1:1~2:1であってもよい。溶媒の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよい。好ましくは、前記溶媒はエタノールであり、又はテトラヒドロフラン及びメタノールの混合溶媒である。より好ましくは、前記溶媒はエタノールであり、又はテトラヒドロフラン及びメタノールの体積比が1:1~2:1である混合溶媒である。
【0182】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-Aの製造方法において、前記反応温度は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の温度であってもよい。本発明において、前記反応温度は、25℃~50℃であってもよく、また例えば、30℃~50℃であってもよく、更に例えば、30℃~45℃であってもよい。
【0183】
本発明の一実施形態において、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-Aの製造方法において、前記反応温度は、30℃~40℃である。
【0184】
本発明の別の実施形態において、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-Aの製造方法において、前記反応温度は、40℃~45℃である。
【0185】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-Aの製造方法において、前記反応の進行は、当技術分野における通常の検出方法(例えば、TLC、MS、HPLC又はNMRなど)によってモニタリングしてもよい。本発明において、前記反応の進行はTLCによってモニタリングされ、前記化合物M1-Aの消失を反応の終点とする。
【0186】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-Aの製造方法において、反応完了をモニタリングした後、当技術分野における従来の後処理方法によって後処理を実行することができる。本発明において、前記後処理は、溶媒を除去し又は大量の固体を析出するまでに、反応完了後の反応溶液を濃縮して(例えば、真空濃縮)、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキをアルコール系溶媒(例えば、メタノール)で洗浄し、乾燥させ(例えば、吸引又は真空乾燥)、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の物質M2-Aを得る工程を含むことができる。
【0187】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法は、更に化合物M1-Aの製造方法を含み:酸化剤の作用下で、化合物SM2及びDMAを以下に示される反応を実行し、前記化合物M1-Aを得る;
【0188】
【化38】
【0189】
前記化合物M1-Aの製造方法において、前記酸化剤は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の酸化剤であってもよい。本発明において、前記酸化剤は、例えば、過硫酸塩酸化剤であってもよく、例えば、アルカリ金属過硫酸塩であってもよい。前記アルカリ金属過硫酸塩は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウム錯塩(Oxone)又はその混合物であってもよい。好ましくは、前記酸化剤は過硫酸ナトリウムである。
【0190】
前記化合物M1-Aの製造方法において、前記酸化剤の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための酸化剤の通常の使用量であってもよい。本発明において、前記化合物SM2及び酸化剤のモル比は1:1~1:5であり、例えば、1:1.5~1:3であり、更に例えば、1:2である。
【0191】
前記化合物M1-Aの製造方法において、前記化合物SM2及び前記化合物DMAの使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよい。本発明において、前記化合物DMA及び前記化合物SM2のモル比は1:1を超えてもよく、例えば、5:1を超えてもよく、10:1を超えてもよく、20:1を超えてもよく、40:1を超えてもよく、又は50:1を超えてもよい。原則として、コストを制御するために、当業者は、化合物DMA使用量を適切な範囲内に制御すべきであることが分かる。好ましくは、前記化合物DMA及び化合物SM2のモル比は20:1を超える。
【0192】
前記化合物M1-Aの製造方法において、溶媒は、当技術分野におけるこのような反応の通常の溶媒であってもよく、例えば、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒又はその混合物であってもよい。前記溶媒は一般的に化合物SM2に対して良好な溶解性を有し、容易に酸化されなく又は反応に関与しない。また、化合物DMAは反応溶媒及び原料として同時に機能してもよい。好ましくは、化合物DMAは反応原料及び溶媒として同時に使用してもよい。
【0193】
前記化合物M1-Aの製造方法において、前記反応温度は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の温度であってもよい。
【0194】
本発明において、前記反応温度は、30℃~100℃であってもよく、例えば、50℃~80℃であってもよく、更に例えば、60℃~70℃であってもよい。本発明の一実施形態において、前記化合物M1-Aの製造方法において、前記反応温度は、30℃~100℃であってもよく、又例えば、60℃~70℃であってもよく、更に例えば、65℃~70℃であってもよい。好ましくは、前記反応温度は60℃~70℃である。
【0195】
前記化合物M1-Aの製造方法において、前記酸化剤は、単独で使用してもよく、又は前記酸化剤を水との混合溶液の形態で使用してもよく、更に又は前記酸化剤を有機溶媒との混合溶液の形態で使用してもよい。
【0196】
前記水は、当技術分野における通常の水であり、例えば、精製水、蒸留水又はその混合物である。前記有機溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒又はその混合物であってもよい。前記有機溶媒は一般的に酸化剤に対して良好な溶解性を持つ。前記有機溶媒は、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその混合物であってもよい。前記混合溶液(水混合溶液又は有機溶媒混合溶液)では、前記酸化剤と前記水又は前記有機溶媒のモル比は、1:1~1:50であってもよく、例えば、1:2~1:35であってもよく、更に例えば、1:2~1:30であってもよく、又例えば、1:20~1:35であってもよく、又例は、1:20~1:30であってもよい。好ましくは、前記酸化剤は、過硫酸ナトリウム及び水とのモル比が1:20~1:30の混合溶液の形態で使用される。
【0197】
前記化合物M1-Aの製造方法において、前記反応の進行は、当技術分野における通常の検出方法(例えば、TLC、MS、HPLC又はNMRなど)によって検出してもよい。本発明において、前記反応の進行はTLCによってモニタリングされ、前記化合物SM2の消失反を応の終点とする。
【0198】
前記化合物M1-Aの製造方法において、反応完了をモニタリグした後、当技術分野における通常の後処理方法によって後処理を実行することができる。本発明において、前記後処理は、反応完了後に反応溶液を水と混合し(例えば、室温で混合し、水の使用量は反応溶液中で大量の固体を生成することに適する)、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、ケーキを乾燥させ(例えば、真空乾燥)、標的化合物M1-Aを得る工程を含むことができる;
【0199】
本発明はまた、化学的に立体特異的合成の製造方法である、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法を提供する。
【0200】
本発明はまた、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法を提供し、前記方法は、酸の作用下で、化合物M1を以下に示される反応を実行させ、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物を得;前記反応温度は、60~70℃である工程を含む;
【0201】
【化39】
【0202】
ここで、R及びRの定義は上記に記載した通りであり、Rはメチルである。
【0203】
好ましくは、Rは、H又はC~Cアルキルであり;より好ましくは、Rは、C~Cアルキルであり;更に好ましくは、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり;最も好ましくは、Rは、メチル又はエチルであり;
【0204】
好ましくは、Rは、H又はC~Cアルキルであり;より好ましくは、Rは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり;最も好ましくは、Rは、メチル又は水素である。
【0205】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記化合物M1は、以下のいずれか一つの化合物であってもよい:
【0206】
【化40】
【0207】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記酸は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の酸であってもよく、例えば、無機酸、有機酸又はその混合物であってもよい。前記無機酸は、例えば、塩酸(例えば、質量分率36%の濃塩酸であってもよく、又は、塩化水素のエタノール溶液であってもよい)、硫酸、リン酸又はその混合物(ここで、硫酸及びリン酸の質量分率は、例えば、30%~85%であってもよい)であってもよい。前記有機酸は、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸又はその混合物であってもよい。前記酸の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよい。好ましくは、前記酸は、質量分率36%の濃塩酸であり、又は塩化水素のエタノール溶液である。より好ましくは、前記酸は、質量分率36%の濃塩酸であり、又は質量分率33%の塩化水素のエタノール溶液である。
【0208】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、溶媒は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の溶媒であり、例えば、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒又はその混合物であってもよい。前記エーテル系溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその混合物であってもよい。前記アルコール系溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はその混合物であってもよい。前記アミド系溶媒は、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド又はその混合物であってもよい。前記スルホキシド系溶媒は、例えば、DMSOであってもよい。前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記反応の溶媒は、単一の溶媒であってもよく、又は、2つ又は2つ以上の溶媒の混合物であってもよい。本発明の一実施形態では、溶媒は、好ましくは、アルコール系溶媒、又はエーテル系溶媒及びアルコール系溶媒の混合溶媒であり、例えば、エタノール、又はテトラヒドロフラン及びメタノールの混合溶媒である。前記混合溶媒において、エーテル系溶媒及びアルコール系溶媒との体積比は、0.5:1~4:1であってもよく、例えば、1:1~2:1であってもよい。溶媒の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよい。好ましくは、前記溶媒はエタノールであり、又はテトラヒドロフラン及びメタノールの混合溶媒である。より好ましくは、前記溶媒はエタノール、又はテトラヒドロフラン及びメタノールの体積比が1:1~2:1である混合溶媒である。更に好ましくは、前記溶媒はエタノールであり、又はテトラヒドロフラン及びメタノールの体積比が2:1である混合溶媒である。
【0209】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記反応温度は、60℃~70℃である。
【0210】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、前記反応の進行は、当技術分野における通常の検出方法(例えば、TLC、MS、HPLC又はNMRなど)によってモニタリングしてもよい。本発明において、前記反応の進行はTLCによってモニタリングされ、前記化合物M1の消失を反応の終点とする。
【0211】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法において、反応完了をモニタリングした後、当技術分野における通常の後処理方法によって後処理を実行することができる。本発明において、前記後処理は、反応完了後の反応溶液を冷却し(例えば、15℃~25℃に冷却)及び/又は貧溶媒を加え(例えば、酢酸イソプロピル又はメチルtert-ブチルエーテル)、固液を分離し(例えば、吸引濾過)、乾燥させ(例えば、吸引又は真空乾燥)、標的化合物Iを得る工程を含むことができる。
【0212】
前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物の製造方法は、更に化合物M1の製造方法を含み:酸化剤の作用下で、化合物SM及び化合物SM-Aを以下に示される反応を実行させ、前記化合物M1を得る;
【0213】
【化41】
【0214】
ここで、R及びRの定義は上記に記載した通りであり、Rはメチルである。
【0215】
好ましくは、Rは、H又はC~Cアルキルであり;より好ましくは、Rは、C~Cアルキルであり;更に好ましくは、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり;最も好ましくは、Rは、メチル又はエチルであり;
【0216】
好ましくは、Rは、H又はC~Cアルキルであり;より好ましくは、Rは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり;最も好ましくは、Rは、メチル又は水素である。
【0217】
前記化合物M1の製造方法において、Rは、メチル又はエチルであり、Rは、メチルであり、Rは、水素又はメチルである。
【0218】
前記化合物M1の製造方法において、前記酸化剤は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の酸化剤であってもよい。本発明において、前記酸化剤は、例えば、過硫酸塩酸化剤であってもよく、例えば、アルカリ金属過硫酸塩であってもよい。前記アルカリ金属過硫酸塩は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸水素カリウム錯塩(Oxone)又はその混合物であってもよい。好ましくは、前記酸化剤は、過硫酸ナトリウムである。
【0219】
前記化合物M1の製造方法において、前記酸化剤の使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための酸化剤の通常の使用量であってもよい。本発明において、前記化合物SM2及び酸化剤のモル比は1:1~1:5であり、例えば、1:1.5~1:3であり、更に例えば、1:2である。
【0220】
前記化合物M1の製造方法において、前記化合物SM及び前記化合物SM-Aの使用量は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の使用量であってもよい。本発明において、化合物SM-A及び化合物SMのモル比は1:1を超えてもよく、例えば、5:1を超えてもよく、10:1を超えてもよく、20:1を超えてもよく、40:1を超えてもよく、又は50:1を超えてもよい。原則として、コストを制御するために、当業者は、化合物SM-Aの使用量を適切な範囲内に制御すべきであることが分かる。好ましくは、前記化合物SM-A及び化合物SMのモル比は20:1以上である。
【0221】
前記化合物M1の製造方法において、溶媒は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の溶媒であり、例えば、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒又はその混合物であってもよい。前記溶媒は一般的に化合物SMに対して良好な溶解性を有し、容易に酸化されなく又は反応に関与しない。また、化合物SM-Aは反応溶媒及び原料として同時に機能してもよい。好ましくは、化合物SM-Aは反応原料及び溶媒として同時に使用してもよい。
【0222】
前記化合物M1の製造方法において、前記反応温度は、当技術分野におけるこのような反応のための通常の温度であってもよい。本発明において、前記反応温度は、30℃~100℃であってもよく、例えば、50℃~80℃であってもよく、更に例えば、60℃~70℃であってもよい。
【0223】
本発明の実施形態において、前記化合物M1の製造方法において、前記反応温度は、30℃~100℃であってもよく、又例えば、60℃~70℃であってもよく、更に例えば、65℃~70℃であってもよい。好ましくは、前記反応温度は60℃~70℃である。
【0224】
前記化合物M1の製造方法において、前記酸化剤は、単独で使用してもよく、又は前記酸化剤を水との混合溶液の形態で使用してもよく、更に又は前記酸化剤を有機溶媒との混合溶液の形態で使用してもよい。前記水は、当技術分野における通常の水であり、例えば、精製水、蒸留水又はその混合物である。前記有機溶媒は、例えば、塩素化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒又はその混合物であってもよい。前記有機溶媒は一般的に酸化剤に対して良好な溶解性を持つ。前記有機溶媒は、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はその混合物であってもよい。前記混合溶液(水混合溶液又は有機溶媒混合溶液)では、前記酸化剤及び前記水又は前記有機溶媒のモル比は、1:1~1:50であってもよく、例えば、1:2~1:35であってもよく、更に例えば、1:2~1:30であってもよく、又例えば、1:20~1:35であってもよく、又例は、1:20~1:30であってもよい。好ましくは、前記酸化剤は、過硫酸ナトリウム及び水とのモル比が1:20~1:30の混合溶液の形態で使用される。
【0225】
前記化合物M1の製造方法において、前記反応の進行は、当技術分野における通常の検出方法(例えば、TLC、MS、HPLC又はNMRなど)によってモニタリングしてもよい。本発明において、前記反応の進行はTLCによってモニタリングされ、前記化合物SM2の消失を反応の終点とする。前記反応時間は、例えば、20分~10時間(例えば、1時間、4時間、5時間、6時間又は8時間)であってもよい。
【0226】
化合物M1の製造方法において、反応完了をモニタリングした後、当技術分野における通常の後処理方法によって後処理を実行することができる。本発明において、前記後処理は、反応完了後の反応溶液を有機溶媒で抽出し、有機相を濃縮し、任意選択で濃縮後に得られた残留物を有機溶媒でスラリー化させ、固液を分離し、任意選択で固体を有機溶媒で洗浄し、乾燥させ、標的化合物を得;又は、反応完了後の反応溶液と水を混合し、固液を分離し、任意選択で固体を有機溶媒で洗浄し、乾燥させ、標的化合物を得る工程を含むことができる。
【0227】
本発明は、さらに、ロキサデュスタットの中間体M2-A
【0228】
【化42】
【0229】
の合成の品質制御における、式Iで表されるイソキノリン環含有化合物又はその塩の使用を提供する。
【0230】
【化43】
【0231】
前記使用において、前記式Iで表されるイソキノリン環含有化合物又はその塩を対象品として使用してもよい。
【0232】
本発明において、用語「C~Cアルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルを指す。
【0233】
本発明において、用語「C~Cアルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ又はtert-ブトキシを指す。
【0234】
本発明において、用語1、2又は3つのハロゲンにより置換されたC~Cアルキル又はベンゾイルは、C~Cアルキル又はフェニルの1つ又は複数の水素がハロゲンにより置換されることを指す。例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル又はパーフルオロエチルである。
【0235】
本発明において、用語「任意選択で1、2又は3つのRにより置換される」は、ある基が非置換又は1、2又は3つのRにより置換されることを指し、ここで、Rは、本発明で定義された通りである。
【0236】
本発明において、用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br又はIを指す。
【0237】
本発明において、用語「塩酸」は、質量分率が約36%の濃塩酸を指し、又は有機溶媒中の塩化水素の飽和溶液を指し、例えば、塩化水素のエタノール溶液を指す。
【0238】
本発明において、用語「DMA」は、N,N-ジメチルアセトアミドを指す。
【0239】
本発明において、用語「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを指す。
【0240】
本発明において、化合物SMは、先行技術で既知の方法により製造され、例えば、CN201210152768.1、CN201310302822.0に開示された方法に従って製造される。化合物5は、CN201310302822.0に従って製造することができる。化合物SM2は、CN201210152768.1に従って製造することができる。
【0241】
当分野の通常の知識を違反しない限り、前記好ましい条件は、任意に組み合わせて、本発明の各々の好ましい実施例を得ることができる。
【0242】
本発明において、室温は一般的に環境温度を指し、例えば、0℃~40℃であり、好ましくは、10℃~30℃であり、より好ましくは、25℃である。
【0243】
本発明で使用される試薬及び原料は市販品として入手できる。
【0244】
本発明の正の進歩的な効果は:
本発明の合成方法は、安価で容易に入手可能な原材料を使用し、反応工程が短く(開始原料SMから中間体M3を製造するのに三つの工程のみが必要)、反応条件が穏やかであり、収率が高く、産業化生産に適している。本発明の合成方法は、除去が難しい高沸点試薬や貴金属試薬(例えば、パラジウム触媒)を使用せず、後処理が簡単で、三つの廃棄物が少ない。一方、本発明のイソキノリン環含有化合物は後続反応に関与し、その誘導された不純物の除去が困難であり、ロキサデュスタット原薬の品質に大きな影響を与え、当該イソキノリン環含有化合物は、ロキサデュスタット合成中間体及びロキサデュスタット原料の品質を制御するための対象品として使用され、ロキサデュスタット原料及び製剤の品質を制御するために非常に必要である。
【実施例
【0245】
以下、実施例の形態によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を前記実施例の範囲内に限定するわけではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の方法及び条件、或いは商品の説明書に従って選ばれる。
【0246】
本発明のロキサデュスタットの製造方法、その中間体の合成方法の具体的な実施形態は、以下の実施例に記載される通りである:
【0247】
下記実施例において、反応又は操作などで温度を指定しない場合、一般的に、室温で行われることを意味する。
【0248】
下記実施例において、別途に説明しない限り、純度はHPLC純度又はGC純度を指す。
【0249】
HPLCの純度及び不純物の検出条件(別途に説明しない限り、実施例1~8):カラム:Waters Xbridge C18 3.5μm 4.6×100mm;移動相:移動相Aは、0.08%のギ酸水溶液であり、移動相Bは、アセトニトリル-水-ギ酸=900:100:0.8であり;移動相勾配:70% A/30% B~20% A/80% B、合計35分、次に20% A/80% B~100% B、合計4分、100% Bで、10分保持し、70% A/30% Bに1分戻し、当該勾配を10分保持し、合計60分であり;流量:1.0mL/分;波長:295nm;カラム温度:40℃である。
【0250】
LC-MS検出条件(別途に説明しない限り、実施例1~8):モデル:Agilent液体クロマトグラフィー-質量分析計1260/6120;イオン源:ESI;試料の構成:アセトニトリル。
【0251】
実施例1:ロキサデュスタットの合成
合成経路は以下の通りである:
【0252】
【化44】
【0253】
1.1 中間体M1-1の合成
2.95g(0.01mol)の化合物5を29.5g(約0.4mol)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)で、60℃で~70℃に加熱して完全に溶解させ、4.76g(0.02mol)の過硫酸ナトリウムを9.6g(約0.53mol)の水で溶解させた後、上記溶液に加え、6時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を室温に冷却し、酢酸エチル(80mL)を加え、水(40mL×4)で洗浄し、有機相を8~10mLの体積に濃縮し、吸引濾過し、少量の酢酸エチルで洗浄し、ケーキを真空乾燥して、2.7gの白色固体を得、収率は73.5%であり、純度は97.22%であった。
【0254】
MS(ESI)m/z:367.1 [M+1]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.62 (s, 1H), 8.38 (t, J =8.1 Hz,1H), 8.11 (d, J=58.9 Hz, 1H), 7.72 (d, J=22.0 Hz, 1H), 7.44-7.58 (m, 3H), 7.26 (dd, J =16.0,7.8 Hz, 1H),7.12-7.18 (m,2H), 4.86 (d, J =34.9 Hz, 2H), 3.96 (d, J =5.0 Hz, 3H),2.73 (d, J =48.0 Hz, 3H).
【0255】
1.2 中間体28の合成
29.5g(0.1mol)の化合物5を295g(約3.4mol)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMA)で、60℃で~70℃に加熱して完全に溶解させ、47.6g(0.2mol)の過硫酸ナトリウムを95.2g(約5.3mol)の水で溶解させた後、上記溶液に加え、20分間撹拌し、TLCで反応完了をモニタリングし、室温に冷却し、500gの水を加え撹拌して吸引濾過し、ケーキを真空乾燥して、34.1gの白色固体を得、収率は89.6%であり、純度は96.6%であった。
【0256】
MS(ESI)m/z:381.2 [M+1]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.58 (s, 1H), 8.36 (t, J = 8.9Hz, 1H), 7.68 (d, J = 33.4 Hz, 1H), 7.42-7.58 (m, 3H), 7.11-7.30 (m, 3H), 4.90 (d, J = 36.0 Hz, 2H), 3.97 (d, J = 10.3 Hz, 3H), 2.86 (d, J = 25.7 Hz, 3H), 1.97 (d, J = 17.8 Hz, 3H).
【0257】
1.3 中間体M2-1の合成
3.0g(約0.008mol)の中間体M1-1をテトラヒドロフラン(10mL)及びメタノール(5mL)の混合溶液で30℃~40℃に加熱して溶解させ、撹拌しながら濃塩酸(5mL、質量分率が36%の塩酸)を加え、16時間撹拌を続けて、TLCで反応完了をモニタリングした。反応溶液を濃縮溶液の体積が約3~5mLになるまで真空濃縮し、固体を析出し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄し、ケーキを真空乾燥して、2.7gの白色固体を得、収率は88.7%(塩酸塩で計算)であり、純度は98.64%であった。
【0258】
MS(ESI)m/z:339.1 [M+1]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.62 (s, 1H), 9.21 (s, 2H), 8.41 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.59 (d, J = 9.1 Hz ,1H), 7.47 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.26 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 4.66 (s, 2H), 3.99 (s, 3H), 2.71 (s, 3H).
【0259】
1.4 中間体M2-1の合成
30.0g(約0.079mol)の中間体28をテトラヒドロフラン(100mL)及びメタノール(50mL)の混合溶媒で30℃~40℃に加熱して溶解させた。撹拌しながら濃塩酸(50mL、質量分率が36%の塩酸)を加え、16時間撹拌を続けた。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を真空濃縮して大量の固体を析出し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄し、ケーキを真空乾燥して、27.1gの白色固体を得、収率は91.8%(塩酸塩で計算)であり、純度は98.20%であった。
【0260】
MS(ESI)m/z:339.1 [M+1]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.62 (s, 1H), 9.21 (s, 2H), 8.41 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.59 (d, J = 9.1 Hz ,1H), 7.47 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 7.26 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 4.66 (s, 2H), 3.99 (s, 3H), 2.71 (s, 3H).
【0261】
1.5 中間体9の合成
25.0g(約0.074mol)の中間体M2-1を酢酸(250g)で溶解させ、26.1gの亜鉛粉末を加え、50℃~60℃に加熱し、6時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を濾過し、ケーキをジクロロメタン(50mL)及びメタノール(25mL)の混合溶媒で2回洗浄した。濾液を合わせた後、濃縮溶液の体積が約10~15mLになるまで濃縮し、イソプロパノール(25mL)及び水(50mL)を加え、撹拌した後吸引濾過し、ケーキをメタノール/水(1:3/v:v、75mL)でスラリー化させ、吸引濾過し、ケーキを真空乾燥して、15.6gの褐色の固体を得、収率は75.3%であり、純度は96.57%であった。
【0262】
MS(ESI)m/z:310.1 [M+1]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.45 (s, 1H), 8.25 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.55-7.39 (m, 4H), 7.24 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 3.93 (s, 3H), 2.58 (s, 3H).
【0263】
1.6 ロキサデュスタットの合成
15.0g(約0.05mol)の中間体9をメタノール(150g)に加え、14.1gのグリシン酸ナトリウムを加え、耐圧容器で密閉して105℃~115℃に加熱し、8時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄した後吸引し、ロキサデュスタットナトリウム塩の粗生成物を得、ロキサデュスタットナトリウム塩の粗生成物を90mLの水で溶解させ、40mLの酢酸エチルで水相を洗浄し、撹拌しながら水相に酢酸をゆっくりと加え、pH<7に調整し、大量の固体を析出し、吸引濾過し、水でケーキを洗浄し、材料を真空乾燥しベーキングして、14.1gのロキサデュスタット生成物を得、収率は82.6%であり、純度は99.47%であった。
【0264】
MS(ESI)m/z:353.2 [M+H]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 13.28 (s, 1H), 9.08 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 8.25 (t, J = 12.0 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.55-7.41 (m, 3H), 7.24 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 4.04 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 2.68 (s, 3H).
【0265】
実施例2:中間体9の合成
合成経路は以下の通りである:
【0266】
【化45】
【0267】
2.1 中間体M1-2の合成
2.95g(0.01mol)の化合物5を29.5g(約0.4mol)のN-メチルアセトアミドで、60℃で~70℃に加熱して完全に溶解させ、4.76g(0.02mol)の過硫酸ナトリウムを9.6g(約0.53mol)の水で溶解させた後、上記溶液に加え、8時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を室温に冷却し、酢酸エチル(80mL)を加え、水(30mL×4)で洗浄し、有機相を体積8~10mLになるまでに濃縮し、吸引濾過し、少量の酢酸エチルで洗浄し、吸引して、2.4gの白色固体を得、収率は65.0%であり、純度は98.76%であった。
【0268】
MS(ESI)m/z:367.2 [M+1]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.59 (s, 1H), 8.36 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.71 (s, 1H), 7.56 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.46 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.25 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 4.62 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 3.97 (s, 3H), 1.76 (s, 3H).
【0269】
2.2 中間体M2-2の合成
2.0g(約0.0055mol)の中間体M1-2をテトラヒドロフラン(10mL)及びメタノール(5mL)で、30℃~40℃に加熱して溶解させた。撹拌しながら濃塩酸(5mL、質量分率が36%の塩酸)を加え、16時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、得られた濃縮溶液を体積が2~3mLになるまで真空濃縮し、固体を析出し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄し、吸引して、1.7gの白色固体を得、収率は83.3%(塩酸塩で計算)であり、純度は97.80%であった。
【0270】
MS(ESI)m/z:325.1 [M+1]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.62 (s, 1H), 8.51-8.39 (m, 4H), 7.75 (s, 1H), 7.60 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.27 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 4.53 (s, 2H), 4.00 (s, 3H).
【0271】
2.3 中間体9の合成
1.5g(約0.0046mol)の中間体M2-2を酢酸(15mL)で溶解させ、0.81gの亜鉛粉末を加え、50℃~60℃に加熱し、3時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を濾過し、ケーキをジクロロメタン(10mL)及びメタノール(5mL)の混合溶媒で2回洗浄した。濾液を合わせた後、濃縮溶液の体積が約2~3mLになるまで濃縮し、イソプロパノール(3mL)及び水(6mL)を加え、撹拌した後吸引濾過し、ケーキをメタノール/水(1:3/v:v、9mL)でスラリー化させ、吸引濾過し、1.1gの中間体を得、収率は74.4%、純度は96.23%であった。
【0272】
MS(ESI)m/z:310.1 [M+1]H-NMR (400 MHz, DMSO-d)δ 11.47 (s, 1H), 8.30 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.54-7.42 (m, 3H), 7.25 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 3.94 (s, 3H), 2.61 (s, 3H).
【0273】
実施例3:ロキサデュスタットの合成
合成経路は以下の通りである:
【0274】
【化46】
【0275】
3.1 中間体M1-Aの合成
3.1g(約0.01mol)の化合物SM2を31.0g(約0.36mol)のN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)で、60℃~70℃に加熱して完全に溶解させ、4.8g(約0.02mol)の過硫酸ナトリウムを9.6gの水(約0.53mol)で溶解した後上記溶液に加え、1時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を室温に冷却し、50gの水を加えて撹拌した後吸引濾過し、ケーキを真空乾燥して、3.3gの灰白色の固体を得、収率は85.7%、純度は98.46%であった。
【0276】
MS(ESI)m/z:417.16 [M+Na] H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.66 (d, J = 22.8 Hz, 1H), 8.32 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 7.68 (dd, J =14.5, 2.2 Hz, 1H), 7.44-7.57 (m, 3H), 7.12-7.30 (m, 3H), 4.88 d, J = 34.0 Hz, 2H), 4.44 (q, J = 14.0, 7.0 Hz, 2H), 2.83 (d, J = 40.0 Hz, 3H), 1.97 (d, J = 8.3 Hz,3H), 1.39 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0277】
3.2 中間体M1-Cの合成
3.1g(約0.01mol)の化合物SM2を31.0g(約0.27mol)のN,N-ジメチルイソブチルアミドで、60℃~70℃に加熱して完全に溶解させ、4.8g(約0.02mol)の過硫酸ナトリウムを9.6g(約0.53mol)の水で溶解した後上記溶液に加え、5時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を室温に冷却し、酢酸エチル(80mL)を加え、水(40mL×4)で洗浄し、有機相を濃縮し、酢酸エチル及びn-ヘプタン(1:2/v:v)の混合溶媒(12mL)をスラリー化させた後吸引濾過し、ケーキを真空乾燥して、2.7gの灰白色の固体を得、収率は64.2%であり、純度は97.55%であった。
【0278】
MS(ESI)m/z:423.2 [M+H]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.66 (d, J = 18.0, 1H), 8.32 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 31.0 Hz, 1H), 7.41-7.54 (m, 3H), 7.22 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 17.8, 7.9 Hz, 2H), 4.94 (d, J = 56.0, 2H), 4.48 (q, J = 14.0, 7.0 Hz, 2H), 2.94 (s, 3H), 2.85 (m, 1H), 1.33 (t, J = 7.0 Hz 3H), 0.94-1.00 (m, 6H).
【0279】
3.3 中間体M1-Eの合成
3.1g(約0.01mol)の化合物SM2を31.0g(約0.27mol)のN,N-ジメチル-n-ブチルアミドで、60℃~70℃に加熱して完全に溶解させ、4.8g(約0.02mol)の過硫酸ナトリウムを9.6g(約0.53mol)の水で溶解した後上記溶液に加え、4時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を室温に冷却し、酢酸エチル(80mL)を加え、水(40mL×4)で洗浄し、有機相を濃縮し、酢酸エチル及びn-ヘプタン(1:2/v:v)の混合溶媒(12mL)をスラリー化させた後吸引濾過し、ケーキを真空乾燥して、2.8gの灰白色の固体を得、収率は66.7%であり、純度は98.08%であった。
【0280】
MS(ESI)m/z:445.3 [M+Na]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.62 (d, J= 20.3 Hz, 1H), 8.33 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 7.68 (d, J=14.5 Hz, 1H), 7.39-7.56 (m, 3H), 7.06-7.25 (m,3H), 4.85 (s, 2H), 4.41 (dd, J = 14.2 7.1 Hz, 2H), 2.86 (s, 3H), 2.23 (t, J = 7.2 Hz 2H), 1.46 (m, 2H), 1.34 (t, J = 7.0 Hz 3H), 0.83 (t, J = 7.3 Hz 3H).
【0281】
3.4 中間体M1-Fの合成
3.1g(約0.01mol)の化合物SM2を31.0g(約0.425mol)のN,N-ジメチルホルムアミドで、65℃~70℃に加熱して完全に溶解させ、4.8g(約0.02mol)の過硫酸ナトリウムを9.6g(約0.53mol)の水で溶解した後上記溶液に加え、4時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を室温に冷却し、50gの水を加えて撹拌した後吸引濾過し、ケーキを真空乾燥して、2.8gの灰白色の固体を得、収率は72.3%であり、純度は99.79%であった。
【0282】
MS(ESI)m/z:403.1 [M+Na]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.67 (s, 1H), 8.29-8.41 (m,1H), 8.09 (d, J =59.1 Hz, 1H), 7.69 (d, J =17.7 Hz, 1H), 7.41-7.51 (m, 3H), 7.24 (t, J =7.8 Hz, 1H),7.07-7.18 (m,2H), 4.83 (d, J=35.8 Hz, 2H), 4.41 (dd, J = 14.2 7.1 Hz, 2H), 2.71 (d, J=44.0 Hz, 3H),1.35 (t, J = 7.1 Hz 3H).
【0283】
3.5 中間体M2-Aの合成
3.0g(実施例3.1から製造し、約0.008mol)の中間体M1-Aをテトラヒドロフラン(10mL)及びメタノール(5mL)で、30℃~40℃に加熱して溶解させた。撹拌しながら濃塩酸(5mL、質量分率が36%の塩酸)を加え、5時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を真空濃縮し、大量の固体を析出し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄し、吸引し、2.8gの白色固体を得、収率は94.7%(塩酸塩で計算)、純度は98.40%であり;ここで、不純物化合物I(保持時間4.95分)の含有量は1.4%であった。
【0284】
MS(ESI)m/z:353.16 [M+H]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.72 (s, 1H), 9.32 (s, 2H), 8.42 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 9.1, 2.3 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 7.27 (t, J =7.4 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 4.67 (s, 2H), 4.50 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.74 (s, 3H), 1.41 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0285】
3.6 中間体M2-Aの合成
3.0g(約0.007mol)の中間体M1-Cをテトラヒドロフラン(10mL)及びメタノール(10mL)で、30℃~40℃に加熱して溶解させた。撹拌しながら濃塩酸(5mL、質量分率が36%の塩酸)を加え、8時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を真空濃縮し、大量の固体を析出し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄し、吸引し、2.4gの白色固体を得、収率は88.4%(塩酸塩で計算)であり、純度は98.18%であった。
【0286】
MS(ESI)m/z:353.16 [M+H]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.72 (s, 1H), 9.32 (s, 2H), 8.42 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 9.1, 2.3 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 7.27 (t, J =7.4 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 4.67 (s, 2H), 4.50 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.74 (s, 3H), 1.41 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0287】
3.7 中間体M2-Aの合成
3.0g(約0.007mol)の中間体M1-Eをテトラヒドロフラン(10mL)及びメタノール(10mL)で、30℃~40℃に加熱して溶解させた。撹拌しながら濃塩酸(5mL、質量分率が36%の塩酸)を加え、添加完了後、8時間撹拌を続けた。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を真空濃縮し、大量の固体を析出し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄し、吸引し、2.4gの白色固体を得、収率は86.2%(塩酸塩で計算)であり、純度は98.83%であった。
【0288】
MS(ESI)m/z:353.16 [M+H]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.72 (s, 1H), 9.32 (s, 2H), 8.42 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 9.1, 2.3 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 7.27 (t, J =7.4 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 4.67 (s, 2H), 4.50 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.74 (s, 3H), 1.41 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0289】
3.8 中間体M2-Aの合成
3.0g(約0.008mol)の中間体M1-Fをテトラヒドロフラン(10mL)及びメタノール(10mL)で、30℃~40℃に加熱して溶解させた。撹拌しながら濃塩酸(5mL、質量分率が36%の塩酸)を加え、8時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を真空濃縮し、大量の固体を析出し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄し、吸引し、2.6gの白色固体を得、収率は84.5%(塩酸塩で計算)であり、純度は98.11%であった。
【0290】
MS(ESI)m/z:353.16 [M+H] H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.72 (s, 1H), 9.32 (s, 2H), 8.42 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 9.1, 2.3 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 7.27 (t, J =7.4 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 4.67 (s, 2H), 4.50 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.74 (s, 3H), 1.41 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0291】
3.9 中間体M3-Aの合成
2.5g(実施例3.5から製造し、約0.007mol)の中間体M2-Aを酢酸(25mL)で溶解させ、2.6g(0.04mol)の亜鉛粉末を加え、50℃~60℃に加熱し、6時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を濾過し、ケーキをジクロロメタン(20mL)及びメタノール(10mL)の混合溶媒で洗浄し、濾液を合わせた後、少量の溶媒に濃縮し(例えば、濃縮溶液の体積は約2~3mL)、イソプロパノール(4mL)及び水(8mL)を加えて撹拌した後吸引濾過し、ケーキをメタノール/水(1:3/v:v,12mL)でスラリー化させ、吸引濾過し、1.6gの灰白色の固体を得、収率は76.7%であり、純度は96.90%であり、ここで、不純物化合物II(保持時間6.8分)の含有量は1.2%であった。
【0292】
MS(ESI)m/z:346.10 [M+Na]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.63 (s, 1H), 8.32 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.55-7.44 (m, 3H), 7.27 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 4.44 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.64 (s, 3H), 1.37 (q, J = 7.3 Hz, 3H).
【0293】
3.10 ロキサデュスタットの合成
ロキサデュスタットの合成方法1:
1.5gの中間体M3-A(実施例3.9から製造)を15gのエタノールに加え、1.4gのグリシン酸ナトリウムを加え、耐圧容器で、105℃~115℃に加熱し、8時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄して吸引し、ロキサデュスタットナトリウム塩の粗生成物を得、ロキサデュスタットナトリウム塩の粗生成物を25gの水で溶解させ、10mLの酢酸エチルで水相を洗浄し、撹拌しながら水相に酢酸をゆっくりと加え、pH<7に調整し、大量の固体を析出し、吸引濾過し、ケーキを水で洗浄して吸引し、真空乾燥して、1.3gのロキサデュスタット完成品を得、収率は83.4%であり、純度は99.57%であり、ここで、不純物化合物II(保持時間6.8分)の含有量は0.41%であった。
【0294】
MS(ESI)m/z:353.2 [M+H] H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 13.28 (s, 1H), 9.08 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 8.25 (t, J = 12.0 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.55-7.41 (m, 3H), 7.24 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 4.04 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 2.68 (s, 3H).
【0295】
ロキサデュスタットの合成方法2:
3.2gの中間体M3-A、1.5gのグリシン、3.0gの1,8-ジアザビシクロウンデク-7-エンを32mLのアセトニトリルに順次に加え、60℃に加熱し、3時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、濃縮溶液の体積が約3~5mLになるまで真空減圧濃縮し、32mLの水を加え、撹拌しながら水相に2.4gの酢酸を滴下し、固体を析出し、吸引濾過し、ケーキを水で洗浄し(10mL×3)、吸引した。ケーキをメタノール/水(6mL/18mL)に移し、室温で0.5時間撹拌し、吸引濾過し、真空下で乾燥させて、3.1gのロキサデュスタット生成物を得、収率は87.5%、純度は99.18%であった。
【0296】
MS(ESI)m/z:353.2 [M+H] H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 13.28 (s, 1H), 9.08 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 8.25 (t, J = 12.0 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.55-7.41 (m, 3H), 7.24 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 4.04 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 2.68 (s, 3H).
【0297】
ロキサデュスタットの合成方法3:
3.2gの中間体M3-A、2.9gのグリシン酸ナトリウムを32mLの無水エタノールに加え、加熱して還流させ、8時間撹拌を続けた。反応溶液を室温に冷却し、濃縮溶液の体積が約3~5mLになるまで減圧濃縮し、45mLの水を加え、酢酸エチル(10mL×2)で水相を洗浄し、撹拌しながら水相に2.4gの酢酸を滴下し、固体を析出し、吸引濾過し、ケーキをメタノール/水(6mL/18mL)に移し、室温で0.5時間攪拌し、吸引濾過し、真空下で乾燥させて、3.0gのロキサデュスタット生成物を得、収率は86.4%であり、純度は99.34%であった。
【0298】
MS(ESI)m/z:353.2 [M+H] H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 13.28 (s, 1H), 9.08 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 8.25 (t, J = 12.0 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.55-7.41 (m, 3H), 7.24 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 4.04 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 2.68 (s, 3H).
【0299】
実施例4:中間体M3-Aの合成
合成経路は以下の通りである:
【0300】
【化47】
【0301】
4.1 中間体M1-Dの合成
3.1g(約0.01mol)の化合物SM2を31.0g(約0.425mol)のN-メチルアセトアミドで、65℃~70℃に加熱して完全に溶解させ、4.8g(約0.02mol)の過硫酸ナトリウムを9.6g(約0.53mol)の水で溶解した後上記溶液に加え、5時間撹拌した。TLCで少量の原料の残りをモニタリングし、反応溶液を室温に冷却し、酢酸エチル(80mL)を加え、水(50mL×4)で洗浄し、有機相を濃縮し、酢酸エチル及びn-ヘプタン(1:2/v:v)の混合溶媒(12mL)をスラリー化させた後吸引濾過し、ケーキを真空乾燥させて、2.3gの灰白色の固体を得、収率は73.5%、純度は95.61%であった。
【0302】
MS(ESI)m/z:403.1 [M+Na]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.66 (s, 1H), 8.33 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.67 (s, 1H), 7.53 (dd, J = 9.1, 1.9 Hz, 1H), 7.44 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.22 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 4.59 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 4.43 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.74 (s, 3H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0303】
4.2 中間体M2-Dの合成
3.0g(約0.008mol)の中間体M1-Dをテトラヒドロフラン(10mL)及びメタノール(10mL)で、30℃~40℃に加熱して溶解させた。撹拌しながら濃塩酸(5mL、質量分率が36%の塩酸)を加え、添加完了後、5時間撹拌を続けた。TLCで反応完了をモニタリングし、濃縮溶液の体積が約2~4mLになるまで反応溶液を真空濃縮し、大量の固体を析出し、吸引濾過し、ケーキを真空乾燥して、2.8gの白色固体を得、収率は92.4%(塩酸塩で計算)であり、純度は88.40%であった。
【0304】
MS(ESI)m/z:339.1 [M+H] +,H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.69 (s, 1H), 8.39 (d, J = 9.2 Hz, 4H), 7.73 (s, 1H), 7.57 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.46 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.25 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 7.9 Hz, 2H),7.44-7.52(m,4H), 1.38 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0305】
4.3 中間体M3-Aの合成
2.5g(約0.007mol)の中間体M2-Dを酢酸(25mL)で溶解させ、2.6gの亜鉛粉末を加え、50℃~60℃に加熱し、6時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を濾過し、ケーキをジクロロメタン(20mL)及びメタノール(10mL)の混合溶媒で攪拌して溶解させ、吸引濾過して亜鉛粉末を除去し、有機相濃縮して大量の固体を析出し、吸引濾過し、1.6gの灰白色の固体を得、収率は72.1%、純度は92.94%であった。
【0306】
MS(ESI)m/z:346.10 [M+Na]H-NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.63 (s, 1H), 8.32 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.55-7.44 (m, 3H), 7.27 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 4.44 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.64 (s, 3H), 1.37 (q, J = 7.3 Hz, 3H).
【0307】
実施例5:ロキサデュスタットの合成
5.1 中間体M1-Aの合成
1.1kg(約3.5mol)の化合物SM2を6.6kgのN,N-ジメチルアセトアミドで、60℃~70℃に加熱して完全に溶解させ、1.7kg(約7mol)の過硫酸ナトリウムを4kgの水で溶解した後上記溶液に加え、1時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を室温に冷却し、5kgの水を加えて撹拌した後吸引濾過し、ケーキを真空乾燥して、1.25kgの灰白色の固体を得、中間体M1-Aであり、収率は89.1%であり、HPLC検出より、純度は91.74%であった。
【0308】
5.2 中間体M2-Aの合成
1kg(約2.5mol)の中間体M1-Aをテトラヒドロフラン(2L)及びメタノール(2L)で、30℃~40℃に加熱して溶解させた。撹拌しながら濃塩酸(500mL、質量分率が36%の塩酸)を加え、5時間撹拌した。TLCで反応完了をモニタリングし、反応溶液を真空濃縮して大量の固体を析出し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄し、吸引し、886gの白色固体を得、中間体M2-Aであり、収率は89.9%(塩酸塩で計算)であり、HPLC検出より、純度は97.79%であった。
【0309】
5.3 中間体M2-Aの合成
3.00gの中間体M1-Aを20mLの無水エタノールで、30~40℃に撹拌して加熱し、所定温度に達した後5mLの塩化水素のエタノール溶液(質量分率が約30%~35%の塩化水素のエタノール溶液)を加え、8時間保温し撹拌して反応させた。TLCで反応完了をモニタリングし、反応を終了させた。反応溶液を減圧濃縮して乾燥させ、大量の固体を析出し、吸引濾過し、12mLのメチルtert-ブチルエーテルで攪拌してケーキを洗浄し、乾燥させて2.52gの白色固体を得、中間体M2-Aであり、収率は85.2%(塩酸塩で計算)、HPLC検出より、純度は97.83%であった。
【0310】
5.4 中間体M2-Aの合成
300gの中間体M1-A及び無水エタノール(1.2L)を5Lの反応フラスコに加え、40~45℃に撹拌して加熱し、500mLの塩化水素の無水エタノール溶液をゆっくりと滴下し(質量分率が約30%~35%の塩化水素のエタノール溶液)、約0.5時間滴下した後、40~45℃に保温し、一晩撹拌した。TLCで原料の反応完了をモニタリングし、反応溶液を約30℃に冷却し、イソプロピルエーテル(3.3L)を滴下し、白色の固体が析出し、室温で1時間撹拌した後、吸引濾過し、イソプロピルエーテル(300ml×2回)で洗浄し、吸引し、真空乾燥させ(50℃、真空度≦-0.09MPa)、乾燥を停止し、243gの灰白色の固体を得、中間体M2-Aであり、収率は82%(塩酸塩で計算)であり、HPLC検出より、純度は99.26%であった。
【0311】
5.5 中間体M3-Aの合成
2.50g(6.43mmol)の中間体M2-A、1.03g(19.29mmol)の塩化アンモニウム、45mLのN,N-ジメチルホルムアミド、5mLの酢酸及び0.84g(12.86mmol)の亜鉛粉末を100mLの丸底フラスコに順次に加え、磁気撹拌し、50~60℃に加熱して温度を上げ、4時間撹拌し、試料を取りTLCで検出し、原料が基本的に反応を完了した。反応溶液を0~10℃に冷却し、塩化ナトリウムの水溶液をゆっくりと滴下し(15.0gの塩化ナトリウム、50mlの水)、約5分間滴下し、0~10℃に保持し、1時間撹拌し、吸引濾過し、ケーキを水で洗浄し(15mL×3回)、吸引し、8時間真空乾燥して(50~55℃、真空度≦0.09MPa)、乾燥を停止し、M3-Aを得、1.77gの黄褐色の固体であり、収率は85.1%であり、HPLC検出より、純度は96.18%であった。
【0312】
5.6 中間体M3-Aの合成
5Lの反応フラスコに、100gの中間体M2-A、40gの塩化アンモニウム、200mLの酢酸及び1800mLのDMFを順次に加え、40~50℃に撹拌して加熱し、30分ごとに8gの亜鉛粉末を加え、合計6回加え、亜鉛粉末を添加終了後3時間撹拌し、TLCは、原料が基本的に反応を完了したことを検出し、室温に温度を下げた。塩化ナトリウム水溶液(660gの塩化ナトリウムを2200mlの水に溶解させ)を加え、滴下完了後、0~10℃に温度を下げ、1時間撹拌し、吸引濾過し、ケーキを水で洗浄し(100ml×2回)、吸引乾燥した。ケーキを500mLの丸底フラスコに移し、100mLのアセトンを加え、0~10℃に温度を下げ、0.5時間撹拌し、吸引濾過し、ケーキを30mLの予冷したアセトン(0~10℃)で1回洗浄し、吸引し、2時間真空乾燥させ(40℃、真空度≦-0.09MPa)、58gの淡黄色の固体を得、M3-Aであり、収率は70%であり、HPLC検出より、純度は98.77%であった。
【0313】
5.7 ロキサデュスタットの合成
200gのM3-Aを20Lの反応ケトルに秤量し、120gのグリシン酸ナトリウム、4Lの無水エタノールを加え、室温で均一に攪拌した。室温で96gのDBUをゆっくりと滴下し、滴下完了後、加熱し、温度を約78℃の内部温度に上げ、24時間還流し、反応系を冷却した後、濃縮して溶媒を除去し、4Lの水を加えて撹拌し溶解させ、160gの酢酸をゆっくりと滴下し、固体を析出し、保温して1時間撹拌した後、加熱を止め、反応系の内部温度が室温に下げた後、吸引濾過し、固体ケーキを24時間真空乾燥させ(50℃、真空度<-0.08MPa)、試料を集め、179gのロキサデュスタット粗生成物を得、収率は82%であり、HPLC検出より、純度は99.73%であった。100gのロキサデュスタット粗生成物を5Lの三口フラスコに秤量し、1Lの精製水を加え、室温で均一に攪拌した。室温で水酸化ナトリウム水溶液(13gの水酸化ナトリウムを1.3Lの精製水に溶解させ)をゆっくりと滴下し、滴下完了後、反応溶液は淡黄緑色となった。加熱し、温度を約70℃の内部温度に上げ、酢酸水溶液(26gの酢酸を100mLの精製水に溶解させ)をゆっくりと滴下し、同時に反応系のpH値を検出し、pHが約7である場合、酢酸溶液の滴下を停止し、この際、少量の結晶性固体が析出した。保温して1時間攪拌した後、残りの酢酸溶液を滴下した。滴下完了後、保温して1時間攪拌を続け、加熱を止め、反応系の内部温度が約45℃に下げた後、吸引濾過し、500mLの精製水でケーキを洗浄し、固体ケーキを真空乾燥させ(50℃、真空度<-0.08MPa)、試料を集め、97.36gの純粋なロキサデュスタットを得、収率は97.36%、HPLC検出より、純度は99.91%であった。
【0314】
LC-MS検出により、得られた純粋なロキサデュスタットの化合物Z3((4-ヒドロキシ-1-((N-メチルアセトアミド)メチル)-7-フェノキシイソキノリン-3-カルボニル)グリシン)の含有量は14ppm(中間体M1-Aは、還元工程で一部が還元反応に関与せず、次に、縮合工程に追加しグリシン酸ナトリウムと反応させ、化合物Z3を生成した)であり;LC-MS検出条件:Agilent 1260/6125B四重極液体クロマトグラフィー-質量分析計、カラム:YMC Triart Phenyl、4.6mm×250mm、5μm、検出波長224nm、移動相A:20mMギ酸アンモニウム緩衝液(pH4.5)、移動相B:アセトニトリル-水-ギ酸(900:100:0.8)、勾配溶出:移動相A:0~35分:65%→50%、35~45分:50%→0%、45~50分:0%、50~51分:0%→65%、51~60分:65%);化合物Z3の構造識別データ:MS:m/z=422.1360(M-H); H-NMR (400 MHz, DMSO) δ 13.40 (s, 1H), 8.98 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.78 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.67 - 7.50 (m, 2H), 7.47 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.25 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 4.90 (s, 2H), 4.09 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 2.93 (s, 3H), 2.03 (s, 3H);13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 170.75, 169.76, 169.71, 158.16, 155.44, 153.74, 145.37, 130.64, 130.39, 125.39, 124.59, 123.82, 122.74, 119.77, 119.53, 111.53, 49.29, 40.83, 35.20, 21.54。
【0315】
実施例6:分取HPLCによる中間体M2-A中の化合物Iの分離、精製及び同定
実施例3.5に記載の方法を繰り返し、得られた2gのM2-Aの粗生成物に水とアセトニトリル(水/アセトニトリル=4/1、v/v)を加えて100mLに溶解して希釈し、シリンジフィルター(ナイロンNY 0.45μm~25mm)を使用して濾過し、下記条件下で分離及び精製し、目的の画分を収集した(保持時間は6.1分)。
【0316】
計器情報:分取高速液体クロマトグラフ(機器名:Sevanco HPLC)、カラム:YMC-Triart C18 7μm 250×30mm、移動相A:10mmol/L NHHCO水溶液、移動相B:アセトニトリル:イソプロパノール(1:1)、検出波長:220nm、254nm、注入量:針あたり125mg、カラム温度:室温、流速:30ml/分、勾配溶出方法は以下の通りである:
【0317】
【表2】
【0318】
ロータリーエバポレーターを用いて標的画分を固体に濃縮し、真空乾燥オーブンで50℃で18時間乾燥させた後、標的物質(不純物化合物Iと記録する)を得、HPLC純度は98.6%であり、保持時間は4.95分であった。当該対象物質の同定データは以下の通りである:
【0319】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ=8.311 (d, J=9.2 Hz, 1H), 7.343-7.493 (m, 4H), 7.086-7.194 (m, 3H), 4.482 (s, 2H), 2.682 (s, 3H)。13C NMR (400 MHz, DMSO-d) δ=157.049, 156.334, 134.475, 130.512, 129.319, 126.693, 126.414, 124.309, 123.911, 121.546, 119.096, 110.816, 49.346, 32.991。m/z=325.11(M+H), m/z=347.09(M+Na)
【0320】
分析後、その構造は
【0321】
【化48】
【0322】
であった。
【0323】
実施例7:化合物Iの合成
7.1 中間体M1-Aからの化合物Iの製造
【0324】
【化49】
【0325】
4-ヒドロキシ-1-((N-メチルアセトアミド)メチル)-7-フェノキシイソキノリン-3-カルボン酸エチル(中間体M1-A、実施例3.1の方法を参照して製造し、4g、0.01mol)をエタノール(12mL)に加え、33%の塩化水素のエタノール溶液(8mL)を加え、60~70℃に温度を上げ、約24時間撹拌した。TLCは原料の消失を示し、加熱を停止し、15~25℃に温度を下げ、メチルtert-ブチルエーテル(40mL)を加え、固体を析出し、約1時間撹拌した後、吸引濾過し、2.4gの白色固体を得、化合物Iであり、収率は67%(塩酸塩で計算)であり;HPLC純度>98%であり、保持時間は4.95分であり、実施例6で得られた不純物化合物Iの保持時間と一致した。
【0326】
MS(ESI)m/z:m/z=325.11(M+H)+, m/z=347.09(M+Na)+。
【0327】
H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) :δ=11.699 (s, 1H), 9.593 (s, 2H), 8.411 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.687 (s, 1H), 7.575-7.614 (m, 1H), 7.478 (t, J=8.8 Hz, 2H), 7.262 (t, J=7.6 Hz, 1H), 7.175 (d, J=8.8 Hz, 2H), 4.675 (s, 2H), 2.730 (s, 3H)。
【0328】
7.2 中間体28からの化合物Iの製造
【化50】
【0329】
4-ヒドロキシ-1-((N-メチルアセトアミド)メチル)-7-フェノキシイソキノリン-3-ギ酸メチル(中間体28、実施例1.2の方法を参照して製造し、4g、0.01mol)をメタノール(10mL)及びテトラヒドロフラン(20mL)に加え、36%の濃塩酸(15mL)を加え、60~70℃に温度を上げ、24時間撹拌した。TLCは原料の消失を示し、加熱を停止し、15~25℃に温度を下げ、固体を析出し、約1時間撹拌した後、吸引濾過し、1.6gの白色固体を得、化合物Iであり、収率は44%(塩酸塩で計算)であった。同定後、その水素スペクトル、質量分析データは実施例7.1と同じであり、HPLC純度>97%であり、保持時間は4.95分であり、実施例6で得られた不純物化合物Iの保持時間と一致した。
【0330】
7.3 中間体M1-Fからの化合物Iの製造
【0331】
【化51】
【0332】
4-ヒドロキシ-1-((N-メチルホルムアミド)メチル)-7-フェノキシイソキノリン-3-カルボン酸エチル(中間体M1-F、実施例3.4の方法を参照して製造し、4g、0.01mol)をエタノール(12mL)に加え、33%の塩化水素のエタノール溶液(8mL)を加え、60~70℃に温度を上げ、24時間撹拌した。TLCは原料の消失を示し、加熱を停止し、15~25℃に温度を下げ、酢酸イソプロピル(50mL)を加え、固体を析出し、約1時間撹拌した後、吸引濾過し、2.1gの白色固体を得、化合物Iであり、収率は58%(塩酸塩で計算)であった。同定後、その水素スペクトル、質量分析データは実施例7.1と同じであり、HPLC純度>97%であり、保持時間は4.95分であり、実施例6で得られた不純物化合物Iの保持時間と一致した。
【0333】
実施例8:中間体の精製方法及び化合物Iの含有量制御
8.1 中間体M2-Aの精製方法
実施例3.5に記載の方法を繰り返し、6.8g(0.018mol)の中間体M1-Aを原料として使用し、5.6gのM2-A粗生成物(白色固体)を得、HPLC検出により純度は98.40%であり、標的不純物(化合物I、保持時間4.95分)の含有量は1.4%であり、粗生成物の収率は92%(塩酸塩で計算)であった。
【0334】
得られた2.8gのM2-A粗生成物にエタノール(2mL)及び酢酸イソプロピル(10mL)を加え、10~25℃で約2時間撹拌し、吸引濾過し、1.5gの白色固体を得、中間体M2-Aの精製生成物であり、精製収率は約54%(塩酸塩で計算)であり、HPLC検出により純度は99.0%であり、主な不純物は化合物I(保持時間4.95分)であり、含有量は0.8%であった。
【0335】
8.2 中間体M3-Aの合成及び精製方法
実施例8.1で得られた1.5gの中間体M2-Aの精製生成物(純度99.0%、化合物Iの不純物含有量は0.8%)を15mLの酢酸で溶解させ、1.56gの亜鉛粉末を加え、50℃~60℃に加熱し、6時間撹拌し、TLCで反応の完了をモニタリングし、反応溶液を濾過した。ジクロロメタン(12mL)及びメタノール(6mL)の混合溶媒を加えてケーキを洗浄し、濾液を合わせた後濃縮し、灰白色の固体を得、得られた灰白色の固体に10mLのアセトンを加え、45~55℃で、約1時間撹拌した。15~25℃に温度を下げ、1時間撹拌し、吸引濾過し、0.96gのM3-Aの精製生成物を得、収率は70%であり、HPLC検出により純度は98.9%であり、ここで、不純物化合物II(保持時間6.8分)の含有量は0.05%であった。
【0336】
不純物化合物IIの構造同定データ:
MS (ESI) m/z: 294.0767 (M-H)
【0337】
H-NMR (DMSO-d6, 400Hz) : δ =8.420 (d, J=8.8Hz, 1H ), 7.749 (s, 1H), 7.637-7.664 (m, 1H), 7.491 (t, J=8Hz, 2H), 7.276 (t, J=7.2Hz, 1H), 7.211 (d, J=7.6Hz, 2H ), 2.865 (s, 3H); C NMR (DMSO-d6, 400Hz) : δ =166.09, 161.97, 158.81, 155.17, 142.78, 130.59, 130.48, 127.96, 126.67, 124.88, 124.82, 119.61, 114.26, 113.75, 16.61。
【0338】
8.3 ロキサデュスタットの合成
実施例8.2で得られた0.9gの中間体M3-Aの精製生成物(HPLC純度は98.9%であり、不純物化合物IIの含有量は0.05%であり)を9gのエタノールに加え、0.84gのグリシン酸ナトリウムを加え、耐圧容器で、105℃~115℃に加熱し、8時間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、吸引濾過し、少量のメタノールで洗浄して吸引し、ロキサデュスタットナトリウム塩の粗生成物を得、ロキサデュスタットナトリウム塩の粗生成物を15gの水で溶解させ、6mLの酢酸エチルを加えて抽出し、水相を酢酸でpH<7に調整し、大量の固体を析出し、吸引濾過し、ケーキを水で洗浄した後吸引し、真空乾燥して、0.84gのロキサデュスタット生成物を得、収率は約86%であり、純度は99.81%であり、ここで、不純物化合物II(保持時間6.8分)の含有量は0.03%であった。
【0339】
比較例1
N,N-ジメチルアセトアミドでヒドロキシイソキノリンと過硫酸ナトリウムとの反応
【0340】
【化52】
【0341】
50mLの三口フラスコに、1.45gのヒドロキシイソキノリン(0.01mol)及び14.5gのN,N-ジメチルアセトアミド(約0.2mol)を順次に加え、撹拌して溶解させた後、4.76gの過硫酸ナトリウム(0.02mol)を9.52gの水(約0.53mol)に溶解させ、上記溶液をゆっくりと滴下し、70℃に温度を上げ、1時間撹拌した。TLCで大部分の原料が残ること、主な生成物が形成されていないことを検出し、80℃に温度を上げて2時間撹拌し、TLCでまだ大部分の原料が残ること、主な生成物が形成されていないことを検出した。
【0342】
HPLC:70℃で1時間撹拌し、残りの原料は85.64%であり、80℃で2時間撹拌し、残りの原料は75.01%であり;MS(ESI)m/z:146.0[M+1](原料の分子量)、生成物の分子量は検出されなかった。