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特許7368644多色の印刷製品のLab目標色値を適合させるための方法
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  • 特許-多色の印刷製品のLab目標色値を適合させるための方法 図1
  • 特許-多色の印刷製品のLab目標色値を適合させるための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】多色の印刷製品のLab目標色値を適合させるための方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20231017BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B41F33/00 246
H04N1/60
B41F33/00 234
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023008553
(22)【出願日】2023-01-24
(65)【公開番号】P2023108620
(43)【公開日】2023-08-04
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】10 2022 101 631.5
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス プファイファー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シェンク
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ウッター
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ハンゼン
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-23468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0199388(US,A1)
【文献】特開2019-16924(JP,A)
【文献】特開2017-85266(JP,A)
【文献】特開2017-3375(JP,A)
【文献】特開2016-219886(JP,A)
【文献】特開2009-83427(JP,A)
【文献】特開2000-108309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00-33/18
B41M 1/00-3/18
H04N 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多色の印刷製品のLab目標色値を適合させるための方法であって、
少なくとも1つの特色(12)が、ICCカラープロファイル(40)を使用してプロセスカラー(11)に置換されており、当該置換は、当該置換に関与している少なくとも2つのプロセスカラー(11)を組み合わせることによって実施されている、
方法において、
置換された前記特色(12)に対応する、印刷製品(3)上の少なくとも1つの測定箇所(22)が、色測定システム(20)を使用して測定技術的に検出され、ここから前記測定箇所のLab実際色値(51)が計算技術的に特定され、
前記ICCカラープロファイル(40)またはそのために適当であるとして選択された標準化されたICCカラープロファイル(40)は、前記関与しているプロセスカラー(11)からLab目標色値(50)の色組成を計算技術的に決定するために使用され、
前記測定箇所(22)の所定のLab目標色値(50)を達成するための、前記関与しているプロセスカラー(11)の膜厚(24)の変化が、デジタルツール(30)またはデジタルモデル(31)を使用して特定され、
少なくとも前記関与しているプロセスカラー(11)の適合が、当該関与しているプロセスカラー(11)の膜厚(24)の特定された前記変化を使用して実施され
前記デジタルモデル(31)は、シミュレーションモデル(31)であり、
前記シミュレーションモデル(31)は、膜厚(24)のためのノイゲバウアーモデル(31)であ
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記適合として、少なくとも前記関与しているプロセスカラー(11)の色制御(5,8,9,10)が、前記関与しているプロセスカラー(11)の膜厚(24)の特定された前記変化を使用して実施される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記デジタルツール(30)は、ICCカラープロファイル(40)を変化するプロセスカラー(11)に適合させるためのデジタル色適合ツール(30)である、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記印刷製品(3)上の前記測定箇所(22)の位置が、前記色測定システム(20)に伝送される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記ICCカラープロファイル(40)または前記適当であるとして選択された標準化されたICCカラープロファイル(40)が、前記色測定システム(20)に伝送される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記測定箇所(22)の前記Lab目標色値(50)が、前記色測定システム(20)に伝送される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
前記Lab目標色値(50)は、前記Lab実際色値(51)の色組成を計算技術的に決定するために使用される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
前記測定箇所(22)の前記Lab実際色値(51)は、前記測定箇所(22)の前記所定のLab目標色値(50)と計算技術的に比較される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
前記Lab実際色値(51)と前記Lab目標色値(50)との間の色距離(53)が、計算技術的に特定される、
請求項記載の方法。
【請求項10】
前記置換された特色(12)および/または前記測定箇所(22)の色組成においてそれぞれ10%を超える割合を有するような、前記関与しているプロセスカラー(11)の膜厚(24)だけが変化させられる、
請求項1または2記載の方法。
【請求項11】
複数の置換された特色(12)にそれぞれ対応する、前記印刷製品(3)内の複数の測定箇所(22)が、少なくとも1つの色測定システム(20)を使用して測定技術的に検出され、ここから前記測定箇所(22)のLab実際色値(51)が計算技術的に特定される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項12】
前記測定箇所(22)のLab実際色値(51)は、計算技術的に最適化実施することにより特定される、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記膜厚(24)の全体的な変化が最小化される、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
それぞれの膜厚(24)に関して変化させられるべきプロセスカラー(11)の総数が最小化される、
請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の特徴を有する、多色の印刷製品のLab目標色値を適合させるための方法に関する。
【0002】
本発明は、グラフィックス産業の技術分野に属し、とりわけ、具体的には特色がプロセスカラーに置換される場合に、被印刷物上の印刷インキまたは印刷インキの膜厚を自動的に制御するという分野に属する。本発明は、オフセット印刷において、すなわち紙、厚紙、またはプラスチックフィルムのような被印刷物に対する間接的な平版印刷において使用可能である。
【0003】
従来技術
多色印刷の場合、例えば7色(CMYK RGBまたはCMYK OGV)を用いた印刷の場合には、特色をプロセスカラーに置換することができる。この場合、特色を良好に把握し、それを印刷部数にわたって維持することが重要である。
【0004】
先行技術では、特色をどのようにして理論的にプロセスカラーに置換することができるか、ひいてはどのようにして理論的に最適に印刷することができるかを開示するいくつかの文献、例えば、独国特許出願公開第102014010061号明細書、独国特許出願公開第102004001937号明細書、独国特許出願公開第102015204956号明細書、独国特許出願公開第10223479号明細書、独国特許出願公開第102010007858号明細書が既に存在する。しかしながら、これらの開示された方法は、実際には最適ではない。なぜなら、印刷中に膜厚が変動する、すなわち最適値から逸脱するからである。独国特許出願公開第102021104841号明細書は、さらなる方法を開示しているが、この方法は、操作者によって手作業で実施されるので、手間がかかり、実行において緩慢であり、場合によってはエラーが発生しやすいものである。
【0005】
置換された特色のための測定パッチを印刷コントロールストリップ内に配置することは、手間がかかり、したがってさほど有利ではない。というのも、印刷コントロールストリップ内の他の測定パッチを破棄する必要があり、個別の印刷コントロールストリップを作成する必要があり、測定装置は、その構造を「把握」する必要があるからである。したがって、画像内での測定は、より有利であるように見えるが、インライン測定装置がなければ印刷機の外部で、つまりオフラインでしか測定できないので、短所とも結びついている。さらに、上記の全てのケースにおいて、目下のICCプロファイルを考慮することは知られていない。
【0006】
技術課題
したがって、本発明の課題は、とりわけ、少なくとも1つの置換された特色に対して最適化された色制御を実施することを可能にするような、従来技術に対する改善策を提供することである。
【0007】
本発明による課題の解決
上記の課題は、本発明によれば、請求項1記載の方法によって解決される。
【0008】
本発明の有利な、したがって好ましい発展形態は、従属請求項と、明細書および図面とから明らかとなる。
【0009】
多色の印刷製品のLab目標色値を適合させるための本発明による方法であって、少なくとも1つの特色が、ICCカラープロファイルを使用してプロセスカラーに置換されており、当該置換は、当該置換に関与している少なくとも2つのプロセスカラーを組み合わせることによって実施されている、本発明による方法は、置換された特色に対応する、印刷製品上の少なくとも1つの測定箇所が、色測定システムを使用して測定技術的に検出され、ここから測定箇所のLab実際色値が計算技術的に特定され、ICCカラープロファイルまたはそのために適当であるとして選択された標準化されたICCカラープロファイルは、関与しているプロセスカラーからLab目標色値の色組成を計算技術的に決定するために使用され、測定箇所の所定のLab目標色値を達成するための、関与しているプロセスカラーの膜厚の変化が、デジタルツールまたはデジタルモデルを使用して特定され、少なくとも関与しているプロセスカラーの適合が、当該関与しているプロセスカラーの膜厚の特定された変化を使用して実施されることを特徴とする。
【0010】
本発明の有利な実施形態および効果
本発明は、有利には、少なくとも1つの置換された特色に対して最適化された色制御を実施することを可能にする。この場合、置換された特色、例えば顧客固有の紫色(リラ)は、本当の特色としては印刷されず、その代わりに、少なくとも2つの置換されたプロセスカラーが印刷され、特色は、これらの置換されたプロセスカラーから組成される。紫色は、例えばシアン、マゼンタ、およびブラックのプロセスカラーから組成される。
【0011】
デジタルツールは、ICCカラープロファイルを変化するプロセスカラーに適合させるための、いわゆる色適合ツールまたはプロファイリングツールであってよい。変化するプロセスカラーは、7色印刷の場合には、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、グリーン、ブルー、またはCMYK RGBである。
【0012】
測定された実際値から、使用されているICCプロファイルを介して、測定箇所の色構成を特定することができる。その後、関与しているプロセスカラーの所要の膜厚変化が、物理モデル(例えば、ノイゲバウアーモデル)またはいわゆるプロファイリングツールによって決定され、好ましくは表示されるか、または色制御のために印刷機に伝送される。
【0013】
具体的な一例は、以下のステップのうちの1つまたは複数を含むことができる:
1.例えばHeidelberger Druckmaschine AG社の「Prinect」システムを用いて、被印刷枚葉紙上の、対象物近傍の空いている領域に、測定パッチ、例えばミニスポットを配置する。
2.位置および目標色値を、色測定システムに伝送する。
3.使用されているICCプロファイルを、色測定システムに伝送する。
4.実際色値を測定して、目標色値と比較する;色距離を計算して、場合によっては表示する。
5.目標色値と、使用されているICCプロファイルとに基づいて、測定された測定パッチの構成(例えば、CMYK OVG)が決定される。
6.好ましくは、色割合が10%を超えている色だけが、色制御のために考慮される。
7.選択肢a(好ましいバリエーション):プロファイリングツールにより、測定パッチの色位置が目標色位置に一致するように、プロセスカラーの膜厚が変化させられる;選択肢b:ノイゲバウアーモデルおよび/または膜厚モデルによって、所要の膜厚変化が直接的に計算される。
8.複数の測定パッチを整合させるべき場合には、系が過剰決定である場合、目標量として最適化(例えば、色距離の加重平均値または平方平均)が使用される。
9.未知数よりも少ない方程式が存在する(それぞれの測定パッチにつき3つの方程式が存在する)場合には、さらなる最適化オプション(最小合計調整および/または最小色数)を使用することができる。
10.好ましくは、計算された色ずれと、補正された色によって実現可能な色差とが表示される。
11.色ずれが機械に伝送され、追跡される。
【0014】
本発明の発展形態
本発明の好ましい発展形態(略して、発展形態)を以下に記載する。
【0015】
一発展形態は、適合として、少なくとも関与しているプロセスカラーの色制御が、関与しているプロセスカラーの膜厚の特定された変化を使用して実施されることを特徴とすることができる。
【0016】
一発展形態は、インキゾーンのサーボモータが駆動されることによって色制御が実施されることを特徴とすることができる。
【0017】
一発展形態は、5つ、6つ、または7つのプロセスカラーが使用されることを特徴とすることができる。一発展形態は、プロセスカラーが、C、M、Y、およびKの色と、色空間を拡張する1つ、2つまたは3つの色とを含むことを特徴とすることができる。一発展形態は、色空間を拡張する3つの色が、R、G、B(レッド、グリーン、ブルー)の色であることを特徴とすることができる。一発展形態は、色空間を拡張する3つの色が、O、G、およびV(オレンジ、グリーン、バイオレット)の色であることを特徴とすることができる。
【0018】
一発展形態は、デジタルツールが、ICCカラープロファイルを変化するプロセスカラーに適合させるためのデジタル色適合ツールであることを特徴とすることができる。一発展形態は、色適合ツールが、ソフトウェアとして構成されていることを特徴とすることができる。
【0019】
一発展形態は、デジタルモデルが、シミュレーションモデルであることを特徴とすることができる。一発展形態は、シミュレーションモデルが、物理モデル(すなわち、関与している媒体および成分の関連する物理学を考慮するモデル)、とりわけ膜厚のためのノイゲバウアーモデルであることを特徴とすることができる。
【0020】
一発展形態は、測定箇所に、測定パッチまたはミニスポットが設けられていることを特徴とすることができる。
【0021】
一発展形態は、印刷製品上の測定箇所の位置が、色測定システムに伝送されることを特徴とすることができる。一発展形態は、ICCカラープロファイルまたは適当であるとして選択された標準化されたICCカラープロファイルが、色測定システムに伝送されることを特徴とすることができる。一発展形態は、印刷前段階から色測定システムへの伝送が実施されることを特徴とすることができる。
【0022】
一発展形態は、測定箇所のLab目標色値が、色測定システムに伝送されることを特徴とすることができる。
【0023】
一発展形態は、Lab目標色値が、Lab実際色値の色組成を計算技術的に決定するために使用されることを特徴とすることができる。
【0024】
一発展形態は、測定箇所のLab実際色値が、測定箇所の所定のLab目標色値と計算技術的に比較されることを特徴とすることができる。一発展形態は、Lab実際色値とLab目標色値との間の色距離が、計算技術的に特定されることを特徴とすることができる。
【0025】
一発展形態は、置換された特色および/または測定箇所の色組成においてそれぞれ10%を超える割合を有するような、関与しているプロセスカラーの膜厚だけが変化させられることを特徴とすることができる。
【0026】
一発展形態は、複数の置換された特色にそれぞれ対応する、印刷製品内の複数の測定箇所が、少なくとも1つの色測定システムを使用して測定技術的に検出され、ここから測定箇所のLab実際色値が計算技術的に特定されることを特徴とすることができる。一発展形態は、その際に、計算技術的に最適化が実施されることを特徴とすることができる。一発展形態は、加重平均値が使用されることを特徴とすることができる。一発展形態は、Lab実際色値とLab目標色値との間のそれぞれの色距離の平方平均が使用されることを特徴とすることができる。
【0027】
一発展形態は、膜厚の全体的な変化が最小化されることを特徴とすることができる。
【0028】
一発展形態は、それぞれの膜厚に関して変化させられるべきプロセスカラーの総数が最小化されることを特徴とすることができる。
【0029】
一発展形態は、膜厚の変化、および/または特定された色距離、および/または特定された達成可能な最小色距離が、ディスプレイ上で操作者に表示されることを特徴とすることができる。
【0030】
一発展形態は、色測定システムがインラインシステムとして設けられていること、すなわち印刷機に組み込まれていることを特徴とすることができる。一発展形態は、色測定システムがオフラインシステムとして設けられていること、すなわち印刷機とは別個に設けられていることを特徴とすることができる。
【0031】
一発展形態は、包装用の印刷製品が製造されることを特徴とすることができる。
【0032】
上記の技術分野、本発明、および発展形態の章と、下記の実施例の章とにおいて開示されている特徴および特徴の組み合わせは、互いに任意の組み合わせにおいて本発明のさらなる有利な発展形態を表す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による方法の好ましい実施例およびその好ましい発展形態、または本発明による方法が実施される際の装置およびそのコンポーネントを示す図である。
図2】本発明による方法の好ましい実施例のシーケンスを示す図である。
【0034】
本発明の実施例および図面
図1は、被印刷物2に印刷を施すための、もしくは例えば紙、厚紙、またはプラスチックフィルムからなる印刷製品3を製造するための印刷機1、例えばオフセット印刷機を示す。図面は、機械制御ステーション4をさらに示し、この機械制御ステーション4を介して、例えば印刷機の事前設定を実施することができる。制御ステーションは、このためにデジタルコンピュータ5を含む。
【0035】
印刷機1は、(印刷機1のフィーダとデリバリとの間に)複数の連続して配置された印刷ユニット6を含み、とりわけ(デリバリの前に)最後の印刷ユニットを含む。印刷ユニットは、それぞれ1つのインキユニット7を含む。インキユニットの1つが、一例として拡大されて図示されている(詳細図を参照)。インキユニットは、被印刷物2上のインキ膜厚24をゾーン毎に設定するための、公知のように調整することができるインキゾーン8を含む(詳細図を参照)。調整のために、それぞれのインキゾーンにつき1つのサーボモータ9が設けられており、このサーボモータ9には、コンピュータ5または別個の色制御装置10によって制御値が供給される。インキユニットは、プロセスカラーC、M、Y、またはKのうちの1つ、もしくは特色を処理することができる。
【0036】
制御ステーション4は、色測定システム20を含み、この色測定システム20は、好ましくは公知のように印刷製品3の上方を自動的に走行可能であるか、または手動で移動可能であり、少なくとも1つの測定箇所22を、または被印刷物2上の測定箇所における測定パッチ23をスペクトル測定するために使用される(詳細図を参照)。測定パッチは、例えばいわゆるミニスポットであってよい。測定箇所は、印刷画像の中または隣に、例えば印刷コントロールストリップ内に配置可能である。この際、被印刷物2または印刷製品3をデリバリにおいて「取り出し」て、制御ステーション上に載置することができる(オフライン測定)。測定システム20は、コンピュータ21を含み、このコンピュータ21は、コンピュータ5と同一であってよい。コンピュータ21およびそのメモリ、またはコンピュータ21に保存されている、かつ/またはコンピュータ21において処理される内容は、一例として拡大されて図示されている(詳細図を参照)。代替的または追加的に、色測定システム20を最後の印刷ユニット6内に、または最後の印刷ユニット6の直後に設けることもできる(インライン測定)。それぞれの色測定システムは、コンピュータ21(または5)に接続されている。
【0037】
図2によれば、本方法を、上記のコンポーネントを用いて以下のように実施することができる。
【0038】
印刷機1には、1つの印刷ジョブのために複数の刷版が取り付けられ、印刷機1は、それに応じて事前設定され、この印刷ジョブを部分的に実施して、印刷製品3を製造する。色制御が実施されるべきである。
【0039】
置換された特色のための少なくとも1つの測定箇所22および/または測定箇所22における測定パッチ23が、色測定システム20によって測定技術的に、例えばスペクトル的に検出されて、コンピュータ21に転送される。
【0040】
色測定システムのデジタルコンピュータ21、または色測定システムに接続されたコンピュータ、例えばコンピュータ5は、ICCカラープロファイル40が保存されているデジタルメモリを有する。特色は、このICCプロファイルを用いてプロセスカラー11に置換された。
【0041】
ICCカラープロファイル40(またはそのために適当であるとして選択された標準化されたICCカラープロファイル40)は、関与しているプロセスカラー11からLab目標色値50の色組成を計算技術的に決定するために使用される。目標色値50は、好ましくは保存される。すなわち、既知のICCプロファイル40を使用して、置換された特色の色分解、すなわち実施された置換に関与しているプロセスカラーの割合を、計算技術的に特定することができる。
【0042】
測定箇所22のLab実際色値51が、計算技術的に特定される。
【0043】
置換された特色の色距離53、すなわち置換された特色の実際色値51から目標色値50までの色距離が特定される。
【0044】
プロセスカラーの実際色値52を、測定技術的に検出することができる。
【0045】
測定箇所22の所定の目標色値50を達成するための、関与しているプロセスカラー11の膜厚24の変化が、色コンピュータ、すなわちデジタルツール30またはデジタルモデル31を使用して特定される。
【0046】
少なくとも関与しているプロセスカラー11の適合または制御は、これらのプロセスカラー11の膜厚24の特定された変化を使用して実施される。
【0047】
全ての色位置、色値、および色距離は、Lab色空間を参照することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 印刷機
2 被印刷物
3 印刷製品
4 機械制御ステーション
5 コンピュータ
6 印刷ユニット
7 インキユニット
8 インキゾーン
9 サーボモータ
10 色制御装置/色制御
11 プロセスカラー
12 特色
20 色測定システム
21 コンピュータ
22 印刷製品上の測定箇所
23 測定パッチ、とりわけミニスポット
24 膜厚
30 デジタルツール
31 デジタルモデル
40 ICCプロファイル
50 置換された特色のLab目標色値
51 置換された特色のLab実際色値
52 プロセスカラーのLab実際色値
53 色距離
54 色分解の生成
60 色制御
図1
図2