(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】アルカリ剥離性ホットメルト粘着剤、および容器
(51)【国際特許分類】
C09J 125/08 20060101AFI20231018BHJP
C09J 193/04 20060101ALI20231018BHJP
C09J 191/06 20060101ALI20231018BHJP
C09J 191/00 20060101ALI20231018BHJP
C09J 123/12 20060101ALI20231018BHJP
C09J 125/16 20060101ALI20231018BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20231018BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20231018BHJP
B65D 23/08 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
C09J125/08
C09J193/04
C09J191/06
C09J191/00
C09J123/12
C09J125/16
C09J5/00
B65D23/00 H
B65D23/08 B
(21)【出願番号】P 2023013755
(22)【出願日】2023-02-01
【審査請求日】2023-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松帆 志幸
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-214185(JP,A)
【文献】特開2005-264153(JP,A)
【文献】特開2010-090185(JP,A)
【文献】特開2016-204588(JP,A)
【文献】特開2007-131706(JP,A)
【文献】国際公開第2019/203101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-5/10
C09J 9/00-201/10
C08L 125/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系エラストマー(A)、ロジン系粘着付与剤(B)、プロセスオイル(C)、ポリプロピレンワックス(D)およびα-メチルスチレン樹脂(E)を含むアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤であって、
スチレン系エラストマー(A)が、下記(1)~(3)を満たす分岐型のスチレン系エラストマー(a1)およびスチレン含有率が35~60質量%である直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)を含み、
ロジン系粘着付与剤(B)の酸価が、100~300mgKOH/gであり、
ポリプロピレンワックス(D)の軟化点が、100℃以上であり、
α-メチルスチレン樹脂(E)の軟化点が、90℃以上であり、
ホットメルト粘着剤100質量%中に、ポリプロピレンワックス(D)を0.1~5質量%、α-メチルスチレン樹脂(E)を1~9質量%含む、アルカリ剥離性ホットメルト粘着剤。
(1)スチレン含有率が35質量%以下
(2)ジブロック含有率が60質量%以下
(3)固形分25質量%トルエン溶液の25℃における粘度が1000mPa・s以上
【請求項2】
プロセスオイル(C)が、ナフテン系プロセスオイルを含む請求項1に記載のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤によってラベルが接着された容器。
【請求項4】
ラベルが胴巻きラベルであることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
ラベルの材質がポリプロピレン製であることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ剥離性ホットメルト粘着剤および、当該粘着剤を用いてラベルが接着された容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)製ボトルの生産量と共に飲料用としてのPETボトルの使用量も伸びている。PETボトルの胴部外周は、商品名などを表示するためのプラスチックラベルが付けられているのが通常である。PETボトルの胴部外周にプラスチックラベルを付ける方法には、「胴巻きラベル方式」、「ストレッチラベル方式」、「シュリンクラベル方式」等がある。
【0003】
いずれの方式の場合も、使用されたPETボトルが回収され、原料としてリサイクルできることが求められる。例えば、PETボトルリサイクル推進協議会が出している「指定PET ボトルの自主規制ガイドライン」は以下の指標を掲げている。即ち、ラベル付きのボトルをカッティングして作ったペレットを、90℃の1.5%水酸化ナトリウム水溶液中にペレット濃度10%(重量比)で浸漬し、15分間攪拌した場合に、PETのペレットからラベルが剥離し、印刷インキ、接着剤等がPET のペレットに残らない、という指標である。リサイクル工程においてラベルを剥離させる(アルカリ剥離性)ため、PETボトルなどの容器のラベル用粘着剤としてアルカリ剥離性のホットメルト粘着剤が開発、使用されている。
【0004】
一方、内容物に炭酸が含まれる場合、夏場の輸送時などの高温下(40~50℃)で放置されると、PETボトルが膨張する。PETボトルの膨張により胴巻きラベルに負荷がかかり、それにより胴巻きラベルの巻き終端部のプラスチックフィルムが、内側に位置するプラスチックフィルムからずれることがあり、胴巻きラベルの巻き終端部がずれにくく、たとえ、ずれたとしても剥がれないこと(実貼り適性)が求められる。そのためにラベルを構成する基材であるプラスチックフィルム同士間の接着強度(剥離強度)が大きいことや、ボトル膨張によるラベルのずれに対するホットメルト粘着剤の抵抗力と追従性が求められる。
【0005】
さらに、近年では環境への配慮を理由にラベルに使用されるプラスチックフィルムや粘着剤の薄膜化(通常:30~50μm、薄膜:5~15μm)が進んでおり、粘着剤層が薄膜塗工されていてもラベルを構成する基材であるプラスチックフィルム同士間の接着強度(剥離強度)やずれへの抵抗力と追従性が高いことが求められている。
【0006】
特許文献1 には、コポリエステルを含む水分散性のホットメルト接着剤組成物が開示されている。しかし、特許文献1記載のコポリエステルは、耐熱性が悪いために一部熱分解してしまい、接着剤組成物の接着強度が安定しないという問題があった。
【0007】
特許文献2には、熱可塑性エラストマー(A)、酸価が100mgKOH/g以上3 00mgKOH/g以下であるロジン系粘着付与剤(B)、テルペンフェノール樹脂(C)、合成オイル(D)および無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレンワックス(E)を含むホットメルト接着剤が開示されている。
【0008】
特許文献3には、熱可塑性エラストマー(A)、酸価が100mgKOH/g 以上3 00mgKOH/g以下であるロジン系粘着付与剤(B)、合成オイル(C)、25℃ の針入度が10dmm 以下であるワックス(D)および数平均分子量が1000以上のポリエチレングリコール(E)を含むホットメルト接着剤が開示されている。
【0009】
特許文献4 には、熱可塑性エラストマー(A) 、酸価が100mgKOH/g以上3 00mgKOH/g以下である固体粘着付与剤(B)、液状粘着付与剤(C)、ワックス(D)および特定のノニオン系界面活性剤(E)を含むホットメルト接着剤が開示されている。
【0010】
引用文献2~4に開示されるホットメルト接着剤を用いたラベルは、アルカリ剥離性、プラスチックフィルム同士の接着強度、および保持力は十分に大きいが、ホットメルト粘着剤の膜厚を薄膜にすることで接着強度が著しく低下し、さらにはボトル膨張によるラベルのずれに対するホットメルト粘着剤の抵抗力と追従性が失われ、ラベルが剥がれてしまうという問題があった。
【0011】
即ち、ホットメルト粘着剤を薄膜塗工した場合にも、接着強度やボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの抵抗力と追従性が高く、長期保管した際にラベルがずれにくく、剥離しにくいとともに、熱アルカリ水溶液により容器から接着物を容易且つ糊残りなく剥がすことのできるアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特表平11-512134号公報
【文献】特開2010-90185号公報
【文献】特開2010-280878号公報
【文献】特開2012-1624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ホットメルト粘着剤を薄膜塗工した場合にも、接着強度やボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの抵抗力と追従性(実貼り性)が高く、特にボトル膨張率が大きい炭酸飲料用PETボトルにおいて、長期保管した際にラベルがずれにくく、剥離しにくいとともに、熱アルカリ水溶液により容器から接着物を容易且つ糊残りなく剥がすことのできる胴巻きラベルを提供することであり、そのためのアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤および容器に関する。
[1]スチレン系エラストマー(A)、ロジン系粘着付与剤(B)、プロセスオイル(C)、ポリプロピレンワックス(D)およびα-メチルスチレン樹脂(E)を含むアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤であって、スチレン系エラストマー(A)が、下記(1)~(3)を満たす分岐型のスチレン系エラストマー(a1)およびスチレン含有率が35~60質量%である直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)を含み、ロジン系粘着付与剤(B)の酸価が、100~300mgKOH/gであり、ポリプロピレンワックス(D)の軟化点が、100℃以上であり、α-メチルスチレン樹脂(E)の軟化点が、90℃以上であり、ホットメルト粘着剤100質量%中に、ポリプロピレンワックス(D)を0.1~5質量%、α-メチルスチレン樹脂(E)を1~9質量%含む、アルカリ剥離性ホットメルト粘着剤。
(1)スチレン含有率が35質量%以下
(2)ジブロック含有率が60質量%以下
(3)固形分25質量%トルエン溶液の25℃における粘度が1000mPa・s以上
【0015】
[2]プロセスオイル(C)が、ナフテン系プロセスオイルを含む上記[1]に記載のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤。
【0016】
[3]上記[1]または[2]に記載のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤によってラベルが接着された容器。
【0017】
[4]ラベルが胴巻きラベルであることを特徴とする上記[3]に記載の容器。
【0018】
[5]ラベルの材質がポリプロピレン製であることを特徴とする上記[3]に記載の容器。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、ホットメルト粘着剤を薄膜塗工した場合にも、接着強度やボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの抵抗力ならびに追従性が高く、特にボトル膨張率が大きい炭酸飲料用PETボトルにおいて、長期保管した際にラベルがずれにくいことに加え、剥離しにくく、熱アルカリ水溶液に漬けると容器などから簡単にラベルが糊残りなく剥離し、再付着することもない、アルカリ剥離性ホットメルト粘着剤を提供する。また、本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤を用いた容器を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤および容器について、更に詳細に説明するが、これに限定されない。
【0021】
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値の範囲として含むものとする。
また、本明細書においてはアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤を「ホットメルト粘着剤」、固形分25質量%トルエン溶液の25℃における粘度を「粘度」と略記する場合がある。
【0022】
(スチレン系エラストマー(A))
スチレン系エラストマー(A)は、熱可塑性エラストマーの一種である。熱可塑性エラストマーとは、常温では加硫ゴムと同様な性質を持ち、弾性のある材料をいい、高温では普通の熱可塑性樹脂と同じく、既存の成形機をそのまま使用できる高分子材料である。熱可塑性エラストマーは、分子中に弾性を持つゴム成分(ソフトセグメント:軟質相)と塑性変形を防止するための分子拘束成分(ハードセグメント:硬質相)との両方を持っているためゴムとプラスチックの中間の性質を持つ。
スチレン系エラストマーは、一般的にポリスチレンブロックとゴム中間ブロックとを有し、ポリスチレン部分が物理的架橋(ドメイン)を形成して橋掛け点となり、中間のゴムブロックは製品にゴム弾性を与える。中間のソフトセグメントにはポリブタジエン(B)、ポリイソプレン(I)およびポリオレフィンエラストマー(エチレン・プロピレン(EP)、エチレン・ブチレン(EB)、ブチレン・ブタジエン(BB)) があり、ハードセグメントのポリスチレン(S)との配列の様式によって、直鎖型(リニアタイプ)および分岐型(ラジアルタイプ)とに分かれる。
【0023】
スチレン系エラストマーとしては、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(以下SBSと略記することもある)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロックコポリマー(以下SEBSと略記することもある)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロックコポリマー(以下SEPSと略記することもある)、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(以下SISと略記することもある)、スチレン-ブチレン・ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(以下SBBSと略記することもある)等が挙げられる。
【0024】
スチレン系エラストマー(A)は、スチレン含有率が35質量%以下でジブロック含有率が60質量%以下かつ固形分25質量%トルエン溶液の25℃における粘度が1000mPa・s以上である、分岐型のスチレン系エラストマー(a1)(以下、分岐型のスチレン系エラストマー(a1)と記載)と、スチレン含有率が35~60質量%である直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)(以下、直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)と記載)と、(a1)、(a2)以外のその他スチレン系エラストマー(a3)に大別できる。
なお、スチレン含有率とはスチレン系エラストマー100質量%中のスチレンの含有率(質量%)である。また、ジブロック含有率とは、スチレン系エラストマー100質量%中のジブロックの含有率(質量%)である。
固形分25質量%トルエン溶液とは、固形分が20質量%となるようにスチレン系エラストマーをトルエンに溶解させた溶液であり、その粘度はB型粘度計で測定した値である。粘度の測定方法は実施例の欄に記載する。
【0025】
<分岐型のスチレン系エラストマー(a1)>
分岐型のスチレン系エラストマー(a1)は、スチレン含有率が35質量%以下であることによって、ずれに対する追従性が優れ、ジブロック含有率が60質量%以下であることによって、ずれに対する抵抗力が優れ、固形分25質量%トルエン溶液の25℃における粘度が1000mPa・s以上であることによって、ずれに対する抵抗力に優れる。
【0026】
分岐型のスチレン系エラストマー(a1)の具体的な例としては、クレイトン DX410 (クレイトンポリマー社製、スチレン含有率18質量%、ジブロック含有率60質量%、粘度5200mPa・s)、クレイトン D1184 (クレイトンポリマー社製、スチレン含有率31質量%、ジブロック含有率16質量%、粘度20000mPa・s以上)、クレイトンD1116(クレイトンポリマー社製、スチレン含有率23%、ジブロック含有率16%、粘度9000)、クレイトンD1191(クレイトンポリマー社製、スチレン含有率33%、ジブロック含有率18%、粘度20000以上)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
分岐型のスチレン系エラストマー(a1)のスチレン含有率は、アルカリ剥離性と実貼り性の観点で、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
スチレン含有率が0質量%を超えていれば下限は特に限定されないが、例えば10質量%以上が好ましい。
【0028】
分岐型のスチレン系エラストマー(a1)のジブロック含有率の下限は、接着強度と実貼り性の観点で15質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、45質量%以上がさらに好ましい。
【0029】
<直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)>
直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)は、スチレン含有率が35~60質量%であることによって、ずれに対する抵抗力に優れる。
【0030】
直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)の具体的な例としては、アサプレンT-439 (旭化成社製、スチレン含有率45質量%)、TR2250(JSR社製、スチレン含有量52質量%)、クレイトンG1701(クレイトンポリマー社製、スチレン含有率37質量%)、クレイトンA1535(クレイトンポリマー社製、スチレン含有率58質量%)、クレイトンD1155(クレイトンポリマー社製、スチレン含有率40質量%)が挙げられるが、これに限らない。
【0031】
直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)のスチレン含有率はアルカリ剥離性と実貼り性の観点で、35~60質量%が好ましく、40~55質量%がより好ましい。
【0032】
本発明におけるスチレン系エラストマー(A)は、分岐型のスチレン系エラストマー(a1)と直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)を同時に含有する。分岐型のスチレン系エラストマー(a1)と直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)を同時に含有することでホットメルト粘着剤の凝集力と柔軟性を両立することが可能になり、ボトル膨張への抵抗力と追従性を発揮することで剥離を抑制できる。
なお、分岐型のスチレン系エラストマー(a1)と直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)を同時に含有していれば、分岐型のスチレン系エラストマー(a1)と直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)以外のその他スチレン系エラストマー(a3)を併用しても良い。
【0033】
スチレン系エラストマー(A)の含有率は、ホットメルト粘着剤100質量%中、1~35質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましく、10~25質量%がさらに好ましい。
上記範囲でスチレン系エラストマー(A)を含有することで、アルカリ剥離性と接着強度を両立できるため、好ましい。
また分岐型のスチレン系エラストマー(a1)と直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)の質量比(a1)/(a2)は10/90~90/10が好ましく、20/80~80/20がより好ましい。
上記範囲で分岐型のスチレン系エラストマー(a1)と直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)を含有することで、ホットメルト粘着剤の凝集力と柔軟性を両立することが可能になり、実貼り性を付与することができる。
【0034】
(ロジン系粘着付与剤(B))
ロジン系粘着付与剤(B)は、酸価が100~300mgKOH/gであれば特に限定されない。酸価が100mgKOH/g未満であると十分なアルカリ分散性が発揮できなくなり、一方、300mgKOH/gより大きいとホットメルト組成物の粘度や軟化点が高くなりすぎてしまう。
なお、酸価は、試料1gを中和するに要する水酸化カリウム(KOH)のミリグラム数である。酸価の測定方法は、実施例の欄で詳細を記載する。
【0035】
ロジン系粘着付与剤(B)としては、変性処理されていない未水添ロジン、変性処理されていない水添ロジン、(メタ)アクリル酸変性ロジン、水添(メタ)アクリル酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジン、水添マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、水添フマル酸変性ロジン等が挙げられる。
【0036】
ロジン系粘着付与剤(B)の含有率は、ホットメルト粘着剤100質量%中、30~65質量%が好ましく、35~60質量%がより好ましく、40~55質量%がさらに好ましい。
上記範囲でロジン系粘着付与剤(B)を含有することで、アルカリ剥離性と実貼り適性を両立できるため、好ましい。
【0037】
(プロセスオイル(C))
本発明で用いられるプロセスオイル(C)は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の可塑剤として一般的に使用されるオイル、いわゆる石油精製等において生産されるプロセスオイルであり、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルに大別される。アルカリ剥離性の観点からナフテン系オイルが好ましい。
プロセスオイルは、芳香族環・ナフテン環・パラフィン鎖の混合物であるが、本願におけるナフテン系プロセスオイルは、プロセスオイルの全炭素中のナフテン環炭素が35~46質量%のものを指す。また、全炭素中の芳香族炭素が30重量% 以上のものを芳香族系プロセスオイル、全炭素中のパラフィン鎖炭素が50重量%以上のものをパラフィン系とプロセスオイルと分類する。
【0038】
プロセスオイル(C)の含有率は、ホットメルト粘着剤100質量%中、15~50質量%が好ましく、20~45質量%がより好ましく、25~40質量%がさらに好ましい。上記範囲でプロセスオイル(C)を含有することで、アルカリ剥離性と高い接着強度が両立できるため、好ましい。
【0039】
(ポリプロピレンワックス(D))
ポリプロピレンワックス(D) は、軟化点が100℃以上であれば特に限定されない。軟化点は接着強度の観点から125~165℃が好ましい。なお、軟化点の測定は、JIS K-2207(石油アスファルト)6.4軟化点試験方法(環球法)に準拠して行った。
【0040】
ポリプロピレンワックス(D)の含有率は、ホットメルト粘着剤100質量%中、0.1~5質量%であり、0.1~4質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。
ホットメルト粘着剤100質量%中、ポリプロピレンワックス(D)を0.1~5質量%含有することで、接着強度とアルカリ剥離性に優れたホットメルト粘着剤とすることができる。
【0041】
(α-メチルスチレン樹脂(E))
α-メチルスチレン樹脂(E)は、軟化点が90℃以上であれば特に限定されない。軟化点はアルカリ剥離性の観点から90~140℃が好ましい。
【0042】
α-メチルスチレン樹脂(E)の含有率はホットメルト粘着剤100質量%中、1~9質量%であり、1~7質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
上記範囲でα-メチルスチレン樹脂(E)を含有することで、ホットメルト粘着剤の凝集力が増加し、ボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの抵抗力が増すため好ましい。
【0043】
<アルカリ剥離性ホットメルト粘着剤>
本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤は、スチレン系エラストマー(A)、ロジン系粘着付与剤(B)、プロセスオイル(C)、ポリプロピレンワックス(D)およびα-メチルスチレン樹脂(E)を含む。
【0044】
なお、本発明の課題解決ができる範囲でスチレン系エラストマー(A)以外のその他任意の熱可塑性エラストマーが使用できる。
その他熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2-ブタジエン系、塩ビ系等が挙げられる。
【0045】
また、本発明の課題解決ができる範囲でロジン系粘着付与剤(B)以外のその他任意の粘着付与剤が使用できる。
その他粘着付与剤としてはテルペン樹脂、脂環族炭化水素樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、等が挙げられる。その他粘着付与樹脂は、単独または2種以上を併用できる。
【0046】
本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤には、必要に応じ、熱劣化、熱分解を防ぐための酸化防止剤、蛍光増白剤などの色材などを添加することができる。
【0047】
酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル]プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0048】
蛍光増白剤としては、スチルベン系、クマリン系、オキサゾール系、ナフタルイミド系が挙げられる。これらの蛍光増白剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0049】
本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤は、紙、プラスチックフィルムなどをガラス、プラスチック、金属などの種々の基材に接着するための粘着剤として用いることができる。本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤は、貼り付けられた紙、フィルムなどを熱アルカリ水により簡単に剥離することができることから、清涼飲料水、調味料、洗剤、シャンプー、食用油、化粧品、医薬品などに使用されているガラス瓶などのガラス容器やPET (ポリエチレンテレフタレート) ボトルなどのプラスチック容器のラベル用粘着剤として用いることが好ましい態様として挙げられる。しかし本発明の粘着剤の用途はこのラベル用途に限られるものではなく、ガムテープ用、クリヤケース用、組み立て用など、従来知られた全ての用途の粘着剤として用いることができる。しかし、実施例において具体的に示すように、本発明のアルカリ剥離性粘着剤は、PETボトルリサイクル推進協議会が出している「指定PET ボトルの自主規制ガイドライン」の熱アルカリ水によるラベルの剥離要件を満たすことやボトル膨張によるラベルのずれに対するホットメルト粘着剤の追従性を有していることから、PETボトルにラベルを接着する際の粘着剤としての用途、すなわちPETボトルのリサイクル適合粘着剤用途が特に好ましいものである。
【0050】
PETボトルのラベル基材としては通常、二軸延伸ポリプロピレン(OPP) 、ポリエチレン(PE) 、PETさらには紙なども用いられている。また、ラベルとしては、アルカリ剥離性ホットメルト粘着剤が塗布される面と反対側、すなわちラベルの表面に、あるいはアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤が塗布される面、すなわちラベルの裏面に適宜印刷などが施されたものが用いられている。本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤は、印刷が施されたラベル印刷面に塗布することもできるし、勿論印刷が施されていないものに塗布されてもよく、いずれの場合にも、所定の接着性、剥離性と熱アルカリ水溶解性を示す。また、印刷は、ラベル裏面の全面が印刷されたものであってもよいし、面の一部が印刷されたものであってもよい。印刷は、グラビア印刷、UV印刷など、従来知られた印刷法の何れの方法により行われたものでもよい。
【0051】
<容器>
本発明における容器は、前記アルカリ剥離性ホットメルト粘着剤を用いてラベルが接着されたものを指す。上記の如く、本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤は、PET ボトルのラベルの接着に用いられることが好ましく、この場合、ラベルが接着されたPETボトルが本発明における容器である。
【0052】
PETボトルにおいては、PETボトルの胴周りの一部にラベルが貼着されたものの他、ボトルの胴周りを周状に覆うように巻きまわされた胴巻きラベルが利用されており、本発明の粘着剤は、この胴巻きラベルの接着にも好ましく用いられる。このような胴巻きラベルとしてはOPPフィルムが多用されている。本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤は、このようなOPPフィルムなどの胴巻きラベルについても、裏面に印刷がなされているものも、印刷がなされていないものも同様に、良好な接着を行うことができる。本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤は、ラベル裏面全面に塗工されてもよいが、粘着剤の塗工はラベル裏面の一部であってもよい。塗布方式としては、オープンホイール方式、クローズガン方式、ダイレクトコート方式などがある。剥がしたときにPETボトルなどに糊が残らない方式としては、オープンホイール方式、ダイレクトコート方式が好ましい。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明する。しかし、本発明
は、以下の実施例に限定されるものではない。例中、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
【0054】
[酸価]
酸価の測定は、JIS K5601-2-1酸価(滴定法)に準拠して行った。具体的には、試料1gを精密に量り、250mlのフラスコに入れ、エタノールまたはエタノールおよびエーテルの等容量混液50mlを加え、加温して溶かし、時々振り混ぜながら0 .1N水酸化カリウム液で滴定した(指示薬:フェノールフタレイン)。滴定の終点は、液の淡紅色が30秒残存する点とした。次いで、同様の方法で空試験を行って補正し、次の式から酸価の値を求めた。
酸価=〔0.1N水酸化カリウム液の消費量(ml)×5.611〕/〔〔試料量(g)〕
【0055】
[粘度]
固形分25質量%トルエン溶液の粘度の測定方法を下記に示す。撹拌機を有するステンレスビーカーに該当するスチレン系エラストマー60gとトルエン240gを投入し、エラストマーが溶解するまで25℃で撹拌した。調製した20質量%濃度の溶液をB 型粘度計RB80L(東機産業社製)を用い、ローターNo.3を用いて適した回転数で測定することで固形分25質量%トルエン溶液の粘度を得た。
【0056】
[軟化点]
軟化点の測定は、JIS K-2207(石油アスファルト)6.4軟化点試験方法(環球法)に準拠して行った。
【0057】
表1に記載の略称について、下記に示す。
[スチレン系エラストマー(A)]
<分岐型のスチレン系エラストマー(a1)>
・DX410:クレイトン DX410 (クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:18質量%、ジブロック含有率:60質量%、固形分25質量%トルエン溶液の25℃における粘度:1400mPa・s)
・D1184:クレイトン DX1184 (クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:31質量%、ジブロック含有率:16質量%、固形分25質量%トルエン溶液の25℃における粘度:20000mPa・s以上)
<直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)>
・T-439:アサプレンT-439 (旭化成社製)、スチレン含有率:45質量%
・TR2250:TR2250(JSR社製)、スチレン含有量:52%
・G1701:クレイトンG1701(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:37質量%
・A1535:クレイトンA1535(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:58質量%
【0058】
[ロジン系粘着付与剤(B)]
・RHR301:(丸善油化商事社製)、変性処理されていない水添ロジン、酸価:175 mgKOH/g
・ハリタックF:(ハリマ化成社製)、変性処理されていない水添ロジン、酸価:175 mgKOH/g
・KE-604:パインクリスタルKE-604(荒川化学社製)、酸変性ロジン、酸価:240 mgKOH/g
【0059】
[プロセスオイル(C)]
・N-90:ダイアナフレシアN-90 (出光興産社製)ナフテン系プロセスオイル(パラフィン:48質量%、ナフテン:46質量%、芳香族:6質量%)
・PW-90:ダイアナプロセスPW-90(出光興産社製)パラフィン系プロセスオイル(パラフィン:71質量%、ナフテン:29質量%、芳香族:なし)
【0060】
[ポリプロピレンワックス(D)]
・660-P:ビスコール 660-P(三洋化成工業社製)、軟化点:145℃
【0061】
[α-メチルスチレン樹脂(E)]
・SA100:シルバレスSA100(クレイトンポリマー社製)、軟化点:100℃
【0062】
[その他スチレン系エラストマー(a3)]
・D1126:クレイトンD1126(クレイトンポリマー社製、分岐型スチレン系エラストマー、スチレン含有率:19質量%、ジブロック含有率:30質量%、固形分25質量%トルエン溶液の25℃における粘度:420mPa・s)
・D1102:クレイトンD1102(クレイトンポリマー社製、直鎖型スチレン系エラストマー、スチレン含有率:29質量%)
【0063】
[その他粘着付与剤]
・FK125:ハリタックFK125(ハリマ化成社製)、ロジンエステル、酸価:17 mgKOH/g
・KR120:パインクリスタルKR120(荒川化学社製)、酸変性ロジン、酸価:325 mgKOH/g
・P-125:アルコンP-125(荒川化学社製)、脂環族飽和炭化水素樹脂、酸価:なし
【0064】
[その他ワックス]
・PP1602:リコセンPP1602(クラリアントジャパン社製)、無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス、軟化点:98℃
【0065】
[その他α-メチルスチレン樹脂]
・SA85:シルバレスSA85(クレイトンポリマー社製)、軟化点:85℃
【0066】
(実施例1)
<アルカリ剥離性ホットメルト粘着剤の製造>
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、プロセスオイル(C):N-90を35部、ポリプロピレンワックス(D):660-Pを0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物にスチレン系エラストマー(A)として分岐型のスチレン系エラストマー(a1):DX410を10部、直鎖型のスチレン系エラストマー(a2):T-439を6部徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、スチレン系エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、ロジン系粘着付与剤(B):RHR301を45部、α-メチルスチレン樹脂(E):SA100を3.5部添加して、溶融均一混合物とし、冷却してアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤を作製した。
【0067】
得られたアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤のアルカリ剥離性、接着強度(対OPP)、実貼り性を下記の方法により評価した。結果を表2に示す。
【0068】
<アルカリ剥離性>
(サンプル作製方法)
厚さ30μmのOPPフィルムに印刷を施したラベルの印刷面にホットメルト粘着剤を塗工量5~15g/m2、塗工面積15cm2で塗工( 温度条件:150℃)し、ホットメルト粘着剤付きのラベルを得た。
その後、サクミラベラー社製ラベラーで、速度80bpm にて、150℃で、1.5L丸型PETボトルに、前記ホットメルト粘着剤付きラベルを貼り付けた。
次いで、ホットメルト粘着剤付きラベルごとPETボトルを、約8mm×8mm角に粉砕して、ラベルが付いた状態のPETのペレットとした。
(試験方法)
1000ml丸型フラスコに、80~85℃の2.0質量%水酸化ナトリウム水溶液180gと前記ペレット20gを入れて、120rpmで攪拌(攪拌羽:プロペラ)した。10分後フィルターで濾過し、PETペレットに残った粘着剤の残存率(面積%)を目視で観察した。
(評価基準)
◎:ホットメルト粘着剤付きラベルおよびホットメルト粘着剤がPETのペレットに残存しない:非常に良好
○:ホットメルト粘着剤付きラベルが残らないが、ホットメルト粘着剤がPETのペレットに10%未満残る:良好
△:ホットメルト粘着剤がPETのペレットに10%以上30%未満残る:実用可
×:ホットメルト粘着剤がPETのペレットに30%以上残る:実用不可
【0069】
<接着強度>
(サンプル作製方法)
前記と同様にしてホットメルト粘着剤付きラベルを得た。厚さ30μmのOPPフィルムの非印刷面に前記ホットメルト粘着剤付きラベルを23℃で貼り付けて、ハンドローラーで1往復させて圧着し、15mm幅に断裁した。
(試験方法)
23℃の恒温室中で、180度剥離(剥離速度:300mm/分)で行った。
(評価基準)
◎:3.5N/15mm以上:非常に良好
○:2.5N/15mm以上3.5N/15mm未満:良好
△:1.5N/15mm以上2.5N/15mm未満:実用可
×:1.5N/15mm未満:実用不可
【0070】
<実貼り性>
(サンプル作製方法)
前記と同様にしてホットメルト粘着剤付きラベルを得た。その後、サクミラベラー社製ラベラーで、速度80bpmにて、150℃で、1.5L丸型PETボトルに、前記ホットメルト粘着剤付きラベルを貼り付けた。得られたラベル付きボトルに炭酸水(市販品)を充填し、実貼り性評価に使用するサンプルを得た。
(試験方法)
40℃の恒温オーブン内に前記ボトルを入れ、1週間後の外観を観察した。
(評価基準)
◎:ラベルのズレが1mm未満:非常に良好
○:ラベルのズレが1mm以上10mm未満:良好
△:ラベルのズレが10mm以上:実用可
×:ラベルが剥がれる:実用不可
【0071】
(実施例2~25、比較例1~15)
表1、2に示す組成にて、スチレン系エラストマー(A)、ロジン系粘着付与剤(B)
、プロセスオイル(C)、ポリプロピレンワックス(D)、α-メチルスチレン樹脂(E
)およびその他成分を実施例1と同様に溶融・混合して、ホットメルト粘着剤を作製し、
同様に評価した。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
表3の実施例1~25から、本発明のホットメルト粘着剤は、ホットメルト粘着剤を薄膜塗工した場合にも、接着強度やボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの追従性(実貼り性)が高く、ラベルが剥がれにくく、さらにアルカリ剥離性を有する。
一方、比較例1~16のホットメルト粘着剤は、アルカリ剥離性、接着強度、実貼り適性の全てを満足する結果は得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したとおり、本発明のアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤により、使用後容器などが不要になりリサイクルする時に簡単にラベルが剥離し、また熱アルカリ水溶液に浸漬することにより簡単に分別することが可能になる。また、PET ボトルに限らずガラス容器でも同様な性能を発揮することが判っており、ガラス容器のリサイクルにも適したホットメルト粘着剤である。
【要約】
【課題】ホットメルト粘着剤を薄膜塗工した場合にも、接着強度やボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの抵抗力と追従性(実貼り性)が高く、長期保管した際にラベルが剥離しにくいとともに、熱アルカリ水溶液により容器から接着物を容易且つ糊残りなく剥がすことのできるアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤、および胴巻きラベルの提供。
【解決手段】分岐型のスチレン系エラストマー(a1)および直鎖型のスチレン系エラストマー(a2)を含むスチレン系エラストマー(A)、酸価が100~300mgKOH/gのロジン系粘着付与剤(B)、プロセスオイル(C)を含み、さらに軟化点が100℃以上のポリプロピレンワックス(D)と軟化点が90℃以上のα-メチルスチレン樹脂(E)を特定量含むアルカリ剥離性ホットメルト粘着剤。
【選択図】 なし