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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】上半身衣類および上半身衣類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/12 20060101AFI20231018BHJP
   A41C 5/00 20060101ALI20231018BHJP
   A41C 3/10 20060101ALI20231018BHJP
   A41C 3/04 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A41C3/12 A
A41C3/12 Z
A41C5/00 Z
A41C3/10 A
A41C3/12 C
A41C3/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018207673
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020070531
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】杉原 喜久美
(72)【発明者】
【氏名】石山 麻子
【審査官】岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-201065(JP,A)
【文献】特開2015-190079(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195448(JP,U)
【文献】特開平10-251904(JP,A)
【文献】特開2003-278005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/12
A41C 5/00
A41C 3/10
A41C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の胸を覆う前部と、前記着用者の背中の上部を覆う後部と、を有する本体部と、
前記着用者の前記胸を覆うパッドと、
前記本体部の前記前部の裏側に配置されたパッド受け布と、
前記本体部の前記前部と前記パッド受け布との間に形成され、前記パッドを収容する空間であるパッド収容部と、を備え、
前記本体部の前記前部と前記パッド受け布との間には、前記パッド収容部の周囲の領域において接着部が形成され、
記パッド受け布にのみ縫着された左右一対の脇サポート部を更に備え、前記脇サポート部は、前記パッド収容部に重なり合うパッド重なり部を含む、上半身衣類。
【請求項2】
前記接着部は、前記パッド収容部よりも下に形成された下接着領域を含み、
前記下接着領域と前記パッド収容部との間には、左右の2箇所において下方に膨れるように湾曲するバージスラインが形成されており、
前記脇サポート部は、少なくとも前記パッド収容部に重なり合うように配置されると共に、前記パッド収容部上で上下方向に延在する左右一対の前中心側端部を含み、前記前中心側端部が前記バージスラインの左右の下端部にそれぞれ交差している、請求項1に記載の上半身衣類。
【請求項3】
前記脇サポート部は、少なくとも前記パッド収容部に重なり合うように配置されると共に、前記前部上で上下方向に延在する左右一対の前中心側端部を含み、前記前中心側端部が前記前部のバストトップ部よりも外側を通っている、請求項1または2に記載の上半身衣類。
【請求項4】
前記前部の上縁部と前記後部の上縁部とに接続された左右一対の肩ストラップ部を更に備え、
前記パッド受け布は、前記肩ストラップ部の裏側に接着された左右一対の延長部を含み、
前記脇サポート部は、前記肩ストラップ部の少なくとも一部に重なり合うと共に、前記パッド受け布に縫着されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の上半身衣類。
【請求項5】
着用者の胸を覆う前部と、前記着用者の背中の上部を覆う後部と、を有する本体部を備える上半身衣類の製造方法であって、
パッド受け布上の所定位置に左右一対の脇サポート部を配置し、前記パッド受け布にのみ前記脇サポート部を縫着する縫着工程と、
前記脇サポート部が縫着された前記パッド受け布の少なくとも周縁部に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記前部の裏側に前記パッド受け布を接着し、前記前部と前記パッド受け布の間に、前記着用者の前記胸を覆うパッドを収容する空間であるパッド収容部を形成すると共に、前記パッド収容部の周囲の領域において接着部を形成する接着工程と、
前記パッドを前記パッド収容部に収容するパッド収容工程と、を含み、
これら一連の工程を行った結果、前記脇サポート部の一部が前記パッド収容部に重なり合った構成を備える上半身衣類を得る、上半身衣類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上半身衣類および上半身衣類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、カップ体が着脱自在に配置されたハーフトップ等の上半身衣類が知られている。この衣類では、伸縮性を有する生地によって形成された本体部のバスト部の裏側に、裏当部が結合されている。この裏当部により、カップ体を収容する収容ポケットが形成されている。裏当部の中心部分には、上下方向に延びる開口部が形成されている。この開口部を通して、カップ体が収容ポケット内に挿入される。収容ポケット内においてカップ体の位置ずれや回転が防がれ、よって、カップ体が着用者のバストに安定して密着する。
【0003】
一方、特許文献2に記載されるように、前身生地および後身生地と、これらの裏側に設けられる肌側身生地と、胸の隆起部を被覆する2つのパッドとにより構成された上半身衣類が知られている。この衣類では、パッドの横辺および下辺が肌側身生地に縫着されている。肌側身生地のうちパッドとは縫着されていない辺部が、前身生地に縫着されている。着用者の胸部横から脇下の領域には、伸縮性生地が設けられている。この伸縮性生地は、前身生地の脇部の裏側に縫着されており、前身生地と肌側身生地の間に設けられている。
【0004】
また、特許文献3に記載されるように、伸縮性を有する前身頃と、前身頃の胸部分の裏面に取り付けられた袋部材と、袋部材に入れられバストを覆うカップ部材とを有する上半身衣類が知られている。この衣類では、肩部からバストの両脇に至る左右一対の第1裏地と、これらの第1裏地の間に縫い合わされた第2裏地とが、前身頃の胸部分の裏側に設けられている。袋部材の周囲(山形の上端部)は、第1裏地および第2裏地にそれぞれ縫い合わされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/191806号
【文献】特開2013-213304号公報
【文献】特開2009-191418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1に記載の衣類では、たとえば着用者のバストのサイズが大きい場合に、裏当部およびカップ体の部分がバストを支えきれず、バストが脇へ流れてしまう可能性がある。一方で、上記した特許文献2に記載の衣類では、脇部全体を覆う形状に形成された伸縮性生地が、脇部の裏側に縫着されており、この部分の生地が、3重となってサポート力を増大させ、バストを横から支持して、就寝時にバストが横に流れることを防いでいる。しかしながら、縫製技術を適用して強度をもたせようとすると、前身生地の表側に縫製線が現れて、外観に影響してしまう。また特許文献3に記載の衣類でも、前身頃の裏側に、袋部材と第1裏地および第2裏地とが取り付けられているが、強度の観点で十分とは言えない。
【0007】
本発明は、バストが脇へ流れてしまうことを防ぎ得る強度を備えつつ、表側に縫製線が現れないため、アウターに響かず、滑らかな外観を実現することのできる上半身衣類および上半身衣類の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る上半身衣類は、着用者の胸を覆う前部と、着用者の背中の上部を覆う後部と、を有する本体部と、着用者の胸を覆うパッドと、本体部の前部の裏側に配置されたパッド受け布と、本体部の前部とパッド受け布との間に形成され、パッドを収容する空間であるパッド収容部と、を備え、本体部の前部とパッド受け布との間には、パッド収容部の周囲の領域において接着部が形成され、本体部の前部の左右の側部に重なり合うと共にパッド受け布に縫着された左右一対の脇サポート部を更に備える。
【0009】
この上半身衣類によれば、本体部の前部とパッド受け布との間に形成されたパッド収容部に、パッドが収容され、前部およびパッドが、着用者の胸を覆う。パッド受け布は、本体部の前部に接着されているため、前部の表側に縫製線が現れることはない。このパッド受け布には、左右一対の脇サポート部が縫着されている。脇サポート部は、本体部の前部の左右の側部に重なり合うので、着用者のバストを側方から支え、バストが脇へ流れてしまうことを防ぐことができる。脇サポート部はパッド受け布に縫着され、そのパッド受け布は本体部の前部の裏側に接着されているので、脇サポート部は露出することなく隠れており、脇サポート部の取付けに関わる縫製線も、前部の表側には現れない。したがって、バストが脇へ流れてしまうことを防ぎ得る強度を備えつつ、表側に縫製線が現れないため、アウターに響かず、滑らかな外観が実現される。
【0010】
接着部は、パッド収容部よりも下に形成された下接着領域を含み、下接着領域とパッド収容部との間には、左右の2箇所において下方に膨れるように湾曲するバージスライン(登録商標)が形成されており、脇サポート部は、少なくともパッド収容部に重なり合うように配置されると共に、パッド収容部上で上下方向に延在する左右一対の前中心側端部を含み、前中心側端部がバージスラインの左右の下端部にそれぞれ交差してもよい。この場合、脇サポート部の前中心側端部がバージスラインの左右の下端部にそれぞれ交差するので、脇サポート部が、着用者のバストを下方から好適に支える。なお、バージスラインとは、一般的に、着用者のバストの膨らみの下部境界ラインを意味する。本明細書においては、バージスラインは、そのバストの膨らみの下部境界ラインに対応する、上半身衣類の位置(線状の部分)を意味する。なお、バージスラインは、サイズ毎に様々な着用者に適合し易い形状を設定している。
【0011】
脇サポート部は、少なくともパッド収容部に重なり合うように配置されると共に、前部上で上下方向に延在する左右一対の前中心側端部を含み、前中心側端部が前部のバストトップ部よりも外側を通ってもよい。この場合、脇サポート部の前中心側端部は、バストトップ部を避けるようにして延在するので、脇サポート部がバストトップ部を押さえない。よって、着用者のバストを側方から支えつつ、バストトップの高さを維持することができる。
【0012】
前部の上縁部と後部の上縁部とに接続された左右一対の肩ストラップ部を更に備え、パッド受け布は、肩ストラップ部の裏側に接着された左右一対の延長部を含み、脇サポート部は、肩ストラップ部の少なくとも一部に重なり合うと共に、延長部に縫着されてもよい。この場合、パッド受け布の延長部にまで脇サポート部が重なり合って縫着されている。したがって、肩ストラップ部から本体部の前部にかけて、本体部、パッド受け布および脇サポート部の3重構造が形成されており、バストが脇に流れるのを防ぐとともに、バストを引き上げることができる。縫製線のない滑らかな外観が失われることもない。
【0013】
本発明の別の態様に係る上半身衣類の製造方法は、着用者の胸を覆う前部と、着用者の背中の上部を覆う後部と、を有する本体部を備える上半身衣類の製造方法であって、パッド受け布上の所定位置に左右一対の脇サポート部を配置し、パッド受け布に脇サポート部を縫着する縫着工程と、脇サポート部が縫着されたパッド受け布の少なくとも周縁部に接着剤を塗布する塗布工程と、前部の裏側にパッド受け布を接着し、前部とパッド受け布の間に、着用者の胸を覆うパッドを収容する空間であるパッド収容部を形成すると共に、パッド収容部の周囲の領域において接着部を形成する接着工程と、パッドをパッド収容部に収容するパッド収容工程と、を含み、これら一連の工程を行った結果、本体部の前部の左右の側部に脇サポート部が重なり合った構成を備える上半身衣類を得る。
【0014】
この上半身衣類の製造方法によれば、縫着工程においてパッド受け布に脇サポート部が縫着され、その後、接着工程において、脇サポート部が縫着されたパッド受け布が前部の裏側に接着される。その結果得られる上半身衣類では、脇サポート部は、本体部の前部の左右の側部に重なり合うので、着用者のバストを側方から支え、引き上げバストが脇へ流れてしまうことを防ぐことができる。脇サポート部はパッド受け布に縫着され、そのパッド受け布は本体部の前部の裏側に接着されているので、脇サポート部は露出することなく隠れており、脇サポート部の取付けに関わる縫製線も、前部の表側には現れない。よって、バストが脇へ流れてしまうことを防ぎ得る強度を備えつつ、表側に縫製線が現れないため、アウターに響かず、滑らかな外観を有する上半身衣類を製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、バストが脇へ流れてしまうことを防ぎ得る強度を備えつつ、表側に縫製線が現れないため、アウターに響かず、滑らかな外観が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の第1実施形態に係る上半身衣類を示す正面図である。
図2図1に示した上半身衣類の背面図である。
図3図1に示した上半身衣類を裏返して示す正面図である。
図4図1に示した上半身衣類を裏返して示す背面図である。
図5図1のV-V線に沿った断面図である。
図6】バージスライン付近における接着剤の塗布状態を示す図である。
図7図7(a)、図7(b)および図7(c)は、図1に示した上半身衣類の製造工程をそれぞれ示す斜視図である。
図8】上半身衣類の着用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の説明では、便宜上、上半身衣類の着用状態を想定して「上」「下」等の用語を使用する。
【0018】
まず、図1および図2を参照して、上半身衣類1の基本構成について説明する。上半身衣類1は、たとえばハーフトップとして構成されている。ハーフトップは、タンクトップと比較して丈が短く、着用者の腹部および腰部が露出するようになっている。上半身衣類1は、着用者のバスト周りの胴部を覆うように構成された本体部2と、左右一対の肩ストラップ部3,3と、着用者のバスト(胸)を覆う一体パッド4とを備えている。本明細書において、「胸」は、着用者の上半身における前側の上部の広い範囲を意味し、「バスト」は、胸のうち、着用者の乳房の部分を意味する。
【0019】
本体部2は、伸縮性を有する生地であればよく、たとえば端始末不要の生地によって形成されている。このような生地としては、緯編地や経編地が用いられ、たとえばスムース、フライス、天竺、トリコット、ラッセルなどが挙げられる。本体部2は、着用者の胸を覆う前部5と、着用者の背中の上部を覆う後部6とを有する。前部5は、上半身衣類1を平置きした場合に前面に位置する部分であり、後部6は、上半身衣類1を平置きした場合に後面に位置する部分である。前部5と後部6とは、本体部2の両脇で連続し、着用者の胸周りを包囲するように筒状をなしている。図1および2に示されるように、本実施形態では、前部5の大部分をなす生地M1の横方向の端部M1a,M1aと、と後部6の大部分をなす生地M2の横方向の端部M2a,M2aとが、重なり合って接着されている。これらの接着部は、たとえば後部6側に形成されるが、本体部2は、このような構成に限られない。本体部2は、2箇所ではなく1箇所のみの接着部を有してもよいし、接着部を有さずに筒状の連続した生地から構成されてもよい。接着部に替えて縫着部が形成されてもよい。
【0020】
前部5の上縁部5aおよび後部6の上縁部6aは、上半身衣類1の襟刳りに相当し、いずれも下方に向かって緩やかな凹状をなしている。前部5の下縁部5bおよび後部6の下縁部6bは、上半身衣類1の裾に相当する。前部5の下縁部5bは、横方向に延びる直線状となっており、後部6の下縁部6bは、前部5の下縁部5bよりもやや上方の位置で横方向に延びるように湾曲している。なお、前部5の下縁部5bが横方向に延びるように湾曲していてもよく、後部6の下縁部6bが、横方向に延びる直線状であってもよい。また、下縁部5b、6bの直線状部、湾曲部が波型となっていてもよい。
【0021】
前部5は、左右の側部15,15と、これらの側部15,15の間に配置された前中心部17とを含む。後部6は、左右の側部16,16を含む。前部5の側部15の側上部15a,15aおよび後部6の側部16の側上部16a,16aは、上半身衣類1の袖刳りに相当し、いずれも中心側に向かって緩やかな凹状をなしている。前部5の側部15の側下部15b,15bおよび後部6の側部16の側下部16b,16bは、上半身衣類1の脇裾に相当し、下方に向かって本体部2の身幅が小さくなるように垂下する直線状をなしている。
【0022】
肩ストラップ部3は、前部5の上縁部5aと後部6の上縁部6aとを繋ぐように帯状に設けられている。肩ストラップ部3は、たとえば本体部2と同じ端始末不要の伸縮性を有する生地によって、本体部2と一体に形成されている。肩ストラップ部3は、着用時に着用者の両肩にそれぞれ正面から背面にかけて掛け渡され、上半身衣類1の装着をサポートする。
【0023】
肩ストラップ部3は、前部5の上縁部5aに接続された前ストラップ部21と、後部6の上縁部6aに接続された後ストラップ部22と、前ストラップ部21と後ストラップ部22との間に形成された頂部26とを有する。前ストラップ部21は、本体部2の前部5と一体に形成され、前部5から頂部26に向けて徐々に狭くなる幅を有する前ストラップ本体部23を含む。後ストラップ部22は、本体部2の後部6と一体に形成され、後部6から頂部26に向けて徐々に狭くなるが頂部26付近では一定となる幅を有する後ストラップ本体部25を含む。前ストラップ本体部23の上端部と後ストラップ本体部25の上端部とが重なり合って接着または縫着によって結合されてもよい。その結合部が頂部26を形成してもよい。前ストラップ本体部23と後ストラップ本体部25とは、一体の生地からなり、頂部26を介して切れ目なく連続していてもよい。
【0024】
前ストラップ部21は、左右方向の中心側に位置する前内端縁(第1端縁)21aと、前内端縁21aとは反対側に位置する前外端縁(第2端縁)21bとを含む。後ストラップ部22は、左右方向の中心側に位置する後内端縁(第1端縁)22aと、後内端縁22aとは反対側に位置する後外端縁(第2端縁)22bとを含む。前外端縁21b、後外端縁22b、前部5の側上部(上端縁)15a、および後部6の側上部(上端縁)16aによって、左右一対のアームホールHが形成されている。
【0025】
一方、一体パッド4は、バストの整形や着用者の乳頭が透けてしまうことの防止などを目的として前部5に配置されている。一体パッド4は、左右一対のパッド11,11と、パッド11,11を前中心側で連結する連結部12とを有している。パッド11,11および連結部12は、たとえばウレタンなどの弾性材料を用いたモールド成型による一体成型品となっている。一体パッド4、パッド11は、一体カップ、カップと称してもよい。前部5は、各パッド11の中央部分(もっとも突出した部分)において、バストトップ部5cを有する。このバストトップ部5cは、着用者のバストトップに対応する位置に形成され、着用者のバストトップを覆う。
【0026】
パッド11は、全体として着用者のバスト形状に対応する椀形状をなしており、正面視においては円に近い形状を有している。連結部12は、左右のパッド11,11に対して上下にくびれた形状をなしている。一体パッド4のパッド11,11および連結部12の形状は、一体パッド4が着用者のバストにフィットするように、適宜に決定されている。なお、一体パッド4は、一体成型品である構成に限られない。連結部12が省略され、一体パッド4が独立した2つのパッド11,11であってもよい。
【0027】
続いて、図1および図3を参照して、上半身衣類1が前部5の裏面側に備える構成について詳細に説明する。図3は、上半身衣類1を裏返して示す正面図である。図3に示されるように、上半身衣類1は、前部5の裏側に配置されたパッド受け布13を備える。パッド受け布13は、前部5の裏面5f(肌側。図7(c)参照)に結合されている。このパッド受け布13の結合により、前部5の裏側には、一体パッド4を収容する空間であるパッド収容部Sが形成されている。すなわち、本体部2の前部5とパッド受け布13との間に、パッド収容部Sが形成されている。パッド収容部Sの形成にあたり、パッド受け布13との結合後に前部5およびパッド受け布13への熱成型加工が施されてもよい。これにより、前部5において生地の立体感を造形でき、着用者のバスト形状および一体パッド4の膨らみに対応したパッド収容部Sを構成できる。この場合、前部5およびパッド受け布13の伸縮性、伸長回復性などの素材特性により、前部5およびパッド受け布13のそれぞれに熱成型加工を施すか否かを選定することが好ましい。これにより、前部5の着圧が適切に調整され、バストの安定感が高められる。
【0028】
パッド受け布13は、たとえば本体部2と同じ端始末不要の伸縮性を有する生地によって形成されている。パッド受け布13の上縁部13aは、前部5の上縁部5aの湾曲形状に沿うように、下方に向かって緩やかな凹状をなしている。パッド受け布13の上縁部13aの両脇部分には、肩ストラップ部3の前ストラップ本体部23と同程度の幅をもって上方に張り出す延長部14がそれぞれ設けられている。延長部14は、前ストラップ本体部23の裏側に配置され、肩ストラップ部3の頂部26に達している。延長部14は、肩ストラップ部3の前ストラップ本体部23に重ね合され、前ストラップ本体部23の伸びが過剰になることを抑制する。すなわち、延長部14は、前ストラップ本体部23の伸長性を低減させる。パッド受け布13の下縁部13bは、前部5の下縁部5bの形状に対応した直線形状をなしている。なお、パッド受け布13の下縁部13bは、一体パッド4の下縁部分の形状に対応した湾曲形状をなしてもよい。
【0029】
パッド受け布13は、本体部2の前部5の外形に略等しい外形を有する。パッド受け布13の大きさは、本体部2を平置きした場合の前部5の大きさと略同じか、前部5の大きさよりも僅かに小さい。
【0030】
パッド受け布13は、左右の側部18,18と、これらの側部18,18の間に配置された中央部19と、上記の延長部14,14とを含む。パッド受け布13の側上部18a,18aは、前部5の左右の側上部15a,15aの湾曲形状に沿った湾曲形状をなしている。また、パッド受け布13の側部18の側下部18b,18bは、前部5の左右の側下部15b,15bに沿った略直線状をなしている。
【0031】
本実施形態では、パッド受け布13は、本体部2の前部5の裏面5f(図7(c)参照)に接着されている。パッド受け布13の延長部14は、前ストラップ本体部23の裏面に接着されている。より詳細には、パッド受け布13の表面13e側における周縁部に接着剤ADが塗布され(図7(b)参照)、パッド受け布13の表面13eが前部5の裏面5fに貼り合わされている。これにより、図3に示されるように、前部5とパッド受け布13との間には、パッド収容部Sの周囲の領域において接着部Aが形成されている。接着部Aは、パッド収容部Sよりも上(すなわち上縁部13a側)に形成された上接着領域Aaと、パッド収容部Sよりも下(すなわち下縁部13b側)に形成された下接着領域Abと、パッド収容部Sの左右の両側に形成された一対の側接着領域Ac,Acと、上接着領域Aaおよび側接着領域Ac,Acに連続するように延長部14の部分に形成された左右一対の延長接着領域Adとを含む。接着部Aは、所望のパッド収容部Sの大きさ、形状、および位置に対応して、パッド収容部Sを除く領域に形成される。
【0032】
このように、接着部Aは、パッド受け布13の周縁部に形成されている。前部5にパッド受け布13を結合させることにより、パッド収容部Sを形成するとともに、接着部Aが前部5の伸長性を低減させている。言い換えれば、前部5の強度を高めている。
【0033】
接着部Aの下接着領域Abとパッド収容部Sとの間には、左右の2箇所において下方に膨れるように湾曲するバージスラインLが形成されている。各バージスラインLは、パッド11の下縁部にほぼ対応する湾曲形状をなしている。
【0034】
パッド受け布13の中央部19には、一体パッド4におけるパッド11、11の連結方向(すなわち、上半身衣類1を正面から見た場合の左右方向)に延びる開口部20が形成されている。開口部20は、パッド収容部Sに対して一体パッド4を着脱するための部分である。開口部20は、たとえばパッド受け布13に直線状の切り込みを入れることによりスリット状に形成されている。パッド受け布13に伸縮性を有する生地を用いている場合には、直線状の切り込みを入れることで、上下端が尖った略楕円形状の開口部20が形成される。
【0035】
開口部20は、接着部Aには重ならない領域に形成される。開口部20は、パッド収容部S内に配置された一体パッド4における連結部12の縁部と重ならない位置に設けられている。開口部20は、たとえば、前中心部分において一体パッド4の連結部12の上縁部よりも上方に位置している。したがって、開口部20からはパッド収容部S内の一体パッド4自体が露出せず、前部5の裏側の生地のみが開口部20を通して視認し得る状態となっている。なお、開口部20の位置、形状、大きさは、適宜に変更されてもよい。たとえば、一体パッド4が別個の2つのパッド11,11を有する場合には、これらのパッド11,11を着脱するための2つの開口部が形成されてもよい。
【0036】
続いて、図3および図5を参照して、上半身衣類1が前部5の裏面側に備える構成について、更に詳細に説明する。図5は、図1のV-V線に沿った断面図である。図3および図5に示されるように、パッド受け布13の裏面13fには、左右一対の脇サポート部30,30が縫着されている。たとえば、脇サポート部30,30の周縁部が全体にわたって縫着されている。脇サポート部30,30の周縁部の一部分(一部の辺等)は縫着されておらず、周縁部の他の部分(他の辺等)が縫着されていてもよい。脇サポート部30は、たとえば本体部2と同じ端始末不要の伸縮性を有する生地(布)によって形成されている。脇サポート部30を形成する生地は、本体部2と同様であってもよく、本体部2を形成する生地と異なってもよい。脇サポート部30を形成する生地の伸縮性(又は伸長性)は、本体部2を形成する生地の伸縮性(又は伸長性)と同じであってもよいし、本体部2を形成する生地の伸縮性(又は伸長性)より低くてもよい。各脇サポート部30は、パッド受け布13の側部18を覆うように設けられている。より詳細には、各脇サポート部30は、パッド受け布13の側部18と延長部14とに重なり合うように設けられている。
【0037】
脇サポート部30は、パッド受け布13の側部18に重なり合う脇サポート本体部31と、パッド受け布13の延長部14に重なり合う脇サポート延長部32とを有する。各脇サポート本体部31は、パッド受け布13の下縁部13bに略一致する直線状の下辺31eと、パッド受け布13の側下部18bに略一致する直線状の下側辺31fと、パッド受け布13の側上部18aに略一致する湾曲形状の上側辺31gとを含む。脇サポート本体部31に連続して一体に形成された脇サポート延長部32は、延長部14の幅に略一致する幅を有する。脇サポート延長部32は、肩ストラップ部3の頂部26に達している。なお、パッド受け布の各部に略一致する脇サポート部の各辺は、パッド受け布の各辺のやや内側であることが好ましい。
【0038】
各脇サポート部30は、本体部2の前部5の各側部15に重なり合うように配置されている。各脇サポート部30は、パッド収容部Sに相当する領域と、側接着領域Acに相当する領域との両方に設けられている。これにより、脇サポート部30は、着用者のバストの外側部を覆うように構成されている。本明細書において、「重なり合う」とは、生地と生地とが対面して直接接触することができる状態と、生地と生地とが、他の別の1又は複数の生地および/または部材を介して対面する状態(したがってこれらの生地は接触しない)と、の両方を含む意である。言い換えれば、「重なり合う」とは、生地の厚み方向から見て(たとえば前部5に対しては正面視において)、同じ領域に設けられていることを意味する。
【0039】
図3および図5に示されるように、各脇サポート本体部31は、パッド収容部Sに重なり合うパッド重なり部31aと、パッド重なり部31aの左右の外側に配置されて側接着領域Acに重なり合う側端部31bとを含む。脇サポート部30は、パッド収容部S上で上下方向に延在する(上縁部13aと下縁部13bの間に延在する)左右一対の前中心側端部31cを含む。図3に示されるように、脇サポート本体部31の下側辺31fおよび上側辺31gとは反対側の端部である前中心側端部31cは、左右の外方に向かって緩やかな凹状をなしている。前中心側端部31cは、上記したバージスラインLの左右の下端部Laにそれぞれ交差している。ここで、バージスラインLの下端部Laとは、バージスラインLの中でもっとも下に位置する点のみを意味すると解されるべきではなく、その点を含む半径2cm程度の領域を意味すると解されるべきである。
【0040】
図3および図5に示されるように、脇サポート部30の前中心側端部31cは、前部5のバストトップ部5cよりも外側を通っている。
【0041】
続いて、図2および図4を参照して、上半身衣類1が肩ストラップ部3の裏面側に備える構成について説明する。図2は、図1に示した上半身衣類の背面図である。図4は、図1に示した上半身衣類を裏返して示す背面図である。図2および図4に示されるように、後ストラップ本体部25の裏面には、後内端縁22aおよび後外端縁22bに沿うように設けられて所定の幅を有する引上げサポート部24が接着されている。引上げサポート部24は、上下方向に延在しており、その上端部24aは肩ストラップ部3の頂部26に達している。引上げサポート部24の下端部24bは、後ストラップ本体部25の下端部すなわち後部6の上縁部6a付近に位置している。引上げサポート部24の下端部24bは、アームホールHの下端Hbよりも上方に位置してもよいし、上下方向においてアームホールHの下端Hbに揃うように位置してもよい。引上げサポート部24は、肩ストラップ部3の後ストラップ本体部25に重ね合され、後ストラップ本体部25の伸びが過剰になることを抑制する。すなわち、引上げサポート部24は、後ストラップ本体部25の伸長性を低減させる。
【0042】
パッド受け布13の延長部14および脇サポート部30の脇サポート延長部32と、引上げサポート部24とは、頂部26において重ね合わされ、前ストラップ本体部23および後ストラップ本体部25に対して一体に縫着されていてもよい。これにより、頂部26では、生地が5重に重なった構造が形成されている。
【0043】
続いて、図6および図7(a)~図7(c)を参照して、上半身衣類1の製造方法について説明する。まず、図7(a)に示されるように、パッド受け布13上の左右の側部18の位置に、左右一対の脇サポート部30を配置し、パッド受け布13に脇サポート部30を縫着する(縫着工程)。より詳細には、脇サポート部30の表面30eをパッド受け布13の裏面13fに重ね合わせ、脇サポート部30の周縁部に沿って、公知の方法で脇サポート部30を縫着する。これにより、脇サポート部30が縫着された一対の裏当部40が得られる。この状態で、パッド受け布13の表面13eおよび脇サポート部30の裏面30fには、縫製線60(図7(b)参照)が露出している。
【0044】
次に、図7(b)に示されるように、脇サポート部30が縫着されたパッド受け布13(上記の裏当部40)の周縁部の表面13eに、接着剤ADを塗布する(塗布工程)。接着剤ADとしては、たとえば、熱可塑性の接着剤等が用いられ得る。ただし、接着剤ADの種類は特に限定されない。接着剤ADは、接着部Aに対応する領域、すなわちパッド収容部Sが予定される領域を除く領域に塗布される。接着剤ADの一部は、パッド受け布13の表面13eに露出する縫製線60上にも塗布される。
【0045】
この塗布工程においては、図6に示されるように、複数のドット状の塗布部51と、複数の長円状または楕円状の塗布部52とを配列させる。塗布部52の密度は、塗布部51の密度よりも高いため、塗布部52が塗布された部分の伸長性が抑えられている。所定のピッチをもって並ぶ一列の塗布部51と、そのピッチの半分だけずらして配置された別の一列の塗布部51とが配列される。所定のピッチをもって並ぶ一列の塗布部52と、そのピッチの半分だけずらして配置された別の一列の塗布部52とが配列される。複数列の塗布部51と、他の複数列の塗布部51との間に、複数列の塗布部52が配置される。複数列の塗布部52は、バージスラインLが予定される箇所のやや下方に沿って形成される。このような塗布部52により、バストが大きい着用者が上半身衣類1を着用した場合であっても、塗布部52がバストに重ならず、かつ、バストの下部を安定させることができる。
【0046】
次に、図7(c)に示されるように、前部5の大部分をなす生地M1の裏面5fにパッド受け布13(裏当部40)を接着する(接着工程)。この接着工程により、前部5とパッド受け布13の間に、パッド収容部Sを形成すると共に、パッド収容部Sの周囲の領域において接着部Aを形成する。この接着工程では、接着剤の種類や生地M1の種類等に応じて、公知の方法から適切な方法が選択され得る。
【0047】
そして、接着工程の後、前部5の大部分をなす生地M1の横方向の端部M1a,M1aと、後部6の大部分をなす生地M2の横方向の端部M2a,M2aとを重ねて接着する。その後、パッド受け布13の延長部14および脇サポート部30の脇サポート延長部32と、引上げサポート部24とを、頂部26において重ね合せ、前ストラップ本体部23および後ストラップ本体部25に対して一体に縫着する(本体部形成工程)。そして、一体パッド4を、開口部20を通じてパッド収容部Sに収容し(パッド収容工程)、本体部2を表向きに戻す。これら一連の工程を行った結果、本体部2の前部5の左右の側部15に脇サポート部30が重なり合った構成を備える上半身衣類1を得る。上半身衣類1では、図1および図2に示されるように、本体部2の表面側には、縫製線60は一切現れていない。前部5にも後部6にも、製品の表側には、縫製線60は一切現れていない。なお、縫着工程および接着工程と、本体部形成工程とは、本体部2の構造に応じて上記とは別の順序で実施されてもよい。
【0048】
本実施形態の上半身衣類1によれば、本体部2の前部5とパッド受け布13との間に形成されたパッド収容部Sに、一体パッド4が収容され、前部5および一体パッド4が、着用者の胸を覆う。パッド受け布13は、本体部2の前部5に接着されているため、前部5の表側に縫製線が現れることはない。このパッド受け布13には、左右一対の脇サポート部30が縫着されている。脇サポート部30は、本体部2の前部5の左右の側部15に重なり合うので、着用者のバストを側方から支え、バストが脇へ流れてしまうことを防ぐことができる(図8参照)。脇サポート部30はパッド受け布13に縫着され、そのパッド受け布13は本体部2の前部5の裏面5fに接着されているので、脇サポート部30は露出することなく隠れており、脇サポート部30の取付けに関わる縫製線60も、前部5の表側には現れない。したがって、バストが脇へ流れてしまうことを防ぎ得る強度を備えつつ、縫製線が表側に表れずに滑らかな外観が実現される。着用者のバストのサイズが大きい場合には、この強度に関する効果は、より顕著に発揮される。
【0049】
本実施形態の上半身衣類1の製造方法によれば、縫着工程においてパッド受け布13に脇サポート部30が縫着され、その後、接着工程において、脇サポート部30が縫着されたパッド受け布13が、前部5の裏面5fに接着される。よって、バストが脇へ流れてしまうことを防ぎ得る強度を備えつつ、表側に縫製線が現れないため、アウターに響かず、滑らかな外観を有する上半身衣類1を複雑な工程を要することなく製造できる。
【0050】
上半身衣類1では、脇サポート部30の前中心側端部31cがバージスラインLの左右の下端部Laにそれぞれ交差するので、脇サポート部30が、着用者のバストを引き上げるとともに、側方から好適に支える。
【0051】
脇サポート部30の前中心側端部31cは、バストトップ部5cを避けるようにして延在するので、脇サポート部30がバストトップ部5cを押さえない。よって、着用者のバストを側方から支えつつ、バストトップの高さを維持することができる。
【0052】
パッド受け布13の延長部14にまで脇サポート部30が重なり合って縫着されているので、肩ストラップ部3から本体部2の前部5にかけて、パッド受け布13および脇サポート部30の3重構造が形成されており、バストが脇に流れるのを防ぐとともに、バストを引き上げることができる。しかも、縫製線のない滑らかな外観が失われることもない。この前ストラップ部21の構造と、バージスラインLの左右の下端部Laに交差するように配置された脇サポート部30とによって、バストの引き上げ効果がより好適に発揮される。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、脇サポート部30は、延長接着領域Adには重なり合わずに、パッド収容部Sのみに重なり合うように設けられてもよい。脇サポート部30の前中心側端部31cは、上記実施形態とは異なる位置に延在してもよい。脇サポート部30の前中心側端部31cは、バージスラインLの下端部Laよりも更に左右の外側を通ってもよいし、下端部Laよりも左右の内側を通ってもよい。脇サポート部30が、バストトップ部5cに重なり合ってもよい。
【0054】
脇サポート部30は、本体部2の前部5のみに対して設けられてもよい。すなわち、脇サポート部30の脇サポート延長部32が省略されてもよい。脇サポート部30は、本体部2の前部5の側部15において、どのような範囲(面積)に設けられてもよいし、どのような幅および長さに形成されてもよい。脇サポート部30は、本体部2の後部6の一部に重複してもよい。
【0055】
脇サポート部30は、本体部2の前部5とパッド受け布13との間に配置されてもよい。すなわち、脇サポート部30が、パッド受け布13の表面13eに縫着されてもよい。この場合、脇サポート部30は前部5の裏面側にも露出せず、前部5とパッド受け布13との間に内蔵される。その場合、脇サポート部30の表面30eの周縁部にも、接着剤が塗布される。
【0056】
また、肩ストラップ部3の構成も上記実施形態に限られない。例えば襟刳りと袖刳りの端始末をパイピングとして、肩ストラップ部3を構成してもよい。また、肩ストラップ部3を有しない本体部2の上縁に別のテープ部材を結合して肩ストラップ部3を構成してもよい。肩ストラップ部3の接続先である前部5の上縁部5a及び後部6の上縁部6aは、横方向(水平方向)に一直線状としてもよい。肩ストラップ部3は、必ずしも設けなくともよい。上半身衣類1の裾に相当する前部5の下縁部5b及び後部6の下縁部6bは、湾曲状や波線状であってもよい。また、袖刳り及び襟刳りは、波線状であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…上半身衣類、2…本体部、3…肩ストラップ部、4…一体パッド、5…前部、6…後部、11…パッド、13…パッド受け布、15…(前部の)側部、16…(後部の)側部、17…前中心部、18…(パッド受け布の)側部、19…中央部、21…前ストラップ部、22…後ストラップ部、23…前ストラップ本体部、24…引上げサポート部、25…後ストラップ本体部、30…脇サポート部、31…脇サポート本体部、31c…前中心側端部、32…脇サポート延長部、A…接着部、Ab…下接着領域、H…アームホール、L…バージスライン、La…下端部、S…パッド収容部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8