(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 33/30 20060101AFI20231018BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231018BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231018BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231018BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20231018BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231018BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A61K33/30
A61K47/02
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/10
A61K9/06
A61K9/10
A61P17/00
(21)【出願番号】P 2020522226
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2019021182
(87)【国際公開番号】W WO2019230750
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2018102152
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309010841
【氏名又は名称】学校法人 神野学園
(73)【特許権者】
【識別番号】000149435
【氏名又は名称】株式会社大塚製薬工場
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】重山 昌人
(72)【発明者】
【氏名】名桐 俊也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】美馬 優
(72)【発明者】
【氏名】白井 克典
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 敏光
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-121932(JP,A)
【文献】特開昭52-102417(JP,A)
【文献】特表2007-520551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/00-33/44
47/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)塩化亜鉛30~60重量%と;(B)無機粉末及び(C)添加剤と;(D)溶媒とを含み、
前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択され、
前記(C)成分が、(c1)セルロースの水酸基が、-OR
1基、-OR
2OH基、-OR
3OR
4基、及び-OCOR
5基からなる群より選択される置換基で置換されているセルロース誘導体(R
1は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R
2は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、R
3は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、R
4は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R
5は、有機基を表す。)、(c2)ポリビニルアルコール及びその誘導体からなる群より選択されるポリビニルアルコール類、並びに(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、外用組成物
(但し、油中水型の乳化組成物を除く)。
【請求項2】
(A)塩化亜鉛30~60重量%と;(B)無機粉末と;(D)溶媒とを含み、
前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択される、外用組成物
(但し、油中水型の乳化組成物を除く)。
【請求項3】
(C)添加剤を更に含み、前記(C)成分が、(c1)セルロースの水酸基が、-OR
1基、-OR
2OH基、-OR
3OR
4基、及び-OCOR
5基からなる群より選択される置換基で置換されているセルロース誘導体(R
1は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R
2は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、R
3は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、R
4は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R
5は、有機基を表す。)、(c2)ポリビニルアルコール及びその誘導体からなる群より選択されるポリビニルアルコール類、並びに(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、請求項2に記載の外用組成物。
【請求項4】
前記(c1)成分が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらのエステル化物からなる群より選択される、請求項1又は3に記載の外用組成物。
【請求項5】
前記(D)成分が水である、請求項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項6】
(E)ポリエチレングリコールをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項7】
前記(C)成分が前記(c1)成分である場合、さらにポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含む、請求項1、3~6のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項8】
前記(c1)成分それぞれの粘度グレードと前記(c1)成分の総重量を1とした重量比との積の総和が50mPa・s以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項9】
前記(c1)成分それぞれの粘度グレードと前記(c1)成分の総重量を1とした重量比との積の総和が50mPa・s未満である、請求項7に記載の外用組成物。
【請求項10】
(F)多価アルコールをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項11】
前記(F)成分がグリセリンである、請求項10に記載の外用組成物。
【請求項12】
前記(B)成分が酸化チタンを含む、請求項2~11のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項13】
前記(B)成分が二酸化ケイ素及び酸化チタンである、請求項2~11のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項14】
市販製剤である、請求項1~13のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項15】
(A)塩化亜鉛30~60重量%と、(D)溶媒とを含む外用組成物
(但し、油中水型の乳化組成物を除く)において、分離及び着色を抑制する方法であって、
外用組成物において、前記(A)成分及び前記(D)と共に(B)無機粉末及び(C)添加剤を配合し、
前記(C)成分が、(c1)セルロースの水酸基が、-OR
1基、-OR
2OH基、-OR
3OR
4基、及び-OCOR
5基からなる群より選択される置換基で置換されているセルロース誘導体(R
1は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R
2は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、R
3は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、R
4は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R
5は、有機基を表す。);(c2)ポリビニルアルコール及びその誘導体からなる群より選択されるポリビニルアルコール類;若しくは(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールであり、
前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択される、分離及び着色を抑制する方法。
【請求項16】
(A)塩化亜鉛30~60重量%と、(D)溶媒とを含む外用組成物
(但し、油中水型の乳化組成物を除く)において、分離及び着色を抑制する方法であって、
外用組成物において、前記(A)成分及び前記(D)と共に(B)無機粉末を配合し、
前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択される、分離及び着色を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用組成物に関する。より具体的には、本発明は、経時による分離及び着色の抑制性が向上した軟膏に関する。
【背景技術】
【0002】
軟膏には、皮膚悪性腫瘍及び乳癌の皮膚病変などの治療に用いられる薬剤があり、その有効性及び必要性は広く認められている。例えば、モーズ軟膏として、塩化亜鉛を有効成分とし、通常の止血剤では制御できないがん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液を止める効能を有する軟膏が知られている。
【0003】
この製剤は、モーズ(Frederic Edward Mohs)により研究された当初の処方から、原料入手性、患部への塗布性、及び経時による粘度上昇防止の観点で改良が重ねられている。改良処方としては、いわゆるデンプン処方(非特許文献1)、ソルビトール処方(非特許文献2)、及びマクロゴール処方(非特許文献3)等が知られている。デンプン処方は、塩化亜鉛、酸化亜鉛、グリセリン、水及びデンプンといった入手容易な原料で構成されており、院内製剤として実際に使用されている。ソルビトール処方は、デンプン処方にさらにソルビトールが加えられることで、塗布性が改良されている。マクロゴール処方は、ソルビトール処方のデンプン及びソルビトールをマクロゴール及び結晶セルロースに置き換えたものであり、経時による粘度上昇が比較的抑えられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】医療ジャーナル, Vol. 41, No. 9, 2005, p.2289-2294
【文献】薬剤学, 75 (4), 264-270 (2015)
【文献】The Pharmaceutical Society of Japan, 137(4) 477-484 (2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のデンプン処方には使用感に改善の余地があり、また、マクロゴール処方においては依然として製剤不安定性の問題がある。具体的には、マクロゴール処方は経時による粘度上昇は比較的抑えられているものの、経時により製剤が分離する問題がある。モーズ軟膏はその成分特性上、正常部位への皮膚刺激性が強く、製剤が分離すると皮膚刺激性が強い液体が漏出する。つまり、モーズ軟膏にとって製剤からの液体の分離(以下において、単に分離と記載する。)の問題は極めて大きい。したがって、モーズ軟膏は依然として院内処方による用時調製を前提とせざるを得ず、その市販化には遠く及ばない。
【0006】
本発明者は、モーズ軟膏、特にマクロゴール処方の課題である経時による分離が抑制される処方について種々検討を行った。分離を抑制するために、増粘剤を用いて成分の分散状態を保持させることに着眼したが、ほとんどの増粘剤が、モーズ軟膏特有の低pHで増粘作用を生じさせることができないという課題に直面した。さらに、増粘剤によって経時による分離を抑制できる処方を見出しても、今度は経時による着色(変色)が生じるという新たな問題に直面した。つまり、モーズ軟膏のマクロゴール処方においては、経時による分離と経時による着色(変色)という特有の課題があることが見出された。
【0007】
そこで本発明は、経時による分離と経時による着色との両方が抑制された軟膏の製剤技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討の結果、がん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液に対して適用され塩化亜鉛を有効成分とする外用組成物において、特定の添加剤として、ヒプロメロース、メチルセルロース、及び/又はそれらのエステル化物(以下、メチルセルロース類と記載する場合がある);ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体;若しくはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを配合すること、並びに/若しくは、特定の無機粉体を配合することによって、経時による分離と経時による着色との両方を抑制できる優れた製剤安定性が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)塩化亜鉛30~60重量%と;(B)無機粉末及び(C)添加剤と;(D)溶媒とを含み、
前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択され、
前記(C)成分が、(c1)セルロースの水酸基が、-OR1基、-OR2OH基、-OR3OR4基、及び-OCOR5基からなる群より選択される置換基で置換されているセルロース誘導体(R1は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R2は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、R3は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R5は、有機基を表す。)、(c2)ポリビニルアルコール及びその誘導体からなる群より選択されるポリビニルアルコール類、並びに(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、外用組成物。
項2. (A)塩化亜鉛30~60重量%と;(B)無機粉末と;(D)溶媒とを含み、
前記(C)成分が、(c1)セルロースの水酸基が、-OR1基、-OR2OH基、-OR3OR4基、及び-OCOR5基からなる群より選択される置換基で置換されているセルロース誘導体(R1は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R2は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、R3は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R5は、有機基を表す。)、(c2)ポリビニルアルコール及びその誘導体からなる群より選択されるポリビニルアルコール類、並びに(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択され、
前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択される、外用組成物。
項3. (C)添加剤を更に含み、前記(C)成分が、(c1)セルロースの水酸基が、-OR1基、-OR2OH基、-OR3OR4基、及び-OCOR5基からなる群より選択される置換基で置換されているセルロース誘導体(R1は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R2は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、R3は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R5は、有機基を表す。)、(c2)ポリビニルアルコール及びその誘導体からなる群より選択されるポリビニルアルコール類、並びに(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、項2に記載の外用組成物。
項4. 前記(c1)成分が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらのエステル化物からなる群より選択される、項1又は3に記載の外用組成物。
項5. 前記(D)成分が水である、項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
項6. (E)ポリエチレングリコールをさらに含む、項1~5のいずれか1項に記載の外用組成物。
項7. 前記(C)成分が前記(c1)成分である場合、さらにポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含む、項1、3~6のいずれか1項に記載の外用組成物。
項8. 前記(c1)成分それぞれの粘度グレードと前記(c1)成分の総重量を1とした重量比との積の総和が50mPa・s以上である、項1~7のいずれか1項に記載の外用組成物。
項9. 前記(c1)成分それぞれの粘度グレードと前記(c1)成分の総重量を1とした重量比との積の総和が50mPa・s未満である、項7に記載の外用組成物。
項10. (F)多価アルコールをさらに含む、項1~9のいずれか1項に記載の外用組成物。
項11. 前記(F)成分がグリセリンである、項10に記載の外用組成物。
項12. 前記(B)成分が酸化チタンを含む、項2~11のいずれか1項に記載の外用組成物。
項13. 前記(B)成分が二酸化ケイ素及び酸化チタンである、項2~11のいずれか1項に記載の外用組成物。
項14. 市販製剤である、項1~13のいずれか1項に記載の外用組成物。
項15. (A)塩化亜鉛30~60重量%と、(D)溶媒とを含む外用組成物において、分離及び着色を抑制する方法であって、
外用組成物において、前記(A)成分及び前記(D)と共に(B)無機粉末及び(C)添加剤を配合し、
前記(C)成分が、(c1)セルロースの水酸基が、-OR1基、-OR2OH基、-OR3OR4基、及び-OCOR5基からなる群より選択される置換基で置換されているセルロース誘導体(R1は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R2は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、R3は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R5は、有機基を表す。);(c2)ポリビニルアルコール及びその誘導体からなる群より選択されるポリビニルアルコール類;若しくは(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールであり、
前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択される、分離及び着色を抑制する方法。
項16. (A)塩化亜鉛30~60重量%と、(D)溶媒とを含む外用組成物において、分離及び着色を抑制する方法であって、
外用組成物において、前記(A)成分及び前記(D)と共に(B)無機粉末を配合し、
前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択される、分離及び着色を抑制する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、経時による分離と経時による着色との両方を抑制することができるため、軟膏に優れた製剤安定性を備えさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例及び比較例において採用した外用組成物の分離抑制性の程度の評価基準を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.外用組成物
本発明の外用組成物(以下において、「第1の外用組成物」と記載することもある)は、(A)塩化亜鉛(以下、「(A)成分」と記載することもある)30~60重量%と、(B)無機粉末(以下、「(B)成分」と記載することもある)及び(C)添加剤(以下、「(C)成分」と記載することもある)と、(D)溶媒(以下、「(D)成分」と記載することもある)とを含み;(C)成分が、(c1)セルロース誘導体(以下、「(c1)成分」と記載することもある)、(c2)ポリビニルアルコール類(以下、「(c2)成分」と記載することもある)、及び(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(以下、「(c3)成分」と記載することもある)よりなる群から選択され、且つ、前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の外用組成物(以下において、「第2の外用組成物」と記載することもある)は、(A)塩化亜鉛(以下、「(A)成分」と記載することもある)30~60重量%と、(B)無機粉末(以下、「(B)成分」と記載することもある)と、(D)溶媒(以下、「(D)成分」と記載することもある)とを含み;前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択されることを特徴とする。以下、本発明の外用組成物について詳述する。
【0014】
(A)塩化亜鉛
本発明の外用組成物は、(A)成分として、特定濃度の塩化亜鉛を含有する。塩化亜鉛は、モーズ軟膏の成分として公知の成分である。
【0015】
塩化亜鉛は、(D)成分中で亜鉛イオンの態様で存在する。当該亜鉛イオンは、蛋白質変性作用に基づく組織の収斂及び腐食作用、並びに殺菌作用を有する。したがって、塩化亜鉛は、腫瘍の固定、それに伴う止血及び浸出液の抑制、並びに二次感染による悪臭の軽減等を奏する。本発明で用いられる塩化亜鉛としては、外用組成物として使用可能なものであれば特に制限なく使用できる。例えば、第十七改正日本薬局方に記載されている塩化亜鉛が挙げられる。
【0016】
本発明の外用組成物中の塩化亜鉛の含有量は、30~60重量%である。好ましい塩化亜鉛の含有量の下限としては、例えば塩化亜鉛の効能をより有効に得る観点からは、40重量%以上が挙げられ、分離抑制性をより好ましく得る観点及び組織の硬化及び皮膚への刺激を緩和する観点からは、55重量%以下、より好ましくは50重量%以下が挙げられる。具体的な好ましい塩化亜鉛の含有量の範囲としては、30~55重量%、30~50重量%、40~55重量%、40~50重量%が挙げられる。
【0017】
(B)無機粉末
本発明の外用組成物は、(B)成分として所定の無機粉末を含む。(B)成分は、(A)成分及び(D)成分を含む外用組成物における分離及び着色の抑制剤として作用する。
【0018】
(B)成分は、少なくとも、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン(酸化亜鉛及び酸化鉄の調合物)、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、及びリン酸マグネシウムからなる群より選択される。これら無機粉末は、一種を単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。なお、二酸ケイ素としては、好ましくは軟質無水ケイ酸が挙げられる。
【0019】
本発明の第1の外用組成物においては、(B)成分として選択できる成分は、上記の他に、酸化亜鉛も含む。つまり、本発明の外用組成物が(C)成分を含む場合、(B)成分は、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン(酸化亜鉛及び酸化鉄の調合物)、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、及びリン酸マグネシウムからなる群より選択される。これら無機粉末は、一種を単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0020】
本発明の第2の外用組成物においては、(B)成分として選択できる成分に酸化亜鉛を含まず、(B)成分は、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン(酸化亜鉛及び酸化鉄の調合物)、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、及びリン酸マグネシウムからなる群より選択される。
【0021】
これらの(B)成分の中でも、好ましくは、分離抑制性及び着色抑制性をより一層好ましく得る観点から、二酸化ケイ素、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛が挙げられる。
【0022】
さらに、外用組成物の粘度が過度となることを抑制する観点、及び/又は、外用組成物調製時に均一混合を容易にして良好な外観を得る観点を考慮すると、更に好ましい(B)成分としては、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛が挙げられる。外用組成物の粘度が過度となることを抑制することによって、容器(特にチューブ)からの取り出しが容易となる。この効果は、本発明の外用組成物が市販製剤として調製される場合に特に有効である。
【0023】
さらに、外用組成物の流動性を抑制する観点を考慮すると、更に好ましい(B)成分としては、二酸化ケイ素、酸化亜鉛が挙げられる。これらの中でも、(C)成分を用いなくても外用組成物の流動性を抑制できる点で、二酸化ケイ素が好ましい。つまり、(B)成分の必須成分として酸化亜鉛を含まない第2の外用組成物は、(C)成分を用いなくても外用組成物の流動性を抑制できる点で優れている。外用組成物の流動性が抑制されることは、刺激性の強い本発明の外用組成物が標的場所に塗布された後に、それ以外の場所に誤って流れることを防止するために特に有効である。
【0024】
さらに、外用組成物の不透明性を向上させて塗布部分の確認を容易にする観点を考慮すると、更に好ましい(B)成分としては、酸化チタンが挙げられる。外用組成物の不透明性を向上させて塗布部分の確認を容易にすることは、刺激性の強い本発明の外用組成物が標的場所のみに塗布されそれ以外の場所に誤って塗布しないために特に有効である。
【0025】
本発明の外用組成物においては、外用組成物の流動性の抑制及び不透明性の向上の両方を効率的に得る観点から、(B)成分として、二酸化ケイ素及び酸化チタンの両方を含むことが特に好ましい。
【0026】
また、酸化亜鉛は、収斂、消炎、及び防腐作用のほか、毛細血管透過性減少の働きにより血漿の滲出や白血球の遊走を抑制し炎症を抑える作用を有する点で好ましい。酸化亜鉛としては、外用組成物として使用可能なものであれば特に制限なく使用できる。例えば、第十七改正日本薬局方に記載されている酸化亜鉛が挙げられる。また、酸化亜鉛としては、亜鉛華デンプン、亜鉛華軟膏、フェノール・亜鉛華リニメントなどの酸化亜鉛製剤の成分として含まれる酸化亜鉛も挙げられる。亜鉛華デンプン、亜鉛華軟膏、及びフェノール・亜鉛華リニメントとしても、第十七改正日本薬局方に記載されているものが挙げられる。なお、これらの酸化亜鉛製剤を用いる場合、酸化亜鉛製剤に含まれる酸化亜鉛の量が、本発明の外用組成物中において所望の含有量となるように用いられる。なお、亜鉛華デンプンは、その100g中に酸化亜鉛を50g含み、亜鉛華軟膏は、その100g中に酸化亜鉛を20g含み、亜鉛華リニメントは、その100g中に酸化亜鉛を10g含む。
【0027】
本発明の外用組成物における(B)成分の含有量(総量)については特に限定されず、発揮させるべき分離抑制性及び着色抑制性に応じて適宜決定することができる。例えば、分離抑制性及び着色抑制性をより好ましく得る観点から、(B)成分の含有量の下限としては、例えば4重量%以上、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは6重量%以上、特に好ましくは10重量%以上が挙げられる。また、外用組成物の性状を固まらせず滑らかにする観点から、(B)成分の含有量の上限としては、例えば40重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは13重量%以下が挙げられる。具体的な(B)成分の含有量の範囲としては、4~40重量%、4~20重量%、4~15重量%、4~13重量%、5~40重量%、5~20重量%、5~15重量%、5~13重量%、6~40重量%、6~20重量%、6~15重量%、6~13重量%、10~40重量%、10~20重量%、10~15重量%、10~13重量%が挙げられる。
【0028】
(A)成分と(B)成分との比率としては特に限定されず、(A)成分及び(B)成分の含有量により決定される。分離抑制性及び着色抑制性をより好ましく得る観点から、(A)成分100重量部当たりの(B)成分の比率の下限としては、例えば9重量部以上、好ましくは12重量部以上が挙げられる。また、外用組成物の性状を固まらせず滑らかにする観点から、(A)成分100重量部当たりの(B)成分の比率の上限としては、例えば60重量部以下、好ましくは45重量部以下、より好ましくは30重量部以下が挙げられる。(A)成分100重量部当たりの(B)成分の比率の具体的な範囲としては、9~60重量部、9~45重量部、9~30重量部以下、12~60重量部、12~45重量部、12~30重量部以下が挙げられる。
【0029】
中でも、(B)成分に二酸化ケイ素を配合する場合、二酸化ケイ素の含有量の下限としては、流動性をより一層良好に抑制する観点から、例えば3重量%以上が挙げられ、曳糸性の抑制及び/又は展延性の向上により使用感を向上させる観点から、好ましくは4重量%以上が挙げられ、調製時の均一混合をより容易としてより容易な外観を得る観点から、より好ましくは4.5重量%以上、更に好ましくは5重量%以上、一層好ましくは6重量%以上が挙げられる。また、(B)成分として二酸化ケイ素を用いる場合、調製時の均一混合をより容易としてより容易な外観を得る観点から、酸化チタンを組み合わせことが好ましい。なお、二酸化ケイ素の含有量の上限としては、外用組成物の性状を固まらせず滑らかにする観点から、例えば10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは7重量%以下が挙げられる。具体的な二酸化ケイ素の含有量の範囲としては、3~10重量%、3~8重量%、3~7重量%、4~10重量%、4~8重量%、4~7重量%、4.5~10重量%、4.5~8重量%、4.5~7重量%、5~10重量%、5~8重量%、5~7重量%、6~10重量%、6~8重量%、6~7重量%が挙げられる。
【0030】
また、(B)成分に二酸化ケイ素を配合する場合、(A)成分100重量部当たりの二酸化ケイ素の比率の下限としては、流動性をより一層良好に抑制する観点から、例えば6.5重量部以上が挙げられ、曳糸性の抑制及び/又は展延性の向上により使用感を向上させる観点から、好ましくは9重量部以上が挙げられ、調製時の均一混合をより容易としてより容易な外観を得る観点から、より好ましくは10重量部以上、更に好ましくは11重量部以上、一層好ましくは13.5重量部以上が挙げられる。また、(A)成分100重量部当たりの二酸化ケイ素の比率の上限としては、外用組成物の性状を固まらせず滑らかにする観点から、例えば30重量部以下、好ましくは16重量部以下、より好ましくは14重量部以下が挙げられる。(A)成分100重量部当たりの二酸化ケイ素の比率の具体的な範囲としては、6.5~30重量部、6.5~16重量部、6.5~14重量部以下、9~30重量部、9~16重量部、9~14重量部以下、10~30重量部、10~16重量部、10~14重量部以下、11~30重量部、11~16重量部、11~14重量部以下、13.5~30重量部、13.5~16重量部、13.5~14重量部以下が挙げられる。
【0031】
(B)成分に酸化チタンを配合する場合、酸化チタンの含有量の下限としては、不透明性を向上させる観点から、例えば0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上が挙げられる。また、酸化チタンの含有量の上限としては、流動性を抑制する観点から、例えば10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは7重量%以下が得られる。具体的な酸化チタンの含有量の範囲としては、0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~7重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%、0.5~7重量%、1~10重量%、1~8重量%、1~7重量%、3~10重量%、3~8重量%、3~7重量%が挙げられる。
【0032】
また、(B)成分に酸化チタンを配合する場合、(A)成分100重量部当たりの酸化チタンの比率の下限としては、不透明性を向上させる観点から、例えば2重量部以上、好ましくは6.5重量部以上、より好ましくは13重量部以上が挙げられる。また、(A)成分100重量部当たりの酸化チタンの比率の上限としては、流動性を抑制する観点から、20重量部以下、より好ましくは15重量部以下が挙げられる。(A)成分100重量部当たりの酸化チタンの比率の具体的な範囲としては、2~20重量部、2~15重量部、6.5~20重量部、6.5~15重量部、13~20重量部、13~15重量部が挙げられる。
【0033】
なお、(B)成分に二酸化ケイ素と酸化チタンとを配合する場合、二酸化ケイ素1重量部当たりの酸化チタンの割合の下限としては、不透明性を向上させる観点から、0.2重量部以上、好ましくは0.8重量部以上が挙げられる。また、二酸化ケイ素1重量部当たりの酸化チタンの割合の上限としては、流動性を抑制する等の観点から、例えば2.8重量部以下、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1.5重量部以下が挙げられる。二酸化ケイ素1重量部当たりの酸化チタンの割合の具体的な範囲としては、0.2~2.8重量部、0.2~2重量部、0.2~1.5重量部、0.8~2.8重量部、0.8~2重量部、0.8~1.5重量部が挙げられる。
【0034】
(B)成分にタルクを配合する場合、タルクの含有量の下限としては、分離抑制性及び着色抑制性を好ましく得る観点から、例えば3重量%以上、好ましくは5重量%以上が挙げられる。タルクの含有量の下限としては、外用組成物中の無機粉体の分散を良好として製剤安定性を向上する観点から、例えば15重量%以下、好ましくは10重量%以下が挙げられる。具体的なタルクの含有量の範囲としては、3~15重量%、3~10重量%以下、5~15重量%、5~10重量%以下が挙げられる。
【0035】
また、(B)成分にタルクを配合する場合、(A)成分100重量部当たりのタルクの比率の下限としては、分離抑制性及び着色抑制性を好ましく得る観点から、例えば6重量部以上、好ましくは13重量部以上が挙げられる。(A)成分100重量部当たりのタルクの比率の上限としては、外用組成物中の無機粉体の分散を良好として製剤安定性を向上する観点から、例えば35重量部以下、好ましくは20重量部以下が挙げられる。(A)成分100重量部当たりのタルクの比率の具体的な範囲としては、6~35重量部、6~20重量部、13~35重量部、13~20重量部が挙げられる。
【0036】
(B)成分に酸化亜鉛を配合する第1の外用組成物において、酸化亜鉛の含有量の下限としては、分離抑制性及び着色抑制性をより好ましく得る観点から、例えば4重量%以上、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上が挙げられる。また、外用組成物の性状を固まらせず滑らかにする観点から、酸化亜鉛の含有量の上限としては、例えば40重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下が挙げられる。具体的な(B)成分の含有量の範囲としては、4~40重量%、4~20重量%、5~40重量%、5~20重量%、10~40重量%、10~20重量%が挙げられる。
【0037】
また、(B)成分に酸化亜鉛を配合する第1の外用組成物において、(A)成分100重量部当たりの酸化亜鉛の比率の下限としては、分離抑制性及び着色抑制性をより好ましく得る観点から、例えば15重量部以上、好ましくは20重量部以上が挙げられる。(A)成分100重量部当たりの酸化亜鉛の比率の上限としては、外用組成物の性状を硬すぎず滑らかにする観点から、45重量部以下、好ましくは30重量部以下が挙げられる。(A)成分100重量部当たりの酸化亜鉛の比率の具体的な範囲としては、15~45重量部、15~30重量部、20~45重量部、20~30重量部が挙げられる。
【0038】
(C)添加剤
本発明の第1の外用組成物は、(B)成分とともに(C)成分として特定の添加剤を含有する。本発明の第2の外用組成物は、(B)成分とともに(C)成分として特定の添加剤を含有することができる。(C)成分は、(B)成分とともに配合されることで(A)成分及び(D)成分を含む外用組成物における分離及び着色の抑制剤として作用する。
【0039】
(C)成分は、(c1)セルロース誘導体;(c2)ポリビニルアルコール類;及び(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される。(C)成分は、(c1)成分、(c2)成分、及び(c3)成分のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
(C)成分の含有量((c1)成分、(c2)成分及び(c3)成分の総量)としては特に限定されず、(B)成分の種類、(C)成分の種類、発揮させるべき分離抑制性及び着色抑制性、並びに/若しくは使用感に応じて適宜決定することができる。例えば、(C)成分の含有量の下限としては、経時による分離抑制性及び着色抑制性を好ましく得る観点から、0.02重量%以上、好ましくは0.05重量%以上が挙げられる。また、(C)成分の含有量の上限としては、良好な使用感を得る観点から、15重量%以下、好ましくは12重量%以下が挙げられる。具体的な(C)成分の含有量としては、0.02~15重量%、0.02~12重量%、0.05~15重量%、0.05~12重量%が挙げられる。これらの(C)成分の含有量は、第1の外用組成物において特に好適である。
【0041】
また、第2の外用組成物においては、(C)成分の含有量の下限としては、経時による分離抑制性及び着色抑制性を好ましく得る観点から、例えば0.02重量%以上、好ましくは0.05重量%以上が挙げられる。また、(C)成分の含有量の上限としては、良好な使用感を得る観点から、例えば0.15重量部以下、好ましくは0.1重量部以下が挙げられる。第2の外用組成物における具体的な(C)成分の含有量としては、0.02~0.15重量%、0.02~0.1重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.1重量%が挙げられる。
【0042】
(C)成分と(A)成分との比率は特に限定されず、(C)成分及び(A)成分それぞれの含有量に応じて決定されるが、経時による分離抑制性及び着色抑制性を好ましく得る観点から、(A)成分100重量部に対する(C)成分の比率の下限としては、0.1重量部以上が挙げられる。また、外用組成物の流動性を抑制して良好な使用感を得る観点及び/又は分離抑制性及び着色抑制性を好ましく得る観点から、(A)成分100重量部に対する(C)成分の比率の上限としては、25重量部以下が挙げられ、好ましくは13重量部以下が挙げられる。(A)成分100重量部に対する(C)成分の比率の具体的な範囲としては、0.1~25重量部、0.1~13重量部が挙げられる。これらの(C)成分の比率は、第1の外用組成物において特に好適である。
【0043】
第2の外用組成物においては、(A)成分100重量部に対する(C)成分の比率の下限として、0.1重量部以上が挙げられる。また、(A)成分100重量部に対する(C)成分の比率の上限としては、外用組成物の流動性を抑制して良好な使用感を得る観点から、1.8重量部以下が挙げられる。第2の外用組成物における(A)成分100重量部に対する(C)成分の比率の具体的な範囲としては、0.1~1.8重量部が挙げられる。
【0044】
さらに、第2の外用組成物における(B)成分及び(C)成分の総量としては特に限定されず、(B)成分及び(C)成分の含有量によって決定される。(B)成分及び(C)成分の総量の下限としては、外用組成物の分離抑制性及び着色抑制性を好ましく得る観点から、例えば3.5重量%以上、好ましくは10重量%以上が挙げられる。また、(B)成分及び(C)成分の総量の上限としては、外用組成物の流動性を抑制して良好な使用感を得る観点及び/又は着色抑制性を好ましく得る観点から、例えば14重量%以下、好ましくは12.5重量%以下が挙げられる。(B)成分及び(C)成分の含有量の具体的な範囲としては、3.5~14重量%、3.5~12.5重量、10~14重量%、10~12.5重量が挙げられる。
【0045】
また、第2の外用組成物における(A)成分100重量部当たりの(B)成分及び(C)成分の総量の比率の下限としては、外用組成物の分離抑制性及び着色抑制性を好ましく得る観点から、例えば9重量部以上、好ましくは20重量部以上が挙げられる。
(A)成分100重量部当たりの(B)成分及び(C)成分の総量の比率の上限としては、外用組成物の流動性を抑制して良好な使用感を得る観点及び/又は着色抑制性を好ましく得る観点から、例えば60重量部以下、好ましくは30重量部以下が挙げられる。(A)成分100重量部当たりの(B)成分及び(C)成分の総量の具体的な範囲は、9~60重量部、9~30重量部、20~60重量部、20~30重量部が挙げられる。
【0046】
(c1)セルロース誘導体
本発明の外用組成物におけるセルロース誘導体は、セルロースの水酸基が、-OR1基、-OR2OH基、-OR3OR4基、及び-OCOR5基からなる群より選択される置換基で置換されているセルロース誘導体である。R1は、炭素数1~3のアルキル基を表し、好ましくはメチル基又はエチル基を表す。R2は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、好ましくは、-CH2-CH(CH3)-基又は-CH2-CH2-基を表す。R3は、炭素数1~3、好ましくは-CH2-CH(CH3)-基又は-CH2-CH2-基、さらに好ましくは-CH2-CH2-基を表す。R4は、炭素数1~3のアルキル基を表し、好ましくはメチル基又はエチル基を表し、より好ましくはメチル基を表す。R5は、有機基を表し、好ましくは、炭素数1~6、好ましくは1~3のアルキル基;カルボキシル基を有する炭素数6~12、好ましくは6のアリール基;カルボキシル基を有する炭素数2~6、好ましくは2~4のアルキル基等が挙げられ、より好ましくは、-COR5基が、アセチル基(-COCH3)等の一価酸のアシル基、フタロイル基(-CO-C6H4-CO2H)、スクシニル基(-CO-CH2CH2-CO2H)等の二価酸のアシル基となるような基等が挙げられる。これらの置換基は、1種が単独で含まれていてもよいし、複数種が組み合わされて含まれていてもよい。また、セルロースの水酸基は、少なくとも一部が当該置換基で置換されていればよい。さらに、セルロール誘導体は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の外用組成物においてセルロース誘導体を含む場合は、分離抑制性及び着色抑制性をより良好に得る観点から、後述の(E)成分を更に含むことがより好ましい。
【0047】
具体的には、(b1)成分は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらのエステル化物からなる群より選択されることができる。これらのセルロース誘導体は、経時による分離抑制性をより良好に得る点で好ましい。
【0048】
経時による分離抑制性をさらに良好に得る点では、(b1)成分は、ヒプロメロース、メチルセルロース、及びこれらのエステル化物からなる群より選択されることがより好ましい。また、経時による着色抑制性をより好ましく得る観点からは、(c1)成分として、ヒプロメロース及び/又はメチルセルロースが好ましい。以下、これらの好ましいセルロース類(ヒプロメロース、メチルセルロース、及びこれらのエステル化物)についてさらに詳細に説明する。
【0049】
ヒプロメロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とも称される。ヒプロメロースは、セルロースのメチル及びヒドロキシプロピルの混合エーテルである。本発明で用いられるヒプロメロースの置換度タイプについては特に制限されないが、1828、2208、2906、2910が挙げられる。これらのヒプロメロースは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性をより良好に得る観点から、ヒプロメロースは、好ましくは2906及び2910の置換度タイプのものが挙げられる。
【0050】
メチルセルロースは、セルロースのメチルエーテルである。本発明で用いられるメチルセルロースの、第十七改正日本薬局方メチルセルロース定量法に準拠した方法で測定されるメトキシ基の置換度としては、例えば26.0~33.0重量%、より好ましくは27.5~31.5質量%が挙げられる。
【0051】
また、ヒプロメロース又はメチルセルロースのエステル化物としては、例えば、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)、メチルセルロースフタル酸エステル等が挙げられる。これらのエステル化物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性をより良好に得る観点から、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)が好ましい。
【0052】
ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)は、ヒプロメロースのモノフタル酸エステルである。ヒプロメロースフタル酸エステルの置換度タイプについては特に制限されないが、220824及び200731が挙げられる。これらのヒプロメロースフタル酸エステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性をより良好に得る観点から、ヒプロメロースフタル酸エステルは、好ましくは220824の置換度タイプのものが挙げられる。
【0053】
本発明で使用されるメチルセルロース類それぞれの分子量については、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量として1万~50万、好ましくは10万~50万、更に好ましくは30万~50万が挙げられる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリエチレングリコール換算の重量平均分子量をいう。
【0054】
本発明で使用される(c1)成分の粘度グレードとしては特に制限されない。なお、本発明において、(c1)成分の粘度グレードとは、20℃における所定濃度溶液の粘度をいい、所定濃度溶液とは、セルロースの水酸基が、-OR1基、-OR2OH基、及び/又は-OR3OR4基で置換されているセルロース誘導体の場合は水中2重量%の溶液をいい、セルロースの水酸基が、-OCOR5基で置換されている(つまりエステル化物である)の場合はメタノール‐ジクロロメタン混液(重量比1:1)中10重量%の溶液をいう。また、所定濃度溶液の粘度は、第十七改正日本薬局方の記載に順じ、600mPa・s未満のものでは第十七改正日本薬局方の「2.53 粘度測定法」の第1法(毛細管粘度計法)により測定した値をいい、600mPa・s以上のものでは第2法(回転粘度計法)により測定した値をいう。
【0055】
例えば、(c1)成分それぞれの粘度グレードと、(c1)成分全体を1とした重量比と、の積の総和(以下、(c1)成分の「粘度グレードの平均値」と記載する場合がある)が、50mPa・s以上となるものであってもよいし、50mPa・s未満となるものであってもよい。なお、(c1)成分として、例えば粘度グレードがη1(mPa・s)の成分を単独で用いる場合は、(c1)成分の粘度グレードの平均値はη1(mPa・s)である。また、(c1)成分として、例えば粘度グレードがη2(mPa・s)のヒプロメロースと、粘度グレードがη3(mPa・s)のヒプロメロースフタル酸エステルとを重量比1:1で用いる場合は、(c1)成分の粘度グレードの平均値は、0.5η2+0.5η3(mPa・s)である。
【0056】
例えば、分離抑制性をより良好に得る観点から、(c1)成分の粘度グレードの平均値としては、好ましくは50mPa・s以上、より好ましくは60mPa・s以上、さらに好ましくは100mPa・s以上、より一層好ましくは1500mPa・s以上、特に好ましくは4000mPa・s以上が挙げられる。(c1)成分の粘度グレードの平均値は、その上限において特に限定されるものではないが、延展性向上及び/又は曳糸抑制による使用感を良好に得る観点から、例えば、10000mPa・s以下が挙げられる。つまり、(c1)成分の粘度グレードの平均値の具体的な範囲としては、50~10000mPa・s、60~10000mPa・s、100~10000mPa・s、1500~10000mPa・s、4000~10000mPa・sが挙げられる。これらの(c1)成分の粘度グレードの平均値は、(C)成分として(c3)成分を含まない場合において特に好ましい。
【0057】
また、(c1)成分の粘度グレードの平均値が50mPa・s以上であって且つ(c3)成分と共に組み合わせて用いる場合は、分離抑制性をより良好に得る観点から、(c3)成分以外の界面活性剤を更に組み合わせて用いること、及び/又は、(C)成分の総量を所定以上、具体的には5.9重量%以上、より具体的には、5.9~15重量%、好ましくは5.9~12重量%となるように配合することが好ましい。
【0058】
本発明においては、(c1)成分の粘度グレードの平均値が50mPa・s未満である場合であっても所望の分離抑制性は得られるが、より高粘度グレードの(c1)成分、他の増粘剤、及び(c3)成分の少なくともいずれかと共に組み合わせて用いることで、より良好な分離抑制性を得ることもできる。より高粘度グレードの(c1)成分としては、粘度グレードが50mPa・s以上、より好ましくは60mPa・s以上、さらに好ましくは100mPa・s以上、より一層好ましくは1500mPa・s以上、特に好ましくは4000mPa・s以上が挙げられる。より高粘度グレードの(c1)成分の粘度グレードとしては、その上限において特に限定されるものではないが、延展性向上及び/又は曳糸性抑制による使用感を良好に得る観点から、例えば、10000mPa・s以下が挙げられる。つまり、高粘度グレードの(c1)成分の粘度グレードの具体的な範囲としては、50~10000mPa・s、60~10000mPa・s、100~10000mPa・s、1500~10000mPa・s、4000~10000mPa・sが挙げられる。
【0059】
これらの中でも、経時による着色抑制性をより一層良好に得る観点では、(c3)成分と組み合わせて用いることがより好ましい。この場合、(c3)成分は、経時による分離抑制性をより良好に得る観点から、(c1)成分1重量部に対し例えば1~120重量部、好ましくは3~120重量部用いることができる。他の増粘剤と組み合わせて用いる場合は、経時による着色抑制性の観点から、当該他の増粘剤として例えばデンプンが挙げられる。この場合他の増粘剤は、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性をより良好に得る観点から、(c1)成分1重量部に対し例えば0.5~10重量部、好ましくは1~5重量部用いることができる。なお、(c1)成分の粘度グレードの平均値が50mPa・s未満である場合における(c1)成分の粘度グレードの平均値の下限は、分離抑制性が得られる限りその下限において特に限定されるものではないが、例えば、3mPa・s以上が挙げられる。つまり、(c1)成分の粘度グレードの平均値が50mPa・s未満である場合における(c1)成分の粘度グレードの平均値の具体的な範囲としては、3~50mPa・sが挙げられる。
【0060】
本発明の外用組成物中の(c1)成分の量は特に制限されず、発揮させるべき分離抑制性及び着色抑制性、並びに/若しくは使用感に応じて適宜決定することができる。例えば第1の外用組成物における(c1)成分の含有量の下限としては、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性を良好に得る観点から、(c1)成分の総量として例えば0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上が挙げられる。また、(c1)成分の含有量の上限としては、良好な使用感を得る観点から、例えば8重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量部以下が挙げられる。第1の外用組成物における具体的な(c1)成分の含有量の範囲としては、0.05~8重量%、0.05~5重量%、0.05~2重量%、0.1~8重量%、0.1~5重量%、0.1~2重量%が挙げられる。これらの(c1)成分の含有量は、第1の外用組成物において特に好適である。
【0061】
また、第1の外用組成物における(A)成分に対する(c1)成分の比率は特に限定されないが、(A)成分の総量100重量部当たりの(c1)成分の総量の下限としては、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性を良好に得る観点から、例えば0.8重量部以上、好ましくは1重量部以上が挙げられる。(A)成分の総量100重量部当たりの(c1)の総量の上限としては、良好な使用感を得る観点から、例えば25重量部以下が挙げられる。第1の外用組成物における(A)成分の総量100重量部当たりの(c1)成分の総量の具体的な範囲としては、0.8~25重量部、1~25重量部が挙げられる。これらの(c1)成分の比率は、第1の外用組成物において特に好適である。
【0062】
更に、第2の外用組成物における(c1)成分の含有量の下限としては、経時による分離抑制性及び着色抑制性を好ましく得る観点から、0.02重量%以上、好ましくは0.05重量%以上が挙げられる。また、(c1)成分の含有量の上限としては、外用組成物の流動性を抑制して良好な使用感を得る観点から、例えば0.3重量%以下、好ましくは0.15重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下が挙げられる。当該上限は、(B)成分として酸化チタンを3重量%以上含有する場合に特に好適である。第2の外用組成物における具体的な(c1)成分の含有量としては、0.02~0.3重量%、0.02~0.15重量%、0.02~0.1重量%、0.05~0.3重量%、0.05~0.15重量%、0.05~0.1重量%が挙げられる。
【0063】
また、第2の外用組成物における(A)成分の総量100重量部当たりの(c1)の総量の下限としては、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性を良好に得る観点から、例えば0.05重量部以上、好ましくは0.1重量部以上が挙げられる。(A)成分の総量100重量部当たりの(c1)の含有量の上限としては、良好な使用感を得る観点から、例えば1.7重量部以下、好ましくは1.2重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以下が挙げられる。当該上限は、(B)成分として酸化チタンを(A)成分の100重量部当たり6重量部以上場合に特に好適である。第2の外用組成物における(A)成分の総量100重量部当たりの(c1)の総量の具体的な範囲としては、0.05~1.7重量部、0.05~1.2重量部、0.05~0.5重量部、0.05~0.3重量部、0.1~1.7重量部、0.1~1.2重量部、0.1~0.5重量部、0.1~0.3重量部が挙げられる。
【0064】
(c2)ポリビニルアルコール類
本発明の外用組成物におけるポリビニルアルコール類は、ポリビニルアルコール(PVA)及びその誘導体からなる群より選択される。これらのポリビニルアルコール類は、増粘剤として公知の成分である。(C)成分の中でも、ポリビニルアルコール類は、経時による着色抑制性をより良好に得る点で好ましい。本発明の外用組成物においてポリビニルアルコール類を含む場合は、本発明の効果をより良好に得る観点から、後述の(E)成分を更に含むことがより好ましい。ポリビニルアルコール類は、ポリビニルアルコール及びその誘導体から1種を単独で使用してもよいし、2以上を組み合わせて使用してもよい。
【0065】
ポリビニルアルコール(PVA)とは、ポリビニルアセテートの完全ケン化物をいう。ポリビニルアルコールの誘導体としては、例えば、ポリビニルアセテートの部分ケン化物の他、アミン変性PVA、エチレン変性PVA、末端チオール変性PVA、エチレン共重合変性PVA(EvOH)等の各種変性PVAが挙げられる。ポリビニルアルコールの誘導体は、1種を単独で使用してもよいし、2以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性をより良好に得る観点から、PVA及びポリビニルアセテートの部分ケン化物(部分ケン化物であるPVA)が好ましい。ポリビニルアセテートの部分ケン化物のケン化度は、好ましくは60モル%以上100モル%未満、より好ましくは78~96モル%、更に好ましくは85~90モル%が挙げられる。
【0066】
ポリビニルアルコール及びその誘導体の重合度としては、特に限定されるものでないが、経時による分離抑制性をより良好に得る観点から、JIS K-6726に準拠して測定される平均重合度として、例えば300~4500、好ましくは400~4000、より好ましくは500~3500が挙げられる。
【0067】
本発明の外用組成物中の(c2)の量は特に制限されないが、(c2)の総量の下限としては、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性を良好に得る観点から、0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上が挙げられる。(c2)の総量の上限としては、良好な使用感を得る観点から、8重量%以下、好ましくは5重量%以下が挙げられる。具体的な(c2)の含有量の範囲としては、0.1~8重量%、0.1~5重量%、1~8重量%、1~5重量%が挙げられる。
【0068】
また、(A)成分に対する(c2)の量は特に限定されないが、(A)成分の総量100重量部当たりの(c2)の比率の下限としては、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性を良好に得る観点から、例えば0.16重量部以上、好ましくは1.6重量部以上が挙げられる。(A)成分の総量100重量部当たりの(c2)の比率の上限としては、良好な使用感を得る観点から13重量部以下、好ましくは8重量部以下が挙げられる。(A)成分の総量100重量部当たりの(c2)の比率の具体的な範囲としては、0.16~13重量部、0.16~8重量部、1.6~13重量部、1.6~8重量部が挙げられる。
【0069】
(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
本発明の外用組成物におけるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、プロピレンオキシドを付加重合させて得られるポリプロピレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した化合物であり、非イオン性界面活性剤として公知の成分である。(C)成分の中でも、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、経時による着色抑制性をより良好に得る点で好ましい。また、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、軟膏基材としての機能にも優れているため、本発明の外用組成物においてポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含む場合は、(E)成分を含まなくても、本発明の効果を良好に得ることができる。なお、以下の説明において、以下、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、括弧内の数字は付加モル数を表す。
【0070】
POEPOPグリコールにおけるプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドの平均重合度等については特に制限されないが、プロピレンオキサイドの平均重合度としては例えば5~100、好ましくは20~80、より好ましくは30~70が挙げられる。また、エチレンオキサイドの平均重合度としては、例えば3~250、好ましくは20~220、より好ましくは100~200があげられる。これらのPOPPOEグリコールとしては、POE(196)POP(67)グリコール(ポロクサマー407、平均分子量11500)、POE(24)POP(20)グリコール(ポロクサマー124、平均分子量2200)、POE(160)POP(30)グリコール(ポロクサマー188、平均分子量8350)、POE(54)POP(39)グリコール(ポロクサマー235、平均分子量4600)、POE(200)POP(70)グリコール等が挙げられる。これらの中でも、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性を好ましく得る観点で、POE(160)POP(30)グリコールが好ましく挙げられる。
【0071】
本発明の外用組成物中の(c3)の量は特に制限されないが、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性を良好に得る観点から、(c3)の総量の下限として、例えば0.5重量%以上、好ましくは1重量%が挙げられる。また、経時による着色抑制性を良好に得る観点から、(c3)の総量の上限として、20重量%以下、好ましくは15重量%以下が挙げられる。具体的な(c3)の総量の範囲としては、0.5~20重量%、0.5~15重量%、1~20重量%、1~15重量%が挙げられる。
【0072】
また、(A)成分に対する(c3)の量は特に限定されないが、経時による分離抑制性及び経時による着色抑制性を良好に得る観点から、(A)成分の総量100重量部当たりの(c3)の比率の下限として、例えば0.8重量部以上、好ましくは6重量部以上が挙げられる。また、経時による着色抑制性を良好に得る観点から、(A)成分の総量100重量部当たりの(c3)の比率の上限として、例えば32重量部以下、好ましくは19重量部以下が挙げられる。(A)成分の総量100重量部当たりの(c3)の比率の具体的な範囲としては、0.8~32重量部、0.8~19重量部、6~32重量部、6~19重量部が挙げられる。
【0073】
(D)溶媒
本発明の外用組成物は、(D)成分として溶媒を含む。溶媒としては、一価低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール等の、炭素数1~5の一価アルコール)及びアセトン等の有機溶媒、並びに水性溶媒(例えば、生理食塩水、水等)が挙げられ、好ましくは水が挙げられる。本発明の外用組成物は溶媒を含んでいながら、経時による分離を抑制し、経時による着色も抑制する。
【0074】
本発明の外用組成物中の(D)成分の量(総量)は、例えば0.01~40重量%、好ましくは10~40重量%、より好ましくは20~30重量%、さらに好ましくは23~27重量%が挙げられる。これらの(D)成分の含有量は、第1の外用組成物において特に好適である。
【0075】
第2の外用組成物においては、(D)成分の量(総量)は、上述の量(0.01~40重量%、好ましくは10~40重量%、より好ましくは20~30重量%、さらに好ましくは23~27重量%)に加えて、例えば20~25重量%、好ましくは20~24重量%、より好ましくは20~22重量%が挙げられる。
【0076】
(E)ポリエチレングリコール
ポリエチレングリコールは、本発明の外用組成物は、さらに、(E)成分として水性基質であるポリエチレングリコールを含むことができる。ポリエチレングリコールは、マクロゴールとも称される、水溶性基質として公知の成分である。また、ポリエチレングリコールは、軟膏基剤としても優れている。
【0077】
ポリエチレングリコールの分子量に制限はないが、例えば、重量平均分子量100~5万、好ましくは400~2万のものを使用することができる。第十七改正日本薬局方に記載されているマクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000、マクロゴール軟膏(マクロゴール400とマクロゴール4000の等重量混合物)が挙げられる。これらのポリエチレングリコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリエチレングリコール換算の重量平均分子量をいう。
【0078】
本発明の外用組成物に(E)成分を含ませる場合、その量としては特に制限されないが、経時による分離抑制性をより良好に得る等の観点から、総量で例えば1~45重量%、好ましくは1~32重量%、より好ましくは6~15重量%が挙げられる。これらの(E)成分の量は、第1の外用組成物において特に好適である。
【0079】
第2の外用組成物においては、(E)成分の量としては、例えば4~45重量%、好ましくは20~30重量%、より好ましくは20~22重量%が挙げられる。
【0080】
(F)多価アルコール
本発明の外用組成物には、使用感の向上等や使用時における適切な粘度の調整のために、更に、多価アルコールが含まれていてよい。多価アルコールは水性基剤等として公知の物質であり、本発明の外用組成物に良好な延展性及び/又は曳糸抑制性を付与することで使用感を向上させることができる。
【0081】
多価アルコールとしては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、本発明の外用組成物により良好な延展性及び/又は曳糸抑制性を付与することで使用感をより向上させる観点で、グリセリンが好ましい。
【0082】
本発明の外用組成物に(F)成分を含有させる場合、その含有量(総量)については特に制限されないが、(F)成分の含有量の下限としては、例えば、0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上が挙げられる。(F)成分の含有量の上限としては、例えば30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下が挙げられる。(F)成分の含有量の具体的な範囲としては、0.05~30重量%、0.05~10重量%、0.05~5重量%、0.1~30重量%、0.1~10重量%、0.1~5重量%1~30重量%、1~10重量%、1~5重量%が挙げられる。
【0083】
界面活性剤
本発明の外用組成物は、分散状態をより安定化させ、経時による分離抑制効果をより良好に得る等の観点から、さらに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール以外の界面活性剤を含んでよい。界面活性剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されず、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール以外)、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを使用してもよい。これらの中でも、経時による分離抑制効果、及び/又は経時による着色防止効果をより良好に得る等の観点から、アニオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0084】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N-ラウロイルサルコシンナトリウム、N-ミリストイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸塩、N-パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリンナトリウム、N-メチル-N-アシルアラニンナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルイミダゾリニウムベタイン等のベタイン系などが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0085】
本発明の外用組成物に界面活性剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール以外)を含ませる場合、その量としては特に制限されないが、経時による分離抑制性及び/又は経時による着色防止効果をより良好に得る等の観点から、総量で例えば0.1~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、さらに好ましくは0.1~1重量%が挙げられる。
【0086】
その他の成分
また、本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、皮膚外用剤等に通常使用される他の基剤や添加剤を含んでもよい。このような基材や添加剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、油類(オリーブ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油、ラード、スクワラン、魚油等)、鉱物油(流動パラフィン、パラフィン、ゲル化炭化水素、ワセリン等)、ワックス類・ロウ類(ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス等)、エステル油(ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル等)、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、リノール酸、ラノリン等)、脂肪酸エステル(パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル等)、高級アルコール(ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等)、コレステロール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン等)等の油性基剤;着香剤(シトラール、1,8-シオネール、シトロネラール、ファルネソール等)、着色剤(タール色素(褐色201号、青色201号、黄色4号、黄色403号等)、カカオ色素、クロロフィル、酸化アルミニウム等)、pH調整剤(リン酸、塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、湿潤剤(dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、D-ソルビトール液等)、安定化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、DL-アラニン、グリシン、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、ローズマリー抽出物等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等の添加剤が挙げられる。
【0087】
性状・製剤形態等
本発明の外用組成物の性状としては特に限定されず、水性液状組成物、水性ゲル状組成物、油性ゲル状組成物、乳化組成物等が挙げられる。この中でも、製剤安定性や水洗容易性の観点からは、好ましくは、水性ゲル状組成物、乳化組成物が挙げられ、より好ましくは、水性ゲル状組成物が挙げられる。乳化組成物の乳化状態については、水中油型又は油中水型のいずれであってもよいが、水洗容易性の観点からは、好ましくは水中油型が挙げられる。
【0088】
本発明の外用組成物の製剤形態については特に制限されないが、塗布性及び皮膚上での保留性の観点から、例えば、軟膏剤、クリーム剤等が挙げられる。また、本発明の外用組成物の具体的態様としては、外用医薬品が挙げられる。
【0089】
本発明の外用組成物のpHとしては、例えば1.5~3.5、好ましくは2~3.0、さらに好ましくは2.5~3.0が挙げられる。また、本発明の外用組成物の粘度としては、0.1kPa・s以上、好ましくは1以上、さらに好ましくは5kPa・sが挙げられる。本発明の外用組成物の粘度は、B型粘度計、具体的にはVISCOMETER TV-20(TVH)(東機産業製)を使用し、次の条件下によって測定される値である。
条件:ローターH7、回転数0.3rpm、測定レンジR、25℃
【0090】
また、本発明の外用組成物は、用時調製剤であってもよいし、市販製剤であってもよいが、経時による離水及び着色に対する抑制性に優れているため、市販製剤であることが特に好ましい。
【0091】
用途
本発明の外用組成物は、がん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液が認められる患部に塗布することにより使用される。このような患部は、進行した皮膚がん、又は体表に露出した皮膚がん以外のがん(例えば、乳がん、頭頸部がん等)によって広範囲のがん性皮膚潰瘍を生じており、出血又は滲出液が認められる。本発明の外用組成物は、このようながん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液、若しくはこれらによって引き起こされる感染又は悪臭に対して生活の質(QOL)を改善する目的で用いることができる。また、本発明の外用組成物は、がん性皮膚潰瘍の縮小の目的で用いてもよい。
【0092】
本発明の外用組成物は、例えば、モーズ法の適応と同様に使用できる。具体的には、本発明の外用組成物をがん性皮膚潰瘍の表面に塗布することで、腫瘍組織を固定する。腫瘍組織の固定においては、腫瘍血管を硬化させることで腫瘍組織を変性壊死させ、壊死組織を固定乾燥させることができる。腫瘍組織の固定を確認した後は、必要に応じ、塗布された外用組成物を除去することができる。
【0093】
用法・用量
本発明の外用組成物は、がん性皮膚潰瘍部位における出血又は滲出液が認められる患部の大きさや、出血、滲出液の程度に応じた用法及び用量で用いることができ、例えばモーズ法に基づく用法及び用量で用いることができる。例えば、患部の症状に応じた期間、患部に7~10日に1回程度塗布することができる。
【0094】
製造方法
本発明の外用組成物は、公知の方法によって製造できる。例えば、(A)塩化亜鉛、(B)無機粉体、(C)添加剤等の固体成分を予備混和した粉末混合物と、(D)溶媒等の液体成分とを混合及び撹拌すること、又は、(A)塩化亜鉛、(B)無機粉体、(C)添加剤等の固体成分を予備混和した粉末混合物と、(D)溶媒等の液体成分に(B)塩化亜鉛を予備溶解させた塩化亜鉛溶液とを、混合及び攪拌することで製造できる。
【0095】
2.分離及び着色を抑制する方法
更に、本発明は、塩化亜鉛30~60重量%及び酸化亜鉛と溶媒とを含む外用組成物において、分離及び着色を抑制する方法を提供する。具体的には、本発明の分離及び着色を抑制する方法(以下において「第1の分離及び着色を抑制する方法」と記載する)は、外用組成物において、(A)塩化亜鉛30~60重量%と(D)溶媒と共に、(B)無機粉末及び(C)添加剤を配合するものであり、(C)成分は、(c1)セルロースの水酸基が、-OR1基、-OR2OH基、-OR3OR4基、及び-OCOR5基からなる群より選択される置換基で置換されているセルロース誘導体(R1は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R2は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、R3は、炭素数1~3のアルキレン基を表し、R4は、炭素数1~3のアルキル基を表し、R5は、有機基を表す。)、(c2)ポリビニルアルコール及びその誘導体からなる群より選択されるポリビニルアルコール類、及び(c3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールであり、よりなる群から選択され、且つ、前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択されることを特徴とする。すなわち、本発明の第1の分離及び着色を抑制する方法では、(B)無機粉末及び(C)添加剤を分離及び着色の抑制剤として使用する。
【0096】
本発明の分離及び着色を抑制する方法(以下において、「第2の分離及び着色を抑制する方法」と記載する)は、外用組成物において、(A)塩化亜鉛30~60重量%と(D)溶媒と共に、(B)無機粉末を配合するものであり、前記(B)成分が、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カラミン、酸化チタン、酸化鉄、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムからなる群より選択されることを特徴とする。すなわち、本発明の第2の分離及び着色を抑制する方法では、(B)無機粉末を分離及び着色の抑制剤として使用する。
【0097】
本発明の分離及び着色を抑制する方法において、使用される成分の種類や配合量、外用組成物の製剤形態等については、前記「1.外用組成物」の欄に記載の通りである。具体的には、本発明の第1の分離及び着色を抑制する方法において、使用される成分の種類や配合量、外用組成物の製剤形態等については、前記「1.外用組成物」の欄における第1の外用組成物について記載の通りである。また、本発明の第2の分離及び着色を抑制する方法において、使用される成分の種類や配合量、外用組成物の製剤形態等については、前記「1.外用組成物」の欄における第2の外用組成物について記載の通りである。
【実施例】
【0098】
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0099】
[試験例1]
以下の実施例及び比較例において用いた添加剤及び基材の詳細を表1に示す。なお、表1において、HPMC(ヒプロメロース)及びメチルセルロースの粘度グレード(表中、「粘度」と表記)は、第十七改正日本薬局方のヒプロメロース及びメチルセルロースの欄に記載された方法に準じて測定された、水中2重量%の溶液の粘度であり、HPMCP(ヒプロメロースフタル酸エステル)の粘度グレード(表中、「粘度」と表記)は、第十七改正日本薬局方のヒプロメロースフタル酸エステルの欄に記載された方法に準じて測定された、メタノール‐ジクロロメタン混液(重量比1:1)中10重量%の溶液の粘度である。
【0100】
【0101】
表2~4に示す組成の外用組成物を調製した。具体的には、酸化亜鉛、PEG4000、HPMC等の固体成分を予備混和した粉末混合物と、水、PEG400、グリセリン等の液剤に塩化亜鉛を予備溶解させた塩化亜鉛溶液とを、混合及び攪拌することによって調製した。なお、表2~4において、各成分の量を示す数値の単位は、重量%である。調製した各外用組成物5mLを、遠沈管(容量15mL)に充填し、分離抑制性、着色抑制性、及び使用感を評価した。
【0102】
(1)分離抑制性
各外用組成物5mLを充填した遠沈管を、8000rpmで10分間遠心分離を行い、強制的に分離処理を行った。以下の基準に基づいて、分離抑制の程度を5点~1点で評価した。
図1は、外用組成物を遠心分離した後の遠沈管について、分離抑制の程度が5点~1点である場合の代表的な態様を模式的に示した。遠心分離した後の遠沈管内では、図示するように外用組成物の上面が斜面を形成しており、外用組成物からの液体の分離の有無、並びに分離した液体の量及び流動性に基づいて、分離抑制性を評価した。
<分離抑制の程度の評価基準>
5:液体の分離が全く認められない
4:液体の分離が少し(当該液体の液面高さが、外用組成物の斜面を占める高さの中点よりも低い程度)認められるものの、遠沈管を転倒させても液体が流れない
3:液体の分離が少し(当該液体の液面高さが、外用組成物の斜面を占める高さの中点よりも低い程度)認められ、遠沈管を転倒させると液が流れる
2:液体の分離がやや多く(当該液体の液面高さが、外用組成物の斜面を占める高さの中点よりも高く、当該高さの頂点付近よりも低い程度)認められ、遠沈管を転倒させると液が流れる
1:液体の分離が多く(当該液体の液面高さが、外用組成物の斜面を占める高さの頂点付近に達する程度)
分離抑制の程度として4以上を、経時による分離抑制性の合格基準とした。
【0103】
(2)着色抑制性
各外用組成物5mLを充填した遠沈管を、60℃環境で7日間保存した。保存後、以下の基準に基づいて、着色抑制の程度を評価した。
<着色抑制の程度の評価基準>
◎:マクロゴール処方(比較例2)より着色の程度が小さい。
○:マクロゴール処方(比較例2)と着色の程度が同等。
×:マクロゴール処方(比較例2)よりも着色の程度が大きい。
着色抑制の程度として○又は◎を、経時による着色抑制性の合格基準とした。
【0104】
(3)使用感
各外用組成物5mLを充填した遠沈管を、密閉した状態で室温にて7日間保存し、その後外用組成物5mlから2gを取り出して板に引き伸ばし、伸び(展延性)及び曳糸性の度合い、並びに流動性の有無から使用感(扱いやすさ)の程度を評価した。具体的には、最初に、流動性が無いかどうかを確認し、外用組成物が最初に引き延ばされた板表面上の領域から外に外用組成物が流れ出ないかどうかを確認した。次に、流動性がない場合は、作成後室温にて7日間保管したデンプン処方と比較した展延性及び曳糸性の観点から評価した。
<使用感の評価基準>
◎:流動性は無く、展延性に優れ、デンプン処方より曳糸性が弱い。
○:流動性は無く、展延性及び曳糸性がデンプン処方と同等。
△:流動性は無く、展延性が悪く、デンプン処方より曳糸性が強い。
×:流動性がある。
使用感の程度として○又は◎を、使用感についての合格水準とした。なお、当該デンプン処方の組成は、塩化亜鉛49重量%、酸化亜鉛12.3重量%、デンプン12.3重量%、グリセリン2重量%、残分が水である。
【0105】
【0106】
比較例1(非特許文献1のデンプン処方に相当)及び比較例2(非特許文献3のマクロゴール処方に相当)の外用組成物では、曳糸性が強く使用感が悪かった。また、比較例2の外用組成物では、経時による分離に加えて着色も認められた。様々な増粘剤が配合された比較例3~比較例14の外用組成物では、経時による着色は抑制されているものの、依然として分離は抑制できなかった。同様の傾向が、非イオン性界面活性剤が配合された比較例15~16の外用組成物で認められ、これらの外用組成物でも経時による着色は抑制されているものの、依然として分離は抑制できなかった。増粘剤や非イオン性界面活性剤を含ませる代わりに、グリセリンを増量した比較例17及びポリエチレングリコールを増量した比較例18の外用組成物でも、経時による着色は抑制されているものの、依然として分離は抑制できなかった。また、増粘剤としてデキストリン水和物が配合された比較例19の外用組成物では、経時による分離と着色との両方が認められた。そして、増粘剤としてアルギン酸プロピレングリコールが配合された比較例20、及び増粘剤としてキサンタンガムが配合された比較例21の外用組成物では、経時による分離は抑制できたものの、今度は経時による着色が認められた。
【0107】
【0108】
一方、(c1)成分であるヒプロメロース(HPMC)、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、またはメチルセルロース;(c2)成分であるポリビニルアルコール;もしくは(c3)成分であるポロクサマー(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)を含む実施例1~13では、経時による分離と経時による着色との両方を抑制できた。
【0109】
なお、(c1)成分のみを含み(c3)成分を含まない実施例1~6及び10の外用組成物の中でも、(c1)成分の粘度グレード(20℃における2重量%溶液の粘度)の平均値、つまり当該粘度グレードと(c1)成分全体を1とした重量比との積の総和が50mPa・s以上である、実施例1~3(具体的な粘度グレードの平均値は4000mPa・s)、実施例4~5(具体的な粘度グレードの平均値は55mPa・s)、実施例10(具体的な粘度グレードの平均値は4000mPa・s)の外用組成物では、粘度グレードの平均値が50mPa・s未満である実施例6(具体的な粘度グレードの平均値は30mPa・s)よりも分離抑制性が優れる傾向にあった。
【0110】
また、(c1)成分の粘度グレードの平均値が50mPa・s未満である場合は、実施例6の外用組成物のように高粘度グレードの(c1)成分を組み合わせるか、実施例7の外用組成物のように他の増粘剤を組み合わせるか、又は、実施例8~9の外用組成物のようにポロクサマー(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)を組み合わせることで分離抑制性が向上するが、これらの中でも、ポロクサマー(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)を組み合わせることが、実施例8~9の外用組成物に示されるとおり着色抑制性も良好に得ることができる点で好ましいことが分かった。なお、実施例12~13の外用組成物に示されるように、(c1)成分を含まなくても、ポロクサマー(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)を配合することでも、分離抑制性及び着色抑制性が得られることが分かった。
【0111】
【0112】
同様に、実施例14~28の外用組成物も、優れた分離抑制性が得られた。また、着色抑制性にも優れていた。特に、(c1)成分のみを含み(c3)成分を含まない実施例14及び15の外用組成物は、(c1)成分の粘度グレード(20℃における2重量%溶液の粘度)の平均値、つまり当該粘度グレードと(c1)成分全体を1とした重量比との積の総和が50mPa・s以上であり、上記の実施例1~6及び10の外用組成物と同様、実施例6よりも分離抑制性が優れていた。また、(c1)成分の粘度グレードの平均値が50mPa・s以上であって且つ(c3)成分を含む実施例16~24の外用組成物の中でも、実施例17~19、22~24の外用組成物のように(c3)成分以外の界面活性剤を更に配合するか、又は、実施例16及び20の外用組成物のように(C)成分の総量((c1)成分~(c3)成分の総量)が5.9重量%以上となるように配合することで、他の界面活性剤を含まず且つ(C)成分の総量が5.9重量%を下回る実施例21の外用組成物よりも優れた分離抑制性が得られることが分かった。
【0113】
[試験例2]
表5~8に示す組成の外用組成物を調製した。具体的には、酸化亜鉛、酸化チタン、二酸化ケイ素、PEG4000、HPMC等の固体成分を予備混和した粉末混合物と、水、PEG400、グリセリン等の液剤に塩化亜鉛を予備溶解させた塩化亜鉛溶液とを、混合及び攪拌することによって調製した。なお、表5~8において、各成分の量を示す数値の単位は、重量%である。
【0114】
得られた外用組成物について、試験例1と同様にして、分離抑制性、着色抑制性及び使用感を評価した。結果を表5~8に示す。
【0115】
さらに、表5~8に示す組成の外用組成物のうち、実施例33、35、39、45、及び55の外用組成物について、より詳細な使用感及び外観等についての評価を、表9に示す。より詳細な使用感については、(i)流動性の有無、(ii)脆弱な患部への塗り広げ易さ、及び(iii)曳糸性に基づく取扱い容易性を評価した。また外観については、(iv)塗布した部位の視認容易性及び(v)調製時(人力混合による調製時)の均一混合の容易性を評価した。上記(i)の項目は、本発明の外用組成物の刺激性が高いため、患部以外の正常皮膚への付着を抑制する観点から評価している。上記(ii)の項目は、本発明の外用組成物の適用部位であるがん性皮膚潰瘍部位が脆弱であるため、外用組成物が硬すぎず塗り広げ易いことで脆弱な適用部位に塗り広げる時の物理的刺激による患者の痛み及び患部の悪化を抑制する観点から評価している。上記(iii)の項目は、曳糸性が強いと取扱いが困難となるため、外用組成物の取扱いを容易にして患者の負担を軽減する観点から評価している。上記(iv)の項目は、塗布した部位と塗布していない部位との識別を容易にすることで適用部位への塗布を確実にする観点から評価している。なお、臨床現場においては塗布部分の視認容易性が求められない場合もある。上記(v)の項目は、成分が均一に分散した外用組成物の調製を容易にする観点から評価している。
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
上記表に示すとおり、比較例22~36の外用組成物では、分離抑制性及び着色抑制性を両立できなかった一方で、実施例29~56の外用組成物では、分離抑制性と着色抑制性とが両立できていた。
【0122】
また、実施例29~56の外用組成物中でも、(B)成分に酸化チタンを含有する実施例34~50、52~56の外用組成物は、(B)成分に酸化チタンを含有しない実施例29~33、51の外用組成物に比べて優れた不透明性を有していた。また、(B)成分に酸化チタンを含有する実施例34~50、52~56の外用組成物は、酸化チタンの含有量が10重量%以下であるため、酸化チタンの含有量が10重量%を超える場合と対比して、外用組成物の流動性が抑制されている点でも優れていた。
【0123】
また、実施例34~50、52~56の外用組成物の中でも、酸化チタンの含有量が10重量%以下であり二酸化ケイ素1重量部当たりの酸化チタンの割合が2.8重量部以下である実施例34~50の外用組成物は、流動性が抑制されている点で優れていた。つまり、不透明性が高く流動性が抑制されている実施例34~50の外用組成物は、塗布部分の確認が非常に容易であり、外用組成物を標的場所のみに塗布しそれ以外の場所に刺激の強い当該外用組成物を誤って塗布しないことが非常に容易であるとともに、塗布後の当該外用組成物が標的場所以外の場所へ流れることを抑制できる点で優れていた。
【0124】
また、(B)成分に二酸化ケイ素を含む実施例32~51、55、56の外用組成物は、二酸化ケイ素の含有量が10重量%以下であるため、二酸化ケイ素の含有量が10重量%を超える場合と対比して、外用組成物の性状が固まらず滑らかである点でも優れていた。そして、(B)成分に二酸化ケイ素を含む実施例32~51、55、56の外用組成物のうち、二酸化ケイ素の含有量が3重量%以上である実施例32~51の外用組成物は、流動性が抑制されている点で優れていた。更に、(B)成分に二酸化ケイ素と酸化チタンとを含む実施例34~50の外用組成物のうち、二酸化ケイ素の含有量が4.5重量%以上である実施例36~49の外用組成物は、外用組成物調製時の均一混合がより容易であり、無機粉末の粒子が視認されず良好な外観であった。
【0125】
また、(B)成分として単独成分を含む実施例29~33、52~54の外用組成物のうち、(B)成分として酸化亜鉛又は二酸化ケイ素を含む実施例29~33の外用組成物は、二酸化ケイ素、酸化亜鉛をそれぞれ単独で用いながらも流動性が抑制されている点で優れていた。さらに、実施例29~33の外用組成物のうち、(B)成分として二酸化ケイ素含む実施例32、33の外用組成物は、(C)成分を含まなくても流動性が抑制されている点で優れていた。
【0126】
一方、(c1)成分を含み(B)成分に酸化チタンを3重量部以上含有する実施例34、38~44、48及び50の外用組成物においては、(c1)成分の含有量が0.1重量%以下である実施例37、40、41の外用組成物が、使用性が向上している点で優れていた。
【0127】
また、(B)成分にタルクを含む実施例55の外用組成物は、タルクの含有量が15重量%以下であるため、タルクの含有量が15重量%超である場合と対比して、無機粉体の分散性が良好である点で優れていた。一方で、(B)成分にタルクを含む実施例51の外用組成物と、(B)成分に二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛を含む実施例29~50の外用組成物との対比から、(B)成分に二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛を含む実施例29~50の外用組成物の方が、粘度が適度に低かったため、チューブに収容した場合の外用組成物の取り出しが容易であった。
【0128】
[試験例3]
表10に示す組成の外用組成物を調製した。調製は、試験例1と同様に行った。得られた外用組成物について、試験例1と同様に離水抑制性及び着色抑制性を評価した。結果を表10に示す。
【0129】
【0130】
また、実施例57の外用組成物を、5℃で6か月保存(条件1)、又は、25℃で6か月保存(条件2)を行い、その後、試験例1と同様にして、作成後室温で7日間保管したデンプン処方(塩化亜鉛49重量%、酸化亜鉛12.3重量%、デンプン12.3重量%、グリセリン2重量%、残分が水)を基準として使用感を評価した。その結果、実施例57の外用組成物の評価は、条件1による場合及び条件2による場合のいずれにおいても◎であった。なお、実施例61の外用組成物は、第十七改正日本薬局方の「2.53 粘度測定法」の第2法により測定した粘度が、条件1による場合で11.6kPa・s、条件2による場合で6.26kPa・sであり、条件2による場合の方で粘性低下が認められたが、その粘性低下は、臨床における使用には問題ないものであった。つまり、実施例57の外用組成物は、室温で長期間保存しても、離水抑制性及び着色抑制性に優れ、且つ、使用感にも優れているため、市販製剤としても有効に使用できるものであると考えられる。