IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人 千葉大学の特許一覧 ▶ 京セラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-測定装置 図1
  • 特許-測定装置 図2
  • 特許-測定装置 図3
  • 特許-測定装置 図4
  • 特許-測定装置 図5
  • 特許-測定装置 図6
  • 特許-測定装置 図7
  • 特許-測定装置 図8
  • 特許-測定装置 図9
  • 特許-測定装置 図10
  • 特許-測定装置 図11
  • 特許-測定装置 図12
  • 特許-測定装置 図13
  • 特許-測定装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/026 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
A61B5/026 120
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019118928
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021003376
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-24
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業 救急の現場にて傷病者が早く正しい医療を受療できる技術開発プロジェクト「早く正しい救急医療実現のためのスマートな患者情報収集・処理・共有システムの開発」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】中口 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 真良
(72)【発明者】
【氏名】中田 孝明
(72)【発明者】
【氏名】織田 成人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 良人
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/137151(WO,A1)
【文献】特開2010-210510(JP,A)
【文献】特開平10-163167(JP,A)
【文献】特開2005-334424(JP,A)
【文献】特開2014-195500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0018241(US,A1)
【文献】国際公開第2019/031527(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられた筐体と、
前記筐体の中で、前記開口から挿入された指の位置を検知する第1検知部と、
前記第1検知部の検知結果に応じて位置決めされた前記指の爪を圧迫し、圧迫の解除後に前記爪の色の変化を検知する第2検知部と、
ユーザによって変位させられた量に応じた移動量にて前記第2検知部を移動させ前記第2検知部に前記爪を圧迫させる測定ボタンと、
前記第2検知部の検知結果に基づいて、毛細血管再充満時間を測定する制御部と
を備える測定装置。
【請求項2】
前記測定ボタンは、前記筐体に設けられる請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1検知部の検知結果に応じて、前記指の位置を調整させる案内をユーザに向けて出力する制御を行う請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記第1検知部は、前記筐体の中で、位置決めされた前記指の先端に対向する位置、位置決めされた前記指の左側に対向する位置、及び位置決めされた前記指の右側に対向する位置に配置された3つの近接センサを含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記筐体の中で、位置決めされた前記指の腹に対向する位置に配置され、周囲の温度を検知する温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記温度センサの検知結果をユーザに向けて出力する制御を行う請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
測定装置であって、
開口が設けられた筐体と、
前記筐体の中で、前記開口から挿入された指の位置を検知する第1検知部と、
前記筐体の中に配置され、周囲の照度を検知する照度センサと、
前記第1検知部の検知結果に応じて位置決めされた前記指の爪を圧迫し、圧迫の解除後に前記爪の色の変化を検知する第2検知部と、
前記照度センサの検知結果に応じて、前記測定装置の位置及び姿勢の少なくともいずれかを調整させる案内をユーザに向けて出力する制御を行い、前記第2検知部の検知結果に基づいて、毛細血管再充満時間を測定する制御部と
を備える測定装置。
【請求項7】
前記筐体の中に配置され、前記測定装置の姿勢を検知するジャイロセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記ジャイロセンサの検知結果に応じて、前記測定装置の姿勢を調整させる案内をユーザに向けて出力する制御を行う請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
開口が設けられた筐体と、
前記筐体の中で、前記開口から挿入された指の位置を検知する第1検知部と、
前記筐体の中に変位自在に配置され、前記第1検知部の検知結果に応じて位置決めされた前記指に押し当てられた場合に、位置決めされた前記指の爪を圧迫し、位置決めされた前記指から離された場合に、圧迫を解除し、前記圧迫の解除後に前記爪の色の変化を検知する第2検知部と、
前記第2検知部と連結され、押された場合に前記第2検知部を位置決めされた前記指に向かって変位させ、規定値を超える圧力で押された場合に前記第2検知部との連結が解除される測定ボタンと、
前記第2検知部の検知結果に基づいて、毛細血管再充満時間を測定する制御部と
を備える測定装置。
【請求項9】
前記測定ボタンは、元の位置に戻された場合に前記第2検知部と再び連結される請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
開口が設けられた筐体と、
前記筐体の中で、前記開口から挿入された指の位置を検知する第1検知部と、
前記筐体の中に変位自在に配置され、前記第1検知部の検知結果に応じて位置決めされた前記指に押し当てられた場合に、位置決めされた前記指の爪を圧迫し、位置決めされた前記指から離された場合に、圧迫を解除し、前記圧迫の解除後に前記爪の色の変化を検知する第2検知部と、
前記第2検知部の加速度を検知する加速度センサと、
前記加速度センサの検知結果に基づいて、前記第2検知部の位置を算出し、前記第2検知部が位置決めされた前記指から離されたことを認識した場合に、前記第2検知部の検知結果に基づいて、毛細血管再充満時間を測定する制御部と
を備える測定装置。
【請求項11】
前記第2検知部は、発光素子と、光学系と、前記光学系を支持する鏡胴と、前記鏡胴の端に設けられた透過材と、受光素子とを含み、位置決めされた前記指に押し当てられた場合に前記透過材によって前記爪を圧迫し、位置決めされた前記指から離された後に前記発光素子から前記爪に当てた光を前記透過材、前記鏡胴、及び前記光学系を通して前記受光素子で受けることで前記爪の色の変化を検知する請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項12】
前記第2検知部にかかる圧力を検知する圧力センサをさらに備え、
前記制御部は、前記圧力センサの検知結果に基づいて、位置決めされた前記指に対する前記第2検知部の接触の有無を判定し、前記第2検知部が位置決めされた前記指から離されたことを認識した場合に、前記第2検知部の検知結果に基づいて、前記毛細血管再充満時間を測定する請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の容態を観察する手法として毛細血管再充満時間(capillary refilling time)を測定する手法がある。毛細血管再充満時間は、略して「CRT」と呼ばれる。特許文献1には、CRTの測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-057329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
簡単に精度よくCRTを測定することが求められる。
【0005】
本開示の目的は、簡単に精度よくCRTを測定することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る測定装置は、
開口が設けられた筐体と、
前記筐体の中で、前記開口から挿入された指の位置を検知する第1検知部と、
前記第1検知部の検知結果に応じて位置決めされた前記指の爪を圧迫し、圧迫の解除後に前記爪の色の変化を検知する第2検知部と、
前記第2検知部の検知結果に基づいて、毛細血管再充満時間を測定する制御部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、簡単に精度よくCRTを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る測定装置の斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に係る測定装置の部分透過斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係る測定装置の筐体に収容される基板群の斜視図である。
図4】本開示の一実施形態に係る測定装置の筐体に収容される基板群の展開図である。
図5】本開示の一実施形態に係る測定装置の構成を示すブロック図である。
図6】本開示の一実施形態に係る測定装置の第1状態のA-A断面図である。
図7】本開示の一実施形態に係る測定装置の第1状態のB-B断面図である。
図8】本開示の一実施形態に係る測定装置の第2状態のA-A断面図である。
図9】本開示の一実施形態に係る測定装置の第2状態のB-B断面図である。
図10】本開示の一実施形態に係る測定装置の第3状態のA-A断面図である。
図11】本開示の一実施形態に係る測定装置の第3状態のB-B断面図である。
図12】本開示の一実施形態に係る測定装置の第4状態のA-A断面図である。
図13】本開示の一実施形態に係る測定装置の第4状態のB-B断面図である。
図14】本開示の一実施形態に係る測定装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について、図を参照して説明する。
【0010】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0011】
図1から図7を参照して、本実施形態に係る測定装置10の構成を説明する。
【0012】
図1は、斜め上から見た測定装置10を示している。図2は、図1の測定装置10の筐体20を透過させて測定装置10の内部構造を示している。図3は、図1の測定装置10の筐体20に収容される基板群として、第1基板31、第2基板32、第3基板33、第4基板34、第5基板35、及び第6基板36を示している。図4は、図3の基板群を展開して示している。図5は、測定装置10の、信号を入出力する構成要素群として、第1検知部21、第2検知部22、第3検知部23、第4検知部24、制御部25、及び出力部26を示している。図6は、図1の測定装置10をA-A線上の平面で切断して測定装置10の内部構造を示している。図7は、図1の測定装置10をB-B線上の平面で切断して測定装置10の内部構造を示している。
【0013】
測定装置10は、筐体20、第1検知部21、第2検知部22、第3検知部23、第4検知部24、制御部25、及び出力部26のほかに、測定ボタン27、電源スイッチ28、及び通信ポート29を備える。
【0014】
測定装置10の寸法は、任意の寸法でよいが、本実施形態では、医療従事者などのユーザが携帯できる寸法である。測定装置10の形状は、任意の形状でよいが、本実施形態では、略直方体である。
【0015】
筐体20の形状は、任意の形状でよいが、本実施形態では、直方体の上面と背面との境界を含む一部が欠けて、側面視で矩形の1隅が切り欠かれたような形状である。この欠けた部分には、測定ボタン27が筐体20と面一になるように組み合わされている。
【0016】
筐体20の中で、測定ボタン27の直下に当たる位置には、電池60が収容される。電池60は、第1検知部21、第2検知部22、第3検知部23、第4検知部24、制御部25、及び出力部26を駆動するための電源として機能する。電池60は、一次電池及び二次電池のいずれでもよい。
【0017】
筐体20には、開口30が設けられている。開口30は、具体的には、筐体20の正面に設けられている。開口30の寸法は、1本の指11が開口30の縁に当たることなく入る寸法である。開口30に入れられる指11は、手指に限られず、子供の手の小指から大人の足の親指まで、どのような大きさでもよい。開口30の形状は、任意の形状でよいが、本実施形態では、矩形の1辺を指11の腹に合うように外側に湾曲させた形状である。
【0018】
筐体20の中では、CRTの測定時に指11を置くべき位置がCRT測定位置として決まっている。そのため、文字、図形、又は音声によるユーザへの案内によって、開口30に入れられた指11がCRT測定位置に位置決めされる。
【0019】
筐体20の中で、位置決めされた指11の腹に対向する位置には、開口30から離れる方向に沿ってせり上がる傾斜部40が設けられている。
【0020】
第1検知部21は、筐体20の中に配置されている。具体的には、第1検知部21は、筐体20の中で、第1基板31、第2基板32、及び第3基板33に配置されている。
【0021】
第1検知部21は、3つの近接センサ51を含む。3つの近接センサ51は、指11の位置を調整、位置決めするために利用される。3つの近接センサ51は、指11を位置決めするために設定した基準位置をもとに第1位置、第2位置、及び第3位置に各々配置される。そのため、筐体20の中で、第1位置は位置決めされた指11の先端に対向する位置、第2位置は位置決めされた指11の左側に対向する位置、及び、第3位置は位置決めされた指11の右側に対向する位置にある。第1検知部21は、筐体20の中に配置され、周囲の照度を検知する照度センサ52をさらに含む。本実施形態では、第1検知部21は、照度センサ52として、第1位置、第2位置、及び第3位置の3つの近接センサ51とそれぞれ一体化された3つの照度センサ52を含む。第1位置の近接センサ51及び照度センサ52は、第1基板31に実装されている。第2位置の近接センサ51及び照度センサ52は、第2基板32に実装されている。第3位置の近接センサ51及び照度センサ52は、第3基板33に実装されている。
【0022】
第2検知部22は、筐体20の中に配置されている。具体的には、第2検知部22は、筐体20の中で、CRT測定位置の直上に配置されている。本実施形態では、第2検知部22は、筐体20の中に変位自在に配置されている。具体的には、第2検知部22は、筐体20の中で、上下方向に変位自在に配置されている。
【0023】
第2検知部22は、発光素子41、光学系42、光学系42を支持する鏡胴43、鏡胴43の端に設けられた透過材44、及び受光素子45を含む。第2検知部22は、発光素子41と、光学系42と、鏡胴43の、透過材44が設けられた端を除いた部分と、受光素子45とを収容する外筒46をさらに含む。本実施形態では、第2検知部22は、発光素子41として、受光素子45を挟むように配置された1対の発光素子41を含む。発光素子41としては、例えば、LEDを使用できる。「LED」は、light emitting diodeの略語である。光学系42としては、例えば、凸レンズを使用できる。透過材44としては、例えば、ガラス製又は樹脂製の透明板を使用できる。受光素子45としては、例えば、カラーセンサを使用できる。発光素子41及び受光素子45は、第5基板35に実装されている。
【0024】
第3検知部23は、筐体20の中に配置されている。具体的には、第3検知部23は、筐体20の中で、第4基板34に配置されている。
【0025】
第3検知部23は、筐体20の中で、位置決めされた指11の腹に対向する位置である第4位置に配置され、周囲の温度を検知する温度センサ53を含む。第3検知部23は、筐体20の中で、第4位置に配置され、周囲の湿度を検知する湿度センサ54をさらに含む。第3検知部23は、筐体20の中で、第4位置に配置され、周囲の気圧を検知する気圧センサ55をさらに含む。本実施形態では、温度センサ53、湿度センサ54、及び気圧センサ55は、一体化されている。温度センサ53、湿度センサ54、及び気圧センサ55は、第4基板34に実装されている。
【0026】
第4検知部24は、筐体20の中に配置されている。具体的には、第4検知部24は、筐体20の中で、第5基板35に配置されている。
【0027】
第4検知部24は、第2検知部22の加速度を検知する加速度センサ56を含む。第4検知部24は、筐体20の中に配置され、測定装置10の姿勢を検知するジャイロセンサ57をさらに含む。第4検知部24は、第2検知部22にかかる圧力を検知する圧力センサ58をさらに含む。本実施形態では、加速度センサ56、ジャイロセンサ57、及び圧力センサ58は、一体化されている。加速度センサ56、ジャイロセンサ57、及び圧力センサ58は、発光素子41及び受光素子45とともに、第5基板35に実装されている。
【0028】
制御部25は、筐体20の中に配置されている。具体的には、制御部25は、筐体20の中で、第3検知部23とともに、第4基板34に配置されている。
【0029】
制御部25としては、例えば、マイクロコンピュータ又はSoCを使用できる。「SoC」は、system on a chipの略語である。制御部25は、1つ以上のプロセッサ71、及び1つ以上のメモリ72を含む。プロセッサ71としては、CPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサを使用できる。「CPU」は、central processing unitの略語である。制御部25には、1つ以上の専用回路が含まれてもよいし、又は制御部25において、1つ以上のプロセッサ71を1つ以上の専用回路に置き換えてもよい。専用回路としては、例えば、FPGA又はASICを使用できる。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。メモリ72としては、例えば、半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリを使用できる。半導体メモリとしては、例えば、RAM又はROMを使用できる。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMとしては、例えば、SRAM又はDRAMを使用できる。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMとしては、例えば、EEPROMを使用できる。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。メモリ72は、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。
【0030】
制御部25の機能は、本実施形態に係る制御プログラムを、制御部25に含まれるプロセッサ71で実行することにより実現される。すなわち、制御部25の機能は、ソフトウェアにより実現される。制御プログラムは、制御部25の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、当該ステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムである。すなわち、制御プログラムは、コンピュータを制御部25として機能させるためのプログラムである。
【0031】
プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリを使用できる。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD又はCD-ROMなどの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、ネットワークを介して、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0032】
コンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、メモリ72に格納する。そして、コンピュータは、メモリ72に格納されたプログラムをプロセッサ71で読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサ71で実行する。コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0033】
制御部25の一部又は全ての機能が、制御部25に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、制御部25の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0034】
出力部26は、一部が筐体20の外に露出するように筐体20の中、又は筐体20の中及び外に跨って配置されている。具体的には、出力部26としてのディスプレイが、筐体20の中で、第6基板36に配置され、ディスプレイの画面が筐体20の上面に形成された穴から露出している。
【0035】
出力部26としては、例えば、ディスプレイのほかに、スピーカを使用できる。ディスプレイとしては、例えば、LCD又は有機ELディスプレイを使用できる。「LCD」は、liquid crystal displayの略語である。「EL」は、electro luminescenceの略語である。
【0036】
測定ボタン27は、第2検知部22と連結されている。具体的には、測定ボタン27は、1対の、弾性材47及びフック48の組み合わせによって第2検知部22と連結されている。弾性材47としては、例えば、ねじりコイルバネなどのバネを使用できる。ユーザが規定値以下の力で測定ボタン27を押し下げているときは、弾性材47が弾性力を発揮してフック48の回転移動を抑えて測定ボタン27と第2検知部22との連結が維持されたまま、第2検知部22が測定ボタン27とともに下方に変位する。一方、ユーザが規定値を超える力で測定ボタン27を押し下げると、弾性材47が弾性力を発揮してもフック48の回転移動を抑えきれず、フック48が外れて測定ボタン27と第2検知部22との連結が解除される。その後、ユーザが測定ボタン27を元の位置に戻す過程で、弾性材49が弾性変形することで、フック48が引っ掛かって測定ボタン27と第2検知部22とが再び連結され、第2検知部22が測定ボタン27とともに元の位置に戻る。「規定値」は、本実施形態では5ニュートンであるが、適宜変更してもよい。
【0037】
測定ボタン27には、弾性材49が連結されている。弾性材49としては、例えば、圧縮コイルバネなどのバネを使用できる。ユーザが測定ボタン27を押し下げると、測定ボタン27が押された方向とは逆の方向に弾性材49が弾性力を発揮する。そのため、ユーザが測定ボタン27を押すのをやめると、弾性材49が弾性変形することで、測定ボタン27が元の位置に戻る。
【0038】
電源スイッチ28は、筐体20の外に露出するように筐体20の中、又は筐体20の中及び外に跨って配置されている。具体的には、電源スイッチ28は、筐体20の中で、第3検知部23及び制御部25とともに、第4基板34に配置され、ユーザによって操作される部分が筐体20の右側面に形成された穴から露出している。
【0039】
通信ポート29は、筐体20の外に露出するように筐体20の中、又は筐体20の中及び外に跨って配置されている。具体的には、通信ポート29は、筐体20の中で、第3検知部23、制御部25、及び電源スイッチ28とともに、第4基板34に配置され、コネクタが挿入される部分が筐体20の右側面に形成された穴から露出している。
【0040】
通信ポート29としては、例えば、USBポートを使用できる。「USB」は、Universal Serial Busの略語である。通信ポート29にUSBコネクタなどのコネクタを接続することで、このコネクタを介して、制御部25に含まれるメモリ72に記憶されたCRTの測定結果、又は第1検知部21、第2検知部22、第3検知部23、若しくは第4検知部24の検知結果をスマートフォン、タブレット、又はPCなどの外部装置に転送することができる。「PC」は、personal computerの略語である。なお、通信ポート29は、無線通信ポートであってもよい。
【0041】
図8から図14を参照して、本実施形態に係る測定装置10の動作を説明する。測定装置10の動作は、本実施形態に係る測定方法に相当する。
【0042】
ユーザによって電源スイッチ28が操作され、測定装置10が起動されると、図14のフローが開始する。
【0043】
ステップS101において、第1検知部21に含まれる照度センサ52は、筐体20の中で、周囲の照度を検知する。制御部25は、照度センサ52により検知された照度を第1閾値と比較する。第1閾値は、太陽、月、又は照明などの光源からの光が開口30を通して筐体20の中に直接入ってきているかどうかを判定可能な値に設定される。制御部25は、照度センサ52により検知された照度が第1閾値を超えている場合、開口30が上を向いているとみなして、ステップS102の処理を行う。制御部25は、照度センサ52により検知された照度が第1閾値以下である場合、開口30が上を向いていないとみなして、ステップS103の処理を行う。
【0044】
あるいは、ステップS101において、第4検知部24に含まれるジャイロセンサ57は、測定装置10の姿勢を検知する。制御部25は、ジャイロセンサ57により検知された姿勢に対応する、測定装置10が向いている角度を算出する。制御部25は、算出した角度を第1範囲と比較する。第1範囲は、測定装置10が重力方向とは逆の方向及びその方向から45度などの一定範囲内の方向を向いているかどうかを判定可能な値に設定される。制御部25は、算出した角度が第1範囲内である場合、開口30が上を向いているとみなして、ステップS102の処理を行う。制御部25は、算出した角度が第1範囲外である場合、開口30が上を向いていないとみなして、ステップS103の処理を行う。
【0045】
ステップS102において、制御部25は、「開口を上に向けないでください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0046】
本実施形態の一変形例として、ステップS101において、制御部25は、照度センサ52により検知された照度を第2閾値と比較してもよい。第2閾値は、測定装置10が明るい場所にあるかどうかを判定可能な値に設定される。制御部25は、照度センサ52により検知された照度が第2閾値を超えている場合、測定装置10が明るい場所にあるとみなして、ステップS102の処理を行う。制御部25は、照度センサ52により検知された照度が第2閾値以下である場合、測定装置10が明るい場所にないとみなして、ステップS103の処理を行う。
【0047】
この変形例のステップS102において、制御部25は、「暗い場所に移動してください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0048】
上述のように、制御部25は、照度センサ52の検知結果に応じて、測定装置10の位置及び姿勢の少なくともいずれかを調整させる案内をユーザに向けて出力する制御を行う。あるいは、制御部25は、ジャイロセンサ57の検知結果に応じて、測定装置10の姿勢を調整させる案内をユーザに向けて出力する制御を行う。その結果、外から筐体20の中に入ってくる光の量が減り、CRTの測定精度が向上する。
【0049】
ステップS103において、制御部25は、「指を開口に入れてください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0050】
ステップS104において、第1検知部21は、筐体20の中で、開口30から挿入された指11の位置を検知する。制御部25は、第1検知部21により検知された位置がCRT測定位置であるかどうかを判定する。具体的には、制御部25は、3つの近接センサ51の全てにより物体の接近が検知されているかどうかを判定する。それぞれの近接センサ51の検知距離は、指11がCRT測定位置に置かれているときに、3つの近接センサ51の全てが物体の接近を検知し、指11がCRT測定位置に置かれていないときに、3つの近接センサ51のうち少なくともいずれかが物体の接近を検知しないように設定される。制御部25は、3つの近接センサ51のうち少なくともいずれかにより物体の接近が検知されていない場合、すなわち、第1検知部21により検知された位置がCRT測定位置でない場合、ステップS105の処理を行う。制御部25は、3つの近接センサ51の全てにより物体の接近が検知されている場合、すなわち、第1検知部21により検知された位置がCRT測定位置である場合、ステップS106の処理を行う。
【0051】
ステップS105において、制御部25は、3つの近接センサ51のうち、第1位置の近接センサ51だけが物体の接近を検知していない場合、「指を奥にずらしてください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。制御部25は、第2位置の近接センサ51だけが物体の接近を検知していない場合、「指を左にずらしてください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。制御部25は、第3位置の近接センサ51だけが物体の接近を検知していない場合、「指を右にずらしてください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。制御部25は、第2位置の近接センサ51だけが物体の接近を検知している場合、「指を右奥にずらしてください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。制御部25は、第3位置の近接センサ51だけが物体の接近を検知している場合、「指を左奥にずらしてください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。制御部25は、3つの近接センサ51の全てが物体の接近を検知していない場合、ステップS103と同じように、「指を開口に入れてください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。制御部25は、いずれの場合も、ステップS104の処理を再び行う。
【0052】
上述のように、制御部25は、第1検知部21の検知結果に応じて、指11の位置を調整させる案内をユーザに向けて出力する制御を行う。その結果、位置決め用の凸部又は凹部を設けなくても、指11をCRT測定位置に位置決めすることができる。指11が位置決め用の凸部に当たるか、又は、指11が位置決め用の凹部に嵌まれば、指11が圧迫される。本実施形態によれば、そのような圧迫を避けることができるため、CRTの測定精度が向上する。
【0053】
ステップS106において、制御部25は、「測定ボタンを3秒押してください」又は「測定開始OK」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。測定ボタン27を押す時間として、本実施形態では「3秒」が指定されるが、この時間は適宜変更してもよい。
【0054】
図8及び図9に示すように、測定ボタン27は、押された場合に第2検知部22を位置決めされた指11に向かって変位させる。具体的には、測定ボタン27は、ユーザによって規定値以下の力で押し下げられると、弾性材47及びフック48の組み合わせによって連結された第2検知部22を下方に変位させる。第2検知部22は、位置決めされた指11に接する位置まで変位すると、位置決めされた指11に押し当てられる。第2検知部22は、位置決めされた指11に押し当てられた場合に爪12を圧迫する。具体的には、第2検知部22は、位置決めされた指11に押し当てられた場合に透過材44によって爪12を圧迫する。
【0055】
ステップS107において、第4検知部24に含まれる加速度センサ56は、第2検知部22の加速度を検知する。第4検知部24に含まれる圧力センサ58は、第2検知部22にかかる圧力を検知する。制御部25は、加速度センサ56の検知結果に基づいて、第2検知部22の位置を算出し、位置決めされた指11に対する第2検知部22の接触の有無を判定する。すなわち、制御部25は、加速度センサ56により検知された加速度が、第2検知部22が初期位置から指11に接する位置に移動するときに発生する加速度に相当するかどうかを判定する。あるいは、制御部25は、圧力センサ58の検知結果に基づいて、位置決めされた指11に対する第2検知部22の接触の有無を判定する。すなわち、制御部25は、圧力センサ58により検知された圧力が、第2検知部22が指11に接することで受ける圧力に相当するかどうかを判定する。制御部25は、第2検知部22が位置決めされた指11に接していると判定するまで判定を繰り返す。制御部25は、第2検知部22が位置決めされた指11に接していると判定した場合、圧力センサ58により検知された圧力を規定範囲と比較する。制御部25は、圧力センサ58により検知された圧力が規定範囲外である場合、ステップS108の処理を行う。制御部25は、圧力センサ58により検知された圧力が規定範囲内である場合、ステップS110の処理を行う。「規定範囲」は、本実施形態では3ニュートン以上5ニュートン以下であるが、適宜変更してもよい。
【0056】
図10及び図11に示すように、測定ボタン27は、規定値を超える圧力で押された場合に第2検知部22との連結が解除される。具体的には、測定ボタン27は、ユーザによって規定値を超える力で押し下げられると、フック48が外れて第2検知部22との連結が解除される。第2検知部22は、位置決めされた指11に押し当てられるのではなく、やや上方に変位して、単に指11に接するだけになり、爪12の圧迫をほとんど解除する。本実施形態において、フック48が外れて測定ボタン27と第2検知部22との連結が解除されることは、安全装置が稼働することに相当する。
【0057】
ステップS108において、第4検知部24に含まれる加速度センサ56は、第2検知部22の加速度を検知する。第4検知部24に含まれる圧力センサ58は、第2検知部22にかかる圧力を検知する。制御部25は、加速度センサ56の検知結果に基づいて、第2検知部22の位置を算出し、安全装置が稼働したかどうかを判定する。すなわち、制御部25は、加速度センサ56により検知された加速度が、第2検知部22が爪12を圧迫する位置から単に指11に接するだけの位置に急激に移動するときに発生する加速度に相当するかどうかを判定する。あるいは、制御部25は、圧力センサ58の検知結果に基づいて、安全装置が稼働したかどうかを判定する。すなわち、制御部25は、圧力センサ58により検知された圧力が、第2検知部22が単に指11に接するだけで受ける圧力に相当するかどうかを判定する。制御部25は、安全装置が稼働したと判定した場合、ステップS109の処理を行う。制御部25は、安全装置が稼働していないと判定した場合、ステップS107の処理を再び行う。
【0058】
ステップS109において、制御部25は、「測定ボタンを離してください」又は「過度の圧迫を検知しました」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0059】
図12及び図13に示すように、測定ボタン27は、元の位置に戻った場合に第2検知部22と再び連結される。具体的には、測定ボタン27は、ユーザによって押し下げられた後、離されると、弾性材49が弾性変形することで元の位置に戻る。測定ボタン27は、元の位置に戻る過程で、フック48が引っ掛かって第2検知部22と再び連結される。測定ボタン27は、元の位置に戻ると、弾性材47及びフック48の組み合わせによって再び連結された第2検知部22を上方に変位させる。その結果、第2検知部22は、測定ボタン27とともに初期位置に戻る。
【0060】
ステップS109の後、制御部25は、ステップS104の処理を再び行う。ステップS104の前に、制御部25は、「過度の圧迫が解除されました」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させてもよい。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0061】
ステップS110において、制御部25は、ステップS107で圧力センサ58により検知された圧力が規定範囲内になった時点から3秒経過したかどうかを判定する。制御部25は、ステップS107で圧力センサ58により検知された圧力が規定範囲内になった時点からの経過時間又は時間のカウントダウンを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させてもよい。制御部25は、経過時間又は時間のカウントダウンを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。あるいは、制御部25は、単に「測定中・・・」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させるか、又は出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。制御部25は、3秒経過したと判定した場合、ステップS111の処理を行う。制御部25は、3秒経過していないと判定した場合、ステップS107の処理を再び行う。
【0062】
ステップS111において、制御部25は、「測定ボタンを離してください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0063】
測定ボタン27は、元の位置に戻った場合に第2検知部22を位置決めされた指11とは反対側に向かって変位させる。具体的には、測定ボタン27は、ユーザによって押し下げられた後、離されると、弾性材49が弾性変形することで元の位置に戻る。測定ボタン27は、元の位置に戻る過程で、弾性材47及びフック48の組み合わせによって連結された第2検知部22を上方に変位させる。その結果、第2検知部22は、測定ボタン27とともに初期位置に戻る。第2検知部22は、初期位置に戻る過程で、位置決めされた指11から離される。第2検知部22は、位置決めされた指11から離された場合に爪12の圧迫を解除する。
【0064】
ステップS112において、第4検知部24に含まれる加速度センサ56は、第2検知部22の加速度を検知する。第4検知部24に含まれる圧力センサ58は、第2検知部22にかかる圧力を検知する。制御部25は、加速度センサ56の検知結果に基づいて、第2検知部22の位置を算出し、位置決めされた指11に対する第2検知部22の接触の有無を判定する。すなわち、制御部25は、加速度センサ56により検知された加速度が、第2検知部22が指11に接する位置から初期位置に移動するときに発生する加速度に相当するかどうかを判定する。あるいは、制御部25は、圧力センサ58の検知結果に基づいて、位置決めされた指11に対する第2検知部22の接触の有無を判定する。すなわち、制御部25は、圧力センサ58により検知された圧力が、0ニュートンなどの初期値であるかどうかを判定する。制御部25は、第2検知部22が位置決めされた指11に接していると判定した場合、爪12の圧迫が解除されていないとみなして、ステップS113の処理を行う。制御部25は、第2検知部22が位置決めされた指11に接していないと判定した場合、爪12の圧迫が解除されているとみなして、ステップS114の処理を行う。
【0065】
ステップS113において、制御部25は、「測定をやり直してください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0066】
ステップS113の後、フローが終了する。
【0067】
ステップS114において、制御部25は、第2検知部22に爪12の色の変化を検知させる。具体的には、制御部25は、光を発光素子41に出射させる。発光素子41から出射された光は、外筒46の内部で鏡胴43の周囲を通って、CRT測定位置に置かれた指11の爪12に当たる。爪12に当たって反射した光は、透過材44、及び鏡胴43の内部を通って光学系42で屈折し、受光素子45に到達する。制御部25は、到達した光のRGB成分を受光素子45に検知させる。「RGB」は、red green blueの略語である。
【0068】
上述のように、第2検知部22は、位置決めされた指11から離された後に発光素子41から爪12に当てた光を透過材44、鏡胴43、及び光学系42を通して受光素子45で受けることで爪12の色の変化を検知する。
【0069】
本実施形態の一変形例として、ステップS114において、制御部25は、照度センサ52により検知された外光又は迷光の照度に応じて、受光素子45の検知結果を補正してもよい。
【0070】
ステップS115において、制御部25は、ステップS114で第2検知部22により検知された色の変化の割合が一旦第3閾値を超えた後、第3閾値以下になるまで、ステップS114の処理を繰り返す。第3閾値は、容態の良い人間の爪12の圧迫が解除されてから、爪12の赤みが徐々に回復した後、爪12の赤みに変化がなくなった時点を検知可能な値に設定される。制御部25は、爪12の圧迫の解除時点から、第2検知部22により検知された色の変化の割合が一旦第3閾値を超えた後、第3閾値以下になった時点までの時間をCRTとして測定する。
【0071】
ステップS116において、制御部25は、ステップS115の測定結果をユーザに向けて出力する制御を行う。具体的には、制御部25は、ステップS115で測定したCRTを通知するメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。例えば、制御部25は、ステップS115で測定したCRTが2秒であれば、「CRTは2秒です」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0072】
上述のように、第2検知部22は、第1検知部21の検知結果に応じて位置決めされた指11の爪12を圧迫する。第2検知部22は、圧迫の解除後に爪12の色の変化を検知する。制御部25は、第2検知部22の検知結果に基づいて、CRTを測定する。本実施形態では、制御部25は、圧迫の解除後における爪12の色を絶対的な閾値と比較するのではなく、圧迫の解除後における爪12の色の相対的な変化の状況に応じて、爪12の赤みが回復したかどうかを判定する。そのため、個体差による測定値の誤差が減り、CRTの測定精度が向上する。また、本実施形態では、制御部25は、圧迫前と圧迫の解除後とにおける爪12の色を比較するのではなく、圧迫の解除後における爪12の色の変化の状況に応じて、爪12の赤みが回復したかどうかを判定する。そのため、圧迫前と圧迫の解除後との間での条件の変動による測定値の誤差が減り、CRTの測定精度が向上する。
【0073】
また、上述のように、制御部25は、加速度センサ56の検知結果に基づいて、第2検知部22の位置を算出し、第2検知部22が位置決めされた指11から離されたことを認識した場合に、第2検知部22の検知結果に基づいて、CRTを測定する。あるいは、制御部25は、圧力センサ58の検知結果に基づいて、位置決めされた指11に対する第2検知部22の接触の有無を判定し、第2検知部22が位置決めされた指11から離されたことを認識した場合に、第2検知部22の検知結果に基づいて、CRTを測定する。本実施形態では、制御部25は、爪12が圧迫された後、爪12の圧迫が解除されているかどうかを直接検知するのではなく、爪12を圧迫する第2検知部22の加速度、又は第2検知部22にかかる圧力から間接的に検知する。そのため、加速度センサ56又は圧力センサ58を設けるだけの簡易な構成で、爪12の圧迫が解除されているかどうかを検知することができる。その結果、測定装置10の小型化が可能である。
【0074】
本実施形態の一変形例として、ステップS107からステップS110の間で、制御部25は、第1検知部21により検知された位置がCRT測定位置からずれた場合、正しい測定結果が得られないと判定して、ステップS113の処理を行ってもよい。
【0075】
本実施形態の一変形例として、ステップS107からステップS110の間で、制御部25は、圧力センサ58により検知された圧力が一定のパターンで変動した場合、指11が上下動したとみなして、「指を動かさないでください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させてもよい。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。あるいは、制御部25は、正しい測定結果が得られないと判定して、ステップS113の処理を行ってもよい。
【0076】
本実施形態の一変形例として、ステップS104において、第3検知部23に含まれる温度センサ53は、筐体20の中で、周囲の温度を検知してもよい。例えば、制御部25は、3つの近接センサ51の全てにより物体の接近が検知され、さらに、温度センサ53が検知した測定値に変化が生じた場合、又は温度センサ53が検知した測定値が人の体温の範囲に相当する場合は、開口30から挿入されたものが指11であり、かつ、指11がCRT測定位置にあると判定してもよい。一方、制御部25は、3つの近接センサ51の全てにより物体の接近が検知されたとしても、温度センサ53が検知した温度に変化が生じていない場合、又は温度センサ53が検知した温度が人の体温の範囲に相当しない場合は、開口30から挿入されたものが指11でないと判定してもよい。そして、ステップS105において、制御部25は、「指以外のものを入れないでください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させてもよい。また、ステップS106からステップS115の間で、第3検知部23に含まれる温度センサ53は、筐体20の中で、周囲の温度を検知してもよい。その場合、ステップS116において、制御部25は、温度センサ53の検知結果をユーザに向けて出力する制御を行う。具体的には、制御部25は、温度センサ53により検知された温度を通知するメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。例えば、制御部25は、検知された測定値が摂氏36度であれば、「体温は摂氏36度です」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0077】
本実施形態の一変形例として、ステップS104において、第3検知部23に含まれる湿度センサ54は、筐体20の中で、周囲の湿度を検知してもよい。例えば、制御部25は、3つの近接センサ51の全てにより物体の接近が検知され、さらに、湿度センサ54が検知した測定値に変化が生じた場合は、開口30から挿入されたものが指11であり、かつ、指11がCRT測定位置にあると判定してもよい。一方、制御部25は、3つの近接センサ51の全てにより物体の接近が検知されたとしても、湿度センサ54が検知した湿度に変化が生じていない場合は、開口30から挿入されたものが指11でないと判定してもよい。そして、ステップS105において、制御部25は、「指以外のものを入れないでください」などのメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させてもよい。さらに、ステップS104において、湿度センサ54だけでなく、第3検知部23に含まれる温度センサ53よる上述した判定をさらに行ってもよい。これにより、指11の検出精度をより高めることができる。ステップS106からステップS115の間で、第3検知部23に含まれる湿度センサ54は、筐体20の中で、周囲の湿度を検知してもよい。その場合、ステップS116において、制御部25は、湿度センサ54の検知結果をユーザに向けて出力する制御を行う。具体的には、制御部25は、湿度センサ54により検知された湿度を通知するメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0078】
本実施形態の一変形例として、ステップS106からステップS115の間で、第3検知部23に含まれる気圧センサ55は、筐体20の中で、周囲の気圧を検知してもよい。その場合、ステップS116において、制御部25は、気圧センサ55の検知結果をユーザに向けて出力する制御を行う。具体的には、制御部25は、気圧センサ55により検知された気圧を通知するメッセージを出力部26としてのディスプレイに画面で表示させる。制御部25は、同様のメッセージを出力部26としてのスピーカに音声で出力させてもよい。
【0079】
以下では、本実施形態の効果を説明する。
【0080】
本実施形態によれば、簡単に精度よくCRTを測定することができる。具体的には、簡単に精度よくCRTを測定可能な小型、すなわち、ハンディタイプの測定装置10を提供することができる。
【0081】
近年、災害現場では、患者の重症度を基に治療の優先度を決定するか、又は患者を選別するトリアージが行われている。CRTの測定結果は、このトリアージに利用されている。本実施形態によれば、医療従事者が、災害現場に容易に持ち込むことができ、かつ、精度が高いCRT測定を行うことができる測定装置10を提供することができる。
【0082】
本実施形態では、筐体20の中に設けられた傾斜部40によって爪12を水平に維持することができる。その結果、第2検知部22が爪12を一定の圧力で押圧することができる。
【0083】
本実施形態では、測定ボタン27と第2検知部22の外筒46とが固定されている。測定ボタン27が押されることで第2検知部22の鏡胴43の底部にある透過材44が爪12を押圧する。モータなどの駆動機構が不要であるため、測定装置10を小型化できる。また、測定ボタン27が一定値以上の圧力で押されると、外筒46との固定状態が解除されるため、CRTの測定精度が向上するとともに、安全性が向上する。
【0084】
CRTの測定値には、被検者の個人差又は症状に応じて誤差が生じる。本実施形態では、爪12の色を経時観察して、変化幅を見極めることができるため、押圧力又は押圧時間に関わらず、精度の高いCRT測定が可能である。
【0085】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【0086】
一変形例として、測定装置10は、第3検知部23と、第4検知部24と、出力部26と、測定ボタン27と、電源スイッチ28と、通信ポート29とのうち少なくともいずれかを備えなくてもよい。
【0087】
一変形例として、第1検知部21には、照度センサ52が含まれなくてもよい。すなわち、測定装置10は、照度センサ52を備えなくてもよい。
【0088】
一変形例として、第3検知部23には、温度センサ53、湿度センサ54、及び気圧センサ55のうち少なくともいずれかが含まれなくてもよい。すなわち、測定装置10は、温度センサ53、湿度センサ54、及び気圧センサ55のうち少なくともいずれかを備えなくてもよい。
【0089】
一変形例として、第3検知部23には、筐体20の中で、第4位置に配置され、位置決めされた指11から酸素飽和度を検知する酸素飽和度センサがさらに含まれてもよい。すなわち、測定装置10は、酸素飽和度センサをさらに備えてもよい。
【0090】
一変形例として、第4検知部24には、加速度センサ56、ジャイロセンサ57、及び圧力センサ58のうち少なくともいずれかが含まれなくてもよい。すなわち、測定装置10は、加速度センサ56、ジャイロセンサ57、及び圧力センサ58のうち少なくともいずれかを備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 測定装置
11 指
12 爪
20 筐体
21 第1検知部
22 第2検知部
23 第3検知部
24 第4検知部
25 制御部
26 出力部
27 測定ボタン
28 電源スイッチ
29 通信ポート
30 開口
31 第1基板
32 第2基板
33 第3基板
34 第4基板
35 第5基板
36 第6基板
40 傾斜部
41 発光素子
42 光学系
43 鏡胴
44 透過材
45 受光素子
46 外筒
47 弾性材
48 フック
49 弾性材
51 近接センサ
52 照度センサ
53 温度センサ
54 湿度センサ
55 気圧センサ
56 加速度センサ
57 ジャイロセンサ
58 圧力センサ
60 電池
71 プロセッサ
72 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14