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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/24 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
B65D19/24 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019158869
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021037972
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 瑛
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-125214(JP,A)
【文献】特開2013-220833(JP,A)
【文献】特開平11-049164(JP,A)
【文献】特開2010-120644(JP,A)
【文献】国際公開第2015/004601(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/00-19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状に形成された上面デッキ部と、
平面視矩形状に形成された下面デッキ部と、
桁部と、を備え、
前記桁部は、
前記上面デッキ部の各隅部と前記下面デッキ部の各隅部とをそれぞれ連結する隅桁と、
前記上面デッキ部の各辺の中間部と前記下面デッキ部の各辺の中間部とをそれぞれ連結する中間桁と、
前記上面デッキ部の中央部と前記下面デッキ部の中央部とをそれぞれ連結する中央桁と、を備え、
前記上面デッキ部と前記下面デッキ部との間で、かつ、前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成される平面視矩形状に形成されたパレットであって、
前記桁部は、上下方向に延びる筒部と、前記筒部に端部が接続される補強リブと、前記補強リブに接続されてかつ前記筒部に接続されない仕切リブと、を有し、
前記仕切リブの水平方向における長手方向の端部は、前記補強リブから突出する突出端部となっている
パレット。
【請求項2】
前記仕切リブは、平面視においてX字状に形成されている
請求項1記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットに関し、さらに詳しくは、上面デッキ部、下面デッキ部、隅桁、中間桁及び中央桁を備え、上面デッキ部と下面デッキ部との間で、かつ、隅桁と中間桁との間にフォーク挿入口が形成されるパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上面デッキ部と下面デッキ部との間に複数個の桁部を配設して上面デッキ部と下面デッキ部とを連結すると共に、隣接する桁部の間にフォーク挿入口を形成した合成樹脂パレットが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
合成樹脂パレットは、桁部として、隅桁と、中間桁と、中央桁とを備えている。隅桁は、上面デッキ部の各隅部と下面デッキ部の各隅部とをそれぞれ連結する。中間桁は、上面デッキ部の各辺の中間部と下面デッキ部の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。中央桁は、上面デッキ部の中央部と下面デッキ部の中央部とをそれぞれ連結する。
【0004】
中央桁は、上下方向に延びる筒部と、筒部内を仕切る仕切リブとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5189964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、仕切リブは、端部が筒部に接続されているため、仕切リブの長さが長くなってしまい、この結果、合成樹脂パレット全体の重量が大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、パレットの曲げ強度をあまり低下させずにパレットの重量を抑えることができるパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態のパレットは、平面視矩形状に形成された上面デッキ部と、平面視矩形状に形成された下面デッキ部と、隅桁と、中間桁と、中央桁と、を備え、平面視矩形状に形成される。前記隅桁は、前記上面デッキ部の各隅部と前記下面デッキ部の各隅部とをそれぞれ連結する。前記中間桁は、前記上面デッキ部の各辺の中間部と前記下面デッキ部の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。前記中央桁は、前記上面デッキ部の中央部と前記下面デッキ部の中央部とをそれぞれ連結する。前記パレットには、前記上面デッキ部と前記下面デッキ部との間で、かつ、前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成される。前記中央桁は、上下方向に延びる筒部と、前記筒部に端部が接続される補強リブと、前記補強リブに接続されてかつ前記筒部に接続されない仕切リブと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るパレットにあっては、パレットの曲げ強度をあまり低下させずにパレットの重量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第一実施形態に係るパレットの斜視図である。
図2図2は、同上のパレットの平面図である。
図3図3は、同上のパレットの下面図である。
図4図4は、同上のパレットの側面図である。
図5図5は、図4のA-A線断面図である。
図6図6Aは、図5の一部拡大図である。図6Bは、図6Aの一部拡大図である。
図7図7は、同上のパレットの中央桁の部分を上方より見た斜視図である。
図8図8は、図6のB-B線断面を斜め上方より見た斜視図である。
図9図9は、図6のC-C線断面を斜め上方より見た斜視図である。
図10図10は、第二実施形態に係るパレットの一部拡大した水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、パレットに関する。以下、本発明に係るパレットを添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
第一実施形態に係るパレットについて、図1図9に基いて説明する。第一実施形態に係るパレットの強さは、JISZ0602の試験でB種である。
【0013】
図1に示すように、パレット1は、上面デッキ部2と、下面デッキ部3と、桁部4と、を備え、平面視矩形状に形成される。パレット1は、合成樹脂の射出成形により一体に成形される。すなわち、上面デッキ部2と桁部4とは一体に連結され、下面デッキ部3と桁部4とは一体に連結されている。第一実施形態におけるパレット1は、上面デッキ部2が上側に位置し、かつ、下面デッキ部3が下側に位置する状態で使用するように設計されている。上面デッキ部2と下面デッキ部3とは、平面視における外郭形状は略同一であるものの、全体的な形状及び高さ等は同一となるように形成されていない。以下の説明において、上面デッキ部2が位置する方を上方とし、下面デッキ部3が位置する方を下方とする。
【0014】
上面デッキ部2は、図2に示すように平面視矩形状に形成されており、下面デッキ部3は、図3に示すように下面視(平面視)矩形状に形成されている。図1図3に示すように、上面デッキ部2と下面デッキ部3とは、ともに平面視における外郭形状が正方形状で同形かつ同大に形成されており、平面視において外郭が重なるように上下方向に間隔をあけて配置される。
【0015】
図2に示すように、上面デッキ部2は、桁上部21と、上桟部22と、上桟間部23と、を有する。桁上部21は、桁部4の上側に位置する。上面デッキ部2は、桁上部21として、隅桁上部211と、中間桁上部212と、中央桁上部213と、を有する。
【0016】
隅桁上部211は、平面視において、上面デッキ部2の四個の隅部にそれぞれ位置する。隅桁上部211は、平面視において矩形状(正方形状)をした上面デッキ部2の一辺に沿ったリブ24がこれに直交するリブ25と連結されることにより、形成されている。隅桁上部211は、上下に貫通する貫通口を有するメッシュ状に形成される。隅桁上部211は、後述する隅桁41の上側に位置し、隅桁41と一体に形成されている。
【0017】
中間桁上部212は、上面デッキ部2の四個の辺の中間部にそれぞれ位置する。中間桁上部212は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。中間桁上部212は、後述する中間桁42の上側に位置し、中間桁42と一体に形成されている。
【0018】
中央桁上部213は、上面デッキ部2の中央部に位置する。中央桁上部213は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。中央桁上部213は、後述する中央桁43の上側に位置し、中央桁43と一体に形成されている。
【0019】
上桟部22は、二個の桁上部21間に位置して、二個の桁上部21を連結する。上面デッキ部2は、上桟部22として、端上桟部221と、内上桟部222と、を有する。
【0020】
端上桟部221は、隅桁上部211と中間桁上部212との間に位置して、隅桁上部211と中間桁上部212とを連結する。端上桟部221は、上面デッキ部2の四個の辺にそれぞれ二個ずつ、計八個設けられる。端上桟部221は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0021】
内上桟部222は、中間桁上部212と中央桁上部213との間に位置して、中間桁上部212と中央桁上部213とを連結する。内上桟部222は、中央桁上部213から90度ピッチで十字状に計四個設けられる。内上桟部222は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0022】
上桟間部23は、四辺が上桟部22に囲まれる部分に位置して、上桟部22にそれぞれ連結される。上桟間部23は、計四個設けられる。上桟間部23は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0023】
上面デッキ部2の桁上部21、上桟部22及び上桟間部23の上面は、同一平面上に位置している。
【0024】
図3に示すように、下面デッキ部3は、桁下部31と、下桟部32と、下桟間部33と、を有する。桁下部31は、桁部4の下側に位置する。下面デッキ部3は、桁下部31として、隅桁下部311と、中間桁下部312と、中央桁下部313と、を有する。
【0025】
隅桁下部311は、平面視において、下面デッキ部3の四個の隅部にそれぞれ位置する。隅桁下部311は、平面視において下面デッキ部3の一辺に沿ったリブ34がこれに直交するリブ35と連結されることにより形成されている。隅桁下部311は、上下に貫通する貫通口を有するメッシュ状に形成される。隅桁下部311は、隅桁41の下側に位置し、隅桁41と一体に形成されている。
【0026】
中間桁下部312は、下面デッキ部3の四個の辺の中間部にそれぞれ位置する。中間桁下部312は、隅桁下部311と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。中間桁下部312は、中間桁42の下側に位置し、中間桁42と一体に形成されている。
【0027】
中央桁下部313は、下面デッキ部3の中央部に位置する。中央桁下部313は、隅桁下部311と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。中央桁下部313は、中央桁43の下側に位置し、中央桁43と一体に形成されている。
【0028】
下桟部32は、二個の桁下部31間に位置して、二個の桁下部31を連結する。下面デッキ部3は、下桟部32として、端下桟部321と、内下桟部322と、を有する。
【0029】
端下桟部321は、隅桁下部311と中間桁下部312との間に位置して、隅桁下部311と中間桁下部312とを連結する。端下桟部321は、下面デッキ部3の四個の辺にそれぞれ二個ずつ、計八個設けられる。端下桟部321は、隅桁下部311と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0030】
内下桟部322は、中間桁下部312と中央桁下部313との間に位置して、中間桁下部312と中央桁下部313とを連結する。内下桟部322は、中央桁下部313から90度ピッチで十字状に計四個設けられる。内下桟部322は、隅桁下部311と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0031】
下桟間部33は、四辺が下桟部32に囲まれる部分に位置して、下桟部32にそれぞれ連結される。下桟間部33は、計四個設けられる。下桟間部33は、隅桁下部311と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0032】
下面デッキ部3の桁下部31、下桟部32及び下桟間部33の下面は、同一平面上に位置している。
【0033】
下面デッキ部3の桁下部31及び下桟部32の下面は、同一平面上に位置している。
【0034】
図1に示すように、桁部4は、上面デッキ部2と下面デッキ部3との間に位置して、上面デッキ部2と下面デッキ部3とを連結する。パレット1は、桁部4として、隅桁41と、中間桁42と、中央桁43(図5参照)と、を有する。
【0035】
隅桁41は、上面デッキ部2の各隅部と下面デッキ部3の各隅部とをそれぞれ連結する。具体的には、上面デッキ部2の隅桁上部211と、隅桁上部211の下方に位置する下面デッキ部3の隅桁下部311とが、それぞれ隅桁41により連結される。図5に示すように、隅桁41は、計四個設けられる。隅桁41は、上下方向に伸びる筒部44を有する。筒部44の水平断面における形状は、概ね正方形状である。また、隅桁41の筒部44内には、平面視において上面デッキ部2の一辺に沿ったリブとこれに直交して連結されるリブとにより、補強リブ45が形成されている。
【0036】
中間桁42は、上面デッキ部2の各辺の中間部と下面デッキ部3の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。具体的には、上面デッキ部2の中間桁上部212と、中間桁上部212の下方にそれぞれ位置する下面デッキ部3の中間桁下部312とが、中間桁42により連結される。中間桁42は、計四個設けられる。中間桁42は、隅桁41と同様に、上下方向に伸びる筒部44を有する。筒部44の水平断面における形状は、概ね正方形状である。また、中間桁42の筒部44内には、平面視において上面デッキ部2の一辺に沿ったリブとこれに直交して連結されるリブとにより、補強リブ45が形成されている。
【0037】
中央桁43は、上面デッキ部2の中央部と下面デッキ部3の中央部とをそれぞれ連結する。具体的には、上面デッキ部2の中央桁上部213と、下面デッキ部3の中央桁下部313とが、中央桁43により連結される。中央桁43は、隅桁41及び中間桁42と同様に、上下方向に伸びる筒部44を有する。以下、中央桁43が有する筒部44を特に筒部5とし、隅桁41及び中間桁42が有する筒部44と区別する。筒部44の水平断面における形状は、概ね正方形状である。
【0038】
また、中央桁43の筒部44内には、平面視において上面デッキ部2の一辺に沿ったリブとこれに直交して連結されるリブとにより、補強リブ45が形成されている。以下、中央桁43が有する補強リブ45を特に補強リブ6として、隅桁41及び中間桁42が有する補強リブ45と区別する。筒部5及び補強リブ6については後述する。
【0039】
下面デッキ部3の桁下部31及び下桟部32の下面が水平面に載置されたとき、上面デッキ部2の桁上部21、上桟部22及び上桟間部23の上面は、水平な同一平面上に位置する。すなわち、パレット1の厚み(すなわち上面と下面との間の上下長さ)は一定に形成されている。
【0040】
図1に示すように、パレット1は、フォーク挿入口10を有する。フォーク挿入口10は、上面デッキ部2と下面デッキ部3との間で、かつ、隅桁41と中間桁42との間に形成される。具体的には、フォーク挿入口10は、図4に示すように、上側に端上桟部221、下側に端下桟部321、側方に隅桁41と中間桁42とが位置してこれらに囲まれる部分である。フォーク挿入口10は、端上桟部221と端下桟部321の各対にそれぞれ対応しており、パレット1の四個の辺にそれぞれ二個ずつ、計八個設けられる。
【0041】
フォーク挿入口10は、側方に向けて開口しており、フォークリフトのフォーク9(図4の破線参照)が挿入される。フォーク9は、パレット1の一辺に形成されたフォーク挿入口10より挿入され、フォーク9の先端は、パレット1の一辺に対向する辺に形成されたフォーク挿入口10より少し出るが、必ずしもフォーク9の先端がフォーク挿入口10より出なくてもよい。フォーク9が挿入され得る一連の空間が、フォーク挿入空間11となる。すなわち、フォーク挿入空間11は、端上桟部221と端下桟部321との間(フォーク挿入口10)、上桟間部23と下桟間部33との間、内上桟部222と内下桟部322との間、上桟間部23と下桟間部33との間、端上桟部221と端下桟部321との間(フォーク挿入口10)に順に到る一連の空間により構成される。フォーク挿入空間11は、パレット1の一辺とこれに対向する辺とにかけて二本並設され、パレット1の一辺に隣接する辺とこれに対向する辺とにかけて二本並設され、計四本が平面視において井の字状をなすように設けられる。パレット1は、いわゆる四方差しのパレットとなる。
【0042】
パレット1の上面デッキ部2は、桁上部21、上桟部22及び上桟間部23を有しており、上面デッキ部2には大きな開口が形成されず、上面デッキ部2の上面に積載物が載置される。本実施形態では更に、下面デッキ部3が桁下部31、下桟部32及び下桟間部33を有しており、下面デッキ部3には大きな開口が形成されていない。このため、下面デッキ部3を上側とするとともに上面デッキ部2を下側として、下面デッキ部3の上面に積載物が載置される。すなわち、本実施形態のパレット1は、両面使用のパレット1となっている。なお、パレット1は、片面使用のパレット1であってもよい。
【0043】
図6A及び図7に示すように、筒部5は、平面視矩形状(特に本実施形態では正方形状)をしたものである。本実施形態では、中央桁43の上側に一体に連続する中央桁上部213及び中央桁43の下側に一体に連続する中央桁下部313も、筒部5及び補強リブ6と同様の筒部及び補強リブを有している。言い換えると、筒部5及び補強リブ6は、中央桁43のみならず中央桁上部213及び中央桁下部313に跨って形成されている。なお、筒部5及び補強リブ6は、中央桁43から中央桁上部213及び中央桁下部313にかけて形成される必要はなく、少なくとも中央桁43に形成されていればよい。
【0044】
図6A図8及び図9に示すように、補強リブ6の端部は、筒部5に接続される。図8及び図9に示すように、補強リブ6の上下方向の中間部61は、筒部5から水平方向に所定の長さ離れた箇所までしか形成されておらず、補強リブ6の上端部62及び下端部63は、筒部5から水平方向に所定の長さ(中間部61の長さ)以上離れた箇所まで形成されている。
【0045】
隣接する補強リブ6の上端部62間には、天板部64が形成される。図7に示すように、天板部64として、平面視において、筒部5により囲まれる矩形状をした領域の隅部に形成される矩形状をした四個の天板部641と、L字状をした四個の天板部642とが形成される。但し、天板部641は、隣接する補強リブ6の上端部62間ではなく、補強リブ6の上端部62と筒部5の上端部との間に形成される。なお、天板部64の形状は限定されない。また、本実施形態では天板部64が形成されているが、天板部64は特に形成されなくてもよい。
【0046】
隣接する補強リブ6の下端部63間には、底板部65が形成される。図6A及び図7に示すように、底板部65として、平面視において、L字状をした四個の底板部651と、十字状をした一個の底板部652とが形成される。なお、底板部65の形状は限定されない。また、本実施形態では底板部65が形成されているが、底板部65は特に形成されなくてもよい。
【0047】
図7に示すように、天板部64と底板部65は、平面視においてずれた位置に形成されている。図8に示すように、底板部65は、パレット1の成形時、パレット1を成形するための金型の上型(図8中の破線81参照)の下側に位置する。また、図9に示すように、天板部64は、パレット1の成形時、パレット1を成形するための金型の下型(図9中の破線82参照)の上側に位置する。
【0048】
中央桁43は、更に、仕切リブ7を有する。仕切リブ7は、補強リブ6(特に、上桟部22又は下桟部32に接続されている補強リブ6)に接続されてかつ筒部5に接続されない。仕切リブ7は、筒部5により囲まれる空間を大まかに仕切る。なお、筒部5により囲まれる空間は、仕切リブ7により完全に分断されなくてもよい。本実施形態では、図6Aに示すように、仕切リブ7は、平面視においてX字状に形成されている。
【0049】
このように、仕切リブ7が筒部5に接続されないことにより、仕切リブ7の端部が筒部5にまで延びて筒部5に接続される場合と比較して、仕切リブ7の長さが短くてすむ。この結果、仕切リブ7の長さが短くなる分、パレット1全体の重量が抑えられる。このとき、パレット1の曲げ強度は若干低下するおそれがあるが、全体的にみればパレット1の曲げ強度はあまり低下しておらず、実用上支障はない。
【0050】
また、図6Bに示すように、仕切リブ7の水平方向における長手方向の端部は、補強リブ6から突出する突出端部71となっている。天板部641(図7及び図9参照)の下側に位置し、筒部5と補強リブ6とに囲まれる平面視矩形状をした空間50の隅部に、突出端部71が突出している。空間50は、図9に示すように下型82により形成される。下型82は、パレット1に対して下方に抜かれるが、このとき、筒部5と補強リブ6とで形成される隅部(空間50の隅部)の壁面に下型82の隅部が押されて、摩擦により下型82がパレット1から抜けにくくなるおそれがある。本実施形態では、筒部5と補強リブ6とで形成される隅部に突出端部71が突出して空間50の隅部が形成されないため、下型82の隅部が筒部5と補強リブ6とで形成される隅部の壁面に押されて引っ掛かりにくくなり、下型82がパレット1から抜けにくくなるのが抑制されると共に、下型82の耐久性が向上する。なお、本実施形態では、筒部5と補強リブ6とで形成される隅部に下型82が対応するが、上型81が対応してもよい。
【0051】
また、図7に示すように、仕切リブ7の上端部は、天板部64に接続されている。仕切リブ7の上端部は、天板部64に接続されることにより、パレット1の上面に載置される積載物に、仕切リブ7の上端部が接触せず天板部64の上面が接触するため、積載物に仕切リブ7のエッジの跡が付くのが防止される。
【0052】
また、図8に示すように、底板部65の上方に位置する仕切リブ7の断面72(仕切リブ7の水平方向における長手方向と直交する断面)は、上方へいくほど厚みが薄くなるようなテーパを有している。これにより、上型81がパレット1から上方に抜けやすくなる。
【0053】
また、図9に示すように、天板部64の下方に位置する仕切リブ7の断面73(仕切リブ7の水平方向における長手方向と直交する断面)は、下方へいくほど厚みが薄くなるようなテーパを有している。これにより、下型82がパレット1から下方に抜けやすくなる。
【0054】
本実施形態では、仕切リブ7の最も薄い部分の厚みと、仕切リブ7以外のリブ(補強リブ6を含む)の厚みが等しくなるように形成されている。なお、仕切リブ7の最も薄い部分の厚みは、仕切リブ7以外のリブ(補強リブ6を含む)の厚みより厚くなるように形成されてもよい。
【0055】
次に、第二実施形態に係るパレット1について、図10に基いて説明する。なお、第二実施形態のパレット1は、第一実施形態のパレット1と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については説明を省略する。
【0056】
第一実施形態では、仕切リブ7は、平面視においてX字状に形成されていた。これに対して、第二実施形態では、仕切リブ7は、平面視においてロ字状に形成されている。なお、補強リブ6は、第一実施形態と同じである。このように、平面視においてロ字状に形成された仕切リブ7においても、仕切リブ7が筒部5に接続されないことにより、仕切リブ7の長さが短くなる分、パレット1全体の重量が抑えられる。
【0057】
また、仕切リブ7の更に他例として、概ね平面視においてX字状に形成され、かつ、X字の交差している中央部がロ字状に形成されてもよい。すなわち、仕切リブ7は、中央部がロ字状に形成され、かつ、各隅部より放射状にリブが延びる形状でもよい。なお、補強リブ6は、第一実施形態と同じである。
【0058】
また、仕切リブ7の更に他例として、仕切リブ7が、同じ方向に延びるように、間隔をあけて複数並設されてもよい。
【0059】
また、仕切リブ7の更に他例として、仕切リブ7は第一実施形態と略同じであるが、補強リブ6が第一実施形態と異なっている。すなわち、補強リブ6の底板部65は、L字状をした四個の底板部651のみ形成され、十字状をした一個の底板部652は形成されていない。この場合、仕切リブ7の端部がそれぞれ底板部651に接続されることにより、パレット1の曲げ強度が向上する。
【0060】
以上、述べた第一実施形態~第二実施形態およびその変形例から明らかなように、第1の態様のパレット(1)は、平面視矩形状に形成された上面デッキ部(2)と、平面視矩形状に形成された下面デッキ部(3)と、隅桁(41)と、中間桁(42)と、中央桁(43)と、を備え、平面視矩形状に形成される。隅桁(41)は、上面デッキ部(2)の各隅部と下面デッキ部(3)の各隅部とをそれぞれ連結する。中間桁(42)は、上面デッキ部(2)の各辺の中間部と下面デッキ部(3)の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。中央桁(43)は、上面デッキ部(2)の中央部と下面デッキ部(3)の中央部とをそれぞれ連結する。パレット(1)には、上面デッキ部(2)と下面デッキ部(3)との間で、かつ、隅桁(41)と中間桁(42)との間にフォーク挿入口(10)が形成される。中央桁(43)は、上下方向に延びる筒部(5)と、筒部(5)に端部が接続される補強リブ(6)と、補強リブ(6)に接続されてかつ筒部(5)に接続されない仕切リブ(7)と、を有する。
【0061】
第1の態様によれば、仕切リブ(7)の端部が筒部(5)にまで延びて筒部(5)に接続される場合と比較して、仕切リブ(7)の長さが短くてすむ。この結果、仕切リブ(7)の長さが短くなる分、パレット(1)全体の重量が抑えられ、パレット1の曲げ強度はあまり低下しない。
【0062】
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、仕切リブ(7)は、平面視においてX字状に形成されている。
【0063】
第2の態様によれば、平面視においてロ字状に形成された仕切リブ(7)においても、仕切リブ(7)が筒部(5)に接続されないことにより、仕切リブ(7)の長さが短くなる分、パレット(1)全体の重量が抑えられる。
【符号の説明】
【0064】
1 パレット
10 フォーク挿入口
2 上面デッキ部
3 下面デッキ部
41 隅桁
42 中間桁
43 中央桁
5 筒部
6 補強リブ
7 仕切リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10