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特許7368831浸透誘導壁、浸透誘導管及びこれを備えた浸透施設
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  • 特許-浸透誘導壁、浸透誘導管及びこれを備えた浸透施設 図1
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  • 特許-浸透誘導壁、浸透誘導管及びこれを備えた浸透施設 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】浸透誘導壁、浸透誘導管及びこれを備えた浸透施設
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
E03F1/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019194907
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021067128
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000229128
【氏名又は名称】ベルテクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 良祐
(72)【発明者】
【氏名】石田 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】大森 清武
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-178491(JP,U)
【文献】登録実用新案第3144327(JP,U)
【文献】登録実用新案第3159729(JP,U)
【文献】特開2015-183493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を地盤に排出する浸透穴が形成された液体を収容する施設の内部において、前記浸透穴の上流側に配置される浸透誘導壁であって、
前記浸透誘導壁はこれを貫通する複数の貫通穴を有し、前記貫通穴は、前記液体が移動する上流側から下流側に向かって鉛直方向上方に傾斜して設けられ、
前記貫通穴の前記浸透誘導壁の前記液体が移動する上流側の流入頂部は、前記貫通穴の前記浸透誘導壁の前記液体が移動する下流側の流入底部と等しい位置か、または低い位置に設けられていることを特徴とする浸透誘導壁。
【請求項2】
請求項1に記載の浸透誘導壁であって、前記液体を収容する施設は、浸透ボックスカルバート、浸透桝、浸透マンホール、または浸透管であることを特徴とする浸透誘導壁
【請求項3】
請求項1に記載の前記浸透誘導壁は、前記液体を収容する施設内に鉛直方向に配置される浸透誘導管として構成され、
前記貫通穴は前記液体の上流側となる前記浸透誘導管の外側から、前記液体の下流側となる前記浸透誘導管の内側に向かって上方に傾斜して設けられていることを特徴とする浸透誘導管。
【請求項4】
請求項3に記載の浸透誘導管であって、前記浸透誘導管の外周にフィルタ材を設けたことを特徴とする浸透誘導管
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水浸透施設に設けられる浸透誘導壁、浸透誘導管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、桝、マンホール、ボックスカルバート等の雨水排出路から地盤に雨水を浸透させる浸透施設が設置されている。これらの浸透施設の底版に浸透穴が設けられる場合もあり底版上に堆砂すると浸透穴が閉塞されて浸透機能が低下するため定期的にメンテナンスを実施する必要がある。
【0003】
特許文献1では、桝本体の側壁に設けられる導出孔が桝本体の内面から外面に向けて拡開され、且つ下方に傾斜している。これにより桝本体の周囲の土砂が桝本体内に浸入するのを防止し、桝本体内に貯留された雨水が導出孔から地中に勢いよく排出され、雨水に含まれるゴミや泥も導出孔から地中に勢いよく排出されるものである。
【0004】
また、特許文献2では、雨水貯留浸透施設の底版や側壁に設けた貫通穴にT字状の浸透フィルタを取り付けている。これにより底版上に堆積した固形物が浸透フィルタに浸入することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-169295号公報
【文献】特開2011-012432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、水平方向に対して勢いが付いて排出されるということは、導出孔方向に流速が発生し、桝内面の導出孔径よりも大きな浮きゴミは、導出孔に引き寄せられ、内面側から導出孔を塞いでしまう。また、下面方向についても桝本体の外側に土砂があるため桝本体の下面外側はメンテナンスがし難く、ゴミやドロが堰止められて溜まっていき、導出孔が塞がってしまう。
【0007】
また、特許文献2では、T字状の浸透フィルタ方向に流速が発生するため浮きゴミは浸透フィルタ側に引っ張られ、浸透フィルタの表面に浮きゴミが付着して下面方向への浸透を阻害する可能性が有る。
【0008】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、貫通穴を通過する液体に高低差による流速が発生し難く、浸透を阻害し難い浸透誘導壁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明に係る浸透誘導壁の代表的な構成は、液体を地盤に排出する浸透穴が形成された液体を収容する施設の内部において、前記浸透穴の上流側に配置される浸透誘導壁であって、前記浸透誘導壁はこれを貫通する複数の貫通穴を有し、前記貫通穴は、前記液体が移動する上流側から下流側に向かって鉛直方向上方に傾斜して設けられ、前記貫通穴の前記浸透誘導壁の前記液体が移動する上流側の流入頂部は、前記貫通穴の前記浸透誘導壁の前記液体が移動する下流側の流入底部と等しい位置か、または低い位置に設けられていることことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、貫通穴を通過する液体に高低差による流速が発生し難く、浸透を阻害し難い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は、浸透誘導管の構成を示す平面図である。(b)は、浸透誘導管の構成を示す正面図である。(c)は、浸透誘導管の構成を示す底面図である。
図2】浸透誘導管を斜め上側から見た斜視図である。
図3】浸透誘導管の一部を縦方向に切断して見せた断面図である。
図4】浸透誘導管を備えた雨水浸透施設の構成を示す断面図である。
図5】(a)は、浸透誘導管を備えた誘導ユニットの構成を示す側面図である。(b)は、(a)のA-A断面図である。
図6】浸透誘導管の貫通穴の構成を示す断面図である。
図7】浸透誘導管の貫通穴の他の構成を示す断面図である。
図8】(a)は、浸透誘導壁を備えた雨水浸透施設の構成を示す断面図である。(b)は、浸透誘導壁を備えた雨水浸透施設の他の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図により本発明に係る浸透誘導壁、浸透誘導管及びこれを備えた浸透施設の一実施形態を具体的に説明する。
【0013】
<浸透誘導管>
図1乃至図3に示す浸透誘導管1は、液体3を収容する施設内に設けられ、その施設から液体3を排出する開口に連通され、前記開口から流れ出る液体3に高低差による流速が発生しないように液体3の排出を誘導するものである。
【0014】
浸透誘導管1の肉厚部1bは、貫通穴2を介して浸透する液体としての雨水3aを誘導する浸透誘導壁として構成されている。貫通穴2は、図6に示すように、雨水3aが移動する上流側(図6の左側)から下流側(図6の右側)に向かって鉛直方向上方(図6の上方)に傾斜して設けられている。貫通穴2の浸透誘導壁の雨水3aが移動する上流側(図6の左側)の流入頂部2aは、貫通穴2の浸透誘導壁の雨水3aが移動する下流側(図6の右側)の流入底部2bと等しい位置か、または低い位置に設けられている。
【0015】
図6に示すように、浸透誘導管1の壁面1aには、壁面1aを貫通する複数の貫通穴2が設けられている。図6に示すように、浸透誘導管1が鉛直方向(図6の上下方向)に配置された姿勢において、貫通穴2は、浸透誘導管1の外側(図6の左側)から浸透誘導管1の内側(図6の右側)に向かって上方に傾斜して設けられている。貫通穴2の浸透誘導管1の外面側の流入頂部2aは、同じ貫通穴2の浸透誘導管1の内面側の流入底部2bと等しい位置か、または流入底部2bよりも低い位置に設けられている。即ち、図6に示す流入頂部2aと流入底部2bとの高低差Δh≧0である。
【0016】
図6において、施設内に貯留された液体3の表面が貫通穴2の浸透誘導管1の内面側の流入底部2bよりも高いレベルに達すると、施設内に貯留された液体3は、浸透誘導管1の外側(図6の左側)から浸透誘導管1の貫通穴2を通過して浸透誘導管1の内側(図6の右側)に向かって流れ出し、浸透誘導管1内を通過して施設の開口から流れ出る。浸透誘導管1の貫通穴2を通過する液体3の表面には、高低差による流速が発生しない。これにより液体3に含まれる不要な物質が流速によって浸透誘導管1の外側(図6の左側)から浸透誘導管1の内側(図6の右側)に流れ込むことを抑制することができる。これにより不要な物質のうち、特に浮遊する物質が流速によって浸透誘導管1の内側に流れ込むことや浸透誘導管1の外側を塞ぐことを大きく抑制できる。
【0017】
逆に施設内の水位が下がる際には、浸透誘導管1内の水は浸透誘導管1の外側に向けて流速が発生する。これにより浸透誘導管1の外周に設けられたフィルタ材11が逆洗される。また、万が一、浸透誘導管1の外側が浮遊する物質に塞がれた場合でも、施設内の浸透誘導管1の外側の雨水3aの水位が下がった時に、浸透誘導管1内に溜まった雨水3aにより塞いだ物質を浸透誘導管1の外側へ押し出そうとする動きが発生する。
【0018】
本実施形態の浸透誘導管1の貫通穴2は、図1(b)、図2図3に示すように、六角形のハニカム形状で構成されている。浸透誘導管1の内面側の貫通穴2の六角形の面積は、浸透誘導管1の外面側の貫通穴2の六角形の面積よりも小さく、浸透誘導管1の内径と外径に応じて貫通穴2の六角形の面積は、浸透誘導管1の内面側から浸透誘導管1の外面側に向かって連続的に大きくなっている。浸透誘導管1の貫通穴2を六角形のハニカム形状で構成したことにより浸透誘導管1の強度を高めることができる。尚、浸透誘導管1の貫通穴2の形状は、六角形に限定する必要は無く、円形や楕円形、或いは、三角形や四角形、五角形等でも良い。また、浸透誘導管1は、円筒形状や楕円筒形状、三角筒形状、四角筒形状、五角筒形状、六角筒形状であっても良い。また、浸透誘導管1は、一体型であっても良いし、別体の板を組み合わせて浸透誘導管1を構成したものであっても良い。また、貫通穴2は、図1に示すハニカム形状のように連続してまんべんなく配置されていても良いし、浸透誘導管1にまばらに配置されていても良い。
【0019】
<雨水浸透施設>
図4は、浸透誘導管1を備えた雨水浸透施設4の構成を示す断面図である。図4に示す雨水浸透施設4は、地盤6に埋設され、雨水を排水する管路を構成するボックスカルバート5の一例である。ボックスカルバート5は、底版5aと、側版5b,5cと、天版5dとを有する箱型の構造物として構成されている。底版5aと、側版5b,5cには、それぞれ底版5aと、側版5b,5cを貫通する貫通穴からなる複数の浸透穴7a~7cが設けられている。ボックスカルバート5内を排水される雨水3aは、雨水3aの水位に応じて各浸透穴7a~7cから排水されて周囲の地盤6に浸透する。尚、雨水浸透施設4としては、ボックスカルバート5の他に浸透桝、浸透マンホール等にも適用可能である。
【0020】
<誘導ユニット>
図5(a)は、浸透誘導管1を備えた誘導ユニット8の構成を示す側面図である。図5(b)は、図5(a)のA-A断面図である。図4に示すように、雨水浸透施設4の底部を構成するボックスカルバート5の底版5aには、排水穴としての浸透穴7aが設けられている。図5(a)に示す誘導ユニット8は、図4に示すボックスカルバート5の底版5aに設けられた浸透穴7aから天版5dの内面5d1までの高さに対応した長さを有して構成されている。
【0021】
誘導ユニット8は、ボックスカルバート5の底版5aに設けられた浸透穴7aに一端部が連通される管体9を有している。管体9は、浸透穴7aの内部に嵌入される外径を有して構成される。管体9の壁面には、開口が設けられていない。管体9は、浸透穴7aの内部に嵌入される嵌入部9aと、図4に示すボックスカルバート5の底版5a上に堆積する堆砂10の高さよりも高い位置まで設けられた堆砂部9bとを有して構成される。即ち、管体9は、堆砂部区間として構成されている。雨水3aに含まれるゴミや土砂等がボックスカルバート5の底版5a上に堆積すると浸透穴7aが閉塞されて浸透性能が低下するが、ボックスカルバート5の底版5a上に堆積する堆砂10の高さよりも高い位置まで堆砂部9bが設けられているため浸透穴7aが閉塞されることなく浸透性能が維持できる。
【0022】
管体9の他端部には、図2に示す浸透誘導管1が連通されている。浸透誘導管1は、ボックスカルバート5の内部で鉛直方向(図4の上下方向)に配置されている。浸透誘導管1の外周面全体に亘ってフィルタ材11が設けられている。フィルタ材11の一例としては、不織布からなる透水マットや新光ナイロン株式会社製のヘチマロン(登録商標)のようなプラスチック製の立体網状構造体等が適用可能である。このようなフィルタ材11は、雨水3aに含まれる砂等の混入ゴミの細かいものを除去することができる。浸透誘導管1の管体9に連通される端部と反対側の端部には、天版取付部材12が設けられている。天版取付部材12には、接続用のフランジ12aが設けられている。ボックスカルバート5の天版5dの内面5d1には、アンカーボルトやアンカーナットが埋設されている。フランジ12aに設けられた貫通穴にアンカーボルトを挿通してアンカーボルトにナットを螺合締結するか、或いは、フランジ12aに設けられた貫通穴にボルトを挿入してアンカーナットに螺合締結することで天版取付部材12を雨水浸透施設4の一部としての天版5dの内面5d1に支持することができる。
【0023】
ここで、誘導ユニット8は、浸透誘導管1、管体9、天版取付部材12等の部位ごとに分割可能とし、各部位の相互間をフランジ等により連結可能に構成することにより、既設のボックスカルバート5内に、予め分割していた各部位を運び込み、ボックスカルバート5内で各部位を組み立ててボックスカルバート5の底版5aに設けられた浸透穴7aから天版5dの内面5d1までの間に亘って誘導ユニット8を設けることができる。また、別体の板を組み合わせて浸透誘導管1を構成した場合には、複数のL字形状のアングル材を組み合わせて堆砂部9bを形成し、アングル材の上に浸透誘導管1を構成する板を設置することもできる。
【0024】
図6に示して前述したように、貫通穴2の浸透誘導管1の外面側の流入頂部2aは、同じ貫通穴2の浸透誘導管1の内面側の流入底部2bよりも低い位置に設けられている。これにより貫通穴2の浸透誘導管1の外面側から同じ貫通穴2の浸透誘導管1の内面側に向かって雨水3aが流出する際に雨水3aに高低差による速度が発生し難く、ボックスカルバート5の内部で浸透誘導管1の外部に貯留している雨水3aに含まれる浮きゴミが浸透誘導管1の内部に入り難い。また、浸透誘導管1の外周面全体に亘って設けられているフィルタ材11に雨水3aに含まれる浮きゴミが張り付き難い。
【0025】
図4乃至図6に示すように、ボックスカルバート5の内部で浸透誘導管1の外部に貯留している雨水3aの水位が貫通穴2の浸透誘導管1の内面側の流入底部2bに達すると、雨水3aは高低差による流速が発生することなく貫通穴2を通過して浸透誘導管1の内部に流れ込み、管体9の内部を流れて浸透穴7aから排水されて周囲の地盤6に浸透する。

【0026】
従来の雨水浸透施設では、底面に浸透穴がある場合には、雨水3aに含まれるゴミや堆砂10によって浸透穴が閉塞されてしまうため定期的にメンテナンスを実施する必要があった。本実施形態では、ボックスカルバート5の底版5aに設けられた浸透穴7aの内部に誘導ユニット8の管体9を嵌入することで浸透穴7aの浸透性能を長寿命化することができる。
【0027】
尚、本実施形態では、ボックスカルバート5の底版5aに設けられた浸透穴7aの内部に誘導ユニット8の直管からなる管体9を嵌入した一例について説明したが、管体9をL字型のエルボ管で構成し、ボックスカルバート5の側版5b,5cに設けられた浸透穴7b,7cの内部に誘導ユニット8のL字型のエルボ管からなる管体9をそれぞれ嵌入し、誘導ユニット8の浸透誘導管1をボックスカルバート5の内部で鉛直方向(図4の上下方向)に配置することで同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、誘導ユニット8の天版取付部材12を天版5dの内面5d1に支持した場合の一例について説明したが、各浸透穴7a~7cに管体9をそれぞれ嵌入した状態で、誘導ユニット8が自立でき、誘導ユニット8の浸透誘導管1をボックスカルバート5の内部で鉛直方向(図4の上下方向)に配置することができる構造であれば、浸透誘導管1の管体9に連通される端部と反対側の端部を雨水浸透施設4の一部に支持しなくても良い。
【0028】
<他の浸透誘導管>
尚、前記実施形態では、図4及び図6に示すように、浸透誘導管1の外側から内側に向けて雨水3aが移動する場合の一例について説明したが、図7に示すように、浸透誘導管1の外側に図示しない排水穴が設けられ、浸透誘導管1の内側から外側に向けて雨水3aが移動する場合にも適用できる。このとき、貫通穴2を介して浸透する雨水3aを誘導する浸透誘導壁としての肉厚部1bは、貫通穴2を雨水3aが移動する上流側(図7の左側)から下流側(図7の右側)に向かって鉛直方向上方に傾斜して設けられ、貫通穴2の肉厚部1bの雨水3aが移動する上流側(図7の左側)の流入頂部2aは、貫通穴2の肉厚部1bの雨水3aが移動する下流側(図7の右側)の流入底部2bと等しい位置か、または低い位置に設けられている。
【0029】
図7に示す浸透誘導壁としての肉厚部1bは、内部から外部に流れ出る液体としての雨水3aを誘導する浸透誘導管1として構成されている。浸透誘導管1の肉厚部1bの壁面1aを複数の貫通穴2が貫通する。浸透誘導管1が鉛直方向(図7の上下方向)に配置された姿勢において、貫通穴2は、浸透誘導管1の内側(図7の左側)から浸透誘導管1の外側(図7の右側)に向かって上方に傾斜している。貫通穴2の浸透誘導管1の内面側の流入頂部2aは、貫通穴2の浸透誘導管1の外面側の流入底部2bと等しい位置か、または低い位置に設けられている。このような構成でも前述と同様に、貫通穴2を通過する雨水3aに高低差による流速が発生し難く、浸透を阻害し難い。
【0030】
<浸透誘導壁>
図8(a)は、浸透誘導壁13を備えた雨水浸透施設4の構成を示す断面図である。図8に示すボックスカルバート5の側版5bを貫通する浸透穴7bには、管路14が接続されている。底部としての底版5aを貫通して開口であって排水穴としての浸透穴7aが設けられている。ボックスカルバート5内部の浸透穴7aが設けられた区画と、浸透穴7bが設けられた区画とは、浸透誘導壁13により仕切られている。浸透誘導壁13の浸透穴7b側の外周には、フィルタ材11が設けられている。
【0031】
図8(a)に示す浸透誘導壁13は、貫通穴2を介して浸透する液体としての雨水3aを誘導する。貫通穴2は、雨水3aが移動する上流側(図8(a)の左側)から下流側(図8(a)の右側)に向かって鉛直方向上方(図8(a)の上方)に傾斜している。貫通穴2の浸透誘導壁13の雨水3aが移動する上流側(図8(a)の左側)の流入頂部2aは、貫通穴2の浸透誘導壁13の雨水3aが移動する下流側(図8(a)の右側)の流入底部2bと等しい位置か、または低い位置に設けられている。このような構成でも前述と同様に、浸透誘導壁13の貫通穴2を通過する雨水3aに高低差による流速が発生し難く、浸透を阻害し難い。
【0032】
図8(b)は、浸透誘導壁13を備えた雨水浸透施設4の他の構成を示す断面図である。図8(b)に示すボックスカルバート5は、側版5cの代わりに浸透誘導壁13を設けたものである。浸透誘導壁13の外側には、砕石15が設けられている。このような構成でも前述と同様に、浸透誘導壁13の貫通穴2を通過する雨水3aに高低差による流速が発生し難く、浸透を阻害し難い。
【0033】
<他の浸透誘導壁>
このような浸透誘導壁13を浸透ボックスカルバート、浸透桝、浸透マンホール、浸透管のうちの何れか1つの壁面として構成することで、前述と同様に、浸透誘導壁13の貫通穴2を通過する雨水3aに高低差による流速が発生し難く、浸透を阻害し難い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の活用例として、桝、マンホール、ボックスカルバート等の雨水排出路から地盤に雨水を浸透させる浸透施設に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
Δh…流入頂部2aと流入底部2bとの高低差
1…浸透誘導管
1a…壁面
1b…肉厚部(浸透誘導壁)
2…貫通穴
2a…流入頂部
2b…流入底部
3…液体
3a…雨水(液体)
4…雨水浸透施設
5…ボックスカルバート
5a…底版(底部)
5b,5c…側版
5d…天版
5d1…内面(雨水浸透施設4の一部)
6…地盤
7a…浸透穴(開口;排水穴)
7b,7c…浸透穴
8…誘導ユニット
9…管体
9a…嵌入部
9b…堆砂部
10…堆砂
11…フィルタ材
12…天版取付部材
12a…フランジ
13…浸透誘導壁
14…管路
15…砕石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8