(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】遊技機用透明板組体および弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
A63F7/02 310C
A63F7/02 326C
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2019197537
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】末廣 義典
【審査官】阿部 知
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-070504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状部材と、該枠状部材の前側面に貼着される前面側透明板と、該枠状部材の後側面に貼着される後面側透明板とからなり、透明板保持枠の開口内であり遊技盤の遊技領域の外側と相対する前記枠状部材の内周部位に係止部を形成し、透明板保持枠の前面を装飾する装飾体が該係止部に係止されるようにしたことを特徴とする遊技機用透明板組体。
【請求項2】
前記前面側透明板の周縁部に切欠を形成することで前記係止部を前面に露呈させたことを特徴とする請求項
1に記載した遊技機用透明板組体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機,アレンジボール遊技機,雀球遊技機等の弾球遊技機の前面に設けられ、該弾球遊技機の遊技領域を遊技者に透視可能にする遊技機用透明板組体に関するもので、さらに詳しくは、弾球遊技機の前面に所望の装飾体を追加的に或いはその追加された装飾体をさらに交換可能に装着することを可能にする遊技機用透明板組体、および、該透明板組体を装着した弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に遊技場に設置されるパチンコ遊技機は、周知のように、前面に設けられた鍵穴に所定のキーを差し込むことにより透明板保持枠(ガラス枠または窓枠体とも称される)を開閉し得るように構成され、枠状部材の後側面と前側面とにそれぞれ透明なガラス製または樹脂製の透明板を貼着してなる透明板組体(透明板ユニットまたは二重ガラス体とも称される)が前記透明板保持枠に保持され、遊技者は該透明板組体を通して遊技球が流下する遊技盤の遊技領域を透視可能なるようにしている。
そして、近年の弾球遊技機は、遊技者の興味を喚起するため遊技球が流下する遊技領域だけでなく、透明板保持枠の左側や右側および上側や下側等の周縁部分、或いは球受皿の周囲等に種々の多様な装飾を施していて、一般的にこれらの装飾は個々の遊技機のテーマや遊技内容と調和したものにデザインされている。
また、近年の弾球遊技機は、周知のように、遊技場に設置され、一定期間使用した後であっても遊技盤を簡単に交換できるように構成されており、その構成に従い遊技盤を新しいものに交換することによっては、低コストで該弾球遊技機をリニューアルできるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の弾球遊技機では、一般的には遊技盤を交換してリニューアルしたとしても遊技者から見て遊技盤の周囲である透明板保持枠の左側や右側および上側や下側等の周縁部分の装飾はリニューアル前と変化してないので、新鮮さが乏しいとともに、こうしたデザインが新たな遊技盤のデザインと調和しないということがあった。このため十分なリニューアル効果も得られないという問題がある。
【0005】
なお、不正な遊技者が磁石を使って遊技球を誘導したり、或いは針金を挿入して入賞を操作するなどの不正行為を防止するうえで、上記透明板保持枠は弾球遊技機の重要部分であるので、リニューアルする際であっても、透明板保持枠やその前面の装飾部材について改変することは防犯上難しく、そのために透明板保持枠やその前面の装飾部材は製造された当初のままで使用継続されていた。言い換えれば、遊技場にて透明板保持枠やその装飾部材を当初のものから変更することは困難であった。
【0006】
なお、上記特許文献1に示されたパチンコ遊技機では、透明板保持枠に装飾体装着部を予め設け、該装飾体装着部に所望の装飾体を装着できるように構成している。しかしこの場合、透明板保持枠自体に予め飾体装着部を形成した謂わば特別仕様の遊技機でないと遊技場にて装飾体を交換するようなことはできないという問題がある。言い換えると、遊技場にて透明板保持枠の装飾をもリニューアルできるのは、設計の段階から予め透明板保持枠に装飾体装着部を形成することを考慮した特別仕様の弾球遊技機でなければならないという問題があり、そうでない一般的な弾球遊技機は遊技場に設置した後ではたとえ遊技盤をリニューアルする際であっても透明板保持枠の装飾をリニューアルすることはできないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、普通仕様の一般的な弾球遊技機であっても、透明板保持枠の前面に所望の装飾体を追加的に或いは交換可能に装着することを可能にする遊技機用透明板組体および弾球遊技機を提供しようとするものである。
そのために本発明に係る弾球遊技機は、透明板組体に係止部を形成し、装飾体を該係止部に係止し、該透明板組体を透明板保持枠に保持させることで遊技盤の遊技領域を透視可能にするとともに前記装飾体により該透明板保持枠の前面が装飾されるようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る遊技機用透明板組体は、枠状部材と、該枠状部材の前側面に貼着される前面側透明板と、該枠状部材の後側面に貼着される後面側透明板とからなり、透明板保持枠の開口内であり遊技盤の遊技領域の外側と相対する前記枠状部材の内周部位に係止部を形成し、透明板保持枠の前面を装飾する装飾体が該係止部に係止されるようにしたことを特徴とする。
また、本発明に係る遊技機用透明板組体は、前記前面側透明板の周縁部に切欠を形成することで前記係止部を前面に露呈させたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、透明板保持枠に裏側から透明板組体を重合させ、該透明板保持枠の裏側に設けられた係合片を該透明板組体の周縁部に係合することにより該透明板組体を透明板保持枠に保持させて遊技盤の遊技領域を透視可能にした弾球遊技機であって、装飾体に固設した連結部材を前記透明板保持枠の開口縁裏面と前記透明板組体との間に挟着し、該装飾体により該透明板保持枠の前面が装飾されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る遊技機用透明板組体は、既存の遊技機の透明板保持枠に装着するだけで、該透明板保持枠の前面に所望の装飾体を止着できるとともにその交換も容易となる。このため、特別仕様でない既存の弾球遊技機でも透明板保持枠の装飾を含む弾球遊技機全体を簡単にリニューアルできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1の弾球遊技機で透明板保持枠を開けた状態の斜視図。
【
図5】本発明に係る透明板組体を構成する枠状部材の斜視図。
【
図6】本発明に係る透明板組体の分解状態の一部の裏側からの斜視図。
【
図7】本発明に係る透明板組体を構成する係止部材の拡大斜視図。
【
図8】本発明に係る透明板組体を装着した弾球遊技機の正面図。
【
図9】本発明に係る装飾体を装着した弾球遊技機の正面図。
【
図11】本発明に係る弾球遊技機の透明板保持枠を開けた状態の斜視図。
【
図12】本発明に係る弾球遊技機に装着される透明板組体と装飾体の斜視図。
【
図13】本発明に係る弾球遊技機の透明板保持枠の縦断面図。
【
図14】本発明に係る弾球遊技機における装飾体を離脱する際の透明板組体の縦断面図。
【
図16】本発明に係る弾球遊技機と装飾体の斜視図。
【
図17】本発明に係る装飾体の係合部の拡大断面図。
【
図18】本発明に係る透明板組体と装飾体の斜視図。
【
図19】本発明に係る透明板組体の部分拡大斜視図。
【
図20】本発明に係る透明板組体と装飾体の部分拡大縦断面図。
【
図21】本発明に係る透明板組体に装飾体を組み付けた状態の部分拡大縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明に係る遊技機用透明板組体を装着しようとする一般的な弾球遊技機(パチンコ遊技機)を示すもので、この弾球遊技機は、遊技機本体1の下部前面に打球発射用ハンドル2,球受皿3が設けられ、略正方形状の開口5を有する透明板保持枠4が該球受皿3の上部であって該遊技機本体1の左側縁にて開閉可能にヒンジされている。そして、該遊技機本体1の前面右側にシリンダ錠の鍵穴6が設けられ、該鍵穴6に所定のキーを差し込むことで、該透明板保持枠4を
図2に示したように該遊技機本体1の前方に開けられるようにしている。同図に示されるように該遊技機本体1の右側縁には前記シリンダ錠を操作したときに可動するロック部材7が突設され、該ロック部材7と相対するように透明板保持枠4の右側縁の裏側にフック8が形成され、該透明板保持枠4を閉じたときに該フック8に該ロック部材7が係合することで該透明板保持枠4は閉状態に保持されるようにしている。
【0013】
図2に示したように該透明板保持枠4の裏側には、外径が該透明板保持枠4の開口5(内径)よりも少し大きい透明板組体100が装着されている。同図に示した透明板組体100は、ガラス製または樹脂製の透明板を二重に設けてなる従来からの一般的なものであり、合成樹脂によって成形した略正方形状の枠状部材の前面側と後面側にそれぞれ透明板を貼着することで、両透明板間に十分な間隔が生じて磁力が及ばないようにし、磁石を使って遊技球を誘導する等の不正行為ができないようにしている。
図2に示したように、透明板保持枠4の裏側の各辺にビス11が固植され、該ビス11によって係合部材12が回転又は摺動自在に設けられ、該透明板組体100の周囲に形成されたタブ101に該係合部材12を係合することで、該透明板組体100は該透明板保持枠4の裏側に着脱可能に装着される。なお、遊技盤9は遊技機本体1内に着脱可能に固定される。ちなみに該遊技盤9は、前面に円弧状の球誘導レール9aが固着され、該球誘導レール9aによって囲われた遊技領域9bに種々の入賞口や多数の釘、風車等が設けられ、遊技者が弾発した遊技球が該遊技領域9bを流下する。遊技者はこのように遊技領域9bを流下する遊技球の動きや図柄表示装置13の表示等を該透明板組体100を通して見られるようにしている。
【0014】
次に、
図3~
図7に従い、本発明に係る透明板組体10を説明する。この透明板組体10は、
図4に示したように、枠状部材15と、該枠状部材15の前側面に貼着される前面側透明板16と、該枠状部材15の後側面に貼着される後面側透明板17とからなる。
図5にも示したように、枠状部材15は、合成樹脂により一体に成形された縦辺15a,15bと横辺15c,15dとからなる略正方形状で、前記した一般的な透明板組体100の枠状部材と同じ外径であって、縦辺15aの外周縁にタブ18a,19aが形成され、縦辺15bの外周縁にタブ18b,19bが形成され、上部の横辺15cに幅広のタブ18cを形成している。なお、これらのタブ18a,19a,18b,19b,18cは、前記した一般的な透明板組体100の枠状部材に形成された前記タブ101と同一の位置および形状に形成される。このため、一般的な透明板組体100と同様に該各タブ18a,19a,18b,19b,18cに前記係合部材12を係合することで、前記透明板保持枠4の裏側に着脱可能に装着し得る。なお、18a′,19a′,18b′,19b′,18c′は該各タブ18a,19a,18b,19b,18cに開設された位置決め孔を示す。また、該枠状部材15の縦辺15aの内周側に三角形状に一体に突出する形態で係止部20a,21aを形成し、縦辺15bの内周側に同様の係止部20b,21bを一体に形成し、横辺15cの内周側に同様の係止部20c,21cを一体に形成し、横辺15dの内周側に同様の係止部20d,21dを一体に形成している。なお、該各係止部20a,21a,20b,21b,20c,21c,20d,21dは、いずれも前記透明板保持枠4の開口5内であり遊技盤9の遊技領域9bの外側と相対する部位に形成される。このため該各係止部20a,21a,20b,21b,20c,21c,20d,21dは遊技者が遊技領域9bを見る妨げになることがない。
【0015】
そして、該各係止部20a,21a,20b,21b,20c,21c,20d,21dには略鍵穴形の取付孔22が形成され、該取付孔22に
図6,
図7に示した係止部材23が収容される。該係止部材23は、軸部23aの外周に係合片23b,23cが互いに直交方向に突出するよう一体に形成され、その一方の係合片23bの先端に鉤状部23dを形成し、前記軸部23aに巻着した巻バネ24の一端24aを該係合片23bに形成されたバネ止部23fに係止してなる。そこで、
図6に示したように、前記枠状部材15の裏側から該各取付孔22に係止部材23を挿入し、該係止部材23を該取付孔22内にて前記軸部23aを支点として回転可能なるように配設する。
【0016】
一方、前面側透明板16はガラス製または樹脂製の略方形状の透明板からなる。そして、枠状部材15の前面の内周縁に該前面側透明板16を嵌め込むため該前面側透明板16の厚さと同じ深さの凹段部15fを形成し、該前面側透明板16の周縁部には前記係止部20a,21a,20b,21b,20c,21c,20d,21dを前面に露呈させるための略三角形状の切欠16aを形成している。このため、該前面側透明板16を該凹段部15fに嵌め込んで枠状部材15を貼着したとき該透明板組体10の表面は段差のない平坦な状態となる。
また、後面側透明板17についてもガラス製または樹脂製の略方形状の透明板からなり、該枠状部材15の裏面の内周縁には後面側透明板17を嵌め込むため該後面側透明板17の厚さと同じ深さの凹段部15gが形成されている。なお、該後面側透明板17には前記前面側透明板16の切欠16aに相当するようなものは形成されていない。そして、該凹段部15gに該後面側透明板17を嵌め込んで該後面側透明板17を貼着することで該透明板組体10の裏面もまた段差のない平坦な状態となる。なお、このように後面側透明板17を貼着することによっては該後面側透明板17が前記巻バネ24の他端24bを押圧することから該巻バネ24の弾性により前記鉤状部23dを鉤先方向に付勢させている。
【0017】
このように構成した透明板組体10は前記した一般的な透明板組体100に替えて透明板保持枠4の裏側に前記したように各タブ18a,19a,18b,19b,18cに前記係合部材12を係合することで装着され、そのとき
図8に示したように各係止部20a,21a,20b,21b,20c,21c,20d,21dの取付孔22は前面に露呈した状態となる。
【0018】
次に
図8~
図15に従い装飾体30を説明する。装飾体30は遊技盤9のデザインや図柄表示装置13の表示等と調和するようにデザインされるもので、この例では
図12に示したように4分割された樹脂製の各装飾片30a~30dの表面に鋸山状の凹凸を形成したデザインである。そして該各装飾片30a~30dは、遊技領域9bの外側と相対する部位から透明板保持枠4の前面に亘ってカバーし得るように外側面は直線状であるのに対し内側面は略円弧状に形成されている。そして、
図14及び
図15に拡大して示されるように該各装飾片30a~30dの裏側で前記係止部材23の係合片23bと相対する部位に丸棒状の連結部材31a,31bを固植し、該連結部材31a,31bを各装飾片30a~30dの裏側に突出させている。なお、該連結部材31a,31bの一側面には
図6に示されるように切欠状の係合溝31fが形成されている。また、該各装飾片30a~30dにおける該連結部材31a,31bの至近部位であって前記係止部材23の係合片23cと相対する部位に、該各装飾片30a~30dの裏側まで貫通する針孔32a,32bを形成している。
【0019】
このように構成した装飾体30は、
図13の(a),(b)に示したように各装飾片30a~30dの連結部材31a,31bを前記各係止部20a,21a,20b,21b,20c,21c,20d,21dの取付孔22に差し込み、該各連結部材31a,31bの係合溝31fに前記係止部材23の鉤状部23dを係合させる。このように、各装飾片30a~30dの連結部材31a,31bを取付孔22に差し込むだけで、該連結部材31a,31bは鉤状部23dに係合し、その連結状態は巻バネ24の弾性により維持されることから、装飾体30を簡単、確実に取着することができる。こうして装飾体30を取着することによって該装飾体30は、透明板保持枠4の前面だけでなく、遊技盤9の球誘導レール9aの外側をも覆うこととなる。ただし、該装飾体30は該球誘導レール9a内の遊技領域9bを覆うものではないので、遊技領域9bを透視する遊技者の視界を妨げることはない。そして、該装飾体30によっては装飾範囲が広がることからいっそう豪華でダイナミックな装飾が可能となる。
【0020】
また、図示しないが、前記連結部材31a,31bの長さを一定以上長いものを使うことによっては、各装飾片30a~30dが透明板組体10の表面や透明板保持枠4の表面から離間し、装飾体30を宙に浮いたような状態で取着することが可能となる。このため連結部材31a,31bの長さを適宜設定することで今までにない斬新なデザインを構築することもできる。また、図示しないが、装飾体30を透明板保持枠4の上下左右の端部まで達しないような小幅な形状にし、透明板保持枠4をあえて表面に露呈させるようなデザインを採ることも可能である。つまり、追加可能となった装飾体30によって透明板保持枠4の全部または一部を飾る自由なデザインを施した弾球遊技機へ変更することができる。
【0021】
また、
図14(a)に示したように、前記針孔32a,32bに針状工具33を差し込んで該針状工具33の先端で係止部材23の係合片23cを巻バネ24の弾性に抗して押圧すれば、鉤状部23dが係合溝31fから離間し連結部材31a,31bを抜くことができるので、
図14(b)に示したように、該装飾体30は取り外され、新たにデザインされた別の装飾体に付け替えることも容易にできる。なお、この場合、針孔32a,32bは常に装飾体30の表面に露呈した状況となるが、各装飾片30a~30dは複数(この場合2本)の連結部材31a,31bによって取着されているので、同時に2つの連結箇所を解除しない限り装飾片30a~30dを取り外すことはできず、遊技者がいたずらや不正目的で装飾片30a~30dを取り外すことは難しく、また、たとえ装飾片30a~30dを取り外したとしても、遊技盤9は常に透明板組体10によって防備されるので、不正行為は従来どおりに万全に防止される。
【0022】
また、透明板組体10の裏側に貼着された後面側透明板17は、遊技盤9の遊技領域9bの外側の部位にも相対していて、前面側透明板16における切欠16aによって生じ得るような僅かな段差もなく完全に平坦であるので、球誘導レール9aを高速で移動する打球が該後面側透明板17と接触したとしてもこれによって打球の飛び具合が変調してしまうようなおそれはない。
【0023】
また、
図16に示した実施形態は、装飾片30cの上壁面に長方形状の係合孔34を形成し、該係合孔34に
図17に示したように透明板保持枠4の上辺部上面に形成されたクサビ状の突起35を嵌着し得るように構成したもので、このように該装飾片30cを上壁面においても連結することで係止部のみで保持する場合に比べ該装飾片30cをより強固に透明板保持枠4に取着することができる。
なおこの実施形態のように、装飾体30としては装飾片30cのみであって透明板保持枠4の上辺部のみを飾るものとしてもよい。
なお、前記突起35については、当初から遊技機の透明板保持枠に突出して形成された装飾体や演出用の可動装飾体を活用するようにして具体的には実現される。
なお、追加的に設けられる装飾体が位置する透明板保持枠の前面とは、遊技盤の遊技領域の外側であって、かつ、透明板保持枠の前面側を意味し、透明板保持枠と球受皿とが一体的に開閉するタイプの遊技機にあっては球受皿に亘って追加する装飾部により装飾を施すことが可能となる。
【0024】
また、前面側透明板16および後面側透明板17は、ガラス製または樹脂製のいずれでもよいが、前面側透明板16については切欠16a等の加工のし易さからは樹脂製とするのが合理的である。また、この実施形態では前後2枚の透明板16,17を配置したが、セキュリティが十分であれば1枚であってもよく、或いは、必要に応じて透明板を3枚以上設けてもよく、その場合、最前の透明板のみを樹脂製とし、その他の透明板をガラス製のものとしてもよい。なお、前面側透明板16について樹脂製の透明板を採用した場合には、枠状部材15についても樹脂製とし、前面側透明板16と枠状部材15とを射出成形により一体的に成形することができる。
【0025】
また、この実施形態では装飾体30の裏面に突設した連結部材31a,31bを透明板組体10の係止部20a,21a,20b,21b,20c,21c,20d,21dに設けられた取付孔22に差し込むことで、装飾体30を取着するようにしたが、必ずしもこのような取着構造を採らなくてもよく、例えば透明板組体10に突設した連結部材を装飾体30の裏面に係止させてもよい。
【0026】
次に
図18~
図21に従い請求項4に記載した本発明の実施形態を説明する。この実施形態では透明板組体10の周縁部に形成された前記タブ18cの前面を
図19、
図20に拡大して示したように凹窪状に形成することで係止部40を形成し、凹窪した該係止部40の前面に該係止部40内に突出する小円柱状の複数の係合突起42を形成してなる。一方、装飾片30cについては、凹窪状の前記係止部40内に遊嵌し得る幅板状の連結部材43を該装飾片30cの後縁部に固設し、該連結部材43に前記係合突起42が嵌合し得る円形の係合孔44を形成してなる。このため、
図21に示したように、前記係止部40中に前記連結部材43を収容し該係合孔44に係合突起42を嵌合させることにより、該透明板組体10と該装飾片30cとを連結することが可能となる。なお、実際の組み立ては、装飾片30cを透明板保持枠4の前側から装入し、該装飾片30cを透明板保持枠4の裏側から接近させた透明板組体10と連結した後、該透明板組体10を透明板保持枠4の開口5に合致させ、前記係合部材12を各タブ18a,19a,18b,19b,18cに係合することによりなされる。このように係合部材12を各タブ18a,19a,18b,19b,18cに係合することにより、連結部材43は、透明板保持枠4の開口縁裏面と、透明板組体10の周縁部にあるタブ18cとの間に挟着される。こうすることで装飾片30cは透明板組体10にしっかりと連結される。なお、その他の装飾片30a~30dについても必要に応じて同様の構成で連結することができる。このように、本発明では透明板組体10に係止部40を形成し、装飾体30に設けられた連結部材43を該係止部40に係止し、該透明板組体10を透明板保持枠4に保持させることで、該透明板保持枠4の前面を該装飾体30により所望に装飾することができる。このため該装飾体30を透明板保持枠4の従来からの構成を何ら変更することなく、或いは特別仕様の弾球遊技機でなくて装飾体30を常に最適なものに交換することができる。
【符号の説明】
【0027】
1…遊技機本体、 2…打球発射用ハンドル、 3…球受皿、 4…透明板保持枠、 5…開口、 6…鍵穴、 7…ロック部材、 8…フック、 9…遊技盤、 9a…球誘導レール、 9b…遊技領域、 10…透明板組体、 11…ビス、 12…係合部材、 13…図柄表示装置、 15…枠状部材、 15a,15b…縦辺、 15c,15d…横辺、 15f,15g…凹段部、 16…前面側透明板、 16a…切欠、 17…後面側透明板、 18a,19a,18b,19b,18c…タブ、 18a′,19a′,18b′,19b′,18c′…位置決め孔、 20a,21a,20b,21b,20c,21c,20d,21d…係止部、 22…取付孔、 23…係止部材、 23a…軸部、 23b,23c…係合片、 23d…鉤状部、 23f…バネ止部、 24…巻バネ、 24a…巻バネの一端、 24b…巻バネの他端、 30…装飾体、 30a~30d…装飾片、 31a,31b…連結部材、 31f…係合溝、 32a,32b…針孔、 33…針状工具、 34…係合孔、 35…突起、 40…係止部、 42…係合突起、 43…連結部材、 44…係合孔、 100…一般的な透明板組体、 101…タブ