(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ノックリング式筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 21/16 20060101AFI20231018BHJP
B43K 21/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B43K21/16 K
B43K21/00 D
(21)【出願番号】P 2020157645
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】392005126
【氏名又は名称】ミクロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【氏名又は名称】三井 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】大河内 章寛
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-073161(JP,A)
【文献】特開2000-001087(JP,A)
【文献】特開2008-302676(JP,A)
【文献】特開2015-042449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 21/16
B43K 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体上と
当該本体上に連結される本体下で構成される本体と、
前記本体の内面に軸方向に沿って延び一部に外方に開口する摺動溝を設けた位置合わせ溝と、揺動可能な掛け止め爪を外面に有し先端にチャック、クラッチ、チャックばねが装着されるチャック駒と、
前記本体の外周に前後動可能に嵌着され
前記掛け止め爪が入り込む窓部を有する斜面具と、
前記斜面具の後方の
前記本体の外周に嵌着され全周方向から
前記本体の軸心方向に移動可能な円筒状のノックリングと、
前記斜面具の後部と
前記ノックリングの前部が当接するよう
前記斜面具を
前記ノックリング方向に付勢する斜面具戻しばねと、
前記斜面具の後部と
前記ノックリングの前部間に設けられ
前記ノックリングが軸心方向にノックされたとき
前記斜面具を前進させる傾斜案内部を具備し、
前記チャック駒の
前記掛け止め爪を
前記位置合わせ溝に遊挿しながら
前記チャック駒を
前記本体内に挿入して前後動可能に組み込み、
前記摺動溝に対向したとき
前記掛け止め爪を
前記摺動溝から突出させるとともに
前記斜面具の
前記窓部に嵌入させた
ことを特徴とするノックリング式筆記具。
【請求項2】
前記チャック駒の先端には、
前記本体上の先端から挿入した
前記チャックが固定され、
前記チャックばねにより後方に付勢された
前記チャックが芯を把持しているとき、
前記チャック駒の
前記掛け止め爪の後端面と
前記斜面具の
前記窓部縁
との間には筆圧用間隙が形成される請求項1に記載のノックリング式筆記具。
【請求項3】
前記チャック駒は、
前記本体に内接する内接円部により芯受け部が後部に形成され、
当該芯受け部には
前記位置合わせ溝に挿入される位置合わせリブが設けられている請求項1または2に記載のノックリング式筆記具。
【請求項4】
前記チャック駒は、両側に平面部を設けて略断面矩形状に形成されたチャック駒本体を有し、その内部には芯挿通孔が貫通され、
前記チャック駒本体は、先端に
前記本体上の前端から挿入した
前記チャックの基端を圧入固定する接続筒と、
当該接続筒に隣接する中間部及び後部に
前記本体上の内面に摺接する円板状の内接円部を有し、
前記掛け止め爪は、略棒状の基片が
前記チャック駒本体の平面部との間に間隔をあけた状態で揺動可能に一体的に連結されており、
当該基片の後部には
前記位置合わせ溝に入り込む幅で、側面視略三角形状に外方に突出する係止部が形成され、
前記係止部は、
前記位置合わせ溝に挿入する際の案内となるよう外方に傾斜する挿入案内面と、
前記挿入案内面の後端から後方に延びる外端面と、
当該外端面の後端から軸心方向に延びる後端面と、
当該後端面の内方端から
前記基片の後部に傾斜した状態で連なる逃げ面を具備し、
前記チャック駒の
前記平面部には、
前記チャック駒を
前記本体の後端から挿入する際、
前記本体の内面に当って内方に撓んだ
前記掛け止め爪が入り込むことができるよう
前記逃げ面に対向する凹陥部が形成されている
請求項1~3のい
ずれかに記載のノックリング式筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯等の筆記体を繰り出す際、本体(軸、軸筒)の外周に嵌着したリングを、全周から本体の軸心方向に向かってノックすることにより筆記体を繰り出しできるようにしたノックリング式筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本体の側面にノックボタン(ノックリング)を設けて芯等の筆記体を繰り出す形式のサイドノック式筆記具として、本体にリング状のノックボタンを嵌着して全周から本体の軸心方向にノックして芯を繰り出すことができるようにした筆記具が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載されているシャープペンシルは、軸をグリップ位置後部で前後に分断し、軸と中心線を共有する中軸を軸の中に設けてある。前軸と中軸の間には、伝達ピン穴を有し軸と中心線を共有する円筒形の部品である伝達子が、滑動可能なすきまばめ的に配置されている。その後部には、調整用の座金を介して伝達子に接する状態で配置された円筒形部と、非ノック時は芯チャックの行程より少し長く軸の外部に出ている後部に軸外径と同じ外径の円筒形部と、軸外径と同じ外径の底面と中軸外径と同じ外径の上底を持つ円錐台を、前記の円筒形部に底面が接合する向きにして一体化した軸と中心線を共有する従動子が滑動可能なすきまばめ的に配置されている。非ノック時は軸と中心線を共有し、軸と内外径とも同じでノックに適した長さの円筒形の部品の前端部を従動子の円錐台部側面に接触させたノックボタンが配置されている。ノックボタンの後端部は、従動子と同形状で前後を反転させた円錐台部側面を有する固定子に接触している。固定子は、円錐台部と軸外径と同じ外径の円筒形部が中軸にしまりばめ的に固定され、軸内径と同じ外径の円筒形部が後軸と中軸の間にしまりばめ的に固定されている。中軸には、伝達ピン穴に挿入した伝達ピンが滑動するスリットが、芯チャックの行程に支障のない長さにあけられており、中軸内には、伝達ピン穴を有し軸と中心線を共有する円筒形部と円錐台形の空間を持つ部分が一体となり中心部に芯の通り穴を設けて滑動可能なすきまばめ的に配置された中軸内伝達子があり、伝達ピンで上記伝達子と中軸内伝達子を結合してノック機構が構成されている。
【0003】
上記特許文献1に記載のシャープペンシルのノック機構は、ノックボタンを全周から軸心方向に押圧することにより、従動子、伝達子、伝達ピン、中軸内伝達子を介してチャックを移動して芯を繰り出すことができる。しかし、ノックボタンや従動子の他に、固定子、伝達ピン穴を有する伝達子、中軸のスリットを通る伝達ピン、伝達ピン穴を有し中軸内に滑動可能に設けられた中軸内伝達子、中軸内伝達子で押圧される芯チャック等の部材で構成しなければならないから、部品単数が多くなり、組立も面倒である。特に、前軸と中軸の間に滑動可能に設けた上記伝達子と、中軸内に滑動可能に設けた上記中軸内伝達子を連結するには、それぞれの部材に軸心に対して横方向に開口する伝達ピン穴を設け、伝達子の外方から伝達ピン穴に伝達ピンを差し込み、その先端を中軸のスリットを通して中軸内に突出し、さらに該伝達ピンの先端を、予め中軸内に組み込んである中軸内伝達子の伝達ピン穴に挿入して固定する必要があるので、組立作業がとても面倒であり、経済的に得にくい。また、上記構成によりチャックからノックボタンまで隙間なく接した状態で連なっているため、筆記に際して芯の先端に筆圧がかかったとき、チャックが後退できないので、芯保持作用が不確実となり、芯が没入してしまうおそれがある
【0004】
また、特許文献1に記載のシャープペンシルに比べてノックボタンのノック操作を安定させるようにした全周ノック式の筆記具も提案されている(例えば特許文献2参照)。特許文献2に記載の筆記具は、軸筒の円周上に全周にわたって軸筒を囲繞するノック部材を設け、このノック部材を、前部或いは後部を支点として、軸筒に対して揺動可能に配置し、この支点をノック部材の囲繞部における押圧側に対して、軸筒における軸線を挟んだ反対側の位置に設けたことを特徴とする筆記具である。この筆記具は、軸筒内に挿通された中軸の先部に中間仕切り壁を設け、この中間仕切り壁の前方に押圧摺動子を配置し、押圧摺動子の後部に棒状の押圧伝達子を後方に向けて一体的に突設してあり、上記中間仕切り壁には、上記押圧伝達子を摺動自在に貫通させるための貫通孔が設けられ、貫通孔に通した押圧伝達子の先端が、前後動する駒台の下面に対向し、この駒台の上面に設けた円錐面に接するようにノック部材が設けられている。ノック部材をノックすると、駒台が前進して押圧伝達子を介して押圧摺動子を押し、押圧摺動子の前進にともなって、受け板を介してチャック体が前進し、芯を繰り出すことができる。
【0005】
しかし、特許文献2に記載の筆記具は、軸筒に嵌着したノック部材の前方の軸筒内に駒台、中間仕切り壁、押圧摺動子を順次並べ、押圧摺動子に突設した押圧伝達子を中間仕切り壁に設けた貫通孔を通して後方の駒台方向に突出し駒台に対向させている。そのため、軸筒の長手方向に沿って複数の部材を重層的に重ね合わせた構造となって、長くなり、部品点数も多く、また、組立に際しても、押圧摺動子に突設した押圧伝達子を中間仕切り壁の小さな貫通孔に挿通させるという組立作業が必要になり、非常に面倒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-76274号公報(請求項1、段落0015~0020、
図1、
図2)
【文献】特許第5262088号公報(請求項1、段落0018から0021、
図2、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決課題は、本体(軸、軸筒)に設けたノックリングを、全周から軸心方向にノックして芯等の筆記体を繰り出すことができるようにした筆記具において、部品点数が少なく、構成が簡単で容易に組み立てできるノックリング式筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、本体上と本体上に連結される本体下で構成される本体と、本体の内面に軸方向に沿って延び一部に外方に開口する摺動溝を設けた位置合わせ溝と、揺動可能な掛け止め爪を外面に有し先端にチャック、クラッチ、チャックばねが装着されるチャック駒と、本体の外周に前後動可能に嵌着され上記掛け止め爪が入り込む窓部を有する斜面具と、斜面具の後方の本体の外周に嵌着され全周方向から本体の軸心方向に移動可能な円筒状のノックリングと、斜面具の後部とノックリングの前部が当接するよう斜面具をノックリング方向に付勢する斜面具戻しばねと、斜面具の後部とノックリングの前部間に設けられノックリングが軸心方向にノックされたとき斜面具を前進させる傾斜案内部を具備し、上記チャック駒の掛け止め爪を上記位置合わせ溝に遊挿しながらチャック駒を本体内に挿入して前後動可能に組み込み、上記摺動溝に対向したとき上記掛け止め爪を上記摺動溝から突出させるとともに斜面具の窓部に嵌入させたことを特徴とするノックリング式筆記具が提供される。
【0009】
上記チャック駒の先端には、本体上の先端から挿入したチャックが固定され、筆圧がかからない状態でチャックばねにより後方に付勢されたチャックが芯を把持しているとき、上記チャック駒の掛け止め爪の後端面と斜面具の窓部縁間には筆圧用間隙が形成される上記ノックリング式筆記具が提供される。
【0010】
上記チャック駒は、本体に内接する内接円部により芯受け部が後部に形成され、該芯受け部には上記位置合わせ溝に挿入される位置合わせリブが設けられている上記ノックリング式筆記具が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記のように構成され、本体の内面に軸方向に沿って延びる位置合わせ溝を設け、位置合わせ溝の一部に外方に開口する摺動溝を形成し、この位置合わせ溝に、チャック駒の外面に揺動可能に形成した掛け止め爪を遊嵌しながらチャック駒を本体内に押し込むようにしたので、本体内にチャック駒を容易に装着できるとともに掛け止め爪が上記摺動溝に対向したとき該掛け止め爪が摺動溝に入り込んで簡単にチャック駒を本体内に前後動可能に組み込むことができる。さらに掛け止め爪は、揺動可能に設けられているので、摺動溝から突出するとともに本体の外方に嵌着した斜面具の窓部に弾性的に嵌入し、組立作業がきわめて容易かつ短時間にできる。
【0012】
また、上記チャック駒の後部に本体上に内接する内接円部により芯受け部を形成し、該芯受け部に上記位置合わせ溝に挿入される位置合わせリブを設けたので、チャック駒を本体内に挿入するときにチャック駒が斜行したりせずに、安定状態で挿入でき、装着作業が確実にできる。上記チャック駒の先端には、クラッチを装着したチャックが本体上の先端から挿入して固定されるが、筆圧が作用していない状態でチャックばねにより後方に付勢されているチャックが芯を把持しているとき、上記チャック駒の掛け止め爪の後端面と斜面具の窓部縁間には筆圧用間隙が形成されるので、筆圧が作用したとき、チャックは少し後退してしっかりと芯を把持でき、確実に筆記することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例を示し、(A)は筆記時の側面図、(B)はノック時の側面図。
【
図4】本体上を示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は断面図。
【
図5】本体下を示し、(A)は正面図、(B)は断面図。
【
図6】チャック駒を示し、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)は前方からみた斜視図、(D)は後方からみた斜視図。
【
図7】斜面具を示し、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)は平面図。
【
図8】ノックリングを示し、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)は平面図。
【
図9】補助斜面具を示し、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)は平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、筆記体としてボールペンリフィル等を用いた筆記具にも適用することもできるが、図においては、鉛芯を筆記体とする筆記具に適用した一実施例を示している。
図1から
図3を参照し、
図1において、消しゴム等を設けた上方部分を「上」、「後」とし、筆記の際に芯が繰り出される下方部分を「下」、「前」、「先」として説明すると、本体1は、本体上2と、該本体上2に連結される本体下3で構成されている。本体上2は、
図4に示すように、筒状に形成され、外面にクリップ4を有し、後部に比べて外径を次第に太く形成した途中の段部5を介して先部に小径部6が形成され、先端の外周には雄ねじ7が設けられ、該雄ねじ7に本体下3の内面に形成した雌ねじ8をねじ着して本体1が構成され、本体上2の小径部6の外面と本体下3の内面間に収納空間9が形成されている。本体上2の後端には消しゴム10が装着され、内面には軸方向に沿って延びる位置合わせ溝11が対向状態に形成されている。上記収納空間9に対応する部分の位置合わせ溝11には、外方に開口する摺動溝12が形成されており、該摺動溝12の長さは、芯13を繰り出すときのチャック駒14の移動量に対応している。
【0015】
本体下3は、
図5に示すように、先部がテーパー状に形成され、
図1に示すようにステンレスパイプ製の芯保護パイプ15が先端に固定され、ノックにより繰り出した芯13を仮保持するためのゴム材料製のブレーカー16が内部に装着されている。
【0016】
上記本体上2内には、先端にチャック17、クラッチ18、チャックばね19が装着されるチャック駒14が挿入される。
図6に示すように、該チャック駒14は、両側に平面部20を設けて略断面矩形状に形成したチャック駒本体21を有し、その内部には芯挿通孔22が貫通されている。チャック駒本体21の先端には、上記本体上2の前端から挿入したチャック17の基端を圧入固定できるよう接続筒23が形成され、該接続筒23に隣接する中間部の二か所及び後部には本体上2の内面に摺接する円板状の内接円部24が形成され、中間部の内接円部はリブ36で連結されている。後方の内接円部24は、後端面が円錐状の芯受け面25を有する芯受け部26となり、その外面には上記位置合わせ溝11に遊嵌する位置合わせリブ27が形成されている。
【0017】
上記チャック駒本体21の外面には揺動可能に掛け止め爪28一体形成されている。掛け止め爪28は、略棒状でチャック駒本体21の平面部20との間に間隔をあけた状態で揺動可能に一体的に連結された基片29と、該基片29の後部から外方に向かって突出する係止部30を具備している。該係止部30は、上記位置合わせ溝11に入り込む幅で、側面視略三角形状に形成され、位置合わせ溝11に挿入する際の案内となるよう基片側から後方に向かって外方に広がるように傾斜する挿入案内面31と、該挿入案内面31の後端から本体上2の軸心に沿って後方に沿って延びる外端面32と、外端面32の後端から本体上2の軸心方向にわずかに傾斜して延びる後端面33と、該後端面33の内方端から上記基片29の後部に傾斜した状態で連なる逃げ面34を具備する。そして、上記チャック駒本体21の平面部20には、チャック駒14を本体の後端から挿入する際、本体の内面に当って掛け止め爪28が内方に撓んでも支障なく通過できるよう上記逃げ面34に対向する凹陥部35が設けられている。
【0018】
上記収納空間9には、本体上2の小径部6の外周に摺接して前後動可能に筒状の斜面具37が嵌着され、斜面具戻しばね38で後方に付勢されている。該斜面具37には、
図7に示すように、上記掛け止め爪28の係止部30が入り込む窓部39が対向状態に設けられている。該窓部39の後端縁は、上記掛け止め爪28が係合する掛止部40となり、該掛止部40は上記係止部30の後端面33に接したとき確実に係合できるようゆるやかに傾斜している。斜面具37の前端には上記斜面具戻しばね38が接するばね受け面41が形成されている。
【0019】
斜面具37の後方の本体の外周には、全周方向からノックした際、本体の軸心方向に移動可能な円筒状のノックリング42が嵌着されている。該ノックリング42の先端は、上記斜面具戻しばね38により後方の付勢されている上記斜面具37の後端と摺接しており、筆記時はノックリング42の内側に空間がある状態になっている。
図8に示すように、該ノックリング42の開口端縁には、斜面具37に摺接しやすいように面取り部43が形成されている。
【0020】
上記斜面具37の後部とノックリング42の前部間には、ノックリング42が本体1の軸心方向にノックされたとき斜面具37を容易に前進させることができるよう傾斜案内部が形成されている。傾斜案内部は、図に示す実施例では斜面具37の後端に、先端の外径が大きく、後端の外径がそれより小さい円錐台部44を形成し、この円錐台部44にノックリング42の先端内面を摺接して、ノックリング42をノックした際、斜面具37が押されて前進するようにしている。このような円錐台部に代えて、斜面具の後端をほぼ角型に形成し、ノックリングの先端内面に逆円錐状の円錐面部を設けて傾斜案内部としてもよい(図示略)。また、
図1等に示すように、実施例では、
図9に示すような、上記斜面具37の円錐台部44と逆向きの円錐台部45を先端に有する補助斜面具46を形成し、この補助斜面具46の円錐台部45にノックリング42の後端が摺接するように補助斜面具46を本体上2の段部5の前方に嵌装してある。このようにすれば、ノックリング42をノックしたときの斜面具37の移動量(ストローク)を大きくできるが、この補助斜面具は、本体上の段部と一体的に成形したり、所望により省略することもできる。
【0021】
而して、上記チャック駒14の掛け止め爪28を上記位置合わせ溝11に遊挿しながらチャック駒14を本体内に挿入すると、掛け止め爪28は、上記摺動溝12に対向したときに、該摺動溝12内に突出し、チャック駒14を摺動溝12に沿って本体内に前後動可能に組み込むことができる。そして、該掛け止め爪28は、弾性作用によりさらに外方に突出して斜面具37の窓部39に嵌入する。
【0022】
上記チャック駒14の先端の接続筒23には、クラッチ18を装着したチャック17が本体上の先端から挿入して固定される。そして、チャックばね19によりチャック17は芯13を把持した状態で後方に付勢されるが、筆圧が作用していない状態で、上記チャック駒14の掛け止め爪28の後端面33と斜面具37の窓部縁に形成された掛止部40間には、
図1に示すように筆圧用間隙Lが形成された状態で停止している。そして、筆圧が作用したときチャック17は少し後退して芯13を確実に把持し、筆記することができる。
【0023】
図1に示すような状態で筆記することができ、芯が減ってきたら
図2に示すようにノックリング42を軸心方向にノックすれば、斜面具37、チャック駒14を介してチャック17が前進し、芯13を繰り出すことができる。
【0024】
上記実施例では、本体上2の後部の内面自体を芯タンクをしたが、
図10に示すように、チャック駒14の後端に筒状のタンク47を形成して芯タンクとし、後端部を本体上から突出するようにしてもよい。このようにすれば、芯タンク47の後端に装着した消しゴム10部分を前方にノックして通常のノック式筆記具としても使用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 本体
2 本体上
3 本体下
11 位置合わせ溝
12 摺動溝
14 チャック駒
21 チャック駒本体
27 位置合わせリブ
28 掛け止め爪
37 斜面具
38 斜面具戻しばね
39 窓部
40 掛止部
42 ノックリング
46 補助斜面具