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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】工事現場用の表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 19/00 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
G09F19/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022092601
(22)【出願日】2022-06-07
【審査請求日】2022-07-11
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507118770
【氏名又は名称】株式会社セイビ堂
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慎也
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-140173(JP,A)
【文献】特開平10-010999(JP,A)
【文献】特開2004-341091(JP,A)
【文献】登録実用新案第3194210(JP,U)
【文献】特開平08-127291(JP,A)
【文献】登録実用新案第3017900(JP,U)
【文献】特開2012-142993(JP,A)
【文献】特開2017-131256(JP,A)
【文献】特開2018-096196(JP,A)
【文献】登録実用新案第3148711(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 19/00-27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近隣住民に情報を提供する目的で設置される情報を常時表示するための工事現場用の表示装置であって、
前記表示装置は、制御部と表示部と入力部とを有し、
前記制御部は、前記表示部の常時表示情報を制御し、
前記入力部は、前記表示部の表示情報を書き換え及び表示情報を切り替える操作を行う入力装置と、
前記入力装置とは異なる前記常時表示情報を閲覧しようとする人によって操作される第二の入力装置を備え、
前記第二の入力装置は、表示情報を切り替える操作を行うボタンスイッチであり、前記表示部から離れた場所に有線で接続されて配置され、
前記表示部は、電子表示手段であり、
前記電子表示手段は、前記表示部に表示された表示情報を書き換える際に電力が必要である一方、前記表示部に表示された表示情報が表示された状態を維持する際に電力が実質的に不要であり、バックライトを持たないことを特徴とする、工事現場用の表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の常時表示情報を前記表示部の画面全体に表示する一覧表示と、複数の常時表示情報を前記表示部に一定時間ごとに切り替えて表示する自動切換え表示とを制御し、前記一覧表示と前記自動切り替え表示とが選択可能であることを特徴とする、請求項1に記載の工事現場用の表示装置。
【請求項3】
前記工事現場用の表示装置は、電源部を備え、
前記電源部は、ソーラーパネルであることを特徴とする、請求項1に記載の工事現場用の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置の前記表示部の1インチ当たりの電力消費量が、8.0W/h以下であることを特徴とする、請求項1に記載の工事現場用の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場用の表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
店舗工事や建設工事のなどの工事現場では、その工事現場ごとに、公衆の見やすい場所に特定の情報を記載した標識板を掲げることが義務付けられている。
【0003】
これらの特定の情報は、常時表示をし、近隣住民に知らせる目的で屋外に設置される。よって、標識板は、風雨等にさらされるため、容易に破損したり倒壊したりしないように、堅牢な材質で作成されることが求められている(非特許文献1及び非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】“建設業許可申請の手引き”,131頁、1~3行目「2 許可標識の掲示―法第40条―」,[online],平成30年4月,一般財団法人神奈川県厚生福利振興会,[令和4年1月4日検索],インターネット<URL:https://www.pref.kanagawa.jp/documents/22065/917609.pdf>
【文献】“有限会社はままつ工芸 WEBページ”,[online],平成30年4月,[令和4年1月4日検索],インターネット<URL:https://www.hamamatsu-cogei.co.jp/osirase.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献2に記載されるように、現状、標識板は、アルミ複合板やプラスチック製の板状の部材を使用して作成されており、工事現場ごとに作成する必要があり、作成する手間かかることや板状の部材などの再利用ができないといった問題がある。
【0006】
よって、本発明の課題は、再利用が可能な常時表示情報を表示する工事現場用の表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、情報を常時表示するための工事現場用の表示装置として、制御部と表示部とを備えることで、工事現場の施工完了後において表示情報を変更可能とし、他の工事現場でも再利用可能な工事現場用の表示装置とすることができることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の工事現場用の表示装置である。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の工事現場用の表示装置は、情報を常時表示するための工事現場用の表示装置であって、表示装置は、制御部と表示部とを有し、制御部は、表示部の常時表示情報を制御し、表示部は、電子表示手段であることを特徴とする。
【0009】
本発明の工事現場用の表示装置によれば、制御部と表示部とを有することで、表示部に表示される表示情報が制御部で書き換え可能である効果を有する。
【0010】
また、本発明の工事現場用の表示装置の一実施態様としては、電子表示手段は、表示部に表示された表示情報を書き換える際に電力が必要である一方、表示部に表示された表示情報が表示された状態を維持する際に電力が実質的に不要であり、バックライトを持たないことを特徴とする。
この特徴によれば、表示部が表示情報を書き換える際に電力が必要である一方、表示部に表示された表示情報が表示された状態を維持する際に電力が実質的に不要であることから、電力が供給されない(停電時、バッテリー切れ、電子部品の故障等)状態においても表示情報を表示したままにすることができる効果がある。
また、バックライトを持たないことから、光害とよばれる、表示部を見る人に過剰な光を当たえる事を抑制できる。特に夜間においても表示する場合のある工事現場用の表示装置の表示部として用いることで、周囲を明るくしてしまうことを抑制でき、工事現場の近隣住民への光害抑制効果が向上する。
【0011】
また、本発明の工事現場用の表示装置の一実施態様としては、夜間に表示部の光の量を少なくする光調節手段を備えることを特徴とする。
この特徴によれば、光害とよばれる、表示部を見る人に過剰な光を当たえる事を抑制できる。特に夜間においても表示する場合のある工事現場用の表示装置において、周囲を明るくしてしまうことを抑制でき、工事現場の近隣住民への光害抑制効果が向上する。
【0012】
また、本発明の工事現場用の表示装置の一実施態様としては、予備電源としてバッテリーを備えることを特徴とする。
この特徴によれば、予備電源としてバッテリーを備えることから、停電時であっても書き換えや常時表示を行いやすい効果がある。
【0013】
また、本発明の工事現場用の表示装置の一実施態様としては、表示装置の表示部の1インチ当たりの電力消費量が、0.08kW/h以下であることを特徴とする。
この特徴によれば、工事現場用の表示装置が特定の消費電力であることから、消費電力を少なくでき、電源部からの電力供給がなくなることを抑制し、表示装置の動作停止を抑制でき、表示装置の表示部に常時表示情報の書き換えができなくなることや情報表示がされないことを抑制できる効果がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、再利用が可能な常時表示情報を表示する工事現場用の表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施態様における工事現場用の表示装置の概略説明図である。
図2】本発明の第1の実施態様における工事現場用の表示装置の概略説明図である。
図3】本発明の第1の実施態様における工事現場用の表示装置の使用方法を示す概略説明図である。
図4】本発明の第2の実施態様における工事現場用の表示装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る工事現場用の表示装置の実施態様を詳細に説明する。
なお、実施態様に記載する工事現場用の表示装置については、本発明に係る工事現場用の表示装置を説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明の工事現場用の表示装置は、情報を常時表示するための工事現場用の表示装置である。本発明の工事現場用の表示装置としては、制御部と表示部と入力部と記憶部と電源部を備えることを特徴とする。
【0018】
なお、本明細書の工事現場とは、土木工事、解体工事、改修工事、鉄骨工事、足場工事、内装工事、道路工事、イベント会場設営工事、駅工事など、各種の工事を行う現場である。工事現場は、屋外又は屋内のいずれでもよいが、本発明の工事現場用の表示装置は、近隣住民などに情報を提供する目的で設置されることから、屋外に設置されるものであることが好ましい。
また、常時表示情報とは建築業法40条で規定される標識の情報であり、建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項や、建築業法24条による施工体系図と呼ばれる情報等が例示できる。しかしながら、これら以外の情報であってもよい。
【0019】
〔第1の実施態様〕
図1は、本発明の第1の実施態様における工事現場用の表示装置1Aの構造を示す概略説明図である。
本実施態様における工事現場用の表示装置1Aは、図1に示すように、板状の表示装置である。工事現場用の表示装置1Aは、屋外に設置されることを考慮して、堅牢な装置するために、防水加工や紫外線による劣化等を抑制する処理が施される。
工事現場用の表示装置1Aは、制御部2と表示部3と入力部4と記憶部5と電源部6とを備える。以下、図1及び図2に基づいてそれぞれの構成について詳細に説明する。
【0020】
[制御部]
制御部2は、後述する表示部3と入力部4と記憶部5と電源部6とを制御する。
制御部2は、表示部3の表示情報を制御し、入力部4で入力された文字情報を表示部3に表示させたり、入力部4で入力された文字情報を記憶部5に記憶させたり、記憶部5に記憶された表示情報を表示部3に表示させたりする制御等を行う。
【0021】
制御部2は入力部4の入力情報に従い、表示部3の常時表示情報51を書き換えたり、表示部3の常時表示情報51が切り替えられたりする制御を行う。よって、一の工事現場での作業が完了した後に、その一の現場で常時表示する必要のある常時表示情報51を書き換えて、次の他の現場で常時表示する必要のある常時表示情報51を新たに書き換えて表示させることができ、工事現場用の表示装置1Aが異なる工事現場で再利用できる効果を有する。
【0022】
また、制御部2は、常時表示が必要とされる一の工事現場における複数の常時表示情報51のすべてを表示部3の画面全体に表示する(一覧表示)ように制御する。なお、制御部2は、常時表示が必要とされる一の工事現場における複数の常時表示情報51のうち、表示部3で表示しきれなった常時表示情報51を、一定時間ごとに切り替えて表示する制御(自動切換え表示)をしたり、常時表示情報51を閲覧しようとする人の入力部4の操作により、常時表示情報51を切り替えて表示する制御(手動切替え表示)をしたりすることで、一の工事現場において表示すべき常時表示情報51のすべてが閲覧可能とするように制御することもでき、これらの表示の制御は管理者によって選択されるようにしてもよい。
【0023】
また、常時表示情報51を、一定時間ごとに切り替えて表示する制御(自動切換え表示)を行う場合、常時表示情報51の全体を確認するために長時間必要とならない時間で切り替えられることが好ましい。なお、この一定時間ごとに切り替えて表示する時間を管理者や閲覧する人が任意の時間に設定できたり、予め切り替えられる時間が、複数種類定められており、その定められた時間の中から選択できたりするようにしてもよい。
定められた時間の具体的な例としては、60秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、さらにより好ましくは15秒以下、特に好ましくは10秒以下、特により好ましくは5秒以下である。
【0024】
また、制御部2は、後述する入力部4としてタッチパネルを使用した工事現場用の表示装置1Aの場合、入力部4で入力された管理者の手書きの文字情報を常時表示情報51として記憶部5で記憶する。さらに、制御部2は、入力された手書きの文字情報を文字認識し、記憶部5に記憶された変換書式53の文字情報に変換または変換候補を表示する文字変換手段24を制御する。
【0025】
制御部2は入力部4で入力された情報に基づいて各種の動作を行う。例えば、入力部4で入力された文字情報を、入力部4で入力された保存指令に基づき、記憶部5に記憶する動作を行ったり、入力部4で入力された文字情報の変換候補を表示し、入力者に選択させる動作を行ったりする。
【0026】
なお、制御部2は、管理者のみが常時表示情報51を書き換え可能とするために、パスワードなどのロック機能を有していてもよい。近隣住民等の閲覧する人が誤って常時表示情報51を書き換えてしまう虞を抑制できる効果がある。
【0027】
[表示部]
表示部3は、常時表示情報51の文字情報等を表示する機能を有する。
表示部3は電子表示手段であり、表示部3に表示された表示情報を書き換える際に電力が必要である一方、表示部3に表示された表示情報が表示された状態を維持する際に電力が実質的に不要であり、バックライトを持たない装置が使用され、具体的には、電子ペーパーが該当する。
なお、電力が実質的に不要とは、電力を使用しないまたは使用電量がごく少量であることを意味する。
【0028】
電子ペーパーは、マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ(マイクロカプセル型EPD)が例示できる。マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイは、流体を収めたマイクロカプセル中で白色と黒色の粒子を電界によって移動させることで白黒の表示を行なうものであり、粒子移動型とも呼ばれる。
なお、粒子移動型の他に、空中で白色と黒色の粒子を電界によって移動させる電子粉流体方式とよばれる電子ペーパーであってもよい。
また、白色と黒色の2色の場合を例示したが、一方の色と他方の色が異なれば、色については特に限定されない。また、色は2種類以上あってもよく、3、4又は5種類以上のカラー表示ができる電子ペーパーであってもよい。
【0029】
これらの電子ペーパーは、バックライトと呼ばれる、人が見る側とは反対の側(裏面側)から人の側に光を供給する装置を持たず、表示情報を人が見る側からの光を反射又は吸収することで文字情報を表示する機能を有する。
よって、表示部3を電子ペーパーとすることで、バックライトを保有しないことから、消費電力の少ない表示装置1Aとすることができ、さらに、光害とよばれる、表示部3を見る人に過剰な光を当たえる事を抑制できる。特に夜間においても表示する場合のある工事現場用の表示装置1Aの表示部3として用いることで、周囲を明るくしてしまうことを抑制でき、工事現場の近隣住民への光害抑制効果が向上する。
【0030】
さらに電子ペーパーは、表示情報を書き換える際に電力が必要であるが、表示情報を表示した後は、その表示情報の表示状態の維持に電力を必要としない特性を有する。したがって、後述する電源部6からの電力が供給されない状態となった場合(主電源装置61及び予備電源62の両方から電力が供給されない場合、例えば、停電時、バッテリー切れ、電子部品の故障等)であっても、表示状態を維持でき、常時表示が求められる情報が表示されないという状態を抑制できる効果がある。
【0031】
また、表示部3の大きさは特に限定されることはないが、例えば、30インチ以上である。工事現場用の表示装置1Aから遠くに位置する人に情報を視認させることができるという観点及び常時表示情報51を一つの画面ですべて表示させるという観点から、好ましくは40インチ以上、より好ましくは60インチ以上、更に好ましくは90インチ以上、特に好ましくは120インチ以上である。
【0032】
また、工事現場用の表示装置1Aの動作時の消費電力は、1インチ当たり(表示装置の表示面積2.75cm当たり)8.0W/h以下である。電力消費量を少なくし、工事現場用の表示装置1Aの動作停止を抑制する観点から、好ましくは、6.0W/h以下、より好ましくは4.0W/h以下、さらにより好ましくは2.0W/h以下である。この消費電力であれば、工事現場用の表示装置1Aの常時表示情報51の書き換えや切り替え表示ができなくなることを抑制できる効果がある。
【0033】
[入力部]
入力部4は、表示部3の表示情報を入力したりして書き換えたりたり、表示情報を切り替えたりする操作等を行うものである。
入力部4としては、前記の操作等を行うことができる入力装置であれば、特に限定されない。具体的には有線のキーボードやマウスを表示装置1Aに接続する他、表示装置1Aに図示しない送受信部を設け、無線で入力操作をできるようにしてもよく、また、スマートフォンやタブレット端末などの入力装置又は入力方法を有する携帯端末から近距離通信(赤外線通信やBluetooth(登録商標)等)やインターネットを経由して他の情報端末から入力操作できるようにしてもよい。
【0034】
なお、本実施の態様では、タッチパネルとよばれる画面に直接触れることで入力操作できるディスプレイ装置(表示部3と透過型の入力装置が重ね合わされた状態の装置)を適用した場合を例示する。
入力装置の中でも、タッチパネルにすることにより、工事現場で常時表示情報51を管理する管理者や常時表示情報51を閲覧しようとする不特定多数の人が操作する場合に、他の入力装置(キーボード、マウス、情報端末等)を設定、準備する必要がなく利便性に優れる効果がある。
【0035】
また、タッチパネルとすることで、管理者が表示部3に表示する文字を記載するように使用できるようにすることができ、常時表示情報51の入力、修正や更新(書き換え)がしやすい効果がある。
【0036】
なお、入力部4は、ボタンスイッチのような第二の入力装置41を備えていてもよい。第二の入力装置41は、表示情報を切り替えたりする操作等を行うことができ、常時表示情報51を閲覧しようとする人が操作しやすいように、表示部3と同じ側の面に配置されることが好ましい。さらに、工事現場用の表示装置1Aが、工事現場において高所等に設置された場合、人が常時表示情報51を見る際に表示の切換え操作を行いやすいように、工事現場用の表示装置1Aから離れた場所に第二の入力装置41を設置するものであってもよい。この場合、第二の入力装置41は、有線又は無線のどちらであってもよいが、コストの面で有線とすることが好ましい。
【0037】
[記憶部]
記憶部5は、管理者が入力部4で入力した常時表示情報51を記憶したり、管理者が常時表示情報51を入力(作成)しやすいようにするためのひな形情報52が記憶されたりする装置である。
なお、ひな形情報52は、建築業法40条で規定される標識の情報及び/又は建築業法24条による施工体系図と呼ばれる情報のひな形が好ましい。
記憶部5は、DRAMやSRAMと呼ばれる揮発性メモリの他、ROM、フラッシュメモリやハードディスクと呼ばれる不揮発メモリなどが例示できる。
記憶部5は、常時表示情報51が複数ある場合、それらの複数の常時表示情報51を記憶する。記憶部5は、制御部2からの指令に従って、一定時間ごとに常時表示情報51を切り替えたり、常時表示情報51を閲覧しようとする人に操作されたりした際に読み出す常時表示情報51が保存される。
また、文字変換手段24の読み出す書式情報53も保存される。
【0038】
[電源部]
電源部6は、表示装置1Aを動作するうえで必要な電力を制御部2等に供給する。
電源部6の電力は、制御部2の動作や記憶部5に常時表示情報51を記憶する際、表示部3の常時表示情報51を切り替えや書き換えの際等に使用される。
【0039】
電源部6は、主電源装置61と予備電源62とを備える。
主電源装置61としては、表示装置1Aに対し、動作に必要な電力を優先的に供給する。主電源装置61の供給する電力は、工事現場で使用される商用電源、工事現場で準備された発電機からの電力、ソーラーパネルで発電された電力やバッテリーからの電力が該当する。
また、予備電源62は、主電源装置61とは異なる個別のバッテリーが該当する。
予備電源62は主電源装置61から電力が、停電などで供給されない状態になった場合に電力を供給して工事現場用の表示装置1Aに電力を供給する。
【0040】
主電源装置61と、予備電源62とを組み合わせることで、主電源装置61の電力が供給されない状態(停電、バッテリー切れ)となった場合であっても予備電源62が表示装置1Aに電力を供給することから、表示装置1Aを動作させ続けること(自動切替表示や手動切替表示の制御)ができる効果を有する。
【0041】
予備電源62のバッテリー及び/又は主電源装置61のバッテリーは、携帯可能かつ充放電可能な蓄電池が好ましく適用できる。
予備電源62のバッテリーを携帯可能かつ充放電可能な蓄電池とし、主電源装置61からの電力を使用して充電できるようにすることで、表示装置1Aを使用しつつ予備電源62の充電が効率的にできる点で好ましい。
【0042】
さらに、主電源装置61をソーラーパネルによる電力とし、予備電源62のバッテリーを携帯可能かつ充放電可能な蓄電池することで、屋外に設した際に複雑な電力配線等を必要としないうえ、太陽光で発電ができ、表示装置1Aの動作と予備電源62の充電をすることができる点で好ましい。
なお、予備電源62のバッテリー及び主電源装置61のバッテリーを共に携帯可能かつ充放電可能な蓄電池とし、それらのバッテリーにソーラーパネルからの電力で充電できるようにしたり、商用電源の電力で充電したりできるようにしてもよく、この場合、工事現場での電力配線を必要とせず、バッテリーで工事現場用の表示装置1Aを動作させることができ、携帯性にも優れる効果がある。
また、主電源装置61を商用電源とすると、工事現場から電力を取得することになることから、工事現場での総電力消費量を大きくする虞があり、工事現場の電力消費過多による停電を起こす虞が生じる。よって、工事現場での停電を生じさせる原因とならない観点からより好ましい。
【0043】
なお、本発明の実施態様では、電源部6が、主電源装置61と予備電源62とを備える場合を例示するが、電源部6が主電源装置61のみであってもよい。表示部3として電子ペーパーを使用することで、電源部6から電力が供給されない状態(停電、バッテリー切れ、電子部品の故障等)となったとしても、常時表示情報51を表示したままにすることができるため、表示装置1A全体の構造が簡単になる点で望ましい。
【0044】
[工事現場用の表示装置の操作、使用方法について]
本発明の第一の実施態様の工事現場用の表示装置1Aの操作、使用方法について説明する。
まず、表示装置1Aが工事現場に運搬され、表示装置1Aに電源部6から電力が供給され、表示装置1Aの動作が開始する。なお、主電源装置61はその電力供給の種類(商用電源)によっては、配線等が行われる。
【0045】
制御部2は、入力部4であるタッチパネルが管理者に操作されることにより、自由記載が行われたり、常時表示情報のひな形情報52が選択され、その内容に沿って入力が行われたりする。そして、常時表示情報51が入力された後、記憶部5に常時表示情報51を記憶させる操作が行われる。
【0046】
その後、管理者は、常時表示情報51をどのように表示させるかを選択する。
複数の常時表示情報51がある場合、一の常時表示情報51を表示させ、閲覧者の入力部4の操作により、表示される常時表示情報51が切り替えられる設定(手動切替表示)を選択したり、一定時間ごとに切り替える制御を行う設定(自動切替表示)を選択したり、管理者に選択させた単数または複数の常時表示情報51を表示部3の全面に一覧できるように表示させる設定(一覧表示)を選択したりする。
【0047】
次に、近隣住民等の人が閲覧可能な場所に表示装置1Aが設置され、人が閲覧可能な状態とされ、工事が開始される。工事現場用の表示装置1は、常時表示情報51を表示した状態においては電力を消費しないことから、管理者は表示装置1Aが動作しているか否かの管理をする手間が不要または管理を少なくすることができる。
【0048】
工事が完了し、工事現場用の表示装置1Aの常時表示情報51の表示が必要でなくなった場合、工事現場用の表示装置1Aを工事現場から撤去し、新たな工事現場に表示装置1Aを運搬し、電源部6から電力が供給され、その新たな工事現場で常時表示される情報を入力部4で入力する操作等が行われることで、工事現場用の表示装置1Aが再利用可能となる。
【0049】
〔第2の実施態様〕
図2は、本発明の第2の実施態様における工事現場用の表示装置1Bの構造を示す概略説明図である。
なお、本発明の第1の実施態様における工事現場用の表示装置1Aと同じ機能、構造のものについては同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施態様における工事現場用の表示装置1Bは、表示部7が表示装置1Aと異なる。
【0050】
[表示部]
表示部7は、文字情報を表示する機能を有する。
表示部7は電子表示手段であり、表示部7に常時表示情報51を表示している状態を維持するために電力を使用するものが使用され、具体的には、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)が該当する。
【0051】
表示部7に常時表示情報51を表示している状態を維持するために電力を使用するものは、表示部7の人が見る側と反対の方向から光を供給(発光)することで、常時表示情報51を人に視認させる構造のものである。つまり、常時表示情報51を表示するために光が必要であり、電力が供給されなくなると、光を生じさせることできなくなることから常時表示情報51が表示されなくなる。
【0052】
液晶ディスプレイは、バックライトを有し、表示画面全体に光を供給し、バックライトの光を液晶の光学特性を利用したシャッターで遮ることで文字等を表現している。よって、液晶ディスプレイは、表示画面全体に光を供給する電力が必要となる。
一方、有機ELディスプレイは、常時表示情報51を表示する際に、有機ELディスプレイを構成する複数の有機EL素子のうち、発光する素子と発光しない素子とに制御することで文字等を表現している。
よって、表示画面全体の有機EL素子を発光させる必要はなく、消費液晶ディスプレイよりも消費電力の点で好適に利用できる。
【0053】
また、以上の観点から、本実施の態様では、電源部6に主電源装置61と予備電源62を備えることが好ましい。
主電源装置61のみの場合、電力が供給されなくなると常時表示情報51が表示部7で確認できなくなるため、予備電源62を備えることで、その虞を抑制できる効果がある。
また特定の消費電力であることから、長時間の表示装置1Bの作動が可能となる。
【0054】
なお、工事現場用の表示装置1Bの設置場所の周辺環境を考慮して施工時間外の夜間に表示部7の光の量を少なくする光調節手段(図示しない)を備えてもよい。光調節手段は、タイマーや日照センサーなどが例示でき、周囲が暗くなる時間や、周囲が暗くなった場合に表示部7の光を減光または消灯する。
光調節手段を備えることにより、光害とよばれる、表示部7を見る人に過剰な光を当たえる事を抑制できる。特に夜間においても表示する場合のある工事現場用の表示装置1Bの表示部7として用いることで、周囲を明るくしてしまうことを抑制でき、工事現場の近隣住民への光害抑制効果が向上する。
なお、光調節手段を備える場合、一時点灯手段(図示しない)をさらに備えていてもよい。一時点灯手段は、施工時間外の表示部7が減光又は消灯している際に、特定の条件の基に一定時間、表示部7の光を強くして、人が常時表示情報51を視認できるようにする。一時点灯手段は、人感センサーや人が入力部4を操作した際に表示部7の常時表示情報51を視認できるように表示するようにしてもよい。なお、一時点灯手段の際の表示部7の光量は、施工時間内の表示部7の光量よりも少なくすることで、光害をより抑制できる効果がある。
なお、光調節手段と一時点灯手段は、制御部2で制御される。
【0055】
第1の実施態様及び第2の実施態様では、制御部2が自動切替表示22及び手動切替装置23を備える場合を例示したが、備えていなくてもよい。
また、入力部4として、タッチパネルの場合を例示したが、タッチパネルでなくてもよい。
また、記憶部5にひな型情報52及び変換書式53を備える場合を例示したが、備えていなくてもよく、この場合、制御部2の文字変換手段24を備えなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の工事現場用の表示装置は、土木工事、解体工事、改修工事、鉄骨工事、足場工事、内装工事、道路工事、イベント会場設営工事、駅工事など、各種の工事を行う作業現場において利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1A,1Bは表示装置、2は制御部、3は表示部、4は入力部、5は記憶部、6は電源部、7は表示部、24は文字変換手段、41は第二の入力装置、51は常時表示情報、52は形情報、53は書式情報、61は主電源装置、62は予備電源。

【要約】
【課題】本発明の課題は、再利用が可能な常時表示する必要のある常時表示情報を表示する表示装置を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、情報を常時表示するための工事現場用の表示装置であって、表示装置は、制御部と表示部とを有し、制御部は、表示部の常時表示情報を制御し、表示部は、電子表示手段であることを特徴とする。本発明によれば、再利用が可能な常時表示情報を表示する工事現場用の表示装置を提供することができる。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4