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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】連結装置及び搬送体
(51)【国際特許分類】
   B60D 1/36 20060101AFI20231018BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B60D1/36
B62B5/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023034120
(22)【出願日】2023-03-06
(65)【公開番号】P2023131135
(43)【公開日】2023-09-21
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2022035287
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康広
(72)【発明者】
【氏名】大畑 邦夫
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第213007438(CN,U)
【文献】中国実用新案第212827724(CN,U)
【文献】特開2005-348610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60D 1/36
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結対象物を連結した状態とする連結装置であって、
永久電磁石装置(Electric Permament Magnet)からなる磁石部と、
軸を支点に回転して開閉可能な一対のフックまたは一つのフックであり、前記連結対象物を連結する連結部と、
平面視した状態で一部が開口した開口部を有する本体部と、
前記本体部に対して押し込まれる押込方向及び前記本体部から引き出される引出方向に移動可能で、連結する前記連結対象物からの力を受けて、前記押込方向に移動可能に構成されるスライダーと、
前記スライダーに設けられ、前記スライダーの移動にともなって前記押込方向及び前記引出方向に移動可能な磁性体の吸着部と、を備え、
前記開口部は、前記連結空間として構成され、
前記磁石部は、前記本体部に設けられ、
前記連結部は、平面視した状態において、前記一対のフックまたは前記一つのフックが回転することで、連結する前記連結対象物が配置される連結空間を閉塞した状態と、前記連結空間の一部を開放した状態とに切り替わり、前記磁石部により吸着されることで前記閉塞した状態を維持
前記一対のフックまたは前記一つのフックは、前記スライダーの前記押込方向への移動にともなって、前記連結空間を閉塞した状態とし、
前記スライダーは、前記連結空間が前記閉塞した状態となるまで前記押込方向へ移動した状態において、前記磁石部の磁力により前記磁石部と前記吸着部とが吸着することで、移動が規制される、
連結装置。
【請求項2】
前記押込方向へ移動した前記スライダーを、復元力を利用して、前記引出方向へ移動させる付勢部、を備え、
前記スライダーは、前記吸着部と前記磁石部との吸着が解除されることで、前記付勢部の前記復元力により前記引出方向へ移動するように構成され、
前記一対のフックまたは前記一つのフックは、前記スライダーの前記引出方向への移動にともなって、前記連結空間の一部を開放した状態とする、
請求項1に記載の連結装置。
【請求項3】
前記本体部の一平面から略垂直に突出した突部、を備え、
前記一対のフックまたは前記一つのフックは、前記一平面に沿って回転し、かつ、前記突部が挿入されて回転をガイドする長孔を有し、
前記突部と、前記長孔の内壁とは、前記フックに対して前記軸から離れる方向への外力がかかった際に接触して、前記外力による負荷を受ける、
請求項2に記載の連結装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の連結装置を備える搬送体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結装置及び、連結装置を備える搬送体の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連結対象物を連結する連結装置は種々知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示された連結装置は、開閉可能な左右ラッチ盤が閉じられることによって、搬送台車の前端部に形成されたストライカーフレームのストライカーを保持して、搬送台車を連結した状態とする。この種の連結装置は、例えば、自動制御で可動する無人搬送車(AGV(Automated Guided Vehicle))やドローン等において連結用途に用いられ、台車や荷台等で構成される連結対象物を連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-88291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された連結装置は、左右ラッチ盤でストライカーを連結する場合には、左右ラッチ盤の切欠部にロック部を係合させて、左右ラッチ盤が開かないようにロックしている。また、この連結装置は、左右ラッチ盤によるストライカーの連結を解除する場合には、ロック部を後退させて左右ラッチ盤の切欠部とロック部との係合を解除して、左右ラッチ盤をアンロックしている。このように連結装置は、機械的に左右ラッチ盤をロックまたはアンロックしていることから、左右ラッチ盤の切欠部とロック部とがうまく係合できずに左右ラッチ盤をロックできない場合があり、また、左右ラッチ盤の切欠部とロック部との係合をうまく解除できずに左右ラッチ盤をアンロックできない場合がある。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、連結対象物を容易に連結することができ、また、連結した状態の連結対象物を容易に開放することができる連結装置及び連結装置を備える搬送体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、連結対象物を連結した状態とする連結装置であって、永久電磁石装置(Electric Permament Magnet)からなる磁石部と、軸を支点に回転して開閉可能な一対のフックまたは一つのフックであり、前記連結対象物を連結する連結部と、平面視した状態で一部が開口した開口部を有する本体部と、前記本体部に対して押し込まれる押込方向及び前記本体部から引き出される引出方向に移動可能で、連結する前記連結対象物からの力を受けて、前記押込方向に移動可能に構成されるスライダーと、前記スライダーに設けられ、前記スライダーの移動にともなって前記押込方向及び前記引出方向に移動可能な磁性体の吸着部と、を備え、前記開口部は、前記連結空間として構成され、前記磁石部は、前記本体部に設けられ、前記連結部は、平面視した状態において、前記一対のフックまたは前記一つのフックが回転することで、連結する前記連結対象物が配置される連結空間を閉塞した状態と、前記連結空間の一部を開放した状態とに切り替わり、前記磁石部により吸着されることで前記閉塞した状態を維持前記一対のフックまたは前記一つのフックは、前記スライダーの前記押込方向への移動にともなって、前記連結空間を閉塞した状態とし、前記スライダーは、前記連結空間が前記閉塞した状態となるまで前記押込方向へ移動した状態において、前記磁石部の磁力により前記磁石部と前記吸着部とが吸着することで、移動が規制されるものである。
【0013】
請求項2においては、前記押込方向へ移動した前記スライダーを、復元力を利用して、前記引出方向へ移動させる付勢部、を備え、前記スライダーは、前記吸着部と前記磁石部との吸着が解除されることで、前記付勢部の前記復元力により前記引出方向へ移動するように構成され、前記一対のフックまたは前記一つのフックは、前記スライダーの前記引出方向への移動にともなって、前記連結空間の一部を開放した状態とするものである。
【0014】
請求項3においては、前記本体部の一平面から略垂直に突出した突部、を備え、前記一対のフックまたは前記一つのフックは、前記一平面に沿って回転し、かつ、前記突部が挿入されて回転をガイドする長孔を有し、前記突部と、前記長孔の内壁とは、前記フックに対して前記軸から離れる方向への外力がかかった際に接触して、前記外力による負荷を受けるものである。
【0016】
請求項4においては、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の連結装置を備える搬送体とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、連結対象物を容易に連結することができ、また、連結した状態の連結対象物を容易に開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る連結装置が連結対象物を連結する前の状態を示す平面模式図。
図2】同じく連結装置が連結対象物を連結する動作を示す平面模式図。
図3】同じく連結装置が連結対象物を連結した状態を示す平面模式図。
図4】(A)同じく連結装置が連結する連結対象物を示す側面模式図、(B)同じく連結装置が連結する連結対象物を示す平面模式図。
図5】同じく連結装置が連結対象物を連結する前の状態を示す平面模式図。
図6】同じく連結装置が連結対象物を連結した状態を示す平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図1から図3に記載の連結装置1について説明する。
【0020】
図1から図3に示すように、連結装置1は、連結対象物10を連結するものであり、本体部2と、磁石部3と、連結部4と、スライダー5と、吸着部6と、付勢部7と、スイッチ8と、を備える。連結装置1は、磁石部3の磁力を用いて連結部4が閉じた状態を保持して、連結対象物10を連結した状態とする。以下では便宜上、連結装置1の本体部2における開口部20が開口する方向を後方として連結装置1構成する各部材について説明するが、連結装置1の向きをこれに限定するものではない。また以下において、実施形態に係る連結装置1は搬送体である無人搬送車(AGV(Automated Guided Vehicle))に備えられるものとして説明するが、本発明に係る連結装置1の用途はこれに限定されず、「連結対象物10を連結するもの」に広く適用可能である。連結装置1が用いられる用途の具体例として、例えば、ワークを保持して搬送する工業ロボットやクレーン装置、または貨物を輸送するヘリコプターやドローン等の航空機等がある。
【0021】
連結対象物10は、連結装置1(連結装置1の連結部4)に連結される対象となるものである。連結装置1が無人搬送車で構成される場合、連結対象物10は、例えば台車や荷台等で構成されるがこれに限定されるものではない。
図4に示すように、連結対象物10は、連結対象本体10aと、車輪10bと、連結プレート10cと、被連結部11と、を備え、連結装置1に連結されて牽引されることによって移動可能に構成される。連結対象本体10aの下面に車輪10bが配置され、連結対象本体10aの前面に連結プレート10cが前方に突出するように配置される。被連結部11は、連結プレート10cを介して連結対象本体10aの前面に設けられる。被連結部11は、棒状に構成され、連結プレート10cの前端部から上方に突出する。なお、被連結部11は、棒状に構成されるものに限定されず、例えばリング状に構成されても良く、連結部4に連結可能な構成のものであれば広く適用することができる。
【0022】
図1から図3に示すように、本体部2は、箱状の部材であって、無人搬送車の本体の端部に設けられる。本体部2はその後部に開口部20を有する。開口部20は、平面視した状態で本体部2の後部(一部)が開口するように構成される。本体部2内には、磁石部3、連結部4、スライダー5、吸着部6、付勢部7、及びスイッチ8が配置される。本体部2は全体の剛性を担保するように構成される。
本体部2の開口部20の後部20aが末広がり状に形成され、開口部20の前部20bが前後方向に延出する概ね直線状に形成される。開口部20の後部20aと前部20bとは連接して構成される。本体部2には、前部20b(左方の前部20bと右方の前部20bと)で囲まれた空間(以下、連結空間という)20cが形成され、後述の連結部4は、連結空間20cで被連結部11を保持する。このため、前部20bの幅(左方の前部20bと右方の前部20bとの間の幅)は、被連結部11の幅よりも大きく構成されている。この前部20bの幅は、被連結部11が連結空間20cに位置したときに、前部20bと被連結部11とのクリアランスがより小さくなるように設定されることが好ましい。開口部20の少なくとも一部(前部20bで囲まれた空間)は連結空間20cとして構成される。
【0023】
磁石部3は、本体部2内において、連結部4、スライダー5、及び吸着部6よりも前方に配置される。磁石部3は、磁力を用いて鉄製品等の吸着対象物(吸着部6)を吸着可能に構成される。磁石部3は、電気によって磁力の発生のON/OFFを切替える。磁石部3は、通電によって磁気をON/OFFする永久電磁石(EPM(Electro Permanent Magnet))装置であり、吸着ON/OFF状態の切替えが可能に構成される。磁石部3は、吸着ON状態のときに吸着対象物を吸着可能に構成され、OFF状態のときに吸着された吸着対象物を脱離可能に構成される。磁石部3は、保磁力が比較的小さい磁石(例えば、アルニコ磁石、または鉄クロムコバルト磁石等)である第一磁石と、保磁力が比較的大きい希土類磁石(例えば、ネオジム磁石)である第二磁石と、コイルと、ヨークと、を備え、コイルが通電されることによって磁束を発生させて第一磁石を着磁させ、また、コイルへの通電方向を切替えて通電されることによって第一磁石の着磁方向を切替えて、吸着対象物の吸着ON状態と吸着OFF状態とを切替える。吸着ON/OFF状態の切替え動作は、吸着ON/OFF状態を切替える際に瞬間的にコイルに通電して(コイルへの通電ONした後に直ぐにコイルへの通電OFFにして)第一磁石の着磁方向を切替えることによって行われる。磁石部3は、瞬間的にプラス通電することによって吸着ON状態とし、瞬間的にマイナス通電することによって吸着OFF状態とする。なお、磁石部3は、永久電磁石であることに限定されず、「磁力を用いて鉄製品等の吸着対象物(吸着部6)を吸着可能に構成されるもの」であれば良く、磁石または電磁石等で構成されても良いものとする。
【0024】
連結部4は、本体部2内において、スライダー5、及び吸着部6よりも後方に配置される。連結部4は、平面視した状態において、磁石部3の磁力を利用して、連結対象物10が配置される連結空間20cを閉塞した状態と、連結空間20cの一部を開放した状態とに切り替わる。連結部4は、連結空間20cを閉塞した状態とすることによって連結対象物10を連結した状態とする。連結部4は、連結空間20cの一部を開放した状態とすることによって連結対象物10を開放する。連結部4は、例えば、回動軸41と、左右一対のフック40・40と、を備えて構成される。連結部4の一対のフック40・40は、その前端部に配置される回動軸41を支点にしてそれぞれが回転可能に構成される。連結部4の一対のフック40・40は、回動軸41を支点にしてそれぞれが回転して開閉可能に構成される。連結部4は、平面視した状態で一対のフック40・40を閉じることによって連結空間20cを閉塞した状態となり、平面視した状態で一対のフック40・40を開くことによって連結空間20cの一部を開放した状態となる。連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態とは、連結部4の一対のフック40・40の間から連結対象物10の被連結部11が脱落しないような状態であり、例えば、一対のフック40・40の先端同士が当接した状態、一対のフック40・40の先端が平面視で重なった状態、または、連結対象物10の被連結部11の幅よりも一対のフック40・40の先端同士の間隔が狭くなった状態を示す。
なお、連結部4は、一対のフック40・40で構成されることに限定されず、「連結空間20cを閉塞した状態とすることによって連結対象物10を連結した状態とし、連結空間20cの一部を開放した状態とすることによって連結対象物10を開放する」構成のものであれば良いものとする。連結部4は、例えば、回動軸41を支点にして回転可能に構成される一個のフック40と棒状または板状の回転しない固定体とで構成されて、一個のフック40が回転することで平面視した状態で当該フック40と固定体とで連結空間20cを閉塞した状態とし、一個のフック40が回転することで平面視した状態で連結空間20cの一部を開放した状態とする構成であっても良いものとする。「平面視した状態」とは、連結装置1を真上から視た状態であることに限定されず、図中において連結部4を上方から視た状態、即ち連結空間20cが開放される方向(回動軸41の軸方向)から連結部4を視た状態を示す。
【0025】
スライダー5は、本体部2内において吸着部6よりも後方に配置される。スライダー5は、前後方向に延出する部材であって、前後方向(連結対象物10の被連結部11に近接または離間する方向)に移動可能に構成される。スライダー5が連結対象物10の被連結部11に近接する方向とは、スライダー5が本体部2に対して押し込まれる方向(押込方向)を示し、スライダー5が連結対象物10の被連結部11に離間する方向とは、スライダー5が本体部2から引き出される方向(引出方向)を示す。スライダー5は、連結対象物10からの力を受けて、押込方向に移動可能に構成される。
スライダー5は、その前端部において吸着部6に連結されて構成される。スライダー5は、その後端部に当接部50を備える。スライダー5の当接部50は、平板状に構成されて、連結対象物10を連結する際に連結対象物10の被連結部11に当接する部分である。スライダー5の当接部50は、本体部2の開口部20の前部20bに配置される。スライダー5の当接部50は、移動方向の後端部に位置するときには、本体部2の開口部20の前部20bにおいて比較的後方側に近接するように配置される。スライダー5の当接部50は、移動方向の前端部に位置するときには、本体部2の開口部20の前部20bの前端近傍に配置される。
スライダー5の前後中途部には連結部4の回動軸41が配置される。連結部4の一対のフック40・40は、スライダー5の前方への移動にともなって次第に閉じていき、また、スライダー5の後方への移動にともなって次第に開いていくように構成される。スライダー5が移動方向の前端に位置するとき、連結部4の一対のフック40・40は全閉状態となるように構成され、また、スライダー5が移動方向の後端に位置するとき、連結部4の一対のフック40・40は全開状態となるように構成される。
【0026】
吸着部6は、本体部2内において、連結部4、及びスライダー5よりも前方に配置される。吸着部6は、例えば鉄製の平板状の磁性体で構成される。吸着部6は、スライダー5の前端部に固定して設けられ、スライダー5の前後方向の移動にともなって前後方向に移動可能に構成される。吸着部6は、前方に移動して磁石部3の近傍に位置した際(スライダー5が移動方向の前端位置に位置した際)に磁石部3の磁力によって吸着可能に構成される。
【0027】
付勢部7は、本体部2内において、連結部4、及びスライダー5よりも前方に配置され、磁石部3の近傍に配置される。付勢部7は、左右一対のコイルバネで構成される。付勢部7は、その一端が吸着部6の前面に当接しその他端が本体部2の内壁に当接するように構成される。付勢部7は、復元力を利用して吸着部6を後方(吸着部6が連結対象物10に近接する方向)に付勢することによって、スライダー5が後方へ移動する。これにより、連結部4の一対のフック40・40は、次第に開いていく。付勢部7は、このような構成であることに限定されず、連結部4の一対のフック40・40を開く方向に付勢する構成のものでれば広く適用することができる。例えば、付勢部7は、その一端が吸着部6の前面に連結されその他端が連結部4の一対のフック40・40に連結されて、連結部4の一対のフック40・40を前方に引っ張るようにして開く方向に付勢する構成であってもよいものとする。
【0028】
スイッチ8は、ON(ON操作)されることによって、OFF状態の磁石部3を吸着ON状態(瞬間的にコイルに通電)とするように構成される。スイッチ8は、連結装置1に設けられるマイコン等で構成される制御部(不図示)の制御によって予め設定されるタイミングで(例えば前方へ移動して磁石部3に接近するスライダー5、吸着部6、または連結対象物10の被連結部11が所定の位置まで押し込み切られたときに)ONされる構成とされる。
なお、スイッチ8がONされる構成はこれに限定されず、例えば、作業者の手動によってスイッチ8がONされる構成、機械的に予め設定されるタイミングで(例えば前方へ移動して磁石部3に接近するスライダー5、吸着部6、または連結対象物10の被連結部11が所定の位置まで押し込み切られたときに)スイッチ8がONされる構成、連結対象物10の被連結部11が所定の位置になったことをセンサーが検知したときにスイッチ8がONされる構成、または、無線操作によってスイッチ8がONされる構成であっても良いものとする。また、連結装置1の制御部によってスイッチ8の動作が制御されることに代えて、無人搬送車の本体が備える制御部によってスイッチ8が制御される構成であっても良いものとする。
【0029】
次に、連結装置1と連結対象物10とが連結されていない状態から「吸着ON状態として磁石部3の磁力を用いて連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態を保持し、連結部4が連結対象物10を連結した状態とする」動作について説明する。
まず、連結装置1と連結対象物10とが連結される前の状態では、スライダー5は移動方向の後端部に位置し、連結部4の一対のフック40・40が開いた状態(連結空間20cの一部を開放した状態)となっている。そして、連結装置1の一対のフック40・40と連結対象物10の被連結部11とが向き合った状態において、連結装置1が自動制御で可動する無人搬送車であることから、静止している連結対象物10側に連結装置1が移動する(図1または図2参照)。
次に、連結装置1の本体部2の開口部20の外側から連結対象物10の被連結部11が本体部2の連結空間20cに入り込んで、連結装置1のスライダー5の当接部50に連結対象物10の被連結部11が当接する(図2参照)。
このように連結装置1のスライダー5の当接部50に連結対象物10の被連結部11が当接した状態で、さらに連結装置1が連結対象物10側に移動して、連結装置1のスライダー5を前方に押し込んでいく(図2参照)。連結部4の一対のフック40・40は、スライダー5の前方への移動にともなって次第に閉じていく。
スライダー5が前方に移動して移動方向の前端部に位置すると(スライダー5が押し込み切られたときに)連結部4の一対のフック40・40が全閉状態となり、吸着部6が磁石部3に近接した状態となる。連結部4の一対のフック40・40が全閉状態では連結空間20cを閉塞した状態となる。このように、スライダー5が移動方向の前端部に位置して連結部4の一対のフック40・40が全閉状態となり、吸着部6が磁石部3に近接した状態でスイッチ8がONされて、瞬間的にコイルに通電されて磁石部3が吸着ON状態とされて吸着部6を吸着する。連結空間20cが閉塞した状態となるまでスライダー5が押込方向へ移動した状態において磁石部3の磁力により磁石部3と吸着部6とが吸着することで、スライダー5の移動が規制され、連結部4は磁石部3の磁力によって連結部4の一対のフック40・40の閉じた状態が保持される(図3参照)。連結部4は、このように連結空間20cに連結対象物10の被連結部11が配置された状態で一対のフック40・40の閉じた状態が保持されることによって連結空間20cを閉塞した状態として、磁石部3の磁力を利用して連結対象物10を連結する。
スライダー5が移動方向の前端部に位置して連結部4の一対のフック40・40が全閉状態となると、連結装置1の制御部(不図示)から無人搬送車の本体に対して、連結対象物10を連結した旨の信号を送信する。そして、前記連結対象物10を連結した旨の信号を無人搬送車の本体が受信すると、連結対象物10を連結する動作が完了し、無人搬送車は走行を開始する。
このような状態において、連結装置1が前方に移動すると、連結部4の一対のフック40・40が閉じられていることから、連結装置1が連結対象物10を連結した状態とされる。連結装置1と連結対象物10とが連結された状態では、連結対象物10の被連結部11が本体部2の開口部20の外側から連結空間20cに入り込んで、連結部4の一対のフック40・40が連結対象物10の被連結部11の後方に位置し、本体部2の開口部20の前部20bが連結対象物10の被連結部11の左右外側に位置する。つまり、連結装置1と連結対象物10とが連結された状態では、被連結部11が本体部2の連結空間20cに入り込んで、連結対象物10の被連結部11が連結部4の一対のフック40・40と本体部2の開口部20の前部20bとに囲まれた状態とされる。このように連結装置1と連結対象物10とが連結された状態で、連結対象物10の被連結部11が連結部4の一対のフック40・40と本体部2の開口部20の前部20bとに囲まれた状態とされることから、連結装置1が連結対象物10を連結した状態で旋回動作を行った際に、連結対象物10を牽引する荷重が、連結部4の一対のフック40・40と、本体部2の開口部20の前部20bと、に分散されることとなる。したがって、連結装置1と連結対象物10とが連結された状態で本体部2の開口部20の前部20bが連結対象物10の被連結部11の左右外側に位置しないものに比べて、連結装置1が連結対象物10を連結した状態で動作を行った際の連結部4の一対のフック40・40への負担を軽減することができる。
また、連結部4の一対のフック40・40が閉じられている状態においては、本体部2の開口部20の前部20bと被連結部11との間に所定の隙間を有する構成とされる。このように本体部2の開口部20の前部20bと被連結部11との間に所定の隙間を有する構成とされることから、連結装置1が連結対象物10を連結した状態において連結対象物10の被連結部11に対して連結装置1が回動し易く構成されて、例えば無人搬送車が旋回動作を行った際等の走行性を担保することができる。連結対象物10の被連結部11に対して連結装置1が回動し易く構成するにあたって、本体部2の開口部20の前部20bと被連結部11との間の所定の隙間はできるだけ小さい構成とすることが好ましい。
以上のように、「吸着ON状態として磁石部3の磁力を用いて連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態を保持し、連結部4が連結対象物10を連結した状態とする」動作をおこなう。
【0030】
次に、連結装置1と連結対象物10とが連結された状態から「磁石部3を吸着OFF状態として連結部4の一対のフック40・40が開いた状態とし、連結部4が連結対象物10を開放する」動作について説明する。
まず、連結装置1と連結対象物10とが連結された状態では、スライダー5は移動方向の前端部に位置し、連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態(連結空間20cを閉塞した状態)となっている。そして、予め設定されるタイミング(例えば、搬送場所に到着したタイミング)で無人搬送車の本体から送信される解除信号を受信した連結装置1の制御部(不図示)の制御によって、瞬間的にコイルに通電して吸着ON状態の磁石部3を吸着OFF状態として、磁石部3による吸着部6の吸着を解除する。なお、磁石部3を吸着OFF状態として磁石部3による吸着部6の吸着を解除する構成はこれに限定されず、例えば、無線操作によって磁石部3を吸着OFF状態として磁石部3による吸着部6の吸着を解除する構成であっても良いものとする。
そして、吸着ON状態の磁石部3を吸着OFF状態として磁石部3と吸着部6との吸着が解除されることで、連結装置1が連結対象物10から離間するように移動すると、付勢部7の復元力によりスライダー5及び吸着部6が後方に移動する。連結部4の一対のフック40・40は、スライダー5及び吸着部6の後方の移動(連結対象物に近接する方向への移動)にともなって次第に開いていく。連結部4の一対のフック40・40が開くことで連結空間20cの一部を開放した状態となる。スライダー5が後方に移動して移動方向の後端部に位置すると、連結部4の一対のフック40・40が全開状態となる。連結部4の一対のフック40・40が全開状態では連結空間20cの一部を開放した状態となり、連結装置1が連結対象物10を開放した状態となる。
スライダー5が移動方向の後端部に位置して連結部4の一対のフック40・40が全開状態となると、連結装置1の制御部(不図示)から無人搬送車の本体に対して、連結対象物10を開放した旨の信号を送信する。そして、連結対象物10を開放した旨の信号を無人搬送車の本体が受信すると、連結対象物10を開放する動作が完了する。
以上のように「磁石部3を吸着OFF状態として連結部4の一対のフック40・40が開いた状態とし、連結部4が連結対象物10を開放する」動作をおこなう。
【0031】
以上のように、連結部4は、平面視した状態において、磁石部3の磁力を利用して、連結する連結対象物10が配置される連結空間20cを閉塞した状態と、連結空間20cの一部を開放した状態とに切り替わる。このため、例えば、所定の部材同士が係合することによって(機械的に)連結部4が連結対象物10を連結し、所定の部材同士の係合を解除することによって(機械的に)連結部4によって連結された連結対象物10を開放する構成のものに比べて、連結対象物10を容易に連結することができ、また、連結した状態の連結対象物10を容易に開放することができる。またこのため、手動で物理的に鍵をかけることによって連結部4が閉じた状態を保持する構成のもののようにロック解除時の摺動抵抗が生じず、連結した状態の連結対象物10をより確実に開放することができる。
また、連結部4は、回動軸41を支点に回転して開閉可能な一対のフック40・40を有し、一対のフック40.40を閉じることで連結空間20cを閉塞した状態となり、一対のフック40.40を開くことで連結空間20cの一部を開放した状態となる。このため、磁力を利用して連結空間20cを閉塞した状態と連結空間20cの一部を開放した状態とに切り替わるものを簡易な構成で実現することができる。
【0032】
また以上のように、スライダー5は、連結する連結対象物10からの力を受けて押込方向に移動可能に構成され、フック40は、スライダー5の押込方向への移動にともなって連結空間20cを閉塞した状態として、連結対象物10の被連結部11を連結した状態とすることから、連結部4が閉じて連結対象物10を連結した状態とするものを簡易な構成で実現することができる。
【0033】
また以上のように、吸着部6は、スライダー5に固定されスライダー5の移動にともなって押込方向及び引出方向に移動可能に構成され、連結空間20cを閉塞した状態となるまでスライダー5が押込方向へ移動した状態において磁石部3の磁力により磁石部3と吸着部6とが吸着することでスライダー5の移動が規制される。磁石部3は、吸着部6が連結対象物10の被連結部11に離間する方向に移動して連結部4の一対のフック40・40が閉じて連結対象物10の被連結部11を連結した状態で磁力によって吸着部6を吸着する。このため、磁石部3の磁力によって吸着部6を吸着して連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態を保持して連結対象物10を連結した状態とするものを簡易な構成で実現することができる。また、磁石部3は連結対象物10を吸着せずに吸着部6を吸着することによって連結対象物10を連結した状態とすることから、磁石部3と吸着部6とにはズレる方向(スライダー5及び吸着部6の移動方向に対して直交する方向)の力が働き難く、安定して連結対象物10を連結した状態とすることができる。
【0034】
また以上のように、磁石部3は、瞬間的に通電することによって吸着ON状態とされて磁力を用いて連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態を保持することから、磁石部3の磁力を用いて連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態を保持している状態において常時通電することを要さず、電力消費を低減させることができる。
【0035】
また以上のように、磁石部3は、瞬間的に通電することによって吸着OFF状態とされて連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態の保持を解消することから、連結部4の一対のフック40・40が開いた状態において常時通電することを要さず、電力消費を低減させることができる。
【0036】
また以上のように、磁石部3を吸着OFF状態として連結部4が開いた状態とする際に、連結装置1が連結対象物10から離間するように移動すると、付勢部7によって付勢されてスライダー5及び吸着部6が連結対象物10に近接する方向(磁石部3から離間する方向)に移動し、連結部4の一対のフック40・40が開いた状態となることから、連結部4が開いた状態として連結対象物10を開放するものを簡易な構造で実現することができる。
【0037】
また以上のように、スイッチ8は、ONされることによってOFF状態の磁石部3を吸着ON状態(瞬間的にコイルに通電)とするように構成されることから、磁石部3の磁力を用いて連結部4が閉じた状態を保持している状態とするものを簡易な構造で実現することができる。
【0038】
また以上のように、予め設定されるタイミングで、無人搬送車の本体からの指示や連結装置1の制御部(不図示)の制御等に基づいて、磁石部3の吸着ON/OFFがなされることから、連結対象物10の連結または開放等を作業者を介さずにおこなうことができる。
【0039】
ここで、連結装置1が連結対象物10を連結する際に、無人搬送車は予め設定される所定の経路を移動して、当該所定の経路上に配置されている連結対象物10に近づいていく。さらに、無人搬送車は、前記所定の経路を移動していき、連結対象物10の被連結部11が本体部2の連結空間20cに入り込み、スライダー5の当接部50に当接するように設定されている。そして、連結装置1の本体部2の開口部20の後部20aが末広がり状に形成され、開口部20の前部20bが前後方向に延出する概ね直線状に形成され、開口部20の後部20aと前部20bとが連接して構成されることから、連結装置1が連結対象物10を連結する際に、例えば無人搬送車が前記所定の経路から若干外れて移動しているような場合または連結対象物10が前記所定の経路上から若干外れて配置されている場合においても、本体部2の開口部20の後部20aから前部20bに連結対象物10の被連結部11を案内するようにして入り込ませることができる。このため、連結装置1が連結対象物10を連結する際に、連結装置1のスライダー5の当接部50に連結対象物10の被連結部11を当接させる動作を容易におこなうことができる。したがって、例えば無人搬送車が前記所定の経路から若干外れて移動しているような場合または連結対象物10が前記所定の経路上から若干外れて配置されている場合においても、連結装置1による連結対象物10の連結不良が生じることを抑制することができる。
【0040】
次に、図5から図6に記載の連結装置1について説明する。図5から図6に記載の連結装置1の説明については、図1から図3に記載の連結装置1と同様の部分の説明については適宜省略し、図1から図3に記載の連結装置1と異なる部分を中心に説明する。
【0041】
図5から図6に示すように、連結装置1は、本体部2と、磁石部3と、連結部4と、スライダー5と、吸着部6と、付勢部7と、スイッチ8と、左右一対の当接体9・9(突部)と、を備える。
【0042】
当接体9は、本体部2の一平面から略垂直に突出する。当接体9は、連結部4のフック40(フック40の長孔42)に当接することによって、スライダー5の前方への移動にともなって連結部4のフック40が次第に閉じていく動作を案内し、または、スライダー5の後方への移動にともなって連結部4のフック40が次第に開いていく動作を案内する。当接体9は、円柱状に構成され、本体部2内に固定される。当接体9は、本体部2の底面から上面に亘って配置される。一対の当接体9・9は、スライダー5を中心に対称となるようにそれぞれ配置される。連結装置1が連結対象物10を連結した状態として牽引する際に、当接体9がフック40の長孔42に当接して、後述の牽引支点となる。
【0043】
連結部4の一対のフック40・40は、平板状の部材であって、その前端部に回動軸41が配置され、回動軸4を支点にして一平面に沿って回転可能に構成される。連結部4の一対のフック40・40は、その後端部が鉤状に形成されて構成される。連結部4の一対のフック40・40は、長孔42(孔部)をそれぞれ備える。
長孔42は、当接体9が挿入されてフック40の回転をガイドする。当接体9と長孔42の内壁とは、フック40に対して回動軸4から離れる方向への外力がかかった際に接触して、外力による負荷を受ける。長孔42は、フック40を上下方向に貫通し、前中後外に傾斜する直線状に構成される。一対の長孔42・42は、後方に行くに従って互いの間隔が離れるように末広がり状に構成される。長孔42の短手方向の幅は当接体9の直径よりも若干大きく構成される。左方のフック40の長孔42には左方の当接体9が挿通され、右方のフック40の長孔42には右方の当接体9が挿通される。フック40の長孔42内における当接体9の位置は、フック40の開閉動作に応じて長孔42の長手方向に沿って変遷(移動)する。長孔42の長手方向の両端部は概ね半円状に形成され、当接体9の周面の形状と概ね一致するように構成される。
なお、長孔42の形状は、このような構成であることに限定されず連結装置1の仕様に応じて適宜なものとすることができる。長孔42は、連結装置1の仕様に応じて、例えば、傾斜する角度をより鈍角にまたはより鋭角に構成しても良く、延出する長さをより長くまたは短く構成しても良く、弧状や鉤状等に構成しても良いものとする。
【0044】
次に、連結装置1と連結対象物10とが連結されていない状態から「磁石部3の磁力を用いて連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態を保持し、連結部4が連結対象物10を連結した状態とする」動作について説明する。
まず、連結装置1と連結対象物10とが連結される前の状態では、スライダー5は移動方向の後端部に位置し、連結部4の一対のフック40・40が開いた状態(連結空間20cの一部を開放した状態)となっている。このとき、当接体9は、フック40の長孔42の前端部(内側端部)近傍に位置する。
そして、静止している連結対象物10側に連結装置1が移動して、連結装置1のスライダー5の当接部50に連結対象物10の被連結部11が当接する(図5参照)。このように連結装置1のスライダー5の当接部50に連結対象物10の被連結部11が当接した状態で、さらに連結装置1が連結対象物10側に移動して、連結装置1のスライダー5を前方に押し込んでいく(図5または図6参照)。このとき、当接体9は、フック40の長孔42内での位置が後方(外側)に次第に移動していき、フック40が次第に閉じていく動作を案内する。
スライダー5が前方に移動して移動方向の前端部に位置すると(スライダー5が押し込み切られたときに)連結部4の一対のフック40・40が全閉状態となり、吸着部6が磁石部3に近接した状態となる。このとき、当接体9は、フック40の長孔42の後端部(外側端部)に位置し、当接体9の周面(当接体9の後部)がフック40の長孔42の後端部近傍の内側の面に当接した状態となっている。連結部4の一対のフック40・40が全閉状態では連結空間20cを閉塞した状態となる。このように、スライダー5が移動方向の前端部に位置して連結部4の一対のフック40・40が全閉状態となり、吸着部6が磁石部3に近接した状態でスイッチ8がONされて、瞬間的にコイルに通電されて磁石部3が吸着ON状態とされて吸着部6を吸着する。スライダー5が連結空間20cが閉塞した状態となるまで押込方向へ移動した状態において磁石部3の磁力により磁石部3と吸着部6とが吸着することで、スライダー5の移動が規制され、連結部4は磁石部3の磁力によって連結部4の一対のフック40・40の閉じた状態が保持される(図6参照)。
以上のように、「磁石部3の磁力を用いて連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態を保持し、連結部4が連結対象物10を連結した状態とする」動作をおこなう。
【0045】
次に、連結装置1と連結対象物10とが連結された状態から「磁石部3を吸着OFF状態として連結部4の一対のフック40・40が開いた状態とし、連結部4が連結対象物10を開放する」動作について説明する。
まず、連結装置1と連結対象物10とが連結された状態では、スライダー5は移動方向の前端部に位置し、連結部4の一対のフック40・40が閉じた状態(連結空間20cを閉塞した状態)となっている。このとき、当接体9は、フック40の長孔42の後端部(外側端部)に位置する。そして、予め設定されるタイミングで無人搬送車の本体から送信される解除信号を受信した連結装置1の制御部(不図示)の制御によって、瞬間的にコイルに通電して吸着ON状態の磁石部3を吸着OFF状態として、磁石部3による吸着部6の吸着を解除する。
連結装置1が連結対象物10から離間するように移動すると、付勢部7の復元力によりスライダー5及び吸着部6が後方に移動する。このとき、当接体9は、フック40の長孔42内での位置が後方(外側)に次第に移動していき、フック40が次第に開いていく動作を案内する。
そして、スライダー5が後方に移動して移動方向の後端部に位置すると、連結部4の一対のフック40・40が全開状態となる。連結部4の一対のフック40・40が全開状態では連結空間20cの一部を開放した状態となり、連結装置1が連結対象物10を開放した状態となる。このとき、当接体9は、フック40の長孔42の前端部(内側端部)近傍に位置する。
以上のように「磁石部3を吸着OFF状態として連結部4の一対のフック40・40が開いた状態とし、連結部4が連結対象物10を開放する」動作をおこなう。
【0046】
以上のように、当接体9は、連結部4のフック40(フック40の長孔42)に当接することによって、スライダー5の前方への移動にともなって連結部4のフック40が次第に閉じていく動作を案内し、または、スライダー5の後方への移動にともなって連結部4のフック40が次第に開いていく動作を案内することから、連結部4の一対のフック40・40の開閉動作を安定させることができる。
【0047】
また以上のように、連結装置1が連結対象物10を連結した状態(連結部4の一対のフック40・40が全閉状態)では、当接体9はフック40の長孔42の後端部近傍に位置し、当接体9がフック40の長孔42の後端部近傍の内面に当接した状態となっている。当接体9と、長孔42の内壁とは、フック40に対して回動軸41から離れる方向への外力がかかった際に接触して、外力による負荷を受ける。連結装置1が連結対象物10を連結した状態として牽引する際に、当接体9の前面部分がフック40の長孔42の後端部近傍の内面に当接して当接体9が牽引支点となる。このため、連結装置1が連結対象物10を連結した状態として牽引した際の荷重が、スライダー5及び吸着部6を介して磁石部3にかかる荷重と、連結部4(フック40の長孔42)を介して当接体9にかかる荷重と、に分散されることとなる。したがって、当接体9が牽引支点とならずに連結部4のフック40における連結対象物10の被連結部11の当接部分に荷重がかかる構成のもの、または、当接体9が牽引支点とならずにスライダー5及び吸着部6を介して磁石部3に荷重がかかる構成のもの等に比べて、磁石部3の磁力による吸着力を超えた牽引力や吊り下げ保持力を発揮することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 連結装置
2 本体部
3 磁石部
4 連結部
5 スライダー
6 吸着部
7 付勢部
8 スイッチ
9 当接体
10 連結対象物
11 被連結部
20 開口部
20c 連結空間
40 フック
41 回動軸
42 長孔
50 当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6