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特許7368903搬送管理システム及び搬送管理方法並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】搬送管理システム及び搬送管理方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/06 20060101AFI20231018BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231018BHJP
【FI】
B66B1/06 E
G05D1/02 T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023068664
(22)【出願日】2023-04-19
【審査請求日】2023-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 公平
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112013857(CN,A)
【文献】特開平08-155761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-20/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物が置かれる複数のポイントが設けられたステーションが配置された複数の階を有する建物において、エレベータを制御するエレベータ制御装置と連携して搬送物の搬送を制御する搬送管理システムであって、
発送待ちの搬送物について発送ポイントと行先ポイントとが関連付けられた搬送管理情報、及び、各前記ポイントと、該ポイントに配置されている搬送物の識別情報と、該ポイントが配置されている前記ステーションと、各前記ステーションの設置階とが関連付けられた情報を用いて、発送階と行先階とが同一の搬送物を抽出し、抽出した前記搬送物を前記エレベータのカゴに移動させる搬対象として特定する搬送物特定手段と、
特定された全ての前記搬送対象を前記カゴに移動させるための搬送指示を1又は複数の無人搬送車に送信する無人搬送車管理手段と、
特定された全ての前記搬送対象の前記カゴへの移動が完了した場合に、乗車完了信号をエレベータ制御装置に送信するエレベータ連携手段と
を具備する搬送管理システム。
【請求項2】
前記搬送物特定手段は、発送待ちの前記搬送物のうち、行先ポイントに前記搬送物が配置されていないいずれかの搬送物を搬送対象として特定し、該搬送対象と発送階及び行先階が同一の搬送物を搬送対象として更に特定する請求項1に記載の搬送管理システム。
【請求項3】
前記エレベータ連携手段は、少なくとも一つの前記無人搬送車がエレベータホールに到着したときに、前記無人搬送車が待機している階に前記カゴを呼び出すための呼出要求信号を前記エレベータ制御装置に送信する請求項1に記載の搬送管理システム。
【請求項4】
生産ラインにおける工程管理を行う生産管理装置によって管理される進捗管理情報に基づいて、前記搬送管理情報を生成する管理情報生成手段を備える請求項1に記載の搬送管理システム。
【請求項5】
前記エレベータ連携手段は、全ての前記搬送物が行先階に到着した前記カゴから降車したことを示す降車完了信号を受信した場合に、前記エレベータ制御装置との連携を開放するための連携開放信号を送信する請求項1に記載の搬送管理システム。
【請求項6】
搬送物が置かれる複数のポイントが設けられたステーションが配置された複数の階を有する建物において、エレベータを制御するエレベータ制御装置と連携して搬送物の搬送を制御する搬送管理方法であって、
発送待ちの搬送物について発送ポイントと行先ポイントとが関連付けられた搬送管理情報、及び、各前記ポイントと、該ポイントに配置されている搬送物の識別情報と、該ポイントが配置されている前記ステーションと、各前記ステーションの設置階とが関連付けられた情報を用いて、発送階と行先階とが同一の搬送物を抽出し、抽出した前記搬送物を前記エレベータのカゴに移動させる搬対象として特定する処理と、
特定された全ての前記搬送対象を前記カゴに移動させるための搬送指示を1又は複数の無人搬送車に送信する処理と、
特定された全ての前記搬送対象の前記カゴへの移動が完了した場合に、乗車完了信号をエレベータ制御装置に送信する処理と
をコンピュータが実行する搬送管理方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から5のいずれかに記載の搬送管理システムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送管理システム及び搬送管理方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工場などの生産ラインにおいて、各工程で必要とされる部品を生産管理システムによって管理し、各工程の進捗状況に応じて必要な部品を無人搬送車によって自動搬送する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-229619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品の保管場所と各工程の作業場所とが異なる階にある場合、部品の自動搬送にエレベータを使用する必要がある。このような場合、無人搬送車による部品の自動搬送とエレベータの昇降制御とを連携させる必要がある。また、エレベータを用いた無人搬送機による搬送物の自動搬送は、上述したような部品の自動搬送に限られず、今後、様々な分野において必要とされることが予想される。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、エレベータを用いた搬送物の自動搬送を円滑に行うことのできる搬送管理システム及び搬送管理方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、搬送物が置かれる複数のポイントが設けられたステーションが配置された複数の階を有する建物において、エレベータを制御するエレベータ制御装置と連携して搬送物の搬送を制御する搬送管理システムであって、発送待ちの搬送物について発送ポイントと行先ポイントとが関連付けられた搬送管理情報、及び、各前記ポイントと、該ポイントに配置されている搬送物の識別情報と、該ポイントが配置されている前記ステーションと、各前記ステーションの設置階とが関連付けられた情報を用いて、発送階と行先階とが同一の搬送物を抽出し、抽出した前記搬送物を前記エレベータのカゴに移動させる搬対象として特定する搬送物特定手段と、特定された全ての前記搬送対象を前記カゴに移動させるための搬送指示を1又は複数の無人搬送車に送信する無人搬送車管理手段と、特定された全ての前記搬送対象の前記カゴへの移動が完了した場合に、乗車完了信号をエレベータ制御装置に送信するエレベータ連携手段とを具備する搬送管理システムである。
【0007】
本開示の一態様は、搬送物が置かれる複数のポイントが設けられたステーションが配置された複数の階を有する建物において、エレベータを制御するエレベータ制御装置と連携して搬送物の搬送を制御する搬送管理方法であって、発送待ちの搬送物について発送ポイントと行先ポイントとが関連付けられた搬送管理情報、及び、各前記ポイントと、該ポイントに配置されている搬送物の識別情報と、該ポイントが配置されている前記ステーションと、各前記ステーションの設置階とが関連付けられた情報を用いて、発送階と行先階とが同一の搬送物を抽出し、抽出した前記搬送物を前記エレベータのカゴに移動させる搬対象として特定する処理と、特定された全ての前記搬送対象を前記カゴに移動させるための搬送指示を1又は複数の無人搬送車に送信する処理と、特定された全ての前記搬送対象の前記カゴへの移動が完了した場合に、乗車完了信号をエレベータ制御装置に送信する処理とをコンピュータが実行する搬送管理方法である。
【0008】
本開示の一態様は、コンピュータを上記搬送管理システムとして機能させるためのプログラムである。
【0009】
本開示の参考例としての一態様は、搬送物の搬送を管理する搬送管理システムからの信号に基づいてカゴの昇降制御を行うエレベータ制御装置であって、前記搬送管理システムから前記カゴを呼び出すための呼出要求信号を受け付けた場合に、新たな呼出要求を受け付けない呼出不可モードに設定するとともに、連携を開放するための連携開放信号を受け付けた場合に、新たな呼出要求を受け付け可能な呼出許可モードに設定するモード設定手段を備えるエレベータ制御装置である。
【0010】
本開示の参考例としての一態様は、搬送物の搬送を管理する搬送管理システムからの信号に基づいてカゴの昇降制御を行うエレベータ制御方法であって、前記搬送管理システムから前記カゴを呼び出すための呼出要求信号を受け付けた場合に、新たな呼出要求を受け付けない呼出不可モードに設定するとともに、連携を開放するための連携開放信号を受け付けた場合に、新たな呼出要求を受け付け可能な呼出許可モードに設定する処理をコンピュータが実行するエレベータ制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
エレベータを用いた搬送物の自動搬送を円滑に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る部品供給システムの全体構成を概略的に示したシステム構成図である。
図2】本開示の一実施形態に係るステーションの一例について説明するための図である。
図3】本開示の一実施形態に係る搬送管理装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図4】本開示の一実施形態に係る搬送管理システム及びエレベータ制御装置が備える機能の一例を示した機能構成図である。
図5】本開示の一実施形態に係る搬送管理情報の一例を示した図である。
図6】本開示の一実施形態に係るステーション情報の一例を示した図である。
図7】本開示の一実施形態に係る台車情報の一例を示した図である。
図8】本開示の一実施形態に係る搬送管理システム及びエレベータ制御装置によって実行される処理手順の一例を示したフローチャートである。
図9】本開示の一実施形態に係る搬送管理システム及びエレベータ制御装置によって実行される処理手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る搬送管理システム及び搬送管理方法並びにプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。以下に示す実施形態では、生産ラインにおいて部品を搬送する部品供給システムに搬送管理システムを適用する場合を例示して説明するが、本開示の範囲はこれに限られない。すなわち、本開示の搬送管理システムは、エレベータ(昇降機器)を用いた、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)による搬送物の自動搬送に幅広く適用することが可能である。ここで、搬送物とは、搬送可能なものであれば特に限定されない。一例として、部品を積載した台車、空の台車、荷物、機器などが挙げられる。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係る部品供給システム100の全体構成を概略的に示したシステム構成図である。
部品供給システム100は、例えば、生産ラインにおける各組立作業場所で必要となる部品を自動で供給するためのシステムである。図1に示すように、本実施形態に係る部品供給システム100は、搬送管理システム1を備えている。搬送管理システム1は、例えば、搬送管理装置2及びロボット制御装置3を備えている。また、搬送管理システム1は、生産管理装置5及びエレベータ制御装置4と通信可能に構成されている。
【0015】
生産管理装置5は、例えば、生産ラインにおける工程管理を行う装置である。例えば、生産管理装置5は、各組立作業場所の作業進捗に関する情報である進捗管理情報を有している。この進捗管理情報は、後述する台車の搬送管理情報の生成に用いられる。
進捗管理情報には、例えば、各組立作業場所に関連付けて供給を要求する部品の情報などが登録されている。
【0016】
各組立作業場所で必要とされる部品は、それぞれ台車10(図2参照)にセットされた状態でステーション(エリア)に配置される。図2は、本実施形態に係るステーション8の一例について説明するための図である。図2に示すように、本実施形態において、ステーション8は、建物の複数の階に設けられている。なお、図2では、各階に1つのステーション8が設けられている場合を例示しているが、これに限られず、1つの階に複数のステーション8が設けられていてもよい。各ステーション8には、それぞれ個別の識別番号Y、X、Vなどが付与されており、識別可能に管理される。
【0017】
各ステーション8には、複数のポイントA、B・・・が設けられている。このポイントは、台車10を置く位置に対応しており、1つのポイントに1台の台車10が配置される。このように、各階のステーション8には、発送待ちの1又は複数の台車10が対応する各ポイントに配置される。
【0018】
搬送管理システム1は、ステーション8に配置された台車10を目的地である組立作業場所まで自動配送するためのシステムである。本実施形態において、台車10の搬送は、AGV6によって行われる。搬送管理システム1は、昇降機器であるカゴ7を制御するエレベータ制御装置4と連携して搬送物である台車10の搬送を制御する。
ここで、台車10は、複数のステーション8を経由して最終目的地に搬送されてもよいし、1つのステーションから直接的に最終目的地に搬送されてもよい。最終目的地は、主として組立作業場所であるが、組立作業場所の最寄りのステーションを最終目的地として設定してもよい。
【0019】
搬送管理システム1は、例えば、搬送管理装置2と、ロボット制御装置3とを備えている。図3は、搬送管理装置2のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。図3に示すように、搬送管理装置2は、コンピュータを有しており、例えば、CPU11、CPU11が実行するプログラム及びこのプログラムにより参照されるデータ等を記憶するための二次記憶装置12、各プログラム実行時のワーク領域として機能する主記憶装置(メインメモリ)13を備えている。また、搬送管理装置2は、ネットワークに接続するための通信インターフェース14、ユーザインターフェースとして機能する入力デバイス15、及びデータを表示する表示デバイス16等を備えていてもよい。これら各部は、例えば、バスを介して接続されている。二次記憶装置12は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が一例として挙げられる。
【0020】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置12に記憶されており、このプログラムをCPU11が主記憶装置13に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置12に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0021】
また、ロボット制御装置3、エレベータ制御装置4、生産管理装置5も同様にコンピュータを備えている。各装置が実現する機能は、プログラムの形式でそれぞれの二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
【0022】
図4は、本実施形態に係る搬送管理システム1及びエレベータ制御装置4が有する機能の一例を示した機能構成図である。図4に示すように、搬送管理システム1は、管理情報生成部21、記憶部22、台車特定部(搬送物特定手段)23、エレベータ連携部24、及び無人搬送車管理部(以下「AGV管理部」という。)25などを備えている。本実施形態では、一例として、AGV管理部25の機能が、ロボット制御装置3によって実現され、それ以外の機能が搬送管理装置2によって実現される場合を例示して説明する。
【0023】
管理情報生成部21は、例えば、生産管理装置5が管理する進捗管理情報に基づいて、台車10の発送ポイントと行先ポイントとを関連付けた搬送管理情報を生成する。図5に、搬送管理情報の一例を示す。このように、搬送管理情報には、発送待ちの台車10について、その発送ポイントと行先ポイントとが登録されている。この搬送管理情報は、生産管理装置5の進捗管理情報及び台車10の搬送完了などによって随時更新される。搬送管理情報は、例えば、古い情報から順に並べられており、古い情報から搬送処理されるようにしてもよい。また、優先順位を付与し、優先順位に基づいて搬送を行うこととしてもよい。
【0024】
記憶部22には、台車10の自動搬送に必要となる種々の情報が格納されている。例えば、記憶部22には、上述した搬送管理情報が格納されている他、図6に示すように、各ステーションとその設置階とを関連付けたステーション情報、図7に示すように、ポイントと、そのポイントが配置されているステーション、及びそのポイントに配置されている台車の識別情報が関連付けられた台車情報が格納されている。台車情報における台車の識別情報は、上述した搬送管理情報と連携して随時更新される。
【0025】
なお、本実施形態では、搬送管理情報、ステーション情報、及び台車情報は、それぞれ個別に管理されているが、このような情報の管理方法に限られない。例えば、これら3つの情報を統合し、1つの情報として管理することとしてもよい。また、これら3つのうちの2つの情報を統合することとしてもよい。
【0026】
台車特定部23は、発送待ちの各台車10について、発送ポイントと行先ポイントとが登録された搬送管理情報(図4参照)を用いて、カゴ7に移動させる1又は複数の台車10を特定する。例えば、台車特定部23は、搬送管理情報においていずれか一つの台車を搬送対象として特定し、更に、搬送対象として特定した当該台車10と発送階及び行先階が同一の台車10を搬送対象として更に特定する。
【0027】
例えば、図4に示した搬送管理情報を例示して説明すると、台車特定部23は、搬送管理情報において最上位に記載されている識別情報「0001」の台車の行先ポイントであるポイントKに台車10が配置されていないか否かを台車情報(図7参照)を用いて判定する。図7に例示した台車情報では、ポイントKは空きポイントであるため、移動可能と判定し、識別情報「0001」の台車10をカゴ7に移動させる搬送対象として特定する。なお、当該台車の行先ポイントに台車が配置されている場合には、当該台車を搬送対象として特定せずに、次の台車、すなわち、識別情報「0005」の台車について同様の判定を行い、行先ポイントが空きポイントである台車を搬送対象として特定する。
【0028】
続いて、台車特定部23は、台車情報とステーション情報とを更に参照し、搬送対象として特定した識別情報「0001」の台車の発送ポイントAが配置されているステーションXの階数である2階、行先ポイントKが配置されているステーションYの階数である1階を特定する。そして、発送階「2階」と行先階「1階」とが同一であって、行先ポイントが空きポイントである台車10を搬送対象として更に特定する。この結果、発送ポイントC、行先ポイントDが登録されている識別情報「0007」の台車が搬送対象として特定される。なお、カゴ7には、乗車可能な台車の台数が決められている。したがって、台車特定部23は、搬送対象として特定した台車の数が、カゴ7の最大乗車数を超えている場合には、台車の台数を最大乗車数以下となるように搬送対象の台車10の台数を調整する。例えば、優先度の低い台車、例えば、搬送管理情報の生成が新しい台車を搬送対象から除外する。
【0029】
このようにして、台車特定部23は、搬送対象の台車10を特定すると、搬送対象として特定した台車の搬送指示情報を生成し、AGV管理部25に出力する。この搬送指示情報には、例えば、特定した各台車10について、その識別情報、発送ポイント、発送ポイントの階数、行先ポイント、行先ポイントの階数が関連付けられて登録されている。
【0030】
AGV管理部25は、台車の搬送指示情報に基づいて、特定された全ての台車10をカゴ7に移動させるための搬送指令を1又は複数のAGV6に送信する。例えば、台車の搬送指示情報に、識別情報0001、0007の台車10が登録されている場合には、これらの各台車10に対してAGV6をそれぞれ割り当てる。そして、割り当てた各AGV6と定期的に通信を行うことにより、AGV6によって台車10を発送ポイントから行先ポイントまで搬送させる。
【0031】
エレベータ連携部24は、台車10の搬送に際してAGV6が異なる階に移動する場合に、エレベータ制御装置4と連携を取ることで、台車10の移動を円滑に行う。
例えば、エレベータ連携部24は、少なくとも一つのAGV6がエレベータホールに到着したときに、AGV6が待機している階(呼出階)にカゴ7を呼び出す呼出要求信号をエレベータ制御装置4に送信する。また、エレベータ連携部24は、搬送指示情報に登録されている全ての台車10のカゴ7への乗車が完了した場合に、昇降要求信号をエレベータ制御装置4に送信する。また、エレベータ連携部24は、搬送指示情報に登録されている全ての台車10のカゴ7からの降車が完了した場合に、エレベータ制御装置4との連携を開放するための連携開放信号をエレベータ制御装置4に送信する。
【0032】
エレベータ制御装置4は、搬送管理システム1からの信号に基づいてカゴ7の昇降制御を行う。エレベータ制御装置4は、例えば、モード設定部31と、昇降制御部32とを備えている。
【0033】
モード設定部31は、例えば、搬送管理システム1からの信号に基づいてモードを切り替える。例えば、モード設定部31は、呼出要求信号を受信した場合に、新たな呼出要求を受け付けない呼出不可モードを設定し、また、搬送管理システム1から連携開放信号を受信した場合に、新たな呼出要求を受け付け可能な呼出許可モードを設定する。これにより、呼出不可モードが設定されている場合には、例えば、エレベータを使用しようとした人などが呼び出しを行ってもその呼び出しは受け付けられることなく、取消又は待機状態とされる。このように、台車10の搬送を行う場合には、他の呼び出しを受け付けないようにすることで、台車10の搬送を円滑にかつ効率的に行うことが可能となる。
【0034】
昇降制御部32は、搬送管理システム1から呼出要求信号を受け付けた場合に、呼出階までカゴ7を移動させ、搬送管理システム1から昇降要求信号を受け付けた場合に、行先階までカゴ7を移動させる。また、昇降制御部32は、呼出階、行先階に到着した場合に、扉の開閉を制御する。
【0035】
次に、本実施形態に係る搬送管理システム1及びエレベータ制御装置4の動作について図面を参照して説明する。図8及び図9は、本実施形態に係る搬送管理システム1及びエレベータ制御装置4によって実行される処理手順の一例を示したフローチャートである。搬送管理システム1は、所定のタイミングでこの処理を繰り返し実行することにより、台車10の自動搬送を実現させる。
【0036】
まず、搬送管理装置2は、搬送管理情報などに基づいて、カゴ7に移動させる台車10を搬送対象として特定する(SA1)。続いて、搬送対象として特定した各台車10の識別情報、発送ポイント、行先ポイントなどが関連付けられた搬送指示情報を生成し、ロボット制御装置3に送信する(SA2)。ロボット制御装置3は、搬送指示情報に基づいて搬送対象の各台車10にAGV6を割り当てるとともに、割り当てた台車10に搬送指示を送信する(SA3)。これにより、割り当てられたAGV6は、対応する発送ポイントに移動し、その発送ポイントに配置されている台車10をエレベータホールまで搬送する。
【0037】
各AGV6は、例えば、エレベータホールに到着すると、ロボット制御装置3に対してエレベータホールに到着したことを示すEVホール到着信号を送信する。ロボット制御装置3は、いずれかのAGV6からEVホール到着信号を受信すると(SA4)、EVホール到着信号を搬送管理装置2に送信する(SA5)。
搬送管理装置2は、EVホール到着信号を受信すると、エレベータ制御装置4に対して呼出要求信号を送信する(SA6)。エレベータ制御装置4は、呼出要求信号を受信すると、他の呼出要求を受け付けない呼出不可モードに設定する(SA7)。続いて、エレベータ制御装置4は、カゴ7を呼出階まで移動させ、呼出階に到着すると、扉を開くとともに、到着信号を搬送管理装置2に送信する(SA8)。搬送管理装置2は、到着信号を受信すると、それをロボット制御装置3に送信する。
【0038】
ロボット制御装置3は、到着信号を受信すると、AGV6をカゴ7に乗車させるための乗車指示を送信する(SA9)。これにより、搬送対象の台車10を積載したAGV6は、カゴ7内に移動する。このようにして乗車が完了すると、AGV6は、ロボット制御装置3に対して乗車完了信号を送信する。ロボット制御装置3は、搬送指示情報に登録されている搬送対象の台車に対応する全てのAGV6から乗車完了信号を受信すると(SA10)、搬送管理装置2に対して乗車完了信号を送信する(図9のSA11)。搬送管理装置2は、乗車完了信号を受信すると、エレベータ制御装置4に対して昇降要求信号を送信する(SA12)。
【0039】
エレベータ制御装置4は、昇降要求信号を受信すると、カゴ7を行先階まで移動させ、行先階に到着すると、扉を開くとともに、到着信号を搬送管理装置2に送信する(SA13)。搬送管理装置2は、到着信号を受信すると、それをロボット制御装置3に送信する。
【0040】
ロボット制御装置3は、到着信号を受信すると、AGV6をカゴ7から降車させるための降車指示を送信する(SA14)。これにより、搬送対象の台車10を積載したAGV6は、カゴ7から降車する。そして、降車が完了すると、AGV6は、ロボット制御装置3に対して降車完了信号を送信する。ロボット制御装置3は、搬送指示情報に登録されている搬送対象の台車に対応する全てのAGV6から降車完了信号を受信すると(SA15)、搬送管理装置2に対して降車完了信号を送信する(SA16)。搬送管理装置2は、降車完了信号を受信すると、エレベータ制御装置4に対して連携開放信号を送信する(SA17)。
【0041】
エレベータ制御装置4は、連携開放信号を受信すると、他の呼出要求を受け付ける呼出許可モードに設定する(SA18)。
【0042】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、エレベータのカゴ7に移動させる1又は複数の台車10を搬送対象として特定する台車特定部23と、搬送対象として特定された全ての台車10をカゴ7に移動させるための搬送指示を1又は複数のAGV6に送信するAGV管理部25と、搬送対象として特定された全ての台車10のカゴ7への移動が完了した場合に、乗車完了信号をエレベータ制御装置に送信するエレベータ連携手段とを備えている。
これにより、エレベータを用いた複数の台車10の自動搬送を円滑に行うことが可能となる。
【0043】
また、搬送管理システム1において、エレベータ連携部24は、少なくとも一つのAGV6がエレベータホールに到着したときに、AGVが待機している階にカゴを呼び出すための呼出要求信号をエレベータ制御装置4に送信する。これにより、カゴ7を効率的に呼出階まで呼び出すことが可能となり、カゴ移動の待ち時間を短縮でき、効率的に搬送対象である台車10を搬送させることができる。
【0044】
また、搬送管理システム1において、台車特定部23は、搬送管理情報を用いて、発送階と行先階とが同一の搬送物を抽出し、抽出した台車10を搬送対象として特定する。これにより、複数の台車10をカゴ7に乗車させることが可能となる。よって、台車10の搬送効率を向上させることが可能となる。
【0045】
また、搬送管理システム1において、生産ラインにおける工程管理を行う生産管理装置5によって管理される進捗管理情報に基づいて、台車と発送ポイントと行先ポイントとを関連付けた搬送管理情報を生成する管理情報生成部21を備える。
これにより、このように、生産管理装置5と連携して搬送管理情報を生成することにより、生産ラインにおける工程の進捗に合わせて適切なタイミングで部品を自動供給することが可能となる。
【0046】
また、エレベータ制御装置4は、搬送管理システム1からカゴ7を呼び出すための呼出要求信号を受け付けた場合に、新たな呼出要求を受け付けない呼出不可モードに設定するとともに、搬送管理システム1から連携を開放するための連携開放信号を受け付けた場合に、新たな呼出要求を受け付け可能な呼出許可モードに設定するモード設定部31を備えている。
このように、エレベータを用いて台車10を搬送している期間において他の呼出要求を受け付けないようにすることで、台車10の搬送効率を向上させることができる。
【0047】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した処理の流れも一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、搬送管理システム1がロボット制御装置3を備え、ロボット制御装置3によってAGV6の制御を行っていたがこれに限られない。例えば、ロボット制御装置3を省略し、搬送管理装置2がロボット制御装置3の機能を備えることとしてもよい。この場合、搬送管理装置2が各AGV6を制御することとなる。
【0049】
また、上述した実施形態では、各台車10に対して1台のAGV6を割り当て、AGV6が台車を載せたままカゴ7に乗車して昇降移動し、更に、カゴ7から降車して、行先ポイントまで移動する場合を例示して説明したがこれに限られない。例えば、発送階と降車階とにそれぞれAGV6を用意し、発送階において台車10をカゴ7に移動させるAGV6と、行先階においてカゴ7から台車10を移動させるAGV6とをそれぞれ異ならせてもよい。また、この場合において、1台のAGV6に複数の台車10を割り当て、1台のAGV6が複数回往復することにより、複数の台車10を移動させることとしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 :搬送管理システム
2 :搬送管理装置
3 :ロボット制御装置
4 :エレベータ制御装置
5 :生産管理装置
6 :無人搬送車(AGV)
7 :カゴ
8 :ステーション
10 :台車
11 :CPU
12 :二次記憶装置
13 :主記憶装置
14 :通信インターフェース
15 :入力デバイス
16 :表示デバイス
21 :管理情報生成部
22 :記憶部
23 :台車特定部(搬送物特定手段)
24 :エレベータ連携部
25 :AGV管理部(無人搬送車管理手段)
31 :モード設定部
32 :昇降制御部
100 :部品供給システム
【要約】
【課題】エレベータを用いた搬送物の自動搬送を円滑に行うこと。
【解決手段】搬送管理システム1は、エレベータを制御するエレベータ制御装置4と連携して台車の搬送を制御するシステムである。搬送管理システム1は、エレベータのカゴ7に移動させる1又は複数の台車を特定する台車特定部23と、特定された全ての台車をカゴ7に移動させるための搬送指示を1又は複数のAGV6に送信するAGV管理部25と、特定された全ての台車のカゴ7への移動が完了した場合に、乗車完了信号をエレベータ制御装置4に送信するエレベータ連携部24とを備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9