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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ゴミ処理機
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/14 20060101AFI20231018BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B65F1/14 Z
B65F1/14 A
B65F1/00 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023113369
(22)【出願日】2023-07-10
【審査請求日】2023-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523262237
【氏名又は名称】沖津 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100190414
【弁理士】
【氏名又は名称】芹澤 友之
(72)【発明者】
【氏名】沖津 智章
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-062903(JP,A)
【文献】特開2001-353482(JP,A)
【文献】特開2006-218014(JP,A)
【文献】特開2010-270482(JP,A)
【文献】特開2002-172716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉と、前記扉に対向する仕切壁と、ゴミが収納されたゴミ袋を収容するように構成された真空室と、を備えた筐体と、
記ゴミ袋を保持するように構成された保持部と、
前記真空室に接続されると共に、前記真空室の空気を吸引することで前記真空室を真空にするように構成された真空ポンプと、
前記真空室内に設けられると共に、前記ゴミ袋の開口部を密封するように構成された密封部と、
前記真空ポンプ及び前記密封部の動作を制御するように構成された制御部と、
を備えたゴミ処理機であって、
前記扉は、
外部に面する第一の外側表面と、
前記第一の外側表面とは反対側に位置し、前記真空室に面する第一の内側表面と、
を有し、
前記ゴミ袋は、
一方の表面と、
他方の表面と、
前記一方の表面と前記他方の表面によって形成され、前記ゴミを収納する収納空間と、
前記収納空間に連通する前記開口部と、
を有し、
前記保持部は、前記第一の内側表面上に設けられ、
前記ゴミ袋は、前記ゴミ袋の前記一方の表面が前記第一の内側表面に対向すると共に、前記ゴミ袋の前記他方の表面が前記真空室に対向するように前記第一の内側表面上に配置された状態で前記保持部によって保持され、
前記収納空間が前記開口部を介して前記真空室に連通可能な程度に前記開口部が閉じた状態で前記ゴミ袋が前記保持部と前記第一の内側表面によって挟まれ、
前記制御部は、前記真空ポンプを動作させた後に、前記密封部を動作させ、
前記密封部は、前記真空室の真空状態に伴い前記ゴミ袋の内部が真空状態となった後に、前記開口部を密封するように構成されている、
ゴミ処理機。
【請求項2】
前記真空ポンプに第二の真空ホースを介して接続されると共に、前記真空ポンプによって吸引された空気が通過する脱気フィルタをさらに備える、
請求項1に記載のゴミ処理機。
【請求項3】
前記真空室は、少なくとも前記扉と前記仕切壁とにより構成され、
前記仕切壁には吸引孔が形成され、
前記真空ポンプは、第一の真空ホースを介して前記真空室に接続され、
前記第一の真空ホースは、前記吸引孔に挿入されている、
請求項1又は2に記載のゴミ処理機。
【請求項4】
前記筐体は、天井部をさらに有し、
前記天井部は、
外部に面する第二の外側表面と、
前記第二の外側表面とは反対側に位置し、前記真空室に少なくとも一部が面する第二の内側表面と、
を有し、
前記真空室は、少なくとも前記第一の内側表面と、前記仕切壁と、前記第二の内側表面とにより構成される、
請求項1に記載のゴミ処理機。
【請求項5】
前記密封部は、
熱圧着により前記ゴミ袋の前記開口部を密封するように構成され、前記第一の内側表面上に設けられた第一のシールヒータと、
熱圧着により前記ゴミ袋の前記開口部を密封するように構成され、前記ゴミ袋を介して前記第一のシールヒータに対向する第二のシールヒータと、
を有し、
前記第一のシールヒータは、前記第一の内側表面上に設けられ、
前記ゴミ処理機は、前記第二のシールヒータを前記ゴミ袋に向けて移動させるように構成された駆動部をさらに備え、
前記制御部は、
前記真空室の真空状態に伴い前記ゴミ袋の内部が真空状態となった後に、前記第二のシールヒータが前記ゴミ袋に向けて移動するように前記駆動部を動作させ、
前記第一のシールヒータと前記第二のシールヒータとによって前記ゴミ袋の開口部が密封されるように前記第一のシールヒータと前記第二のシールヒータを動作させる、
請求項1に記載のゴミ処理機。
【請求項6】
前記扉が閉じた状態で、前記第二の内側表面と前記第一の内側表面は、略直交する、請求項4に記載のゴミ処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ処理機に関する。
【0002】
新型コロナウイルスの世界的パンデミックの影響も相俟って、衛生管理やウイルス感染対策の面から臭気を発生するゴミ(例えば、汚物が含まれたオムツ等)が収納されたゴミ袋を適切に処理する技術が現在注目されつつある。特に、病院、老人ホーム、保育所等の施設では、汚物が含まれた使用済みオムツ等が日々大量に出るため、ゴミ袋内に収納された使用済みオムツ等から発生する臭いを抑制することがウイルス感染防止や衛星管理の面からも非常に重要となっている。
【0003】
この点において、特許文献1では、使用済排泄ケア用品等の臭気発生物が収納されたゴミ袋を真空処理するゴミ処理装置が開示されている。特許文献1に開示されたゴミ処理装置では、真空吸引ポンプに接続された真空吸引ノズルがゴミ袋の内部に挿入された状態で、当該真空吸引ノズルによってゴミ袋の内部の空気が吸引された結果、ゴミ袋の内部が真空状態となる。その後、ゴミ袋の真空状態が維持された状態でゴミ袋の開口部が一対のシール部材により密封される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-195173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたゴミ処理装置の構造は複雑になりやすい。特に、真空吸引ノズルの構造が複雑になりやすい。さらに、真空吸引ノズルをゴミ袋の内部から引き抜いた後にゴミ袋の内部に空気が入り込まないように、ゴミ袋内部の真空状態を維持した状態でゴミ袋を保持する必要があるため、ゴミ袋を保持する保持機構の構造も複雑となりやすい。また、ゴミ袋の内部に挿入された真空吸引ノズルによってゴミ袋内部の空気が吸引されるため、ゴミ袋に収納されたゴミが液体物を含む場合には(例えば、ゴミが尿や吐しゃ物を大量に含む場合等)、真空吸引ノズルによって液体物の一部が吸引されてしまう虞がある。この結果、真空吸引ノズルの先端部の衛生面に問題が生じやすくなると共に、当該ノズルや真空吸引ポンプに故障が生じやすい。このように、ゴミ袋に収納されたゴミの一部に液体物が含まれている場合等を考慮すると、真空吸引ノイズを用いたゴミ処理装置では実用面において問題が生じやすいといった課題がある。
【0006】
本発明は、ゴミ袋の内部に挿入される真空吸引ノズル等を用いずに、比較的シンプルな構造によりゴミ袋に収納されたゴミから発生する臭いを好適に抑制することを可能とするゴミ処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るゴミ処理機は、ゴミが収納されたゴミ袋を収容するように構成された真空室を備えた筐体と、前記ゴミ袋の開口部が閉じていない状態で前記ゴミ袋を保持するように構成された保持部と、第一の真空ホースを介して前記真空室に接続されると共に、前記真空室の空気を吸引することで前記真空室を真空にするように構成された真空ポンプと、前記真空室内に設けられると共に、前記ゴミ袋の前記開口部を密封するように構成された密封部と、前記真空ポンプ及び前記密封部の動作を制御するように構成された制御部と、を備える。前記制御部は、前記真空ポンプを動作させた後に、前記密封部を動作させる。前記密封部は、前記真空室の真空状態に伴い前記ゴミ袋の内部が真空状態となった後に、前記開口部を密封するように構成されている。
【0008】
上記構成によれば、真空室の真空状態に伴いゴミ袋の内部が真空状態となった後に、ゴミ袋の開口部が密封される。このように、ゴミ袋の内部に挿入される真空吸引ノズル等を用いずに、比較的シンプルな構造によりゴミ袋に収納されたゴミから発生する臭いを好適に抑制することを可能とするゴミ処理機を提供することができる。さらに、ゴミ袋に収納されているゴミに液体物が含まれている場合であっても、ゴミ袋から液体物の一部が漏れ出すことなくゴミ袋の内部の真空状態が維持された状態でゴミ袋の開口部が密封される。このように、ゴミに液体物が含まれている場合であっても、実用面において問題が生じることなく、ゴミ袋から発生する臭いを好適に抑制することが可能となる。
【0009】
また、前記ゴミ処理機は、前記真空ポンプに第二の真空ホースを介して接続されると共に、前記真空ポンプによって吸引された空気が通過する脱気フィルタをさらに備えてもよい。
【0010】
上記構成によれば、脱気フィルタにより真空ポンプによって吸引された空気の臭気や菌を取り除くことができる。このように、脱気フィルタによって臭気や菌が取り除かれた空気をゴミ処理機の外部に排出することができる。
【0011】
また、前記筐体は、扉と、前記扉に対向する仕切壁とをさらに備えてもよい。前記真空室は、少なくとも前記扉と前記仕切壁とにより構成されてもよい。前記仕切壁には吸引孔が形成されてもよい。前記真空ホースは、前記吸引孔に挿入されてもよい。
【0012】
上記構成によれば、真空室内に存在する空気は、仕切壁に形成された吸引孔に挿入された第一の真空ホースから真空ポンプに導かれる。
【0013】
また、前記扉は、外部に面する第一の外側表面と、前記第一の外側表面とは反対側に位置し、前記真空室に面する第一の内側表面と、を有してもよい。前記ゴミ袋は、前記第一の内側表面上に配置された状態で前記保持部によって保持されてもよい。
【0014】
上記構成によれば、ゴミ袋が扉の第一の内側表面上に配置された状態で保持部によって保持されるため、ゴミ袋をゴミ処理機内に比較的簡単にセッティングすることができる。
【0015】
また、前記筐体は、天井部をさらに有してもよい。前記天井部は、外部に面する第二の外側表面と、前記第二の外側表面とは反対側に位置し、前記真空室に少なくとも一部が面する第二の内側表面とを有してもよい。前記真空室は、少なくとも前記第一の内側表面と、前記仕切壁と、前記第二の内側表面とにより構成されてもよい。
【0016】
上記構成によれば、扉がゴミ処理機の筐体の上面側(天井部側)ではなく正面側若しくは側面側に設けられているため、ゴミ処理機の利用者は、ゴミ袋を扉の内側表面上に比較的簡単にセッティングすることができる。
【0017】
また、前記密封部は、前記第一の内側表面上に設けられた第一の密封部と、前記ゴミ袋を介して前記第一の密封部に対向する第二の密封部と、を有してもよい。前記ゴミ処理機は、前記第二の密封部を前記ゴミ袋に向けて移動させるように構成された駆動部をさらに備えてもよい。前記制御部は、前記真空室の真空状態に伴い前記ゴミ袋の内部が真空状態となった後に、前記第二の密封部が前記ゴミ袋に向けて移動するように前記駆動部を動作させ、前記第一の密封部と前記第二の密封部とによって前記ゴミ袋の開口部が密封されるように前記第一の密封部と前記第二の密封部を動作させてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、ゴミ袋の内部に挿入される真空吸引ノズル等を用いずに、比較的シンプルな構造によりゴミ袋に収納されたゴミから発生する臭いを好適に抑制することを可能とするゴミ処理機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態(以下、本実施形態という。)に係るゴミ処理機の正面を示す概略図である。
図2】ゴミ処理機の左側面を示す概略図である。
図3】ゴミ処理機の扉が開いた状態を示す概略図である。
図4】Z軸方向に沿って切断されたゴミ処理機の断面を示す概略図である。
図5】Z軸方向に沿って切断されたゴミ処理機の断面を示すと共に、ゴミ袋がゴミ処理機にセッティングされた状態を示す図である。
図6】ゴミ袋が扉の内側表面上に設けられた保持部によって保持された状態を示す概略図である。
図7】ゴミ処理機の一連の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照することで、本実施形態に係るゴミ処理機1について以下に説明する。図1は、本実施形態に係るゴミ処理機1の正面を示す概略図である。図2は、ゴミ処理機1の左側面を示す概略図である。図3は、ゴミ処理機1の扉20が開いた状態を示す概略図である。尚、以降の説明では、ゴミ処理機1に対して相対的に設定されたX軸、Y軸、Z軸について言及する。これら3つの軸のうちの一方の軸は、残りの二軸に対して垂直となっている。Z軸方向は、上下方向であって、+Z軸方向(上方向)と、-Z軸方向(下方向)を含む。X軸方向は、左右方向であって、+X軸方向(右方向)と、-X軸方向(左方向)を含む。Y軸方向は、前後方向であって、+Y軸方向(前方向)と、-Y軸方向(後方向)を含む。
【0021】
図1から図3に示すように、ゴミ処理機1の外観は直方体形状となっている。ゴミ処理機1の筐体2は、扉20と、左側壁部23と、右側壁部24と、後側壁部29と、底部22と、天井部21とを備える。扉20は、開閉可能になっており、使用者が扉20を開け閉めするための取手26が設けられている。天井部21には、使用者がゴミ処理機1を起動させるための操作スイッチ4と、操作スイッチ4に通信可能に接続された制御部3が設けられている。制御部3は、天井部21の内部に配置されている。
【0022】
制御部3は、ゴミ処理機1の各動作を制御するように構成されている。特に、制御部3は、操作スイッチ4に対する利用者の入力操作(スイッチ操作)に応じて、真空ポンプ8と、電動アクチュエータ7(駆動部の一例)と、シールヒータ5a,5b(密封部の一例)を動作させるように構成されている(図4参照)。制御部3は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)として構成されてもよい。制御部3は、1以上のプロセッサと、1以上のメモリと、入力インターフェース回路と、出力インターフェース回路とを含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。
【0023】
入力インターフェース回路は、例えば、図示しないセンサ及び操作スイッチ4に通信可能に接続され、当該センサから出力されたセンサ信号や操作スイッチ4から出力された操作信号を受信するように構成されている。出力インターフェース回路は、真空ポンプ8と、電動アクチュエータ7と、シールヒータ5a,5bに通信可能に接続され、これらの装置に制御信号を出力するように構成されている。
【0024】
図1には図示されていないが、ゴミ処理機1は、ゴミ処理機1の設定情報や動作情報等を示す表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)と、使用者の入力操作を受け付けるように構成され、表示部に重ねて配置されたタッチパネルと、音声ガイダンスを外部に出力する音声出力部(例えば、スピーカ)を備えてもよい。
【0025】
図3に示すように、扉20は、Z軸方向に対して所定の角度を形成するようにX軸方向に平行な回動軸(図示せず)周りを回動するように構成されている。Z軸方向に対する扉20の最大傾斜角度は、特に限定されるものではない。扉20が開いた状態で、扉20の内側表面223(第一の内側表面の一例)が外部に露出する。外部に面する扉20の外側表面221(第一の外側表面の一例)には取手26が設けられる。内側表面223は、外側表面221とは反対側に位置し、真空室S(図4参照)に面する。内側表面223にはシールヒータ5a(第一の密封部の一例)及び保持部6が設けられる。
【0026】
次に、図4及び図5を参照してゴミ処理機1の内部構造について詳しく説明する。図4は、Z軸方向に沿って切断されたゴミ処理機1の断面を示す概略図である。図5は、Z軸方向に沿って切断されたゴミ処理機1の断面を示すと共に、ゴミ袋40がゴミ処理機1にセッティングされた状態を示す図である。図4及び図5では、ゴミ処理機1の切断面にハッチングが付与されていない点に留意されたい。
【0027】
図4及び図5に示すように、筐体2には、真空室Sが設けられている。真空室Sは、ゴミGが収納されたゴミ袋40を収容するように構成されている。扉20が閉められた状態(図2に示す状態)で、真空室Sは、扉20と、仕切壁28と、天井部21と、底部22と、左側壁部23(図3参照)と、右側壁部24とによって構成される。より具体的には、真空室Sは、扉20の内側表面223と、仕切壁28と、天井部21の内側表面213と、底部22の内側表面225と、左側壁部23の内側表面(図示せず)と、右側壁部24の内側表面243とにより構成されている。ここで、天井部21の内側表面223(第二の内側表面の一例)は、外部に面する天井部21の外側表面212(第二の外側表面の一例)とは反対側に位置する。内側表面223の一部が真空室Sに面している。
【0028】
次に、図5及び図6を参照してゴミ袋40について説明する。図6は、ゴミ袋40が扉20の内側表面223上に設けられた保持部6によって保持された状態を示す概略図である。ゴミ袋40は、真空包装可能な材料により構成される。ゴミ袋40は、例えば、内側が溶着可能なフィルムを有する。溶着可能なフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の合成樹脂フィルムであってもよい。
【0029】
図5及び図6に示すように、ゴミ袋40は、一方の表面142と、他方の表面143と、表面142,143によって形成され、ゴミGを収納する収納空間43と、収納空間43に連通した開口部42を有する。ゴミGは、例えば、臭気を発生するゴミであって、例えば、糞尿等の汚物が含まれた使用済みオムツや料理等で発生した生ゴミであってもよい。ゴミ袋40は、扉20の内側表面223上に配置され、開口部42が閉じていない状態で内側表面223に設けられた保持部6によって保持されている。
【0030】
保持部6の両端は内側表面223に固定されている。保持部6は、例えば、ベルト状に形成されている。ゴミ袋40の一部は、保持部6と内側表面223によって挟まれており、ゴミ袋40は、保持部6の付勢力によって内側表面223に対して固定される。尚、保持部6の形状は特に限定されるものではない。
【0031】
ゴミ袋40の一方の表面142は、シールヒータ5aに対向する。ゴミ袋40の他方の表面143は、扉20が閉められた状態で、シールヒータ5b(第二の密封部の一例)に対向する。扉20が閉められた状態で、シールヒータ5a,5bは、真空室S内に設けられる。シールヒータ5a,5bは、熱圧着により、ゴミGが収納されたゴミ袋40の開口部42を密封するように構成されている。
【0032】
シールヒータ5bは、電動アクチュエータ7に設けられた駆動シャフト17の先端に取り付けられている。電動アクチュエータ7は、真空室S内であって、天井部21の内側表面213上に設けられている。電動アクチュエータ7は、シールヒータ5bを+Y軸方向に移動させるように構成されている。特に、電動アクチュエータ7は、駆動シャフト17を+Y軸方向に向けて延伸させることで、シールヒータ5bがゴミ袋40に向けて移動させるように構成されている。シールヒータ5bがゴミ袋40の他方の表面143に当接した状態で、シールヒータ5a,5bによって開口部42付近のゴミ袋40の一部が熱圧着される。この結果、ゴミ袋40の開口部42がシールヒータ5a,5bにより密封される。
【0033】
仕切壁28は、扉20が閉じた状態で、真空室Sを介して扉20の内側表面223に対向している。仕切壁28は、筐体2の内部空間100内に設けられており、真空室Sを形成するようにZ軸方向において底部22から天井部21まで延出していると共に、X軸方向において左側壁部23から右側壁部24まで延出している。仕切壁28の上端部281が天井部21の内側表面213に固定されると共に、仕切壁28の下端部282は底部22の内側表面225に固定される。同様に、仕切壁28の左端部(図示せず)が左側壁部23の内側表面(図示せず)に固定されると共に、仕切壁28の右端部(図示せず)が右側壁部24の内側表面243に固定される。
【0034】
仕切壁28には、吸引孔30が形成されている。吸引孔30は、真空室Sと真空室S以外の内部空間100に連通している。真空ホース10(第一の真空ホースの一例)の一端部が吸引孔30に挿入されている。真空ホース10の開口部を覆うように吸気カバー32が仕切壁28上に設けられている。真空ホース10の他端部は、真空ポンプ8に接続されている。このように、真空室S内に存在する空気は、真空ホース10を介いて真空ポンプ8に導かれる。
【0035】
真空ポンプ8は、底部22の内部に設けられており、真空ホース10を介して真空室Sに接続されている。真空ポンプ8は、真空室Sの空気を吸引することで真空室Sを真空にするように構成されている。
【0036】
脱気フィルタ9は、底部22の内部に設けられており、真空ホース11(第二の真空ホースの一例)を介して真空ポンプ8に接続されている。脱気フィルタ9は、真空ポンプ8によって吸引された真空室Sの空気を通過させるように構成されている。脱気フィルタ9により真空ポンプ8により吸引された空気の臭気や菌を取り除くことができる。このように、脱気フィルタ9によって臭気や菌が取り除かれた空気を真空ホース12を介してゴミ処理機1の外部に排出することができる。
【0037】
(ゴミ処理機1を用いたゴミ処理方法)
次に、図7を参照してゴミ処理機1を用いたゴミ処理の一連の流れについて以下に説明する。図7は、ゴミ処理機の一連の動作を説明するためのフローチャートである。最初に、ゴミ処理機1を使用する使用者は、扉20を開けた上で、ゴミGが収納されたゴミ袋40を扉20の内側表面223上に配置する。このとき、図6に示すように、ゴミ袋40は、ゴミ袋40の開口部42が閉じていない状態でゴミ袋40が保持部6によって保持されると共に、開口部42付近のゴミ袋40の一方の表面142がシールヒータ5aに対向する。使用者は、ゴミ袋40のセッティングが完了した後に、扉20を閉じる。このように、ゴミ袋40が真空室S内に収容される。
【0038】
次に、ステップS1において、使用者がゴミ処理機1に設けられた操作スイッチ4を操作したときに、操作スイッチ4は操作信号を制御部3に送信する。制御部3は、操作信号の受信に応じて、使用者による操作スイッチ4の操作を検出する。尚、本例では、操作スイッチ4によってゴミ処理機1が起動しているが、操作スイッチ4以外の他の入力インターフェース(例えば、タッチパネル)に対する使用者の入力操作に応じてゴミ処理機1が起動してもよい。
【0039】
ステップS2において、制御部3は、真空ポンプ8を起動させる。真空ポンプ8の動作に応じて真空室S内の空気が真空ホース10を介して真空ポンプ8により吸引される。真空室S内の空気が真空ポンプ8により吸引された結果、真空室S内の空気が徐々に減少する。真空室S内の空気の減少に伴い、真空室S内に存在するゴミ袋40の収納空間43(ゴミ袋40の内部)に存在する空気も開口部42から真空室Sに導かれる。ここで、開口部42は完全に閉じていないため、収納空間43は開口部42を介して真空室Sに連通している。その後、収納空間43から真空室Sに導かれた空気(特に、臭気や菌を含んだ空気)が、真空ホース10を介して真空ポンプ8により吸引される。このように、真空室Sの空気の減少に伴い、ゴミ袋40の収納空間43の空気も減少する。この結果、真空室Sの真空状態に伴いゴミ袋40の内部が真空状態となる。
【0040】
真空ポンプ8によって吸引された空気は、真空ホース11を介して脱気フィルタ9を通過する。その後、脱気フィルタ9によって空気に含まれる臭い成分や菌が除去された後に、当該吸引された空気は真空ホース12を介してゴミ処理機1の外部に排出される。
【0041】
真空ポンプ8の動作条件(例えば、動作時間等)は、予め設定されてもよいし、図示しないタッチパネルに対する使用者の入力操作に応じて適宜変更されてもよい。
【0042】
制御部3は、真空室Sの真空状態に伴いゴミ袋40の収納空間43が真空状態となった後に、電動アクチュエータ7を起動させる(ステップS3)。制御部3は、真空室S及びゴミ袋40の収納空間43の真空状態に要する必要時間と自身がカウントした時間とを比較した上で、真空室S及び収納空間43の真空状態を判定してもよい。また、制御部3は、真空室Sに設けられた図示しないセンサからのセンサ信号に基づいて、真空室Sの真空状態を判定してもよい。
【0043】
ステップS3では、図5に示すように、電動アクチュエータ7は、駆動シャフト17を+Y軸方向に向けて延伸させることで、シールヒータ5bをゴミ袋40に向けて移動させる。その後、シールヒータ5bがゴミ袋40の他方の表面143に当接する。制御部3は、シールヒータ5bがゴミ袋40の他方の表面143に当接するのに要する必要時間と自身がカウントした時間とを比較した上で、シールヒータ5bが他方の表面143に当接したことを判定してもよい。
【0044】
次に、制御部3は、シールヒータ5a,5bを動作させる。シールヒータ5a,5bの動作を通じて、シールヒータ5a,5bによってゴミ袋40の開口部42の付近が熱圧着される結果、ゴミ袋40の開口部42がシールヒータ5a,5bにより密封される(ステップS4)。その後、制御部3は、駆動シャフト17が-Y軸方向に向けて収縮するように電動アクチュエータ7を動作させる。次に、ステップS5において、制御部3は、ゴミ処理が完了したことを示すメッセージを外部に向けて通知する。この点において、制御部3は、当該メッセージを外部に向けて提示するために図示しないインジケータを点灯又は点滅させてもよい。また、制御部3は、図示しないスピーカから当該メッセージに係る音声ガイダンスを出力されるように当該スピーカを動作させてもよい。さらに、制御部3は、当該メッセージを図示しないディスプレイ上に表示してもよい。使用者は、当該メッセージを確認した後に、扉20を開くことで真空包装処理されたゴミ袋をゴミ処理機1から取り出すことができる。
【0045】
本実施形態によれば、真空室Sの真空状態に伴いゴミ袋40の収納空間43が真空状態となった後に、ゴミ袋40の開口部42が密封される。このように、ゴミ袋40の収納空間43に挿入される真空吸引ノズル等を用いずに、比較的シンプルな構造によりゴミ袋40に収納されたゴミGから発生する臭いを好適に抑制可能とするゴミ処理機1を提供することができる。さらに、ゴミ袋40に収納されているゴミGに液体物(例えば、尿や吐しゃ物等の液状汚物を大量に含んだゴミや水分を大量に含む生ゴミ等)が含まれている場合であっても、液体物の一部は収納空間43に留まる。このため、当該液体物が真空室Sに漏れ出すことなくゴミ袋40の内部の真空状態が維持された状態でゴミ袋40の開口部42が密封される。このように、ゴミGに液体物が含まれている場合であっても、実用面において問題が生じることなく、ゴミ袋40から発生する臭いを好適に抑制することができる。したがって、ウイルス感染防止や衛生管理の面からも非常に有用なゴミ処理機1を提供することができる。
【0046】
また、ゴミ袋40が扉20の内側表面223上に配置された状態で保持部6によって保持されるため、ゴミGが収納されたゴミ袋40をゴミ処理機1内に比較的簡単にセッティングすることが可能となる。
【0047】
さらに、本実施形態では、扉20が筐体2の天井部側ではなく正面側に設けられているため、身長が比較的低い利用者でもゴミ袋40を扉20の内側表面223に比較的簡単にセッティングすることができる。特に、真空ポンプ8の高さ寸法に応じて、筐体2の全体の高さ寸法が大きくなってしまう場合であっても、ゴミ袋40が配置される扉20が正面側に設けられている。このため、身長が比較的低い利用者や車椅子を利用している障害者であってもゴミ処理機1を比較的容易に利用することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0049】
例えば、制御部3は、真空室Sの真空状態に伴いゴミ袋40の収納空間43が真空状態となった後に、電動アクチュエータ7を起動させているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。この点において、制御部3は、真空室Sの真空状態に伴いゴミ袋40の収納空間43が真空状態となる前に、電動アクチュエータ7の駆動を開始してもよい。この場合、シールヒータ5bは、ゴミ袋40から所定距離だけ離れた位置まで移動する。その後、収納空間43が真空状態となった後に、電動アクチュエータ7は、シールヒータ5bがゴミ袋40の他方の表面143に当接するようにシールヒータ5bを移動させる。
【符号の説明】
【0050】
1:ゴミ処理機、2:筐体、3:制御部、4:操作スイッチ、5a,5b:シールヒータ、6:保持部、7:電動アクチュエータ、8:真空ポンプ、9:脱気フィルタ、G:ゴミ、S:真空室、10,11,12:真空ホース、17:駆動シャフト、20:扉、21:天井部、22:底部、23:左側壁部、24:右側壁部、26:取手、28:仕切壁、29:後側壁部、30:吸引孔、32:吸気カバー、40:ゴミ袋、42:開口部、43:収納空間、100:内部空間、142:一方の表面、143:他方の表面、212:外側表面、213:内側表面、221:外側表面、223:内側表面、225:内側表面、243:内側表面、281:上端部、282:下端部
【要約】
【課題】真空吸引ノズル等を用いずに、比較的シンプルな構造によりゴミ袋に収納されたゴミから発生する臭いを好適に抑制可能とするゴミ処理機を提供する。
【解決手段】ゴミ処理機1は、ゴミGが収納されたゴミ袋40を収容する真空室Sを備えた筐体2と、ゴミ袋40の開口部42が閉じていない状態でゴミ袋40を保持する保持部6と、真空ホース10を介して真空室Sに接続されると共に、真空室Sの空気を吸引することで真空室Sを真空にする真空ポンプ8と、ゴミ袋40の開口部42を密封するシールヒータ5a,5bと、真空ポンプ8及びシールヒータ5a,5bの動作を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、真空ポンプ8を動作させた後に、シールヒータ5a,5bを動作させる。シールヒータ5a,5bは、真空室Sの真空状態に伴いゴミ袋40の収納空間43が真空状態となった後に、ゴミ袋40の開口部42を密封する。
【選択図】図5
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図5
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図7