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特許7368955発電設備管理装置、発電システム、発電設備管理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】発電設備管理装置、発電システム、発電設備管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20231018BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H04Q9/00 301A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019090076
(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公開番号】P2020188546
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-03-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】野村 凌太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博幸
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/152665(WO,A1)
【文献】特開平05-122292(JP,A)
【文献】特開2018-060259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作装置から発電設備の運転指令および終了予定時刻を受信する指令受信部と、
前記遠隔操作装置との通信の障害の有無を検出する障害検出部と、
前記障害が検出されない場合に、受信した前記運転指令に従って前記発電設備を運転し、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転する運転制御部と
許可ボタンを有する操作入力部と、
を備え、
前記運転制御部は、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転した後、前記許可ボタンが押下されるまで前記遠隔操作装置からの新たな前記運転指令の受け付けを拒否する
発電設備管理装置。
【請求項2】
前記操作入力部が禁止ボタンをさらに有し、
前記運転制御部は、前記禁止ボタンが押下された場合、前記遠隔操作装置からの運転指令に基づく前記発電設備の運転を禁止する
請求項1に記載の発電設備管理装置。
【請求項3】
前記運転制御部は、前記運転指令を含む信号と所定の書き込み許可信号が同時に受信された場合に、前記運転指令に従って前記発電設備を運転する
請求項1または請求項2に記載の発電設備管理装置。
【請求項4】
発電設備と、発電設備管理装置とを備え、
前記発電設備管理装置は、
遠隔操作装置から前記発電設備の運転指令および終了予定時刻を受信する指令受信部と、
前記遠隔操作装置との通信の障害の有無を検出する障害検出部と、
前記障害が検出されない場合に、受信した前記運転指令に従って前記発電設備を運転し、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転する運転制御部と
許可ボタンを有する操作入力部と、
を備え、
前記運転制御部は、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転した後、前記許可ボタンが押下されるまで前記遠隔操作装置からの新たな前記運転指令の受け付けを拒否する
発電システム。
【請求項5】
遠隔操作装置から発電設備の運転指令および終了予定時刻を受信するステップと、
前記遠隔操作装置との通信の障害の有無を検出するステップと、
運転制御部によって、前記障害が検出されない場合に、受信した前記運転指令に従って前記発電設備を運転し、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転するステップと
許可ボタンの押下を受け付けるステップと、
を備え、
前記発電設備を運転するステップでは、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転した後、前記許可ボタンが押下されるまで前記遠隔操作装置からの新たな前記運転指令の受け付けを拒否する
発電設備管理方法。
【請求項6】
遠隔操作装置から発電設備の運転指令および終了予定時刻を受信するステップと、
前記遠隔操作装置との通信の障害の有無を検出するステップと、
運転制御部によって、前記障害が検出されない場合に、受信した前記運転指令に従って前記発電設備を運転し、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転するステップと
許可ボタンの押下を受け付けるステップと、
をコンピュータに実行させ
前記発電設備を運転するステップでは、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転した後、前記許可ボタンが押下されるまで前記遠隔操作装置からの新たな前記運転指令の受け付けを拒否する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電設備管理装置、発電システム、発電設備管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
操作対象の装置を通信回線を介して遠隔操作するシステムには、操作対象の装置側から遠隔操作を禁止することができるようにしたものがある(例えば特許文献1)。特許文献1に記載されているシステムでは、半導体露光装置の操作部からオンライン操作禁止コマンドを入力すると、半導体露光装置の制御部が通信ラインを通じてホストコンピュータにその旨を通知する。ホストコンピュータでは、該当する半導体露光装置に対する操作命令入力が禁止され、当該半導体露光装置がオンライン操作禁止状態になる。特許文献1に記載されているシステムによれば、作業者が半導体露光装置での作業中に不意にオンライン接続されたホストコンピュータから半導体露光装置に対する遠隔操作が行われることによる危険が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-172903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、操作対象の装置側で遠隔操作を禁止しなければならない場合には、上述したように遠隔操作される側で何らかの作業上の事情が発生したことや、通信障害が発生したことなどがある。また、通信障害が発生した場合に遠隔操作を禁止するときには、通信障害が発生する前に受け付けていた遠隔操作の操作命令をどのように扱うのかが課題となることがある。例えば、バーチャルパワープラントやデマンドレスポンスにおける発電設備などの遠隔操作では、遠隔操作の操作命令を受け付けた状態で通信障害が発生した場合に、受け付けた操作命令をどのように扱うのかが課題となる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遠隔操作において通信障害が発生した場合に適切に対処することができる発電設備管理装置、発電システム、発電設備管理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、遠隔操作装置から発電設備の運転指令および終了予定時刻を受信する指令受信部と、前記遠隔操作装置との通信の障害の有無を検出する障害検出部と、前記障害が検出されない場合に、受信した前記運転指令に従って前記発電設備を運転し、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転する運転制御部とを備える発電設備管理装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、許可ボタンを有する操作入力部をさらに備え、前記運転制御部は、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転した後、前記許可ボタンが押下されるまで前記遠隔操作装置からの新たな前記運転指令の受け付けを拒否する上記発電設備管理装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、前記操作入力部が禁止ボタンをさらに有し、前記運転制御部は、前記禁止ボタンが押下された場合、前記遠隔操作装置からの運転指令に基づく前記発電設備の運転を禁止する上記発電設備管理装置である。
【0009】
また、本発明の一態様は、前記運転制御部は、前記運転指令を含む信号と所定の書き込み許可信号が同時に受信された場合に、前記運転指令に従って前記発電設備を運転する上記発電設備管理装置である。
【0010】
また、本発明の一態様は、遠隔操作装置から発電設備の運転指令および終了予定時刻を受信する指令受信部と、前記遠隔操作装置との通信の障害の有無を検出する障害検出部と、前記障害が検出されない場合に、受信した前記運転指令に従って前記発電設備を運転し、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転する運転制御部とを備える発電設備管理装置と、前記発電設備とを備える発電システムである。
【0011】
また、本発明の一態様は、遠隔操作装置から発電設備の運転指令および終了予定時刻を受信するステップと、前記遠隔操作装置との通信の障害の有無を検出するステップと、運転制御部によって、前記障害が検出されない場合に、受信した前記運転指令に従って前記発電設備を運転し、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転するステップとを含む発電設備管理方法である。
【0012】
また、本発明の一態様は、遠隔操作装置から発電設備の運転指令および終了予定時刻を受信するステップと、前記遠隔操作装置との通信の障害の有無を検出するステップと、運転制御部によって、前記障害が検出されない場合に、受信した前記運転指令に従って前記発電設備を運転し、前記障害が検出された場合に、前記障害が検出される直前に受信した前記終了予定時刻に基づいて前記発電設備を運転するステップとをコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の各態様によれば、発電設備の遠隔操作において通信障害が発生した場合に適切に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る発電システムの構成例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示す状態遷移図である。
図3】第1実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図4】第2実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示す状態遷移図である。
図5】第2実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図6】第3実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈第1実施形態〉
《発電システムの構成》
図1は、第1実施形態に係る発電システムの構成例を示すブロック図である。なお、図1に示す発電システム1は、発電設備管理装置2と、発電設備3を備える。発電設備3は、電力を発生する装置と電力を蓄電および放電する装置を含み、例えば、火力発電機、太陽光発電機、風力発電機、燃料電池などの発電装置や、蓄電池などの蓄電装置を含む。発電設備管理装置2は、コンピュータを含む制御装置(発電機盤など)であり、発電設備3の運転を制御する。発電設備管理装置2は、インターネットなどを含む通信網5を介して、遠隔操作装置4から遠隔操作信号を受信し、受信した遠隔操作信号に基づいて発電設備3を運転する。
【0016】
遠隔操作装置4は、コンピュータを含む制御装置であり、例えば、バーチャルパワープラントやデマンドレスポンスにおいて発電設備3による供給電力などを遠隔制御する。なお、図1では、発電システム1を1つのみ示しているが、遠隔操作装置4は、複数の発電システム1を制御対象とするものであってよい。また、発電システム1は、複数の発電設備管理装置2と発電設備3の組み合わせと、複数の発電設備管理装置2を共通に制御する図示していない制御装置(共通盤など)を備えていてもよい。
【0017】
なお、デマンドレスポンスは、系統電力使用を抑制することで、電力会社などからインセンティブを受け取ることを意味する。一方で、デマンドレスポンスでは、使用の抑制に失敗した場合にペナルティが課せられる場合がある。また、バーチャルパワープラントは、系統に接続されている発電設備、蓄電設備を制御(逆潮流を含む)することで、発電所と同等の機能を提供することである。本実施形態において、遠隔操作信号は、例えばデマンドレスポンスに対応するための発電設備3に対する運転指令とデマンドレスポンスの開始予定時刻と終了予定時刻を示すデータを含む。以下、デマンドレスポンスの開始予定時刻から終了予定時刻までの時間をデマンドレスポンス運転時間という。ただし、遠隔操作信号の送信時刻とデマンドレスポンスの開始予定時刻が接近している場合には、開始予定時刻が省略されてもよい。また、終了予定時刻は、デマンドレスポンスの開始予定時刻とデマンドレスポンス運転時間との組み合わせによって表されてもよい。なお、運転指令は、例えば、デマンドレスポンス目標電力(ベースラインからの発電電力の増加分の目標値)を示すデータを含む。ただし、遠隔操作信号は、これに限定されず、電力の需要や供給を事前の計画値から変化させるための指令値(目標電力と運転時間)を含む信号であれば、他のパラメータを含むものであってもよい。ベースラインは、デマンドレスポンスによる発電量等に対する変化の要請がない場合の発電電力などである。
【0018】
《発電設備管理装置の構成》
発電設備管理装置2は、コンピュータが有するハードウェアとコンピュータで実行されるプログラムなどのソフトウェアの組み合わせから構成される機能的要素として、指令受信部21、障害検出部22、運転制御部23、および操作入力部24を有する。操作入力部24は、禁止ボタン25と許可ボタン26を有する。
【0019】
指令受信部21は、遠隔操作装置4から発電設備3の運転指令および終了予定時刻を示すデータを含む遠隔操作信号を受信する。また、第3実施形態においては、指令受信部21は、遠隔操作信号と同時に書き込み許可信号を受信する。
【0020】
障害検出部22は、遠隔操作装置4との通信の障害の有無を検出する。障害検出部22は、例えば、通信途絶の検出を「ヘルス信号」を用いて行う。「ヘルス信号」は、一定間隔で送信されるシーケンス番号を付したパケットと、そのACK(Acknowledgement、肯定応答)の組み合わせから構成される信号であり、発電設備管理装置2と遠隔操作装置4との間で送受信される。障害検出部22は、ヘルス信号の途絶または所定のしきい値を超える通信の遅延、シーケンス番号の不連続などが発生した場合に、遠隔操作装置4との通信に障害が有ると判断する。ただし、通信途絶は、例えば、一般的なキープアライブ(ハートビート)によって検出してもよい。また、障害検出部22は、ヘルス信号が所定のしきい値以下の通信の遅延でシーケンス番号が正常に連続して受信される場合に、通信が正常である、すなわち通信が復帰したと判断する。
【0021】
運転制御部23は、障害検出部22によって障害が検出されない場合に、受信した運転指令に従って発電設備3を運転し、障害が検出された場合に、障害が検出される直前に受信した終了予定時刻に基づいて発電設備3を運転する。また、運転制御部23は、障害が検出された場合に、障害が検出される直前に受信した終了予定時刻に基づいて発電設備3を運転した後、許可ボタン26が押下されるまで遠隔操作装置4からの新たな運転指令の受け付けを拒否する。また、運転制御部23は、禁止ボタン25が押下された場合、遠隔操作装置4からの運転指令に基づく発電設備3の運転を禁止する。
【0022】
また、操作入力部24は、例えば、タッチパネル、機械的な接点などから構成された複数のキーやボタン、表示部などを備え、禁止ボタン25と許可ボタン26をタッチパネル上の画像または物理的なボタンとして構成し、操作者による入力操作(押下)を受け付ける。また、操作入力部24は、発電設備3を、操作入力部24に対する入力操作に応じて手動で運転する際に運転条件の指示(出力などの指示)を入力するための他の操作子などを有する。また、禁止ボタン25は、遠隔操作装置4による遠隔操作の禁止を指示するための操作子であり、許可ボタン26は、遠隔操作装置4による遠隔操作を受け付け状態とする指示を入力するための操作子である。
【0023】
《発電設備管理装置の動作》
次に、図2を参照して、図1に示す発電設備管理装置2の第1実施形態における動作例について説明する。図2は、第1実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示す状態遷移図である。本実施形態の発電設備管理装置2は、遠隔操作受付状態S1、現場自動運転状態S2および現場手動運転状態S3のいずれかの動作状態で発電設備3を運転する。
【0024】
遠隔操作受付状態S1は、発電設備管理装置2が、遠隔操作装置4から受信した遠隔操作信号に応じて発電設備3を運転する動作状態である。発電設備管理装置2は、遠隔操作受付状態S1において、例えば、予め決められた運転計画に基づいて発電設備3を運転するとともに遠隔操作信号に応じてデマンドレスポンス目標電力に基づき発電設備3の出力を所定時間変化させたり、遠隔操作信号に応じて常時、発電設備3を運転したりすることができる。現場自動運転状態S2は、発電設備管理装置2が、通信が途絶する前、最後に正常に遠隔操作装置4から受信した遠隔操作信号に基づき、その遠隔操作信号が含む終了予定時刻に到達するまでの間、その遠隔操作信号が指示する運転条件(運転指令)で発電設備3を運転するとともに、終了予定時刻より後は、例えば、予め決められた運転計画に基づいて発電設備3を運転する動作状態である。現場手動運転状態S3は、発電設備管理装置2が、遠隔操作装置4からの遠隔操作信号に応じた遠隔操作を禁止して、例えば操作入力部24からの入力操作に応じて発電設備3を運転する動作状態である。
【0025】
発電設備管理装置2は、遠隔操作受付状態S1で発電設備3を運転している場合に、通信途絶などの通信障害が発生したとき(E1)、動作状態を現場自動運転状態S2へ移行させる。また、発電設備管理装置2は、現場自動運転状態S2で発電設備3を運転している場合に、許可ボタン26が押下されたとき(E2)、動作状態を遠隔操作受付状態S1へ移行させる。また、発電設備管理装置2は、現場自動運転状態S2で発電設備3を運転している場合に禁止ボタン25が押下されたとき(E3)、または、遠隔操作受付状態S1で発電設備3を運転している場合に禁止ボタン25が押下されたとき(E4)、動作状態を現場手動運転状態S3へ移行させる。また、発電設備管理装置2は、現場自動運転状態S2で発電設備3を運転している場合に許可ボタン26が押下されたとき(E2)、または、現場手動運転状態S3で発電設備3を運転している場合に許可ボタン26が押下されたとき(E5)、動作状態を遠隔操作受付状態S1へ移行させる。
【0026】
次に、図3を参照して、図1に示す発電設備管理装置2の第1実施形態における動作例について説明する。図3は、第1実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示すタイミングチャートである。図3は、横軸を時間、縦軸をデマンドレスポンス目標電力の大きさとするタイミングチャートである。図3に示す例では、時刻t10において、時刻t10より前に受信した遠隔操作信号に基づいて所定のデマンドレスポンス目標電力が設定されている。時刻t10の発電設備管理装置2の運転状態は遠隔操作受付状態S1である。また、最後に受信した遠隔操作信号に基づく終了予定時刻は時刻t12であるとする。
【0027】
図3に示す例で、時刻t11に通信障害による通信途絶が発生した場合(E1)、発電設備管理装置2は、現場自動運転状態S2へ遷移し、終了予定時刻の時刻t12まで最後に受信した遠隔操作信号に応じたデマンドレスポンス目標電力で発電設備3の運転を継続する。そして、終了予定時刻の時刻t12より後は、発電設備管理装置2は、デマンドレスポンス目標電力を漸減させ、「0」に設定する。
【0028】
そして、例えば、時刻t13で通信障害が解消して通信が復帰したとしても、発電設備管理装置2は、現場自動運転状態S2で動作を継続し、許可ボタン26が押下されたときに(E2)、遠隔操作受付状態S1へ遷移する。この場合、通信が復帰した時刻t13から許可ボタン26が押下された時刻t14まで、発電設備管理装置2は、遠隔操作の受付を拒否することになる。なお、通信が復帰した時刻が時刻t12より前であったとしても、許可ボタン26が押下された時刻t14まで、発電設備管理装置2は、遠隔操作の受付を拒否する。
【0029】
《作用・効果》
以上のように、第1実施形態によれば、通信途絶時の制御として、通信途絶発生後、現場側の発電設備管理装置2が保持する運転条件(パラメータ)で自動運転が継続される。また、発電設備管理装置2は、通信が復帰した後(自動運転の終了前後に関わらず)、通信の信頼性が無いとして遠隔操作の受付を拒否する。そして、発電設備管理装置2は、人的確認操作として、現場側の遠隔操作の許可ボタン26が押下された場合に、遠隔操作の受付を再開する。また、第1実施形態によれば、遠隔操作の禁止ボタン25により、異常発生時などに現場側への制御取り戻しが可能になる。
【0030】
第1実施形態によれば、通信途絶時においてもデマンドレスポンス運転を継続および全うし、さらに通信復帰後のシステム不安定時の遠隔操作入力を防ぐことができる。すなわち、第1実施形態によれば、発電設備3の遠隔操作において通信障害が発生した場合に適切に対処することができる。
【0031】
〈第2実施形態〉
《発電設備管理装置の動作》
次に、図4および図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示す状態遷移図である。図5は、第2実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【0032】
図4に示す第2実施形態の状態遷移図は、図2に示す第1実施形態の状態遷移図と比べて次の点が異なる。すなわち、現場自動運転状態S2から遠隔操作受付状態S1へ状態が遷移する条件が、第1実施形態では許可ボタン26の押下(E2)であったのに対して、第2実施形態では通信復帰(E2a)となっている点が異なる。その他の状態遷移は第1実施形態と同様である。
【0033】
図5に示すように、第2実施形態では、時刻t12で通信が復帰したとすると(E1a)、発電設備管理装置2は、現場自動運転状態S2から遠隔操作受付状態S1へ遷移する。なお、時刻t12より前の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0034】
《作用・効果》
以上のように、第2実施形態によれば、(1)発電設備管理装置2は、通信途絶発生後、現場側の発電設備管理装置2が保持する運転条件(パラメータ)で自動運転が継続される。そして、(2)通信が復帰した際(自動運転の終了前後に関わらず)に、発電設備管理装置2は、遠隔操作の受付を許可する。
【0035】
したがって、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、遠隔操作の禁止ボタン25により、異常発生時などに現場側への制御取り戻しが可能になる。また、通信途絶時においてもデマンドレスポンス運転を継続および全うすることができる。すなわち、第2実施形態によれば、発電設備3の遠隔操作において通信障害が発生した場合に適切に対処することができる。
【0036】
〈第3実施形態〉
《発電設備管理装置の動作》
次に、図6を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図6は、第3実施形態に係る発電設備管理装置の動作例を示すフローチャートである。第3実施形態では、遠隔操作装置4からの遠隔操作の際、遠隔制御信号と同時に「書き込み許可信号」を遠隔操作装置4から発電設備管理装置2に送信する。発電設備管理装置2は、「書き込み許可信号」と同時送信されたデータのみを発電設備3の運転に反映し、動作する。「書き込み許可信号」は、例えば、遠隔操作装置4と発電設備管理装置2に対して予め定めたパスワードのような信号とすることができる。
【0037】
以下、図6を参照して、第3実施形態における発電設備管理装置2の動作例について説明する。図6に示す処理は、所定の周期で繰り返し発電設備管理装置2が実行する。図6に示す処理が開始すると、発電設備管理装置2は、指令受信部21が遠隔操作信号を受信したか否かを判断する(ステップS1)。
【0038】
指令受信部21が遠隔操作信号を受信していない場合(ステップS1:NO)、発電設備管理装置2は、図6に示す処理を終了する。一方、指令受信部21が遠隔操作信号を受信した場合(ステップS1:YES)、発電設備管理装置2は、書き込み許可信号を同時受信したか否かを判断する(ステップS2)。書き込み許可信号を同時受信した場合(ステップS2:YES)、発電設備管理装置2は、受信した遠隔操作信号を運転制御部23による発電設備3の運転制御に反映する(ステップS3)。一方、書き込み許可信号を同時受信していない場合(ステップS2:NO)、発電設備管理装置2は、受信した遠隔操作信号が無効であるとして運転制御部23による発電設備3の運転制御に反映しない(ステップS4)。
【0039】
その他の発電設備管理装置2の動作は、第1実施形態または第2実施形態と同様とすることができる。
【0040】
《作用・効果》
第3実施形態によれば、運転制御部23が、運転指令を含む遠隔操作信号と所定の書き込み許可信号が同時に受信された場合に、運転指令に従って発電設備3を運転するようにしたので、第1実施形態または第2実施形態から得られる効果に加えて、「書き込み許可信号」により、ノイズや悪意のある通信によるデータ入力を防ぐことができる。
【0041】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して説明してきたが、具体的な構成は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0042】
〈コンピュータ構成〉
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述の発電設備管理装置2は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0043】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0044】
ストレージ93の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【符号の説明】
【0045】
1 発電システム
2 発電設備管理装置
3 発電設備
4 遠隔操作装置
21 指令受信部
22 障害検出部
23 運転制御部
24 操作入力部
25 禁止ボタン
26 許可ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7