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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231018BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20231018BHJP
   G01M 7/04 20060101ALN20231018BHJP
【FI】
G06Q50/08
G01N35/00 E
G01N35/00 A
G01M7/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019131706
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2021018449
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】芳村 友起
(72)【発明者】
【氏名】中野 龍二
(72)【発明者】
【氏名】南 和広
(72)【発明者】
【氏名】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】三橋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】福井 充広
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-352546(JP,A)
【文献】特開2014-022445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G01N 35/00
G01M 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の免震或いは制振に利用される検体を所定の検査条件で検査する検査装置と、
前記検体上に表示された前記検体を識別する識別情報を読み取る読取装置と、
前記検体の識別情報と前記検体の検査条件とが関連付けられて登録されるとともに前記検査装置による変更を許容しないデータベースを記憶するサーバとを備え、
前記検査装置は、前記読取装置で読み取られた前記検体の識別情報に関連付けされた検査条件を前記データベースから読み込み、読み込んだ検査条件に基づき前記検体の検査を行って検査データを生成し、前記検体の検査を終了すると検査データを前記サーバへアップロードし、
前記サーバは、前記検査データを受け取ると、前記検査データからハッシュコードを生成し、前記検査装置に取り付けられた前記検体と、前記検体の製造番号と、前記ハッシュコードとを含む画像データを記憶する
ことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
監査機関に設置される監査機関端末と通信回線を介して接続可能な外部サーバを備え、
前記サーバは、前記検査データがアップロードされると、前記外部サーバへ前記検査データをアップロードし、
前記外部サーバは、前記検査データを受け取ると、前記検体の顧客毎に用意されてアクセスに認証が必要なフォルダに前記検査データを格納する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記検査装置は、前記検体を検査する検査モードと供試体を試験する試験モードとを有し、前記検査モード時のみ前記検査データを前記サーバへアップロードする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記ハッシュコードを二次元コード化する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
免震ゴムや免震ゴムと一緒に利用されて構造物の免震に利用される油圧ダンパや、構造物の制振に利用される油圧ダンパ、粘弾性ダンパ、鋼材ダンパや摩擦ダンパの製造者は、製品性能が国土交通省大臣の認定基準や顧客要求仕様を満たしているかを検査して、検査を通過した製品を需要者へ出荷する。
【0003】
従来、検査過程の管理を行うシステムとしては、検査申請元と、施主と検査機関の三者で船体検査情報をオンラインで共有化するとともにスケジュールを管理する船舶の検査管理システムが公知である(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-99548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製品の検査をするに当たり、都度検査装置に検査条件を入力する場合、検査条件の設定ミスがあってもこれに気付かずに検査を行ってしまう可能性がある。
【0006】
しかしながら、従来のシステムでは、このような人為的なミスを防ぐ手立てがなく、免震或いは制振に供される製品の検査においてこのような人為的なミスが生じると基準を満たしていない製品が出荷されてしまう可能性があり、このような人為的なミスの防止が要望される。
【0007】
そこで、本発明は、免震或いは制振に供される検体を適切な検査条件で検査できる検査システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明の検査システムは、構造物の免震或いは制振に利用される検体を所定の検査条件で検査する検査装置と、検体上に表示された検体を識別する識別情報を読み取る読取装置と、検体の識別情報と検体の検査条件とが関連付けられて登録されるとともに検査装置による変更を許容しないデータベースを記憶するサーバとを備え、検査装置が読取装置で読み取られた検体の識別情報に関連付けされた検査条件をデータベースから読み込み、読み込んだ検査条件に基づき検体の検査を行って検査データを生成し、前記検体の検査を終了すると検査データを前記サーバへアップロードし、前記サーバは、前記検査データを受け取ると、前記検査データからハッシュコードを生成し、前記検査装置に取り付けられた前記検体と、前記検体の製造番号と、前記ハッシュコードとを含む画像データを記憶する。
【0010】
このように構成された検査システムおよび検査方法では、検体の識別情報が一度読み込まれると、人が介入せずに検査条件の設定が自動的に行われて、検体の検査が実行されるので、人為的な検査条件の変更がなされる恐れがない状態で検体の検査を実行できる。
【0012】
さらに、検査システムは、検査装置が検体の検査を終了すると検査データをサーバへアップロードするように構成されてもよい。このように構成された検査システムによれば、検査結果が人為的なミスによって変更されることなくサーバに記録されるので、検査データへのアクセスに認証を必要としたり、パスワードを設定するようにして、検査データの改竄を防止して検査データの信用性を向上できる。
【0013】
また、検査システムは、サーバが検査データを受け取ると、検査データからハッシュコードを生成し、検査装置に取り付けられた検体と、検体の製造番号と、ハッシュコードとを含む画像データを記憶するよう構成されてもよい。このように構成された検査システムによれば、検査終了後に検査装置から自動的に送信される検査データのハッシュコードを求めて、求めたハッシュコードと画像上のハッシュコードとが同一であるか否かを確認すれば、検査データが変更されているか否かを確認できるので、検査データが検査対象である検体の検査結果であることの信頼度を向上できる。
【0014】
そして、検査システムは、サーバに検査データがアップロードされると、サーバが監査機関に設置される監査機関端末と通信回線を介して接続可能な外部サーバへ検査データをアップロードするよう構成されてもよい。このように構成された検査システムによれば、検査条件の人為的な変更のない検査の実行が可能であるだけでなく、検体の検査結果を監査する監査機関で変更の恐れのない検査データを入手できるから、監査機関の担当者による検査の立会いを要せずに適切な検査を実行できるとともに、適正な監査を行うことができる。さらに、監査機関端末と通信回線を介して接続される外部サーバに検査データを隔離できるので、検査データが人為的なミスによって変更される危険性を低減できる。
【0015】
さらに、検査システムは、外部サーバが検査データを受け取ると検体の顧客毎に用意されてアクセスに認証が必要なフォルダに検査データを格納するよう構成されてもよい。このように構成された検査システムによれば、監査機関端末のオペレータが担当しない検体の検査データにアクセスするのを防止でき、また、異なる複数の監査機関に監査機関端末を設置する場合、検査機関が担当しない検体の検査データへアクセスするのを防止できる。よって、このように構成された検査システムによれば、オペレータが監査を担当しない検体の検査データを誤って監査するというミスを防止できる。
【0016】
また、検査システムにおける検査装置は、前記検体を検査する検査モードと供試体を試験する試験モードとを有し、前記検査モード時のみ前記検査データを前記サーバへアップロードしてもよい。さらに、検査システムは、ハッシュコードを二次元コード化してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の検査システムおよび検査方法によれば、構造物の免震或いは制振に供される検体の検査において人為的ミスを防止して適正な検査を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施の形態における検査システムの構成図である。
図2】一実施の形態の検査システムにおける検査装置の構成図である。
図3】一実施の形態の検査システムにおけるサーバの構成図である。
図4】一実施の形態の検査システムにおける利用者端末の構成図である。
図5】一実施の形態の検査システムにおける外部サーバの構成図である。
図6】一実施の形態の検査システムにおける監査機関端末の構成図である。
図7】一実施の形態の検査システムの動作を説明するフローチャートである。
図8】一実施の形態の検査システムにおける利用者端末とサーバの動作を説明するフローチャートである。
図9】一実施の形態の検査システムにおける監査機関端末と外部サーバの動作を説明するフローチャートである。
図10】一実施の形態の一変形例における検査システムの構成図である。
図11】一実施の形態の一変形例の検査システムにおける検査作業者端末の構成図である。
図12】一実施の形態の一変形例の検査システムにおけるサーバ、外部サーバおよび検査作業者端末の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1に示すように、一実施の形態の検査システムSは、構造物の免震或いは制振に利用される検体としてのダンパD(図2参照)を検査する検査装置Iと、ダンパD上に表示されてダンパDを識別する識別情報を読取装置Rと、ダンパDの識別情報とダンパDの検査条件とを関連付けられて登録されるとともに検査装置Iによる変更を許容しないデータベースDBとを備えて構成されている。
【0022】
以下、検査システムSの各部について詳細に説明する。検査装置Iは、検体としてのダンパDを保持してダンパDに振動を与える検査装置本体1と、ダンパDのストローク変位を検知するストロークセンサ2aと、ダンパDが発揮する荷重を検知するロードセル2bと、加振器1cを制御する制御盤4とを備えて構成されている。
【0023】
検査装置本体1は、図2に示すように、架台1aと、架台1aに設けられて図2中左右方向へ移動可能であってダンパDの一端を保持する保持部1bと、架台1aに設けられてダンパDの他端に接続されてダンパDに振動を与える加振器1cとを備えている。
【0024】
加振器1cは、制御盤4によって制御される。制御盤4は、所定の検査条件に従って加振器1cを駆動して、ダンパDに検査条件通りの振動を与えるようになっている。本実施の形態における検体であるダンパDは、シリンダ5と、シリンダ5内に出入りするロッド6とを備えたテレスコピック型のダンパとされており、シリンダ5に対してロッド6が軸方向に変位する伸縮時に減衰力を発揮する。また、ダンパDにおけるシリンダ5には、二次元コードが印刷された紙片Cが貼付される。二次元コードは、ダンパDの製造番号、型式、品番等といったダンパDを識別するための識別情報を含んだ情報をコード化したものであり、紙片CがダンパDに貼付されることでダンパD上に表示される。識別情報は、製造されるダンパDの区別できる情報であればよく、製造番号とされればよいが、前述のように、製造番号の他にもダンパDの型式や品番といった情報が含まれていてもよい。
【0025】
なお、識別情報は、一次元コードやテキストで表示されてもよいが、テキストに比較するとコードを用いると読取装置Rによる読み取りが容易となるとともに、二次元コードを用いると一次元コードに比較して同じ面積に多くの情報を包含できるから貼付スペースが限られたダンパDにも無理なく識別情報を表示できる。また、ダンパD上に識別情報を表示するには、識別情報を記載した紙片の貼付の他、ダンパDに直接印刷または刻印してもよい。また、識別情報は、紙片以外に印刷されてダンパDに取り付けられてもよい。
【0026】
検査装置Iは、検体であるテレスコピック型のダンパDが加振器1cによって加振された際に発生する減衰力の特性を検査するため、ダンパDのストローク変位を検知するストロークセンサ2aと、減衰力を検知するロードセル2bとを備える他、検査装置Iの設置個所の気温を検知する温度センサ2cおよびダンパDの温度を検知する温度センサ2dを備えている。
【0027】
ストロークセンサ2aは、ダンパDのシリンダ5に対するロッド6の変位であるストローク変位を検知して制御盤4へ入力する。ロードセル2bは、ダンパDと保持部1bとの間に介装されており、ダンパDから受ける荷重を検知して制御盤4へ入力する。ロードセル2bが検知した荷重は、ダンパDが伸縮した際に発揮する減衰力である。温度センサ2cは、検知した検査装置Iの設置個所における気温を制御盤4へ入力する他、図示しない表示部を備えていて検知した温度を表示部に表示する。また、温度センサ2dは、検知したダンパDの温度を制御盤4へ入力する他、図示しない表示部を備えていて検知した温度を表示部に表示する。なお、ダンパDのストローク速度を検知したい場合には、制御盤4でストローク変位を微分してもよい。また、ダンパDのストローク変位、減衰力以外に検知したい検査データに含めたい情報がある場合、その情報の検知に対応するセンサを設ければよく、当該情報を検査データに含めればよい。
【0028】
制御盤4は、検査装置本体1の加振器1cを制御するための制御部4aと、インターフェース4bと、オペレータによる操作を受け付けるための操作盤4cとを備えている。制御部4aは、詳しく図示はしないが、加振器1cを制御するとともに検査データの生成と送信等の処理を行うためのプログラムを記憶する記憶部と、前記プログラムを実行する演算処理部と、演算処理部からの指示によって加振器1cを駆動する駆動回路とを備えている。そして、制御部4aは、ダンパDの検査時にダンパDに与える振動を決定するパラメータにしたがって加振器1cを駆動する。インターフェース4bは、制御盤4に通信可能に接続されるストロークセンサ2a、ロードセル2b、温度センサ2cおよび読取装置Rと制御部4aとの間で信号のやり取りを行うとともに、サーバ7と制御部4aとの間で情報を交換できるようにプロトコルに従って通信される情報を変換する。
【0029】
制御部4aは、検査装置IによるダンパDの検査中は継続して、ストロークセンサ2aが検知したストローク変位の値とロードセル2bが検知したダンパDの減衰力の値を所定のサンプリング周期で読み込んで順次記憶し、それまでに記憶した値をフィールドに記述したCSVファイルとして検査データを生成する。より詳細には、制御部4aは、たとえば、フィールドを検査年月日、検査時刻、気温、検査対象であるダンパDの製造番号、型式、品番といった識別情報、検査中に取得されたストローク変位および減衰力とするレコードを記述したCSVファイルを検査データとして生成する。制御部4aは、CSVファイルの生成の際に、ダンパDの識別情報を含むファイル名を付けてCSVファイルを生成してもよいし、さらに、ダンパDの販売先を認識するための顧客番号或いは顧客名をファイル名に含めてもよい。なお、検査データは、一回の加振検査毎に生成され、CSVファイルには検査中に得られた前記値がすべて記録される。よって、たとえば、ダンパDに5回の正弦波振動を与える振動パターンで3回加振検査が行われる場合、検査データとして3つのCSVファイルが生成される。
【0030】
なお、識別情報は、ダンパDを特定してダンパDの検査条件を決定するのに用いることが可能な情報であればよく、ダンパDの製品番号、型式、品番のうちいずれか一つの情報に対して検査条件が一義的に決まるのであれば識別情報は製品番号、型式、品番のうちいずれか一つで足りる。なお、ダンパDの型式が同じであるが、このダンパDの納品先の顧客毎で検査条件が異なるような場合、たとえば、ダンパDの型式と、顧客番号或いは顧客名とを識別情報としてもよい。
【0031】
なお、検査データは、後述する監査機関端末12で閲覧可能であれば、CSVファイル以外の形式のファイルとして生成されてもよい。そして、制御盤4は、データベースDBを記憶するとともにデータベースDBを制御するサーバ7とインターフェース4bを介して通信可能に接続されており、検査データをサーバ7に送信する。
【0032】
検査装置Iは、ダンパDの検査を開始するにあたって、制御盤4がサーバ7に記憶されたデータベースDBにアクセスし、データベースDBに登録されたダンパDに関連付けされた検査条件を読み込んで検査条件通りに加振器1cを駆動制御することによって、ダンパDを検査する。
【0033】
具体的には、制御盤4は、読取装置Rで読み取ったダンパDの識別情報からデータベースDBにアクセスして、データベースDBを参照してダンパDに関連付けされた検査条件を読み込み、ダンパDを検査条件通りに検査するべく加振器1cを制御する。検査条件は、ダンパDに与える振動の周波数、振幅、振動波形等、検査装置本体1がダンパDを検査するのに指定が必要なパラメータで構成される。制御盤4は、ダンパDの検査に当たり、読み込んだ検査条件にしたがってダンパDへ与える振動のパラメータを検査条件が指定するパラメータに設定して加振器1cを制御しダンパDに検査条件通りの振動を与える。
【0034】
読取装置Rは、本実施の形態では、二次元コードを撮影した画像を画像処理してダンパDの識別情報を含むテキストデータに変換するデコードを行う装置であって、読み取ったダンパDの識別情報を制御盤4に入力する。制御盤4は、識別情報を受け取ると、サーバ7に記憶されたデータベースDBにアクセスし、データベースDBを参照して読取装置Rから受け取ったダンパDの識別情報に関連付けされている検査条件を抽出し、検査条件を読み込む。
【0035】
なお、制御盤4は、検査装置Iで検体であるダンパDを検査する場合の検査モードと、検査装置Iを試験装置としてダンパDの研究、開発向けの試験に利用する場合の試験モードとを備えている。なお、本実施の形態では、検査装置Iにおける検査モードと試験モードとの切り替えは、オペレータによる操作盤4cの操作によって行われる。制御盤4は、検査モードではオペレータの操作盤4cの操作によるダンパDの検査条件の入力を受け付けず、試験モードではオペレータの操作盤4cの操作によるダンパDに与える振動条件の入力を許容する。よって、検査装置Iが試験モードとなっている場合、検査装置Iのオペレータが所望する振動条件での供試体の試験を行える。他方、制御盤4は、検査モードでは、制御部4aで読取装置RからダンパDの識別情報の入力を検知すると、サーバ7に記憶されたデータベースDBにアクセスしてダンパDへ与える振動のパラメータを検査条件が指定するパラメータに設定し、検査が終了するまで操作盤4cからの検査条件の入力を受け付けない。なお、データベースDBに予め検査対象であるダンパDの識別情報と検査条件が登録されていない場合、制御盤4が検査条件を読み込めないので検査を行わない。
【0036】
よって、読取装置RによるダンパDの識別情報の読み取りが行われた後は自動的にデータベースDBに登録された検査条件に基づいたパラメータの設定が制御盤4によって行われ、検査が終わるまでは検査装置Iのオペレータによる検査条件の変更が行えない状態となる。
【0037】
なお、本実施の形態では、検査装置Iにおける検査モードと試験モードの切り替えについては、オペレータの操作盤4cの操作によって行うようにしているが、制御部4aへのダンパDの識別情報の入力をトリガとして検査モード移行し、検査装置本体1によるダンパDの検査の終了をトリガとして試験モードに移行するようにしてもよい。このようにすれば、読取装置RでダンパDの識別情報を読み取ると検査装置Iが自動的に試験モードから検査モードに移行し、検査が終了すると検査装置Iが自動的に試験モードに復帰できる。この場合、試験モードへ切り替える際のトリガを、制御部4aが生成した検査データのサーバ7への送信の完了とすればよく、制御部4aでは検査データの送信が完了したら検査終了と判断して試験モードに復帰すればよい。
【0038】
サーバ7は、図3に示すように、コンピュータシステムであり、演算処理装置7aと、データベースDBとサーバ7の制御に必要なプログラムを記憶するとともに演算処理装置7aにおける処理に必要な記憶領域を提供する記憶装置7bと、制御盤4、利用者端末8および外部サーバ10との通信を可能とするインターフェース7cと、キーボードやマウスといった入力装置7dと、表示装置7eと、これら装置を互いに通信可能に接続するバス7fとを備えている。
【0039】
演算処理装置7aは、演算処理を行うCPU等であって、オペレーティングシステムおよび他のプログラムの実行によってサーバ7の各部の制御を行う。記憶装置7bは、ROMおよびRAMを備える他、ハードディスクを備えている。また、記憶装置7bは、データベースDBを記憶する。なお、サーバ7は、磁気ディスク、光学ディスク等の記憶媒体と記憶媒体のデータを読み書き可能なドライブとでなる補助記憶装置や、半導体メモリを備えていてもよい。インターフェース7cは、制御盤4、利用者端末8および外部サーバ10との間で情報を交換できるように、プロトコルに従って通信される情報を変換する。表示装置7eは、演算処理装置7aが処理したデータ等を表示する画面を備えており、たとえば、液晶ディスプレイ等である。また、サーバ7は、制御盤4、利用者端末8と外部サーバ10との情報のやり取りと処理に必要なアプリケーションプログラムを記憶装置7bに記憶している。
【0040】
サーバ7は、制御盤4、利用者端末8および外部サーバ10と情報のやり取りを行う。サーバ7は、制御盤4から送信される検査データを受け取ると、検査データを記憶装置7bに記憶させる。その際にサーバ7は、ダンパDの検査データをそのダンパDが納品される顧客用に作成されたフォルダに格納する。たとえば、制御盤4が検査データのファイル名に顧客番号或いは顧客名含めてファイル生成する場合には、サーバ7は、ファイル名を参照して検査データをその顧客に対応して作成されているフォルダに格納する。制御盤4が検査データのファイル名に顧客番号或いは顧客名を含めないファイルを生成する場合には、サーバ7は、CSVファイルの顧客番号或いは顧客名が記述されているフィールドを参照して、顧客を認識して検査データをその顧客用のフォルダに格納すればよい。なお、サーバ7は、検査したダンパDの納品先の顧客用のフォルダがない場合、フォルダを作成してそのフォルダに検査データを格納すればよい。前述したところでは、サーバ7は、顧客毎にフォルダを作成しているが、顧客以外の情報によってフォルダを作成してもよく、たとえば、検査データを監査する監査機関毎にフォルダを作成して、検査データを監査機関毎に振り分けて格納してもよい。つまり、サーバ7は、検査データの振り分けルールに応じて、当該ルールに適するフォルダを作成して、検査データを作成したフォルダに格納すればよい。また、検査データの振り分けルールを設定しない場合、サーバ7は、検査データ格納用のフォルダに全検査データを格納してもよい。
【0041】
また、サーバ7は、検査データを受け取ると、外部サーバ10に検査データを送信して、外部サーバ10に検査データを外部サーバ10に用意された顧客用のフォルダ内に検査データを格納するよう指示する。
【0042】
データベースDBには、検体であるダンパD毎の識別情報と、ダンパDの納品先を識別するための顧客番号或いは顧客名或いはその両方と、ダンパDの識別情報に関連付けた検査条件とが格納されて、記憶装置7bに記憶されている。識別情報としては、本実施の形態では、検体であるダンパDの製造番号、型式、製品番号とが登録されており、これらの情報と関連付けされた検査条件として検査条件を指定するパラメータが登録される。よって、制御盤4は、サーバ7に記憶されているデータベースDBにアクセスして、識別情報としての製品番号で検索すれば、ダンパDに関連付けされた検査条件を抽出できる。
【0043】
制御盤4は、サーバ7からデータベースDBを変更する権限が与え得られておらず、データベースDBにアクセスして検査に必要な情報をダウンロードすることはできるが制御盤4の操作盤4cからの操作でデータベースDBへのデータの登録・データの書換・削除といったデータベースDBの変更ができない。つまり、制御盤4側からは、データベースDBへアクセスできるが変更することができない。なお、検査装置Iのオペレータの操作盤4cの操作ではデータベースDBへアクセスができないように制御されてもよい。
【0044】
データベースDBへのダンパDの識別情報と検査条件の登録は、利用者端末8によってのみ可能とされている。利用者端末8は、図4に示すように、コンピュータシステムであり、演算処理装置8aと、利用者端末8の制御に必要なプログラムを記憶するとともに演算処理装置8aが当該プログラムの実行に必要となる記憶領域を提供する記憶装置8bと、サーバ7との通信を可能とするインターフェース8cと、キーボードやマウスといった入力装置8dと、表示装置8eと、補助記憶装置8fと、これら装置を互いに通信可能に接続するバス8gとを備えている。
【0045】
演算処理装置8aは、演算処理を行うCPU等であって、オペレーティングシステムおよび他のプログラムの実行によって利用者端末8の各部の制御を行う。記憶装置8bは、ROMおよびRAMを備える他、ハードディスクを備えている。インターフェース8cは、サーバ7との間で情報を交換できるように、プロトコルに従って通信される情報を変換する。表示装置8eは、演算処理装置8aが処理したデータ等を表示する画面を備えており、たとえば、液晶ディスプレイ等である。補助記憶装置8fは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体と記憶媒体のドライブ装置とで構成されており、記憶媒体は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等である。また、利用者端末8は、サーバ7からダウンロードしたデータベースDBを表示装置8eの画面上に表示して閲覧を可能とするとともにデータベースDBを変更するための操作を可能とするためのアプリケーションプログラムを記憶装置8bに記憶している。
【0046】
利用者端末8は、インターフェース7c,8cを介してサーバ7と通信可能とされており、演算処理装置8aのプログラムの実行によって利用者端末8の各部が制御され、サーバ7と情報のやり取りを行う。
【0047】
利用者端末8のオペレータがサーバ7上のデータベースDBにアクセスする操作を行う際には、利用者端末8は、オペレータのIDとパスワードの入力欄を表示装置8eの画面に表示して、オペレータのIDとパスワードの入力を求める。
【0048】
利用者端末8は、オペレータのID毎にデータベースDBに対して可能な操作について権限を設定したファイルを保有しており、入力されたオペレータのIDとパスワードが正しい場合、当該ファイルを参照してIDに付与された権限の範囲でデータベースDBへのアクセスを許可する。具体的には、ID毎にデータベースDBの閲覧範囲が設定され、データベースDBの変更を許可するか否かについて権限が設定される。このように、権限が認められた場合のみ、利用者端末8からのデータベースDBの変更が受け付けられるが、前記変更の権限の有無の判断は、利用者端末8において行ってもよいし、サーバ7側で行ってもよい。また、データベースDBの変更の制御は、サーバ7側で行ってもよいし、利用者端末8側で行ってもよい。データベースDBの変更を許容しない手段は、データベースDBの記述内容の編集を行えないようにする手段の他、データベースDBの保存を行えないようにする手段であってもよい。さらに、オペレータのIDとパスワードの入力によってオペレータが利用者端末8へログインするシステムを利用者端末8が備えている場合、ログインシステムを利用し利用者端末8へのログインによってデータベースDBへのアクセス等の権限を認めてもよい。
【0049】
データベースDBの変更権限が認められた利用者端末8のオペレータは、ダンパDの検査に先立ってダンパDの識別情報と識別情報に関連付けされたダンパDの検査条件を登録しておく。制御盤4がデータベースDBにアクセスした際に、読取装置Rで読み取ったダンパDの識別情報と合致する識別情報と識別情報に関連付けられた検査条件の登録がない場合には、前述したように制御盤4は検査を行わない。
【0050】
なお、データベースDBへのダンパDの識別情報と検査条件の登録については、入力装置8dから直接データベースDBへデータを入力するようにしてもよいし、予め登録すべきデータの一覧をファイル化しておいてからデータベースDBへ登録するようにしてもよい。データベースDBの変更権限が付与された利用者端末8のオペレータは、ダンパDを検査する検査装置Iのオペレータとは異なる者であることが好ましい。
【0051】
また、利用者端末8からサーバ7に記録された検査データの閲覧を許す場合、検査データの変更権限を与えないようにして対応すればよい。また、利用者端末8で検査データの閲覧を可能とする場合、検査データの閲覧に必要なアプリケーションプログラムを記憶装置8bに記憶させておけばよく、また、ダンパDの検査成績書の印刷を利用者端末8で行いたい場合には、利用者端末8にバス8gを介して接続されるプリンターを設ければよい。
【0052】
外部サーバ10は、図5に示すように、コンピュータシステムであり、演算処理装置10aと、外部サーバ10の制御に必要なプログラムを記憶するとともに演算処理装置10aが当該プログラムの実行に必要となる記憶領域を提供する記憶装置10bと、サーバ7および監査機関端末12との通信回線11を介しての通信を可能とするインターフェース10cと、キーボードやマウスといった入力装置10dと、表示装置10eと、これら装置を互いに通信可能に接続するバス10fとを備えている。
【0053】
演算処理装置10aは、演算処理を行うCPU等であって、オペレーティングシステムおよび他のプログラムの実行によって外部サーバ10の各部の制御を行う。記憶装置10bは、ROMおよびRAMを備える他、ハードディスクを備えている。また、記憶装置10bは、サーバ7から送信された検査データを記憶する。なお、外部サーバ10は、磁気ディスク、光学ディスク等の記憶媒体と記憶媒体のデータを読み書き可能なドライブとでなる補助記憶装置や、半導体メモリを備えていてもよい。インターフェース10cは、サーバ7および監査機関端末12との間で情報を交換できるように、プロトコルに従って通信される情報を変換する。表示装置10eは、演算処理装置10aが処理したデータ等を表示する画面を備えており、たとえば、液晶ディスプレイ等である。また、外部サーバ10は、サーバ7と監査機関端末12との情報のやり取りと処理に必要なアプリケーションプログラムを記憶装置12bに記憶している。
【0054】
外部サーバ10は、演算処理装置10aのプログラムの実行によって外部サーバ10の各部が制御され、サーバ7および監査機関端末12と情報のやり取りを行う。外部サーバ10は、サーバ7から通信回線11を介して検査データを受け取ると、当該検査データを顧客用のフォルダに格納して記憶装置10bに記憶する。外部サーバ10は、検査データを格納する顧客用のフォルダが存在しない場合、検査データ中のレコードに含まれる顧客番号或いは顧客名を参照して対応する顧客用のフォルダを作成して検査データを格納すればよい。また、検査データを格納する顧客用のフォルダが存在しない場合、外部サーバ10は、サーバ7からの指示で顧客用のフォルダを作成するようにしてもよい。
【0055】
なお、前述したところでは、外部サーバ10は、顧客毎にフォルダを作成しているが、顧客以外の情報によってフォルダを作成してもよく、たとえば、検査データを監査する監査機関毎にフォルダを作成して、検査データを監査機関毎に振り分けて格納してもよい。つまり、外部サーバ10は、サーバ7と同様に、検査データの振り分けルールに応じて、当該ルールに適するフォルダを作成して、検査データを作成したフォルダに格納すればよい。また、検査データの振り分けルールを設定しない場合、外部サーバ10は、検査データ格納用のフォルダに全検査データを格納してもよい。
【0056】
外部サーバ10は、検査データへの外部からアクセスされたり、検査データが操作されたりした場合、操作内容を特定可能なデータログを生成して記憶装置10bに記憶させる。なお、データログには、検査データに対する操作内容の他、IPアドレス、MACアドレス、オペレータのIDといった情報を含めておくと、操作先の端末の特定やオペレータの特定が可能となるので好ましい。また、外部サーバ10は、監査機関端末12からの要求による検査データへのアクセスの可不可を制御する。なお、外部サーバ10は、クラウドコンピューティングを利用したものであってもよい。
【0057】
監査機関端末12は、図6に示すように、コンピュータシステムであり、演算処理装置12aと、監査機関端末12の制御に必要なプログラムを記憶するとともに演算処理装置12aにおける処理に必要な記憶領域を提供する記憶装置12bと、外部サーバ10と通信回線11を介しての通信を可能とするインターフェース12cと、キーボードやマウスといった入力装置12dと、表示装置12eと、プリンター12fと、補助記憶装置12gと、これら装置を互いに通信可能に接続するバス12hとを備えている。
【0058】
演算処理装置12aは、演算処理を行うCPU等であって、オペレーティングシステムおよび他のプログラムの実行によって監査機関端末12の各部の制御を行う。記憶装置12bは、ROMおよびRAMを備える他、ハードディスクを備えている。インターフェース12cは、外部サーバ10との間で情報を交換できるように、プロトコルに従って通信される情報を変換する。表示装置12eは、演算処理装置12aが処理したデータ等を表示する画面を備えており、たとえば、液晶ディスプレイ等である。補助記憶装置12gは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体と記憶媒体のドライブ装置とで構成されており、記憶媒体は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等である。また、監査機関端末12は、外部サーバ10からダウンロードした検査データを表示装置12eの画面上に表示して閲覧するためのアプリケーションプログラムを記憶装置12bに記憶している。
【0059】
監査機関端末12は、通信回線11を介して外部サーバ10と通信可能とされており、演算処理装置12aのプログラムの実行によって監査機関端末12の各部が制御され、外部サーバ10と情報のやり取りを行う。
【0060】
監査機関端末12のオペレータが外部サーバ10上の検査データにアクセスする操作を行った場合、監査機関端末12は、オペレータのIDとパスワードの入力欄を表示装置12eの画面に表示して、オペレータのIDとパスワードの入力を求める。
【0061】
オペレータのIDと閲覧可能な顧客用のフォルダとが関連付けされており、監査機関端末12はオペレータのIDとパスワードを外部サーバ10へ送信し、外部サーバ10は、前記IDとパスワードが正しい場合、IDに付与された閲覧可能なフォルダ内の検査データに限りアクセスを許可する。また、外部サーバ10は、アクセスが許可されたフォルダ内の検査データの監査機関端末12へのダウンロードも許可される。
【0062】
具体的には、ID毎にどの顧客の検査データを閲覧できるか閲覧範囲が設定され、外部サーバ10は、閲覧範囲を設定するファイルを参照して、監査機関端末12からの閲覧要求に対して閲覧の可否を判断する。なお、IDを顧客ではなく検査データに関連付けしてもよい。なお、外部サーバ10のフォルダが顧客毎ではなく、予め決められた検査データ振り分けルールに従って作成されたフォルダに格納される場合には、ID毎に閲覧可能なフォルダ或いは検査データを関連付けしてファイル化しておけばよい。
【0063】
このように、アクセスが認証された場合のみ、監査機関端末12は、外部サーバ10からアクセスが認証されたフォルダ内の検査データのダウンロードが可能となる。監査機関端末12は、検査データを処理するアプリケーションプログラムを実行することで表示装置12eに検査データ内の検査日時、検査条件といった検査情報と、検査データの値とグラフ化された検査データを一覧にして表示する。オペレータは、CSVファイルを開いて検査データをそのまま閲覧することもできる。よって、閲覧が許可されたオペレータは、表示装置12e上で検査データを閲覧できる。また、監査機関端末12は、オペレータの要求によって、検査情報、検査データの値とグラフ化された検査データをプリンター12fで紙媒体に印刷でき、CSVファイルのテキストデータを紙媒体に印刷できる。監査機関端末12は、オペーレータの要求により検査データを処理するアプリケーションプログラムを実行することでプリンター12fにより検査成績書を紙媒体に印刷することもできる。また、監査機関端末12は、オペレータの要求によって、補助記憶装置12gにおける記憶媒体へ記憶させることも可能である。
【0064】
このように、監査機関端末12のオペレータは、監査機関端末12を操作してアクセスの認証が受けられるとアクセス可能となった検査データの閲覧が可能であり、外部サーバ10から当該検査データの入手も可能である。
【0065】
なお、監査機関端末12は、タブレット端末、スマートフォンやモバイルPCといった機器であってもよく、検査データの閲覧を行うためのアプリケーションプログラムについてはブラウザ上で動作するものであってもよい。
【0066】
以下、図7に示したフローチャートを用いて検査システムSの動作を説明する。検査装置Iにて検体であるダンパDの検査を行うため、検査装置Iを検査モードとした状態で、オペレータが読取装置RでダンパD上に表示された識別情報を読み取ると、読取装置Rで読み取った識別情報が制御盤4に入力される(S1)。検査装置Iのオペレータは、読取装置RでダンパDの識別情報を読み取る作業を行った後、検体であるダンパDを検査装置本体1の保持部1bと加振器1cとに介装してダンパDの検査に備える。なお、検査装置Iのオペレータは、読取装置RでダンパDの識別情報を読み取る作業を行う前に、検体であるダンパDを検査装置本体1の保持部1bと加振器1cとに介装してもよい。
【0067】
制御盤4は、ダンパDの識別情報が入力されると検査モードへ移行して、サーバ7のデータベースDBへアクセスして、識別情報に関連付けされた検査条件を抽出する(S2)。なお、制御盤4は、識別情報の入力によってサーバ7へ識別情報を送信して、サーバ7に検査条件を要求するようにしてもよい。この場合、サーバ7は、識別情報の入力によってデータベースDBを参照して入力された識別情報に基づいてこれに関連付けられた検査条件を抽出して制御盤4へ検査条件を送信すればよい。
【0068】
制御盤4は、識別情報に関連付けられた検査条件を入手できたか判断し(S3)、検査条件を入手できた場合には、ダンパDの検査に必要なパラメータを得られた検査条件が指定するパラメータの値に設定する(S4)。
【0069】
他方、制御盤4は、識別情報に関連付けられた検査条件がデータベースDBに登録されておらず検査条件を入手できないか、何らかの問題でサーバ7と通信できず検査条件を入手できない場合、つまり、サーバ7とオンラインで接続されていないと判断される場合、ダンパDの検査を行うことなく処理を終了する。
【0070】
制御盤4は、入手した検査条件に基づいてダンパDの検査に必要なパラメータの設定が完了すると、制御盤4に設けた図外の表示装置に検査実行を促す表示をして、検査実行指示を待つ(S5)。オペレータの制御盤4に設けられた図示しない検査開始釦の押下による信号入力を検査実行指示としており、検査開始釦の押下による信号の入力によってダンパDの検査を開始する(S6)。
【0071】
制御盤4は、ダンパDの検査条件にしたがってダンパDへ振動を与えて、ストロークセンサ2aとロードセル2bが検知したデータを順次取り込んで記憶し、検査が終了すると検査データの値がフィールドに記述されたCSVファイルを検査データとして生成する(S7)。なお、制御盤4は、ダンパDの検査にあたって、温度センサ2c,2dが検知した温度についても取り込んで、CSVファイルのフィールドに記述する。また、検査条件が振動パターンを複数回に亘ってダンパDに与えることを指示している場合、検査装置Iは、ダンパDを指示する回数の加振を行って、ストロークセンサ2aとロードセル2bが検知した値をフィールドに記述したCSVファイルを検査データとして生成する。
【0072】
制御盤4は、CSVファイルを生成したら、サーバ7へCSVファイル化された検査データを送信する(S8)。サーバ7は、検査データを受け取ると、検査データを記憶するとともに、外部サーバ10へ送信する(S9)。外部サーバ10は、CSVファイル化された検査データを受け取ると、検査を行ったダンパDに関連付けされた顧客のフォルダに検査データを格納する(S10)。
【0073】
つづいて、図8に示したフローチャートを用いて、利用者端末8からサーバ7のデータベースDBにアクセスする場合における利用者端末8とサーバ7の動作について説明する。利用者端末8は、オペレータの入力装置8dの操作によってデータベースDBへのアクセスを指示する命令を受け取ると、データベースDBの閲覧、データベースDBへのデータの登録・データの書換・削除といったデータベースDBを変更する操作を可能とするアプリケーションプログラムを起動する。そして、利用者端末8は、オペレータのIDとパスワードの入力欄を表示装置8eの画面に表示して、オペレータのIDとパスワードの入力を求める(S21)。
【0074】
オペレータによるIDとパスワードの入力がなされて入力装置8dにおける実行キーが押下されると、利用者端末8は、入力されたIDとパスワードとが関連付けされて記憶されているファイルを参照し、IDとパスワードが正しいか否かを判断する(S22)。S22の判断の結果、IDとパスワードが正しい場合、IDとデータベースDBの操作権限とが関連付けされて記憶されているファイルを参照し、オペレータに与えられている権限を認識する(S23)。S22の判断の結果、IDのパスワードが誤っている場合、表示装置8eの画面にID或いはパスワードに誤りがある旨を表示し、S21の処理へ戻る。
【0075】
オペレータのデータベースDBへのアクセス権限が認められた場合、利用者端末8は、サーバ7へデータベースDBの転送を要求し(S24)、サーバ7は、転送要求のあったデータベースDBを利用者端末8へ送信する(S25)。利用者端末8は、受信したデータベースDBを読み込んでデータベースDBに登録されているデータを表示装置8eに表示させ(S26)、オペレータの閲覧に供する。利用者端末8は、オペレータからデータベースDBについての閲覧以外の操作指示が権限内の操作である場合にはこれを受け付け、権限外である場合には操作を受け付けない。なお、データベースDBへのデータの新規登録、データの書換、データの削除の指示を表示装置8eの画面上に表示された釦によって行うような場合、権限が与えられていない操作を指示する釦を表示しないか押せないようにしてもよい。
【0076】
オペレータがデータベースDBの変更を行った場合、利用者端末8は、変更されたデータベースDBのデータをサーバ7へアップロードし(S27)、サーバ7はアップロードされたデータベースDBを上書きして保存する(S28)。サーバ7は、利用者端末8によるデータベースDBの読み込み操作やデータベースDBのアップロード操作が行われた際に、都度、少なくとも操作内容を含むデータログを作成して記憶して、データベースDBの変更操作を事後確認できるようにしてもよい。なお、データログには、操作内容の他、日時、オペレータのID、パスといった情報が含まれてもよい。
【0077】
利用者端末8は、オペレータの入力装置8dの操作によってアプリケーションプログラムの実行を終了させる指示を受け取ると、アプリケーションソフトを終了処理する(S29)。
【0078】
データベースDBへの検査条件の登録は、前述したように、利用者端末8からデータベースDBから操作権限が与えられたオペレータのみが行うので、権限のないオペレータが検査条件を変更できないようになっている。このように本実施の形態の検査システムSでは、権限が認められた場合のみ、利用者端末8からのデータベースDBの変更が受け付けられ、権限が認められない場合にはデータベースDBの変更が認められない。よって、本実施の形態の検査システムSによれば、利用者端末8からデータベースDB上の検査条件の変更を容易には行えず、人為的なミスによる検査条件の変更を防止できる。
【0079】
つづいて、図9に示したフローチャートを用いて、監査機関端末12から外部サーバ10の検査データにアクセスする場合における監査機関端末12と外部サーバ10の動作について説明する。監査機関端末12は、オペレータの入力装置12dの操作によって外部サーバ10に記憶されている検査データが格納されているフォルダへアクセスを指示する命令を受け取ると、検査データの閲覧を可能とするを起動する。そして、監査機関端末12は、オペレータのIDとパスワードの入力欄を表示装置12eの画面に表示して、オペレータのIDとパスワードの入力を求める(S31)。
【0080】
オペレータによるIDとパスワードの入力がなされて入力装置12dにおける実行キーが押下されると、監査機関端末12は、入力されたIDとパスワードとを外部サーバ10へ送信する(S32)。
【0081】
外部サーバ10は、IDとパスワードとが関連付けされて記憶されているファイルを参照し、IDとパスワードが正しいか否かを判断する(S33)。S32の判断の結果、IDとパスワードが正しい場合、外部サーバ10は、フォルダ情報を監査機関端末12へ送信する(S34)。監査機関端末12は、フォルダ情報を受け取るとフォルダ内に格納されている検査データの一覧を表示装置12eの画面に表示し(S35)、オペレータの検査データへの閲覧やダウンロードの操作を受け付ける。監査機関端末12から検査データの閲覧やダウンロードが要求されると(S36)、外部サーバ10は、要求に応じて検査データを監査機関端末12へ送信する(S37)。監査機関端末12は、検査データを受け取ると、オペレータの要求に応じて検査データを表示装置12eの画面に表示させたり、記憶装置12bに記憶させる(S38)。
【0082】
なお、外部サーバ10は、IDとパスワードとが間違っている場合、監査機関端末12からのフォルダへのアクセスを認めず、処理を終了する。また、外部サーバ10は、アクセスを許可しないフォルダについては監査機関端末12に表示されないように制御してもよいし、検査データ毎にアクセス権限の有無を判断するようにしてもよい。
【0083】
また、外部サーバ10は、監査機関端末12による検査データの操作が行われた際に、都度、少なくとも操作内容を含むデータログを作成して記憶する(S39)。外部サーバ10は、監査機関端末12からの操作か否かを問わず、検査データへの何らかの操作があると、必ずデータログを生成して記憶する。データログには、操作内容の他、日時、オペレータのID、パスといった情報が含まれてもよい。
【0084】
なお、本実施の形態では、外部サーバ10側でオペレータのIDとパスワードの正誤を判断して検査データのアクセスの可否を制御しているが、監査機関端末12側でオペレータのIDとパスワードの正誤を判断して、監査機関端末12側でオペレータの検査データへのアクセスを制限してもよい。
【0085】
監査機関端末12は、オペレータの入力装置12dの操作によって検査データのファイルの閲覧終了する指示を受け取ると、アプリケーションプログラムの終了処理を行う。この終了処理は、割り込み処理として実行される。
【0086】
以上のように、検査システムSは、以上のように動作して、データベースDBに登録された検査条件にしたがって検査装置Iがダンパ(検体)Dの検査を行う度に、検査データを外部サーバ10に記憶させ、監査機関端末12で検査データの閲覧が可能となる。
【0087】
前述したように、本実施の形態の検査システムSは、構造物の免震或いは制振に利用されるダンパ(検体)Dを所定の検査条件で検査する検査装置Iと、ダンパ(検体)D上に表示されたダンパ(検体)Dを識別する識別情報を読み取る読取装置Rと、ダンパ(検体)Dの識別情報とダンパ(検体)Dの検査条件とを関連付けられて登録されるとともに検査装置Iによる変更を許容しないデータベースDBとを備え、検査装置Iが読取装置Rで読み取られたダンパ(検体)Dの識別情報に関連付けされた検査条件をデータベースから読み込んで、読み込んだ検査条件に基づきダンパ(検体)Dの検査を行う。
【0088】
また、本実施の形態の検査方法では、構造物の免震或いは制振に利用されるダンパ(検体)Dを識別する識別情報を読取装置Rが読み取る過程と、読み取った識別情報に基づいてサーバ7に予め記憶されている検査条件を検査装置Iが入手する過程と、検査条件にしたがってダンパ(検体)Dを検査する過程と、ダンパ(検体)Dを検査して得られた検査データをサーバ7へアップロードする過程とを備えている。
【0089】
このように構成された検査システムSおよび検査方法では、ダンパ(検体)Dの識別情報が一度読み込まれると、人が介入せずに検査条件の設定が自動的に行われて、ダンパ(検体)Dの検査が実行されるので、人為的な検査条件の変更がなされる恐れがない状態でダンパ(検体)Dの検査を実行できる。
【0090】
よって、本実施の形態の検査システムSおよび検査方法によれば、予めデータベースDBに正しい検査条件を入力しておけば、ダンパ(検体)Dの検査に当たり、都度、検査装置Iに検査条件をオペレータが入力する必要がないので、免震或いは制振に供されるダンパ(検体)Dの検査において人為的ミスを防止して適正な検査を実行できる。
【0091】
また、本実施の形態の検査システムSでは、データベースDBを記憶するサーバ7を備え、検査装置Iとサーバ7とが通信可能とされており、検査装置Iがサーバ7とオンライン状態である場合にのみダンパ(検体)Dの検査を行ってもよい。このように構成された検査システムSによれば、検査装置Iとサーバ7とがオンライン状態でなっていて検査条件がデータベースDBから得られない限りダンパ(検体)Dの検査が行われないので、人為的ミスの発生を防止でき、誤った検査条件で検査が行われてしまうリスクをより一層低減できる。
【0092】
さらに、本実施の形態の検査システムSでは、検査装置Iがダンパ(検体)Dの検査を終了すると検査データをサーバ7へアップロードするので、人を介さずに検査データが自動的にサーバ7へ送信されて記録される。よって、本実施の形態の検査システムSによれば、検査結果が人為的なミスによって変更されることなくサーバ7に記録されるので、検査データへのアクセスに認証を必要としたり、パスワードを設定するようにして、検査データの改竄を防止して検査データの信用性を向上できる。また、サーバ7で検査データが送信されると、サーバ7がCSVファイルのハッシュコードを求めて記憶しておけば、検査データが変更された際には変更後のCSVファイルのハッシュコードと突き合せれば変更の有無を確認できるので、検査データの信憑性を向上できる。
【0093】
さらに、本実施の形態の検査システムSでは、サーバ7が監査機関に設置される監査機関端末12と通信回線11を介して接続することで、監査機関端末12のオペレータは検査データに検査装置Iが生成した人為的な変更がなされていない検査データを閲覧やダウンロードを可能としてもよい。よって、このように構成された検査システムSによれば、検査条件の人為的な変更のない検査の実行が可能であるだけでなく、ダンパ(検体)Dの検査結果を監査する監査機関で変更の恐れのない検査データを入手できるから、監査機関の担当者による検査への立会いを要せずに適切な検査を実行できるとともに、適正な監査を行うことができる。
【0094】
また、本実施の形態の検査システムSでは、サーバ7に検査データがアップロードされると、サーバ7が監査機関に設置される監査機関端末12と通信回線11を介して接続可能な外部サーバ10へ検査データをアップロードする。このように構成された検査システムSによれば、検査条件の人為的な変更のない検査の実行が可能であるだけでなく、ダンパ(検体)Dの検査結果を監査する監査機関で変更の恐れのない検査データを入手できるから、監査機関の担当者による検査への立会いを要せずに適切な検査を実行できるとともに、適正な監査を行うことができる。さらに、監査機関端末12と通信回線11を介して接続される外部サーバ10に検査データを隔離できるので、検査データが人為的なミスによって変更される危険性を低減できる。
【0095】
本実施の形態の検査システムSでは、外部サーバ10が検査データを受け取ると検査データをダンパ(検体)Dの顧客毎に用意されてアクセスに認証が必要なフォルダに格納する。このように構成された検査システムSによれば、監査機関端末12のオペレータが担当しないダンパ(検体)Dの検査データにアクセスするのを防止でき、また、異なる複数の監査機関に監査機関端末12を設置する場合、監査機関が担当しないダンパ(検体)Dの検査データへアクセスするのを防止できる。よって、本実施の形態の検査システムSでは、監査を担当しないダンパ(検体)Dの検査データをオペレータが誤って監査するというミスも防止できる。なお、フォルダは、顧客以外の情報に基づいて作成されもよく、検査データの振り分けルールを予め設定しておき、アクセスに認証が必要であって当該振り分けルールに基づいて用意されるフォルダにダンパ(検体)Dの検査データを格納してもよい。このようにしても、監査機関端末12のオペレータが担当しないダンパ(検体)Dの検査データにアクセスするのを防止でき、また、異なる複数の監査機関に監査機関端末12を設置する場合、監査機関が担当しないダンパ(検体)Dの検査データへアクセスするのを防止できる。
【0096】
また、本実施の形態の検査システムSでは、サーバ7が検査データおよびデータベースDBの変更が行われた場合、データログを生成して記憶するので、検査データおよびデータベースDBの監視が可能となり、これらの変更が行われた場合に速やかに確認でき、変更が行われた検査データの特定も可能となる。なお、外部サーバ10においても検査データの変更が行われた場合、データログを生成して記憶してもよく、この場合も、検査データおよびデータベースDBの監視が可能となり、これらの変更が行われた場合に速やかに確認でき、変更が行われた検査データの特定も可能となる。
【0097】
なお、検査データが検査対象であるダンパDの検査結果であることの信頼度をより高めるために、サーバ7は、検査装置Iから検査データを受け取ると、CSVファイルとして生成された検査データのハッシュコードを生成し、検査装置Iに取り付けられたダンパ(検体)Dと、ダンパ(検体)D上に表示されている製造番号と、前記ハッシュコードとを含む画像データを記憶してもよい。一実施の形態の一変形例における検査システムS1は、図10に示すように、前記信頼度の向上のため前述した検査システムSの構成に加えて、検査装置Iの設置個所にある検査作業者端末13とカメラ14を備える。
【0098】
検査作業者端末13は、図11に示すように、コンピュータシステムであり、演算処理装置13aと、検査作業者端末13の制御に必要なプログラムを記憶するとともに演算処理装置13aが当該プログラムの実行に必要となる記憶領域を提供する記憶装置13bと、サーバ7との通信を可能とするインターフェース13cと、キーボードやマウスといった入力装置13dと、表示装置13eと、プリンター13fと、これら装置を互いに通信可能に接続するバス13gとを備えている。
【0099】
演算処理装置13aは、演算処理を行うCPU等であって、オペレーティングシステムおよび他のプログラムの実行によって検査作業者端末13の各部の制御を行う。記憶装置13bは、ROMおよびRAMを備える他、ハードディスクを備えている。インターフェース13cは、サーバ7との間で情報を交換できるように、プロトコルに従って通信される情報を変換する。表示装置13eは、演算処理装置13aが処理したデータ等を表示する画面を備えており、たとえば、液晶ディスプレイ等である。また、検査作業者端末13は、サーバ7から送信されるハッシュコードから二次元コードを生成してプリンター13fで紙媒体に二次元コードを印刷するためのアプリケーションプログラムを記憶装置13bに記憶している。
【0100】
検査作業者端末13は、インターフェース7c,13cを介してサーバ7と通信可能とされており、演算処理装置13aのプログラムの実行によって検査作業者端末13の各部が制御され、サーバ7と情報のやり取りを行う。
【0101】
カメラ14は、ハッシュコードをコード化して得た二次元コードを撮影すると、二次元コードを読み取って、撮影した画像に読み取ったハッシュコードを表示するようになっている。つまり、カメラ14は、二次元コードを画像処理してハッシュコードを読み取る機能を備えており、撮影した画像上にハッシュコードを記載する。
【0102】
以下、検査システムS1におけるサーバ7、外部サーバ10および検査作業者端末13の動作を図12に示したフローチャートを用いて説明する。検査装置IにおけるダンパDの検査が終了して制御盤4から検査データであるCSVファイルを受け取ると、サーバ7は、CSVファイルからハッシュ関数を利用してハッシュコードを求める(S41)。
【0103】
サーバ7は、求めたハッシュコードを検査装置Iの設置個所にある検査作業者端末13へ送信する(S42)。検査作業者端末13は、ハッシュコードを受領するとハッシュコードを二次元コード化し、プリンター13fで二次元コードを紙媒体に印刷して出力する(S43)。なお、二次元コードの作成と印刷については、検査作業者端末13がハッシュコードの受け取りをトリガとして自動的に処理を行ってもよいし、オペレータからの指示を受けて検査作業者端末13が処理を行ってもよい。
【0104】
二次元コードが紙媒体に印刷されると、検査装置Iのオペレータは、検査が終了後の検査装置Iに取り付けらたままの状態のダンパDを、ダンパD上に表示されている製品番号が確認可能となるように、二次元コードと検査装置本体1ともにカメラ14で撮影する。なお、オペレータは、ダンパDと二次元コード以外に時計や気温計をともに撮影してもよい。カメラ14と検査作業者端末13とを接続して、このようにカメラ14で撮影された画像データを検査作業者端末13からサーバ7へ送信する(S44)。画像データがサーバ7に送信されると、サーバ7は、今回の検査で得られた検査データが格納されているフォルダに画像データを格納するとともに、外部サーバ10に画像データを送信する(S45)。
【0105】
画像データを受け取った外部サーバ10は、サーバ7と同様に今回の検査で得られた検査データが格納されているフォルダに画像データを格納する(S46)。外部サーバ10に記憶されている画像データは、アクセスが認められる場合に監査機関端末12で閲覧、ダウンロードできる。
【0106】
このように構成された検査システムS1では、サーバ7が検査データを受け取ると、検査データからハッシュコードを生成し、検査装置Iに取り付けられたダンパ(検体)Dと、ダンパ(検体)Dの製造番号と、ハッシュコードとを含む画像データを記憶する。このように構成された検査システムS1によれば、検査終了後に検査装置Iから自動的に送信される検査データのハッシュコードを求めて、求めたハッシュコードと画像上のハッシュコードとが同一であるか否かを確認すれば、検査データが変更されているか否かを確認できる。また、検査装置Iに取り付けられているダンパ(検体)Dと、このダンパ(検体)Dの製品番号と、ハッシュコードとを一つの画像で確認できるので、検査に立ち会わずとも監査機関の担当者は、実際に検査されたダンパ(検体)Dが検査に供されて検査データが取得されたことを確認できる。よって、このように構成された検査システムS1によれば、検査データが検査対象であるダンパ(検体)Dの検査結果であることの信頼度を向上できる。なお、画像データには、時計や気温計も含まれていると、画像上の時刻や気温と検査データの時刻や気温とが一致しているかを確認できるので、前記した信頼度がより一層向上する。
【0107】
また、本実施の形態の検査システムS1では、サーバ7が検査データを受け取ると、検査データからハッシュコードを生成し、検査装置Iに取り付けられたダンパ(検体)Dと、ダンパ(検体)Dの製造番号と、ハッシュコードとを含む画像データを外部サーバ10へアップロードする。このように構成された検査システムS1によれば、検査データが検査対象であるダンパ(検体)Dの検査結果であることの信頼度を向上できるだけでなく、監査機関端末12と通信回線11を介して接続される外部サーバ10に画像データを隔離できるので、画像データについても人為的なミスによって変更される危険性を低減でき、前記信頼度をより一層向上できる。
【0108】
なお、ハッシュコードを二次元コードとして紙媒体に印刷して、二次元コードを読み取ってハッシュコードを画像上に表示して画像データを生成するカメラ14を用いると、ダンパ(検体)Dとハッシュコードとが含まれる画像を一時に生成できるので、前記した信頼度がより一層向上する。
【0109】
カメラ14で二次元コードを読み取るのではなく、ダンパ(検体)Dを撮影した画像データがサーバ7に送信されると、サーバ7が検査データから求めたハッシュコードが画像に表示されるように画像データを加工して、当該画像データを記憶してもよく、当該画像データを外部サーバ10へ送信してもよい。このようにしても検査データのハッシュコードがダンパ(検体)Dと製品番号とが撮影された画像上に表示されるようになるので、検査データの信頼度が向上する。
【0110】
また、画像データをサーバ7で受領しない場合、サーバ7が制御盤4からのデータベースDBへアクセスを許可せず、次の検査を行えないようにすれば、検査データが得られる度に検査データに紐づけされる画像データが記憶されるようになるので、より一層信頼度が向上する。
【0111】
カメラ14は、検査装置Iに固定的に設置されていて制御盤4に通信可能に接続されて、検査が終了すると検査装置Iに取り付けられた状態のダンパDと、ダンパDの製造番号とを被写体として自動的に撮影してもよい。この場合、カメラ14が撮影した画像データを制御盤4がサーバ7へ送信し、サーバ7が検査データのハッシュコードを求めて、画像上にハッシュコードが表示されるように画像データを加工して記憶し、外部サーバ10へ加工済みの画像データを送信するようにしてもよい。この場合、ダンパDの撮影が検査終了後に自動的に行われてサーバ7へ送信されるので、画像データの生成、加工について人的操作が行われる余地がなく、検査データの信頼度を向上できる。この場合、カメラ14は、二次元コードを読み取る機能を持たずともよく、画像データの送信や二次元コードの印刷が不要となるので検査作業者端末13も省略できる。
【0112】
以上、検査システムS,S1について説明したが、本実施の形態では、データベースDBはサーバ7に記憶されている態様となっていたが、検査装置Iの制御盤4がデータベースDBの一部または全部を記憶していてもよい。たとえば、ダンパDの型式によって検査条件が一義的に決まっているような場合に、ダンパDの型式とこの型式に関連付けされた検査条件とが登録された一覧をデータベースDBの一部として制御盤4に記憶させておき、サーバ7へのアクセスを要せずに検査装置IのみでダンパDの検査が行えるようにしてもよい。また、外部サーバ10を省略して、監査機関端末12が通信回線11を通じてサーバ7の検査データに直接アクセスできるようにしてもよい。その場合には、サーバ7は、前述した外部サーバ10と監査機関端末12の情報のやり取りと処理のうち、外部サーバ10における動作を行えばよい。また、本実施の形態では、検体をダンパDとしているが、検体は、構造物の免震或いは制振に利用されるものであればよく、油圧利用のダンパDの他にも、免震ゴム、粘弾性ダンパ、鋼材ダンパや摩擦ダンパといった構造物の免制振に利用される検体の検査に検査システムS,S1を利用できる。
【0113】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0114】
7・・・サーバ、8・・・利用者端末、10・・・外部サーバ、12・・・監査機関端末、D・・・ダンパ(検体)、DB・・・データベース、I・・・検査装置、R・・・読取装置、S,S1・・・検査システム
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