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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】基板処理装置およびブラシ収納容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231018BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
H01L21/304 644B
H01L21/304 644C
H01L21/304 622Q
B08B3/04 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019176702
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021057371
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】西田 崇之
(72)【発明者】
【氏名】石井 淳一
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-181024(JP,A)
【文献】特開2018-049909(JP,A)
【文献】特開平11-285671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、
ブラシを有し、前記基板保持部に保持された前記基板を前記ブラシで処理するブラシ処理部と、
前記ブラシに含有される液体の量を調整するブラシ含有液調整部と
を備える、基板処理装置であって、
前記ブラシ含有液調整部は、
洗浄液を貯留する容器と、
前記容器内に前記ブラシを密閉した状態で前記容器内の気圧を変化させる気体流通部と
を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記気体流通部は、前記容器内の気圧を大気圧よりも低下させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記気体流通部は、前記容器内の気圧を大気圧よりも増加させる、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記容器には貫通孔が設けられており、
前記気体流通部は、
前記貫通孔に接続する配管と、
前記配管内の気体の流れを調整するバルブと
を有する、請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ブラシ含有液調整部は、前記容器内に洗浄液を流通させる洗浄液流通部をさらに有する、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板保持部に保持された前記基板にリンス液を供給するリンス液供給部をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記容器には前記洗浄液として前記リンス液が供給される、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記ブラシ処理部は、
前記ブラシを保持するホルダと、
前記ホルダの取り付けられたアームと、
前記アームを移動させる移動部と
をさらに有し、
前記アームが前記容器と当接することによって、前記ブラシは、前記容器内で密閉される、請求項1から7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
ブラシを密閉して収容する筐体と、
前記筐体内で前記ブラシを密閉した状態で前記筐体内の気圧を変化させるための気体流通部と
を備える、ブラシ収納容器。
【請求項10】
前記気体流通部は、前記筐体の内部の気圧を大気圧より低下させ、その後、前記筐体の内部の前記気圧を前記大気圧に戻す、請求項9に記載のブラシ収納容器。
【請求項11】
前記気体流通部は、前記筐体の内部に気体を流入させ、前記筐体の内部の気圧を増加させる、請求項9に記載のブラシ収納容器。
【請求項12】
前記筐体は、
洗浄液を貯留する容器と、
前記容器と係合する蓋と
を有する、請求項9から11のいずれかに記載のブラシ収納容器。
【請求項13】
前記筐体には貫通孔が設けられており、
前記気体流通部は、
前記貫通孔に接続する配管と、
前記配管内の気体の流れを調整するバルブと
を有する、請求項9から12のいずれかに記載のブラシ収納容器。
【請求項14】
前記筐体内の洗浄液を流通させるための洗浄液流通部をさらに備える、請求項9から13のいずれかに記載のブラシ収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置およびブラシ収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する基板処理装置が知られている。例えば、基板処理装置は半導体基板またはガラス基板の製造に用いられる。典型的には、基板の加工時に生成した不純物、汚れまたはパーティクルは、洗浄によって除去される。基板を充分に洗浄するために、ブラシでスクラブすることがある。しかしながら、ブラシで基板を洗浄するとブラシが汚れるため、このブラシで別の基板を洗浄すると、基板が反対に汚れてしまうことがある。このため、基板の交換時にブラシを洗浄することが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、基板の上面および裏面を洗浄するブラシを洗浄する洗浄部材を備えた基板処理装置が記載されている。特許文献1の基板処理装置では、ブラシは、基板の交換時に、洗浄部材にまで移動して、洗浄部材において洗浄される。特許文献1の基板処理装置では、ブラシの退避位置に配置された洗浄部材においてブラシに洗浄液を供給してブラシを洗浄する。これにより、ブラシを清浄な状態に整えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2010-283393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板のブラシを洗浄した結果は、ブラシの清浄状態だけでなく、ブラシへの洗浄液の浸透状態、言い換えると、ブラシの含有液の状態にも影響を与える。このため、ブラシを使用する前には、ブラシに対する洗浄液の浸透が飽和するまでブラシを洗浄液に長期間浸漬させることが必要であった。また、ブラシを洗浄液に長期間浸漬させたとしても、ブラシの凹凸やブラシの毛の深部にまで洗浄液が到達しないこともある。このため、基板のブラシ洗浄に用いるブラシの含有液の状態を一定の状態に調整することは困難かつ長時間を要するものであった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブラシの含有液の状態を調整可能な基板処理装置およびブラシ収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板保持部と、ブラシ処理部と、ブラシ含有液調整部とを備える。前記基板保持部は、基板を保持する。前記ブラシ処理部は、ブラシを有し、前記基板保持部に保持された前記基板を前記ブラシで処理する。前記ブラシ含有液調整部は、前記ブラシに含有される液体の量を調整する。前記ブラシ含有液調整部は、洗浄液を貯留する容器と、前記容器内に前記ブラシを密閉した状態で前記容器内の気圧を変化させる気体流通部とを有する。
【0008】
ある実施形態において、前記気体流通部は、前記容器内の気圧を大気圧よりも低下させる。
【0009】
ある実施形態において、前記気体流通部は、前記容器内の気圧を大気圧よりも増加させる。
【0010】
ある実施形態において、前記容器には貫通孔が設けられており、前記気体流通部は、前記貫通孔に接続する配管と、前記配管内の気体の流れを調整するバルブとをさらに有する。
【0011】
ある実施形態において、前記ブラシ含有液調整部は、前記容器内に洗浄液を流通させる洗浄液流通部をさらに有する。
【0012】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、前記基板保持部に保持された前記基板にリンス液を供給するリンス液供給部をさらに備える。
【0013】
ある実施形態において、前記容器には前記洗浄液として前記リンス液が供給される。
【0014】
ある実施形態において、前記ブラシ処理部は、前記ブラシを保持するホルダと、前記ホルダの取り付けられたアームと、前記アームを移動させる移動部とをさらに有し、前記アームが前記容器と当接することによって、前記ブラシは、前記容器内で密閉される。
【0015】
本発明の別の局面によれば、ブラシ収納容器は、ブラシを収容する筐体と、前記筐体内で前記ブラシを密閉した状態で前記筐体内の気圧を変化させるための気体流通部とを備える。
ある実施形態において、前記気体流通部は、前記筐体の内部の気圧を大気圧より低下させ、その後、前記筐体の内部の前記気圧を前記大気圧に戻す。
ある実施形態において、前記気体流通部は、前記筐体の内部に気体を流入させ、前記筐体の内部の気圧を増加させる。
【0016】
ある実施形態において、前記筐体は、洗浄液を貯留する容器と、前記容器と係合する蓋とを有する。
【0017】
ある実施形態において、前記筐体には貫通孔が設けられており、前記気体流通部は、前記貫通孔に接続する配管と、前記配管内の気体の流れを調整するバルブとを有する。
【0018】
ある実施形態において、前記ブラシ収納容器は、前記筐体内の洗浄液を流通させるための洗浄液流通部をさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ブラシの含有液の状態を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の基板処理システムの模式図である。
図2】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図3】本実施形態の基板処理システムのブロック図である。
図4】本実施形態の基板処理装置におけるブラシ含有液調整部の模式図である。
図5】本実施形態の基板処理装置におけるブラシ含有液調整部の模式図である。
図6】(a)~(e)は、本実施形態の基板処理装置によるブラシ含有液調整処理のフローを示す模式図である。
図7】本実施形態の基板処理装置による基板処理のフロー図である。
図8】本実施形態の基板処理装置におけるブラシ含有液調整部の模式図である。
図9】(a)~(f)は、本実施形態の基板処理装置によるブラシ含有液調整処理のフローを示す模式図である。
図10】本実施形態の基板処理装置による基板処理のフロー図である。
図11】本実施形態の基板処理装置におけるブラシ含有液調整部の模式図である。
図12】(a)~(f)は、本実施形態の基板処理装置によるブラシ含有液調整処理のフローを示す模式図である。
図13】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図14】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図15】本実施形態の基板処理装置による基板処理のフロー図である。
図16】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図17】本実施形態の基板処理装置による基板処理のフロー図である。
図18】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図19】本実施形態の基板処理装置による基板処理のフロー図である。
図20】本実施形態の基板処理装置におけるブラシ含有液調整部の模式図である。
図21】本実施形態のブラシ収納容器の模式図である。
図22】本実施形態のブラシ収納容器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置およびブラシ収納容器の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0022】
まず、図1を参照して、本発明による基板処理装置1の実施形態を備えた基板処理システム100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理システム100の模式的な平面図である。
【0023】
基板処理システム100は、基板Wを処理する。基板処理システム100は、複数の基板処理装置1を備える。基板処理装置1は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0024】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板を含む。例えば、基板Wは略円板状である。
【0025】
図1に示すように、基板処理システム100は、複数の基板処理装置1に加えて、流体キャビネット100Aと、流体ボックス100Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。
【0026】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理装置1との間で基板Wを搬送する。基板処理装置1の各々は、基板Wに液体を吐出して、基板Wを処理する。液体は、リンス液および/または薬液を含む。または、液体は、他の処理液を含んでもよい。流体キャビネット100Aは、液体を収容する。なお、流体キャビネット100Aは、気体を収容してもよい。
【0027】
具体的には、複数の基板処理装置1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理装置1(図1では3つの基板処理装置1)を含む。流体ボックス100Bは、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。流体キャビネット100A内の液体は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理装置1に供給される。また、流体キャビネット100A内の気体は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理装置1に供給される。
【0028】
制御装置101は、基板処理システム100の各種動作を制御する。制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、プロセッサーを有する。制御部102は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0029】
記憶部104は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0030】
記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0031】
次に、図2を参照して、本実施形態の基板処理装置1を説明する。図2は、基板処理装置1の模式図である。
【0032】
基板処理装置1は、チャンバー110と、基板保持部120と、リンス液供給部130と、ブラシ処理部140と、ブラシ含有液調整部150とを備える。チャンバー110は、基板Wを収容する。基板保持部120は、基板Wを保持する。
【0033】
チャンバー110は、内部空間を有する略箱形状の筐体であり、チャンバー110の内部と外部とが区画される。チャンバー110には、図示しないシャッターおよびその開閉機構が設けられる。通常、シャッターは閉じてチャンバー110内外の雰囲気は遮断される。センターロボットCRにより基板Wがチャンバー110内部に搬入される際または基板Wがチャンバー110内部から搬出される際には、シャッターが開放される。チャンバー110の上部には図示しないFFUユニット(ファンフィルタユニット)が設置され、チャンバー110の上部から下方に向けてダウンフローで塵埃の除去されたエアーまたは不活性ガスが供給される。
【0034】
基板処理装置1は、基板Wを水平に保持して1枚ずつ処理する、いわゆる枚葉型であり、基板処理装置1には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー110内に収容され、チャンバー110内で処理される。チャンバー110には、基板保持部120、リンス液供給部130、ブラシ処理部140およびブラシ含有液調整部150のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0035】
基板保持部120は、基板Wを保持する。基板保持部120は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの裏面(下面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。基板保持部120は、基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。
【0036】
例えば、基板保持部120は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部120は、基板Wを裏面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部120は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部120は、非デバイス形成面である基板Wの裏面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部120は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0037】
例えば、基板保持部120は、スピンベース121と、チャック部材122と、シャフト123と、電動モーター124と、ハウジング125とを含む。チャック部材122は、スピンベース121に設けられる。チャック部材122は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース121には、複数のチャック部材122が設けられる。
【0038】
シャフト123は、中空軸である。シャフト123は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト123の上端には、スピンベース121が結合される。基板Wは、スピンベース121の上方に載置される。
【0039】
スピンベース121は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト123は、スピンベース121の中央部から下方に延びる。電動モーター124は、シャフト123に回転力を与える。電動モーター124は、シャフト123を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板Wおよびスピンベース121を回転させる。ハウジング125は、シャフト123および電動モーター124を取り囲んでいる。
【0040】
リンス液供給部130は、基板Wにリンス液を供給する。典型的には、リンス液供給部130は、基板Wの上面Waにリンス液を供給する。リンス液を用いたリンス処理により、基板Wの上面Waに付着した薬液および不純物等を洗い流すことができる。リンス液供給部130から供給されるリンス液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
【0041】
リンス液供給部130は、配管130aと、バルブ130bと、ノズル130nとを含む。ノズル130nは、基板Wの上面Waにリンス液を吐出する。ノズル130nは、配管130aに接続される。配管130aには、リンス液供給源からリンス液が供給される。バルブ130bは、配管130a内の流路を開閉する。ノズル130nは、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0042】
ブラシ処理部140は、基板Wをブラシで処理する。ブラシ処理部140によって行われる処理は、スクラブ処理とも呼ばれる。ブラシ処理部140は、基板Wの上面Waに当接して基板Wをブラシで洗浄する。典型的には、ブラシ処理部140が基板Wをブラシで洗浄する期間において、リンス液供給部130が基板Wの上面Waにリンス液を供給する。
【0043】
ブラシ処理部140は、ブラシ142と、ホルダ144と、アーム146と、移動部148とを備える。ブラシ142は、ホルダ144に保持される。ホルダ144は、アーム146に取り付けられる。移動部148は、アーム146を移動させる。
【0044】
ブラシ142は、基板Wを洗浄する。ここでは、ブラシ142は、基板Wの上面Waを洗浄する。例えば、ブラシ142は、多孔質物質から構成される。ブラシ142は、スポンジ状であってもよい。また、ブラシ142は、比較的固い樹脂から構成されてもよい。一例では、ブラシ142は、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)から構成される。または、ブラシ142は、複数の部材を組み合わせて構成されてもよい。
【0045】
あるいは、ブラシ142は、複数の毛を備えてもよい。
【0046】
例えば、ブラシ142は、疎水性であってもよい。または、ブラシ142は、半疎水性であってもよい。あるいは、ブラシ142は、親水性であってもよい。なお、ブラシ142が疎水性または半疎水性であることにより、ブラシ処理をリンス液の供給とともに行っても、ブラシ142が大きく変形することを抑制できる。
【0047】
ブラシ142の全体形状は、任意の形状であってもよい。例えば、ブラシ142は、円柱形状であってもよい。または、ブラシ142は、円筒形状であってもよい。あるいは、ブラシ142は、薄型の十字形状であってもよい。
【0048】
ホルダ144は、ブラシ142を保持する。ブラシ142は、ホルダ144に取り付けられる。ホルダ144は、アーム146の先端に取り付けられる。
【0049】
アーム146は、ケース146aと、支持軸146bと、押圧部146cとを含む。支持軸146bは、ケース146aからZ軸方向下方に突出する。支持軸146bの一部は、ケース146a内に収容される。支持軸146bの先端にホルダ144が取り付けられる。
【0050】
押圧部146cは、ケース146a内に収容される。押圧部146cは、支持軸146bを介してホルダ144およびブラシ142をZ軸方向下方に押圧する。このため、ブラシ142が基板Wに当接した状態で押圧部146cがブラシ142を押圧することにより、ブラシ142は、基板Wをスクラブ処理できる。
【0051】
押圧部146cは、支持軸146bをZ軸方向に沿って上下移動させるアクチュエータを含む。例えば、押圧部146cは、エアシリンダを含む。
【0052】
移動部148は、アーム146を移動させる。移動部148により、ブラシ142は、基板Wに当接する基板当接位置と、基板Wから離れた退避位置との間を移動する。ブラシ含有液調整部150は、退避位置に配置される。移動部148により、ブラシ142は、基板Wの上面Waからブラシ含有液調整部150にまで移動する。ブラシ142は、ブラシ含有液調整部150において含有液の量を調整される。なお、ブラシ142は、ブラシ含有液調整部150において洗浄されてもよい。また、移動部148により、ブラシ142は、ブラシ含有液調整部150の配置された退避位置から基板Wの上面Waにまで移動する。
【0053】
移動部148は、アーム146を水平方向に移動させる水平移動部148aと、アーム146を鉛直方向に移動させる鉛直移動部148bとを含む。水平移動部148aは、アーム146をXY平面内のいずれかの方向に移動させる。また、鉛直移動部148bは、アーム146をZ軸方向に移動させる。
【0054】
ブラシ含有液調整部150は、ブラシ142に含有される液体の量を調整する。ブラシ含有液調整部150は、ブラシ142の退避位置に配置される。
【0055】
ブラシ含有液調整部150は、容器152と、気体流通部154とを含む。容器152には、洗浄液が貯留される。気体流通部154は、容器152内にブラシ142を密閉した状態で容器152内の気圧を変化させる。これにより、ブラシ142に洗浄液を充分に浸透させることができ、ブラシ142に含有される液体の量を調整できる。
【0056】
例えば、洗浄液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
【0057】
また、洗浄液は、いわゆる薬液であってもよい。例えば、洗浄液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)を含んでもよい。または、洗浄液は、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を含んでもよい。
【0058】
なお、洗浄液は、リンス液供給部130において供給されるリンス液と同じものであってもよい。あるいは、洗浄液は、リンス液供給部130において供給されるリンス液と異なるものであってもよい。
【0059】
容器152は、有底の筒形状である。容器152は、内部に洗浄液を貯留する。
【0060】
容器152には、ブラシ142が収容される。容器152には、ブラシ142とともにホルダ144も収容されてもよい。容器152は、密閉状態でブラシ142を収容する。容器152は、ブラシ処理部140のアーム146と当接して密閉状態を形成してもよい。
【0061】
貫通孔152pは、容器152に設けられる。貫通孔152pは、容器152の一部を貫通する。貫通孔152pは、容器152の内部と連絡する。
【0062】
気体流通部154は、容器152の内部空間と連通する。気体流通部154は、密閉状態の容器152の内部と外部とを流通する。例えば、気体流通部154は、容器152内の気体を排出する。これにより、気体流通部154は、容器152内の気圧を大気圧よりも低下させる。あるいは、気体流通部154は、容器152内に気体を供給する。これにより、気体流通部154は、容器152内の気圧を大気圧よりも増加させる。
【0063】
気体流通部154は、配管155と、バルブ156とを含む。配管155は、容器152に取り付けられる。ここでは、配管155の一端は、貫通孔152pと連絡する。バルブ156は、配管155内の流路を開閉する。
【0064】
基板処理装置1は、カップ180をさらに備える。カップ180は、基板Wから飛散した液体を回収する。カップ180は昇降する。例えば、カップ180は、リンス液供給部130が基板Wにリンス液を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ180は、基板Wの回転によって基板Wから飛散するリンス液を回収する。
【0065】
また、カップ180は、リンス液供給部130が基板Wにリンス液を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。あるいは、カップ180は、リンス液供給部130が基板Wにリンス液を供給した後のスピンドライの期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
【0066】
上述したように、制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、基板保持部120、リンス液供給部130、ブラシ処理部140、ブラシ含有液調整部150および/またはカップ180を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター124、バルブ130b、押圧部146c、移動部148、バルブ156およびカップ180を制御する。
【0067】
なお、リンス液供給部130のノズル130nは移動可能であってもよい。ノズル130nは、制御部102によって制御される移動機構にしたがって水平方向および/または鉛直方向に移動できる。なお、本明細書において、図面が過度に複雑になることを避けるために移動機構を省略することがあることに留意されたい。
【0068】
本実施形態の基板処理装置1は、半導体の設けられた半導体装置の作製に好適に用いられる。基板処理装置1は、半導体装置の製造時に、半導体装置の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
【0069】
次に、図1図3を参照して、本実施形態の基板処理システム100を説明する。図3は、基板処理システム100のブロック図である。
【0070】
図3に示すように、制御装置101は、基板処理装置1の各種動作を制御する。制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120、リンス液供給部130、ブラシ処理部140、ブラシ含有液調整部150およびカップ180を制御する。具体的には、制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120、リンス液供給部130、ブラシ処理部140およびブラシ含有液調整部150に制御信号を送信することによって、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部120、リンス液供給部130、ブラシ処理部140、ブラシ含有液調整部150およびカップ180を制御する。
【0071】
具体的には、制御部102は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0072】
制御部102は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数のチャンバー110のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wをチャンバー110から受け取って、基板Wを搬出する。
【0073】
制御部102は、基板保持部120を制御して、基板Wの回転の開始、回転速度の変更および基板Wの回転の停止を制御する。例えば、制御部102は、基板保持部120を制御して、基板保持部120の回転数を変更することができる。具体的には、制御部102は、基板保持部120の電動モーター124の回転数を変更することによって、基板Wの回転数を変更できる。
【0074】
制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを制御して、バルブ130bの状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを制御して、バルブ130bを開状態にすることによって、ノズル130nに向かって配管130a内を流れるリンス液を通過させることができる。また、制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを制御して、バルブ130bを閉状態にすることによって、ノズル130nに向かって配管130a内を流れるリンス液の供給を停止させることができる。
【0075】
制御部102は、押圧部146cが支持軸146bをZ軸方向に沿って移動させるように制御する。これにより、制御部102は、支持軸146bの先端に取り付けられたブラシ142を基板Wに当接させて基板Wを押圧できる。
【0076】
制御部102は、移動部148がアーム146を水平方向および/または垂直方向に移動させるように制御する。これにより、制御部102は、アーム146の先端に取り付けられたブラシ142を基板Wの上面Waで移動させることができる。また、制御部102は、アーム146の先端に取り付けられたブラシ142を基板当接位置と退避位置との間で移動させることができる。
【0077】
また、制御部102は、ブラシ含有液調整部150のバルブ156を制御して、バルブ156の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、ブラシ含有液調整部150のバルブ156を制御して、バルブ156を開状態にすることによって、配管155内に気体を流通させることができる。また、制御部102は、ブラシ含有液調整部150のバルブ156を制御して、バルブ156を閉状態にすることによって、配管155内の気体の流通を停止させることができる。
【0078】
また、制御部102は、カップ180を移動できる。具体的には、制御部102は、カップ180を制御して、カップ180を鉛直方向に上昇させることによって、カップ180の位置を基板保持部120の側方に移動できる。一方、制御部102は、カップ180を制御して、カップ180を鉛直方向に下降させることによって、カップ180の位置を退避位置に移動することができる。
【0079】
本実施形態の基板処理装置1は、半導体装置を作製するために好適に用いられる。例えば、基板処理装置1は、半導体装置として用いられる基板Wを処理するために好適に利用される。
【0080】
次に、図1図4を参照して、本実施形態の基板処理装置1におけるブラシ含有液調整部150を説明する。図4は、ブラシ含有液調整部150の模式図である。
【0081】
図4に示すように、ブラシ含有液調整部150は、容器152と、気体流通部154とを備える。容器152は、内部空間ISを規定する。内部空間ISの大部分は、容器152に囲まれるが、内部空間ISは、容器152の上方から外部と連絡する。
【0082】
容器152は、底部152aと、側部152bと、上部152cとを含む。底部152aは、水平方向に延びる。側部152bは、底部152aの端部から鉛直上方(Z軸方向)に延びる。上部152cは、側部152bの上端から水平方向に延びる。なお、上部152cには、開口部152dが設けられる。内部空間ISは、底部152aと、側部152bと、上部152cとによって囲まれる。容器152の内部空間IS内に、洗浄液Lwが貯留される。
【0083】
ここでは、容器152には、貫通孔152pが設けられる。一例では、貫通孔152pは、側部152bに設けられる。このため、容器152の内部と外部とは、側部152bの貫通孔152pを介して連絡する。
【0084】
例えば、洗浄液Lwは、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
【0085】
また、洗浄液Lwは、いわゆる薬液であってもよい。例えば、洗浄液Lwは、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)を含んでもよい。または、洗浄液Lwは、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を含んでもよい。
【0086】
貫通孔152pは、容器152に設けられる。貫通孔152pは、容器152の一部を貫通する。貫通孔152pは、容器152の内部と連絡する。
【0087】
容器152は、洗浄液Lwを貯留する。なお、貫通孔152pは、洗浄液Lwの上限よりも高い位置に配置される。後述するように、洗浄液Lwにはブラシ142が浸漬されるが、貫通孔152pは、ブラシ142の浸漬された洗浄液Lwの上限よりも高い位置に配置される。
【0088】
気体流通部154は、容器152の内部空間ISと連通しており、容器152の内部空間ISの気体を流通する。例えば、気体流通部154は、容器152の内部の気体を容器152の外部に流出する。あるいは、気体流通部154は、容器152の外部の気体を容器152の内部に流入する。
【0089】
気体流通部154は、配管155と、バルブ156とを含む。配管155は、容器152に取り付けられる。ここでは、配管155の一端は、貫通孔152pと連絡する。また、配管155の他端は、気圧調整源160に接続される。
【0090】
気圧調整源160は、配管155内の気体を排出するか、または、配管155に気体を供給する。例えば、気圧調整源160は、気体を排出する排気装置であってもよい。あるいは、気圧調整源160は、気体を供給する気体供給装置であってもよい。例えば、気圧調整源160は、図1に示した流体キャビネット100Aまたは流体ボックス100Bに配置されてもよい。バルブ156は、配管155内の流路を開閉する。
【0091】
上述したように、気圧調整源160は、排気装置であってもよい。この場合、気圧調整源160は、容器152内の気体を排出する。
【0092】
次に、図5を参照して、本実施形態の基板処理装置1におけるブラシ含有液調整部150を説明する。図5は、ブラシ含有液調整部150の模式図である。図5のブラシ含有液調整部150は、気体流通部154が、排気部154aと開放部154bとを備える点を除き、図4を参照して上述したブラシ含有液調整部150と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0093】
容器152には、貫通孔152p1および貫通孔152p2が設けられる。ここでは、貫通孔152p1および貫通孔152p2は、容器152の側部152bに設けられる。このため、容器152の内部と外部とは、側部152bの貫通孔152p1および貫通孔152p2を介して連絡する。
【0094】
容器152は、洗浄液Lwを貯留する。なお、貫通孔152p1および貫通孔152p2は、洗浄液Lwの上限よりも高い位置に配置される。後述するように、洗浄液Lwにはブラシ142が浸漬されるが、貫通孔152p1および貫通孔152p2は、ブラシ142の浸漬された洗浄液Lwの上限よりも高い位置に配置される。
【0095】
気体流通部154は、排気部154aと、開放部154bとを備える。排気部154aは、容器152内の気体を排出する。また、開放部154bは、容器152の内部を大気に開放し、容器152の内部の圧力を大気圧に戻す。
【0096】
排気部154aは、排気配管155aと、排気バルブ156aとを含む。ここでは、排気配管155aの一端は、貫通孔152p1と連絡しており、排気配管155aの他端は、排気装置162に接続する。例えば、排気装置162は、図1に示した流体キャビネット100Aまたは流体ボックス100Bに配置されてもよい。
【0097】
排気バルブ156aは、排気配管155aに取り付けられる。排気バルブ156aは、排気配管155a内の流路を開閉する。
【0098】
開放部154bは、開放配管155bと、開放バルブ156bとを含む。ここでは、開放配管155bの一端は、貫通孔152p2と連絡しており、開放配管155bの他端は、大気に開放される。
【0099】
開放バルブ156bは、開放配管155bに取り付けられる。開放バルブ156bは、開放配管155b内の流路を開閉する。
【0100】
次に、図1図3図5および図6を参照して、本実施形態の基板処理装置1におけるブラシ含有液調整部150によるブラシ142の含有液量の調整を説明する。図6(a)~図6(e)は、本実施形態の基板処理装置1によるブラシ含有液調整処理のフローを示す模式図である。
【0101】
図5および図6(a)に示すように、容器152の内部空間ISには、洗浄液Lwが貯留される。排気配管155aの一端は、容器152の貫通孔152p1に連結されており、排気配管155aの他端は、排気装置162に接続されている。また、開放配管155bの一端は、容器152の貫通孔152p2に連結されており、開放配管155bの他端は、大気に開放される。
【0102】
なお、図6(a)に示すように、容器152には、圧力計152mが取り付けられることが好ましい。圧力計152mは、容器152内の気圧を計測する。制御部102(図1図2参照)は、容器152内の気圧の計測結果に基づいて、制御を行ってもよい。図6(a)に示した状態では、圧力計152mは、大気圧を示す。
【0103】
図6(b)に示すように、ブラシ142およびホルダ144が容器152の開口部152dを通過するようにアーム146を移動させる。その後、容器152の開口部152dは、アーム146によって塞がれる。これにより、ブラシ142は、容器152内において洗浄液Lwに浸漬され、容器152は、ブラシ142を収容した状態で密閉される。
【0104】
図6(c)に示すように、排気部154aは、容器152内の気体を排出する。例えば、制御部102は、開放バルブ156bを閉状態にする一方で排気バルブ156aを開状態にすることにより、容器152の気体を排出する。
【0105】
ブラシ142は洗浄液Lwに浸漬しているが、ブラシ142の内部には微細な気泡が保持されている。排気部154aが容器152内の気体を排出すると、容器152内の気圧が低下する。例えば、容器152内の気圧は、大気圧から10kPa以上300kPa以下の範囲で低くなる。容器152内の気圧の低下により、微細な気泡がブラシ142の内部から洗浄液Lwに現れる。
【0106】
図6(d)に示すように、開放部154bは、容器152を大気に開放する。これにより、容器152には気体(大気)が流入する。例えば、制御部102は、排気バルブ156aを閉状態にする一方で開放バルブ156bを開状態にすることにより、容器152に気体が流入して容器152の圧力は大気圧まで上昇する。
【0107】
上述したように、ブラシ142の内部にあった微細な気泡はブラシ142から外部に逃げ出している。このため、開放部154bが容器152の内部を大気に開放すると、洗浄液Lwはブラシ142の内部にまで充分に浸透できる。
【0108】
図6(e)に示すように、アーム146が容器152の開口部152dから離れるように移動することで、ブラシ142およびホルダ144が容器152の開口部152dから離れる。その後、ブラシ142は、ブラシ処理に用いられる。以上のようにしてブラシ含有液調整部150においてブラシ142に含有される液体の量が調整される。
【0109】
本実施形態によれば、ブラシ142を収容した容器152内をいったん減圧した後で開放しているため、ブラシ142は内部から気泡を吐き出すことになり、ブラシ142内部に洗浄液Lwを浸透できる。このため、短期間でブラシ142に洗浄液Lwを浸透でき、ブラシ142の浸漬時間が短くてもブラシ142に洗浄液Lwを効率的に浸透させることができる。
【0110】
例えば、ブラシ142が適切な高度を保ちつつ形状を維持する観点から、ブラシ142が疎水性または半疎水性の樹脂から構成されることがある。この場合でも、本実施形態によれば、短期間でブラシ142に洗浄液Lwを浸透させてブラシ142を最大限膨張できる。このため、ブラシ処理の前の準備期間を短縮できる。
【0111】
なお、図5および図6に示したブラシ含有液調整部150では、排気部154aは容器152の貫通孔152p1を介して排気を行い、開放部154bは容器152の貫通孔152p2を介して開放を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。容器152に設けられる貫通孔152pは1つでもよい。例えば、排気部154aおよび開放部154bは、容器152の1つの貫通孔152pを介して排気および開放をそれぞれ行ってもよい。例えば、排気配管155aのうちの貫通孔152p1と排気バルブ156aとの間と、開放配管155bのうちの貫通孔152p2と開放バルブ156bとの間とが連結しており、連結部分が1つの貫通孔と連絡してもよい。
【0112】
次に、図1図7を参照して、本実施形態の基板処理装置1による基板処理を説明する。図7は、基板処理装置1による基板処理のフロー図である。
【0113】
図7に示すように、ステップS110において、基板Wにリンス液を供給する。リンス液供給部130は、基板Wにリンス液を供給する。例えば、制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを開状態にする。
【0114】
ステップS110Aにおいて、基板Wをブラシ処理する。典型的には、ブラシ処理部140は、ブラシ142で基板Wの上面Waをブラシ処理する。このとき、リンス液供給部130は、基板Wにリンス液を供給する。例えば、制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを開状態に維持したまま、移動部148にアーム146を移動させて、押圧部146cにブラシ142を基板Wに押圧させる。
【0115】
ステップS110Aのブラシ処理前に、ブラシ142は、ブラシ含有液調整部150においてブラシ142に含有される液体の量が調整されてもよい。ブラシ142の含有液量の調整は、基板Wにリンス液を供給する前に行われてもよい。例えば、ブラシ142の含有液量の調整は、ステップS110における基板Wに対するリンス液の供給が完了する直前に終了してもよい。
【0116】
ステップS120において、基板Wをスピンドライする。スピンドライする際に、基板の回転速度をブラシ処理のときの基板Wの回転速度よりも増加させる。これにより、基板Wのリンス液および洗浄液Lwを乾燥させる。以上のようにして、基板Wを洗浄処理できる。
【0117】
例えば、ブラシ142は、ブラシ処理の後で、ブラシ含有液調整部150において含有される液体の量が調整されてもよい。ブラシ142の含有液体量の調整は、スピンドライの開始前に開始されてもよい。または、ブラシ142の含有液量の調整は、次の基板Wの処理が開始されるまで開始されなくてもよい。
【0118】
ブラシ142の含有液量の調整は、基板Wのブラシ処理以外の期間であれば、任意の期間に行われてもよい。例えば、ブラシ142の含有液量の調整は、基板Wをブラシ処理する前に行われてもよい。または、ブラシ142の含有液量の調整は、基板Wをブラシ処理した後に行われてもよい。あるいは、ブラシ142の含有液量の調整は、基板Wの処理枚数、ブラシ142の使用時間、ブラシ142の直前の含有液量の調整してからの経過時間、および/または、基板処理装置1のアイドリング時間に応じて行われてもよい。
【0119】
ブラシ含有液調整部150におけるブラシ142の含有液量の調整では、ブラシ含有液調整部150における減圧の度合い、含有液量の調整に要する時間などを、ブラシ142の材質に応じて最適な値に設定してもよい。例えば、ブラシの材質が疎水性を呈する場合には、ブラシの材質が親水性である場合に比べてブラシの凹凸部へ水分が浸透しにくい。そこで、ブラシの材質が疎水性である場合にはブラシ含有液調整部150において強く減圧し、ブラシの材質が親水性である場合には弱い減圧としてもよい。圧力を低い値に減圧するには、ポンプの電力を多大に消費し、かつ目標の減圧値に達するまでの時間が長くかかることを鑑みると、ブラシの凹凸部に含有液が浸透しにくい場合に限り、ブラシ含有液調整部150において強く減圧することにより、含有液量の調整に要する時間を短縮することができる。
【0120】
なお、図7を参照して上述した説明では、ステップS110Aのブラシ処理は、ステップS110のリンス液供給の後に行われたが、本実施形態はこれに限定されない。ステップS110Aのブラシ処理は、ステップS110のリンス液供給と同時に行われてもよい。あるいは、ステップS110Aのブラシ処理は、ステップS110のリンス液供給なしで行われてもよい。例えば、ブラシ142の洗浄液Lwとしてリンス液を用いる場合、ブラシ142は、浸漬された洗浄液Lwを用いてリンス液とともにブラシ処理できる。
【0121】
図5および図6を参照して上述した説明では、気体流通部154は、排気部154aおよび開放部154bを備えており、容器152内の気圧は、大気圧以下の範囲内で変化したが、本実施形態はこれに限定されない。容器152内の気圧は、大気圧以上の範囲にも変化してもよい。
【0122】
次に、図1図3および図8を参照して、本実施形態の基板処理装置1におけるブラシ含有液調整部150を説明する。図8は、ブラシ含有液調整部150の模式図である。図8のブラシ含有液調整部150は、気体流通部154が吸気部154cをさらに備える点を除き、図5を参照して上述したブラシ含有液調整部150と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0123】
図8に示すように、ブラシ含有液調整部150において、気体流通部154は、排気部154aおよび開放部154bに加えて吸気部154cをさらに含む。吸気部154cは、容器152内の気圧を大気圧よりも高くなるように変化できる。
【0124】
容器152には、貫通孔152p1および貫通孔152p2に加えて貫通孔152p3が設けられる。ここでは、貫通孔152p3も、容器152の側部152bに設けられる。このため、容器152の内部と外部とは、側部152bの貫通孔152p3を介して連絡する。
【0125】
吸気部154cは、吸気配管155cと、吸気バルブ156cとを含む。吸気配管155cには、吸気バルブ156cが取り付けられる。ここでは、吸気配管155cの一端は、貫通孔152p3と連絡しており、吸気配管155cの他端は、気体供給装置164に接続する。気体供給装置164は、吸気配管155cを介して容器152の内部に気体を供給する。例えば、気体供給装置164は、容器152の内部に空気を供給する。あるいは、気体供給装置164は、不活性ガスを供給してもよい。例えば、不活性ガスは窒素を含む。なお、気体供給装置164は、図1に示した流体キャビネット100Aまたは流体ボックス100Bに配置されてもよい。吸気バルブ156cは、吸気配管155c内の流路を開閉する。
【0126】
次に、図8および図9を参照して、本実施形態の基板処理装置1におけるブラシ含有液調整部150によるブラシ含有液調整処理を説明する。図9(a)~図9(f)は、本実施形態の基板処理装置1によるブラシ含有液調整処理のフローを示す模式図である。
【0127】
図8および図9(a)に示すように、容器152の内部空間ISには、洗浄液Lwが貯留される。排気配管155aの一端は、容器152の貫通孔152p1に連結されており、排気配管155aの他端は、排気装置162に接続されている。開放配管155bの一端は、容器152の貫通孔152p2に連結されており、開放配管155bの他端は、大気に開放される。吸気配管155cの一端は、容器152の貫通孔152p3に連結されており、吸気配管155cの他端は、気体供給装置164に接続されている。なお、容器152には、圧力計152mが取り付けられてもよい。
【0128】
図9(b)に示すように、ブラシ142およびホルダ144が容器152の開口部152dを通過するようにアーム146を移動させる。その後、容器152の開口部152dは、アーム146によって塞がれる。これにより、ブラシ142は、容器152内において洗浄液Lwに浸漬され、容器152は、ブラシ142を収容した状態で密閉される。
【0129】
図9(c)に示すように、吸気部154cは、容器152に気体を流入させる。例えば、制御部102は、排気バルブ156aおよび開放バルブ156bを閉状態にする一方で、吸気バルブ156cを開状態にすることにより、容器152に気体が流入する。このため、容器152の気圧は増加して大気圧を超える。
【0130】
吸気部154cが容器152内に大気圧を超える圧力の気体を流入させると、容器152内の気圧が増加する。例えば、容器152内の気圧は、大気圧から10kPa以上300kPa以下の範囲で高くなる。容器152内の気圧の増加により、洗浄液Lwはブラシ142の内部に充分に浸透する。
【0131】
図9(d)に示すように、排気部154aは、容器152内の気体を排出する。例えば、制御部102は、開放バルブ156bおよび吸気バルブ156cを閉状態にする一方で、排気バルブ156aを開状態にすることにより、容器152内の気体を排出する。
【0132】
ブラシ142の内部には微細な気泡が保持されている。排気部154aが容器152内の気体を排出すると、容器152内の気圧が低下する。例えば、例えば、容器152内の気圧は、大気圧から10kPa以上300kPa以下の範囲で低くなる。容器152内の気圧の低下により、ブラシ142の内部から微細な気泡が洗浄液Lw内に出現する。
【0133】
上述したように、排気の前の吸気により、ブラシ142の内部には洗浄液Lwが充分に浸透する。このため、排気部154aが容器152を排気すると、ブラシ142の内部にまで充分に浸透した液に付着した汚れがブラシ142から洗浄液Lwに吐き出される。
【0134】
図9(e)に示すように、開放部154bは、容器152を大気に開放する。例えば、制御部102は、排気バルブ156aおよび吸気バルブ156cを閉状態にする一方で開放バルブ156bを開状態にすることにより、容器152が大気に開放される。このため、容器152内に空気が吸い込まれ、容器152の気圧は大気圧に戻る。
【0135】
上述したように、排気の前には、ブラシ142の内部には微細な気泡が保持されていたが、排気により、微細な気泡はブラシ142の内部から洗浄液Lw内に逃げ出している。このため、開放部154bが容器152の内部を大気に開放すると、洗浄液Lwはブラシ142の内部にまで浸透する。
【0136】
図9(f)に示すように、アーム146が容器152の開口部152dから離れるように移動することで、ブラシ142およびホルダ144が容器152の開口部152dから離れる。その後、ブラシ142は、ブラシ処理に用いられる。以上のようにしてブラシ含有液調整部150においてブラシ142に含有される液体の量を毎回同程度の含有状態になるように短期間で調整できる。典型的には、ブラシ142は、ある基板Wを洗浄した後で、次の基板Wを洗浄するまでの間にブラシ含有液調整部150において含有される液体の量を調整される。
【0137】
なお、図9を参照して上述した説明では、吸気部154c、排気部154aおよび開放部154bの順番に容器152内の気圧を変化させたが、本実施形態は、これに限定されない。吸気部154cが容器152に気体を供給する前に、排気部154aが容器152を排気してもよい。または、吸気部154cによる気体の供給、および、排気部154aによる排気を複数回交互に繰り返した後で、開放部154bが容器152を開放してもよい。気体の供給および排気を複数繰り返すことにより、ブラシ142を充分に洗浄するとともにブラシ142に洗浄液Lwを充分に浸透できる。
【0138】
なお、図1図9を参照して上述したように、ブラシ含有液調整部150は、基板Wをブラシ処理した後であって、別の基板Wをブラシ処理する前に、ブラシ142に含有される液体の量が調整されたが、本実施形態はこれに限定されない。ブラシ142は、基板Wをブラシ処理する前にブラシ142に含有される液体の量が調整されてもよい。典型的には、ブラシは、消耗品であり、使用によって消耗すると新しいブラシに交換される。ブラシの交換時に新規のブラシをそのまま用いてブラシ処理を行うと、ブラシ142に含有される液体の量が少ない一方で、ブラシ洗浄処理が進むにつれ含有液量が増えていく。含有液量の変化を抑えるため、ブラシ142を使用する前に、あらかじめブラシ142の含有液量を調整しておくことが好ましい。また、ブラシ142が長時間使用されていなかった場合にも、ブラシ142に含有される液体の量が減っているため、ブラシ142を使用する前に、あらかじめブラシ142の含有液量を調整しておくことが好ましい。
【0139】
次に、図1図3図6図9および図10を参照して、本実施形態の基板処理装置1による基板処理を説明する。図10は、基板処理装置1による基板処理のフロー図である。ここでは、ホルダ144に新規に取り付けられるブラシ142に含有される液体の量を調整する。
【0140】
まず、ステップSaに示すように、ホルダ144にブラシ142を取り付ける。あるいは、ブラシ142を保持するホルダ144をアーム146に取り付ける。典型的には、ブラシ142は、未使用の新規なものである。
【0141】
ステップSbに示すように、ブラシ142の含有液体量を調整する。移動部148がブラシ142をブラシ含有液調整部150に移動させると、ブラシ含有液調整部150は、ブラシ142に含まれる含有液量の調整を開始する。
【0142】
ステップSbは、ブラシ含有液調整準備ステップSb2と、吸気ステップSb4と、排気ステップSb6と、開放ステップSb8とを含む。ここでは、ブラシ142の含有液体量の調整は、ブラシ含有液調整準備ステップSb2、吸気ステップSb4、排気ステップSb6および開放ステップSb8の順番に行われる。
【0143】
ブラシ含有液調整準備ステップSb2において、ブラシ142を容器152内の洗浄液Lwに浸漬させる。移動部148は、ブラシ142がブラシ含有液調整部150の容器152内の洗浄液Lwに浸漬するようにアーム146を退避位置に移動させる。アーム146が容器152の上部152cに当接することにより、容器152は、ブラシ142を収容した状態で密閉される。
【0144】
吸気ステップSb4において、容器152に気体を供給する。制御部102は、吸気部154cの吸気バルブ156cを開状態にして容器152に気体を供給する。これにより、容器152内の気体の圧力は、大気圧よりも高くなる。このため、ホルダ144に取り付けたブラシ142に汚れが存在していても、ブラシ142の汚れが洗浄液Lwに染み出す。
【0145】
排気ステップSb6において、容器152内の気体を排出する。制御部102は、排気部154aの排気バルブ156aを開状態にして容器152を排気する。これにより、容器152内の気体の圧力は、大気圧よりも低くなる。このため、ブラシ142の内部に存在する気泡がブラシ142から洗浄液Lwに現れる。
【0146】
開放ステップSb8において、容器152を大気に開放する。制御部102は、開放部154bの開放バルブ156bを開状態にして容器152を大気に開放する。これにより、容器152内の気体の圧力は、大気圧と等しくなる。このとき、洗浄液Lwはブラシ142の内部にまで浸透する。
【0147】
ステップSbの後、ステップScに示すように、ブラシ処理を開始する。移動部148は、ブラシ142が退避位置から基板当接位置に移動するようにアーム146を移動させて基板Wの上面Waをブラシ処理する。このとき、ブラシ142の含有液量は、事前に調整されているため、ブラシ142は、基板Wを適切に洗浄できる。以上のようにして、本実施形態の基板処理装置によれば、洗浄液Lwを充分に浸透させたブラシ142で基板Wを適切に洗浄できる。
【0148】
なお、図1図10を参照して上述した説明では、ブラシ含有液調整部150の洗浄液Lwは基板処理装置1の駆動時に置換されなかったが、本実施形態はこれに限定されない。ブラシ含有液調整部150の洗浄液Lwは基板処理装置1の駆動時に置換されてもよい。
【0149】
次に、図11を参照して本実施形態の基板処理装置1におけるブラシ含有液調整部150を説明する。図11は、ブラシ含有液調整部150の模式図である。図11のブラシ含有液調整部150は、洗浄液流通部157をさらに備える点を除き、図5を参照して上述したブラシ含有液調整部150と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0150】
ブラシ含有液調整部150は、容器152および気体流通部154に加えて、洗浄液流通部157をさらに備える。洗浄液流通部157は、容器152に洗浄液を流入する。また、洗浄液流通部157は、容器152から洗浄液を流出する。
【0151】
容器152には、貫通孔152q1および貫通孔152q2が設けられる。貫通孔152q1および貫通孔152q2は、容器152の一部を貫通する。貫通孔152q1および貫通孔152q2は、容器152の内部と外部とを連絡する。ここでは、貫通孔152q1および貫通孔152q2は、容器152の側部152bに設けられる。このため、容器152の内部と外部とは、側部152bの貫通孔152q1および貫通孔152q2を介して連絡する。
【0152】
典型的には、貫通孔152q1および貫通孔152q2は、容器152の対向する位置に設けられる。ただし、容器152における貫通孔152q1の高さは、容器152における貫通孔152q2の高さとは異なってもよい。
【0153】
容器152は、洗浄液Lwを貯留する。なお、貫通孔152q1および貫通孔152q2は、洗浄液Lwの上限よりも低い位置に配置される。後述するように、洗浄液Lwにはブラシ142が浸漬されるが、貫通孔152q1および貫通孔152q2は、ブラシ142の浸漬された洗浄液Lwの上限よりも低い位置に配置されてもよい。
【0154】
洗浄液流通部157は、流入配管158aと、流出配管158bと、流入バルブ159aと、流出バルブ159bとを含む。
【0155】
流入配管158aには、流入バルブ159aが取り付けられる。ここでは、流入配管158aの一端は、貫通孔152q1と連絡しており、流入配管158aの他端は、洗浄液供給源に接続する。流入バルブ159aは、流入配管158a内の流路を開閉する。
【0156】
流出配管158bには、流出バルブ159bが取り付けられる。ここでは、流出配管158bの一端は、貫通孔152q2と連絡しており、流出配管158bの他端は、廃液タンクに接続する。流出バルブ159bは、流出配管158b内の流路を開閉する。
【0157】
次に、図1図3図11および図12を参照して、本実施形態の基板処理装置1によるブラシ142の含有液調整を説明する。図12(a)~図12(f)は、本実施形態の基板処理装置1によるブラシ含有液調整処理のフローを示す模式図である。
【0158】
図12(a)に示すように、容器152の内部空間ISには、洗浄液Lwが貯留される。排気配管155aの一端は、容器152の貫通孔152p1に連結されており、排気配管155aの他端は、排気装置162に接続されている。また、開放配管155bの一端は、容器152の貫通孔152p2に連結されており、開放配管155bの他端は、大気に開放される。
【0159】
図12(b)に示すように、ブラシ142およびホルダ144が容器152の開口部152dを通過するようにアーム146を移動させる。その後、容器152の開口部152dは、アーム146によって塞がれる。これにより、容器152は、ブラシ142を収容した状態で密閉される。ブラシ142は、容器152内において洗浄液Lwに浸漬される。
【0160】
図12(c)に示すように、気体流通部154は、容器152内の気体を排出する。例えば、制御部102は、開放バルブ156bを閉状態にする一方で排気バルブ156aを開状態にすることにより、容器152の気体を排出する。
【0161】
ブラシ142は洗浄液に浸漬しているが、ブラシ142の内部には微細な気泡が保持されている。気体流通部154が容器152内の気体を排出すると、容器152内の気圧が低下して、ブラシ142の内部から微細な気泡が外部に出現する。
【0162】
図12(d)に示すように、気体流通部154は、容器152に気体を流入する。例えば、制御部102は、排気バルブ156aを閉状態にする一方で開放バルブ156bを開状態にすることにより、容器152に気体が流入して容器152の圧力は大気圧まで上昇する。
【0163】
ブラシ142の内部にあった微細な気泡はブラシ142から外部に逃げ出している。このため、開放部154bが容器152の内部を大気に開放すると、洗浄液Lwはブラシ142の内部にまで浸透する。
【0164】
図12(e)に示すように、アーム146が容器152の開口部152dから離れるように移動することで、ブラシ142およびホルダ144が容器152の開口部152dから離れる。その後、ブラシ142は、ブラシ処理に用いられる。
【0165】
図12(f)に示すように、ブラシ142およびホルダ144が容器152の外に移動を開始した後、容器152内に新たな洗浄液Lwが供給されるとともに元の洗浄液Lwが排出される。制御部102は、流入バルブ159aおよび流出バルブ159bを開状態にすることにより、容器152内の洗浄液Lwが排出されるとともに容器152内に新たな洗浄液Lwが供給される。以上のようにしてブラシ含有液調整部150においてブラシ142を洗浄するとともに、汚れた洗浄液Lwを新しい洗浄液Lwに置換できる。
【0166】
本実施形態によれば、ブラシ含有液調整部150がブラシ142を洗浄した後で、洗浄液Lwは新たな洗浄液に置換される。このため、ブラシ含有液調整部150は、ブラシ142を複数回洗浄する場合でも、ブラシ142を清浄に洗浄でき、かつ、ブラシ142に含有される液体の量を調整できる。
【0167】
また、図11および図12には、貫通孔152q2は、容器152の側部152bに設けられたが、貫通孔152q2は、容器152の底部152aに設けられてもよい。洗浄液Lwを排出するための貫通孔152q2が容器152の底部152aに設けられることにより、洗浄液Lwを排出する際の洗浄液Lwの詰まりを抑制できる。
【0168】
なお、洗浄液流通部157は、リンス液供給部130に用いられるリンス液を洗浄液として用いることが好ましい。洗浄液としてリンス液供給部130から供給されるリンス液を用いる場合、気体流通部154の配管155は、リンス液供給部130の配管130aと連結されてもよい。
【0169】
次に、図13を参照して、本実施形態の基板処理装置1を説明する。図13は、本実施形態の基板処理装置1の模式図である。図13の基板処理装置1は、リンス液供給部130の配管130aがブラシ含有液調整部150の流入配管158aに接続される点を除き、図2を参照して上述した基板処理装置1に図11を参照して上述したブラシ含有液調整部150を適用した構成と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0170】
図13に示すように、ブラシ含有液調整部150の洗浄液流通部157は、連絡配管158cをさらに備える。連絡配管158cは、リンス液供給部130の配管130aとブラシ含有液調整部150の流入配管158aとを連絡する。これにより、ブラシ含有液調整部150の容器152には、洗浄液としてリンス液を供給できる。
【0171】
本実施形態の基板処理装置1によれば、リンス液供給部130のリンス液をブラシ含有液調整部150と共有して用いることにより、ブラシ処理時にリンス液供給部130がリンス液を供給しなくても、リンス液を用いて基板Wをブラシ処理できる。
【0172】
なお、図13を参照して上述した説明では、リンス液供給部130のリンス液がブラシ含有液調整部150と共有して用いられたが、本実施形態はこれに限定されない。リンス液供給部130のバルブ130bおよびノズル130nを省略することで、チャンバー110からリンス液供給部130を取り除いてもよい。この場合でも、ブラシ142は、ブラシ含有液調整部150においてリンス液を浸透するため、ブラシ処理時にリンス液供給部130がリンス液を供給しなくても、リンス液を用いて基板Wをブラシ処理できる。
【0173】
なお、図1図13を参照して上述した説明では、ブラシ処理は、リンス液とともに行われたが、本実施形態はこれに限定されない。ブラシ処理は、リンス液だけでなく別の処理液とともに行われてもよい。
【0174】
次に、図14を参照して、本実施形態の基板処理装置1を説明する。図14は、本実施形態の基板処理装置1の模式図である。図14の基板処理装置1は、薬液供給部132をさらに備える点を除き、図13を参照して上述した基板処理装置1と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0175】
図14に示すように、基板処理装置1は、リンス液供給部130に加えて薬液供給部132を備える。薬液供給部132は、基板Wに薬液を供給する。典型的には、薬液供給部132は、基板Wの上面Waに薬液を供給する。薬液を用いたリンス処理により、基板Wの上面Waに付着したリンス液および不純物等を洗い流すことができる。薬液供給部132から供給される薬液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)を含んでもよい。または、薬液は、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を含んでもよい。
【0176】
薬液供給部132の少なくとも一部は、チャンバー110内に収容される。薬液供給部132は、配管132aと、バルブ132bと、ノズル132nとを含む。ノズル132nは基板Wの上面Waに薬液を吐出する。ノズル132nは、配管132aに接続される。配管132aには、供給源から薬液が供給される。バルブ132bは、配管132a内の流路を開閉する。ノズル132nは、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0177】
薬液供給部132のノズル132nは移動可能であってもよい。ノズル132nは、制御部102によって制御される移動機構にしたがって水平方向および/または鉛直方向に移動できる。なお、本明細書において、図面が過度に複雑になることを避けるために移動機構を省略していることに留意されたい。
【0178】
ここでは、連絡配管158cは、薬液供給部132の配管132aとブラシ含有液調整部150の流入配管158aとを連絡する。これにより、ブラシ含有液調整部150の容器152には、洗浄液として薬液が供給される。
【0179】
ブラシ処理部140は、基板Wをブラシで処理する。ブラシ処理部140は、基板Wの上面Waに当接して基板Wをブラシで洗浄する。典型的には、ブラシ処理部140が基板Wをブラシで洗浄する期間において、薬液供給部132が基板Wの上面Waに薬液を供給してもよい。
【0180】
次に、図1図2図14および図15を参照して、本実施形態の基板処理装置1による基板処理を説明する。図15は、基板処理装置1による基板処理のフロー図である。
【0181】
図15に示すように、ステップS110において、基板Wにリンス液を供給する。リンス液供給部130は、基板Wにリンス液を供給する。例えば、制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを開状態にする。
【0182】
ステップS112において、基板Wに薬液を供給する。薬液供給部132は、基板Wに薬液を供給する。例えば、制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを閉状態にする一方で、薬液供給部132のバルブ132bを開状態にする。
【0183】
ステップS112Aにおいて、基板Wをブラシ処理する。典型的には、ブラシ処理部140は、ブラシ142で基板Wの上面Waをブラシ処理する。このとき、薬液供給部132は、基板Wに薬液を供給する。例えば、制御部102は、薬液供給部132のバルブ132bを開状態に維持したまま、移動部148にアーム146を移動させて、押圧部146cにブラシ142を基板Wに押圧させる。
【0184】
ステップS112Aのブラシ処理前に、ブラシ142による洗浄液Lwの含有液量は、ブラシ含有液調整部150において調整される。例えば、ブラシ含有液調整部150は、洗浄液Lwとして薬液を用いてブラシ142に含水される含有液量を調整する。ブラシ142の含有液量の調整は、基板Wに薬液を供給する前に行われてもよい。例えば、ブラシ142の含有液量の調整は、基板Wに対する薬液の供給が完了する直前に終了してもよい。
【0185】
ステップS120において、基板Wをスピンドライする。スピンドライする際に、基板の回転速度をブラシ処理のときの基板Wの回転速度よりも増加させる。これにより、基板Wのリンス液、薬液および洗浄液Lwを乾燥させる。以上のようにして、基板Wを洗浄処理できる。
【0186】
なお、図1図15を参照して上述した説明では、基板Wは、1種類の処理液でブラシ処理されたが、本実施形態はこれに限定されない。基板Wは、複数種類の処理液でブラシ処理されてもよい。この場合、ブラシ142は、処理液の数に応じて複数用いてもよい。
【0187】
また、図1図15を参照して上述した説明では、基板処理装置1は、1つのブラシ含有液調整部150を備えたが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理装置1は、2以上のブラシ含有液調整部を備えてもよい。
【0188】
次に、図16を参照して、本実施形態の基板処理装置1を説明する。図16は、本実施形態の基板処理装置1の模式図である。図16の基板処理装置1は、第1ブラシ処理部140A、第2ブラシ処理部140B、第1ブラシ含有液調整部150Aおよび第2ブラシ含有液調整部150Bを備える点を除き、図5を参照して上述した基板処理装置1と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0189】
図16に示すように、基板処理装置1は、第1ブラシ処理部140Aおよび第2ブラシ処理部140Bを備える。第1ブラシ処理部140Aおよび第2ブラシ処理部140Bは、同様の構成を有する。
【0190】
また、基板処理装置1は、第1ブラシ含有液調整部150Aおよび第2ブラシ含有液調整部150Bを備える。第1ブラシ含有液調整部150Aおよび第2ブラシ含有液調整部150Bは、同様の構成を有する。第1ブラシ含有液調整部150Aは、第1ブラシ処理部140Aのブラシ142Aに含有される液体の量を調整する。また、第2ブラシ含有液調整部150Bは、第2ブラシ処理部140Bのブラシ142Bに含有される液体の量を調整する。
【0191】
第1ブラシ含有液調整部150Aは、容器152Aと、気体流通部154Aとを備える。容器152Aには、第1洗浄液Lw1が貯留される。例えば、第1洗浄液Lw1として、リンス液および薬液の一方が用いられる。
【0192】
第2ブラシ含有液調整部150Bは、容器152Bと、気体流通部154Bとを備える。容器152Bには、第2洗浄液Lw2が貯留される。例えば、第2洗浄液Lw2として、リンス液および薬液の他方が用いられる。
【0193】
容器152Bの第2洗浄液Lw2は、容器152Aの第1洗浄液Lw1とは異なることが好ましい。ただし、容器152Bの第2洗浄液Lw2は、容器152Aの第1洗浄液Lw1と同じものであってもよい。
【0194】
次に、図1図3図16および図17を参照して、本実施形態の基板処理装置1におけるブラシ含有液調整部150を説明する。図17は、本実施形態の基板処理装置1による基板処理のフロー図である。
【0195】
図17に示すように、ステップS110において、基板Wにリンス液を供給する。リンス液供給部130は、基板Wにリンス液を供給する。例えば、制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを開状態にする。
【0196】
ステップS110Aにおいて、基板Wをブラシ処理する。典型的には、第1ブラシ処理部140Aは、ブラシ142Aで基板Wの上面Waをブラシ処理する。このとき、リンス液供給部130は、基板Wにリンス液を供給する。例えば、制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを開状態に維持したまま、第1ブラシ処理部140Aの移動部148Aにアーム146Aを移動させて、押圧部146cにブラシ142Aを基板Wに押圧させる。
【0197】
ブラシ処理前に、ブラシ142Aによる第1洗浄液Lw1の含有液量は、第1ブラシ含有液調整部150Aにおいて調整される。
【0198】
ステップS112において、基板Wに薬液を供給する。薬液供給部132は、基板Wに薬液を供給する。例えば、制御部102は、薬液供給部132のバルブ132bを開状態にする。また、基板Wに薬液を供給する前に、第1ブラシ処理部140Aはブラシ処理を終了する。基板Wに薬液を供給した後、第1ブラシ含有液調整部150Aにおいて、ブラシ142Aは、含有する第1洗浄液Lw1の液量を調整されてもよい。
【0199】
ステップS112Aにおいて、基板Wをブラシ処理する。典型的には、第2ブラシ処理部140Bは、ブラシ142Bで基板Wの上面Waをブラシ処理する。このとき、薬液供給部132は、基板Wに薬液を供給する。例えば、制御部102は、薬液供給部132のバルブ132bを開状態に維持したまま、第2ブラシ処理部140Bの移動部148Bにアーム146Bを移動させて、押圧部146cにブラシ142Bを基板Wに押圧させる。
【0200】
ブラシ処理前に、ブラシ142Bによる第2洗浄液Lw2の含有液量は、第2ブラシ含有液調整部150Bにおいて調整される。
【0201】
ステップS120において、基板Wをスピンドライする。スピンドライする際に、基板の回転速度をブラシ処理のときの基板Wの回転速度よりも増加させる。これにより、基板Wのリンス液および薬液を乾燥させる。なお、スピンドライの前に、第2ブラシ処理部140Bはブラシ処理を終了する。スピンドライを開始した後、第2ブラシ含有液調整部150Bにおいて、ブラシ142Bは、含有する第2洗浄液Lw2の量を調整されてもよい。以上のようにして、第1ブラシ処理部140Aのブラシ142Aおよび第2ブラシ処理部140Bのブラシ142Bに含有される液体の量を調整できる。
【0202】
なお、図13に示した基板処理装置1では、洗浄液流通部157の流入配管158aは、リンス液供給部130の配管130aに連結されており、図14に示した基板処理装置1では、洗浄液流通部157の流入配管158aは、薬液供給部132の配管132aに連結されていたが、本実施形態はこれに限定されない。洗浄液流通部157の流入配管158aは、リンス液供給部130の配管130aおよび薬液供給部132の配管132aの両方に連結されてもよい。
【0203】
次に、図18を参照して、本実施形態の基板処理装置1を説明する。図18は、本実施形態の基板処理装置1の模式図である。図18の基板処理装置1は、洗浄液流通部157の流入配管158aは、リンス液供給部130の配管130aおよび薬液供給部132の配管132aの両方に連結されている点を除き、図13および図14を参照して上述した基板処理装置1と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0204】
図18に示すように、基板処理装置1において、ブラシ含有液調整部150の洗浄液流通部157は、連絡配管158c、連絡配管158d、バルブ158eおよびバルブ158fをさらに備える。連絡配管158cは、リンス液供給部130の配管130aとブラシ含有液調整部150の流入配管158aとを連絡する。連絡配管158cにはバルブ158eが取り付けられる。バルブ158eは、連絡配管158c内の流路を開閉する。制御部102は、バルブ158eを開状態にすることによって、流入配管158aに向かって連絡配管158c内を流れるリンス液を通過させることができる。
【0205】
連絡配管158dは、薬液供給部132の配管132aとブラシ含有液調整部150の流入配管158aとを連絡する。連絡配管158dにはバルブ158fが取り付けられる。バルブ158fは、連絡配管158d内の流路を開閉する。制御部102は、バルブ158fを開状態にすることによって、流入配管158aに向かって連絡配管158d内を流れる薬液を通過させることができる。
【0206】
次に、図18および図19を参照して、本実施形態の基板処理装置1によるブラシの含有液調整を説明する。図19は、本実施形態の基板処理装置1による基板処理のフロー図である。なお、図19のステップSaおよびステップSbは、図10のステップSaおよびステップSbと同様である。ここでは、ホルダ144に新規に取り付けられるブラシ142に含有される液体の量を調整する。
【0207】
まず、ステップSaに示すように、ホルダ144にブラシ142を取り付ける。あるいは、ブラシ142を保持するホルダ144をアーム146に取り付ける。典型的には、ブラシ142は、未使用の新規なものである。
【0208】
ステップSbに示すように、ブラシ142の含有液体量を調整する。移動部148がブラシ142をブラシ含有液調整部150に移動させると、ブラシ含有液調整部150は、ブラシ142に含有される液体の量の調整を開始する。
【0209】
ステップSbは、ブラシ含有液調整準備ステップSb2と、吸気ステップSb4と、排気ステップSb6と、開放ステップSb8とを含む。ここでは、ブラシ142の含有液体量の調整は、ブラシ含有液調整準備ステップSb2、吸気ステップSb4、排気ステップSb6および開放ステップSb8の順番に行われる。
【0210】
ブラシ含有液調整準備ステップSb2において、ブラシ142を容器152内の洗浄液Lwとしてリンス液に浸漬させる。制御部102は、バルブ158eおよび流入バルブ159aを開状態にして容器152にリンス液を供給する。
【0211】
移動部148は、ブラシ142がブラシ含有液調整部150の容器152内のリンス液に浸漬するようにアーム146を退避位置に移動させる。アーム146が容器152の上部152cに当接することにより、容器152は、ブラシ142を収容した状態で密閉される。
【0212】
吸気ステップSb4において、容器152に気体を供給する。制御部102は、吸気部154cの吸気バルブ156cを開状態にして容器152に気体を供給する。これにより、容器152内の気体の圧力は、大気圧よりも高くなる。このため、ホルダ144に取り付けたブラシ142に汚れが存在していても、ブラシ142の汚れが容器152内のリンス液に染み出す。
【0213】
排気ステップSb6において、容器152内の気体を排出する。制御部102は、排気部154aの排気バルブ156aを開状態にして容器152を排気する。これにより、容器152内の気体の圧力は、大気圧よりも低くなる。このため、ブラシ142の内部に存在する気泡がブラシ142から容器152内のリンス液に現れる。
【0214】
開放ステップSb8において、容器152を大気に開放する。制御部102は、開放部154bの開放バルブ156bを開状態にして容器152を大気に開放する。これにより、容器152内の気体の圧力は、大気圧と等しくなる。このとき、容器152内のリンス液はブラシ142の内部にまで浸透する。
【0215】
ステップSbの後、ステップS110において、基板Wにリンス液を供給する。リンス液供給部130は、基板Wにリンス液を供給する。例えば、制御部102は、リンス液供給部130のバルブ130bを開状態にする。一方で、制御部102は、バルブ158eを閉状態にする。
【0216】
ステップS112において、基板Wに薬液を供給する。薬液供給部132は、基板Wに薬液を供給する。例えば、制御部102は、薬液供給部132のバルブ132bを開状態にする。また、制御部102は、バルブ158f、流入バルブ159aおよび流出バルブ159bを開状態にして容器152内の汚れたリンス液を薬液に置換する。
【0217】
ステップS112Aにおいて、基板Wをブラシ処理する。典型的には、ブラシ処理部140は、ブラシ142で基板Wの上面Waをブラシ処理する。このとき、薬液供給部132は、基板Wに薬液を供給する。また、ブラシ142には薬液が浸透されている。例えば、制御部102は、薬液供給部132のバルブ132bを開状態に維持したまま、移動部148にアーム146を移動させて、押圧部146cにブラシ142を基板Wに押圧させる。このとき、ブラシ142は、事前にリンス液で洗浄されたうえで、薬液に浸漬されたため、ブラシ142は、基板Wを適切に洗浄できる。以上のようにして、本実施形態の基板処理装置によれば、薬液を充分に浸透させたブラシ142で基板Wを適切に洗浄できる。
【0218】
ステップS120において、基板Wをスピンドライする。スピンドライする際に、基板の回転速度をブラシ処理のときの基板Wの回転速度よりも増加させる。これにより、基板Wのリンス液および薬液を乾燥させる。以上のようにして、基板Wを洗浄処理できる。また、容器152内の洗浄液Lwをリンス液から薬液に置換することにより、新規のブラシ142をリンス液で洗浄するとともに、ブラシ処理時に用いる洗浄液Lwとして薬液を用いることができる。
【0219】
なお、図1図19を参照して上述した説明では、容器152は、底部152aおよび側部152bとともに上部152cとを含んでいたが、本実施形態はこれに限定されない。容器152は、上部152cを有さなくてもよい。この場合、ブラシ処理部140のアーム146が容器152の側部152bの先端と当接することにより、容器152を密閉状態にできる。
【0220】
また、図1図19を参照して上述した説明では、ブラシ処理部140のアーム146が容器152の上部152cと当接することによって容器152が密閉状態となったが、本実施形態はこれに限定されない。
【0221】
次に、図1図3および図20を参照して、本実施形態の基板処理装置1におけるブラシ含有液調整部150を説明する。図20は、ブラシ含有液調整部150の模式図である。図20のブラシ含有液調整部150は、容器152が開閉部152sをさらに有する点を除き、図4を参照して上述したブラシ含有液調整部150と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0222】
図20に示すように、容器152は、底部152a、側部152bおよび上部152cとともに、開閉部152sをさらに有する。開閉部152sは、容器152の上部152cに取り付けられる。開閉部152sは、容器152の上部152cに対して水平方向に移動可能である。開閉部152sは、容器152の開口部152dを塞ぐように移動できる。
【0223】
ブラシ142およびホルダ144が容器152の開口部152dを通過した状態で開閉部152sは閉じるように移動させる。ここでは、開閉部152sは、アーム146に当接するまで移動する。したがって、容器152の開口部152dは、アーム146および開閉部152sによって塞がれる。
【0224】
なお、図1図20を参照して上述した説明では、ブラシ142は、基板Wの上面Waを洗浄したが、本実施形態はこれに限定されない。ブラシ142は、基板Wの側面を洗浄してもよい。
【0225】
また、図1図20を参照して上述した説明では、ブラシ含有液調整部150は、基板処理装置1に配置されたが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理装置1が大量の基板を適宜処理する場合、ブラシを定期的に交換する必要がある。この場合、新たに交換するブラシは、洗浄液が充分に浸漬した状態で収納されることが好ましい。このため、ブラシ含有液調整部150は、使用前のブラシを収納する収納容器として用いられることが好ましい。
【0226】
次に、図21を参照して、本実施形態のブラシ収納容器200を説明する。図21は、ブラシ収納容器200の模式図である。ブラシ収納容器200は、ブラシ142の収納に用いられる。典型的には、ブラシ収納容器200は、基板処理装置1におけるブラシ処理部140のブラシ142を交換する際に開封される。
【0227】
また、ブラシ収納容器200は、基板処理装置1に用いられるブラシ142の含有液量を調整した状態でブラシ142を収納する。例えば、ブラシ収納容器200は、ブラシ142とともにホルダ144を保持してブラシ142の含有液量を調整する。
【0228】
図21に示すように、ブラシ収納容器200は、筐体210と、気体流通部220とを備える。筐体210は、中空形状である。筐体210の内部には、ブラシ142が収容される。ここでは、筐体210内には、ブラシ142とともにホルダ144が収容されている。
【0229】
筐体210は、ブラシ142を収容した状態で密閉状態にできる。このため、ブラシ142は、筐体210の内部で汚れることなく保持される。ただし、ブラシ142を使用する場合、筐体210は、密閉状態から開放される。
【0230】
筐体210には、圧力計210mが取り付けられることが好ましい。圧力計210mは、筐体210内の気圧を計測する。
【0231】
筐体210は、底部210aと、側部210bと、上部210cとを含む。底部210aは、XY平面に沿って延びる。側部210bは、底部210aの端部からZ軸方向に延びる。上部210cは、側部210bの上端から水平方向に延びる。底部210aと、側部210bと、上部210cとによって囲まれた内部空間IS内に、洗浄液Lwが貯留される。
【0232】
筐体210には、貫通孔210pが設けられる。貫通孔210pは、筐体210の一部を貫通する。ここでは、貫通孔210pは、側部210bに設けられる。貫通孔152pは、筐体210の内部と連絡する。
【0233】
気体流通部220は、筐体210の内部と外部とを流通する。例えば、筐体210が密閉状態である場合、気体流通部220は、筐体210の内部の気体を筐体210の外部に流出する。あるいは、気体流通部220は、筐体210の外部の気体を筐体210の内部に流入する。気体流通部220は、筐体210内にブラシ142を密閉した状態で筐体210内の気圧を変化させる。これにより、ブラシ142に洗浄液を充分に浸透させることができる。
【0234】
気体流通部220は、配管221と、バルブ222とを含む。配管221の一端は、貫通孔210pと連絡する。また、配管221の他端は、気圧調整源160に接続可能である。
【0235】
例えば、気圧調整源160として排気装置を配管221に接続する場合、密閉状態の筐体210が貫通孔210pを介して排気装置と接続されるため、バルブ222が開状態になると、筐体210の内部の気体は、貫通孔210pを介して筐体210の外部に排出される。これにより、筐体210内の気圧が低下するため、ブラシ142の内部の気泡を洗浄液Lwに染み出させることができる。その後、ブラシ142を使用するために、筐体210を開放状態にすると、筐体210内の気圧が大気圧に戻るため、ブラシ142の内部に洗浄液Lwを充分に浸透できる。
【0236】
あるいは、気圧調整源160として気体供給部を配管221に接続する場合、密閉状態の筐体210が貫通孔210pを介して気体供給部と接続されるため、バルブ222が開状態になると、気体は、貫通孔210pを介して筐体210の内部に流入する。これにより、筐体210内の気圧が増加するため、洗浄液Lwをブラシ142に浸透させることができる。
【0237】
なお、筐体210は、密閉状態から開放状態に変化する。筐体210が開放状態である場合、筐体210からブラシ142を取り出し、また、筐体210にブラシ142を収容できる。筐体210は、複数の部分に分離することにより、密閉状態から開放状態に変化する。
【0238】
筐体210は、容器212と、蓋214とを含む。容器212の一部は、開口している。蓋214は、容器212の開口部分を覆う。これにより、筐体210を密閉状態にできる。容器212の上部と蓋214とにより、筐体210の上部210cが形成される。蓋214は、筐体210の内にブラシ142、またはブラシ142およびホルダ144が収容した状態で、開口部を塞ぐように容器212に係合する。なお、ここでは、貫通孔210pは、容器212の側部に設けられる。
【0239】
蓋214には、ブラシ142が取り付けられる。ここでは、蓋214には、ブラシ142はホルダ144とともに取り付けられる。詳細には、蓋214には、支持軸214aが取り付けられる。支持軸214aは、鉛直下方に延びる。支持軸214aには、ブラシ142を保持するホルダ144が取り付けられる。蓋214および支持軸214aにより、ブラシ142は、容器212の内部で洗浄液Lwに浸漬した状態で保持される。なお、ブラシ142は、蓋214および支持軸214aによって保持されるため、ブラシ142の位置は、容器212内で変動しない。
【0240】
例えば、容器212および蓋214のそれぞれには、溝および突起が互いにらせん状に形成される。容器212および蓋214のうちの一方の溝が他方の突起と係合することにより、蓋214を容器212に締め付けることができ、筐体210を密閉状態に形成できる。
【0241】
本実施形態のブラシ収納容器200によれば、ブラシ142の収納中にも、ブラシ142に洗浄液Lwを充分に浸透できる。さらに、ブラシ収納容器200によれば、ブラシ142の収納中にも、気圧を変化させて、ブラシ142の内部に存在する汚れを洗浄できる。このため、基板処理装置1のブラシ142を交換した後、速やかにブラシ142を使用できる。
【0242】
なお、図21に示したブラシ収納容器200は、筐体210を密閉したまま筐体210内の気体を流通可能であったが、本実施形態はこれに限定されない。ブラシ収納容器200は、筐体210を密閉したまま筐体210内の液体を流通可能であってもよい。
【0243】
次に、図22を参照して、本実施形態のブラシ収納容器200を説明する。図22は、ブラシ収納容器200の模式図である。図22のブラシ収納容器200は、洗浄液流通部230をさらに備える点を除き、図21を参照して上述したブラシ収納容器200と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0244】
ブラシ収納容器200は、筐体210および気体流通部220に加えて、洗浄液流通部230をさらに備える。洗浄液流通部230は、筐体210に洗浄液を流入するとともに、筐体210から洗浄液を流出する。
【0245】
筐体210には、貫通孔210q1および貫通孔210q2が設けられる。貫通孔210q1および貫通孔210q2は、筐体210の一部を貫通する。貫通孔210q1および貫通孔210q2は、筐体210の内部と外部とを連絡する。ここでは、貫通孔210q1および貫通孔210q2は、筐体210の側部210bに設けられる。このため、筐体210の内部と外部とは、側部210bの貫通孔210q1および貫通孔210q2を介して連絡する。
【0246】
典型的には、貫通孔210q1および貫通孔210q2は、筐体210の対向する位置に設けられる。ただし、筐体210における貫通孔210q1の高さは、筐体210における貫通孔210q2の高さとは異なってもよい。
【0247】
筐体210は、洗浄液Lwを貯留する。なお、貫通孔210q1および貫通孔210q2は、洗浄液Lwの上限よりも低い位置に配置される。後述するように、洗浄液Lwにはブラシ142が浸漬されるが、貫通孔210q1および貫通孔210q2は、ブラシ142の浸漬された洗浄液Lwの上限よりも低い位置に配置されてもよい。
【0248】
洗浄液流通部230は、流入配管231aと、流出配管231bと、流入バルブ232と、流出バルブ232bとを含む。流入配管231aには、流入バルブ232aが取り付けられる。ここでは、流入配管231aの一端は、貫通孔210q1と連絡しており、流入配管231aの他端は、洗浄液供給源に接続可能である。流入バルブ232aは、流入配管231a内の流路を開閉する。
【0249】
流出配管231bには、流出バルブ232bが取り付けられる。ここでは、流出配管231bの一端は、貫通孔210q2と連絡しており、流出配管231bの他端は、廃液タンクに接続可能である。流出バルブ232bは、流出配管231b内の流路を開閉する。
【0250】
本実施形態のブラシ収納容器200によれば、ブラシ142の収納中にも、洗浄液Lwを置換できる。このため、ブラシ142の収納中にも、ブラシ142に含有される液体の量を適切に調整し、含有される液体を適切に置換できる。
【0251】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0252】
本発明は、基板処理装置およびブラシ収納容器に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0253】
1 基板処理装置
100 基板処理システム
110 チャンバー
120 基板保持部
130 リンス液供給部
140 ブラシ処理部
150 ブラシ含有液調整部
152 容器
154 気体流通部
200 ブラシ収納容器
210 筐体
212 容器
214 蓋
220 気体流通部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
図18
図19
図20
図21
図22