(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】電子マネーシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20231018BHJP
G06Q 20/36 20120101ALI20231018BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20231018BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q20/36
G06Q30/0207
(21)【出願番号】P 2019177236
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】白崎 隆一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 久貢
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康子
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-171202(JP,A)
【文献】特開2009-145574(JP,A)
【文献】特開2009-069313(JP,A)
【文献】特開2007-299293(JP,A)
【文献】特開2007-140991(JP,A)
【文献】特開2002-145399(JP,A)
【文献】特開2014-006596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネー
にお釣りの概念を導入可能な電子マネーシステムであって、
ユーザが所定商品又は所定サービスの提供を受ける際に、電子マネー所持者に係る所定識別子に対応付けられた電子マネーを利用した場合、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、前記所定商品又は前記所定サービスの対価分だけ減らす決済処理を行う決済処理部と、
前記決済処理に伴い、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューのうちの一部若しくは全部である所定バリューに対して、所定の特典を付与する特典付与部
とを備え、
前記所定識別子に対応付けられた電子マネーは、複数のバリューに分けて利用可能であり、
前記所定バリューは、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのうちの、前記所定商品又は前記所定サービスを受ける際の利用分のバリューに対する前記対価分の差分の一部又は全部に対応し、
前記決済処理は、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、前記利用分だけ減らしつつ、前記差分だけ増やす処理を実行する、電子マネーシステム。
【請求項2】
前記特典付与部は、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを所定バリューだけ増加させかつ該所定バリューに、前記所定の特典を付与する、請求項1に記載の電子マネーシステム。
【請求項3】
前記所定の特典は、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーの前記所定バリューが、商品又はサービスの新たな提供を受けることで消費されることと引き換えに、前記所定商品又は前記所定サービスの提供主体により提供される、請求項1又は2に記載の電子マネーシステム。
【請求項4】
前記新たな提供に係る前記商品又は前記サービスの提供主体は、前記所定商品又は前記所定サービスの提供主体と同じである又は関連する、請求項3に記載の電子マネーシステム。
【請求項5】
前記所定の特典は、特定の一部若しくは全部の商品又は特定の一部若しくは全部のサービスの実質的な割り引き又は無料化である、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の電子マネーシステム。
【請求項6】
前記所定バリューは、前記所定の特典を受けることなく消費可能である、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の電子マネーシステム。
【請求項7】
前記所定バリューは、前記所定の特典が対応付けられたまま、前記所定識別子とは異なる識別子に対応付けられた別の電子マネーに移転可能である、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の電子マネーシステム。
【請求項8】
前記電子マネー所持者に係る所定識別子に対応付けられた電子マネーに対して、所定の広告を付与する広告付与部と、
所定の場合に前記所定の広告を出力する広告出力部と、
を備える、
請求項1に記載の電子マネーシステム。
【請求項9】
ユーザが所定商品又は所定サービスの提供を受ける際に、所定識別子に対応付けられた電子マネーを利用した場合、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、前記所定商品又は前記所定サービスの対価分だけ減らす決済処理を行う決済処理部を更に含み、
前記広告付与部は、前記決済処理に伴い、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーに対して、前記所定の広告の対応付けを実行する、請求項8に記載の電子マネーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーポンなどの特典を付与する電子マネーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子マネーの普及に伴い、各種電子マネーを取り扱うための様々な電子マネーシステムが知られている。例えば、ユーザが商品やサービスの提供を受ける際に、電子マネーで代金を支払うと、ポイントやクーポンが付与され、また、電子マネーで代金を支払う際に、ポイントやクーポンを利用すると、割り引きなどの特典が受けられる電子マネーシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子マネーシステムでは、お釣りという概念がないので、現金による代金の支払いに比べて味気なさを感じる場合がある。また、従来の電子マネーシステムでは、電子マネーを利用した代金の支払いに際し、クーポンなどの特典を付与しても、クーポンに対するユーザの関心が低く、クーポンの利用率が向上しないという課題がある。
【0005】
したがって、本発明では、電子マネーにお釣りという概念を導入できるだけでなく、電子マネー利用時に付与される特典の利用率を向上できる電子マネーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子マネーシステムは、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
(態様1) 一態様では、電子マネーを取り扱う電子マネーシステムであって、ユーザが所定商品又は所定サービスの提供を受ける際に、電子マネー所持者に係る所定識別子に対応付けられた電子マネーを利用した場合、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、前記所定商品又は前記所定サービスの対価分、減らす決済処理を行う決済処理部と、前記決済処理に伴い、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーに対して、所定の特典を付与する特典付与部を備え、前記特典付与部は、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューのうちの一部若しくは全部である所定バリューに前記所定の特典を対応付け、又は、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを所定バリューだけ増加させかつ該所定バリューに、前記所定の特典を対応付けることを特徴とする。
【0008】
なお、決済とは、支払いを伴う取引を終了させることであり、寄付等を含む。所定商品又は所定サービスは、任意であるが、寄付の場合、例えば記念品や感謝状をもらうサービスであってもよい。所定商品は、実体物でない商品(例えば電子コンテンツ)であってもよい。また、所定商品又は所定サービスは、両替であってもよい。この場合、所定サービスの対価分は、両替の手数料であるが、両替の手数料は、0(無料)であってもよい。無料の場合、決済処理は、0だけ減らす処理(すなわち、実質的に何も行わない処理)となる。
【0009】
例えば、ユーザのAさんが、商品Aの提供を受けるため、Aさんに係る所定識別子に対応付けられた電子マネーを利用した場合であって、商品Aの提供の対価が450円であるとする。また、Aさんに係る所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューが、1000円であるとする。この際、決済処理は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、対価分だけ減らす処理であるので、決済処理後の、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューは、550円(1000円-450円)となる。この場合、特典付与部は、(1)決済処理後の550円のうちの一部若しくは全部である所定バリューに所定の特典を対応付ける、又は、(2)Aさんに係る所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを所定バリューだけ増加させかつ該所定バリューに、所定の特典を対応付ける。このように、(1)及び(2)のいずれかの対応付け方法があり、ここでは、(1)の対応付け方法を、第1対応付け方法と称し、(1)の対応付け方法を、第2対応付け方法と称する。このとき、第1対応付け方法では、特典付与部は、所定バリューが50円であるとすると、決済処理後の550円のうちの一部である50円分に、所定の特典を対応付け、第2対応付け方法では、決済処理後の550円を50分だけ増加し(すなわち600円とし)、かつ、当該50円分に、所定の特典を対応付ける。なお、第1対応付け方法の場合、Aさんにとっては、実質的には、Aさんに係る所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリュー(1000円)のうちの、500円分のバリューを利用(消費)して、所定の特典を対応付けられた50円分のお釣りをもらったことに等価となる。従って、このような取引をわかりやすくするために、Aさんは、決済の際、Aさんに係る所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューのうちの、いくら分のバリューを利用するかを、商品Aを提供する側に明示してもよい(下記の態様2参照)。この場合、お釣りの概念が明確になる。なお、かかる利用分のバリューの明示を可能とするためには、電子マネーは、複数単位のバリューごとにマネー識別子が付与された状態で流通できる特性を有すると好適である。なお、商品Aを提供する側は、このようなお釣りのバリューと所定の特典とを考慮して、実質的な対価を定めることができる。また、第2対応付け方法の場合、Aさんにとっては、Aさんに係る所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューのうちの、450円分のバリューを利用(消費)して、所定の特典を対応付けられた50円分の“お礼”をもらったことに等価となる。
【0010】
(態様2) 上記の態様においては、好ましくは、前記所定識別子に対応付けられた前記電子マネーは、複数のバリューに分けて利用可能であり、
前記所定バリューは、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのうちの、前記所定商品又は前記所定サービスを受ける際の利用分のバリューに対する前記対価分の差分の一部又は全部に対応し、
前記決済処理は、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、前記利用分だけ減らしつつ、前記差分だけ増やす処理である。
【0011】
例えば、ユーザのAさんが、商品Aの提供を受けるため、Aさんに係る所定識別子に対応付けられた電子マネーを利用した場合であって、商品Aの提供の対価が450円であるとする。また、Aさんに係る所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューが、1000円であるとし、利用分のバリューは、500円であるとする。この場合、決済処理は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューである1000円から、利用分の500円だけ減らしつつ、差分の50円(500円-450円)を増やす。その結果、決済処理後の所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューは、550円となる。この場合、特典付与部は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリュー(550円)のうちの所定バリュー(この場合、差分の全部である50円)に、所定の特典を対応付ける。この結果、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリュー550円のうちの、50円分に、所定の特典が対応付けられる。従って、Aさんにとっては、実質的には、Aさんに係る所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリュー(1000円)のうちの、500円分のバリューを利用(消費)して、商品Aの提供を受けつつ、所定の特典を対応付けられた50円分のお釣りをもらったことに等価となる。なお、差分=利用分-対価であるので、決済処理に係る「所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、利用分だけ減らしつつ、差分だけ増やす処理」は、「所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、対価分だけ減らす処理」と等価である。
【0012】
(態様3) 上記の態様においては、好ましくは、前記所定の特典は、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーの前記所定バリューが、商品又はサービスの新たな提供を受けることで消費されることと引き換えに、前記所定商品又は前記所定サービスの提供主体により提供されることを特徴とする。
【0013】
(態様4) 上記の態様においては、好ましくは、前記新たな提供に係る前記商品又は前記サービスの提供主体は、前記所定商品又は前記所定サービスの提供主体と同じである又は関連することを特徴とする。
【0014】
(態様5) 上記の態様においては、好ましくは、前記所定の特典は、特定の一部若しくは全部の商品又は特定の一部若しくは全部のサービスの実質的な割り引き又は無料化であることを特徴とする。
【0015】
(態様6) 上記の態様においては、好ましくは、前記所定バリューは、前記所定の特典を受けることなく消費可能であることを特徴とする。
【0016】
(態様7) 上記の態様においては、好ましくは、前記所定バリューは、前記所定の特典が対応付けられたまま、前記所定識別子とは異なる識別子に対応付けられた別の電子マネーに移転可能であることを特徴とする。
【0017】
(態様8) 他の一態様では、電子マネーを取り扱う電子マネーシステムであって、電子マネー所持者に係る所定識別子に対応付けられた電子マネーに対して、所定の広告を付与する広告付与部と、所定の場合に前記所定の広告を出力する広告出力部とを備えることを特徴とする。
【0018】
(態様9) 上記の他の態様においては、好ましくは、ユーザが所定商品又は所定サービスの提供を受ける際に、所定識別子に対応付けられた電子マネーを利用した場合、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、前記所定商品又は前記所定サービスの対価分だけ減らす決済処理を行う決済処理部を更に含み、前記広告付与部は、前記決済処理に伴い、前記所定識別子に対応付けられた電子マネーに対して、前記所定の広告の対応付けを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子マネーにお釣りという概念を導入できるだけでなく、電子マネー利用時に付与される特典の利用率を向上できる電子マネーシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子マネーシステムの基本概念(クーポン付与時のイメージ)を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電子マネーシステムの基本概念(クーポン利用時のイメージ)を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電子マネーシステムの機能構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電子マネーウォレットDBに格納される一般ユーザのバリュー情報の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電子マネーシステムのコード決済処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の更なる有用な実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。また、処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
【0022】
(電子マネーシステムの基本概念)
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る電子マネーシステム(サーバ)は、利用登録された一般ユーザ及び加盟店ユーザに対して電子マネーを使った決済サービスを提供する。本発明の電子マネーシステムは、一般ユーザ識別子で特定される一般ユーザの携帯端末、ICカードなどの電子マネーウォレットに電子マネーのバリュー(貨幣価値)をチャージ(格納)し、一般ユーザが商品又はサービスの提供を受ける際に、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーを利用した場合、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを商品又はサービスの対価分だけ減らす減算処理と、支払先である加盟店ユーザの識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを対価分だけ増やす加算処理とを行うプリペイド型の電子決済システムに適用される。ただし、銀行口座を電子マネーウォレットと見做せば、デビットカード決済システムにも本発明の電子マネーシステムを適用できる。また、電子マネーのバリューとしては、法定通貨のように国家による強制通用力を持たず、主にインターネット上での取引などに用いられるデジタル通貨である暗号資産(仮想通貨)なども含まれる。
【0023】
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係る電子マネーシステムがコード決済サービスを提供する場合の基本概念を示している。一般ユーザは、リアル店舗での商品やサービスの購入に際して、本コード決済サービスを利用するユーザであり、コード決済サービスに使用する一般ユーザ端末として例えばスマートフォン、タブレット端末などの携帯可能な端末を所有している。一般ユーザが使用する一般ユーザ端末には、本コード決済サービスに対応した一般ユーザ用アプリケーションプログラム(以下、単に一般ユーザ用アプリという)が実装(インストール)される。
【0024】
一般ユーザは、本コード決済サービスの利用に先立ち、一般ユーザ端末で一般ユーザ用アプリを起動し、本コード決済サービスの利用登録を行う。また、一般ユーザは、本決済サービスの利用登録後、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに電子マネーをチャージする。電子マネーのチャージは、一般ユーザ用アプリにおける出金口座(登録済の銀行口座やクレジットカード)及びチャージ金額の指定に応じてサーバが実行する。
【0025】
加盟店ユーザは、本コード決済サービスで支払いが可能なリアル店舗を運営しているユーザであり、決済に利用する加盟店ユーザ端末として例えばタブレット端末やPOS端末を所有している。加盟店ユーザが使用する加盟店ユーザ端末には、本コード決済サービスに対応した加盟店ユーザ用アプリケーションプログラム(以下、単に加盟店ユーザ用アプリという)が実装(インストール)される。なお、加盟店ユーザは、本コード決済サービスの利用に先立ち、オンライン又はオフラインで本コード決済サービスの利用登録を行う。
【0026】
図1に示すように、一般ユーザが加盟店ユーザのリアル店舗で商品又はサービスを購入し、その代金を本コード決済サービスを利用して支払う場合、一般ユーザは、一般ユーザ端末で一般ユーザ用アプリを起動してコード支払画面を表示し、加盟店ユーザの店員に提示する。加盟店ユーザの店員は、加盟店ユーザ端末に一般ユーザが支払う金額(例えば、スパゲティ代金900円)を入力した後、加盟店ユーザ端末で一般ユーザ端末に表示されたコード情報(一般ユーザ識別子を特定するためのバーコード、QRコードなど)を読み取る。加盟店ユーザ端末は、コード情報を読み取ると、コード情報、支払金額、加盟店ユーザ識別子などが含まれるコード決済依頼情報をサーバに送信する。なお、コード決済依頼情報は、一般ユーザ端末からサーバに送信してもよい。この場合は、一般ユーザ端末で加盟店ユーザのコード情報を読み取り、支払金額を入力してサーバに送信する。
【0027】
サーバは、コード決済依頼情報を受信すると、コード決済依頼情報に基づいて、コード決済を行う一般ユーザ識別子及び加盟店ユーザ識別子と、支払金額とを特定し、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを支払金額分(例えば、900円)だけ減らす減算処理と、加盟店ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを支払金額分(例えば、900円)だけ増やす加算処理とを含むコード決済処理を実行する。
【0028】
つぎに、サーバは、特典付与処理を実行する。特典付与処理は、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューのうちの一部(又は全部)である所定バリュー(例えば、100円)に所定の特典(例えば、クーポン)を対応付ける。本実施形態の電子マネーシステムでは、所定バリュー(以下、適宜特典付きバリューという)をお釣りと見做し、お釣りに対してクーポンを対応付ける。つまり、一般ユーザが実際の支払金額(例えば、900円)よりも多い仮想支払金額(例えば、1000円)を加盟店ユーザに渡し、加盟店ユーザが一般ユーザにお釣りを渡す際に、お釣り(例えば、100円)と特典(例えば、クーポン)を分離不能な状態で一般ユーザに渡すイメージのやり取りを電子マネーシステム上で実現する。なお、仮想支払金額は、支払金額よりも多いキリのいい金額をサーバが自動的に設定してもよいし、加盟店ユーザが支払金額に応じて予め設定した金額としてもよい。
【0029】
サーバは、コード決済処理及び特典付与処理が完了したら、加盟店ユーザ端末及び一般ユーザ端末にコード決済完了通知を送信する。加盟店ユーザ端末に送信されるコード決済完了通知には、少なくともコード決済した支払金額情報が含まれている。加盟店ユーザ端末は、コード決済完了通知を受信すると、コード決済が完了した旨のメッセージと、支払金額(例えば、900円)とが含まれるコード決済完了画面を表示させる。
【0030】
一方、一般ユーザ端末に送信されるコード決済完了通知には、少なくとも、支払金額情報、仮想支払金額情報、お釣り金額情報及び特典情報が含まれている。一般ユーザ端末は、コード決済完了通知を受信すると、コード決済が完了した旨のメッセージと、支払金額(例えば、900円)と、仮想支払金額(例えば、1000円)と、お釣り金額(例えば、100円)と、お釣り金額に対応付けられた特典(例えば、クーポン)とが含まれるコード決済完了画面を表示させる。
【0031】
特典付きバリューは、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレット内において、概念的に他のバリューと区別して管理される。特典は、特典付きバリューが、商品又はサービスの新たな提供を受ける際に消費されることと引き換えに提供される。例えば、特典付きバリューをお釣りとして受け取った加盟店ユーザのリアル店舗で再び商品又はサービスを購入する際に、購入代金の一部として特典付きバリューを支払うと、当該加盟店ユーザ(提供主体の一例)から特典が提供される。なお、本実施形態では、特典付きバリューを発行した加盟店ユーザと、特典付きバリューの消費に応じて特典を提供する加盟店ユーザが同じである場合について説明するが、特典付きバリューを発行した加盟店ユーザと、特典付きバリューの消費に応じて特典を提供する加盟店ユーザは、所定の関連性(例えば、共通ポイントサービス加盟店など)を有していれば、同じでなくともよい。
【0032】
特典付きバリューの特典は、特定の一部若しくは全部の商品又は特定の一部若しくは全部のサービスの実質的な割り引き又は無料化である。例えば、所定金額(例えば、200円)の商品を購入する際に、支払金額の一部を特典付きバリュー(例えば、100円)で支払うと、所定の特典金額(例えば、20円)が割り引かれ、所定金額(例えば、200円)の商品を実質的に所定の割引価格(例えば、180円)で購入することが可能になる。これは、特典付きバリュー(例えば、100円)が、それよりも高いバリュー(例えば、120円)として扱われることと、実質的に等価でもある。なお、特典付きバリューは、対応付けられた特典を受けることなく消費可能である。例えば、特典を受ける条件を満たさない加盟店ユーザのリアル店舗で特典付きバリュー(例えば、100円)を支払うと、特典付きバリューは、対応付けられた特典を受けることなく本来の貨幣価値(例えば、100円)として消費される。
【0033】
つぎに、特典を受ける際の処理の概念について、
図2を参照して説明する。
図2に示すように、一般ユーザが加盟店ユーザのリアル店舗で商品又はサービスを購入し、その代金を本コード決済サービスを利用して支払う場合であって、かつ代金の一部を特典付きバリューで支払う場合、一般ユーザは、一般ユーザ端末で一般ユーザ用アプリを起動してコード支払画面を表示し、加盟店ユーザの店員に提示する。このとき、一般ユーザは、一般ユーザ端末のコード支払画面において、使用する特典付きバリューを選択しておく。
【0034】
加盟店ユーザの店員は、加盟店ユーザ端末に一般ユーザが支払う金額(例えば、コーヒー代金200円)を入力した後、加盟店ユーザ端末で一般ユーザ端末に表示されたコード情報(一般ユーザ識別子及び使用特典付きバリューを特定するためのバーコード、QRコードなど)を読み取る。加盟店ユーザ端末は、コード情報を読み取ると、コード情報、支払金額、加盟店ユーザ識別子などが含まれるコード決済依頼情報をサーバに送信する。なお、コード決済依頼情報は、一般ユーザ端末からサーバに送信してもよい。この場合は、一般ユーザ端末で加盟店ユーザのコード情報を読み取り、支払金額を入力してサーバに送信する。
【0035】
サーバは、コード決済依頼情報を受信すると、コード決済依頼情報に基づいて、コード決済を行う一般ユーザ識別子及び加盟店ユーザ識別子と、支払金額と、使用特典付きバリューとを特定する。つぎに、サーバは、特典による割引額(例えば、20円)と、特典付きバリューの本来の貨幣価値(例えば、100円)と、支払金額(例えば、200円)とに基づいて、実際の支払金額(例えば、180円=200円-20円)を算出する。そして、サーバは、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを実際の支払金額分(例えば、180円)だけ減らす減算処理と、加盟店ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを実際の支払金額分(例えば、180円)だけ増やす加算処理とを含むコード決済処理を実行する。なお、減算処理の内訳としては、例えば、使用した特典付きバリューの無効化処理と、特典が対応付けられていない通常バリューから残りの金額(例えば、80円=200円-(100円+20円))を減算する処理とが含まれる。
【0036】
サーバは、コード決済処理が完了したら、加盟店ユーザ端末及び一般ユーザ端末にコード決済完了通知を送信する。加盟店ユーザ端末及び一般ユーザ端末に送信されるコード決済完了通知には、少なくともコード決済した支払金額情報が含まれている。加盟店ユーザ端末及び一般ユーザ端末は、コード決済完了通知を受信すると、コード決済が完了した旨のメッセージと、本来の支払金額(例えば、200円)と、特典による割引価格(例えば、20円)と、実際の支払金額(例えば、180円)とが含まれるコード決済完了画面を表示させる。
【0037】
(サーバの機能構成)
図3に示すように、本電子マネーシステムは、本コード決済サービスを提供するサーバ100と、一般ユーザが使用する一般ユーザ端末200と、加盟店ユーザが使用する加盟店ユーザ端末300と、これらを通信可能に接続するインターネットなどのネットワーク400とを備える。
【0038】
サーバ100は、ハードウェアとソフトウェアの協働により実現される各種の機能構成(以下、適宜機能ブロックという)を備える。サーバ100は、機能ブロックとして、電子マネーウォレットDB101と、ユーザ端末通信手段102と、ユーザ登録処理手段103と、チャージ処理手段104と、決済処理手段105(決済処理部の一例)と、特典付与手段106(特典付与部の一例)と、通知処理手段107と、照会処理手段108と、送金処理手段109とを備える。
【0039】
電子マネーウォレットDB101は、一般ユーザ識別子及び加盟店ユーザ識別子と、一般ユーザ識別子及び加盟店ユーザ識別子に対応付けられたユーザ登録情報と、一般ユーザ識別子及び加盟店ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーのバリュー情報と、チャージ、決済、送金などの履歴情報とが記憶されている。
【0040】
図4は、一般ユーザ識別子に対応付けられた一般ユーザのバリュー情報を示している。
図4に示すように、一般ユーザのバリュー情報には、複数種類のバリューに関する情報が保管されており、バリュー種別毎に、バリュー金額、特典利用時金額、特典付与店舗、特典提供可能店舗、特典付与日、特典有効期限などが対応付けて保管されている。
【0041】
バリュー種別には、特典が対応付けられていない通常バリューと、特典が対応付けられている特典付きバリューとが含まれており、特典付きバリューには、それぞれ固有の識別子(
図4では、A、B、C…)が付与される。バリュー金額は、各種バリューの貨幣価値であり、通常バリューのバリュー金額は、通常の支払いに使用可能な電子マネー金額である。また、特典付きバリューのバリュー金額は、決済時にお釣りとして受け取り、特典が付与された電子マネー金額である。特典利用時金額は、所定条件を満たすリアル店舗で特典付きバリューを使用した場合の電子マネー金額であり、特典付きバリューの本来の電子マネー金額に特典による割引金額を加えた電子マネー金額である。特典付与店舗は、特典付与時に決済を行った店舗情報であり、特典提供可能店舗は、特典を受けられる店舗情報であり、特典付与日は、特典が付与された日であり、特典有効期限は、特典を使用可能な期限である。
【0042】
ユーザ端末通信手段102は、ネットワーク400を介した一般ユーザ端末200及び加盟店ユーザ端末300との通信を制御する。ユーザ登録処理手段103は、一般ユーザ及び加盟店ユーザの利用登録時などに一般ユーザ端末200及び加盟店ユーザ端末300からユーザ登録情報を受信し、受信したユーザ登録情報を電子マネーウォレットDB101に格納する。チャージ処理手段104は、一般ユーザ端末200からチャージ依頼情報を受信すると、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに電子マネーをチャージする。チャージ依頼情報には、一般ユーザ識別子、出金口座、チャージ金額などが含まれる。
【0043】
決済処理手段105は、加盟店ユーザ端末300又は一般ユーザ端末200からコード決済依頼情報を受信すると、コード決済依頼情報に基づいて、コード決済を行う一般ユーザ識別子及び加盟店ユーザ識別子と、支払金額とを特定し、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを支払金額分だけ減らす減算処理と、加盟店ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを支払金額分だけ増やす加算処理とを含むコード決済処理を実行する。
【0044】
また、決済処理手段105は、特典付きバリューを使用するコード決済依頼情報を受信すると、コード決済依頼情報に基づいて、コード決済を行う一般ユーザ識別子及び加盟店ユーザ識別子と、支払金額と、使用特典付きバリューとを特定する。つぎに、サーバは、特典による割引額と、特典付きバリューの本来の貨幣価値と、支払金額とに基づいて、実際の支払金額を算出する。そして、サーバは、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを実際の支払金額分だけ減らす減算処理と、加盟店ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを実際の支払金額分だけ増やす加算処理とを含むコード決済処理を実行する。
【0045】
特典付与手段106は、コード決済処理後、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューのうちの一部(又は全部)である所定バリューに所定の特典を対応付ける。特典付きバリューは、一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレット内において、概念的に他のバリューと区別して管理される。
【0046】
通知処理手段107は、チャージ完了通知、コード決済完了通知、後述する送金完了通知などの通知を一般ユーザ端末200や加盟店ユーザ端末300に送信する。照会処理手段108は、一般ユーザ端末200や加盟店ユーザ端末300から電子マネー残高照会依頼情報、特典付きバリュー照会依頼情報などの照会依頼情報を受信すると、対応する照会データを電子マネーウォレットDB101で検索し、一般ユーザ端末200や加盟店ユーザ端末300に送信する。
【0047】
送金処理手段109は、電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを一般ユーザ同士の間で移動させる処理を行う。例えば、一般ユーザAが一般ユーザBに電子マネーのバリューを送金する場合、一般ユーザA及び一般ユーザBは、一般ユーザ端末200で一般ユーザ用アプリを起動してコード送金画面を表示し、一般ユーザAが自分の一般ユーザ端末200に送金額を入力した後、一般ユーザBの一般ユーザ端末200に表示されたコード情報(一般ユーザ識別子を特定するためのバーコード、QRコードなど)を読み取る。一般ユーザAの一般ユーザ端末200は、コード情報を読み取ると、コード情報、送金額、送金元一般ユーザ識別子などが含まれるコード送金依頼情報をサーバ100に送信する。
【0048】
送金処理手段109は、サーバ100がコード送金依頼情報を受信すると、コード送金依頼情報に基づいて、送金を行う一般ユーザA及び一般ユーザBの一般ユーザ識別子と、送金額とを特定し、一般ユーザAの一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを送金額分だけ減らす減算処理と、一般ユーザBの一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される電子マネーのバリューを送金額分だけ増やす加算処理とを含むコード送金処理を実行する。
【0049】
特典付きバリューは、所定の特典が対応付けられたまま、上記のコード送金処理を用いて一般ユーザ間で移転させることができる。例えば、送金元の一般ユーザAが自分の一般ユーザ端末200に送金額を入力する際、特典付きバリューを選択すると、特典付きバリューに関するコード送金依頼情報がサーバ100に送信される。送金処理手段109は、サーバ100が特典付きバリューに関するコード送金依頼情報を受信すると、コード送金依頼情報に基づいて、送金を行う一般ユーザA及び一般ユーザBの一般ユーザ識別子と、特典付きバリューとを特定し、一般ユーザAの一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに格納される特典付きバリューを無効化する処理と、一般ユーザBの一般ユーザ識別子に対応付けられた電子マネーウォレットに特典付きバリューを格納する処理とを実行する。
【0050】
図5は、上記本電子マネーシステムのコード決済処理機能を、サーバ100、一般ユーザ端末200及び加盟店ユーザ端末300が連携する処理ステップ(S11~S21)としてフローチャートの形にまとめたものであるが、繰り返しになるので説明は省略する。
【0051】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0052】
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、電子マネーを取り扱う電子マネーシステムであって、一般ユーザが所定商品又は所定サービスの提供を受ける際に、所定識別子に対応付けられた電子マネーを利用した場合、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを、所定商品又は所定サービスの対価分だけ減らす決済処理を行う決済処理手段105と、決済処理に伴い、所定識別子に対応付けられた電子マネーに対して、所定の特典を付与する特典付与手段106を備え、特典付与手段106は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューのうちの一部若しくは全部である所定バリューに所定の特典を対応付けるので、一般ユーザが実際の支払金額よりも多い仮想支払金額を加盟店ユーザに渡し、加盟店ユーザが一般ユーザにお釣りを渡す際に、お釣りと特典を分離不能な状態で一般ユーザに渡すイメージのやり取りを電子マネーシステム上で実現できる。
【0053】
また、特典は、特典付きバリューが、商品又はサービスの新たな提供を受けることで消費されることと引き換えに、特典を付与した提供主体により提供されるので、特典の利用率を高めることができる。
【0054】
また、新たな提供に係る商品又はサービスの提供主体は、特典を付与した提供主体と同じ又は関連するので、同一店舗又は関連店舗での特典利用率を高めることができる。
【0055】
また、特典は、特定の一部若しくは全部の商品又は特定の一部若しくは全部のサービスの実質的な割り引き又は無料化なので、特典の利用率を更に高めることができる。
【0056】
また、特典付きバリューは、特典を受けることなく消費可能なので、通常のバリューと同じように扱うこともできる。
【0057】
また、特典付きバリューは、特典が対応付けられたまま、所定識別子とは異なる識別子に対応付けられた別の電子マネーウォレットに移転可能なので、使う予定のない特典付きバリューを他者に譲ったり、互いに欲しい特典付きバリューを他者と交換したりすることができる。例えば、ある店舗において、所定値の特典付きバリューを利用すると更なる特別な特典が得られる場合(例えば888円の特典付きバリューを利用すると、特別なグッズがもらえる場合)、かかる移転が促進される。
【0058】
次に、更なる有用な実施形態について説明する。
図6は、更なる有用な実施形態の説明図である。
【0059】
本実施形態では、電子マネーは、複数のバリューに分けて利用可能である。例えば、電子マネーは、複数単位のバリューごとに分離可能でかつ複数単位のバリューごとにマネー識別子が付与された状態で流通可能である。複数単位は、1円、10円、50円、100円、500円、1000円、5000円、10000円といった具合に、、日本円と同じ単位であってもよいし、異なってもよい(例えば
図6の例2))し、ユーザにより任意に設定可能とされてもよい。この場合、例えばバリューとして20000円分の電子マネーは、1000円×20で構成されている場合もあれば、10000円×2で構成されている場合もあるし、10000×1+1000×10で構成されている場合もあるし、その他の場合もある。また、単位が10000円の電子マネーは、例えば、5000円×2に変換(分割)可能であってもよいし、逆に、単位が5000円の電子マネーは、2つ併合して単位が10000円の電子マネーに変換可能であるといった具合に、分割や併合が可能とされてよい。なお、分割の場合は、増加した単位の電子マネーに対してマネー識別子が新たに付与され、併合の場合は、併合後の、ある一の単位の電子マネーに対して、併合前の一のマネー識別子が付与(継続的に利用)されてもよいし、新たなマネー識別子が付与されてもよい。この種の流通形態は、例えば特開2016-062280号に開示されるような形態であってよい。
【0060】
本実施形態では、電子マネーは、マネー識別子が付与された状態で流通するので、上記の所定の特典を、バリューに付与されたマネー識別子にも対応付けることができる。
【0061】
具体的には、例えば
図6に示す例では、例1)として、ユーザが店1で900円の買い物をする際に、単位が1000円の電子マネーを利用した場合が想定される。この場合、店1は、お釣りとして、単位が100円の電子マネーをユーザに返す。なお、単位が100円の電子マネー(お釣り)には、単位が1000円の電子マネー(ユーザが利用した電子マネー)とは異なるマネー識別子が付与されている。この場合、マネー識別子“22222MU”が付与された、単位が100円の電子マネー(お釣り)に、所定の特典が対応付けられ、当該100円の電子マネーが、上述した“特典付きバリュー”として機能する。そして、この場合、所定の特典は、例えば、店1が発行する特典であって、店1で享受できる特典である。
【0062】
また、例えば
図6に示す例では、例2)として、ユーザが店2で60円の買い物をする際に、単位が100円の電子マネーを利用した場合が想定される。この場合、店1は、お釣りとして、単位が40円の電子マネーをユーザに返す。なお、単位が40円の電子マネー(お釣り)には、単位が100円の電子マネー(ユーザが利用した電子マネー)とは異なるマネー識別子が付与されている。この場合、マネー識別子“33333MI”が付与された、単位が40円の電子マネー(お釣り)に、所定の特典が対応付けられ、当該40円の電子マネーが、“特典付きバリュー”として機能する。そして、この場合、所定の特典は、例えば、店2が発行する特典であって、店2で享受できる特典である。
【0063】
(変形例)
上記の実施形態において、特典付与手段106は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューのうちの一部若しくは全部である所定バリューに所定の特典を対応付けることにより、電子マネーシステム上に「特典付きのお釣り」という新たな概念を導入しているが、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを所定バリューだけ増加させ、かつ該所定バリューに所定の特典を対応付けるようにしてもよい。このようにすると、電子マネーシステム上に「特典付きのおまけ」という新たな概念を導入できる。
【0064】
また、決済処理に伴い、所定識別子に対応付けられた電子マネーに対して、所定の広告を付与する広告付与部を備えていてもよい。この広告付与部は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューのうちの一部若しくは全部である所定バリューに所定の広告を対応付け、又は、所定識別子に対応付けられた電子マネーのバリューを所定バリューだけ増加させ、かつ該所定バリューに所定の広告を対応付ける。このような広告付与部によれば、電子マネーシステム上に「広告付きのお釣り」や「広告付きのおまけ」という新たな概念を導入できる。なお、所定の広告は、一般ユーザ端末200で広告出力部により出力されてもよい。この場合、所定の広告は、例えば、表示可能なテキストデータ、静止画データ又は動画データであり、表示するタイミングは任意に設定できる。
【0065】
あるいは、広告付与部は、決済以外のタイミング(決済を行う前のタイミング)で、所定識別子に対応付けられた電子マネーに対して、所定の広告を付与してもよい。
【0066】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0067】
100 サーバ
101 電子マネーウォレットDB
102 ユーザ端末通信手段
103 ユーザ登録処理手段
104 チャージ処理手段
105 決済処理手段
106 特典付与手段
107 通知処理手段
108 照会処理手段
109 送金処理手段
200 一般ユーザ端末
300 加盟店ユーザ端末
400 ネットワーク