(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/55 20210101AFI20231018BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20231018BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20231018BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20231018BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20231018BHJP
【FI】
H01M50/55 201
H01M50/213
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/516
(21)【出願番号】P 2019187375
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 博
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0042341(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0032887(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0042113(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0322614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/55
H01M 50/213
H01M 50/503
H01M 50/505
H01M 50/516
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一極の端子を同じ側に向けて互いに平行配置された複数のバッテリセルを含むバッテリセル群と、
前記複数のバッテリセルが挿入される挿入孔を有する第1面と、前記第1面に垂直な第2面と、前記第1面に被固定面が形成された複数の被固定部と、を有し、前記バッテリセル群を保持するホルダと、
前記ホルダの前記第1面側に配置され、前記複数のバッテリセルの隣接する同一極の前記端子を互いに電気的に接続させる端子板と、
前記端子板に電気的に接続されたバスバーと、
前記端子板及び前記バスバーを前記ホルダに共締めし、前記端子板を前記バスバーに電気的に接続させる複数の締結具と、を備え、
前記端子板は、
前記バスバーよりも薄肉で、かつ、前記複数のバッテリセルの前記端子に溶接で接合されており、
前記端子板は、前記複数のバッテリセルの配列方向に延びた長尺部と、前記長尺部の長辺側に互いに間隔をあけて配置された複数の固定部と、を有し、
前記バスバーは、前記端子板の前記複数の固定部に夫々重ねられる複数の固定部を有し、
前記締結具は、前記被固定部に対して前記端子板の前記固定部及び前記バスバーの前記固定部を締結している、電池パック。
【請求項2】
互いに平行配置された複数のバッテリセルを含むバッテリセル群と、
前記複数のバッテリセルが挿入される挿入孔を有する第1面と、前記第1面に垂直な第2面と、前記第1面に被固定面が形成された複数の被固定部と、を有し、前記バッテリセル群を保持するホルダと、
前記ホルダの前記第1面側に配置され、前記複数のバッテリセルの端子を互いに電気的に接続させる端子板と、
前記端子板に電気的に接続されたバスバーと、
前記端子板及び前記バスバーを前記ホルダに共締めし、前記端子板を前記バスバーに電気的に接続させる複数の締結具と、を備え、
前記端子板は、
前記バスバーよりも薄肉で、かつ、前記複数のバッテリセルの前記端子に溶接で接合されており、
前記端子板は、前記複数のバッテリセルの配列方向に延びた長尺部と、前記長尺部の長辺側に互いに間隔をあけて配置された複数の固定部と、を有し、
前記バスバーは、前記端子板の前記複数の固定部に夫々重ねられる複数の固定部を有し、
前記締結具は、前記被固定部に対して前記端子板の前記固定部及び前記バスバーの前記固定部を締結しており、
前記被固定部は、前記第2面において隆起した形状を有し、
前記バスバーは、前記長尺部の長辺に沿って前記第1面側に配置され且つ前記固定部を含む第1バー部と、前記第2面側に配置された第2バー部と、前記第1バー部を前記第2バー部に接続する屈曲形状の複数の連結バー部と、を有し、
前記複数の固定部は、前記長尺部の短手方向に前記長尺部からそれぞれ突出し、
前記複数の連結バー部は、前記第1バー部の長手方向において前記被固定部と異なる位置に分散配置され、
前記第2バー部及び前記連結バー部は、前記被固定部を迂回した形状を有し、
前記第2バー部及び前記連結バー部は、前記第2面の法線方向において前記被固定部と重なる高さに配置されている、電池パック。
【請求項3】
前記端子板のうち第1バー部に隣接する端縁は、前記第1バー部から離れる側に窪んだ凹部を有し、
前記第1バー部は、前記凹部に向けてずれたオフセット部を有し、
前記連結バー部は、前記オフセット部に接続されている、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記被固定部及び前記凹部の各々は、前記配列方向において隣接する前記バッテリセルの間に配置され、
前記被固定部及び前記凹部は、前記配列方向に交互に並んでいる、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
互いに平行配置された複数のバッテリセルを含むバッテリセル群と、
前記複数のバッテリセルが挿入される挿入孔を有する第1面と、前記第1面に垂直な第2面と、前記第1面に被固定面が形成された複数の被固定部と、を有し、前記バッテリセル群を保持するホルダと、
前記ホルダの前記第1面側に配置され、前記複数のバッテリセルの端子を互いに電気的に接続させる端子板と、
前記端子板に電気的に接続されたバスバーと、
前記端子板及び前記バスバーを前記ホルダに共締めし、前記端子板を前記バスバーに電気的に接続させる複数の締結具と、を備え、
前記端子板は、
前記バスバーよりも薄肉で、かつ、前記複数のバッテリセルの前記端子に溶接で接合されており、
前記端子板は、前記複数のバッテリセルの配列方向に延びた長尺部と、前記長尺部の長辺側に互いに間隔をあけて配置された複数の固定部と、を有し、
前記バスバーは、前記端子板の前記複数の固定部に夫々重ねられる複数の固定部を有し、
前記締結具は、前記被固定部に対して前記端子板の前記固定部及び前記バスバーの前記固定部を締結しており、
前記第1面は、前記端子板が設置される端子板設置面と、前記バスバーが設置されるバスバー設置面と、を含み、
前記バスバー設置面は、前記端子板設置面よりも凹んでいる、電池パック。
【請求項6】
前記第1面は、前記端子板設置面及び前記バスバー設置面とは異なる主表面を含み、
前記端子板設置面は、前記主表面よりも凹んでいる、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記被固定部は、前記端子板の長手方向において、互いに隣接する前記バッテリセルの間に配置されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリが搭載されたハイブリッド車両である自動二輪車が開示されている。当該バッテリは、EV走行用モータに供給される電力を蓄電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリ等には、乗物走行時に発生する振動が伝達されることもあり、バッテリセルの端子と端子板との間の接触を安定させるために互いに溶接で接合することが考えられる。その場合、溶接がバッテリセルにダメージを与えるのを防ぐために低入熱で溶接できるように、端子板を十分に薄肉にする必要が生じる。しかし、端子板が薄肉であると、端子板の形状や電流が流れる向き等によっては発熱が生じやすくなる場合がある。
【0005】
そこで本発明は、バッテリセルの端子と端子板との間の接触を安定化しながらも、端子板における発熱を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電池パックは、互いに平行配置された複数のバッテリセルを含むバッテリセル群と、前記複数のバッテリセルが挿入される挿入孔を有する第1面と、前記第1面に垂直な第2面と、前記第1面に被固定面が形成された複数の被固定部と、を有し、前記バッテリセル群を保持するホルダと、前記ホルダの前記第1面側に配置され、前記複数のバッテリセルの端子を互いに電気的に接続させる端子板と、前記端子板に電気的に接続されたバスバーと、前記端子板及び前記バスバーを前記ホルダに共締めし、前記端子板を前記バスバーに電気的に接続させる複数の締結具と、を備え、前記端子板は、前記バスバーよりも薄肉で、かつ、前記複数のバッテリセルの前記端子に溶接で接合されており、前記端子板は、前記複数のバッテリセルの配列方向に延びた長尺部と、前記長尺部の長辺側に互いに間隔をあけて配置された複数の固定部と、を有し、前記バスバーは、前記端子板の前記複数の固定部に夫々重ねられる複数の固定部を有し、前記締結具は、前記被固定部に対して前記端子板の前記固定部及び前記バスバーの前記固定部を締結している。
【0007】
前記構成によれば、端子板を薄肉にしてバッテリセルの端子に溶接した構成において、長尺状の端子板は、その長辺側の複数の固定部においてバスバーに接続されるため、端子板の短辺側でバスバーに接続される場合に比べ、通電断面の局所的な狭小化が防がれ、端子板における局所的な発熱を抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バッテリセルの端子と端子板との間の接触を安定化しながらも、端子板における発熱を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る自動二輪車の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す自動二輪車に搭載される電池パックの後上方から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す電池パックの内部ユニットの前下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係る自動二輪車1の側面図である。
図1に示すように、自動二輪車1は、乗物の一例としてのハイブリッド車両である。自動二輪車1は、前輪2(従動輪)と、後輪3(駆動輪)と、車体フレーム4と、前輪2を車体フレーム4の前部に接続する前サスペンション5と、後輪3を車体フレーム4の後部に接続する後サスペンション(図示せず)とを備える。前サスペンション5が接続されたブラケット6には、ハンドル7に接続される操舵軸(図示せず)が接続される。当該操舵軸は、車体フレーム4の一部であるヘッドパイプ4aに角変位可能に支持される。
【0012】
車体フレーム4は、ヘッドパイプ4aから後方に延びるメインフレーム4bと、メインフレーム4bの上後部から後方に延びるシート支持フレーム4cと、メインフレーム4bの下部からシート支持フレーム4cの中途部に向けて延びてシート支持フレーム4cを下方から支持する補助フレーム4dと、を有する。ハンドル7の後側には、燃料タンク8が設けられ、燃料タンク8の後側に運転者が着座するシート9が設けられている。シート9は、シート支持フレーム4cに支持されている。メインフレーム4bには、前輪2と後輪3と間において走行動力源となるエンジンEが搭載されている。エンジンEの近傍には、走行動力源となる電動モータMが配置されている。
【0013】
エンジンEの気筒Ebの下部から後方には、クランクケース10が延びている。エンジンEの気筒Ebの後方で且つクランクケース10の上方には、駆動輪に伝達される走行動力を発生する駆動用の電動モータMが配置されている。電動モータMは、クランクケース10を介してメインフレーム4bに支持されている。電動モータMには、一体的にインバータ12が設けられているが、電動モータMから離れた位置にインバータが配置されてもよい。
【0014】
クランクケース10の内部には、入力軸11a及び出力軸11bを備える変速機11が配置されている。入力軸11aには、エンジンEのクランク軸Eaからギヤ及びメインクラッチ(図示せず)を介して動力が伝達される。変速機11の入力軸11aには、電動モータMから図示しない動力伝達機構を介して動力が伝達される。即ち、エンジンE及び電動モータMの両方の動力が入力軸11aに伝達される。なお、自動二輪車1は、パラレルハイブリッド方式に限られず、シリーズハイブリッド方式でもよい。車体フレーム4には、後輪3を支持して前後方向に延びるスイングアーム13が角変位可能に支持されている。変速機11の出力軸11bの回転動力は、出力伝達部材14(例えば、チェーン、ベルト等)を介して後輪3に伝達される。
【0015】
電動モータMの後方には、シート支持フレーム4cに支持された電池パック15が配置されている。即ち、電池パック15は、シート9の下側に配置されている。電動モータMに供給される電力を蓄える駆動系の電池パック15がシート9の下側に配置されることで、重量物である電池パック15が自動二輪車1の重心近くに位置する。電池パック15は、電動モータMに供給される電力を蓄える。電池パック15の後方には、シート支持フレーム4cに支持されたDCDCコンバータ16が配置されている。DCDCコンバータ16は、電池パック15から出力された電力の電圧を下げる。
【0016】
DCDCコンバータ16の後方には、シート支持フレーム4cに支持された補助バッテリ17が配置されている。補助バッテリ17には、電池パック15からの電力がDCDCコンバータ16で降圧されて供給される。即ち、電池パック15が走行駆動源である電動モータMを駆動する高電圧の電力を出力する一方、補助バッテリ17が電装品(例えば、ECU等)に供給される低電圧の電力を出力する。
【0017】
電池パック15の下端は、後輪3の上端よりも下方かつ前方に位置する。電池パック15の一部は、シート支持フレーム4cの下側に位置する。電池パック15、DCDCコンバータ16及び補助バッテリ17は、後輪3に対向するリアフェンダ18で下方から覆われている。リアフェンダ18は、シート支持フレーム4cに支持されている。リアフェンダ18の前部は、電池パック15の後面及び底面を覆っている。電池パック15は、シート支持フレーム4c及び補助フレーム4dの車幅方向内側に配置されている。電池パック15の互いに車幅方向に対向する一対の両側面(左面及び右面)は、自動二輪車1の外部に露出している。即ち、電池パック15の車幅方向の両側面は、自動二輪車1の側面視で露出しており、走行風が直接当たる。
【0018】
図2は、
図1の自動二輪車1に搭載される電池パック15の後上方から見た斜視図である。なお、以下の説明では、電池パック15が自動二輪車1に搭載された状態の向き(姿勢)で方向を定義するが、電池パック15の向きはこれに限られない。
図2に示すように、電池パック15は、略直方体のケーシング20を備える。ケーシング20は、ケーシング本体21及びカバー22を有する。
【0019】
ケーシング本体21は、六面体の後面側が開放された形状を有する。カバー22は、ケーシング本体21の後開口を後方から閉鎖し、ケーシング20の後壁を構成する。カバー22は、凹形状を有する。ケーシング20には、後述の内部ユニット30(
図3参照)が出し入れ可能に収容されている。カバー22には、その内部ユニット30に電気的に接続された正極側コネクタ23及び負極側コネクタ24が設けられている。なお、ケーシング本体21の両側壁には放熱フィンが設けられると好適である。
【0020】
図3は、
図2に示す電池パック15の内部ユニット30の前下方から見た斜視図である。
図4は、
図3に示す内部ユニット30の側面図である。
図5は、
図3の内部ユニットの部分拡大図である。
図3乃至5に示すように、電池パック15(
図2参照)は、ケーシング20に収容される内部ユニット30を備える。内部ユニット30は、バッテリ集合体31及び電装品集合体32を備える。電装品集合体32は、バッテリ集合体31の側方(例えば、後方)に配置されている。これにより内部ユニット30の高さ寸法の増大が抑制されている。バッテリ集合体31は、ケーシング本体21(
図2参照)の内部空間に配置され、バッテリ集合体31はカバー22の内部空間に配置される。
【0021】
電装品集合体32は、プラットフォーム33及び複数の電装品34を備える。プラットフォーム32は、各電装品33が設置される台である。複数の電装品34は、例えば、BMS、リレー装置、ヒューズ装置、電流センサ等を含む。プラットフォーム33は、後述のホルダ36に接続されている。
【0022】
バッテリ集合体31は、バッテリセル群35及びホルダ36を備える。バッテリ集合体31は、全体として略直方体形状を有する。バッテリセル群35は、複数のバッテリセル37を含む。各バッテリセル37は、略円柱形状を有し、略直方体状の群を形成するように並べられて互いに導通している。各バッテリセル37は、互いに平行配置され、バッテリセル37の端子37aは、左右方向外方を向いている。具体的には、バッテリセル37は、左右方向に二列に配置されている。
【0023】
ホルダ36は、バッテリセル37を保持している。ホルダ36は、中央ホルダ38及び一対の端ホルダ39を含む。二列のバッテリセル37の各列は、中央ホルダ38で仕切られるが、その一部で中央ホルダ38を迂回して互いに導通している。二列のバッテリセル37は、その中央ホルダ38側の端部が中央ホルダ38に保持され、その端ホルダ39側の端部が端ホルダ39に保持されている。端ホルダ39は、バッテリセル37の端子37aを左右方向外方に露出させる挿入孔50を有する。一対の端ホルダ39のうち一方には、バッテリセル群35の正極側の端子が配置され、一対の端ホルダ39のうち他方には、バッテリセル群35の負極側の端子が配置される。以下に説明する構造は、正極側と負極側とで共通しているため、以下では正極側又は負極側の一方について代表して説明する。
【0024】
端ホルダ39は、バッテリセル37が挿入される挿入孔50を有して左右方向外方に向いた側面51(第1面)と、側面51に垂直で下方に向いた底面52とを有する。端ホルダ39は、底面39側において前後方向に間隔をあけて複数の被固定部53を有する。被固定部53は、側面51側において形成された平坦な被固定面53aを有する。被固定面53aには、左右方向外方に向いたナットNがインサートされており、当該ナットが被固定面53aにおいて露出している。被固定部53aは、底面52側において隆起した形状を有する。
【0025】
並設された各バッテリセル37の端子37aは、前後方向に延びた端子板40を介して互いに導通している。端ホルダ39の側面51及び底面52には、バスバー41が敷設されている。端子板40及びバスバー41は、複数のボルトB(締結具)により端ホルダ39の被固定面53aに共締めされている。これにより、端子板40がバスバー41に当接して電気的に接続させられる。バスバー41は、電装品集合体32の電気回路にも電気的に接続されている。即ち、電装品集合体32の電気回路は、バスバー41を介して端子板40に導通している。
【0026】
端子板40は、端ホルダ39の側面51側に配置されている。端子板40の法線は、左右方向外方を向いている。端子板40は、一方向(前後方向)に並んだ複数のバッテリセル37の端子37aを互いに電気的に接続させる。端子板40は、バスバー41よりも薄肉の金属板である。端子板40の肉厚は、例えば、0.05~0.25mmの範囲内の厚みである。端子板40は、長尺部60及び複数の固定部61を有する。
【0027】
長尺部60は、バッテリセル34の配列方向となる一方向に延びている。長尺部60は、一方向に並んだ複数のバッテリセル37の各端子37aを覆っている。複数の固定部61は、下方(長尺部60の短手方向)に長尺部60からそれぞれ突出している。固定部61には、ボルト挿通孔H1が形成されている。複数の固定部61は、長尺部60の長辺側に互いに間隔をあけて配置されている。端子板40の長尺部60は、複数のバッテリセル37の各端子37aに溶接で接合されている。
【0028】
バスバー41は、略帯状の金属板である。バスバー41は、第1バー部71、第2バー部72及び連結バー部73を有する。第1バー部71は、端ホルダ39の側面51側に配置され、端子板40の長尺部60の下側において長尺部60の長辺に沿って延びている。第1バー部71は、複数の53aを覆っている。第1バー部71は、被固定面53aに対向する固定部71aを有する。
【0029】
バスバー41の固定部71aと端子板40の固定部61とは、端ホルダ39の被固定面53a上において互いに重ねられている。固定部71aには、ボルト挿通孔H2が形成されている。ボルト挿通孔H1,H2は、ナットNと同軸上に配置されている。ボルトBは、ボルト挿通孔H1,H2を挿通して被固定部53のナットNに螺合している。即ち、ボルトBは、被固定部53に対して端子板40の固定部61及びバスバー41の固定部71aを締結している。
【0030】
第2バー部72は、底面52側に配置されている。第2バー部72は、第1バー部71と略平行に延びている。第2バー部72は、端ホルダ39の底面52から隆起した被固定部53と異なる位置に配置されている。複数の連結バー部73は、L字状の屈曲形状を有する。各連結バー部73は、第1バー部71を第2バー部72に接続している。各連結バー部73は、第1バー部71の長手方向において端ホルダ39の被固定部53と異なる位置に分散配置されている。
【0031】
第2バー部72及び連結バー部73は、被固定部53を迂回した形状を有する。第2バー部72は、端ホルダ39の底面52と平行である。連結バー部73は、第2バー部72よりも下方(即ち、被固定部53が隆起する向き)に位置していない。第2バー部72及び連結バー部73は、底面52の法線方向において被固定部53と重なる高さに配置されている。バスバー41の下面は、被固定部53の最下点の高さと同じ、又は、被固定部53の最下点より上方(底面52側)に位置している。
【0032】
端ホルダ39の側面51は、端子板設置面51a、バー設置面51b及び主表面51cを含む。端子板設置面51aには、端子板40が設置されている。バー設置面51bには、バスバー41の第1バー部71が設置されている。主表面51cは、側面51のうち端子板設置面51a及びバー設置面51b以外の領域である。端子板設置面51aは、主表面51cよりも凹んでいる。バー設置面51bは、端子板設置面51aよりも凹んでいる。
【0033】
端子板40の長尺部60の下端縁(第1バー部71に隣接する端縁)は、バスバー41の第1バー部71から離れる側(即ち、上方)に窪んだ凹部60aを有する。バスバー41の第1バー部71は、凹部60aに向けてずれたオフセット部71bを有する。オフセット部71bの下端は、第1バー部71のうちオフセット部71b以外の部分の下端よりも上方に位置している。連結バー部73は、第1バー部71のうちオフセット部71bの下端に接続されている。端ホルダ39の被固定部53及び端子板40の凹部60aの各々は、バッテリセル37の配列方向(前後方向)において、互いに隣接するバッテリセル37の間に配置されている。端ホルダ39の被固定部53と端子板40の凹部60aとは、交互に並んでいる。
【0034】
以上に説明した構成によれば、端子板40を薄肉にしてバッテリセル37の端子37aに溶接した構成において、長尺状の端子板40は、その長辺側の複数の固定部61においてバスバー41に接続されるため、端子板40の短辺側でバスバー41に接続される場合に比べ、通電断面の局所的な狭小化が防がれ、端子板40における局所的な発熱を抑制できる。
【0035】
また、バスバー41は、第2バー部72及び連結バー部73においてホルダ36の被固定部53を迂回した形状を有し、第2バー部72及び連結バー部73は、上下方向において被固定部53と重なる高さに配置されているので、バスバー41が被固定部53よりも突出することが抑制され、電池パック15の小型化に寄与できる。
【0036】
また、バスバー41において、連結バー部73が第1バー部71のオフセット部71bに接続されているので、電池パック15の大型化を防ぎながらも連結バー部73を長くできるため、連結バー部73を屈曲形状にしやすくできる。
【0037】
また、被固定部53及び凹部60aの各々は、バッテリセル37の配列方向において隣接するバッテリセル37の間に配置されて交互に並んでいるので、端子板40とバスバー41との間の通電経路が、端子板40の長尺部60の長手方向に分散されるため、局所的な発熱を好適に抑制できる。
【0038】
また、端ホルダ39の側面51において、バー設置面51bが端子板設置面51aよりも凹んでいるので、端ホルダ39の側面51側におけるバスバー41の突出を抑制でき、電池パック15の小型化に寄与できる。また、端ホルダ39の側面51において、端子板設置面51aが主表面51cよりも凹んでいるので、端ホルダ39の主表面51cが何らかの物体に不意に接触しても、端子板40やバスバー41が当該物体に当たることを防止できる。
【0039】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。例えば、乗物は、自動二輪車に限られず、他の車両(例えば、自動三輪車等のようなライダーが跨って乗る鞍乗車両)でもよい。また、乗物は、ハイブリッド車両の代わりに、内燃機関を搭載せずに電動モータの駆動力で走行する電動車両としてもよい。電池パックの姿勢(向き)は、前述した形態とは異ならせてもよい。電池パックは、乗物の電動モータの電源として用いる以外に他の用途(例えば、定置デバイス等)の電源として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0040】
15 電池パック
30 内部ユニット
31 バッテリ集合体
35 バッテリセル群
36 ホルダ
37 バッテリセル
37a 端子
40 端子板
41 バスバー
50 挿入孔
51 側面(第1面)
51a 端子板設置面
51b バー設置面
51c 主表面
52 底面(第2面)
53 被固定部
53a 被固定面
60 長尺部
60a 凹部
61 固定部
71 第1バー部
71a 固定部
71b オフセット部
72 第2バー部
73 連結バー部
B ボルト(締結具)