IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァイトミュラー インターフェイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフトの特許一覧

特許7369003導電体を回路基板に接続するための電気コネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】導電体を回路基板に接続するための電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20231018BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019189469
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2020068200
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】10 2018 126 145.4
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513243480
【氏名又は名称】ヴァイトミュラー インターフェイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ノルテ, ザシャ
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05241451(US,A)
【文献】実開昭61-146880(JP,U)
【文献】特開平02-288077(JP,A)
【文献】特開2002-216877(JP,A)
【文献】特開2009-117182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の導体を回路基板に接続するための電気コネクタ(1)であって、少なくとも以下の特徴を備え、
a)前記電気コネクタ(1)の接続側(131)で電気接続部品(2)に電気的に接続することができ、前記回路基板(3)の1つまたは複数の相手側接触部(31)と電気的に接触するために、前記電気コネクタ(1)の接触側(141)に少なくとも1つまたは複数の接触部(4)を備えるハウジング(15)と、
b)前記回路基板(3)に取り付けられた状態で前記回路基板(3)の開口(32)を通過し、非拡開位置、すなわち解放位置から拡開位置、すなわちロック位置に移動することができる少なくとも1つのロックピン装置(5)であって、前記ハウジング(15)とは反対側の前記開口(32)の側面における前記ロックピン装置の直径は、前記回路基板(3)の前記開口(32)の直径よりも大きい、少なくとも1つのロックピン装置(5)と
を備え、
c)前記ハウジング(15)は、前記ハウジング(15)に対して動くことができる少なくとも1つまたは複数の作動デバイス(500)を備え、
d)前記ロックピン装置(5)は、互いに対して可動な少なくとも2つの機能要素を含み、前記機能要素のうちの少なくとも1つは前記作動デバイス(500)上に配置され、少なくとも1つの他の前記機能要素は、前記作動デバイス(500)に対して可動である前記コネクタの構成要素上に配置さ
互いに対して可動であるという特徴d)を有する前記少なくとも2つの機能要素のうちの前記少なくとも1つの他の機能要素が、前記作動デバイス(500)に対する、前記コネクタの可動構成要素として前記ハウジング(15)上に直接的または間接的に配置されるか、または、互いに対して可動であるという特徴d)を有する前記少なくとも2つの機能要素のうちの前記少なくとも他方の前記機能要素が、さらなる作動手段上に配置されることを特徴とする、電気コネクタ(1)。
【請求項2】
前記1つまたは複数の接触部(4)が圧縮ばね接触部として設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項3】
前記1つまたは複数の相手側接触部が前記回路基板の前記表面上の接触部として設計されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項4】
前記ハウジング(15)およびそれぞれの作動デバイス(500)が各々2つ以上の前記ロックピン装置(5)を形成することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項5】
それぞれの前記ロックピン装置(5)は、少なくとも1つの伸張マンドレル(50)と、1つまたは複数の伸張ウェッジ(51)と、1つまたは複数の伸張ウェブ(52)とを、前記機能要素として備えることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項6】
それぞれの前記ロックピン装置(5)が、少なくとも前記伸張マンドレル(50)と、前記伸張マンドレル(50)に対して外側に同心円状に配置された前記伸張ウェッジ(51)のいくつかと、前記伸張ウェッジ(51)に対して外側に同心円状に配置された前記伸張ウェブ(52)のいくつかとを、前記機能要素として備えることを特徴とする、請求項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項7】
前記伸張マンドレル(50)および前記伸張ウェブ(52)は、前記作動デバイス(500)に配置され、前記伸張ウェッジ(51)は、前記ハウジング(15)上に形成されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項8】
前記作動デバイス(500)は、単一または複数片構成を有することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項9】
前記作動デバイス(500)は、1つまたは複数の前記伸張ウェブ(52)および前記伸張マンドレル(50)が前記作動デバイスと同期して移動できるように設計されていることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記作動デバイス(500)は、1つまたは複数の前記伸張ウェブ(52)が形成される第1の作動区画(501)と、前記伸張マンドレル(50)が上に形成され、前記第1の作動区画(501)に対して変位可能な第2の作動区画(502)とを備えることを特徴とする、請求項5乃至7又は9のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項11】
1つまたは複数の前記伸張ウェッジ(51)が各々、肥厚領域(511)を有し、前記肥厚領域は、取り付け状態において、前記回路基板(3)の、前記ハウジング(15)とは反対の側にあり、前記肥厚領域の上で前記伸張ウェブ(52)はロックプロセス中に拡開ロック位置に動かされることを特徴とする、請求項5乃至7又は9又は10のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項12】
前記伸張マンドレル(50)は、丸形または角形の断面を有し、1つまたは複数の前記伸張ウェッジ(51)は、対応する架空の円形または多角形の輪郭上で周にわたって分布し、1つまたは前記複数の伸張ウェブ(52)は、対応する架空の円形または多角形の輪郭上で、前記伸張ウェッジの周りに分布することを特徴とする、請求項5乃至7又は9乃至11のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項13】
前記作動デバイス(500)がスライドデバイスとして形成され、前記作動デバイス(500)および前記ハウジング(15)が、ピン(55)および細長い穴(56)などの対応する案内手段を備え、前記案内手段は、ロック方向Xおよび解放方向-Xにおいて前記作動デバイス(500)が前記ハウジング(15)上で変位することを可能にすることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項14】
前記作動デバイス(500)が前記回路基板(3)からさらに離れた上方位置に動かされており、前記コネクタ(1)が前記回路基板(3)に取り付けられている位置において、前記伸張ウェッジ(51)は前記回路基板(3)のそれぞれの前記開口(32)を通過し、前記伸張マンドレル(50)および前記伸張ウェブ(52)はまだ前記開口を通過していないか、または前記開口を完全に通過しておらず、前記作動デバイスは該位置から下方位置に可動であり、前記下方位置において、前記伸張マンドレル(50)は、前記伸張ウェッジ(51)の前記肥厚領域の範囲内で前記伸張ウェッジ(51)の間に係合し、前記伸張ウェブ(52)は、前記ロック位置である、相互作用する拡開位置に動かされることを特徴とする、請求項5乃至7又は9乃至12のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項15】
前記作動デバイス(500)のいくつかは、前記ハウジング(15)上に設けられることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項16】
前記作動デバイス(500)の1つまたは少なくとも1つは、ハウジング(15)上で、前記接触部(4)の間の中間に設けられることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項17】
2つの前記作動デバイス(500)は、ハウジング(15)上で、前記接触部(4)の対向する側に配置されることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項18】
前記1つまたは複数の接触部(4)がピンもしくはナイフ接触部またはソケット接触部として設計されていることを特徴とする、請求項に記載の電気コネクタ(1)。
【請求項19】
回路基板(3)と、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)とから成る装置。
【請求項20】
回路基板(3)と、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のコネクタ(1)とを接触させるための方法であって、以下のステップ、すなわち
a)前記コネクタが前記回路基板上に配置され、これを受けて、前記コネクタ(1)の接触部(4)が、接触部作動力が加わるのを受けて前記回路基板の相手側接触部(31)と接触し、これを受けて、少なくとも1つの伸張ダボ装置の伸張ウェッジ(51)が、前記回路基板の開口を通じて完全にまたは実質的に無力で導かれること、
b)ステップa)後の少なくとも1つの作動要素が、ロック力を加えることによって前記ハウジング上のロック位置に動かされ、前記伸張ウェブ(52)は、伸張マンドレルに対して内側にあるかまたは前記伸張マンドレルに対向して配置されている、前記伸張ウェッジ(51)の外側の拡開したロック位置に動かされること
を特徴とする、方法。
【請求項21】
前記伸張マンドレル(50)および前記伸張ウェブ(52)が同期して前記ロック位置に動かされることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ハウジング(15)上で2つの作動区画(501、502)が連続して変位し、前記伸張マンドレル(50)および前記伸張ウェブ(52)が連続して前記ロック位置に動かされることを特徴とする、請求項20又は21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体を回路基板に接続するための電気コネクタに関する。
本発明はさらに、そのような電気コネクタを回路基板に接続し固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つまたは複数の導電体またはマルチコアケーブルを電気回路基板に接続するには、1つまたは複数の導体を取り付けることができ、一般的に、回路基板の相手側接触部との接触のために導体ごとに1つの接触部を備える、以下、コネクタと略す接続プラグを使用する。コネクタプラグの接触部は、回路基板に固定することができる単一部品または複数部品のハウジングの中または上に配置される。これを構造的に実現するには、対応する固定手段および嵌合する固定手段をハウジングおよび回路基板上に形成する必要がある。固定手段を、表面にほぼ垂直に可動な伸張ダボとして構成する方法が知られている。これは、ハウジングが回路基板に取り付けられるときに、嵌合する固定手段として回路基板のボアホールまたは貫通孔を通過するように設計されており、ハウジングが回路基板に取り付けられるのを受けて、伸張ダボは、これらのボアホールに導入されるとき、最終的な取り付け位置に達するまで最初に圧縮され、その後、再び弛緩または伸張し、結果、ハウジングを回路基板に固定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
回路基板上へのコネクタのこの種の固定は良好に機能することが証明されている。しかしながら、ロックピン、したがってハウジングおよびコネクタ全体を回路基板から解放する可能性に関して改善が必要である。さらに、コネクタを手で回路基板上に、相対的に容易にかつ大きな労力なしにロックすることができ、またロック位置から再びロック解除または解放することができるように、作動プロセス全体、すなわち、コネクタのロックまたは固定およびロック解除または解放を設計することが望ましい。
本発明は、この問題を解決することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この問題は、独立請求項1の特徴を有する電気コネクタ、請求項20の装置、および、独立請求項21の特徴を有する回路基板にそのようなコネクタを固定する方法によって解決される。有利な実施形態が、従属請求項に見出される。
【0005】
請求項1によれば、電気コネクタが作成される。コネクタは、導電体またはプラグなどの電気接続部品を回路基板に電気的に接続するように意図されている。請求項1によれば、このコネクタは少なくとも以下の特徴a)乃至d)を備え、すなわち、コネクタは、
a)電気コネクタの接続側で電気接続部品に電気的に接続することができ、回路基板の1つまたは複数の相手側接触部と電気的に接触するために、電気コネクタの接触側に少なくとも1つまたは複数の接触部を備えるハウジングと、
b)回路基板に取り付けられた状態で回路基板の開口を通過し、非拡開位置、すなわち解放位置から拡開位置、すなわちロック位置に移動することができるロックピン装置であって、開口の、ハウジングとは反対の側におけるロックピン装置の直径は、回路基板の開口の直径よりも大きく、結果、ロックピン装置は、破壊されることなくハウジング側から回路基板から引き出すことができない、ロックピン装置と
を備え、
c)ハウジングは、ハウジングに対して動くことができる少なくとも1つの作動デバイスを備え、
d)ロックピン装置は、互いに対して可動な少なくとも2つ以上の機能要素を含み、機能要素のうちの少なくとも1つは作動デバイス上に配置され、少なくとも1つの他の機能要素は、作動デバイスに対して可動であるコネクタの構成要素上に配置される。
【0006】
このようにして、接触とロックとを互いに時間的に分離し、それらを好ましくは連続して実行することが可能になり、その結果、コネクタを手で相対的に容易にかつ大きな労力なしに回路基板にロックすることができ、またロック位置から再びロック解除または解放することもできるように、コネクタのロックまたは固定およびロック解除または解放を実施することが可能になる。特に、ロック装置を繰り返し使用することも可能であり、結果、相対的に問題なくロック装置をロック位置から再び解放することも可能である。回路基板という用語は、狭く解釈すべきではない。回路基板という用語は、少なくとも1つまたは複数の接触部ならびに/または導体トラックならびに/または電気および/もしくは電子構成要素が上に形成または配置される最も多様な種類の基板を包含する。
【0007】
1つの好ましい実施形態によれば、互いに対して可動であるという特徴d)を有する少なくとも2つの機能要素のうちの少なくとも1つの他の機能要素が、作動デバイスに対する、コネクタの可動構成要素としてハウジング上に直接的または間接的に配置されることを可能にすることができる。したがって、互いに対して可動であるという特徴d)を有する少なくとも2つの機能要素のうちの他方の機能要素は、直接またはさらなる作動手段上に固定することができ、さらなる作動手段は、次いで、例えば、作動要素およびハウジングに対して可動であるが、同じくハウジングに対して間接的に配置される。
【0008】
さらに、1つもしくは複数の接触部が圧縮ばね接触部(複数可)として設計されていること、および/または1つもしくは複数の相手側接触部が回路基板の表面上の接触部(複数可)として設計されており、例えば、はんだパッドのように、金属表面として形成されていることが好ましい。そのような構成の場合、特に特許請求されているロックピン装置と組み合わせて、特に快適な軽量で、なお安全なタイプの、コネクタの回路基板への接触および固定が可能になる。
【0009】
1つまたは有利にはまたいくつかの作動デバイスもハウジングに設けることができる。さらに、有利には、ハウジングおよびそれぞれの作動デバイスが各々、2つ以上のロックピン装置を形成することを可能にすることができる。この場合、作動要素の1つのみを作動することによって、2倍または複数倍のロックを実現することができる。
【0010】
さらに有利には、それぞれのロックピン装置は、少なくとも1つの伸張マンドレルと、伸張マンドレルに対して外側に放射状に、特に同心円状に配置された1つまたは複数の伸張ウェッジと、伸張ウェッジ(複数可)に対して外側に放射状に、特に同心円状に配置された1つまたは複数の伸張ウェブとを、機能要素として備えることを可能にすることができる。これらの要素によって、ハウジングの回路基板に対する、特に安全で容易に操作され、また解放可能なロックを実施することができる。さらに有利には、伸張マンドレルおよび伸張ウェブが作動デバイス上に配置され、伸張ウェッジがハウジング上に形成されることを可能にすることができる。このようにして、ロックプロセス中に、解放が不可能になるまでロックウェブが塑性変形することがないように、コネクタを設計することが可能になる。代わりに、このロックを再び解放して、コネクタを再利用することが容易に可能である。
【0011】
これは、最も多様な方法で構造的に実現することができる。したがって、その設計が特に単純な第1の好ましい変形例によれば、作動デバイスが単一部品構成を有することを可能にすることができる。特に、作動デバイスは、このように設計することができ、結果、1つまたは複数の伸張ウェブおよび伸張マンドレルがそれと同期して動くことができる。
【0012】
しかしながら、代替的に、作動デバイスが複数片構成を有することを可能にすることもできる。したがって、作動デバイスは、1つまたは複数の伸張ウェブが形成される第1の作動区画と、伸張マンドレルが上に形成され、可動であり、特に第1の作動区画に対して変位可能な第2の作動区画とを備えることができる。このようにして、伸張ウェブおよび伸張マンドレルを連続して動かすことができ、ロックおよびロック解除を特に容易かつ安全に行うことができる。
【0013】
ロック位置を生成するために、好ましくは、1つまたは複数の伸張ウェッジが各々、肥厚領域を有することが可能にされ、肥厚領域は、回路基板上にハウジングが取り付けられた状態で、回路基板の、ハウジングとは反対の側にあり、肥厚領域の上で伸張ウェブはロックプロセス中に拡開ロック位置に動かされる。
ロックデバイス(複数可)のこれらの機能要素は、最も多様な方法で設計することができる。したがって、伸張マンドレルは、丸形または角形の断面、特に多角形の断面を有し、1つまたは複数の伸張ウェッジは、対応する架空の円形または多角形の輪郭上でその周にわたって分布することができ、1つまたは複数の伸張ウェブは、対応する架空の円形または多角形の輪郭上で、伸張ウェッジの周りに分布することができる。
【0014】
さらに、作動デバイスがスライドデバイスとして形成され、作動デバイスおよびハウジングが、ピンおよび細長い穴などの対応する案内手段を備えることを可能にすることができ、案内手段は、ロック方向Xおよび解放方向-Xにおいて作動デバイスがハウジング上で良好に変位することを可能にする。
【0015】
さらに有利な変形例によれば、作動デバイスが回路基板からさらに離れた上方位置に動かされており、コネクタが回路基板に取り付けられている位置において、伸張ウェッジは回路基板のそれぞれの開口を通過することができ、伸張マンドレル[および]伸張ウェブはまだ開口を通過していないか、または開口を完全に通過しておらず、作動デバイスはこの位置から下方位置に可動であり、下方位置において、伸張マンドレルは、伸張ウェッジの肥厚領域の範囲内で伸張ウェッジの間に係合し、伸張ウェブは、ロック位置である、相互作用する円錐状に広がった位置に動かされる。
【0016】
特に有利には、上記のロックデバイスは、圧縮ばね接触部(複数可)としての接触部の構成と組み合わせることができる。しかし、たとえば、ピンもしくはナイフ接触部として、またはソケット接触部としてなど、1つまたは複数の接触部を別の方法で構成することも考えられる。
【0017】
本発明はまた、回路基板および先行する請求項の1つに記載の電気コネクタから成る装置をも作成する。
次に、本発明はまた、回路基板と、それを参照する請求項のコネクタとの間の接触を行うための有利な方法も作成し、方法は、以下のステップを特徴とし、すなわち、
a)コネクタが回路基板上に配置され、これを受けて、コネクタの接触部、好ましくは圧縮ばね接触部として設計された接触部が、接触部作動力が加わるのを受けて回路基板の相手側接触部と接触し、これを受けて、機能要素、特に少なくとも1つの伸張ダボ装置の伸張ウェッジが、回路基板の開口を通じて完全にまたは実質的に無力で導かれ、
b)ステップa)後の少なくとも1つの作動要素が、ロック力を加えることによってハウジング上のロック位置に動かされ、伸張ウェブは、伸張マンドレルに対して内側にあるかまたは伸張マンドレルに対向して配置されている、伸張ウェッジの外側の拡開したロック位置に動かされる。
【0018】
第1の変形例によれば、伸張マンドレルおよび伸張ウェブが同期してロック位置に動かされることを可能にすることができる。しかしながら、代替的に、ハウジング上で2つの作動区画が連続して変位し、伸張マンドレルおよび伸張ウェブが連続してロック位置に動かされることを可能にすることもできる。
【0019】
コネクタの回路基板への接続状態での接続方向およびロック方向Xは、これに垂直に延伸することが好ましい。この実施形態では、コネクタは回路基板上に垂直に設置することができる。
このようなコネクタは、電気回路基板に特に迅速に、取り付けるまたは据え付けることができる。コネクタを回路基板に固定することにより、コネクタはさらに回路基板上に堅固に配置される。これによってさらにまた、コネクタと回路基板の接触面との耐久性のある接触が保証される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下において、図面を参照する例示的な実施形態を用いて本発明を説明する。図は例として理解されるべきである。保護の範囲はそれらに限定されない。代わりに、図示された例示的な実施形態のさらなる変形および均等物を実現することができる。
図1a】本発明による電気コネクタのハウジング部を示す図である。
図1b】本発明による電気コネクタのハウジング部を示す図である。
図1c】本発明による電気コネクタのハウジング部を示す図である。
図2】電気回路基板への電気コネクタの取り付け中の連続的な状態または連続的なステップのうちの1つの斜視図である。
図3】電気回路基板への電気コネクタの取り付け中の連続的な状態または連続的なステップのうちの1つの斜視図である。
図4a】電気回路基板への電気コネクタの取り付け中の連続的な状態または連続的なステップのうちの1つの斜視図である。
図4b図4aの状態に対応するコネクタの周辺領域の断面図である。
図5a】電気回路基板への電気コネクタの取り付け中の連続的な状態または連続的なステップのうちの1つの斜視図である。
図5b図5aの状態に対応するコネクタの周辺領域の断面図である。
図6】回路基板に対するコネクタの取り付け、ロックおよびロック解除、ならびに取り外し中の作動スライドの作動経路の関数としての力の変化を示す図である。
図7a】第2のコネクタの斜視図である。
図7b】第2のコネクタの斜視図である。
図8a】第3のコネクタの斜視図である。
図8b】第3のコネクタの斜視図である。
図9a-i】さまざまな形状のうちの1つの形状のロックピンの図である。
図10】電気回路基板への電気コネクタの取り付け中の連続的な状態または連続的なステップのうちの1つの斜視図である。
図11】電気回路基板への電気コネクタの取り付け中の連続的な状態または連続的なステップのうちの1つの斜視図である。
図12a】電気回路基板への電気コネクタの取り付け中の連続的な状態または連続的なステップのうちの1つの斜視図である。
図12b図12aの状態に対応するコネクタの周辺領域の断面図である。
図13a】電気回路基板への電気コネクタの取り付け中の連続的な状態または連続的なステップのうちの1つの斜視図である。
図13b図13aの状態に対応するコネクタの周辺領域の断面図である。
図14a】電気回路基板への電気コネクタの取り付け中の連続的な状態または連続的なステップのうちの1つの斜視図である。
図14b図14aの状態に対応するコネクタの周辺領域の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、(a)乃至(c)において、本発明による電気コネクタ1のハウジング部11をそれぞれ示している。ハウジング部11には、接続チャンバ10が配置されている。接続チャンバ10は、特に回路基板の表面上の、例えば、はんだ面などとして設計することができる、回路基板3の相手側接触部に接触する役割を果たす導体コネクタ接触部4を受け入れるように設計されている。
【0022】
この接触部4は、ここではバスバー40上に設計されている。これは有利であるが、本発明の文脈では必須ではない。代わりに、接触部4を別の方法で設計することもできる。接触部が、例えば、図1aまたは別の方法に従って、圧縮ばね接触部として設計されることが有利であり、圧縮ばね接触部は、コネクタ1が回路基板3に取り付けられるときに伸張され、結果、ばねが、コネクタを回路基板から押し離す力Fによって、それぞれの相手側接触部を圧迫する。しかし、接触部は、はんだピンなどとして設計することもできる。
【0023】
好ましい実施形態において、ここでのバスバー40は、やはり、必ずしも良好な導電性材料からの単一片の打ち抜き曲げ部品として作成される必要はない。バスバーは、ハウジング部11の接続側131からハウジング部11の接触側141まで接続チャンバ10を通じて延伸する。接続側131および接触側141は、互いに対抗して配置されている。しかし、本発明はまた、接続側131と接触側141とが互いにある角度(図示せず)を成して、特に互いに直角を成しておよび/または互いに隣接して配置されているコネクタ1にも適用される。
【0024】
接続側131において、電気接続部品2はバスバー40に直接的に電気接続することができる。接触側141において、バスバー40は回路基板3と電気的に接触することができる。
このため、バスバー40は、電気接続部品2を接続するための接続アーム41と、回路基板3に接続するための接触アーム42とを備えている。接続アーム41と接触アーム42とは、連結アーム43によってともに結合されている。
【0025】
接続アーム41は、接続および取り付け方向Xに延伸する。接続アームは、ハウジング部11の内壁12に対して少なくとも部分的に平坦に位置している。バスバー40の接続アーム41上には、内壁12の凹部121と係合する保持手段411が設けられている。ここでの保持手段411は波形である。このようにして、保持手段411は同時に、クランプばね6のクランプ脚部61のエンドストップとして機能することができる。好ましくは、保持手段411の波形の丸い形状の代わりに、いくらか角形のまたはジグザグの形状の保持手段411を提供することもできる。凹部121は、保持手段411に対応して形成されており、結果、保持手段411は凹部121に嵌合する。
【0026】
接続側131には、接続アーム41のアームが、ここではクランプ接触部410として、特にばね接触部、ここでは押し込み接触部として形成されている。このために、保持脚部62によって接続チャンバ10内に固定されるクランプばね6が提供される。クランプばね6は、接続部品2を接続チャンバ10内にクランプ締めするために設計されたクランプ脚部61をさらに備える。クランプ脚部61と保持脚部62とは、接続弓状部63によってともに接合されている。クランプばね6は、単一片のばね鋼として作成されている。接続部品2を挿入するとき、接続部品2がバスバー40とクランプ脚部61との間をスライドすることができるまで、クランプ脚部61は復元力に抗して接続チャンバ10内へと旋回される。次いで、クランプ脚部61は、復元力によって後方に旋回され、接続部品2をバスバー40に対してクランプ締めする。
【0027】
図1(b)は、一例として、接続部品2としての導電体を示している。しかし、接続部品2としての導電体の代わりに、プラグまたは導電性ロッドも好ましい。導電体2は、導電性コア21と電気絶縁性ケーシング22とを備える。絶縁は、ケーシング22が取り外されてコア21が露出されるように、一端(図示せず)において剥がされる。バスバー40とクランプ脚部61との間で接続方向Xにおいて導電体2の剥がされた端部を導入することによる、導電体2のコネクタ1のクランプ接触部410への接続が示されている。ここで、接続方向Xは、コネクタ1の第1の延伸方向Xに延伸する。
【0028】
接触アーム42は、ばねとして形成されている。コネクタ1が回路基板3上に配置され、回路基板に対して圧迫され、回路基板にロックされている、コネクタ1の回路基板3への接続状態(図示せず)において、接触アーム42は回路基板3に対して圧迫されるように設計されている。したがって、接続方向Xは、コネクタ1の回路基板3への接続状態において、回路基板3に垂直に延伸する。
接触アーム42にばね作用を与えるために、連結アーム43は、接続アーム41に対して横方向に延伸する。さらに、連結アーム43は弓状になっている。このように、連結アーム43および接触アーム42はU字状に配置されている。
【0029】
したがって、接触アーム42が回路基板3上に配置されると、接触アーム42を、復元力に抗して接続アーム41に向かって押すことができ、その結果、接続状態におけるその自由端(図示せず)が、復元力によって回路基板3に対して圧迫される。次に、コネクタ1を、以下でより詳細に説明する1つまたは複数のロックピンによって回路基板3に固定することができ、結果、コネクタ1はその位置からもはや自然に解放することができない。
接触アームのばね力は、非常に良好な接触が保証されるような大きさにする必要がある。接触アーム42は、その開放端(図示せず)に、弓状部として成形され、回路基板3と接触するように設計された接触ラグ421を有する。弓形であることによって、回路基板3の接触面31は、接触ラグ421が接触面に対して圧迫されても損傷しない。
【0030】
しかしながら、接触アーム42および連結アーム43のU字形構成は、コネクタ1に傾斜モーメントをもたらし、一方、コネクタ1の傾斜は当初、回路基板3に対するコネクタ1のロックによって防止される。
傾斜モーメントを可能な限りさらに等しくし、コネクタ1が当初から傾斜するのを防ぐために、このコネクタ1内で、バスバー40をハウジング部11の接続チャンバ10内で2つの位置I、IIに位置決めすることが可能にされる。図1(a)はバスバー40が第1の位置Iに配置されたコネクタ1を示し、図1(b)はバスバー40が第2の位置IIに配置されたコネクタ1を示し、図1(c)は、コネクタ1の接続チャンバ10内で第1の位置Iにあるバスバー40を実線で示し、第2の位置IIにあるバスバー40を破線で示す。
【0031】
第1の位置Iにあるバスバー40は、接続方向Xを中心とした回転方向55において第2の位置IIに対して180°回転していることが分かる。このように、第1の位置Iにある接触アーム42は、コネクタ1の第1の延伸方向に対して横方向に延伸するコネクタ1の第2の延伸方向52に対向して延伸し、したがってまた接続方向Xに対して横方向にも延伸する。第2の位置IIでは、接触アーム42は、コネクタ1の第2の延伸方向に延伸する。したがって、これら2つの位置I、IIにおいて、コネクタ1が回路基板3に対して圧迫されるときに接触アーム42の復元力によって生じる傾斜モーメントが、対向する方向に作用する。
【0032】
第1の延伸方向51に対して横方向および第2の延伸方向に対して横方向に配置されている第3の延伸方向にある2つ以上のそのようなハウジング部11を、第1の位置Iおよび第2の位置IIに交互に配置されているバスバー40を用いて隣接して位置決めすることにより、コネクタ1は、2つ以上の接続部品2を回路基板3に接続するように製造することができ、ここで、傾斜モーメントが相殺される。そのようなコネクタ1は、偶数のハウジング部11が与えられた場合に、傾斜する傾向がまったくない。
ハウジング部11を互いに並べて固定するために、それらは上部ハウジング15内に配置される。
【0033】
本発明は、回路基板3に接触するための接触部4が、これらの接触部4を収容するための1つまたは複数のチャンバを備えることができるハウジング内に直接的に配置されるコネクタ1にも適している。このとき、ハウジング部11は取り外される(図示せず)。
さらに、本発明は、回路基板3の接触のために単一の接触部4のみが設けられているコネクタ1にも適している。これは、回路基板3に固定されたハウジングに直接挿入されてもよく、または、たとえばここでも図1aのように、上部ハウジング15に挿入されているハウジング部11に挿入されてもよい(これについては、図4aおよび図4bを参照されたい)。
【0034】
以下では、ハウジングおよび上部ハウジングという用語は同義語であり、常に参照符号15とともに使用される。以下において接触部4および相手側接触部が言及される限りにおいて、これは「ただ1つ」の意味で理解されるべきではなく、複数の接触部4および相手側接触部31にも当てはまる。
1つまたは複数のロックピン装置5によって回路基板3にハウジング15を固定することが提案されている。以下においてロックピン装置5が言及される限りにおいて、これは「ただ1つ」の意味で理解されるべきではなく、複数のロックピン装置5にも当てはまる。
【0035】
接触部4が回路基板3の相手側接触部31と接触している、コネクタ1が回路基板に取り付けられた状態におけるそれぞれのロックピン装置5は、回路基板3の対応する開口、特に貫通孔32を通過し、回路基板3の、ハウジング15とは反対側にある開口32から突出し、ハウジング15、したがってコネクタ1を回路基板3に固定する程度まで半径方向に拡開される。
ロックピン装置5は、互いに対して可動な複数の機能要素を有する。
最も単純な構成では、ロックピン装置は、互いに対して可動な2つの要素を備える。しかし、ロックピン装置はまた、互いに対して可動な3つ以上の要素を備えてもよい。
【0036】
これらの要素は、好ましくは、伸張マンドレル50、以下において伸張ウェッジ51と呼ばれる、好ましくは伸張マンドレル50と同心円状に配置された1つまたは複数の拡開要素、および、1つまたは複数の伸張ウェッジ51と同心円状に配置されている1つまたは複数の伸張ウェブ52を含む。
中央に配置された伸張マンドレル50は、丸形または角形の構造、特に多角形の構造を有することができる。
さらに、伸張マンドレル50は、方向Xにおいてその長さに沿って一定の断面を有することができる。しかし、これはまた、方向Xにおいて長さに沿って変化してもよい。
【0037】
1つまたは複数の伸張ウェッジ51が、伸張マンドレルと同心であり、その周囲に分散される。また、複数の伸張ウェブ52が、伸張ウェッジの周囲に、伸張ウェッジ構成と同心に分散される。多角形の構造では、架空の多角形の線上で多角形の各側面の外側に伸張ウェッジ51の1つを配置し、別の架空の多角形の線上でこれらの外側に伸張ウェブ52の1つを配置することが望ましい。これらの変形例は、図9a乃至図9cに示されている。図9bおよび図9cの方法での多角形構成ならびに同様の多角形構成も、この応用形態の意味における同心円状の構成であると考えられる。
【0038】
伸張ウェブ52は、好ましくは、それらの長さに沿って一定の断面を有する。ただし、これは必須ではない。いずれにせよ、伸張ウェッジ51の断面は、方向Xにおいて一部について変化する。
ロック状態において、当接のように接触力をも吸収する、ハウジング15の回路基板3への自己ロックが達成されるように、要素50、51、52から形成されるロックピン装置の全体の直径は、回路基板3の開口32の直径よりも大きくなければならない。
また、伸張ウェッジ51および伸張ウェブ52の要素の半径方向の配置または連続的な順序を交換することも考えられる。
伸張ウェッジ51がハウジング15上に形成されることを可能にすることができる。このとき、伸張ウェッジ51は、ハウジング15と共に動かされる。伸張マンドレル50および伸張ウェブ52が伸張ウェッジ51に対して可動であることが有利である。
【0039】
伸張マンドレル50および伸張ウェブ52、すなわち同心層の最も内側および好ましくは同心層の最も外側が、ハウジング15に対して可動な作動デバイス500上に形成されることが有利である。有利には、ハウジング15および作動デバイス500が、互いに対して変位可能であるように設計されることを可能にすることができる。有利にはまた、作動デバイス500がスライドを形成し、作動デバイス500およびハウジング15がピン55および細長い穴56などの対応する案内手段を備え、これによって、ハウジング15上で作動デバイス500をロック方向Xおよび解放方向-Xにおいてスライドさせ、案内するようにこれを支持することも可能にすることができる。さらに、作動デバイス500自体もまた、ハウジングの一種の溝内で変位可能に案内されてもよい。
【0040】
以下では、コネクタの回路基板3への取り付けについて、図2乃至図6を使用してより詳細に説明する。
コネクタ1(図2を参照)が、回路基板3に対して垂直または実質的に垂直に向けられている、コネクタ1上の取り付け方向Xにおいて配置されると、最初に、ここでは圧縮ばね接触部として構成されている接触部4(図3を参照)が圧縮される。図6の力/距離の図では、これは線(1=コネクタの取り付け)および(2=接触部4の圧縮)によって示されている。好ましくは、コネクタ1のハウジング15は、回路基板3まで取り付けられる(図4を参照)。
コネクタ1の取り付け中、作動デバイス500は、それ自体が、以前にハウジング15上で変位方向Xに対向して上向きに移動した、上方位置にある。
【0041】
ハウジング15上に(好ましくはハウジングと一体の部品として)形成されている伸張ウェッジ51は、コネクタ1を回路基板3上に取り付けている間に回路基板3の開口32に導入され、ハウジング15の取り付け完了後、回路基板3の、ハウジング15とは反対の側で開口32から突出する。好ましくは、それらが配置されている架空の多角形または円の直径は、回路基板3の開口32の最大直径よりも小さく、結果、それぞれの開口32を通じて伸張ウェッジ51を導くために、力はまったく不要であるか、または、いずれにせよ、著しく大きい不利な力は不要である。作動デバイス500上に単一片として形成された伸張ウェブ52は、この状態で開口32へと導くことができ、さらなる作動を促進する。伸張マンドレル50は、伸張ウェッジ51の上端間の中間にあるが、好ましくは、まだ開口32へと突出していない。
【0042】
図4のこの状態から開始して、作動デバイス500が作動され、これは、作動デバイスが、ハウジング15上で、ハウジング15に対して取り付け方向および配置方向Xに変位されることを意味する。作動デバイス500上に作動面501が形成されることを可能にすることができる。ここで、この表面にはローレット加工が施されている。
伸張ウェッジ51は、少なくとも変位方向に垂直な一部分にわたって延伸する肥厚部511を有する(図5bを参照)。これは斜面として形成することができ、その上で、伸張ウェブ52が、下げられるときに作動デバイスによって案内され、開口32から出た後、傾斜部において半径方向に拡開する。
【0043】
(ハウジング15に対する回路基板3の位置に関して)上方位置から下方位置への作動デバイス500の移動中に、伸張マンドレル50および伸張ウェブ52も取り付け方向Xに動かされる。伸張マンドレル50は、伸張ウェッジ51に向かって内側に動かされ、伸張ウェブ52は、伸張ウェッジ51に向かって外側に動かされる。伸張マンドレル50および伸張ウェブ52は、伸張ウェッジ51の肥厚部511を通り過ぎて摺動するように寸法決めされている。この領域では、総累積径方向延伸部または伸張マンドレル50、伸張ウェッジ51の架空の円または架空の多角形の半径、および、伸張ウェブ52の架空の円または架空の多角形の半径から形成される伸張ダボ装置5の総直径は、周方向において、少なくとも一部分にわたって回路基板の開口32の直径よりも(好ましくは10%だけ)大きい。伸張マンドレル50は、伸張ウェッジ51に対して内側で固定されている。このようにして、伸張ウェブ52は、伸張ウェッジ51上をスライドし、全体的に拡開位置に押しやられ、その終端位置が図5に示されている。
【0044】
1つまたはさらに良好には2つ以上の伸張ウェッジ51を設けることができ(2つ以上が円周の周りに分散される場合)、または、それぞれの伸張マンドレル50の周りに分散させることができる。
1つまたは2つ以上の伸張ウェブ52を設けることができ(2つ以上が円周の周りに分散される場合)、または、それぞれの伸張マンドレル50の周りに分散させることができる。それらの相互作用において、伸張ウェブ52は、一種の伸張リベットと呼ばれる場合もある。
【0045】
図6の力/距離の図では、接触後(線(2))、上方位置(図4a、b)から下方位置(図5a、b)へわずかな力で動かされ得る(線4)前に、まず作動デバイス500のわずかな「離脱」が行われる必要があることが示されている。図5の最終ロック位置に拡開するときにのみ、伸張ウェッジ51上での伸張ウェブ52の拡開を実現するために必要な幾分大きい力が必要である(線5)。全体として非常に調和のとれた操作が可能になり、ユーザが容易に実施できるように、圧縮ばね接触部が最初に圧縮され、実際のロックが接触部4の圧縮後にのみ行われることが特に有利である。このプロセスにおいて、ロックウェブ52は、解放が不可能になる程度まで塑性変形しない。代わりに、このロックを再び解放して、コネクタ1を繰り返し使用することが容易に可能である。
【0046】
ロックピン装置5は、このロックデバイス15の領域内のハウジング15が、作動デバイス500が下方「ロック位置」から上方「解放位置」までハウジング15上で再び動かされることなく、回路基板3から取り外すことができないように設計されたロック位置に動かされている。
後のコネクタ1の解放において、力/距離図の破線部分が作用する。最初に、作動デバイス500は下方位置から上方位置に戻される。伸張ウェブ52および伸張マンドレルも同様に上方位置に戻され、これによりロックが解放され(線7)、その後、接触部の圧縮ばねの作用点が克服され(線8)、これを受けてまたはその時点で、コネクタ1を再び回路基板3から取り外すことができる。
【0047】
また、毎回(ハウジング15と相互作用して)1つまたは複数の(特に2つの)ロックピン装置5を単一の作動デバイス500に設けることも考えられる。このようにして、単一のそれぞれの作動デバイス500の動きにより、多重ロックを達成することができる。これは、手動操作にもかかわらず、単一の作動デバイス500に対して2倍または複数倍のロックを実行することができるほど好適に力/距離曲線が最適化されている、最適化された種類のロックが発明されたために可能である。
一方では、コネクタのハウジング15上に、単一のみまたは2つ以上のロックピン装置(複数可)を備えた単一の作動デバイス500のみを配置することが考えられる。このような解決策を図7および図8に示す。図8において、1つまたは複数のロックピン装置5を有する1つの作動デバイス500が、単一の接触部4とともにハウジング15上に配置されている。
反対に、図7では、1つまたは複数のロックピン装置を備えた単一の作動デバイス500が、接触部4の間に一列に配置されている。これにより、一種の「中間ロック(middle locking)」が達成される。
【0048】
コネクタ1の単一のハウジング15上に、各々が単一または2つ以上のロックピン装置(複数可)5を有する2つ以上の作動デバイス500を設けることも考えられる。このような解決策を図2乃至図5及び図10乃至図14に示す。特に、ここでは、1つまたは複数のロックピン装置5を備えた作動デバイス500の各々は、ハウジング15の2つの端部に配置することができる。これにより、特に安全なロックが保証され、コネクタ1の接触およびロックプロセス中、ならびに解放中の取り扱いが特に容易になる。
図10乃至図14の例示的な実施形態は、構造および機能に関して、図2乃至図5の例示的な実施形態の構造にほぼ対応する。
【0049】
しかしながら、作動デバイス500およびロックピン装置5の構造に関して、以下の違いが存在する。
図5では、作動デバイス500自体が2片構造を有しており、第1の作動区画501と第2の作動区画502とを備えている。第1の作動区画501上に伸張ウェブ52が形成され、第2の作動区画502上に伸張マンドレル50が形成される。
第1の作動区画501は、第2の作動区画502に対して変位可能である。さらに、2つの作動区画501、502は、ハウジング15に対して変位可能であり、ハウジング15上で変位可能である。
回路基板3上にコネクタ1を配置している間、2つの作動デバイス500およびそれらの区画501、501は、最初にそれらの上方位置に再び配置される。しかし、この時点で、最初に第1の作動区画501を作動させ、その後にのみ第2の作動区画502を作動させることが可能である。
【0050】
図10図11、および図12のコネクタ1の配置は、最初は図2および図3と同様に行われる。この位置において、伸張ウェブ52は、回路基板3の開口32内に突出することができる。
この後、伸張ウェブ52を備えた第1の作動区画501は、最初に下方に移動し、その結果、伸張ウェブ52は、伸張ウェッジ51の外側に沿ってスライドする。しかし、これらは半径方向内向きに生じ得るため、これに大きな力は必要ない。その後にのみ、伸張マンドレル50を伸張ウェッジ51の間に押し込むために、第2の作動区画502が上から押し下げられる。このようにして、伸張ウェッジ51は広がり、したがって伸張ウェブ52も広がり、結果、図14のロック位置が達成される。これにより、ユーザが容易に実行できる特に有利なロックも実現する。
また、ハウジング15および単一または複数片の作動デバイス500は、好ましくはプラスチック材料から作成されることにも留意されたい。
【符号の説明】
【0051】
1 電気コネクタ
10 接続チャンバ
11 ハウジング部
12 内壁
121 凹部
13 接続面
131 接続側
14 接触面
141 接触側
15 上部ハウジング
151 接続開口
152 接触開口
16 ロック歯
17 ロック開口
2 電気接続部品、導電体
21 コア
22 ケーシング
3 回路基板
31 接触面、はんだパッド
32 開口
34 導体面
4 コネクタ接触部、接触部
40 バスバー
41 接続アーム
410 クランプ接触部
42 接触アーム
421 接触ラグ
422 接触ピン
43 連結アーム
5 伸張ダボ装置
50 伸張マンドレル
51 伸張ウェッジ
52 伸張ウェブ
500 作動デバイス
501、502 作動区画
511 肥厚部
6 クランプばね
61 クランプ脚部
62 保持脚部
63 接続弓状部
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a-i】
図10
図11
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b