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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/25 20180101AFI20231018BHJP
【FI】
F25C1/25 305E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019199207
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021071256
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】並 純弘
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-083653(JP,A)
【文献】実開昭59-051966(JP,U)
【文献】特開平09-234116(JP,A)
【文献】特開2012-029708(JP,A)
【文献】特開平11-034747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00- 5/20
F25D 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した容器本体と、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体とを備え、製氷皿へ給水するための水を貯水する給水タンクを備えた冷蔵庫において、
前記容器本体は、対向する一対の壁面の一方に設けられた第1容器係止部と、他方に設けられた第2容器係止部とを備え、
前記蓋体は、前記第1容器係止部に係止する第1蓋係止部と、前記第2容器係止部に係止する第2蓋係止部とを備え、前記第2容器係止部及び前記第2蓋係止部の少なくともいずれか一方が弾性片の先端部に設けられ、
前記蓋体は、前記第1蓋係止部を前記第1容器係止部に係止させ、前記容器本体の上面を閉塞するように前記第1蓋係止部を支点に回動すると、前記第2蓋係止部が前記第2容器係止部と接触することで前記弾性片を弾性変形させて前記第2容器係止部と係止し、前記容器本体の上面を閉塞した状態で前記容器本体に固定され冷蔵庫。
【請求項2】
前記弾性片は、前記第2容器係止部が設けられた壁面より幅狭に設けられている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
上面が開口した容器本体と、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体とを備え、製氷皿へ給水するための水を貯水する給水タンクを備えた冷蔵庫において、
前記容器本体は、対向する一対の壁面の一方に設けられた第1容器係止部と、他方に設けられた第2容器係止部とを備え、
前記蓋体は、前記第1容器係止部に係止する第1蓋係止部と、前記第2容器係止部に係止する第2蓋係止部とを備え、
前記蓋体は、前記第1蓋係止部を前記第1容器係止部に係止させ、前記容器本体の上面を閉塞するように前記第1蓋係止部を支点に回動し、前記第2蓋係止部を前記第2容器係止部に係止させて、前記容器本体の上面を閉塞した状態で前記容器本体に固定され、
前記第2容器係止部及び前記第2蓋係止部の少なくともいずれか一方が、弾性片の先端部に設けられ
前記第2容器係止部及び前記第2蓋係止部が、前記第1容器係止部より高い位置に設けられている冷蔵庫。
【請求項4】
上面が開口した容器本体と、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体とを備え、製氷皿へ給水するための水を貯水する給水タンクを備えた冷蔵庫において、
前記容器本体は、対向する一対の壁面の一方に設けられた第1容器係止部と、他方に設けられた第2容器係止部とを備え、
前記蓋体は、前記第1容器係止部に係止する第1蓋係止部と、前記第2容器係止部に係止する第2蓋係止部とを備え、
前記蓋体は、前記第1蓋係止部を前記第1容器係止部に係止させ、前記容器本体の上面を閉塞するように前記第1蓋係止部を支点に回動し、前記第2蓋係止部を前記第2容器係止部に係止させて、前記容器本体の上面を閉塞した状態で前記容器本体に固定され、
前記第2容器係止部及び前記第2蓋係止部の少なくともいずれか一方が、弾性片の先端部に設けられ
前記第2容器係止部及び前記第2蓋係止部が、前記第1容器係止部より低い位置に設けられている冷蔵庫。
【請求項5】
前記第2蓋係止部が前記第2容器係止部に係止し、前記容器本体の上面を前記蓋体が閉塞すると、前記第2容器係止部が前記第2蓋係止部を下方へ押圧する請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記容器本体と前記蓋体との間に設けられたパッキンを備え、
前記第2蓋係止部が前記第2容器係止部に係止し、前記容器本体の上面を前記蓋体が閉塞すると、前記第2容器係止部が前記第2蓋係止部を下方へ押圧して前記容器本体と前記蓋体との間で前記パッキンを押圧する請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第2蓋係止部が、前記弾性片の先端部に設けられている請求項1~6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
外力を受けて回動軸周りに回動して前記第2容器係止部と前記第2蓋係止部の係止を解除するように前記弾性片を押圧する解除片を備える請求項1~7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記第2容器係止部及び前記第2蓋係止部が前記容器本体の後側に設けられている請求項1~8のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記容器本体は、前壁の上端に上方へ突出する突出壁を備え、前記突出壁の後側において前記第2蓋係止部が前記第2容器係止部に係止している請求項1~8のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
上面が開口した容器本体と、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体とを備え、製氷皿へ給水するための水を貯水する給水タンクを備えた冷蔵庫において、
前記容器本体は、対向する一対の壁面の一方に設けられた第1容器係止部と、他方に設けられた第2容器係止部とを備え、
前記蓋体は、前記第1容器係止部に係止する第1蓋係止部と、前記第2容器係止部に係止する第2蓋係止部とを備え、
前記蓋体は、前記第1蓋係止部を前記第1容器係止部に係止させ、前記容器本体の上面を閉塞するように前記第1蓋係止部を支点に回動し、前記第2蓋係止部を前記第2容器係止部に係止させて、前記容器本体の上面を閉塞した状態で前記容器本体に固定され、
前記第2容器係止部及び前記第2蓋係止部の少なくともいずれか一方が、弾性片の先端部に設けられ
外力を受けて回動軸の周りに回動して前記第2容器係止部と前記第2蓋係止部の係止を解除するように前記弾性片を押圧する解除片を備え、
前記解除片は、前記弾性片を押圧する押圧部と、使用者が前記解除片に外力を入力する操作部とを備え、前記回動軸から前記操作部までの距離が、前記回動軸から前記押圧部までの距離より大きい、冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動製氷機能を備えた冷蔵庫では、冷蔵室内に給水タンクを設置し、この給水タンク内の水を製氷皿に給水して製氷を行っている。このような冷蔵庫において、給水タンクは、冷蔵室内の配置によって傾けた状態で脱着することがある。
【0003】
そこで、従来、容器本体と蓋体との間に設けたシール材を圧縮するロック部材を用いて、容器本体内の水が漏れ出ないように蓋体を容器本体に取り付けることがある(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、ロック部材を用いた給水タンクの場合、使用者は容器本体を持ったまま蓋体を着脱することが困難となり、使い勝手において改善の余地がある。
【0005】
また、蓋体の奥側に設けられた凹溝に、容器本体の開口上縁部から延伸するフランジを係止させ、その係止部を支点に蓋体を蓋閉め側に回動させ、蓋体の手前側に設けられた係止突起を容器本体の手前側の内壁に設けられた係止凹部に係止させることで、蓋体を容器本体に取り付けることがある。
【0006】
このように蓋体の手前側に設けられた係止突起を容器本体の内壁に設けられた係止凹部に係止させる場合、蓋体及び容器本体の剛性が高いため、蓋体の着脱に大きな力が必要となり、使い勝手において改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-189193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、蓋体の着脱が容易な給水タンクを有する使い勝手の良い冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態の冷蔵庫は、上面が開口した容器本体と、前記容器本体の上面を閉塞する蓋体とを備え、製氷皿へ給水するための水を貯水する給水タンクを備えた冷蔵庫において、前記容器本体は、対向する一対の壁面の一方に設けられた第1容器係止部と、他方に設けられた第2容器係止部とを備え、前記蓋体は、前記第1容器係止部に係止する第1蓋係止部と、前記第2容器係止部に係止する第2蓋係止部とを備え、前記第2容器係止部及び前記第2蓋係止部の少なくともいずれか一方が弾性片の先端部に設けられ、前記蓋体は、前記第1蓋係止部を前記第1容器係止部に係止させ、前記容器本体の上面を閉塞するように前記第1蓋係止部を支点に回動すると、前記第2蓋係止部が前記第2容器係止部と接触することで前記弾性片を弾性変形させて前記第2容器係止部と係止し、前記容器本体の上面を閉塞した状態で前記容器本体に固定されものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態の冷蔵庫の概略構成を示す縦断面図
図2図1の冷蔵室の要部を示す正面図
図3】給水タンクの斜視図
図4】給水タンクの分解斜視図
図5】給水タンクの分解斜視図
図6】給水タンクの断面図
図7】第2容器係止部が第2蓋係止部蓋に係止した状態を示す図6の要部拡大図
図8】第1容器係止部が第1蓋係止部蓋に係止した状態を示す図6の要部拡大図
図9】第2容器係止部が第2蓋係止部蓋に係止した状態を示す給水タンクの要部拡大断面斜視図
図10】解除片を操作した状態を示す給水タンクの要部拡大断面図
図11】変更例の冷蔵庫における給水タンクの斜視図であって(a)が蓋体、(b)が容器本体を示す
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の冷蔵庫1について図面に基づき説明する。
【0012】
(1)冷蔵庫1の構成
図1に示すように、冷蔵庫1は、前面に開口する冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は、鋼板製の外箱3と合成樹脂製の内箱4との間に形成された断熱空間5に真空断熱材や発泡断熱材等の断熱材を有して構成されている。冷蔵庫本体2は内箱4の内部に複数の貯蔵空間が設けられており、具体的には、上段から順に、冷蔵室6、野菜室7が設けられ、その下方に製氷室8と小冷凍室(不図示)が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室10が設けられている。
【0013】
冷蔵室6及び野菜室7は、いずれも冷蔵温度帯(例えば、1~4℃)に冷却される貯蔵室であり、それらの間は、合成樹脂製の仕切板11により上下に仕切られている。図2に示すように、仕切板11と最下段の棚板12とで上下に仕切られた空間は、冷蔵室6の一方側壁(左側壁)に寄せて配設された縦仕切壁13によって冷蔵庫幅方向に区画されている。冷蔵室6の左側壁と縦仕切壁13に挟まれた空間には、給水タンク30及び給水装置31が設けられている。縦仕切壁13と冷蔵室6の他方側壁(右側壁)に挟まれた空間には、上容器14及び下容器15が収納されている。
【0014】
製氷室8、小冷凍室及び冷凍室10は、いずれも冷凍温度帯(例えば、-10~-20℃)に冷却される貯蔵室である。製氷室8には、製氷皿33と離氷機構34を含む製氷装置32と、製氷装置32で作製した氷を貯めておく貯氷箱9とが設置されている。製氷装置32は、冷蔵室6に設けられた給水タンク30及び給水装置31とともに自動製氷装置を構成し、給水装置31によって吸い上げられた給水タンク30の水が製氷皿33に供給されるようになっている。
【0015】
冷蔵庫本体2の冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室6及び野菜室7)の奥部には、冷蔵温度帯の貯蔵室を冷却するための冷蔵冷却器20が設けられている。冷蔵冷却器20の上方には冷蔵冷却器20で生成された冷気を冷蔵空間に送風する冷蔵ファン21が設けられている。
【0016】
冷蔵庫本体2の冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室8、小冷凍室、冷凍室10)の奥部には、冷凍温度帯の貯蔵室を冷却するための冷凍冷却器22が設けられている。冷凍冷却器22の上方には冷凍冷却器22で生成された冷気を冷蔵空間に送風する冷蔵ファン23が設けられている。
【0017】
冷蔵冷却器20及び冷凍冷却器22は、冷蔵庫本体2の背面下部に形成された機械室24に収納された圧縮機25や凝縮器とともに冷凍サイクルを構成し、圧縮機25から吐出された冷媒によって冷却される。
【0018】
(2)給水タンク30
給水タンク30は、図3図8に示すように、上面に開口する容器本体36と、容器本体36の上面開口を閉塞する蓋体38とを備える。給水タンク30は、容器本体36に給水装置31を介して製氷皿33へ給水するための水(製氷水)を貯水し、蓋体38によって製氷水が容器本体36からこぼれるのを防止する。
【0019】
容器本体36は、左右の側壁の間隔に比べ前壁36aと後壁36bとの間隔が大きい前後方向に長い略直方体状の合成樹脂製の容器である。容器本体36は、前壁36aの上端部に設けられた容器突出壁40と、後壁36bに設けられた第1容器係止部42と、上面開口部の周縁部から外方へ突出するパッキン当接部44とを備える。
【0020】
容器突出壁40は、パッキン当接部44の前端から上方へ突出する背面板46と、背面板46の前方に間隔をあけて設けられた正面板48とを備え、背面板46と正面板48との間に下方に開口する中空部50が形成されている(図6及び図7参照)。
【0021】
容器突出壁40は、背面板46の幅方向中央部に上方及び後方に開口する収納凹部52が形成され、収納凹部52に解除片54が収納されている。収納凹部52の左右側壁の下部には、収納凹部52の内方へ突出する第2容器係止部56が設けられている(図5参照)。第2容器係止部56は、容器本体36の後壁36bに設けられた第1容器係止部42より上方に位置し、蓋体38の対応する位置に設けられた第2蓋係止部82と係止する。
【0022】
解除片54は、図5及び図7に示すように、収納凹部52の上側開口に位置する操作部58と、収納凹部52の左右側壁に設けられた第2容器係止部56の間に位置する押圧部60と、操作部58と押圧部60との間に設けられ収納凹部52の左右側壁に支持された回動軸62とを備える。
【0023】
解除片54は、使用者が操作部58を前方へ移動させると回動軸62の周りに回動して、押圧部60が第2容器係止部56より後方へ突出する位置まで移動する。なお、解除片54は、回動軸62から操作部58までの距離が、回動軸62から押圧部60までの距離より大きいことが望ましい。
【0024】
容器突出壁40の正面板48は、冷蔵室6において給水タンク30の側方に配置される上容器14の前面と略同一の断面形状の断面形状をなしており、図2に示すように、給水タンク30を冷蔵室6の左側壁と縦仕切壁13に挟まれた空間に収納すると、上容器14の前面と正面板48とが幅方向に連続した一続きの形状を形成するようになっている。
【0025】
図4図5及び図8に示すように、第1容器係止部42は、容器本体36の後壁36bの上端部内側にパッキン当接部44より下方に設けられた左右方向に延びる凹溝からなる。本実施形態では、後壁36bの上端部に設けられた肉厚部37に第1容器係止部42が設けられている。第1容器係止部42の上側壁42aは、後方に行くほど溝幅が狭くなるように下方へ傾斜している。このような第1容器係止部42は、蓋体38の対応する位置に設けられた第1蓋係止部72と係止する。
【0026】
パッキン当接部44は、容器本体36の上面開口部の周縁部から外方へ突出するフランジ状に形成された部分であり、蓋体38に設けられたパッキン70が当接する。
【0027】
蓋体38は、容器本体36の上面開口を覆う蓋本体66と、蓋本体66の上部前端部から上方へ突出する蓋突出部67と、蓋本体66の周縁部に設けられた垂下壁68,69とを備える合成樹脂成形体である。
【0028】
蓋突出部67は、容器本体36の上面開口を蓋体38によって閉塞した時に容器本体36に設けられた容器突出壁40と前後方向に重なり合うように容器突出壁40の背面板46と略同一形状をなしている。
【0029】
蓋突出部67の周縁部には、前方へ突出する枠部76が設けられている。枠部76は、蓋突出部67の上縁の幅方向中央部に開口部を形成するように下方へ延びる屈曲部78を有している。屈曲部78の下端部には、下方へ延びる略平板状の弾性片80が設けられている。
【0030】
弾性片80は、第2容器係止部56が設けられた容器本体36の前壁36aより幅狭に設けられており、屈曲部78との連結部分を起点として前後方向に弾性変形可能に設けられている。なお、弾性片80は、蓋突出部67や、枠部76より薄肉に設けられても良い。
【0031】
弾性片80の下端部には、先端ほど細くなる断面三角形状の第2蓋係止部82が前方へ突出している。第2蓋係止部82は、第1容器係止部42より上方に位置しており、蓋体38で容器本体36の上面開口を閉塞した時に、容器本体36の容器突出壁40に設けられた第2容器係止部56と係止する。
【0032】
垂下壁68,69は、蓋本体66の周縁部から下方へ延びる環状の部材である。垂下壁68は、垂下壁69の径方向内側に間隔をあけて設けられており、垂下壁69より下方へ長く延びている。両垂下壁68,69の間には環状のパッキン70が設けられている。
【0033】
パッキン70は、垂下壁68,69の間に設けた状態で外側の垂下壁69より下方に突出しており、容器本体36の上面開口を蓋体38によって閉塞すると、容器本体36のパッキン当接部44にパッキン70が当接して、容器本体36と蓋体38との間をシールする(図7及び図8参照)。
【0034】
図8に示すように、蓋本体66の後壁66bから下方へ突出する垂下壁68には、後方へ突出する第1蓋係止部72が設けられている。第1蓋係止部72は、左右方向に延びる突条からなり、容器本体36に設けられた第1容器係止部42に挿入される。垂下壁68を挟んで第1蓋係止部72の前側(給水タンク内側)には、垂下壁68から蓋本体66の後壁66bまで上下方向に延びる補強リブ74が設けられており、第1蓋係止部72が設けられた垂下壁68の前後方向への曲げ剛性が高められている。これにより、第2蓋係止部82が設けられた弾性片80が、第1蓋係止部72が設けられた垂下壁68より前後方向への曲げ剛性が低く弾性変形しやすくなっている。
【0035】
なお、弾性片80を垂下壁68より前後方向への曲げ剛性を低くするために上記のように垂下壁68に補強リブ74を設ける以外に、垂下壁68より弾性片80を薄肉に設けたり、垂下壁68より弾性片80を上下方向に長く設けたり、垂下壁68より弾性片80を左右方向に短く設けるなど種々の形状を採用することができる。
【0036】
また、本実施形態において給水タンク30は、図6に示すように蓋体38で容器本体36の上面開口を閉塞したときに、第2容器係止部56が第2蓋係止部82を下方へ押圧し、第1容器係止部42が第1蓋係止部72を下方へ押圧することが好ましい。
【0037】
つまり、第2蓋係止部82が第2容器係止部56と係止する位置(接触する位置)からパッキン70の下面までの上下方向の距離が、第2蓋係止部82が第2容器係止部56と係止する位置からパッキン当接部44までの上下方向の距離より長くなるように、第2蓋係止部82、第2容器係止部56、パッキン当接部44、及びパッキン70の寸法を設定することが好ましい。また、第1蓋係止部72が第1容器係止部42と係止する位置(接触する位置)からパッキン70の下面までの上下方向の距離が、第1蓋係止部72が第1容器係止部42と係止する位置からパッキン当接部44までの上下方向の距離より短くなるように、第1蓋係止部72、第1容器係止部42、パッキン当接部44、及びパッキン70の寸法を設定することが好ましい。
【0038】
このような構成の給水タンク30において、容器本体36に蓋体38を取り付けるには、まず、蓋体38の第1蓋係止部72を容器本体36の後壁36bに設けられた第1容器係止部42に挿入して、第1蓋係止部72を第1容器係止部42に係止する。
【0039】
次いで、第1蓋係止部72を支点にして蓋体38を回動して容器本体36の上面開口を閉塞する。この時、弾性片80の先端部に設けられた第2蓋係止部82が第2容器係止部56と接触することで弾性片80を後方へ弾性変形させ、第2蓋係止部82が第2容器係止部56を乗り越え第2容器係止部56の下方に達すると、弾性片80の弾性によって第2蓋係止部82が第2容器係止部56の下面に係止する。これにより、容器突出壁40の後側において第2蓋係止部82が第2容器係止部56に係止し、蓋体38が容器本体36に固定される(図7参照)。
【0040】
また、蓋体38を容器本体36から取り外すには、容器突出壁40と蓋突出部67との間に形成された空間に使用者の指を挿入して解除片54の操作部58を前方へ押す。これにより、押圧部60が後方へ回動して弾性片80の第2蓋係止部82を後方へ押圧して、第2蓋係止部82と第2容器係止部56との係合を解除することで、蓋体38を容器本体36から取り外すことができる。
【0041】
(3)効果
以上のような本実施形態では、第1蓋係止部72を第1容器係止部42に係止させ、容器本体36の上面を閉塞するように第1蓋係止部72を支点に蓋体38を回動し、第2蓋係止部82を第2容器係止部56に係止させて、容器本体36の上面を閉塞した状態で蓋体38を容器本体36に固定するため、使用者が容器本体36を持ったまま蓋体38を着脱することができる。
【0042】
また、本実施形態では、第2蓋係止部82が、弾性片80の先端部に設けられているため、第2蓋係止部82と第2容器係止部56との係止及びその解除に必要な力を低減することができ、容易に蓋体38を着脱することができる。
【0043】
しかも、本実施形態では、第2蓋係止部82が設けられた弾性片80が、第2容器係止部56が設けられた容器本体36の前壁36aより幅狭であるため、弾性片80の曲げ剛性を低減することができ、更に容易に蓋体38を着脱することができる。
【0044】
また、本実施形態では、第2容器係止部56及び第2蓋係止部82が、第1容器係止部42及び第1蓋係止部72より高い位置に設けられているため、第2容器係止部56と第2蓋係止部82との係合及びその解除を行いやすくなり操作性を向上することができるとともに、第2蓋係止部82を前方かつ下方へ移動させながら第2容器係止部56と係止させることができ、小さな力で弾性片80を変形させて第2蓋係止部82を第2容器係止部56に係止することができる。
【0045】
また、本実施形態において、蓋体38で容器本体36の上面開口を閉塞したときに、第1容器係止部42が第1蓋係止部72を下方へ押圧し、容器本体36と蓋体38との間でパッキン70を押圧することができ、その場合、シール性能を高めることができる。
【0046】
また、給水タンク30は、貯水量を確認するため、通常、容器本体36を透明な樹脂材で形成することが多いが、本実施形態のように、第2蓋係止部82を弾性片80の先端部に設ける、言い換えれば、蓋体38に弾性片80を設けることで、容器本体36を形成する材料として蓋体38より弾性に劣る材料を選択することができ、ポリスチレンなどの安価な透明樹脂材を用いて給水タンクを製造することができる。
【0047】
また、本実施形態では、容器本体36の前壁36aの上端部に上方へ突出する容器突出壁40の後側の目立ちにくい位置において、第2蓋係止部82が第2容器係止部56に係止するため、外観品位を向上することができる。
【0048】
また、本実施形態において、外力を受けて回動軸62の周りに回動して第2容器係止部56と第2蓋係止部82の係止を解除するように弾性片80を押圧する解除片54を設けた場合、第2蓋係止部82と第2容器係止部56との係合を簡単に解除して蓋体38を容器本体36から取り外すことができる。特に、回動軸62から操作部58までの距離が、回動軸62から押圧部60までの距離より大きい場合、小さい力で第2蓋係止部82と第2容器係止部56との係合を解除することができる。
【0049】
また、本実施形態において、第2容器係止部56と第2蓋係止部82を容器本体36の前側に配置することで、使用者が一方の手で容器本体36の前側を保持しつつ、他方の手の手首を大きくひねることなく自然な角度で第2蓋係止部82と第2容器係止部56の係合及び解除を行った後、一方の手で容器本体36を持ったまま冷蔵室6へ戻すことができ、容器本体36を持ち替えることなく簡単に蓋体38の着脱を行うことができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について、図11に基づいて上記した実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0051】
図11に示すように、本実施形態において、容器本体136は、前壁36aの上端部に設けられた容器突出壁40の背面板46から後方へ突出する第2容器係止部156を備える。
【0052】
また、蓋体138の蓋突出部67には、上方へ延び前後方向に弾性変形可能な弾性片180と、弾性片180の上側に設けられた第2蓋係止部182と、第2蓋係止部182から上方に延びる操作部184とが設けられている。弾性片180は、第2容器係止部156が設けられた容器本体136の前壁136aより幅狭に設けられており、蓋突出部67との連結部分を起点として前後方向に弾性変形可能に設けられている。
【0053】
本実施形態において、容器本体136に蓋体138を取り付けるには、まず、蓋体138の第1蓋係止部を容器本体36の第1容器係止部42に挿入して、第1蓋係止部72を第1容器係止部42に係止した後、第1蓋係止部72を支点にして蓋体138を回動して容器本体136の上面開口を閉塞する。
【0054】
この時、弾性片180に設けられた第2蓋係止部182が第2容器係止部156と接触することで弾性片180を後方へ弾性変形させ、第2蓋係止部182が第2容器係止部156を乗り越え第2容器係止部156の下方に達すると、弾性片180の弾性によって第2蓋係止部182が第2容器係止部156の下面に係止する。これにより、容器突出壁40の後側において第2蓋係止部182が第2容器係止部156に係止し、蓋体138が容器本体36に固定される。
【0055】
また、蓋体138を容器本体136から取り外すには、操作部184を後方へ押圧して弾性片180を後方へ移動させることで、第2蓋係止部182と第2容器係止部156との係合が解除され、蓋体138を容器本体136から取り外すことができる。
【0056】
本実施形態では、容器本体136及び蓋体138を、それぞれ樹脂材により一体成形することができる。第2実施形態について、その他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様であり、説明は省略する。
【0057】
(その他の実施形態)
上記した実施形態では、蓋体38、138に設けた弾性片80、180に第2蓋係止部82,182を設けたが、容器本体36,136に弾性片80,180を設け、その弾性片80,180に第2容器係止部56,156を設けてもよい。
【0058】
また、上記した実施形態では、第1容器係止部42及び第1蓋係止部72を容器本体36,136の後側に設け、第2容器係止部56、156及び第2蓋係止部82、182を容器本体36、136の前側に設けたが、第1容器係止部42及び第1蓋係止部72を容器本体36、136の前側に設け、第2容器係止部56、156及び第2蓋係止部82、182を容器本体136の後側に設けても良い。
【0059】
また、上記した実施形態では、第2容器係止部56、156及び第2蓋係止部82、182を第1容器係止部42及び第1蓋係止部72より高い位置に設けたが、第1容器係止部42及び第1蓋係止部72を第2容器係止部56、156及び第2蓋係止部82、182より高い位置に設けても良い。
【0060】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、6…冷蔵室、8…製氷室、11…仕切板、12…棚板、13…縦仕切壁、14…上容器、15…下容器、30…給水タンク、31…給水装置、32…製氷装置、33…製氷皿、34…離氷機構、36…容器本体、36a…前壁、36b…後壁、38…蓋体、40…容器突出壁、42…第1容器係止部、44…パッキン当接部、46…背面板、48…正面板、50…中空部、52…収納凹部、54…解除片、56…第2容器係止部、58…操作部、60…押圧部、62…回動軸、66…蓋本体、66a…前壁、66b…後壁、67…蓋突出部、68…垂下壁、69…垂下壁、70…パッキン、72…第1蓋係止部、74…補強リブ、76…枠部、78…屈曲部、80…弾性片、82…第2蓋係止部
図1
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図11