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特許7369012チャンネル最適化支援装置、チャンネル最適化支援方法、アクセスポイント管理システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】チャンネル最適化支援装置、チャンネル最適化支援方法、アクセスポイント管理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/10 20090101AFI20231018BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20231018BHJP
   H04W 88/12 20090101ALI20231018BHJP
【FI】
H04W16/10
H04W84/12
H04W88/12
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019209531
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021082963
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】岡本 信
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-109441(JP,A)
【文献】特表2010-537577(JP,A)
【文献】特開2006-109442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 16/02
H04W 88/08
H04W 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクセスポイントのそれぞれが複数のチャンネルのそれぞれを使用するか否かを表す変数の和に基づく目的関数を生成する目的関数生成部と、
所定の制約条件の下で前記目的関数の最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントのそれぞれが使用するチャンネルを算出する最適化計算部と、
を備え
前記最適化計算部は、前記変数の和を最大とする最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントが使用するチャンネル数が最大となるチャンネル割り当てを算出する、
チャンネル最適化支援装置。
【請求項2】
前記複数のアクセスポイントの間の距離を取得する距離取得部をさらに備え、
前記制約条件は、距離が閾値以下のアクセスポイントの組に同じチャンネルを割り当てないとの条件を含む、
請求項に記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項3】
前記距離は、鉛直方向の成分が実際よりも短く補正された距離である、
請求項に記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項4】
前記制約条件は、各アクセスポイントが1つ以上のチャンネルを使用するとの条件を含む、
請求項1ないしの何れかに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項5】
前記制約条件は、各アクセスポイントが所定の自然数以下のチャンネルを使用するとの条件を含む、
請求項1ないしの何れかに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項6】
前記制約条件は、アクセスポイントが複数の無線通信部を含む場合、前記複数の無線通信部が互いに異なるグループに属する所定の自然数以下のチャンネルをそれぞれ使用するとの条件を含む、
請求項1ないしの何れかに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項7】
前記制約条件は、各アクセスポイントが互いに異なるグループに属する複数のチャンネルを同時に使用しないとの条件を含む、
請求項1ないしの何れかに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項8】
前記制約条件は、各アクセスポイントが、グループに属する周波数が小さい順の第1ないし第4チャンネルのうち、第1チャンネルを使用しない場合、第2及び第3チャンネル又は第2及び第4チャンネルを同時に使用しないとの条件を含む、
請求項1ないしの何れかに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項9】
前記最適化計算は、線形計画法により行われる、
請求項1ないしの何れかに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項10】
前記最適化計算は、非線形計画法により行われる、
請求項1ないしの何れかに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項11】
前記目的関数は、前記複数のアクセスポイントのそれぞれの重み係数を含む、
請求項1ないし10の何れかに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項12】
前記距離は、前記複数のアクセスポイントのそれぞれの指向性に応じて補正された距離である、
請求項またはに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項13】
前記複数のアクセスポイントの位置を取得する位置取得部をさらに備え、
前記複数のアクセスポイントのそれぞれに対応する複数のオブジェクトが、アクセスポイントの位置に対応する位置の、チャンネルの周波数に対応する高さに配置された空間を表示する画像を生成する画像生成部をさらに備える、
請求項1ないし12の何れかに記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項14】
前記複数のオブジェクトは、アクセスポイントの出力に応じた大きさで前記空間に配置される、
請求項13に記載のチャンネル最適化支援装置。
【請求項15】
複数のアクセスポイントと、
前記複数のアクセスポイントのそれぞれが複数のチャンネルのそれぞれを使用するか否かを表す変数の和に基づく目的関数を生成する目的関数生成部と、
所定の制約条件の下で前記目的関数の最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントのそれぞれが使用するチャンネルを算出する最適化計算部と、
前記最適化計算部の計算結果に基づき、前記複数のアクセスポイントにチャンネルを設定するチャンネル設定部と、
を備え
前記最適化計算部は、前記変数の和を最大とする最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントが使用するチャンネル数が最大となるチャンネル割り当てを算出する、
アクセスポイント管理システム。
【請求項16】
複数のアクセスポイントのそれぞれが複数のチャンネルのそれぞれを使用するか否かを表す変数の和に基づく目的関数を生成し、
所定の制約条件の下で前記目的関数の最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントのそれぞれが使用するチャンネルを算出する、
チャンネル最適化支援方法であって、
前記算出は、前記変数の和を最大とする最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントが使用するチャンネル数が最大となるチャンネル割り当てを算出する、
チャンネル最適化支援方法
【請求項17】
複数のアクセスポイントのそれぞれが複数のチャンネルのそれぞれを使用するか否かを表す変数の和に基づく目的関数を生成する目的関数生成部、及び、
所定の制約条件の下で前記目的関数の最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントのそれぞれが使用するチャンネルを算出する最適化計算部、
としてコンピュータを機能させ
前記最適化計算部は、前記変数の和を最大とする最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントが使用するチャンネル数が最大となるチャンネル割り当てを算出する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンネル最適化支援装置、チャンネル最適化支援方法、アクセスポイント管理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、同一のグループに属するセル間の最短距離が一定となるように、各セルの属するグループを決定し、決定されたグループに属するセルに割り当てられる周波数帯域を当該グループ単位で決定し、グループ毎に異なる周波数帯域の割当てを行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-27189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、学校などの施設では、多数のアクセスポイントが密集して配置されることがある。アクセスポイントにチャンネルを設定する際には、近傍のアクセスポイントのチャンネルとの干渉を避ける等の制約があるが、多数のアクセスポイントが存在する場合には、チャンネルの管理が煩雑である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、複数のアクセスポイントのチャンネルの最適化を図ることが容易なチャンネル最適化支援装置、チャンネル最適化支援方法、アクセスポイント管理システム、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様のチャンネル最適化支援装置は、複数のアクセスポイントのそれぞれが複数のチャンネルのそれぞれを使用するか否かを表す変数に基づく目的関数を生成する目的関数生成部と、所定の制約条件の下で前記目的関数の最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントのそれぞれが使用するチャンネルを算出する最適化計算部と、を備える。
【0007】
また、本発明の他の態様のアクセスポイント管理システムは、複数のアクセスポイントと、前記複数のアクセスポイントのそれぞれが複数のチャンネルのそれぞれを使用するか否かを表す変数に基づく目的関数を生成する目的関数生成部と、所定の制約条件の下で前記目的関数の最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントのそれぞれが使用するチャンネルを算出する最適化計算部と、前記最適化計算部の計算結果に基づき、前記複数のアクセスポイントにチャンネルを設定するチャンネル設定部と、を備える。
【0008】
また、本発明の他の態様のチャンネル最適化支援方法は、複数のアクセスポイントのそれぞれが複数のチャンネルのそれぞれを使用するか否かを表す変数に基づく目的関数を生成し、所定の制約条件の下で前記目的関数の最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントのそれぞれが使用するチャンネルを算出する。
【0009】
また、本発明の他の態様のプログラムは、複数のアクセスポイントのそれぞれが複数のチャンネルのそれぞれを使用するか否かを表す変数に基づく目的関数を生成する目的関数生成部、及び、所定の制約条件の下で前記目的関数の最適化計算を実行することにより、前記複数のアクセスポイントのそれぞれが使用するチャンネルを算出する最適化計算部、としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のアクセスポイントのチャンネルの最適化を図ることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るアクセスポイント管理システムの例を示す図である。
図2】アクセスポイントの構成例を示す図である。
図3】アクセスポイントの構成例を示す図である。
図4】5GHz帯におけるチャンネルを説明するための図である。
図5】実施形態に係るチャンネル最適化支援装置の構成例を示す図である。
図6】位置データベースの例を示す図である。
図7】実施形態に係るチャンネル最適化支援方法の手順例を示す図である。
図8】アクセスポイントの位置とチャンネルを表す画像の例を示す図である。
図9】アクセスポイントの位置とチャンネルを表す画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
[システム概要]
図1は、実施形態に係るアクセスポイント管理システム100の例を示す図である。アクセスポイント管理システム100は、実施形態に係るチャンネル最適化支援装置1(以下、単に「支援装置1」という。)及びアクセスポイント群90を備えている。
【0014】
支援装置1は、例えばパーソナルコンピュータ又はサーバーコンピュータ等のコンピュータである。
【0015】
アクセスポイント群90は、複数のアクセスポイント9を備えている。複数のアクセスポイント9は、例えば学校、企業又は研究施設などの1又は複数階建ての建物Bの各部屋に設置される。図中のX方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。
【0016】
支援装置1と複数のアクセスポイント9とは、有線LAN等の通信ネットワークを介して相互に通信可能である。アクセスポイント9は、無線LANアクセスポイントであり、不図示の無線LANクライアントを有線LAN等の通信ネットワークに接続する。
【0017】
図2及び図3は、アクセスポイント9(9A,9B)の構成例を示すブロック図である。アクセスポイント9は、アクセスポイント9A,9Bの総称である。アクセスポイント9Aと9Bとでは、5GHz帯を使用する無線通信部91,92の数が異なっている。
【0018】
具体的には、アクセスポイント9Aは、5GHz帯を使用する1つの無線通信部91を備えている。アクセスポイント9Bは、5GHz帯を使用する2つの無線通信部91,92を備えている。
【0019】
アクセスポイント9A,9Bは、その他、2.4GHz帯を使用する無線通信部97、制御部98、及び有線通信部99を備えている。なお、5GHz帯を使用する無線通信部を3以上備えるアクセスポイントがあってもよい。
【0020】
図4は、5GHz帯におけるチャンネルを説明するための図である。5GHz帯は、W52(5.2GHz帯)、W53(5.3GHz帯)、及びW56(5.6GHz帯)のグループを含んでいる。チャンネル幅は、20MHz、40MHz、又は80MHzを採り得る。
【0021】
例えばW52のグループでは、チャンネル幅が20MHzのとき、36ch、40ch、44ch、48chが使用される。チャンネル幅が40MHzのとき、36+40ch、44+48chが使用される。チャンネル幅が80MHzのとき、36+40+44+48chが使用される。
【0022】
図5は、支援装置1の構成例を示すブロック図である。支援装置1は、制御部10を備えている。制御部10は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース等を含むコンピュータである。制御部10のCPUは、ROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行する。
【0023】
プログラムは、例えば光ディスク又はメモリカード等の情報記憶媒体を介して供給されてもよいし、例えばインターネット又はLAN等の通信ネットワークを介して供給されてもよい。
【0024】
制御部10は、データベース2にアクセス可能である。データベース2は、支援装置1に設けられてもよいし、支援装置1の外部に設けられて通信ネットワークを介してアクセスされてもよい。
【0025】
表示部3は、制御部10からの表示指令に基づく画像を表示する。表示部3は、支援装置1に設けられてもよいし、支援装置1の外部に設けられて通信ネットワークを介して表示指令を受信してもよい。
【0026】
制御部10は、位置取得部11、距離取得部12、目的関数生成部13、最適化計算部14、チャンネル設定部15、及び画像生成部16を備えている。これらの機能部は、制御部10のCPUがプログラムに従って情報処理を実行することにより実現される。
【0027】
図6は、データベース2内に構築される位置データベースの例を示す図である。位置データベースには、複数のアクセスポイント9のそれぞれの位置が登録されている。
【0028】
具体的には、位置データベースは、「識別子」、「機種」、「配置位置」、及び「配置階」のフィールドを含んでいる。
【0029】
「識別子」は、アクセスポイント9を識別するための識別子である。「機種」は、アクセスポイント9の機種を表す。機種に基づき、5GHz帯を使用する無線通信部91,92の数が判別される。
【0030】
「配置位置」は、アクセスポイント9の水平方向の位置をXY座標で表す。「配置階」は、アクセスポイント9の鉛直方向の位置を建物の階数で表す。
【0031】
[チャンネル最適化]
以下、5GHz帯におけるチャンネルを複数のアクセスポイント9に割り当てるチャンネル割り当ての最適化について説明する。
【0032】
本実施形態において、支援装置1は、最適化計算を実行することにより、複数のアクセスポイント9が使用するチャンネルの数が最大となるチャンネル割り当てを算出する。
【0033】
支援装置1に含まれる最適化計算部14(図5参照)は、最適化計算を実行する所謂ソルバである。以下では、最適化計算部14が線形計画法に基づく計算を実行する例について説明する。
【0034】
図7は、アクセスポイント管理システム100において実現される、実施形態に係るチャンネル最適化支援方法の例を示す図である。支援装置1の制御部10は、同図に示す処理をプログラムに従って実行する。
【0035】
まず、制御部10は、位置データベース(図6参照)から各アクセスポイント9の位置を取得する(S11;位置取得部11としての処理)。
【0036】
次に、制御部10は、各アクセスポイント9の位置に基づき、アクセスポイント9間の距離を算出する(S12;距離取得部12としての処理)。これに限らず、制御部10は、データベース2に予め登録されたアクセスポイント9間の距離を取得してもよい。
【0037】
次に、制御部10は、目的関数を生成するとともに(S13;目的関数生成部13としての処理)、予め定められた制約条件を取得する(S14)。目的関数及び制約条件は、下記のとおりである。
【0038】
i番目のアクセスポイントAPiがチャンネルjを使用するか否かを表す変数をchijとし、チャンネルjを使用する場合をchij=1、使用しない場合をchij=0とする。
【0039】
chijの数は、アクセスポイント数×チャンネル数(36~140chの19チャンネル)となる。仮にアクセスポイント数を100とすると、chijの数は1900となり、chijが採り得る組み合わせは21900通りとなる。
【0040】
すなわち、chijは、複数のアクセスポイント9のそれぞれが複数のチャンネルのそれぞれを使用するか否かを表す変数である。
【0041】
目的関数は、複数のアクセスポイント9が使用するチャンネルの数の最大化を目的とし、次式のようにchijの和の最大値で表される。
【0042】
制約条件としては、下記の6つの制約条件が設定される。
【0043】
制約条件(1):各アクセスポイント9が1つ以上のチャンネルを使用する。
【0044】
制約条件(2):各アクセスポイント9が4つ以下のチャンネルを使用する。
これは、チャンネル幅が最大で80MHzであることを表している。
【0045】
制約条件(3):アクセスポイント9が5GHz帯を使用する2つの無線通信部91,92を備える場合(すなわち、図3に示すアクセスポイント9Bである場合)、2つの無線通信部91,92の一方がW52及びW53のグループに属する4つ以下のチャンネルを使用し、他方がW56のグループに属する4つ以下のチャンネルを使用する。
【0046】
制約条件(4):各アクセスポイント9が、W52、W53及びW56のグループのうちの互いに異なるグループに属する複数のチャンネルを同時に使用しない。
すなわち、各アクセスポイント9が、W52のグループに属するチャンネルとW53のグループに属するチャンネルを同時に使用せず、W52のグループに属するチャンネルとW56のグループに属するチャンネルを同時に使用せず、W53のグループに属するチャンネルとW56のグループに属するチャンネルを同時に使用しない。
【0047】
制約条件(5):各アクセスポイント9が、W52、W53又はW56のグループに属する周波数が小さい順の第1ないし第4チャンネルのうち、第1チャンネルを使用しない場合に、第2及び第3チャンネル又は第2及び第4チャンネルを同時に使用しない。
すなわち、W52のグループでは、36chを使用しない場合に、40chと44chを同時に使用せず、40chと48chも同時に使用しない。W53のグループでは、52chを使用しない場合に、56chと60chを同時に使用せず、56chと64chも同時に使用しない。W56のグループでは、100chを使用しない場合に、104chと108chを同時に使用せず、104chと112chも同時に使用しない。
なお、Mは、1より大きな数字である。
【0048】
制約条件(6):距離が閾値以下のアクセスポイント9の組に同じチャンネルを割り当てない。
すなわち、2つのアクセスポイントAPとAPの間の距離dAPm,APnが閾値n以下である場合に、これらのアクセスポイントAP,APに同じチャンネルを割り当てない。
【0049】
なお、建物Bでは、鉛直方向(Z方向)に離れたアクセスポイント9の間に天井及び床が介在し、電波が鉛直方向に伝播し難いため、アクセスポイント9間の距離は、鉛直方向の成分が実際よりも短く(すなわち、水平方向の成分に対して短く)補正された距離とされてもよい。これにより、鉛直方向において閾値を見かけ上短くすることが可能となる。
【0050】
次に、制御部10は、上記制約条件(1)~(6)の下で目的関数の最適化計算を実行し、複数のアクセスポイント9が使用するチャンネルの数が最大となるチャンネル割り当てを算出する(S15;最適化計算部14としての処理)。
【0051】
次に、制御部10は、算出されたチャンネル割り当てに基づき、複数のアクセスポイント9にチャンネルを設定する(S16;チャンネル設定部15としての処理)。各アクセスポイント9は、支援装置1から指定されたチャンネルを使用するように自身のチャンネル設定を変更する。
【0052】
これによれば、学校等の建物Bで多数のアクセスポイント9を密集して配置するような場合において、チャンネルの最適化を図ることが容易となる。すなわち、近接したアクセスポイント9の組に同じチャンネルを割り当てることを避けつつ、複数のアクセスポイント9が使用するチャンネルの数の最大化を実現することが可能となる。
【0053】
次に、制御部10は、複数のアクセスポイント9の位置とチャンネルを表す画像を生成する(S17;画像生成部16としての処理)。生成された画像は、表示部3に出力される。
【0054】
図8に示すように、画像は、複数のアクセスポイント9のそれぞれに対応する複数のオブジェクトOBが、アクセスポイント9の実際の位置に対応する位置の、割り当てられたチャンネルの周波数に対応する高さに配置された3次元空間3Dを表示している。なお、画像は、ユーザの操作に応じて観察の視点が変えられることが好ましい。
【0055】
画像中のXY軸は、アクセスポイント9の位置を表す。アクセスポイント9の位置は、位置データベースの「配置位置」(図6参照)に基づく。XY軸に直交する軸は、アクセスポイント9に割り当てられたチャンネルの周波数を表す。画像は、各階について個別に生成される。
【0056】
オブジェクトOBは円柱状に形成されており、アクセスポイント9毎に色分けされている。円柱状のオブジェクトOBの中心軸の位置がアクセスポイント9の位置に対応しており、円柱状のオブジェクトOBの高さがアクセスポイント9に割り当てられたチャンネル及びチャンネル幅を表している。
【0057】
円柱状のオブジェクトOBの半径は、アクセスポイント9同士を互いに離すべき距離に基づく所定の大きさとされる。又は、円柱状のオブジェクトOBの半径は、アクセスポイント9の出力に応じて変更されてもよい。
【0058】
ここで、オブジェクトOB同士が重なっている場合は、チャンネルが重なっていることを意味し、オブジェクトOB同士が重なっていない場合は、チャンネルが重なっていないことを意味する。このため、チャンネルが重なっているか否かを視覚的に把握することが可能となる。
【0059】
図9に示すように、画像は、2次元空間2Dを表示するものであってもよい。画像中の横軸は、アクセスポイント9のX方向の位置を表し、縦軸は、アクセスポイント9に割り当てられたチャンネルの周波数を表す。すなわち、同図に示す画像は、3次元空間3D(図8参照)をY方向に観察又は投影したときの画像である。
【0060】
画像は、各階について個別に生成され、並べて表示される。このため、鉛直方向のチャンネルの関係も視覚的に把握することが可能となる。
【0061】
[他の実施形態]
支援装置1に含まれる最適化計算部14(図5参照)は、非線形計画法に基づく計算を実行してもよい。この場合、目的関数及び制約条件は、下記のとおりである。
【0062】
i番目のアクセスポイントAPが使用するチャンネルセットをvとする。チャンネルセットは、各チャンネルに対応する変数を含み、変数は、チャンネルを使用する場合には1とされ、使用しない場合には0とされる。
これは、1番目のチャンネル(36ch)のみを使用し、その他のチャンネルを使用しない場合を表している(下記チャンネルセットc1に相当)。
【0063】
アクセスポイントAPが採り得るチャンネルセットc1~c32を行列にしたものを行列Cとする。
【0064】
なお、本実施形態では、上述の制約条件(1)~(5)は、行列Cにおいて実現されている。
【0065】
目的関数は、複数のアクセスポイント9が使用するチャンネルの数の最大化を目的とし、次式のように表される。
【0066】
制約条件としては、下記の2つの制約条件が設定される。
【0067】
制約条件(a):vは、チャンネルセットc1~c32の何れか1つを有する。
【0068】
制約条件(b):距離が閾値以下のアクセスポイント9の組に同じチャンネルを割り当てない。
これは、上述の制約条件(6)と同じである。すなわち、2つのアクセスポイントAPとAPの間の距離dijが閾値n以下である場合、これらのアクセスポイントAPとAPに同じチャンネルを割り当てない。
【0069】
これら制約条件(a)及び(b)の下で目的関数の最適化計算が実行され、これにより、複数のアクセスポイント9が使用するチャンネルの数が最大となるチャンネル割り当てが算出される。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。
【0071】
例えば、上記S13において生成される目的関数は、複数のアクセスポイント9のそれぞれの重み係数を含んでもよい。すなわち、目的関数において、優先度の高いアクセスポイント9ほど大きな重み係数を付与することで、優先度の高いアクセスポイント9ほど優先的にチャンネルの数を最大化することが可能となる。
【0072】
また、上記S12において算出されるアクセスポイント9間の距離は、アクセスポイント9の指向性に応じて補正された距離であってもよい。例えば、所定の方向に指向性を持つアクセスポイント9について距離を算出する際に、その方向の成分が実際よりも長くなるように補正することで、その方向において閾値を見かけ上長くすることが可能となる。
【0073】
また、アクセスポイント群90を構成する任意の一つのアクセスポイント9が、支援装置1を兼ねることもできる。このとき、アクセスポイント9の制御部98が、上述の支援装置1の制御部10と同様に動作する。
【符号の説明】
【0074】
1 チャンネル最適化支援装置、10 制御部、11 位置取得部、12 距離取得部、13 目的関数生成部、14 最適化計算部、15 チャンネル設定部、16 画像生成部、2 データベース、3 表示部、9(9A,9B) アクセスポイント、90 アクセスポイント群、91,92 無線通信部(5GHz帯)、97 無線通信部(2.4GHz帯)、98 制御部、99 有線通信部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9