IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケイミュー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ジョイナ、及び壁構造 図1
  • 特許-ジョイナ、及び壁構造 図2
  • 特許-ジョイナ、及び壁構造 図3
  • 特許-ジョイナ、及び壁構造 図4
  • 特許-ジョイナ、及び壁構造 図5
  • 特許-ジョイナ、及び壁構造 図6
  • 特許-ジョイナ、及び壁構造 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ジョイナ、及び壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/70 20060101AFI20231018BHJP
   E04B 1/682 20060101ALI20231018BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
E04B1/70 D
E04B1/682 A
E04F13/08 Y
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020003820
(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公開番号】P2021110184
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笹山 徹
(72)【発明者】
【氏名】魚田 祐樹
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-054243(JP,A)
【文献】特開2001-271431(JP,A)
【文献】特開2004-084200(JP,A)
【文献】特開昭56-064052(JP,A)
【文献】登録実用新案第3010456(JP,U)
【文献】米国特許第06427405(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 - 1/99
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う壁材の間の目地に配されるジョイナであって、
シーリング材を受ける受け部と、
前記受け部から壁下地側に突出した一対の側板部とを有し、
前記一対の側板部の各々に、複数の通気孔が形成され、
前記一対の側板部のうちの一方に形成された前記通気孔と、他方に形成された前記通気孔とが、前記目地の長さ方向において交互に並ぶ、
ジョイナ。
【請求項2】
請求項1に記載のジョイナであって、
前記通気孔は、前記側板部と前記受け部とでなすコーナー部に形成された、
ジョイナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のジョイナであって、
前記一方に形成された通気孔と、他方に形成された通気孔とは、前記目地の長さ方向と直交する方向から見て、前記目地の長さ方向に連続している、
ジョイナ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のジョイナを用いた壁構造であって、
前記隣り合う壁材の各々は、
中空部を有し、
前記隣り合う壁材のうちの少なくとも一方が有する前記中空部が、前記通気孔に通じた、
壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイナ、及び壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建築物の外壁目地構造が開示されている。この外壁目地構造では、下地材に敷設された外装板材に、複数本の中空部が設けられている。これら複数本の中空部は、外装板材の重量を軽減するなどの機能がある。
【0003】
この外壁目地構造では、隣り合う外装板材の間に設けられた目地溝に、両側の外装板材の中空部が対向して開口している。目地溝の底部には、連通部材が装着されており、目地溝の内部には、連通部材を覆うシーリング材が充填されている。
【0004】
連通部材は、金属薄板を屈曲形成してなる成形材で構成されており、中央に角形の凸部を有している。凸部には、通気孔が穿孔されており、隣り合う外装板材の中空部同士は、通気孔を介して連通している。このため、一つの外装板材が局所的に昇温して中空部内の空気が膨張しても、この膨張した空気は連通部材を介して隣接する外装板材の中空部に移動し、両方の中空部を合わせた空間全体で空気の温度あるいは圧力が均等化される。これにより、中空部に存在する空気が昇温膨張してシーリング材に侵入することにより、シーリング材に気泡が発生することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-54243号公報(段落番号0021、0022、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した外壁目地構造では、外装板材の端面に形成された、中空部の開口が、連通部材の通気孔に通じており、外装板材の中空部に存在する空気は、連通部材の通気孔を通じて排出される。このため、例えば、外装板材が日射によって昇温する等した場合に、施工直後の完全に硬化していないシーリング材が、中空部から排出された空気によって押されて壁下地とは反対側に膨らむこと(以下、この現象を「膨れ」という)を抑制できる場合がある。
【0007】
しかし、中空部の開口の通気孔に対する位置は、外装板材と連通部材の各々の施工誤差や製造誤差等によって、変化するため、通気孔が中空部の開口に対応しない箇所に配される可能性がある。この場合、中空部の開口は、連通部材の凸部において通気孔が形成されていない部分によって塞がれてしまい、中空部内の空気が排出されない状態となり、結果、シーリング材の膨れが発生して、壁構造の外観を損ねる恐れがある。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みてなされており、シーリング材の膨れの発生を適切に抑制できるジョイナ及び壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るジョイナは、隣り合う壁材の間の目地に配されるジョイナであって、シーリング材を受ける受け部と、前記受け部から壁下地側に突出した一対の側板部とを有する。前記一対の側板部の各々に、複数の通気孔が形成される。前記一対の側板部のうちの一方に形成された前記通気孔と、他方に形成された前記通気孔とが、前記目地の長さ方向において交互に並ぶ。
【0010】
また、本発明の一態様に係る壁構造は、前記ジョイナを用いた壁構造であって、前記隣り合う壁材の各々は、中空部を有する。前記隣り合う壁材のうちの少なくとも一方が有する前記中空部が、前記通気孔に通じる。
【発明の効果】
【0011】
前記一態様に係るジョイナ及び壁構造では、壁材の両側にジョイナが施工された状態において、壁材の一方の端面に形成された、中空部の開口が、対応するジョイナにおける通気孔が形成されていない部分によって塞がれたとしても、壁材の他方の端面に形成された、中空部の開口が、対応するジョイナの通気孔に連通しやすくなる。したがって、中空部内の空気の圧力が高くなってシーリング材の膨れが生じることを適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る壁構造の斜視図である。
図2図2A図2Dは、同上の壁構造が備えるジョイナを示し、図2Aは平面図であり、図2Bは正面図であり、図2Cは左側面図であり、図2Dは右側面図である。
図3図3は、同上の壁構造において隣り合う壁材の間の部分を示した断面図である。
図4図4は、変形例の壁構造においてに隣り合う壁材の間の部分を示した断面図である。
図5図5A図5Dは、他の変形例のジョイナを示し、図5Aは平面図であり、図5Bは正面図であり、図5Cは左側面図であり、図5Dは右側面図である。
図6図6は、同上の壁構造が備える壁材の斜視図である。
図7図7は、同上の壁構造であってシーリング材の図示を省略した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)実施形態
本実施形態のジョイナ2は、例えば、図1に示すように、隣り合う壁材6の間の目地10に配され、目地10に充填されたシーリング材7をバックアップする。以下、ジョイナ2を用いた壁構造1について詳述する。
【0014】
なお、以下では、複数の壁材6を壁下地5に施工した状態における方向を用いて説明する。具体的には、壁下地5から壁材6に向かう方向を前方とし、壁材6から壁下地5に向かう方向を後方とする。また、壁構造1を前方から見たときを基準にして左右方向を規定する。
【0015】
図1に示す壁構造1は、壁下地5、ジョイナ2及び複数の壁材6を備えている。本実施形態の壁構造1は、外壁構造であり、複数の壁材6が壁下地5の屋外側に設けられている。なお、本発明の技術は、内壁構造にも適用可能である。
【0016】
壁下地5は、例えば、複数の柱50と、複数の柱50の屋外側に取り付けられた透湿防水シート51と、透湿防水シート51の表面に沿って配置され、透湿防水シート51を介して柱50に取り付けられた複数の胴縁52とを有している。各胴縁52は、例えば、釘又はねじ等の固定具を用いて柱50に取り付けられる。
【0017】
ジョイナ2は、金属製であり、例えば、鋼板を曲げ加工して形成される。なお、ジョイナ2の材質は、限定されない。例えば、ジョイナ2は、アルミニウム等の他の金属から形成されてもよいし、合成樹脂から形成されてもよい。
【0018】
ジョイナ2は、一方向に直線状に延びた形状を有している。本実施形態のジョイナ2は、目地10の長さ方向と平行な上下方向に直線状に延びており、ジョイナ2の一部は、目地10に配されている。なお、上下方向に隣り合う壁材の間に目地が形成される場合、ジョイナ2はこの目地に配されてもよい。
【0019】
本実施形態のジョイナ2は、図2Aに示すように、長手方向と直交する断面形状がハット状に形成されている。具体的にジョイナ2は、後方に向かって開口した断面コ字状の支持部20と、支持部20に繋がった左右一対の固定部21とを有している。
【0020】
支持部20は、左右一対の固定部21から前方に向かって突出している。支持部20は、図3に示すように、シーリング材7を後方から支持する部分である。支持部20は、上下方向に延びている。図2A図2Dに示すように、支持部20は、受け部22と、一対の側板部23,24とを有している。図3に示すように、受け部22は、壁下地5に沿って上下方向に延びた板状に形成されている。受け部22は、壁下地5から前方に離れて位置する。受け部22の前面は、平面であり、シーリング材7を受ける受け面を構成している。
【0021】
一対の側板部23,24は、受け部22における左右方向の両端部からそれぞれ後方に向かって突出している。各側板部23,24は、受け部22の長さ方向(上下方向)の全長にわたっている。各側板部23,24は、壁下地5に近い部分ほど他方の側板部24,23に近づくように前後方向に対して傾斜している。
【0022】
支持部20は、両側板部23,24のうちの一方の側板部23と受け部22とで構成されたコーナー部25と、他方の側板部24と受け部22とで構成されたコーナー部26とを有している。本実施形態の各コーナー部25,26は、上下方向と直交する断面形状が、外側に凸となる円弧状に形成されており、丸みを帯びている。
【0023】
なお、各コーナー部25,26は、図4に示すように、鋭角な角部であってもよい。ここで、本発明における「鋭角な角部」とは、側板部23,24と受け部22との間の角度が90度未満で、かつ、丸みを帯びていない尖った角を意味する。また、各側板部23,24は、前後方向と平行であってもよいし、壁下地5に近い部分ほど他方の側板部24,23から離れるように前後方向に対して傾斜してもよい。
【0024】
図2Aに示すように、支持部20の内側には、後方に向かって開口した凹所29が形成されている。凹所29は、支持部20の長さ方向(上下方向)の全長にわたっている。
【0025】
一対の固定部21は、一対の側板部23,24の後端部から左右方向の外側に向かってそれぞれ突出している。ジョイナ2は、例えば、各固定部21を、釘又はねじ等の固定具(図示せず)によって壁下地5に固定することで、図3に示すように、壁下地5に取り付けられる。なお、ジョイナ2は、例えば、図5A図5Dに示すように、固定部21を一つだけ有していてもよい。また、ジョイナ2を壁下地5に取り付ける手段は、固定具に限定されず、例えば、接着剤又はテープ等でもよい。
【0026】
図2B図2Dに示すように、支持部20には、複数の通気孔27が形成されている。複数の通気孔27は、一対の側板部23,24のうちの一方の側板部23に形成された複数の第1通気孔271と、他方の側板部24に形成された複数の第2通気孔272とを含んでいる。すなわち、一対の側板部23,24の各々には、複数の通気孔27が形成されている。本実施形態の第1通気孔271と第2通気孔272とは、形状及び大きさが同じである。なお、第1通気孔271と第2通気孔272とは、形状及び大きさが同じでなくてもよい。
【0027】
各通気孔27は、支持部20の内側に形成された凹所29(図2A参照)に通じている。各通気孔27は、側板部23,24における受け部22側の端部(前端部)に形成されている。本実施形態の各通気孔27は、側板部23,24と受け部22とでなすコーナー部25,26に形成されており、側板部23と受け部22との両者に跨っている。各通気孔27は、側板部23,24における受け部22側の端部に形成された第1孔部281と、受け部22における側板部23,24側の端部に形成されて第1孔部281に連続した第2孔部282とで構成されている。
【0028】
第1孔部281は、左右方向に見て、上下方向に延びた矩形状に形成されており、側板部23,24の厚み方向に貫通している。第2孔部282は、前後方向に見て、上下方向に延びた矩形状に形成されており、受け部22の厚み方向に貫通している。なお、各通気孔27は、側板部23,24だけに形成されてもよい。すなわち、各通気孔27は、少なくとも一部が側板部23,24に形成されていればよい。また、各通気孔27は、例えば、側板部23,24における前後方向の中間部等、側板部23,24における受け部22側の端部以外の部分に形成されてもよい。また、各通気孔27の形状及び大きさは、限定されない。また、支持部20の前後寸法は、限定されない。
【0029】
複数の第1通気孔271は、上下方向に間隔を空けて並んでいる。複数の第2通気孔272は、上下方向に間隔を空けて並んでいる。支持部20には、第1通気孔271と第2通気孔272とが上下方向(目地10の長さ方向)において一つずつ交互に並ぶように、複数の通気孔27が形成されている。
【0030】
第1通気孔271の上下方向の長さは、上下方向において隣り合う第2通気孔272の間隔と一致し、第2通気孔272の上下方向の長さは、上下方向において隣り合う第1通気孔271の間隔と一致している。支持部20には、支持部20を左右方向に見たとき、第1通気孔271と第2通気孔272とが上下方向に連続して並ぶように、複数の通気孔27が形成されている。すなわち、第1通気孔271と第2通気孔272とは、左右方向から見てジョイナ2の長手方向に連続している。なお、両通気孔271,272は、左右方向から見て一部重なり合っていてもよい。また、複数の通気孔27は、左右方向に見て、第1通気孔271と第2通気孔272が上下方向に間隔を空けるように形成されてもよい。
【0031】
図1に示す複数の壁材6の各々は、セメントを主成分とする成形材料の硬化物であって窯業系の外壁材である。各壁材6は、壁下地5の表面に沿った板状に形成されている。本実施形態の各壁材6は、横張り用の壁材であり、左右方向に延びた長方形の板状に形成されている。なお、各壁材6は、窯業系の壁材に限定されない。また、各壁材6は、縦張り用の壁材であってもよい。
【0032】
図6に示すように、各壁材6は、複数の中空部60を有している。各中空部60は、左右方向に直線状に延び、壁材6を左右方向に貫通した孔である。壁材6において複数の中空部60は、上下方向に並んでいる。各中空部60は、左右方向の両端が壁材6の左右両側の端面67からそれぞれ開口している。各壁材6の左右両側の端面67の各々には、中空部60が有する開口61が上下方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0033】
本実施形態の各壁材6の表面(屋外側の面)には、模様として凹凸62が形成されている。凹凸62は、複数の凹部63と、複数の凸部64とを有している。各凹部63は、左右方向に延びて壁材6の左右方向の全長にわたって形成された凹溝である。複数の凹部63は、上下方向に並んでいる。凸部64は、壁材6において凹部63に隣接した部分であり、壁材6の表面側に向かって突出している。なお、壁材6に形成される凹凸62の形状は、限定されない。例えば、複数の凹部63は、左右方向に延びた1乃至複数の溝と、上下方向に延びた1乃至複数の溝とが交差したものであってもよい。また、壁材6の表面には、凹凸62が形成されなくてもよい。
【0034】
本実施形態の壁材6の各中空部60は、壁材6において厚みが大きい部分となる凸部64に対応する部分にのみ形成されており、各中空部60の開口61は、壁材6の端面67において凸部64に対応する部分にのみ形成されている。このため、凹部63にも中空部60が形成された壁材と比較して、壁材6の強度が高い。
【0035】
図1に示すように、各壁材6は、複数の留め具8により壁下地5に取り付けられている。各留め具8は、例えば、釘又はねじ等の固定具(図示せず)によって壁下地5に固定されることで、壁下地5に取り付けられる。各留め具8は、壁材6と壁下地5との間に位置し、壁材6を壁下地5から前方に離れた位置で保持する。複数の壁材6と壁下地5(詳しくは、透湿防水シート51)との間には、通気層11が形成されている。
【0036】
上下方向に隣り合う壁材6は、例えば、一方の壁材6に形成された凸実部65(図6参照)と、他方の壁材6に形成された凹実部66(図6参照)とを嵌合して接続される。
【0037】
複数の壁材6は、図3に示すように、左右方向に隣り合う壁材6の間にジョイナ2の支持部20を挟むように、壁下地5に取り付けられる。左右方向に隣り合う壁材6の間には、前方に開口した目地10が形成される。左右方向に隣り合う壁材6の各々は、目地10に臨んだ端面67が支持部20に当たることで、目地10側に移動することが規制される。ジョイナ2の支持部20は、目地10の幅を所定寸法に保つ機能を有している。
【0038】
目地10における支持部20の前方には、シーリング材7が充填されている。シーリング材7は、湿式系のシーリング材であり、例えば、変性シリコーン等から形成される。シーリング材7は、目地10を埋め、雨水が目地10から壁下地5側に浸入することを抑制する。
【0039】
シーリング材7は、ジョイナ2の受け部22の前面(受け面)に接触した状態で目地10に充填されている。これにより、シーリング材7は、ジョイナ2の支持部20によって後方から支持される。
【0040】
シーリング材7の施工は、例えば、壁材6の表面に養生テープを貼った状態で、目地10に、前方から未硬化のシーリング材7を充填していくことによって行われる。シーリング材7は、このように目地10に充填された後、ヘラ等を用いて、シーリング材7の表面が、隣接する壁材6の表面と略面一になるように、仕上げられる。
【0041】
各壁材6は、ジョイナ2の支持部20の前端が、壁材6の端面67に形成された中空部60の開口61の一部よりも前方に位置し、かつ、この開口61の他の一部よりも後方に位置するように配される。このため、壁材6の各中空部60の開口61の一部は、シーリング材7によって塞がれる。
【0042】
また、各壁材6は、ジョイナ2の各通気孔27の前端が、壁材6の端面67に形成された開口61の一部よりも前方に位置するように配される。ジョイナ2の各通気孔27は、中空部60の開口61と上下方向における位置が合えば、開口61を通じて中空部60に連通する。このため、壁材6が気温上昇又は日射により加熱される等して、中空部60内の空気が膨張した場合、この膨張した空気は、開口61から通気孔27を介して支持部20の内側の形成された凹所29に排出されやすい。したがって、中空部60内の空気の圧力の上昇が抑制され、施工直後の完全に硬化していないシーリング材7が、中空部60内の空気の圧力によって壁下地5とは反対側に膨らむ「膨れ」が生じることが抑制される。
【0043】
ジョイナ2は、壁材6の左右方向の両側にそれぞれ配される。また、各ジョイナ2は、図7に示すように、支持部20の両側板部23,24のうちの一方に形成された第1通気孔271と、他方に形成された第2通気孔272とが、上下方向において交互に並ぶように形成されている(図2B図2D参照)。このため、各壁材6の中空部60の左右の開口61のうちの一方が、対応するジョイナ2の支持部20において通気孔27が形成されていない部分によって塞がれたとしても、他方は対応するジョイナ2の通気孔27に連通しやすくなる。したがって、中空部60内の空気の圧力が高くなってシーリング材7の膨れが生じることを適切に抑制できる。また、本実施形態では、支持部20を左右方向に見たとき、第1通気孔271と第2通気孔272とが上下方向に連続して並ぶ。このため、中空部60は、ジョイナ2の第1通気孔271及び第2通気孔272の少なくとも一方に一層通じやすくなり、この点でも、中空部60内の空気の圧力は、高くなり難い。
【0044】
また、本実施形態の通気孔27は、図3に示すように、ジョイナ2の側板部23,24と受け部22とで成すコーナー部25,26に形成されている。このため、壁材6の中空部60内の空気が、通気孔27を通じて支持部20の内側に形成された凹所29に排出されやすく、この点でも、中空部60内の空気の圧力は、高くなり難い。
【0045】
また、例えば、図4に示すように、支持部20の各コーナー部25,26を、鋭角に尖った角部とした場合、側板部23,24とこれに対向する壁材6の端面67との間に形成される隙間12の幅を大きくすることができる。このため、中空部60内の空気が、隙間12を通じて、壁材6と壁下地5との間に形成された通気層11に排出されやすくなる。したがって、中空部60内の空気の圧力が高くなることを一層抑制することができる。
【0046】
なお、上記実施形態のジョイナ2及び壁構造1は、適宜設計変更可能である。例えば、ジョイナ2、壁下地5、壁材6、留め具8及びシーリング材7の各々の、形状、大きさ、位置、数及び材質等は、適宜変更可能である。
【0047】
(2)態様
以上説明した、実施形態から明らかなように、第1の態様のジョイナ2は、隣り合う壁材6の間の目地10に配されるジョイナであって、以下に示す構成を有する。ジョイナ2は、シーリング材7を受ける受け部22と、受け部22から壁下地5側に突出した一対の側板部23,24とを有する。一対の側板部23,24の各々に、複数の通気孔27が形成される。一対の側板部23,24のうちの一方に形成された通気孔27と、他方に形成された通気孔27とが、目地10の長さ方向において交互に並ぶ。
【0048】
この態様によれば、壁材6の両側にジョイナ2が施工された状態において、壁材6の一方の端面67に形成された、中空部60の開口61が、対応するジョイナ2における通気孔27が形成されていない部分によって塞がれたとしても、壁材6の他方の端面67に形成された、中空部60の開口61が、対応するジョイナ2の通気孔27に連通しやすくなる。したがって、中空部60内の空気の圧力が高くなってシーリング材7の膨れが生じることを適切に抑制できる。
【0049】
また、第2の態様のジョイナ2は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様の通気孔27は、側板部23,24と受け部22とで成すコーナー部25,26に形成される。
【0050】
この態様によれば、壁材6の中空部60内の空気が通気孔27を通じて排出されやすくなり、中空部60内の空気の圧力が高くなってシーリング材7の膨れが生じることを一層適切に抑制できる。
【0051】
また、第3の態様のジョイナ2は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。前記一方に形成された通気孔27と、他方に形成された通気孔27とは、目地10の長さ方向と直交する方向から見て、目地10の長さ方向に連続している。
【0052】
この態様によれば、壁材6の中空部60が、前記一方に形成された通気孔27及び前記他方に形成された通気孔27の少なくとも一方に通じやすくなり、シーリング材7の膨れが生じることを一層抑制できる。
【0053】
また、第4の態様の壁構造1は、第1~第3のいずれか一つの態様のジョイナ2を用いた壁構造1であって、以下に示す構成を有する。前記隣り合う壁材6の各々は、中空部60を有する。前記隣り合う壁材6のうちの少なくとも一方が有する中空部60が、通気孔27に通じる。
【0054】
この態様によれば、壁材6の中空部60内の空気の圧力が高くなってシーリング材7の膨れが生じることを適切に抑制でき、壁構造1の外観を良くすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 壁構造
2 ジョイナ
6 壁材
7 シーリング材
10 目地
22 受け部
23 側板部
24 側板部
25 コーナー部
26 コーナー部
27 通気孔
60 中空部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7