(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ねじ山検査機
(51)【国際特許分類】
G01B 5/20 20060101AFI20231018BHJP
G01B 3/48 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
G01B5/20 Z
G01B3/48
(21)【出願番号】P 2020023050
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今川 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】坪井 権一郎
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-280854(JP,A)
【文献】特開2011-033540(JP,A)
【文献】特開2014-207834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/20
G01B 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象に形成されたねじ部と螺合可能な検査ゲージを回転駆動源により回転駆動するよう構成されたツールユニットと、ツールユニットまたは被検査対象のどちらか一方を他方に向けて直進駆動させる移動手段と、被検査対象を保持する治具と、前記ツールユニットおよび移動手段の駆動を制御可能に構成された制御部とを備えるねじ山検査装置において、
被検査対象を治具に向けて押圧する押圧部を備えた固定手段を有
し、
前記検査ゲージは、前記回転駆動源に対して相対移動可能に構成されており、
前記固定手段は、検査ゲージに従動可能に構成されていることを特徴とするねじ山検査機。
【請求項2】
被検査対象に形成されたねじ部と螺合可能な検査ゲージを回転駆動源により回転駆動するよう構成されたツールユニットと、ツールユニットまたは被検査対象のどちらか一方を他方に向けて直進駆動させる移動手段と、被検査対象を保持する治具と、前記ツールユニットおよび移動手段の駆動を制御可能に構成された制御部とを備えるねじ山検査装置において、
被検査対象を治具に向けて押圧する押圧部を備えた固定手段を有し、
前記制御部は、検査ゲージと被検査対象のねじ部が2山以上螺合している所定のタイミングで前記固定手段に駆動信号を出力するように構成されていることを特徴とするねじ山検査機。
【請求項3】
前記制御部は、前記移動手段の停止後に前記回転駆動源が回転駆動を開始するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のねじ山検査機。
【請求項4】
前記押圧部は、弾性部材で構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のねじ山検査機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ山成形の良否を検査するねじ山検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のねじ山検査機としては特許文献1に示されたものが知られている。このねじ山検査機は、被検査対象のねじ山と螺合する検査ゲージと、この検査ゲージを回転駆動させるツールユニットと、このツールユニットを往復移動させる移動手段と、検査ゲージの総回転量を検出する制御部とを備えており、被検査対象のねじ山と検査ゲージとを螺合させ、所定の回転負荷トルクに達するまでの総回転量が所定の範囲内か否かに応じて、被検査対象のねじ山成形の良否を判定していた。しかし、この特許文献1に記載のねじ山検査機は、検査ゲージにツールユニット等の自重が作用していた。このため、検査ゲージとねじ山との摩擦抵抗が上昇し、正常にねじ山が成形された被検査対象であっても、当該摩擦抵抗により回転負荷トルクが上昇して不良と判定されることがあり、検査精度に問題があった。
【0003】
そこで上記問題に鑑み、特許文献2に示されたねじ山検査機が創成されている。これは、被検査対象のねじ山に螺合する検査ゲージと、この検査ゲージを回転駆動させるツールユニットと、このツールユニットを往復移動させる移動手段と、検査ゲージの総回転量を検出する制御部とを備えており、この制御部は、移動手段を停止させて、ツールユニットを所定の位置に固定後、前記検査ゲージを回転駆動させ、検査ゲージと被検査対象とを螺合させるよう構成されている。これにより、ねじ山の接触面には、被検査対象の自重だけが摩擦抵抗として作用する。このため、正確な回転負荷トルクの検出が可能となり、検査精度が向上するといった利点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3442515号公報
【文献】特許第5374276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載のねじ山検査機は、ツールユニット等の自重が被検査対象にかからないため被検査対象を押さえる力が特許文献1に記載のねじ山検査機により減少している。そのため、検査時に被検査対象が安定せず、検査ゲージの回転を受けて振動してしまうことがあった。この結果、被検査対象が治具から外れる、被検査対象が検査ゲージに対して傾き、滑らかに外れない、被検査対象と治具の間から音が発生する等の問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、検査ゲージの回転による被検査対象の振動を防止するねじ山検査機の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、被検査対象に形成されたねじ山と螺合可能な検査ゲージを回転駆動源により回転駆動するよう構成されたツールユニットと、ツールユニットまたは被検査対象のどちらか一方を他方に向けて直進駆動させる移動手段と、被検査対象を保持する治具と、前記ツールユニットおよび移動手段の駆動を制御可能に構成された制御部とを備えるねじ山検査機において、被検査対象を治具に向けて押圧する押圧部を備えた固定手段を有することを特徴とする。このように構成されているため、ねじ山検査時、被検査対象は治具と固定手段の押圧部に挟持された状態となり、被検査対象の振動が低減される。また、前記制御部は、前記移動手段の停止後に前記回転駆動源が回転駆動を開始するように構成されていることが好ましい。さらに、前記押圧部は、弾性部材で構成されていることが好ましい。また、前記検査ゲージは、前記回転駆動源に対して相対移動可能に構成されており、前記固定手段は、検査ゲージに従動可能に構成されていることが好ましい。これにより、固定手段が検査ゲージに対して移動することが防止される。さらに、前記制御部は、検査ゲージと被検査対象のねじ山が2山以上螺合している所定のタイミングで前記固定手段に駆動信号を出力するように構成されていることが好ましい。これにより被検査対象と押圧部の接触時に被検査対象が傾くこと等が防止される。
【発明の効果】
【0007】
本発明のねじ山検査機によれば、ねじ山検査時、被検査対象の振動が低減されるため、振動により被検査対象が治具から外れることを防止できる等の利点がある。また、移動手段の停止後に前記回転駆動源が回転駆動することにより、検査時、ねじ山にツールユニットの自重が作用せず、検査精度を向上できる等の利点がある。また、押圧部が弾性部材であり、防振効果を有するため、被検査対象の振動をより低減させることができる等の利点がある。さらに、検査ゲージに対する固定手段の移動が防止されることにより、固定手段は、常時一定の力で被検査対象を押圧可能となり、被検査対象が治具から外れることを防止できる等の利点がある。しかも、被検査対象と押圧部との接触時に被検査対象が傾かないため、より正確なねじ山検査が可能となる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るねじ山検査機の要部拡大一部切欠き断面図。
【
図3】
図1の状態から次の状態へ以降する動作を示す要部拡大一部切欠き側面図である。
【
図4】
図3の状態から次の状態へ以降する動作を示す要部拡大一部切欠き側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1ないし
図4において1は被検査対象であるワークWに形成されためねじW1を検査するねじ山検査機である。このねじ山検査機1は、ワークWと螺合可能な検査ゲージ24と、この検査ゲージ24を回転駆動させるツールユニット2と、このツールユニット2の下方に前記ワークWを搬送する搬送機構3と、この搬送機構3に搬送されたワークWをツールユニット2に向け上昇させる移動手段4と、各駆動部の駆動を制御する制御部6(図示せず)とから構成される。なお、ワークWは、一例として、外形が略六角柱状に構成された六角ナットとする。
【0010】
前記搬送機構3は、
図2に示すようにねじ山検査機1のフレーム(図示せず)に支持された支軸32を中心に回転駆動するターンテーブル31を備えており、このターンテーブル31の上面には、ワークWを保持可能な治具34が90度毎に設置されている。この治具34には、ワークWのめねじW1の谷径より大径に構成された保持孔35が貫通しており、この保持孔35の上側開口部には、ワークWと係合可能な係合部35aが形成されている。これにより、治具34にワークWを設置可能かつ、ワークWの下端から検査ゲージ24が突出可能となる。また、前記ターンテーブル31には、その上面から下面まで貫通する一対の貫通孔33,33が形成されており、前記治具34の下面には、この貫通孔33,33を摺動自在に貫通する脚部36,36が一体に連結している。この脚部36の長さは、ターンテーブル31の厚さより十分長く、治具34をターンテーブル31に設置した際、治具34の脚部36がターンテーブル31より下方に突出するよう構成されている。さらに、ターンテーブル31には、前記治具34上にワークWが供給される供給位置、上方に前記ツールユニット2、下方に突き上げ手段4が配置された検査位置、治具34上からワークWが排出される排出位置が予め設定されており、これら位置に一旦停止可能に構成されている。なお、前記検査位置には、ターンテーブル31の上方および下方に上方固定部材51、下方固定部材52が設けられており、この上方固定部材51、下方固定部材52は、図示されないフレームにより所定の高さに固定されている。
【0011】
前記ツールユニット2は、ACサーボモータM(以下、モータMという)を備えており、このモータMは、出力軸M1が前記ターンテーブル31に向くよう前記上方固定部材51に固定されている。このモータMの出力軸M1には、接続部材21を介して連結軸22が連結されており、連結軸22は、その軸方向(以下、鉛直方向という)に若干移動可能に構成されている。この連結軸22の下端には、フローティング機構23を介して前記検査ゲージ24が連結されている。この検査ゲージ24は、フローティング機構23に連結される軸部24aと、この軸部24aより大径のゲージ部24bとで構成されており、ゲージ部24bの外周には、前記ワークWのめねじW1と螺合可能なおねじが形成されている。また、前記上方固定部材51には、鉛直方向に延びるガイド軸25が昇降自在に吊り下げ支持されており、このガイド軸25の下端には、従動部材26が一体に連結されている。この従動部材26には、前記連結軸22が回転自在に貫通しており、この従動部材26は、連結軸22の鉛直方向の移動に従動可能に構成されている。このように構成された従動部材26および連結軸22は、従動部材26と前記上方固定部材51との間に介在する圧縮ばね26aにより、常時ワークWに向けて付勢されている。さらに、前記従動部材26の下面には、近接センサ27(以下、センサ27という)が検出面27aをターンテーブル31および治具34に向けて固定されている。このセンサ27は、ワークWと検査ゲージ24が完全に螺合し、ワークWの下端から検査ゲージ24が突出した時、治具34またはワークWを検知可能に構成されており、その検出範囲は、検査ゲージ24の下端からワークWの厚さ寸法以上、上方に位置設定されている。
【0012】
なお、前記フローティング機構23は、上面に連結される連結軸22および下面に連結される検査ゲージ24との連結部分に鉛直方向と直交する方向(以下、水平方向という)に往復摺動可能なローラガイド23a,23bを備えており、このローラガイド23a,23bは、互いに直交するよう固定されている。このため、検査ゲージ24は連結軸22に対して、水平方向に所定量移動可能となり、ねじ山検査時、検査ゲージ24がめねじW1とずれていても、検査ゲージ24をめねじW1の中心に整合可能となる。
【0013】
前記従動部材26には、ねじ山検査時にワークWを固定する固定手段の一例として押圧シリンダ28が一体に連結されており、この押圧シリンダ28は、ワークWに向けてロッドを伸長させるよう配されている。この押圧シリンダ28のロッド下端には、ワークWの上面に当接可能な押圧部29を備えており、この押圧部29は、ゴム等の弾性部材で構成されている。また、押圧シリンダ28のストロークは、
図4に示すようにロッドを伸長させた際、前記押圧部29の下端が前記検査ゲージ24の下端より下方に位置するよう設定されており、押圧シリンダ28がワークWを押さえる力は、ワークWと検査ゲージ24との螺合によりワークWが上昇する力より弱く設定されている。さらに、押圧シリンダ28は、従動部材26および
連結軸22を介して検査ゲージ24に従動可能に構成されている。
【0014】
一方、前記移動手段4は、前記下方固定部材52に固定された直動シリンダ41であり、この直動シリンダ41は、ロッドをターンテーブル31に向けて配されている。この直動シリンダ41のロッド上端には、シリンダ台42が設けられており、このシリンダ台42上には、ロッドを上方に向けた突き上げシリンダ43が固定されている。この突き上げシリンダのロッド上端には、ロッドの上端に治具34の脚部36,36と当接可能な突き上げ板44を備えており、直動シリンダ41より低速、低トルクに設定されている。また、上記直動シリンダ41のストロークは、前記突き上げ板44が治具34を突き上げ可能かつ、治具34に支持されるワークWと、ワークWの上方に待機する検査ゲージ24と接触しない範囲に設定されており、突き上げシリンダ43は、後述するねじ山検査において、治具34に支持されるワークWの下端から検査ゲージ24が突出するまで、治具34を突き上げ可能に構成されている。
【0015】
前記制御部6には、モータMと、押圧シリンダ28と、センサ27と、直動シリンダ41と、突上げシリンダ43と、排出装置(図示せず)等別途設けられる外部装置とが接続されており、各種入力信号に基づきこれらの駆動を制御する駆動制御部(図示せず)と、ねじ山検査機1の動作に不可欠な制御データを記憶する記憶部(図示せず)とを備えている。また、制御部6は、タイマ(図示せず)を備えており、突き上げシリンダ43の起動後、
図3に示すようにワークWと検査ゲージ24とが約2山螺合している所定のタイミングで前記押圧シリンダ28がロッドを伸長させるよう構成されている。
【0016】
次に上記のように構成されたねじ山検査機1の作用を説明する。
ターンテーブル31の回転駆動により、ワークWおよび治具34が検査位置に到達すると、前記直動シリンダ41がロッドを伸長させ、突き上げシリンダ43および治具34を高速で上昇させる。このように治具34が予め設定された高さまで上昇すると、制御部6は、直動シリンダ41を停止するとともに、前記モータMを検査ゲージ24とワークWとが螺合する方向へ回転駆動(以下、正転駆動という)させる。このモータMの回転後、制御部6は、突き上げシリンダ43を駆動させ、治具34およびワークWを低速かつ低トルクで上昇させて、検査ゲージ24とワークWとを接触させる。この時、連結軸22をワークW側に付勢する圧縮ばね26aが撓むため、検査ゲージ24とワークWとの接触時の衝撃が低減し、この衝撃により検査ゲージ24およびワークWが破損すること、ワークWが傾くこと等を防止する。また、従来の様に検査ゲージ24がワークWに向かって下降する場合、検査ゲージ24とワークWとが接触するとターンテーブル31にも鉛直方向の力が付与されるため、ターンテーブル31がゆがむ可能性がある。しかし、本ねじ山検査機1は、突き上げシリンダ43により、治具34およびワークWが検査ゲージ24に向かって上昇する構成であるため、検査ゲージ24とワークWの接触時、ターンテーブル31には、鉛直方向の力が一切かからず、ターンテーブル31のゆがみを防止するという利点がある。このように検査ゲージ24とワークWとが接触した後、ワークWは、検査ゲージ24に螺合しながら上昇する。この時、治具34が突き上げシリンダ43に付勢されているため、ワークWが治具34から外れない。
【0017】
また、制御部6が前述のように設定されたタイマを有することにより、ワークWと検査ゲージ24とが2山程度螺合した時に前記押圧シリンダ28が起動する。この時、ワークWと検査ゲージ24とが約2山螺合しているため、押圧部29がワークWを押圧しても、ワークWが検査ゲージ24から脱落することがない。また、螺合しているのが2山程度で検査ゲージ24とワークWと間の摩擦が比較的小さく、ワークWが振動しないため、押圧シリンダ28の起動前にワークWが治具34から脱落するといったことも防止される。このように、ワークWが治具34と押圧シリンダ28の押圧部29に挟持されていること、および押圧部29が弾性部材で構成され、防振効果を有することによりワークWの振動が低減する。この結果、ワークWの振動により、治具34からワークWが外れること等が防止され、円滑なねじ山検査が可能となる。このような効果は、薄板状で治具34から外れ易いワークWや、表面にめっき処理が施される等、検査ゲージ24との摩擦が大きく、振動しやすいワークWのねじ山検査時において特に有効である。また、押圧シリンダ28のワークWを押さえる力は、検査ゲージ24とワークWの螺合によりワークWが上昇する力より弱く設定されているため、押圧シリンダ28は、押圧部29がワークWと当接後、ワークWの上昇に従い徐々にロッドが収縮し、ねじ山検査を阻害しない。さらに、押圧シリンダ28が検査ゲージ24に従動し、検査ゲージ24に対して相対移動しないため、万一、ツールユニット2が揺れても、常時一定の力でワークWを押さえることが可能となる。
【0018】
上述の様なようなねじ山検査時、ワークWのめねじW1が良品である場合、ワークWは、下端から検査ゲージ24が突出するまで上昇する。この時、ワークWまたは治具34は、前記センサ27の検出範囲内に位置するため、センサ27は、制御部6に検出信号を出力する。一方、ワークWのめねじW1が不良である場合、ワークWまたは治具34がセンサ検出範囲に達する前に検査ゲージ24とワークWとが噛み合うことで、前記モータMの回転負荷トルクが所定の値に達する。つまり、制御部6は、センサ27からの検出信号が入力されれば良品と判定し、この検出信号が入力される前にモータMの回転負荷トルクが所定の値に達すれば不良と判定している。この時、突き上げシリンダ43が比較的低トルクに設定されているため、特許文献1のように検査ゲージ24とワークWとの間に生じる摩擦が増大しない。また、ワークWを下方から押圧する突上げシリンダ43の押圧トルクと、ワークWを上方から押圧する押圧シリンダ28の押圧トルクとが互いに相殺しあうため、ワークWと検査ゲージ24との間で生じる摩擦が減少する。これらにより、良品であるにもかかわらず、当該摩擦によりモータMの回転負荷トルクが所定の値に達し、不良判定されるということがない。この良否判定後、制御部6は、モータMを逆転駆動させて、ワークWと検査ゲージ24との螺合を解く。この時、押圧部29は、逆転駆動によるワークWの降下に合わせてロッドを伸長させる。このため、モータMの正転駆動時と同様、治具34と押圧部29により、ワークWの振動が防止されるため、ワークWは、検査ゲージ24に対して傾くこと等がなく円滑に検査ゲージ24から外れる。さらに、押圧シリンダ28のストロークが押圧部29の下端が前記検査ゲージ24の下端より下方に位置するよう設定されているため、ワークWが検査ゲージ24から離れるまで確実に押さえることが可能となる。このようにワークWが検査ゲージ24から外れた後、制御部6は、突き上げシリンダ43と、直動シリンダ41のロッドを収縮させる。その後、制御部6は、ターンテーブル31を回転駆動させ、ワークWを排出位置に移動させる。ワークWが排出位置に到達すると、図示しない排出機構が治具34上から前述の判定結果に対応した排出場所(図示せず)へワークWを排出する。ワークWの排出後、制御部6は、再度ターンテーブル31を供給位置まで回転駆動し、治具34上に次のワークWを設置する。
【0019】
なお、本発明に係るねじ山検査機1は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本実施形態のねじ山検査機1は、ツールユニット2を1個しか備えていなかったが、これに限定されず複数のツールユニット2を備え、同時に多数のワークWを検査可能に構成してもよい。この際、突き上げシリンダ43は、ツールユニット2毎に設けられていることが好ましい。これにより、ワークW毎の微妙な上昇速度の差で治具34とワークWとの間に隙間が空き、ワークWが治具34から外れることを防止可能となる。また、移動手段4は、治具34およびワークWを検査ゲージ24に向けて上昇させる直動シリンダ41に限らず、検査ゲージ24をワークW付近まで下降させるボールねじ機構等であってもなんら何ら問題はない。さらに、ワークWにおねじが形成されており、めねじが形成された検査ゲージ24を用いてねじ山検査するねじ山検査機であってもよい。しかも、搬送機構3は、ターンテーブル31以外、例えば、水平方向に直動するスライドテーブル等であっても良く、もちろん、ターンテーブル31の回転駆動および、治具34の設置角度は、実施形態に記載にされた90度に限定されず、120度等他の角度であっても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0020】
1 … ねじ山検査機
2 … ツールユニット
24 … 検査ゲージ
28 … 固定手段
29 … 押圧部材
3 … 搬送機構
31 … ターンテーブル
34 … 治具
4 … 移動手段
51 … 上方固定部材
52 … 下方固定部材
M … モータ