(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】研磨装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B24B 7/17 20060101AFI20231018BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20231018BHJP
B24B 7/16 20060101ALI20231018BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20231018BHJP
【FI】
B24B7/17 Z
B24B49/04 Z
B24B7/16 H
B24B41/06 A
(21)【出願番号】P 2020042421
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 昌昭
(72)【発明者】
【氏名】赤座 純二
(72)【発明者】
【氏名】石井 慎一
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-051644(JP,A)
【文献】特開2015-139857(JP,A)
【文献】特開2003-260643(JP,A)
【文献】特開2013-103321(JP,A)
【文献】特開2019-084643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 41/06
B24B 7/16 - 7/17
B24B 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを貫通状態で収容する少なくとも一対の収容テーブルと、
前記一対の収容テーブルを
回転自在に支持し、且つ前記一対の収容テーブルのそれぞれを研磨位置と該研磨位置外の待機位置との間で移動させるテーブル支持部と、
前記研磨位置に位置する収容テーブルの
回転方向の一部を挟んで上下に対向し前記収容テーブルに対して相対的に駆動されることで前記ワークを研磨可能とする一対の砥石と、
前記待機位置に位置する収容テーブルに対し未研磨のワークを収容させる収容機構と、
前記研磨位置の収容テーブルに収容されている前記ワークを前記一対の砥石間外で下方から支持する支持テーブルと、
前記支持テーブルの上方に配置され前記支持テーブル上に支持された前記ワークに付勢力をもって当接する検長用の接触子と、
前記テーブル支持部の制御により、前記待機位置の前記一対の収容テーブルの一方を前記研磨位置に配置して前記ワークの研磨を所定の研磨量となるまで行わせると共に前記一対の収容テーブルの他方を前記待機位置に配置して前記未研磨のワークの収容を行わせた後、前記一対の収容テーブルの一方を前記待機位置に配置すると共に前記待機位置の前記一対の収容テーブルの他方を前記研磨位置に配置する制御部と、
を備え、
前記収容テーブルは、前記複数のワークをそれぞれ収容可能であり前記収容テーブルの回転方向に沿って環状に配置された複数の収容穴を備え、
前記制御部は、前記待機位置での前記未研磨のワークの収容数に応じた収容時間を、前記研磨位置での前記ワークを前記所定の研磨量まで研磨する研磨時間以内と
し、前記収容穴の数よりも前記収容時間内での前記ワークの収容数が少なくなるように前記ワークの収容を行わせる場合、不使用の前記収容穴の設定により前記接触子を前記支持テーブル上に支持された少なくとも何れか一つのワークに常時当接させる、
研磨装置。
【請求項2】
請求項1記載の研磨装置であって、
前記複数の収容穴は、複数の径の異なる環状をなすように配置され、
前記制御部は、
前記収容穴の数よりも前記収容時間内での前記ワークの収容数が少なくなるように前記ワークの収容を行わせる場合に、前記収容テーブルの径方向に沿った前記収容孔の列を不使用として前記接触子を前記支持テーブル上に支持された少なくとも何れか一つのワークに常時当接させる、
研磨装置。
【請求項3】
請求項
1又は2記載の研磨装置であって、
前記制御部は、同一収容テーブルにおける複数回の研磨に際して前記不使用の収容穴を異ならせる、
研磨装置。
【請求項4】
複数のワークを貫通状態で収容する少なくとも一対の収容テーブルと、
前記一対の収容テーブルを回転自在に支持し、且つ前記一対の収容テーブルのそれぞれを研磨位置と該研磨位置外の待機位置との間で移動させるテーブル支持部と、
前記研磨位置に位置する収容テーブルの回転方向の一部を挟んで上下に対向し前記収容テーブルに対して相対的に駆動されることで前記ワークを研磨可能とする一対の砥石と、
前記待機位置に位置する収容テーブルに対し未研磨のワークを収容させる収容機構と、
前記研磨位置の収容テーブルに収容されている前記ワークを前記一対の砥石間外で下方から支持する支持テーブルと、
前記支持テーブルの上方に配置され前記支持テーブル上に支持された前記ワークに付勢力をもって当接する検長用の接触子と、
前記テーブル支持部の制御により、前記待機位置の前記一対の収容テーブルの一方を前記研磨位置に配置して前記ワークの研磨を所定の研磨量となるまで行わせると共に前記一対の収容テーブルの他方を前記待機位置に配置して前記未研磨のワークの収容を行わせた後、前記一対の収容テーブルの一方を前記待機位置に配置すると共に前記待機位置の前記一対の収容テーブルの他方を前記研磨位置に配置する制御部と、
を備え、
前記接触子は、前記ワークに当接可能な当接位置と当接不能な退避位置との間で移動可能であり、
前記未研磨のワークの研磨は、複数のバッチからなる1ロットにおいて、1バッチの所定数のワークごとに行われ、
前記制御部は、最終バッチ時に前記接触子を前記退避位置まで退避させると共に、前記ワークの研磨を直前のバッチと同一条件で行わせる、
研磨装置。
【請求項5】
複数のワークを貫通状態で収容する少なくとも一対の回転自在な収容テーブルのそれぞれを、上下に対向する一対の砥石間に回転方向の一部を位置させる研磨位置と該研磨位置外の待機位置との間で移動可能とし、
前記待機位置に位置する前記一対の収容テーブルの一方に対し未研磨のワークを収容機構によって収容させ、
前記待機位置の前記一対の収容テーブルの一方を前記研磨位置に配置して前記一対の砥石の前記一対の収容テーブルの一方に対する相対的な駆動により前記ワークの研磨を所定の研磨量となるまで行わせると共に前記一対の収容テーブルの他方を前記待機位置に配置し該一対の収容テーブルの他方に対し未研磨のワークを前記収容機構によって収容させ、
前記一対の収容テーブルの一方を前記待機位置に配置すると共に前記待機位置の前記一対の収容テーブルの他方を前記研磨位置に配置する研磨方法であって、
前記収容テーブルは、前記複数のワークをそれぞれ収容可能であり前記収容テーブルの回転方向に沿って環状に配置された複数の収容穴を備え、
前記研磨位置の収容テーブルに収容されている前記ワークを前記一対の砥石間外で下方から支持テーブルにより支持し、
前記支持テーブル上に支持された複数のワークに検長用の接触子を上方から付勢力をもって当接させ、
前記待機位置での前記未研磨のワークの収容数に応じた収容時間を、前記ワークを前記所定の研磨量まで研磨する研磨時間以内とし、前記収容穴の数よりも前記収容時間内での前記ワークの収容数が少なくなるように前記ワークの収容を行わせる場合に、不使用の前記収容穴の設定により前記接触子を前記支持テーブル上に支持された少なくとも何れか一つのワークに常時当接させる、
研磨
方法。
【請求項6】
請求項5の研磨方法であって、
前記複数の収容穴は、複数の径の異なる環状をなすように配置され、
前記収容穴の数よりも前記収容時間内での前記ワークの収容数が少なくなるように前記ワークの収容を行わせる場合に、前記収容テーブルの径方向に沿った前記収容孔の列を不使用として前記接触子を前記支持テーブル上に支持された少なくとも何れか一つのワークに常時当接させる、
研磨方法。
【請求項7】
請求項
5又は6記載の研磨方法であって、
同一収容テーブルにおける複数回の研磨に際して前記不使用の収容穴を異ならせる、
研磨方法。
【請求項8】
複数のワークを貫通状態で収容する少なくとも一対の回転自在な収容テーブルのそれぞれを、上下に対向する一対の砥石間に回転方向の一部を位置させる研磨位置と該研磨位置外の待機位置との間で移動可能とし、
前記待機位置に位置する前記一対の収容テーブルの一方に対し未研磨のワークを収容機構によって収容させ、
前記待機位置の前記一対の収容テーブルの一方を前記研磨位置に配置して前記一対の砥石の前記一対の収容テーブルの一方に対する相対的な駆動により前記ワークの研磨を所定の研磨量となるまで行わせると共に前記一対の収容テーブルの他方を前記待機位置に配置し該一対の収容テーブルの他方に対し未研磨のワークを前記収容機構によって収容させ、
前記一対の収容テーブルの一方を前記待機位置に配置すると共に前記待機位置の前記一対の収容テーブルの他方を前記研磨位置に配置する研磨方法であって、
前記研磨位置の収容テーブルに収容されている前記ワークを前記一対の砥石間外で下方から支持テーブルにより支持し、
前記支持テーブル上に支持された複数のワークに検長用の接触子を上方から付勢力をもって当接させ、
前記接触子は、前記ワークに当接可能な当接位置と当接不能な退避位置との間で移動可能であり、
前記未研磨のワークの研磨は、複数のバッチからなる1ロットにおいて、1バッチの所定数のワークごとに行われ、
最終バッチ時に前記接触子を前記退避位置まで退避させると共に、前記未研磨のワークの研磨を直前のバッチと同一条件で行わせる、
研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルばね等のワークの研磨装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の研磨装置としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
【0003】
この研磨装置は、複数のワークを貫通状態で収容する一対の回転テーブル(収容テーブル)を備え、これら回転テーブルが研磨位置とこの研磨位置外の待機位置との間で移動可能となっている。
【0004】
研磨位置には、一対の砥石が設けられており、一対の砥石は、研磨位置に位置する回転テーブルの一部を両者間に配置させ、その回転テーブルに対して相対的に駆動されることでワークの研磨を可能とする。一方、待機位置では、待機位置に位置する回転テーブルへワークの収容が行われる。
【0005】
かかる研磨装置では、一対の回転テーブルの一方に収容された複数のワークを研磨位置で研磨している間、一対の回転テーブルの他方に対して待機位置で未研磨のワークを収容させる。そして、一対の回転テーブルの一方でのワークの研磨が終了し且つ同他方へのワークの収容が完了した時点で、一対の回転テーブルの位置を入れ替える。
【0006】
これにより、効率よくワークの研磨を行うことができると共に、研磨完了後のワークが研磨され続けるような不具合を防止できる。
【0007】
このような研磨装置では、効率化等の観点から所定数のワークを一度に研磨している。
【0008】
しかし、従来の研磨装置では、ワークを作業者が一つ一つ手作業で回転テーブルに収容させているため、作業者の熟練度によって所定数のワークの収容に要する収容時間にばらつきが生じていた。結果として、ワークの研磨に要する研磨時間よりも収容時間が長くなることがあった。
【0009】
この場合、従来の研磨装置では、一対の回転テーブルの一方でワークの研磨が終了しても、同他方へのワークの収容が完了しない限り、一対の回転テーブルの双方を待避位置に移動させている。そして、一対の回転テーブルの他方へのワークの収容が完了してから、一対の回転テーブルをそれぞれ待機位置及び研磨位置へと移動させる。
【0010】
このように、従来の研磨装置では、収容時間が研磨時間よりも長くなる場合と長くならない場合とで制御を異ならせる必要があり、制御が煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決しようとする問題点は、研磨位置と待機位置との間での収容テーブルの移動により研磨後のワークと未研磨のワークとを入れ替える場合において、制御が煩雑であった点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数のワークを貫通状態で収容する少なくとも一対の収容テーブルと、前記一対の収容テーブルを回転自在に支持し、且つ前記一対の収容テーブルのそれぞれを研磨位置と該研磨位置外の待機位置との間で移動させるテーブル支持部と、前記研磨位置に位置する収容テーブルの回転方向の一部を挟んで上下に対向し前記収容テーブルに対して相対的に駆動されることで前記ワークを研磨可能とする一対の砥石と、前記待機位置に位置する収容テーブルに対し未研磨のワークを収容させる収容機構と、前記研磨位置の収容テーブルに収容されている前記ワークを前記一対の砥石間外で下方から支持する支持テーブルと、前記支持テーブルの上方に配置され前記支持テーブル上に支持された前記ワークに付勢力をもって当接する検長用の接触子と、前記テーブル支持部の制御により、前記待機位置の前記一対の収容テーブルの一方を前記研磨位置に配置して前記ワークの研磨を所定の研磨量となるまで行わせると共に前記一対の収容テーブルの他方を前記待機位置に配置して前記未研磨のワークの収容を行わせた後、前記一対の収容テーブルの一方を前記待機位置に配置すると共に前記待機位置の前記一対の収容テーブルの他方を前記研磨位置に配置する制御部と、を備え、前記接触子は、前記ワークに当接可能な当接位置と当接不能な退避位置との間で移動可能であり、前記未研磨のワークの研磨は、複数のバッチからなる1ロットにおいて、1バッチの所定数のワークごとに行われ、前記制御部は、最終バッチ時に前記接触子を前記退避位置まで退避させると共に、前記ワークの研磨を直前のバッチと同一条件で行わせる研磨装置を特徴とする。
【0014】
また、本発明は、複数のワークを貫通状態で収容する少なくとも一対の回転自在な収容テーブルのそれぞれを、上下に対向する一対の砥石間に回転方向の一部を位置させる研磨位置と該研磨位置外の待機位置との間で移動可能とし、前記待機位置に位置する前記一対の収容テーブルの一方に対し未研磨のワークを収容機構によって収容させ、前記待機位置の前記一対の収容テーブルの一方を前記研磨位置に配置して前記一対の砥石の前記一対の収容テーブルの一方に対する相対的な駆動により前記ワークの研磨を所定の研磨量となるまで行わせると共に前記一対の収容テーブルの他方を前記待機位置に配置し該一対の収容テーブルの他方に対し未研磨のワークを前記収容機構によって収容させ、前記一対の収容テーブルの一方を前記待機位置に配置すると共に前記待機位置の前記一対の収容テーブルの他方を前記研磨位置に配置する研磨方法であって、前記研磨位置の収容テーブルに収容されている前記ワークを前記一対の砥石間外で下方から支持テーブルにより支持し、前記支持テーブル上に支持された複数のワークに検長用の接触子を上方から付勢力をもって当接させ、前記接触子は、前記ワークに当接可能な当接位置と当接不能な退避位置との間で移動可能であり、前記未研磨のワークの研磨は、複数のバッチからなる1ロットにおいて、1バッチの所定数のワークごとに行われ、最終バッチ時に前記接触子を前記退避位置まで退避させると共に、前記未研磨のワークの研磨を直前のバッチと同一条件で行わせる研磨方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、研磨位置と待機位置との間での収容テーブルの移動により研磨後のワークと未研磨のワークとを入れ替える場合において、制御を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】研磨装置の要部を示す平面図である(実施例)。
【
図2】
図1の研磨装置の概略断面図である(実施例)。
【
図3】
図1の研磨装置の収容テーブルに対するばねの非挿入位置の一例を示す概略平面図である(実施例)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
研磨位置と待機位置との間での収容テーブルの移動により研磨後のワークと未研磨のワークとを入れ替える場合において、制御の簡素化を図るという目的を、ワークの収容テーブルへの収容を自動化しつつ実現した。
【0018】
本発明の研磨装置1は、
図1~
図3のように、少なくとも一対の収容テーブル15と、テーブル支持部13と、一対の砥石21A,21Bと、収容機構5と、制御部9とを備える。一対の収容テーブル15は、複数のワークSを収容する。ワークSは、コイルばね等の両端が研磨されるものである。テーブル支持部13は、一対の収容テーブル15を支持し、且つ一対の収容テーブル15のそれぞれを研磨位置とこの研磨位置外の待機位置との間で移動させる。一対の砥石21A,21Bは、研磨位置に位置する収容テーブル15の少なくとも一部を挟んで上下に対向し、収容テーブル15に対して相対的に駆動されることでワークSを研磨可能とする。収容機構5は、待機位置に位置する収容テーブル15に対し未研磨のワークSを収容させる。制御部9は、テーブル支持部13の制御により、待機位置の一対の収容テーブル15の一方を研磨位置に配置してワークSの研磨を所定の研磨量となるまで行わせると共に一対の収容テーブル15の他方を待機位置に配置して未研磨のワークSの収容を行わせた後、一対の収容テーブル15の一方を待機位置に配置すると共に待機位置の一対の収容テーブル15の他方を研磨位置に配置する。この制御部9は、待機位置での未研磨のワークSの収容数に応じた収容時間を、研磨位置でのワークSを所定の研磨量まで研磨する研磨時間以内とする。
【0019】
本発明の研磨方法は、複数のワークSを貫通状態で収容する少なくとも一対の収容テーブル15のそれぞれを、上下に対向する一対の砥石21A,21B間に少なくとも一部を位置させる研磨位置とこの研磨位置外の待機位置との間で移動可能とし、待機位置に位置する一対の収容テーブル15の一方に対し未研磨のワークSを収容機構5によって収容させる。そして、待機位置の一対の収容テーブル15の一方を研磨位置に配置して、一対の砥石21A,21Bの一対の収容テーブル15の一方に対する相対的な駆動によりワークSの研磨を所定の研磨量となるまで行わせると共に、一対の収容テーブル15の他方を待機位置に配置し、この一対の収容テーブル15の他方に対し未研磨のワークSを収容機構5によって収容させる。その後、一対の収容テーブル15の一方を待機位置に配置すると共に、待機位置の一対の収容テーブル15の他方を研磨位置に配置する。この研磨方法では、待機位置での未研磨のワークSの収容数に応じた収容時間を、ワークSを所定の研磨量まで研磨する研磨時間以内とする。
【0020】
また、収容テーブル15が回転自在であり回転方向の一部が研磨位置で一対の砥石21A,21B間に位置し、研磨位置の収容テーブル15に収容されているワークSを一対の砥石21A,21B間外で下方から支持テーブル11により支持し、支持テーブル11上に支持されたワークSに検長用の接触子23を上方から付勢力をもって当接させ、接触子23でのワークSの検長によりワークSの研磨量を検出する構成としてもよい。
【0021】
また、収容テーブル15が複数のワークSをそれぞれ収容可能であり収容テーブル15の回転方向に沿って環状に配置された複数の収容穴15aを備え、収容穴15aの数よりも所定時間内でのワークSの収容数が少なくなるようにワークSの収容を行わせる場合に、不使用の収容穴15aの設定により接触子23を支持テーブル11上に支持された少なくとも何れか一つのワークSに常時当接させる構成としてもよい。
【0022】
接触子23は、ワークSに当接可能な当接位置と当接不能な退避位置との間で移動可能であり、未研磨のワークSの研磨は、複数のバッチからなる1ロットにおいて、1バッチの所定数のワークSごとに行われ、最終バッチ時に接触子23を退避位置まで退避させると共に、未研磨のワークSの研磨を直前のバッチと同一条件で行わせる構成としてもよい。
【0023】
同一収容テーブルにおける複数回の研磨に際して不使用の収容穴を異ならせてもよい。
【実施例】
【0024】
[研磨装置の構造]
図1は、本発明の一実施例に係る研磨装置の要部を示す平面図、
図2は、同概略断面図である。なお、
図2は、
図1と相違する部分があるが、理解容易のためであり、異なる構造を示すものではない。
【0025】
本実施例の研磨装置1は、ワークSとしてのコイルばね(以下、「コイルばねS」と称する。)の両端部を研磨するものであり、テーブルユニット3と、収容機構5と、研磨ユニット7と、制御部9とを備えている。
【0026】
テーブルユニット3は、支持テーブル11と、テーブル支持部13と、一対の収容テーブル15とを備えている。
【0027】
支持テーブル11は、研磨装置1の図示しない基台等に支持され、後述する一対の砥石21A,21B間外で収容テーブル15に収容されたコイルばねSを下方から支持するものである。支持テーブル11の表面11aは、全体としてコイルばねSを支持可能な平坦面で構成されている。
【0028】
支持テーブル11の平面形状は、環状となっている。この支持テーブル11の外周部の一部には、切欠部11bが設けられ、切欠部11bには、後述する研磨ユニット7の下方の砥石21Aの一部が配置されている。また、支持テーブル11には、開閉可能な排出口11cが設けられている。排出口11cは、後述する待機位置の収容テーブル15の下方に位置し、開放により研磨後のコイルばねSを落下させて排出する。
【0029】
支持テーブル11の中央部には、穴部11dが形成されている。この穴部11dは、平面形状が円形となっており、内部にテーブル支持部13が配置されている。
【0030】
テーブル支持部13は、支持テーブル11の穴部11dに対応した円盤状に形成され、中心周りに回転可能となっている。テーブル支持部13の表面13aは、平坦面で構成されており、支持テーブル11の表面11aと面一に設定されている。これにより、本実施例のテーブル支持部13は、支持テーブル11の一部を構成し、一対の砥石21A,21B間外で収容テーブル15に収容されたコイルばねSを下方から支持する。
【0031】
このテーブル支持部13は、モータ17によって回転駆動されるようになっている。本実施例において、モータ17は、図示しない基台等に支持され、その出力軸17aがテーブル支持部13に一体回転するように結合されている。
【0032】
テーブル支持部13の外周部には、一対の収容テーブル15が支持されている。従って、一対の収容テーブル15は、テーブル支持部13の回転により変位するようになっている。この変位により、テーブル支持部13は、一対の収容テーブル15のそれぞれを研磨位置と待機位置との間で移動させる。なお、
図1及び
図2において、研磨位置は、左側の収容テーブル15の位置、待機位置は、右側の収容テーブル15の位置である。
【0033】
研磨位置は、後述する収容テーブル15に収容されたコイルばねSの研磨が行われる収容テーブル15の位置である。本実施例の研磨位置は、支持テーブル11の切欠部11bを含む領域に設定されている。待機位置は、研磨位置外の収容テーブル15の位置であり、後述する収容テーブル15に対するコイルばねSの収容が行われる位置である。
【0034】
本実施例では、収容テーブル15がテーブル支持部13の中心を挟んで径方向に対向する。従って、収容テーブル15の中心とテーブル支持部13の中心とでなすテーブル支持部13の中心角が180°となっている。これに対応して、研磨位置及び待機位置は、テーブル支持部13の中心を挟んで径方向に対向して設定されている。
【0035】
このため、本実施例では、テーブル支持部13が180°回転する度に収容テーブル15の位置を研磨位置と待機位置とで入れ替えるようになっている。
【0036】
なお、収容テーブル15は、三個以上設けることも可能であり、この場合は、研磨位置と二つ以上の待機位置を設定すればよい。また、収容テーブル15の数によっては、研磨位置を複数設けることも可能である。
【0037】
本実施例の一対の収容テーブル15は、同一構成となっている。収容テーブル15は、円盤状に形成され、テーブル支持部13に対して回転自在に支持されている。この収容テーブル15は、モータ19によって回転駆動されるようになっている。すなわち、モータ19は、テーブル支持部13側に固定され、テーブル支持部13を貫通した出力軸19aに収容テーブル15が一体回転するように結合されている。
【0038】
この収容テーブル15は、テーブル支持部13に対する支持により、テーブル支持部13の表面13a及び支持テーブル11の表面11aから上方に離反した位置に保持されている。そして、収容テーブル15は、複数のコイルばねSをそれぞれ上下に貫通した状態で収容する。
【0039】
本実施例の収容テーブル15は、複数の収容穴15aを備えている。収容穴15aは、収容テーブル15の回転軸に沿って上下方向に設けられている。この収容穴15aへ収容されたコイルばねSは、収容穴15aを挿通し、収容テーブル15から両端部が上下に突出する。
【0040】
これら複数の収容穴15aは、収容テーブル15の回転方向に沿って環状に配置されている。本実施例では、収容テーブル15の周方向の所定間隔毎に径方向に沿って複数の収容穴15aを並べ、これによって複数の径の異なる環状をなすように収容穴15aが配置されている。各環状をなす収容穴15aは、その中心が収容テーブル15と同心の環状線上に位置している。
【0041】
収容機構5は、待機位置に位置する収容テーブル15に対し未研磨のコイルばねSを収容させるものである。収容機構5は、ロボットアームからなり、未研磨のコイルばねSを図示しないストッカーから取り出して待機位置の収容テーブル15の収容穴15aに収容させる。ロボットアームは、周知のものを採用すればよい。
【0042】
本実施例の収容機構5は、一度の収容において、径方向に沿って並べられた複数の収容穴15aにまとめてコイルばねSを収容する。ただし、一度の収容におけるコイルばねSの収容数は任意である。
【0043】
研磨ユニット7は、一対の砥石21A,21Bと、接触子23とを備えている。
【0044】
一対の砥石21A,21Bは、研磨位置に位置する収容テーブル15の少なくとも一部を挟んで上下に対向する。これら砥石21A,21Bは、収容テーブル15に対して相対的に駆動されることでコイルばねSを研磨可能とする。なお、砥石21A,21B間には、研磨位置の収容テーブル15の全体が位置してもよい。
【0045】
本実施例の砥石21A,21Bは、円盤状に形成され、モータ22によって中心周りに回転される。モータ22は、出力軸22aが砥石21A,21Bにそれぞれ一体回転するように結合されている。このモータ22による回転により、砥石21A,21Bは、両者間で挟み込んだコイルばねSを研磨する。なお、砥石21A,21Bは、回転させず、収容テーブル15の回転によって相対的に駆動される構成としてもよい。
【0046】
下方の砥石21Aは、一部が支持テーブル11の切欠部11b内に配置されて研磨位置内に位置する。下方の砥石21Aの表面21aは、平坦面で構成されており、支持テーブル11の表面11aと面一になるように配置されている。なお、下方の砥石21Aは、図示しないセンサーによって摩耗量が監視され、摩耗量に応じてボールねじ等を利用した上下駆動部24によって上昇される。
【0047】
この下方の砥石21Aは、研磨位置の収容テーブル15の回転に応じて、砥石21A,21B間に順次位置するコイルばねSを下方から支持する。下方の砥石21A外(砥石21A,21B間外)では、研磨位置の収容テーブル15の回転に応じ、支持テーブル11及びその一部を構成するテーブル支持部13がコイルばねSを下方から支持している。なお、以下において、支持テーブル11の一部を構成するテーブル支持部13が研磨位置の砥石21A,21B間外でコイルばねSを下方から支持するときは、支持テーブル11の一部を構成するテーブル支持部13を「支持テーブル11」と称する。
【0048】
上方の砥石21Bは、下方の砥石21Aと同様に、一部が研磨位置内に位置する。上方の砥石21Bは、上下駆動部24によって上昇及び下降が可能であり、下降により下方の砥石21Aとの間でコイルばねSを挟み込む。
【0049】
接触子23は、研磨位置内において支持テーブル11、特に本実施例では支持テーブル11の一部を構成するテーブル支持部13の上方に配置されている。この接触子23は、研磨位置の収容テーブル15に収容されると共に支持テーブル11(本実施例ではテーブル支持部13)上に支持されたコイルばねSに付勢力をもって当接する。接触子23は、上下方向の高さに応じてコイルばねSの検長を可能とする。
【0050】
接触子23は、ボールねじ等を利用した上下駆動部25により、コイルばねSに当接可能な当接位置と当接不能な退避位置との間で移動可能となっている。
【0051】
制御部9は、研磨装置1の各部を制御するコンピューターである。以下、制御部9の制御と共に研磨装置1の動作として研磨方法について説明する。
【0052】
本実施例の研磨装置1では、1ロットを区切りとして連続したコイルばねSの研磨を行わせる。1ロットは、複数のバッチからなり、各バッチでは、所定数のコイルばねSが一度に研磨される。ただし、最終バッチは、所定数に満たないコイルばねSが研磨されることが多い。
【0053】
1ロットの研磨を開始するに際し、制御部9は、まず収容機構5を制御し、図示しないストッカーから未研磨のコイルばねSを取り出して待機位置の一対の収容テーブル15の一方の収容穴15aに収容させる。所定数の未研磨のコイルばねSが収容されると、制御部9は、テーブル支持部13の制御により、待機位置の一対の収容テーブル15の一方を研磨位置に配置し、研磨位置の一対の収容テーブル15の他方を待機位置に配置する。
【0054】
そして、研磨位置での一対の収容テーブル15の一方に収容されているコイルばねSの研磨が完了し且つ待機位置での一対の収容テーブル15の他方への未研磨のコイルばねSの収容が完了すると、制御部9は、テーブル支持部13の制御により一対の収容テーブル15を入れ替える。こうして、研磨位置と待機位置との間での収容テーブル15の入れ替え(移動)により、研磨後のコイルばねSと未研磨のコイルばねSとが入れ替えられる。その後は、最終バッチとなるまで一対の収容テーブル15の入れ替えを繰り返して、各バッチのコイルばねSの研磨を行う。
【0055】
コイルばねSの研磨及び収容は、制御部9が一対の砥石21A,21B、収容テーブル15、並びに収容機構5を制御することにより行われる。
【0056】
すなわち、制御部9は、研磨位置の一対の収容テーブル15の一方を回転させ且つ一対の砥石21A,21Bを回転させることにより、収容テーブル15の一方の回転に応じて一対の砥石21A,21B間で挟み込まれたコイルばねSを研磨させる。この研磨が所定の研磨量となるまで行われる。コイルばねSの研磨量は、制御部9が接触子23でのコイルばねSの検長により検出する。
【0057】
一方で、制御部9は、待機位置の一対の収容テーブル15の他方の収容穴15aに対して上記同様に未研磨のコイルばねSを収容させる。なお、一対の収容テーブル15の入れ替えを繰り返す際は、待機位置に配置された収容テーブル15の収容穴15aに研磨後のコイルばねSが収容されている。この研磨後のコイルばねSは、支持テーブル11の排出口11cを開放することで排出される。この排出時には、治具により収容穴15aを上方から補足的に突いてもよい。
【0058】
かかる収容時において、本実施例の制御部9は、待機位置での未研磨のコイルばねSの収容数に応じた収容時間を、研磨位置での未研磨のコイルばねSを所定の研磨量まで研磨する研磨時間以内とする。
【0059】
従って、本実施例では、研磨位置でのコイルばねSの研磨が完了するとき又は完了するよりも前に、待機位置でのコイルばねSの収容が完了することになる。このため、制御部9は、研磨位置の一対の収容テーブル15の一方でのコイルばねSの研磨が完了したら直ちに、一対の収容テーブル15を入れ替えることができる。結果として、本実施例では、制御の簡素化を図ることができる。
【0060】
また、一対の収容テーブル15の入れ替えのためには、コイルばねSの研磨の完了のみを監視していればよく、コイルばねSの収容の完了を監視する必要がないので、より制御の簡素化を図ることができる。
【0061】
上記収容時間は、この収容時間内で未研磨のコイルばねSの収容数が最大となる時間である。ただし、収容時間は、収容機構5による一回あたりのコイルばねSの収容数及び収容速度並びにコイルばねSの収容完了時の収容数から求めることが可能であるため、収容機構5の収容能力に依存する。従って、収容時間は、収容機構5の収容速度を本来の収容能力よりも遅くした場合、最大の収容数よりも少ない収容数に対応したものとなる。このため、収容時間は、この収容時間内で収容数が最大となる時間から許容範囲内のものであればよい。
【0062】
研磨時間は、上方の砥石21Bの下降速度、砥石21A,21Bの回転速度等によって設定され、予め実験的に求めることが可能である。本実施例では、収容テーブル15の全収容穴15aに未研磨のコイルばねSを収容した状態で所定の研磨量となるまでコイルばねSの研磨を行い、このときの研磨条件を満たす最短時間を研磨時間としている。ここでの研磨条件は、コイルばねSの研磨焼けが製品としての許容範囲内となることをいう。研磨焼けの製品としての許容範囲は、例えば、褐色から青色の研磨焼けをしない程度をいう。
【0063】
なお、研磨時間は、最短時間よりも長い時間であっても、最短時間から許容範囲内のものであればよい。従って、本実施例では、研磨時間を長く設定することにより、収容時間を研磨時間の範囲内とすることも可能である。また、研磨時間は、直前の研磨に実際に要した時間であってもよい。
【0064】
かかる研磨時間との関係で収容時間(収容数)を設定するに際しては、収容穴15aの数(総数)よりもコイルばねSの収容数が少なくなるようにコイルばねSの収容を行わせる場合もある。この場合は、不使用の収容穴15aの設定により、支持テーブル11上に支持された少なくとも何れか一つのコイルばねSに接触子23を常時当接させるようにする。
【0065】
図3は、収容テーブル15に対するコイルばねSの非挿入位置(不使用の収容穴15a)の一例を示す概略平面図であり、
図3(A)は、適切な例を示し、
図3(B)は、不適切な例を示す。
【0066】
図3(A)では、収容テーブル15の中心角の45°毎に、径方向に沿った収容穴15aの1列Lを不使用としている。これにより、
図3(A)の例では、合計32個の収容穴15aが不使用となっている。接触子23は、収容テーブル15の回転方向での寸法が複数の収容穴15aを覆う程度になっており、収容テーブル15の径方向での寸法が収容テーブル15の内外周にわたる程度になっている。このため、回転方向で不使用の収容穴15aの列Lに対する両側の列の収容穴15aに収容されたコイルばねSの少なくとも一つが接触子23に常時当接する。
【0067】
また、本実施例では、収容機構5による一度の収容において、径方向に沿った収容穴15aにまとめてコイルばねSが収容されるため、45°毎に列Lを不使用とする設定を容易に行うことが可能である。
【0068】
なお、不使用の収容穴15aの設定は、接触子23の大きさに応じ、少なくとも何れか一つのコイルばねSが接触子23に常時当接できる範囲において任意である。例えば、内外周の何れかの環状の収容穴15aにのみコイルばねSを収容し、他の環状の収容穴15aを不使用としてもよい。
【0069】
これに対し、
図3(B)では、不使用の収容穴15aの合計が
図3(A)の場合と同様に32個であるが、回転方向に連続した列の収容穴15aを不使用としている。この結果、
図3(B)では、接触子23の回転方向の寸法よりも大きい範囲でコイルばねSが存在しない落ち込み領域Rが形成されている。このため、接触子23は、収容テーブル15の回転により落ち込み領域Rに位置すると、付勢力によって落ち込み領域R内に落ち込む。この結果、落ち込み領域Rの周囲に配置されたコイルばねSを、接触子23が回転方向で接触して損傷させることになると共に、接触子23自体も損傷する。
【0070】
従って、本実施例では、このようなコイルばねS及び接触子23の損傷を上記不使用の収容穴15aの設定により抑制することができる。
【0071】
また、制御部9は、一対の収容テーブル15の入れ替えを通じた同一収容テーブル15における複数回の研磨に際して、不使用の収容穴15aを異ならせている。本実施例では、不使用となる径方向に沿った収容穴15aの列Lを周方向に順次ずらすことで、不使用の収容穴15aを異ならせている。これにより、不使用となる収容穴15aに研磨カス等が堆積することが抑制される。同時に、収容テーブル15の一部の収容穴15aのみの摩耗を抑制して研磨装置1の耐久性を向上できる。
【0072】
最終バッチ時には、制御部9が接触子23を退避位置まで退避させると共に、コイルばねSの研磨を直前のバッチと同一条件で行わせる。すなわち、最終バッチは、コイルばねSが所定数に満たないことが多く、
図3(B)のような落ち込み領域Rが生じる可能性が高い。このため、本実施例では、最終バッチについては接触子23を使用せずに研磨を行うようになっている。
【0073】
ここで、接触子23を使用しないとコイルばねSの研磨量を設定できないが、直前のバッチと同一条件で研磨を行わせることにより、ほぼ所定の研磨量とすることが可能となる。なお、最終バッチは、監視者等が図示しない最終バッチボタンを押すことによって設定する。
【0074】
従って、制御部9は、最終バッチボタンが押されたことに応じ、接触子23を待避位置まで退避させると共に直前の条件を反映させる。なお、ここでの条件は、研磨時間、上方の砥石21Bの下降速度、砥石21A,21Bの回転速度等であり、少なくとも一つ前のバッチのものが常時記憶されている。
【0075】
[実施例1の効果]
以上説明したように、本実施例の研磨装置1は、複数のコイルばねSを収容する少なくとも一対の収容テーブル15と、一対の収容テーブル15を支持し、且つ一対の収容テーブル15のそれぞれを研磨位置とこの研磨位置外の待機位置との間で移動させるテーブル支持部13と、研磨位置に位置する収容テーブル15の少なくとも一部を挟んで上下に対向しその収容テーブル15に対して相対的に駆動されることでコイルばねSを研磨可能とする一対の砥石21A,21Bと、待機位置に位置する収容テーブル15に対し未研磨のコイルばねSを収容させる収容機構5と、テーブル支持部13の制御により、待機位置の一対の収容テーブル15の一方を研磨位置に配置してコイルばねSの研磨を所定の研磨量となるまで行わせると共に一対の収容テーブル15の他方を待機位置に配置して未研磨のコイルばねSの収容を行わせた後、一対の収容テーブル15の一方を待機位置に配置すると共に待機位置の一対の収容テーブル15の他方を研磨位置に配置する制御部9とを備える。
【0076】
そして、本実施例の制御部9は、待機位置での未研磨のコイルばねSの収容数に応じた収容時間を、研磨位置でのコイルばねSを所定の研磨量まで研磨する研磨時間以内とする。
【0077】
従って、本実施例では、収容機構5によって収容を行わせることにより収容時間のばらつきをなくし、研磨位置の一対の収容テーブル15の一方でのコイルばねSの研磨が完了したら直ちに一対の収容テーブル15を入れ替えることが可能となる。このため、研磨位置と待機位置との間での収容テーブル15の移動により研磨後のコイルばねSと未研磨のコイルばねSとを入れ替える場合において、制御の簡素化を図ることができる。
【0078】
しかも、本実施例では、コイルばねSの研磨とコイルばねSの収容とで待ち時間を抑制することができ、生産性を向上することができる。
【0079】
また、一対の収容テーブル15の入れ替えのためには、コイルばねSの研磨の完了のみを監視していればよく、コイルばねSの収容の完了を監視する必要がないので、より制御の簡素化を図ることができる。
【0080】
また、収容テーブル15は、テーブル支持部13に回転自在に支持され、回転方向の一部が研磨位置で一対の砥石21A,21B間に位置し、研磨装置1は、研磨位置の収容テーブル15に収容されているコイルばねSを一対の砥石21A,21B間外で下方から支持する支持テーブル11と、支持テーブル11の上方に配置され支持テーブル11上に支持されたコイルばねSに付勢力をもって当接する検長用の接触子23とを備え、制御部9は、接触子23でのコイルばねSの検長によりコイルばねSの研磨量を検出する。
【0081】
従って、本実施例では、コイルばねSを所定の研磨量まで確実に研磨することができる。
【0082】
そして、収容テーブル15は、複数のコイルばねSをそれぞれ収容可能であり収容テーブル15の回転方向に沿って環状に配置された複数の収容穴15aを備え、制御部9は、収容穴15aの数よりも収容時間内でのコイルばねSの収容数が少なくなるようにコイルばねSの収容を行わせる場合、不使用の収容穴15aの設定により接触子23を支持テーブル11上に支持された少なくとも何れか一つのコイルばねSに常時当接させる。
【0083】
従って、本実施例では、接触子23が収容テーブル15のコイルばねSが存在しない領域に落ち込むことがなく、そうした落ち込みによるコイルばねS及び接触子23の損傷を抑制することができる。また、本実施例では、不使用の収容穴15aの設定により研磨されるコイルばねSの数を調整できるため、収容テーブル15の収容穴15aの汎用化が可能となる。
【0084】
接触子23は、コイルばねSに当接可能な当接位置と当接不能な退避位置との間で移動可能であり、コイルばねSの研磨は、複数のバッチからなる1ロットにおいて、1バッチの所定数のコイルばねSごとに行われ、制御部9は、最終バッチ時に接触子23を退避位置まで退避させると共に、コイルばねSの研磨を直前のバッチと同一条件で行わせる。
【0085】
従って、本実施例では、最終バッチで研磨されるコイルばねSの数が少なく、接触子23がコイルばねSの存在しない領域に落ち込むような状況下であっても、接触子23を待避位置まで退避させて使用しないことにより、接触子23の落ち込みによるコイルばねS及び接触子23の損傷を抑制することができる。
【0086】
また、接触子23を使用しなくても、直前のバッチと同一条件でコイルばねSの研磨を行わせることで、最終バッチと直前のバッチとで研磨環境がほとんど変わらないことから、所定の研磨量でのコイルばねSの研磨を行わせることができる。
【0087】
また、本実施例では、制御部9が、同一収容テーブル15における複数回の研磨に際して、不使用の収容穴15aを異ならせるため、収容穴15aに研磨カスが堆積することを抑制すると共に収容テーブル15の摩耗を抑制して研磨装置1の耐久性を向上できる。
【0088】
本実施例の研磨方法は、研磨装置1と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 研磨装置
5 収容機構
9 制御部
11 支持テーブル
13 テーブル支持部
15 収容テーブル
15a 収容穴
21A,21B 砥石
23 接触子
S コイルばね(ワーク)