(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/56 20060101AFI20231018BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20231018BHJP
F04D 25/16 20060101ALI20231018BHJP
F04D 27/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
F04D29/56 E
F04D25/08 307D
F04D25/16
F04D27/00 N
(21)【出願番号】P 2020052275
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 雅也
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3062689(JP,U)
【文献】特開平08-004685(JP,A)
【文献】登録実用新案第3165503(JP,U)
【文献】実開昭51-138353(JP,U)
【文献】実公昭49-031974(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3095643(JP,U)
【文献】米国特許第05304035(US,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2017-0000476(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/56
F04D 25/08
F04D 25/16
F04D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風する送風機構と、
該送風機構を駆動する駆動部と、
前記送風機構及び駆動部を収めたケースと、
を備え、
前記ケースは、
前記送風機構を収める先端部と、該先端部の後端から背後に延びる把持部と、からなり
前記先端部は、先端の位置に複数の送風孔を有する平坦な載置部を備え
るとともに、前記送風機構及び前記載置部の周囲を囲う位置に複数の送風孔を有する側壁部を備え
、
前記送風機構は、同一の回転軸に関して相反する方向に回転する第1及び第2のインペラを備え、
前記載置部は、第1及び第2のインペラの回転軸の延伸方向に位置
し、
前記送風機構は、前記駆動部により前記第1及び第2のインペラを回転制御することにより回転軸方向への直進送風の増加と周囲へ広がる広域送風の増加とが切換駆動され、前記載置部を
卓上に載置することにより
該載置部に有する複数の送風孔が塞がれることによって広域送風の増加に切り換わる
ことを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記ケースは、前記送風機構と駆動部との間に発光制御部を有し、該発光制御部に前記載置部の方向に向かって発光する発光部を備えた請求項
1に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディタイプの送風機に関するものであり、特に、手に持つか又は卓上等に載置することを選択して使用することが可能な送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、机上に載置して使用する送風機は、一般に、台座等を用いて送風機構等を支える構造を用いていた(例えば、特許文献1参照)。また、手に持って使用することを目的とした送風機では、台座や本体を小型で握り易い形状にすること等で対応するものが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように、送風機は載置して使用する場合と手に持って使用する場合があり、何れの場合でも安定した状態で使用し易いことが望まれていた。また、載置して使用する場合には、広域に送風することが望ましく、一方、手に持って使用する場合には、狭い範囲に強く送風することが望ましい。このため、載置して使用する送風機では、送風機構を左右に旋回させるような首振りや、羽根の形状等を工夫することで風を拡散して送風していた。また、手に持って使用する送風機では、羽根の形状等を工夫することで風を拡散させないように送風していた。
【0005】
しかしながら、載置及び手に持つことの両方で使用するものにあっては、それぞれの使用状態に応じて風を広域に送風する或いは狭い範囲に送風することが求められ、首振りや羽根の形状等を工夫するだけでは充分に対応することができなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決し、簡易な構造で、載置した場合に広い範囲に送風し、手に持った場合に狭い範囲に送風することが可能な送風機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の送風機は、送風する送風機構と、該送風機構を駆動する駆動部と、前記送風機構及び駆動部を収めたケースと、を備え、前記ケースは、前記送風機構を収める先端部と、該先端部の後端から背後に延びる把持部からなり、該先端部の先端の位置に複数の送風孔を有する平坦な載置部を備えるとともに、前記送風機構及び前記載置部の周囲を囲う位置に複数の送風孔を有する側壁部を備えている。
【0008】
この送風機における前記送風機構は、同一の回転軸に関して相反する方向に回転する第1及び第2のインペラを備え、前記載置部は、第1及び第2のインペラの回転軸の延伸方向に位置するものとなっている。また、前記ケースは、前記送風機構と駆動部との間に発光制御部を有し、該発光制御部に前記載置部の方向に向かって発光する発光部を備えている。また、前記送風機構は、前記駆動部により前記第1及び第2のインペラを回転制御することにより回転軸方向への直進送風の増加と周囲へ広がる広域送風の増加とが切換駆動され、前記載置部を卓上に載置することにより該載置部に有する複数の送風孔が塞がれることによって広域送風の増加に切り換わるものとなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の送風機は、送風機構に対面するケースの載置部を机上等に載置することで、載置部に設けられた送風孔が塞がれる。これにより、送風機構が送り出す風は、送風孔が塞がれた載置部に当たって径方向に広がり、載置部を囲む側壁部の送風孔から外方へ向かって流れだす。その結果、送風機は、広範囲に送風することになる。また、送風機を手に持つと、載置部の送風孔が開放され、送風機構からの風は載置部の送風孔から外方へ向かって流れることになる。その結果、送風機は、狭い範囲に送風することになる。このように、本発明の送風機では、簡易な構造で、載置した場合に広い範囲に送風し、手に持った場合に狭い範囲に送風することが可能となる。
【0010】
また、この送風機における送風機構は、同一の回転軸に関して相反する方向に回転する第1及び第2のインペラを備えており、その回転を制御することで送風の直進と広がりを切換可能としている。これにより、送風機を載置したときに、広い範囲に送風する状態に自動で切り換えると共に、送風機を手に持った状態であっても、送風を広い範囲と狭い範囲に切り換えることが可能となる。
【0011】
また、発光部を送風機構と駆動部との間に設けているので、手に持った場合だけでなく、載置した場合にも、送風機構周囲の側壁部に設けられた送風孔から外方に光が照射される。これにより、送風機を載置した場合にも、その周囲を照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る送風機の斜視図である。
【
図3】
図1に示す送風機を載置部の方向から見た正面図である。
【
図4】
図1に示す送風機の基板を軸方向から見た状態を示す断面図である。
【
図5】
図1に示す送風機のケースの一部を透視した透視斜視図である。
【
図6】
図1に示す送風機を机上に載置した状態を示す側面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る送風機の斜視図である。
【
図8】
図7に示す送風機を机上に載置した状態を示す側面図である。
【
図9】
図7に示す送風機における送風機構の羽根の間に発光部の発光素子が位置するときの状態を示す載置部の方向から見た正面図である。
【
図10】
図7に示す送風機における送風機の羽根と発光部の発光素子が重なる位置にあるときの状態を示す載置部の方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1実施形態における送風機は、
図1乃至
図5に示すように、略円錐台形状をなすケース1と、送風する送風機構2と、電池あるいは電池と駆動制御回路等からなり送風機構2を駆動する駆動部3と、送風機構2と駆動部3との間に配置された発光部4と、発光部4が実装されると共にその点灯状態を制御する発光制御回路等が設けられた基板からなる発光制御部5と、を備えている。
【0014】
ケース1は、送風機構2を収める円錐台形状をなす先端部1aと、先端部1aの後端から背後に延びる円筒形状の把持部1bとからなる。先端部1aは、その先端の端面に円形で平坦な載置部1cを有し、その載置部1cの周囲に傾斜した周状の側壁部1dを有している。載置部1cには、放射状に形成された複数のスリットからなる送風孔1eが設けられている。また、側壁部1dには、把持部1bから載置部1cに向かう軸方向に形成された複数のスリットからなる送風孔1fが設けられている。尚、本実施形態における送風孔1e、1fはスリット状の長孔であるが、長孔だけでなく丸孔であっても良い。また、先端部1aの内部中央には、発光制御部5の基板を貫いて載置部1cの方向へ延びる細長円柱状の支持部1gが設けられている。更に、載置部1cの内面中央には、支持部1gの先端に対峙する細長円柱状の支持部1hが設けられている。
【0015】
送風機構2は、互いに相反する方向へ回転する第1及び第2のインペラ2a、2bと、この第1及び第2のインペラ2a、2bに組み込まれて第1及び第2のインペラ2a、2bをそれぞれ回転駆動する第1及び第2のモータ2c、2dと、を備えている。第1及び第2のインペラ2a、2bは、円形カップ状のロータ部2e、2fと、このロータ部2e、2fの外側面から略放射状に突出形成された羽根2g、2hと、からそれぞれ構成されている。また、第1及び第2のモータ2c、2dは、ロータ部2e、2fの内周部にそれぞれ取り付けられた磁石2i、2jと、ロータ部2e、2fをそれぞれ回動自在に支持するシャフト2k、2mと、軸受け2n、2pを介してシャフト2k、2mにそれぞれ外嵌され且つ磁石2i、2jにそれぞれ接近対面するステータ2q、2rと、ステータ2q,2rにそれぞれ接続されるモータ基板2s、2t、とを備えている。シャフト2k、2mは、軸心が直線状に連なるように、ケース1に設けられた支持部1g、1hによりそれぞれ支持されている。また、モータ基板2s、2tは、それぞれケース1の支持部1g、1hに面する側に配置され、支持部1g、1hに沿って設けられた配線を介して駆動部3にそれぞれ接続されている。
【0016】
駆動部3は、電池と駆動制御回路等からなり、パソコンのUSB端子等から電力を得て蓄電し、スイッチ8の操作に応じて第1及び第2のモータ2c、2dに電力を供給して第1及び第2のインペラ2a、2bを回転駆動する。
【0017】
発光部4は、
図2、
図4及び
図5に示すように、駆動部3と送風機構2との間に設けられた発光制御部5の基板に配置された複数の発光素子からなる。本実施形態における発光部4は、支持部1gを中心としてその周囲に周状に複数配置されている。この発光部4は、スイッチ8の操作に応じて点灯すると共に、発光制御部5により点灯状態が制御され、例えば、送風機構2の回転に対応して点灯が制御される。
【0018】
尚、上記送風機構2では、第1及び第2のインペラ2a、2bをそれぞれ別々のモータで回転させているが、単一のモータでそれぞれ回転させることも可能である。
【0019】
上記構成からなる本実施形態の送風機では、スイッチ8の操作で駆動部3から第1及び第2のモータ2c、2dに電力が供給され、第1及び第2のモータ2c、2dが作動すると、第1及び第2のインペラ2a、2bが互いに反対の方向に回転駆動される。これにより、第1のインペラ2aが発生させた風は、第2のインペラ2bによって直進性が高められる。このように直進性が高められた風は、第1及び第2のインペラ2a、2bに対面する載置部1cの送風孔1eから外方へ送出される。このため、把持部1bを手に持って、所望の方向に載置部1cを向けると、その方向に集中して風が送風される。
【0020】
また、この送風機を、
図6に示すように、載置部1cが机上等に当接するように載置すると、載置部1cの送風孔1eは塞がれる。そのため、第1及び第2のインペラ2a、2bの回転で生じた風は載置部1cと机等の面にぶつかって径方向へ分散し、側壁部1dの送風孔1fから放射状に分散して送風される。
【0021】
上記のように、本実施形態における送風機では、手に持つことで直進性の高い狭い範囲への送風を行い、机上等に置くことで分散した広い範囲への送風を行うことができる。また、第1及び第2のインペラ2a、2bの回転差を変更することで送風の直進性を落とすことも可能である。その場合には、より広範囲に送風することが可能となる。尚、載置部1cの外面にスイッチあるいはセンサー等を設けることで、送風機を載置した場合にそれを検出し、第1及び第2のインペラ2a、2bの回転差を変更するように構成することも可能である。
【0022】
また、発光部4を発光させると、載置部1cの送風孔1eと側壁部1dの送風孔1fから光が外方に照射される。ここで、発光部4の発光を第1及び第2のインペラ2a、2bの回転に同期させて、第1及び第2のインペラ2a、2bの羽根の合間から光が直接外方に照射するときだけ発光部4を発光させることで、照明効果を下げることなく発光部4の消費電力を少なくすることが可能となる。
【0023】
尚、第1及び第2のインペラ2a、2bとして透光性を有する材質のものを用いれば、第1及び第2のインペラ2a、2bが発光部4からの光を遮ることはなくなる。
【0024】
また、ケース1の載置部1c等に香を放つ芳香部品を取り付けるか、あるいは送風機を安定して載置するために載置部1cを載せる台等を設け、その台等に芳香部品を取り付けることで、香りのついた風を送風することが可能となる。
【0025】
また、送風機を載せる台等を設けた場合、その台等を、非接触給電を行う給電部材とすることもできる。更にその場合に、給電中の送風を、直進性を落とした風に自動で切り換えるように設定することもできる。
【0026】
次に、第2実施形態における送風機は、
図7及び
図8に示すように、第1実施形態における第2のインペラ2bを削減して第1のインペラ2aだけで送風を行うように構成されている。これにより、第2実施形態における送風機では、第1実施形態に比べると、特段直進性の高い風を送風するものではなく、風の直進性を2つのインペラの回転差で変更するものでもないが、第1のインペラ2aの背後に配置された発光部4からの光を、載置部1cの送風孔1eから外方に向かって放出し易い状態にすることができる。尚、その他の構成に関しては、第1実施形態と同一であり、詳細な説明は省略する。
【0027】
この第2実施形態における送風機では、送風機構2のインペラが第1のインペラ2aだけであることから、この第1のインペラ2aの回転周期と発光部4の点灯周期を同期させることが容易な構成となる。この送風機では、例えば、
図4及び
図9に示すように、第1のインペラ2aの羽根2gが等間隔で5枚設けられており、その背後に設けられている発光部4も同様に周上に等間隔で5個設けられている。このため、
図9に示すように、第1のインペラ2aの羽根2gが発光部4の前を通過すると、羽根2gの間から発光部4が載置部1cに対面する。この時点で発光部4を点灯させ、
図10に示すように、発光部4が羽根2gに対面したときに消灯するように、発光部4の点灯を同期制御することにより、発光による電力消費を抑え、効率良く照明することができる。
【0028】
上記のように、羽根2gの回転周期と発光部4の点灯周期を同期制御するには、羽根2gの位置を検出することが必要になる。羽根2gの位置を検出するには、例えば、シャフト2kに図示しない回転板等を取り付け、その回転板等に羽根2gに対応する貫通孔を設け、その貫通孔を介して対面する発光素子と受光素子からなる検出手段を設けることで、羽根2gの位置を示す検出信号を得ることができる。この検出信号に基づいて発光制御部5が発光部4を断続的に点灯させることで、羽根2gの回転周期と発光部4の点灯周期を同期させることができる。
【0029】
上記のように、羽根2gの回転周期と発光部4の点灯周期を同期させることができると、同期を制御することで、様々な発光状態を作り出すことができる。例えば、ゾエトロープの原理に基づいて、互いに関連付けられた画像、例えば徐々に態様が変化する絵等を複数の羽根2gにそれぞれ設け、その回転に同期させて発光部4を点灯させることで羽根2gに効果的に光を当てる。これにより、羽根2gに設けられた画像は変化するように見え、動きを伴った様々な変化を演出することが可能となる。
【0030】
また、載置部1cや側壁部1dの内面に反射板あるいは反射層を設けるか、送風機を載置させるための台に反射板等を設けることで、送風孔1e、1fから外方に向かう光を増加させて効率を高め、より明るく周囲を照明することが可能となる。
【0031】
また、載置用の台を非接触給電を行う給電部材とし、給電中における発光部4の点灯を、羽根2gの間で点灯し羽根2gに対面するときに消灯する周期で点灯するように自動で切り換えるように設定することもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 ケース
1a 先端部
1b 把持部
1c 載置部
1d 側壁部
1e、1f 送風孔
1g、1h 支持部
2 送風機構
2a、2b 第1及び第2のインペラ
2c、2d 第1及び第2のモータ
2e、2f ロータ部
2g、2h 羽根
2i、2j 磁石
2k、2m シャフト
2n、2p 軸受け
2q、2r ステータ
2s、2t モータ基板
3 駆動部
4 発光部
5 発光制御部
8 スイッチ