(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】梁支持構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/34 20060101AFI20231018BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
E04B1/34 A
E04B1/34 F
E04B2/74 561E
(21)【出願番号】P 2020139820
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2022-12-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年6月27日,株式会社ネス・コーポレーションのホームページ(https://ness-corpo.co.jp/nursery/yaguchi/)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】川口 航
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-216929(JP,A)
【文献】特開平5-10041(JP,A)
【文献】特開2002-167855(JP,A)
【文献】滋賀県栗東市 新築 梁見せ天井 メリット・デメリット,インターネット,2020年08月07日,https://besthouse.cc/2020-8-7/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00 - 1/36
E04H 1/00 - 1/14
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の柱に両端がそれぞれ接続された梁と、
前記梁の下方において建物内の空間を通るように延びる第二の梁と、
前記梁から垂下するとともに、下端部が固定されることで前記第二の梁の中間部を支持する吊り材と、を備える梁支持構造において、
前記梁と前記第二の梁との間に、前記空間の天井が配置されており、
前記吊り材は、
上端部が、前記梁の側面まで延びるとともに、当該側面に固定されており、
中間部の水平断面が、前記第二の梁の延長方向と直交する方向に長くなっていることを特徴とする梁支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の梁支持構造において、
前記第二の梁は、前記梁の延長方向に沿って延びていることを特徴とする梁支持構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の梁支持構造において、
前記第二の梁の上方であって前記吊り材の側方は、開口になっていることを特徴とする梁支持構造。
【請求項4】
請求項3に記載の梁支持構造において、
前記開口に取り付けられた透明部材を備えることを特徴とする梁支持構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の梁支持構造において、
前記吊り材の下端部は、前記第二の梁の上面に沿って延びるとともに、当該上面に固定されていることを特徴とする梁支持構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の梁支持構造において、
前記第二の梁の下面に、当該第二の梁の延長方向に沿って延びるように設けられたレールと、
前記レールに係合し、当該レールに沿ってスライドする扉と、を備えることを特徴とする梁支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の空間の美観向上等を目的として、建物の梁を、空間の中(天井の下)を通るように設けることが行われている。
こうすることで、建物内の天井を高く見せたり、空間を、梁が景観の一部なったデザイン性の高いものとしたりすることが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような梁が通された空間を広くしようとすると、その分だけ梁を長くする必要が生じる。
一方、梁が長くなると、荷重によって梁が撓んでしまう可能性が出てくる。
長い梁が撓むのを防ぐには、梁の剛性を高める、梁の中間部を中柱で支持する等の方法が考えられる。
しかし、そうした方法では、空間の美観や利便性が損なわれてしまう可能性があるため、他の手段が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、建物内の空間の美観や利便性を損なうことなく、広い空間を確保できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1~5に示すように、
一対の柱1に両端がそれぞれ接続された梁2と、
前記梁2の下方において建物100内の空間120を通るように延びる第二の梁3と、
前記梁2から垂下するとともに、下端部43が固定されることで前記第二の梁3の中間部3cを支持する吊り材4と、を備える梁支持構造110において、
前記梁2と前記第二の梁3との間に、前記空間120の天井122が配置されており、
前記吊り材4は、
上端部41が、前記梁2の側面2aまで延びるとともに、当該側面2aに固定されており、
中間部42の水平断面が、前記第二の梁3の延長方向と直交する方向に長くなっていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明においては、第二の梁3の中間部3cが梁2及び吊り材4によって支持される。
また、天井122によって梁2が遮蔽され、空間120内から視認できる梁が第二の梁3だけとなるため、空間120内の見栄えを良くすることができる。
また、吊り材4の上端部41が梁2の側面2aに固定されるため、吊り材4の上端部41を下面2cに固定する場合に比べ、梁2により強固に固定することができ、第二の梁3をより確実に支持することができる。
また、吊り材4は、その水平断面形状により、必要な強度を保ちつつ、第二の梁3の延長方向と直交する水平方向から目立ちにくくなる。
このため、請求項1に記載の発明によれば、建物100内の空間120の美観や利便性を損なうことなく、広い空間120を確保することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の梁支持構造110において、
例えば
図1~3に示すように、前記第二の梁3は、前記梁2の延長方向に沿って延びていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第二の梁3のどの部位の上方にも梁2が存在することになるため、吊り材4の設置位置を比較的自由に決定することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の梁支持構造110において、
例えば
図1,2,5に示すように、前記第二の梁3の上方であって前記吊り材4の側方は、開口111になっていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、空間120における、梁支持構造110を挟む相対的に明るい領域120aから他方の相対的に暗い領域120bへより多くの光が差し込むようになり、照明を用いずに相対的に暗い領域120bを明るくすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の梁支持構造110において、
例えば
図1,2,5に示すように、前記開口111に取り付けられた透明部材52を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、音や熱が開口111を通り抜けにくくなるため、例えば、梁2の下方を塞ぎ空間120を二つの領域120a,120bに仕切って使用する場合等に、一方の領域120a,120bから他方の領域120b,120aへ音が漏れたり、熱が逃げたりしてしまうのを防ぐことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の梁支持構造110において、
例えば
図2~5に示すように、前記吊り材4の下端部43は、前記第二の梁3の上面3aに沿って延びるとともに、当該上面3aに固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、空間120の床121から梁2を見上げたときに、吊り材4の第二の梁3への固定箇所が第二の梁3に遮蔽されることになるため、空間120内の見栄えを良くすることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の梁支持構造110において、
例えば
図1~3に示すように、前記第二の梁3の下面3dに、当該第二の梁3の延長方向に沿って延びるように設けられたレール6Aと、
前記レール6Aに係合し、当該レール6Aに沿ってスライドする複数の扉7と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、複数の扉7を閉じることで、空間120における、梁支持構造110を挟む一方の領域120aと他方の領域120bとを仕切り、二つの部屋120a,120bとしてそれぞれ利用することができる。
また、第二の梁3の中間部3cが支持されることで、第二の梁3が撓まないため、各扉7のスライドを滑らかに行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、建物内の空間の美観や利便性を損なうことなく、広い空間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る梁支持構造を備える建物の内部を示す斜視図である。
【
図4】(a)は
図1の梁支持構造が備える吊り材の正面図、(b)はその側面図、(c)はその上面図、(d)はその下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0021】
〔1.梁支持構造の概略構成〕
はじめに、本実施形態に係る梁支持構造110の概略構成について説明する。
図1は本実施形態に係る梁支持構造110を備える建物100の内部を示す斜視図、
図2は梁支持構造110を表す正面図、
図3は梁支持構造110のa-a断面図である。
【0022】
梁支持構造110は、
図1に示すように、建物100の一部をなしている。
梁支持構造110は、
図1~3に示すように、一対の柱1と、梁2(以下、第一の梁2)と、第二の梁3と、吊り材4と、を備えている。
本実施形態に係る梁支持構造110は、吊り材4を複数備えている。
また、本実施形態に係る梁支持構造110は、窓5と、一対のレール6A,6Bと、複数の扉7と、を更に備えている。
【0023】
(柱)
一対の柱1は、建物100内の空間120を挟むように立設されている。
【0024】
(第一の梁)
第一の梁2は、一対の柱1に両端がそれぞれ接続されている。
本実施形態に係る第一の梁2は水平方向に延びている。
なお、第一の梁2は、建物100の屋根梁であってもよいし、上階の床梁であってもよい。
また、第一の梁2は、第二の梁3を支持するために専用に設けられたものであってもよい。
また、本実施形態に係る第一の梁2は、側面2aにおける吊り材4の固定箇所に、第一の梁2の太さ方向へ水平に貫通するボルト孔2b(
図4参照)を有している。
なお、第一の梁2は、ボルト孔2bを有する代わりに、反対側へ貫通しないボルト穴を有していてもよい。
【0025】
(第二の梁)
第二の梁3は、梁2の下方において建物100内の空間120を通るように延びている。
なお、第二の梁3は、柱1に接続されていてもよいし、されていなくてもよい(吊り材4によって吊り下げられているだけの状態であってもよい)。
本実施形態に係る第二の梁3は、第一の梁2の延長方向に沿って(第一の梁2と平行に)延びている。こうすることで、第二の梁3のどの部位の上方にも第一の梁2が存在することになるため、吊り材4の設置位置を比較的自由に決定することができる。
本実施形態に係る第二の梁3は、上面3aにおける吊り材4の固定箇所に、鉛直方向に形成されたボルト穴3b(
図4参照)を有している。
なお、第二の梁3は、ボルト穴3bを有する代わりに、鉛直方向に貫通するボルト孔を有していてもよい。
【0026】
(吊り材)
複数の吊り材4は、
図1,2に示したように、梁2から垂下するとともに、下端部43が固定されることで第二の梁3の中間部3cを支持している。
各吊り材4の材質は、特に限定されるものではないが、引張強度やコストの観点から、鋼材とするのが好ましい。
本実施形態に係る複数の吊り材4は、第二の梁3の延長方向に沿って略等間隔に並ぶように設けられている。
なお、複数の吊り材4は、第二の梁3の中央に近づくにつれて間隔が狭くなるように並んでいてもよい。
また、第二の梁3が比較的短い場合には、使用される吊り材4は一つでもよい。
この吊り材4の詳細については後述する。
【0027】
(開口・窓)
本実施形態に係る梁支持構造110は、第一の梁2、第二の梁3及び複数の吊り材4が上記のように配置されることで、
図1,2に示したように、第二の梁3の上方であって吊り材4の側方は矩形の開口111になっている。
このため、梁支持構造110を挟む相対的に明るい領域120aから他方の相対的に暗い領域120bへより多くの光が差し込むようになり、照明を用いずに相対的に暗い領域120bを明るくすることができる。
【0028】
窓5は、
図2に示したように、開口111に取り付けられている。
本実施形態に係る窓5は、窓枠51と、透明部材52と、を備えている。
窓枠51の正面視の形状は、開口111と略等しい輪郭の矩形をなしている。
本実施形態に係る窓枠51の下端部であって、第二の梁3の延長方向両端部には、
図5に示すように、座彫り部51a及び欠込み部51bが形成されている。
このため、開口111に窓枠51を取り付けたときに、吊り材4の水平部431が座彫り部51aに収まるとともに、吊り材4の中間部42が欠込み部51bへ収まり、開口111に隙間なく窓5を設けることができる。
【0029】
透明部材52は、窓枠51の輪郭よりも一回り小さい矩形をなし、窓枠51にはめ込まれている。
こうすることで、音や熱が開口111を通り抜けにくくなるため、例えば、第二の梁3の下方を塞ぎ空間120を二つの領域120a,120bに仕切って使用する場合等に、一方の領域120a,120bから他方の領域120b,120aへ音が漏れたり、熱が逃げたりしてしまうのを防ぐことができる。
なお、透明部材52は、ガラスであってもよいし、樹脂(アクリル等)であってもよい。
また、窓5は、窓枠51を備えず、透明部材52のみで構成されていてもよい。
【0030】
(レール)
一対のレール6A,6Bのうちの一方のレール6Aは、
図1~3に示したように、第二の梁3の下面3dに、当該第二の梁3の延長方向に沿って延びるように設けられている。
また、一対のレール6A,6Bのうちの他方のレール6Bは、空間120の床121に、第二の梁3の延長方向に沿って延びるように設けられている。
なお、他方のレール6Bは、無くてもよい。
【0031】
(扉)
複数の扉7は、それぞれ上端部及び下端部が一対のレール6A,6Bに係合し、当該一対のレール6A,6Bに沿ってそれぞれスライドするようになっている。
こうすることで、空間120における、梁支持構造110を挟む一方の領域120aと他方の領域120bとを仕切り、二つの部屋120a,120bとしてそれぞれ利用することができる。
また、第二の梁3の中間部3cが支持されることで、第二の梁3が撓まないため、扉7のスライドを滑らかに行うことができる。
なお、第二の梁3が比較的短い場合、梁支持構造110は、水平方向に長尺な扉7を一つだけ備えていてもよい。
【0032】
(天井との位置関係)
梁支持構造110は、
図1~3に示したように、第一の梁2と第二の梁3との間に、空間120の天井122が配置されている。
こうすることで、天井122によって第一の梁2が遮蔽され、空間120内から視認できる梁が第二の梁3だけとなるため、空間120内の見栄えを良くすることができる。
また、本実施形態に係る天井122は、
図1,3に示したように、一方の領域120aから他方の領域120bへ向かうにつれて下がるように傾斜している。
なお、天井122は、他の方向へ傾斜していてもよいし、水平になっていてもよい。
また、本実施形態に係る天井122は、天井板122aと、ルーバー122bと、を備えている。
ルーバー122bは、天井板122aの下面に、各板が天井122の傾斜方向に延びるように設けられている。
なお、天井122は、天井板122aのみで構成されていてもよいし、ルーバー122bのみで構成されていてもよい。
また、ルーバー122bを構成する板と板との間に、図示しない照明器具が設けられていてもよい。
【0033】
(その他)
なお、第一の梁2は、第二の梁3の延長方向と交差(例えば直交)する水平方向へ延びるものであってもよい。
また、その場合、第二の梁3と交差する第一の梁2は複数あってもよい。
また、第二の梁3と交差する第一の梁2が複数ある場合には、各吊り材4の上端部は、各第一の梁2にそれぞれ固定されていてもよい。このようにすれば、各第一の梁2が負担する第二の梁3の荷重を分散させることができる。
【0034】
〔2.吊り材の詳細〕
次に、上記梁支持構造110が備える吊り材4の詳細(具体的構造及び固定のされ方)について説明する。
図4は梁支持構造が備える吊り材の正面図、側面図、上面図及び下面図、
図5は梁支持構造110の部分拡大図である。
【0035】
(具体的構造)
本実施形態に係る吊り材4は、
図4に示すように、上固定部41と、中間部42と、下固定部43と、を有している。
【0036】
上固定部41は、吊り材4の上端部をなす。
上固定部41は、水平部411と、一対の鉛直部412と、を有している。
水平部411は、中間部42の上端から第一の梁2の幅(太さ)方向へ、第一の梁2の下面2cに沿って水平に延びている。
一対の鉛直部412は、水平部411の延長方向両端から、第一の梁2の側面2aに沿って上方へ延びている。
各鉛直部412は、第一の梁2のボルト孔2bと重なる箇所に、孔412aをそれぞれ有している。
【0037】
中間部42は、鉛直方向に延び、且つ第二の梁3の延長方向が厚さ方向となる板状をなしている。
すなわち、吊り材4は、中間部42の水平断面が、第二の梁3の延長方向と直交する方向に長くなっている。
こうすることで、中間部42は、必要な強度を保ちつつ、第一の梁2の延長方向と直交する水平方向から目立ちにくくなる。
【0038】
下固定部43は、吊り材4の下端部をなす。
下固定部43は、一対の水平部431を有している。
一対の水平部431のうちの一方は、中間部42の下端から、第二の梁3の延長方向であって一対の柱1のうちの一方が存在する方向へ、第二の梁3の上面3aに沿って水平に延びている。
一対の水平部431のうちの他方は、中間部42の下端から、第二の梁3の延長方向であって一対の柱1のうちの他方が存在する方向へ、第二の梁3の上面3aに沿って水平に延びている。
各水平部431は、第二の梁3のボルト穴3bと重なる箇所に、孔431aをそれぞれ有している。
【0039】
(固定のされ方)
このように構成された本実施形態に係る吊り材4は、上固定部41(上端部)が、第一の梁2の側面2aまで延びるように配置されるとともに、当該側面2aに固定されている。
具体的には、上固定部41の孔412a、及び第一の梁2のボルト孔2bにボルトB1が通され、ボルトB1の先端部にナットNを螺合させることによって上固定部41が第一の梁2に固定されている。
こうすることで、吊り材4の上端部を、下面2cに固定する場合に比べ、第一の梁2により強固に固定することができるため、第二の梁3をより確実に支持することができる。
なお、第一の梁2への上固定部41の固定は、接着により行ってもよいし、鉛直部412の上端に鉤爪を形成し、第一の梁2へ係合させることにより行ってもよい。
また、上固定部41は、鉛直部412を有さず、水平部411が第一の梁2の下面2cに固定されるようになっていてもよい。
【0040】
また、本実施形態に係る吊り材4は、下固定部43(下端部)が、第二の梁3の上面3aに沿って延びるように配置されるとともに、当該上面3aに固定されている。
具体的には、この孔431aにコーチボルトB2が通されるとともに、このコーチボルトB2が第二の梁3のボルト穴3bに螺合することによって下固定部43が第二の梁3に固定されている。
こうすることで、空間120の床121から第二の梁3を見上げたときに、吊り材4の第二の梁3への固定箇所が第二の梁3に遮蔽されることになるため、空間120内の見栄えを良くすることができる。
なお、第二の梁3が、鉛直方向に貫通するボルト孔を有している場合、第二の梁3への下固定部43の固定は、ボルト孔にボルトを通し、ボルトの先端部にナットを螺合させることにより行ってもよい。
また、下固定部43は、各水平部431の延長方向と直交する方向に位置する端から第二の梁3の側面に沿って下方へ延びる鉛直部を有し、鉛直部が第二の梁3の側面に固定されるようになっていてもよい。
【0041】
<3.効果>
以上説明してきたように、本実施形態に係る梁支持構造110においては、第二の梁3の中間部3cが第一の梁2及び吊り材4によって支持される。
また、天井122によって第一の梁2が遮蔽され、空間120内から視認できる梁が第二の梁3だけとなるため、空間120内の見栄えを良くすることができる。
また、吊り材4の上端部41が第一の梁2の側面2aに固定されるため、吊り材4の上端部41を下面2cに固定する場合に比べ、梁2により強固に固定することができ、第二の梁3をより確実に支持することができる。
また、吊り材4は、その水平断面形状により、必要な強度を保ちつつ、第二の梁3の延長方向と直交する水平方向から目立ちにくくなる。
このため、梁支持構造110によれば、建物100内の空間120の美観や利便性を損なうことなく、広い空間120を確保することができる。
【0042】
<4.その他>
なお、本発明は上記の実施形態等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0043】
例えば、柱1、第一の梁2及び第二の梁3の材質は、木であってもよいし、鉄骨であってもよいし、鉄筋コンクリートであってもよい。
また、建物100の用途や、柱1と第一の梁2との接合方法等も任意である。
【符号の説明】
【0044】
100 建物
110 梁支持構造
111 開口
1 柱
2 第一の梁(梁)
2a 側面
2b ボルト孔
2c 下面
3 第二の梁
3a 上面
3b ボルト穴
3c 中間部
3d 下面
4 吊り材
41 上固定部(上端部)
411 水平部
412 鉛直部
412a 孔
42 中間部
43 下固定部(下端部)
431 水平部
431a 孔
5 窓
51 窓枠
51a 座彫り部
51b 欠込み部
52 透明部材
6A,6B レール
7 扉
120 空間
120a,120b 領域(部屋)
121 床
122 天井
122a 天井板
122b ルーバー
B1 ボルト
B2 コーチボルト
N ナット