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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ドライブ組立体
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/16 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
F03B13/16
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020529827
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 GB2018052274
(87)【国際公開番号】W WO2019030534
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】1712855.4
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514114529
【氏名又は名称】マリン パワー システムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ストックマン ガレス イアン
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン ジョン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】フォスター グラハム
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532839(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02128430(EP,A1)
【文献】特開昭57-000366(JP,A)
【文献】特開平09-209905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0081055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/16
F03B 13/18
F03B 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアクション部材(1)に取り付けられたときに波エネルギーをエネルギー変換器(9)へ伝達するように構成されたドライブ組立体であって、前記リアクション部材(1)は前記ドライブ組立体用のプラットフォームを提供するように構成されており、前記ドライブ組立体は、
エネルギー捕捉部材(2)と前記プラットフォームとの間の距離を規定するように配置された作動長さを有する作動部材(3)と、
前記エネルギー変換器(9)に連結されるように配置され前記作動部材(3)から前記エネルギー変換器(9)へエネルギーを伝達するように構成された可動のエネルギー伝達部材(5)と、
1つまたは2つ以上の前記作動部材(3)及び前記エネルギー伝達部材(5)に連結された付勢部材(8)を備えるエネルギー貯蔵部材と、を備え、
前記エネルギー貯蔵部材は、前記作動部材(3)または前記エネルギー伝達部材(5)を位置移動させるように配置され、
前記作動部材(3)は、前記エネルギー伝達部材(5)を第1のストロークポジション(S1)から第2のストロークポジション(S2)へ動かすように配置され、
前記第1のストロークポジション(S1)及び前記第2のストロークポジション(S2)が作動ストロークの遠位側端点を規定し、
前記作動ストロークが前記エネルギー変換器(9)を駆動するように構成され、
前記ドライブ組立体は、前記作動部材(3)の前記作動長さを調節するように構成された調節部材(7)を更に備え、前記調節部材(7)による前記作動長さの調節は、前記作動ストロークから独立してかつ同時に行われ、
前記複数のエネルギー伝達部材(10、12)の回転が、差動装置(11)によって調節されるように構成されている、
ことを特徴とするドライブ組立体。
【請求項2】
前記作動部材(3)が可撓性ロープを備える、
請求項1に記載のドライブ組立体。
【請求項3】
前記ドライブ組立体が、前記作動部材(3)に連結されたエネルギー補足部材(2)を更に備え、前記作動部材(3)へ波エネルギーを伝達することができる、
請求項1または2に記載のドライブ組立体。
【請求項4】
前記作動部材(3)の前記作動長さが、前記エネルギー捕捉部材(2)と前記エネルギー伝達部材(5)の間の距離を規定する、
請求項3に記載のドライブ組立体。
【請求項5】
前記エネルギー捕捉部材(2)は、浮体部分を備える、
請求項3に記載のドライブ組立体。
【請求項6】
前記ドライブ組立体は、2つまたは3つ以上の作動部材(3)を備え、前記2つまたは3つ以上の作動部材(3)の前記作動長さを前記調節部材(7)によって独立に調節することができる、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項7】
前記調節部材(7)は、前記作動部材(3)の一部分を収容するように配置されたウインチを備える、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項8】
前記エネルギー貯蔵部材(8)と前記エネルギー変換器(9)は、前記リアクション部材(1)と前記エネルギー伝達部材(5)の間に取り付けられている、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項9】
前記エネルギー貯蔵部材(8)は、ばね、機械的または電気的に付勢されたアクチュエータ、弾性部材、圧縮性部材、及び磁性部材の中から選択された少なくとも1つを備えている、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項10】
前記エネルギー伝達部材(5)は、前記作動部材(3)による作動の結果、軸を中心に回転するように配置された回転部分を備える、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項11】
前記エネルギー伝達部材(5)は、前記作動部材(3)による作動の結果、直交平面に沿った往復運動で動くように配置された可動式プーリーを備え、前記往復運動の範囲が前記作動ストロークを規定する、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項12】
前記エネルギー伝達部材(5)は、前記作動部材(3)の一部分を収容するように構成されている、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項13】
前記ドライブ組立体は、前記作動部材(3)に連結された複数のエネルギー伝達部材(10、12)を備え、前記作動部材(3)による前記複数のエネルギー伝達部材(10、12)の動きが軸を中心とした回転を有する、
請求項1ないし12のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項14】
前記複数のエネルギー伝達部材(10、12)の回転が調節されるように構成されている、
請求項1ないし13のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項15】
前記差動装置(11)が、エネルギー伝達部材(10)に連結された第1のサンギア(16a)と、エネルギー伝達部材(12)に連結された第2のサンギア(16b)と、前記第1サンギア(16a)及び前記第2のサンギア(16b)に連結されモータ(14)によって駆動またはロックされるように配置されたリングギア(15)と、を備える、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項16】
前記エネルギー伝達部材は、レバーアーム(20)を備える、
請求項1ないし15のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項17】
前記エネルギー伝達部材の動きが、軸を中心とした回転、軸に沿った往復直交運動、枢動点を中心とした枢動、及び前記作動部材の動きがもたらす伸びから選択された少なくとも1つを有している、
請求項1ないし16のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【請求項18】
前記エネルギー変換器は、回転式発電機、リニア発電機、及び水圧ポンプから選択された1つを備えている、
請求項1ないし17のいずれか1項に記載のドライブ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブ組立体、詳細には、エネルギー変換器への波エネルギーの伝達に使用するドライブ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界的なエネルギー生成に著しく貢献する再生可能エネルギーの開発へのニーズを重視する傾向が高まっている。政府の目標、非再生可能エネルギー源に関連する問題のメディアの描写、エネルギーコストの更なる増加の組合せが、全て再生可能エネルギーシステムの発展への強力な原動力を生み出している。
【0003】
化石燃料の環境への負の影響は、原子力エネルギーに関連する問題と高いコストと同様に良く知られている。一方で、膨大に天然に存在する再生可能エネルギーの動力化は、経済的に実行可能な価格でエネルギーを捕捉し、供給する能力だけによって、制限されているにすぎない。
【0004】
1つの潜在的な再生可能エネルギー源は、波力であり、世界中の海洋や海の全てに存在する豊富且つ安定したエネルギー源である。波力からエネルギーを生成する種々の波装置が提案されてきたが、このような装置は、利用可能な波力源を長期的に確実に活用する解決能力を備えない装置であり、種々の制約を有している。
【0005】
波の動きを有用なエネルギーに変換するのに成功した改良版発電装置が、国際公開2010007418号公報、国際公開2011158006号公報、国際公開2013068748号公報に開示されている。開示された発電装置は、既存の波エネルギー変換器に関連する問題点の多くを解決する水中リアクション体を使用している。
【0006】
しかしながら、国際公開2010007418号公報、国際公開2011158006号公報、国際公開2013068748号公報に開示された波エネルギー変換器は、依然として更なる改良の可能性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開2010007418号公報
【文献】国際公開2011158006号公報
【文献】国際公開2013068748号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に概説されたドライブ組立体が提供される。
【0009】
本発明の第1の形態によれば、波エネルギーをエネルギー変換器へ伝達させるように構成されたドライブ組立体が提供され、ドライブ組立体は、作動長さを有する作動部材と、エネルギー変換器に連結されるように配置されエネルギーを作動部材から前記エネルギー変換器へ伝達するように構成された可動エネルギー伝達部材と、1つまたは2つ以上の作動部材及びエネルギー伝達部材に連結された付勢部材を有するエネルギー貯蔵部材と、を備え、エネルギー貯蔵部材は作動部材またはエネルギー伝達部材を位置移動させるように配置され、作動部材は、エネルギー伝達部材を第1のストロークポジションから第2のストロークポジションへ動かすように配置され、第1のストロークポジション及び第2のストロークポジションが作動ストロークの遠位側端点を規定し、作動ストロークが前記エネルギー変換器を駆動するように構成されているドライブ組立体である。作動部材は可撓性のロープを有していることが好ましい。
【0010】
ドライブ組立体は、好ましくは波力発電装置内で使用され、好ましくは波エネルギーを有用なエネルギーに最適に変換することを助ける。
【0011】
本発明のドライブ組立体は、好ましくは、エネルギー伝達部材及び付勢部材を有するエネルギー貯蔵部材経由で、エネルギー源からエネルギー変換器へとエネルギーを提供するように構成されている。作動部材は、エネルギー伝達部材を第1のストロークポジションから第2のストロークポジションへ動かすことによって、ドライブ組立体を作動させ、第1及び第2のストロークポジションが作動ストロークの遠位側端点を規定し、作動ストロークは前記エネルギー変換器を駆動するために使用される。作動部材によるエネルギー伝達部材の動きは、好ましくは、付勢部材を備えるエネルギー貯蔵部材の動きも引き起こす。第2のストロークポジションに到達すると、エネルギー伝達部材は、付勢部材によって第1のストロークポジションに向かって付勢される。付勢部材による、第2のストロークポジションから第1のストロークポジションへのエネルギー伝達部材の動きは、更なる作動ストロークを構成し、前記エネルギー変換器を更に駆動させるように作用する。この状態での第1のストロークポジションから第2のストロークポジションへのエネルギー伝達部材の往復運動は、前記エネルギー変換器の継続的な駆動を引き起こす。
【0012】
好ましくは、ドライブ組立体が、作動部材に連結されたエネルギー捕捉部材を更に備え、波エネルギーを作動部材へ伝達させることができる。エネルギー捕捉部材を備えた好ましい実施形態では、作動部材の作動長さは、エネルギー捕捉部材とエネルギー伝達部材の間の距離を規定する。エネルギー捕捉部材は、浮体部分を備えることが好ましい。
【0013】
エネルギーが、好ましくはエネルギーを捕捉するように配置されたエネルギー捕捉部材によって作動部材に提供され、エネルギー捕捉部材の動きが、作動部材の動きを引き起こし、その結果、上述のとおりドライブ組立体を駆動させる。
【0014】
最も好ましい実施形態では、本発明のドライブ組立体が、波力を捕捉することに使用され、前述の実施形態で、エネルギー捕捉部材が、波エネルギー捕捉浮体を備えることが好ましい。このような実施形態では、エネルギー捕捉部材が、好ましくは、波の動きによって往復運動で動くことを可能にし、したがって、作動部材を動かすことによって前記エネルギー変換器へのエネルギーの伝達を許容する。
【0015】
ドライブ組立体は、作動部材の作動長さを調節する調節部材を更に有することが好ましい。エネルギー捕捉部材を備える実施形態では、調節部材は、好ましくは、エネルギー伝達部材とエネルギー捕捉部材の間に位置決めされている。調節部材による作動長さの調節は、作動ストロークから独立していることが好ましい。好ましくは、作動部材の作動長さは、作動ストロークの作動と同時に調節部材によって調節することもできる。特定の好ましい実施形態では、ドライブ組立体は、2つまたは3つ以上の作動部材を備え、2つまたは3つ以上の作動部材の作動長さが調節部材によって独立に調節できる。調節部材を備える実施形態では、調節部材が、作動部材の一部分を収容するように配置されたウインチを備えていることが好ましい。
【0016】
調節部材による作動部材の作動長さの調節は、好ましくはエネルギーを捕捉し、前記エネルギー変換器を駆動させるための条件に適するように本発明のドライブ組立体の最適化を可能にする。本発明のドライブ組立体が、浮体部分を有するエネルギー捕捉部材を使用して波エネルギーを捕捉するために使用される実施形態では、作動部材の作動長さが、海の種々の状態に適するように調節部材によって調節できることが好ましい。
【0017】
ドライブ組立体は、好ましくはリアクション部材に取り付けられるように構成され、前記リアクション部材が、ドライブ組立体用のプラットフォームを提供するように構成されている。ドライブ組立体がリアクション部材に取り付けられるように構成された実施形態では、エネルギー貯蔵部材及び前記エネルギー変換器が、前記リアクション部材とエネルギー伝達部材の間に取り付けられていることが好ましい。
【0018】
最も好ましい実施形態では、本発明のドライブ組立体は、ドライブ組立体用のプラットフォームとして機能するリアクション部材に取り付けられ、ドライブ組立体の機能に貢献する追加の機能性をオプションで備えることができる。例えば、特定の実施形態では、リアクション部材は、オプションとして、ドライブ組立体用の浮動型プラットフォームを提供する浮体部分を備えてもよい。ドライブ組立体が波エネルギーを捕捉するために使用される最も好ましい実施形態では、浮動型リアクション部材が、オプションとして、海底から所定の距離のところに係留索を使用して吊るされてもよい。前記リアクション部材上の浮体部分のこのような使用は、波エネルギーを捕捉する目的で使用されたときにドライブ組立体の安定性を提供することもできる。
【0019】
エネルギー貯蔵部材は、ばね、機械的または電気的に付勢されたアクチュエータ、弾性部材、圧縮性部材、磁性部材の中から選択された少なくとも1つを有していることが好ましい。
【0020】
エネルギー貯蔵部材及び/または付勢部材が、第1のストロークポジションへエネルギー伝達部材を付勢するためのばねを有し、それ自体が、前記エネルギー変換器の継続的な駆動を可能にすることが好ましい。特定の実施形態では、エネルギー貯蔵部材及び/または付勢部材が、(例えば、エネルギー捕捉部材を動かす力を引き起こす波がないとき)エネルギー貯蔵部材及び/または付勢部材に浮体が衝突する浮力の角度によって規定される作動ストロークの中立ポジションを規定することが更に好ましい。したがって、作動ストロークは中立ポジションを中心に正または負になることがある。エネルギー貯蔵部材が、エネルギー保存材料または装置を備える他の実施形態があると考えられる。
【0021】
特定の実施形態では、エネルギー伝達部材が、作動部材による作動の結果、軸を中心に回転するように配置された回転部分を備えることが好ましい。特定の実施形態では、エネルギー伝達部材が、作動部材による作動の結果、直交平面に沿った往復運動で動くように配置された可動式プーリーを有することが好ましく、往復運動の範囲が作動ストロークを形成する。
【0022】
エネルギー伝達部材が可動式プーリーを備える実施形態では、作動部材が、直交平面における第1のストロークポジションから第2のストロークポジションへのプーリーの動きを担っている。付勢部材が、第2のストロークポジションに向かってプーリーを付勢することが好ましい。プーリーが、作動部材が周りに伸びるのが好ましい回転部分を有することが最も好ましい。
【0023】
エネルギー伝達部材が、作動部材の一部分を収容するように構成されていることが好ましい。収容された作動部材の長さは、好ましくはエネルギー伝達部材が作動ストロークを通して動くにしたがって変化し、エネルギー捕捉部材が波と共に動くことを可能にしている。このような実施形態では、作動部分が、エネルギー伝達部材の周りまたは内部に伸びるように構成されている。
【0024】
エネルギー伝達部材が可動式プーリーを備え、ドライブ組立体が調節部材を有する実施形態では、調節部材が、収容を提供するエネルギー伝達部材とリアクション部材の間に位置決めされたウインチを有し、このウインチが、作動部材の一部分をウインチに巻きつかせることによって作動部材の貯蔵を終了させ、且つ提供することが好ましい。したがって、ドライブ組立体のエネルギー生成機能は、作動部材の長さの調節の機能と同時にだがこれとは独立して作動することを可能にしている。
【0025】
特定の実施形態では、ドライブ組立体は、好ましくは、作動部材に連結された複数のエネルギー伝達部材を備え、作動部材によるエネルギー伝達部材の動きが、軸を中心とした回転を有する。作動部材に連結された複数のエネルギー伝達部材を備え、作動部材によるエネルギー伝達部材の動きが、軸を中心とした回転を有している実施形態では、複数のエネルギー伝達部材の回転が調節されるように、特定の実施形態では、回転が差動装置を介して調節されているのが好ましい。エネルギー伝達部材の回転が差動装置によって調節される特定の実施形態では、差動装置が、好ましくは、エネルギー伝達部材に連結された第1のサンギアと、エネルギー伝達部材に連結された第2のサンギアと、第1及び第2のサンギアに連結されモータによって駆動またはロックされるように配置されたリングギアとを備える。
【0026】
より好ましい実施形態では、エネルギー伝達部材は、作動部分の一部分用のスプール貯蔵部を提供することのできる2つのドラムの形態をとる。好ましくは、2つのドラムは作動部材によって誘発された追従運動に続き、一方のドラムの他方に対する回転速度を変動させることを許容する差動装置を使用して互いに連結されている。好ましくは、作動部材による少なくとも1つのドラムへの巻きつけまたはドラムからの送り出しは、少なくとも1つのドラムの回転を引き起こし、差動装置の作動を通じた回転は、他方のドラムの回転を引き起こす。好ましくは、差動装置のリングギアは、モータに連結された駆動歯車によって、駆動またはロックされる。好ましくは、駆動歯車の存在は、作動ストロークから独立して作動部材の作動長さの調節を可能にし、したがって、好ましくは、モータ及び駆動歯車が、調節部材として作用する。
【0027】
ある実施形態では、エネルギー伝達部材は、レバーアームを備えている。エネルギー伝達部材がレバーアームの形態をとる実施形態では、エネルギー伝達部材が、ヒンジ接続部でリアクション部材に連結され、枢動点を形成しているのが好ましい。前述の実施形態では、レバー操作が、枢動点を中心としたレバーアームの枢動を引き起こし、それは作動部材によるエネルギー伝達部材の動きによって引き起こされる。このような実施形態の枢動点を中心としたエネルギー伝達部材の枢動は、前記エネルギー変換器を駆動するために使用される。
【0028】
エネルギー伝達部材がレバーアームの形態をとる実施形態では、作動部材の長さの調節を、好ましくは、レバーアーム上の調節部材の位置決めにより提供することができる。より好ましくは、調節部材は、作動部材の末端をなし、作動部材の一部分をウインチに巻き付けることによって作動部材のための収容を提供するレバーアーム上に取り付けられたウインチである。
【0029】
エネルギー伝達部材の動きは、軸を中心とした回転、軸に沿った往復直交運動、枢動点を中心とした枢動、作動部材の動きがもたらす伸びから選択された少なくとも1つを有することが好ましい。
【0030】
エネルギー伝達部材がプーリーを備えている実施形態では、作動部材によるエネルギー伝達部材の動きが、軸に沿った往復直交運動を有することが好ましい。エネルギー伝達部材が1つまたは2つ以上のドラムを有している実施形態では、作動部材によるエネルギー伝達部材の動きが、軸を中心とした回転であることが好ましい。エネルギー伝達部材がレバーアームを有している実施形態では、作動部材によるエネルギー伝達部材の動きが、作動部材の動き及び/または枢動点を中心とした枢動がもたらす伸びを有することが好ましい。
【0031】
前記エネルギー変換器は、回転式発電装置、リニア発電装置、水圧ポンプから選択された少なくとも1つを有することが好ましい。
【0032】
特定の実施形態は単なる例示として、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】波力発電装置に固定された、本発明によるドライブ組立体の第1実施形態の斜視図である。
図2】波力発電装置(図示せず)に固定された、最小作動ストローク長さでの図1のドライブ組立体の平面図である。
図3】波力発電装置(図示せず)に固定された、最大作動ストローク長さでの図1及び図2のドライブ組立体の平面図である。
図4】波力発電装置に固定された、本発明によるドライブ組立体の第2実施形態の斜視図である。
図5】波力発電装置(図示せず)に固定された、図4のドライブ組立体の平面図である。
図6図4及び図5のドライブ組立体のエネルギー伝達部材の拡大図である。
図7】波力発電装置に固定された、本発明によるドライブ組立体の第3実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照すると、波力発電装置内に備えられた本発明によるドライブ組立体が示されている。本発明のドライブ組立体の第1の実施形態を組み入れている波力発電装置は、ドライブ組立体用のプラットフォームを形成するリアクション部材1と、浮体の形態をとるエネルギー捕捉部材2とを備えている。本実施形態では、リアクション部材1は、エネルギー変換器9の形態で機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する手段のためのプラットフォームを更に提供する。可撓性ロープの形態をとる作動部材3は、エネルギー捕捉部材2と可動式プーリーの形態をとるエネルギー伝達部材5との間の距離を規定する。エネルギー伝達部材5は、ばねの形態をとる付勢部材8を有するエネルギー貯蔵部材に連結され、エネルギー変換器9を駆動するように更に配置されている。作動部材3は、エネルギー伝達部材5の上流側にある第1の固定プーリー4と、エネルギー伝達部材の下流側にある第2の固定プーリー6と、ウインチの形態をとる調節部材7と連係している。調節部材7は、作動部材3の作動長さを調節するように配置され、作動長さはエネルギー捕捉部材2とエネルギー伝達部材5の間の距離を規定している。
【0035】
図1に示す実施形態では、リアクション部材1とエネルギー捕捉部材2が、それぞれ正の浮力を有し、水域の表面より下に沈んだ状態で保持されている。別の実施形態(図示せず)では、リアクション部材及びエネルギー捕捉部材は、正の、負の、または中立の浮力を有する構造、あるいはそのどの組合せを有してもよい。
【0036】
図2及び図3は、作動ストロークSの遠位側端点を規定する第1のストロークポジションS1及び第2のストロークポジションS2を有する図1のドライブ組立体の平面図である。エネルギー伝達部材5は、エネルギー捕捉部材2の動きがもたらす作動部材3の動きによって、第1のストロークポジションS1から第2のストロークポジションS2へ移動するように配置されている。第1のストロークポジションS1から第2のストロークポジションS2へのエネルギー伝達部材5の動きは、エネルギー変換器9を駆動するために使用される作動ストロークSを構成する。付勢部材8は、エネルギー伝達部材5を、第2のストロークポジションS2から第1のストロークポジションS1に向かって付勢するように作用し、この往復運動は、エネルギー変換器9を更に駆動するために使用されてもよい。この状態の、軸に沿ったエネルギー伝達部材5の往復直交運動は、エネルギー変換器9を駆動するために使用される。
【0037】
波力発電装置が配置されたにも関わらずエネルギー捕捉部材2に波が作用しないとき、付勢部材8は、エネルギー捕捉部材2からの浮力により部分的に伸び、エネルギー伝達部材5を作動ストロークSの中間またはニュートラルに位置決めする。
【0038】
使用中は、波が水没した波力発電装置を越え、エネルギー捕捉部材2を動かすと、エネルギー捕捉部材2とリアクション部材1の間の距離の変化が、ドライブ組立体の作動ストロークSによって取り上げられる。作動ストロークSは、図2及び図3に詳細に示され、図2の実施形態は、第1のストロークポジションS1にあるエネルギー伝達部材5を示し、図3の実施形態は、第2のストロークポジションS2にあるエネルギー伝達部材5を示している。
【0039】
エネルギーは、付勢部材8を有するエネルギー貯蔵部材によって、(波基底による波に)一時的に保存され、超過したエネルギーは、エネルギー変換器9によってより有用なエネルギーへと変換される。エネルギー変換器9は、水圧ポンプやリニア発電装置が例である、エネルギーを変換し、システムに減衰力を働かせる種々の装置である。これに代えて、本発明によるドライブ組立体は、回転式発電装置を回転させるように構成されていてもよい。
【0040】
エネルギー捕捉部材2とリアクション部材1の間の全体距離は、作動部材を調節部材7に巻きつける、または調節部材7から送り出して作動部材3の作動長さを調整することによって、調節される。作動部材3の各々は、それぞれ独立して調節部材7に巻かれており、したがって作動部材3のそれぞれの作動長さは、水中のエネルギー捕捉部材2の動きによって、独立に変わる。波が荒い海では、エネルギー捕捉部材2の動きは、より頻繁であり、より顕著であると予測される。作動部材3の独自調節能力は、このようなエネルギー捕捉部材2の種々の動きに対応できる。
【0041】
作動ストロークSを提供する機構と作動部材3の各々の作動長さを調節する独自機構の組合せが、エネルギー捕捉部材2とエネルギー伝達部材5の間の距離の変化と、有用なエネルギーを提供する同時エネルギー変換とを可能にする。
【0042】
図4ないし図6に示す本発明の第2実施形態では、作動部材3の作動長さは、エネルギー捕捉部材2と、本形態では、第1のドラム10と差動装置11と第2のドラム12の形態をとるエネルギー伝達部材の間の距離を規定する。図4ないし図6に示す実施形態では、付勢部材8を備えたエネルギー貯蔵部材が、作動部材3の位置移動を引き起こすように配置されている。
【0043】
第1のドラム10は、超過したエネルギーをシステムから取り除き波エネルギーをより有用なエネルギーに変換する回転式電気発電装置の形態をとるエネルギー変換器13に連結されている。第1のドラム10と第2のドラム12の両方は、システムの作動ストロークSを少なくとも収容する作動部材3の収容力を備える。図4の実施形態では、波サイクルを通して、エネルギー捕捉部材2が水中で動き、作動部材3の一部分を、第1及び第2のドラム10、12の各々に巻き付け、且つ第1及び第2のドラム10、12から送り出させる。
【0044】
前述の実施形態のように、図4の実施形態では、ばね付勢部材8を作動ストロークSの中間ポジションまで伸ばすために必要な力は、エネルギー捕捉部材2からの浮力と等しい。したがって、ドライブ組立体は、常に、システム全体の基本力のつり合いに基づいて、この中間ストロークポジションの辺りに、作動ストロークを自動的に集中化させることになる。
【0045】
図4の実施形態では、作動部材の長さの調節は、第1のドラム10及び第2のドラム12の間の異なる回転量を引き起こす、または、許容することで達成される。第2のドラム12のポジションが、システム全体の基本力のつり合いによって、常に中間ストロークポジションに向かう傾向があるため、第1のドラム10と第2のドラム12の間のあらゆる回転差は、最終的に第2のドラム12の回転ポジションへの変化をもたらす。その結果、作動部材3の幾らかが第1のドラム10に巻きつけられ、エネルギー捕捉部材2とリアクション部材1の間の距離が調節される。したがって、第1のドラム10は、(作動ストロークSのみならず)エネルギー捕捉部材2とリアクション部材1の間の距離の所望範囲の調節を提供するのに必要な作動部材3の長さに対応する十分な追加の収容力を備えている。
【0046】
図4の実施形態では、第1のドラム10と第2のドラム12の間の回転速度の差を提供する好ましい方法は、第1のドラム10と第2のドラム12を差動装置11と連結する工程によるものである。したがって、第1のドラム10上の作動部材3の収容と、第1のドラムをばね付勢部材8(第2のドラム12)のドライバーと異なる速度で回転させる機能との組合せが、所望のように作動部材3の長さを変えることができるドライブ組立体の調節部材を提供する。更には、この構成は、作動部材3の長さの調節が、どちらの方向でも、且つ、ドライブ組立体の通常の作動と同時に(即ち、エネルギー生成に介入することなく)実行されることを可能にしている。
【0047】
本発明での使用に適した差動装置11の例を、図6に詳細に示す。図4ないし図6の実施形態の差動装置は、(第1のドラムに連結された)第1のサンギア16aと、(第2のドラムに連結された)第2のサンギア16bと、を備え、各々が第1及び第2の遊星歯車17a、17bにそれぞれ連結されている。図4ないし図6に示す実施形態の差動装置11は、リングギア15と、モータ14によって駆動されるように構成された駆動歯車18と、を更に備える。モータ14は、駆動歯車18の動きによって差動装置11のリングギア15を駆動またはロックさせることができる。通常作動では、モータ14はロックされ、リングギア15は回転することができず、したがって、(第1のドラム10に連結された)第1のサンギア16aと(第2のドラム12に連結された)第2のサンギア16bは、遊星歯車17aと17bの回転によって同じ量だけ、互いに反対方向に回転する。(第1のドラムに連結された)第1のサンギア16aの回転が、(第2のドラムに連結された)第2のサンギア16bを、作動部材が第2のドラム12へ送られる方向に応じて反対方向に回転させ、作動部材の第2のドラム12への巻き取り及び第2のドラム12からの送り出しを生じさせる。差動装置11の作用による第1のドラム10からの作動部材の送り出し、その結果の第2のドラム12への巻き取りは、エネルギー変換器13の駆動に使用される第1のストロークポジションから第2のストロークポジションへのエネルギー伝達手段の動きを引き起こす。付勢部材8は、第2のドラム12からの作動部材3の送り出し及び第1のドラム10からの送り出しを動かすように配置され、したがって、第1のドラム10と差動装置11と第2のドラム12とを備えるエネルギー伝達部材を、第2のストロークポジションから第1のストロークポジションへ付勢するように作用する。本実施形態では、エネルギー伝達部材の動きは、軸を中心とした回転から生じる。
【0048】
モータ14が作動されると、モータ14が駆動歯車18を回転させ、その結果、駆動歯車18がリングギア15を回転させ、第1及び第2のドラム10、12の差動回転を生じさせる。これは、作動部材3の追加部分を第1のドラム10に巻き取るまたは第1のドラム10から送り出す(システムの動きの制約によって)効果を有し、したがって作動部材3の作動長さ、即ちエネルギー捕捉部材2とエネルギー伝達部材の間の距離が調節される。このような方法でモータ14は、示された実施形態の調節部材として作用する。したがって、エネルギー伝達部材の第1のドラム10は、作動ストロークと、エネルギー捕捉部材2と、第1のドラム10と差動装置11と第2のドラム12を備えるエネルギー伝達部材との間の距離を調節する所望の機能との両方を備える作動部材3収容機能を保持しなければならない。
【0049】
第1のドラム10と第2のドラム12の間のモータ駆動式・ロック式差動装置11を提供することは、作動部材3の作動長さを作動ストロークから独立して調節させることができ、エネルギーの生成及びエネルギー捕捉部材2とエネルギー伝達部材5の間の距離の変化を同時に可能にすることを意味する。
【0050】
本発明の理解は、後述により、更に分かりやすくなるだろう。
【0051】
図4ないし図6に示す本発明の第2実施形態では、ロープ3の形態をとる作動部材の作動長さが、浮体2の形態をとるエネルギー捕捉部材と、本形態では、第1のドラム10の形態をとるエネルギー伝達部材との距離を規定し、エネルギー捕捉部材は、本実施形態では、システムから超過したエネルギーを取り除き、波エネルギーをより有用な形態のエネルギーへと変換する回転式電気発電装置13の形態をとるエネルギー変換器に連結された第1のドラムの形態をとっている。
【0052】
第1のドラム10は、第1のドラムを一方向に回転付勢、好ましくはロープ3を短くする方向に第1のドラムを付勢するばね8に、連結されている。図4ないし図6に示す実施形態では、第1のドラム10へのばね8の連結は、少なくとも作動ストロークSに対応することのできる第2のドラム12に巻き取られるドライブ組立体の他のロープによって達成される。ばね8は、例えば回転式レバーのような代替手段によって第1のドラム10に回転的に連結されでもよいことがわかる。
【0053】
第1のドラム10は、本システムの少なくとも作動ストロークSに対応することのできるロープ3の収容力を備えている。したがって、図4のドライブ組立体が使用されているとき、浮体2は、波サイクルを通して、水中で移動し、(ロープを第2のドラム12に巻き取り、且つ第2のドラム12から送り出すことによって)ロープ3の一部分を第1のドラム10に巻き取らせ、且つ第1のドラム10から送り出させると同時に、連結された回転式発電装置13及び連結されたばね8を駆動させる。
【0054】
前述の実施形態と同様に、図4の実施形態では、ばね8を作動ストロークSの中間ポジションまで伸ばすために必要な力は、浮体2からの浮力に等しい。したがって、ドライブ組立体は、常に、システム全体の基本力のつり合いに基づいて、この中間ストロークポジションの辺りに作動ストロークを自動的に集中化させる傾向がある。
【0055】
図4の実施形態では、ロープの長さの調節は、第1のドラム10と第2のドラム12の間の異なる回転量を引き起こすまたは許容することで達成される。第2のドラム12のポジションが、システム全体の基本力のつり合いによって常に中間ストロークポジションに向かう傾向があることから、第1のドラム10と第2のドラム12の間のあらゆる差動回転が、最終的に第2のドラム12の回転ポジションへの変化をもたらす。その結果、作動部材3の幾分かが第1のドラム10に巻きつき、浮体2と第1のドラム10の間の距離が調節される。したがって、第1のドラム10は、(作動ストロークSのみならず)浮体2と第1のドラム10の間の距離の所望の範囲の調節を提供するのに必要なロープ3の長さに対応するための十分な追加の収容力を有する。
【0056】
図4の実施形態では、第1のドラム10と第2のドラム12の間の回転速度の差を提供する好ましい方法は、第1のドラム10と第2のドラム12を差動装置11と連結する工程によるものである。したがって、第1のドラム10上のロープ3の収容と、第1のドラムをばね8(第2のドラム12)のドライバーと異なる速度で回転させる機能との組合せが、所望のようにロープ3の長さを変えることができるドライブ組立体の調節手段を提供する。更には、この構成は、ロープ3の長さの調節が、どちらの方向でも、且つドライブ組立体の通常の作動と同時に(即ち、エネルギー生成に介入することなく)実行されることを可能にしている。
【0057】
本発明での使用に適した差動装置11の例を、図6に詳細に示す。図4ないし図6の実施形態の差動装置は、(第1のドラムに連結された)第1のサンギア16aと、(第2のドラムに連結された)第2のサンギア16bと、を備え、各々が第1と第2の遊星歯車17a、17bとそれぞれ連結されている。差動装置11は、リングギア15と、モータ14によって駆動するように構成された駆動歯車18と、を更に備える。モータ14は、駆動歯車18の動きによって差動装置11のリングギア15を駆動またはロックさせることができる。通常作動では、モータ14がロックされ、リングギア15は回転することができず、したがって、(第1のドラム10に連結された)第1のサンギア16aと(第2のドラム12に連結された)第2のサンギア16bは、遊星歯車17a、17bの回転によって同じ量だけ、互いに反対方向に回転する。(第1のドラムに連結された)第1のサンギア16aの回転が、(第2のドラムに連結された)第2のサンギア16bを反対方向に回転させ、ロープが第2のドラム12に送られる方向に応じて、ロープが第2のドラム12に巻き取りまたは第2のドラム12からの送り出しを生じさせる。モータ14が作動されると、モータ14が駆動歯車18を回転させ、その結果、駆動歯車18がリングギア15を回転させ、第1及び第2のドラム10、12の差動回転を生じさせる。
【0058】
図7は、本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態では、エネルギー伝達部材がレバーアーム20を備え、作動部材3が、エネルギー捕捉部材2と調節部材19を介するエネルギー伝達部材の間の距離を規定し、調節部材19は、エネルギー伝達部材のレバーアーム20に配置されたウインチの形態をとっている。エネルギー伝達部材のレバーアーム20は、一端が、ヒンジ接続部21でリアクション部材1に連結されている。
【0059】
レバーアーム20の端部では、ヒンジ接続部の遠位側且つ作動部材3の近位側に、図示の実施形態では、リアクション部材1に固定された付勢部材8を備えるエネルギー貯蔵部材が位置決めされている。付勢部材8と同じ側のレバーアーム20の端部には、超過したエネルギーを捕捉し、より有用な形態のエネルギーへ変換することを可能にするエネルギー変換器9が連結されている(エネルギー変換器9は、前述のように、エネルギー変換器の多様な形態をとることができる)。
【0060】
波によって引き起こされるエネルギー捕捉部材2の動きに対応する作動ストロークは、レバーアーム20のヒンジ接続部によって提供される。エネルギー捕捉部材2とエネルギー伝達部材5の間の距離は、それぞれの調節部材19によって独立且つ同時に調節することができる。
【0061】
上述の実施形態が単なる例示として提供され、種々の変形が、添付の特許請求の範囲で説明される本発明の範囲から外れることなく、なされる場合があることは認められるだろう。例えば、上述の実施形態は、特に波エネルギーに関するものであるが、実施形態は、風力あるいは堰やダムと組み合わせることもできる水力発電力を動力化して、変換するために使用される実施形態も可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7