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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】クッションパッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/14 20060101AFI20231018BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20231018BHJP
   A47C 7/18 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A47C27/14 B
B60N2/90
A47C7/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020549165
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 JP2019037119
(87)【国際公開番号】W WO2020059882
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2018177925
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】522345803
【氏名又は名称】株式会社アーケム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】米澤 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 佳之
(72)【発明者】
【氏名】板橋 大一
(72)【発明者】
【氏名】山口 由紀子
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-016312(JP,A)
【文献】特開2008-302085(JP,A)
【文献】特開2011-147542(JP,A)
【文献】特開2009-112582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00-27/22,7/18-7/20
B60N 2/00-2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者を支持するための着座部を有する、クッションパッドにおいて、
前記着座部は、第1樹脂発泡体から形成された着座本体部を有し、
前記着座本体部は、
水平投影面において、着座者の一対の坐骨と重複する位置に配置された、無底又は有底の第1穴と、
水平投影面において、前記第1穴の面積よりも小さな面積を有する、3つ以上の無底又は有底の第2穴と、
を有し、
水平投影面において、前記第1穴の中心点が、前記3つ以上の第2穴のうちのいずれか3つのそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形の上又は内部にあり、
前記着座部は、
前記第1穴の内部が空隙であるか、又は、
前記第1穴の内部に、前記第1樹脂発泡体よりも軟らかい第2樹脂発泡体から形成された軟材質部が配置されており、
前記第1穴は、無底であり、前記着座部の裏面における面積が、前記着座部の上面における面積よりも、大きい、クッションパッド。
【請求項2】
着座者を支持するための着座部を有する、クッションパッドにおいて、
前記着座部は、第1樹脂発泡体から形成された着座本体部を有し、
前記着座本体部は、
水平投影面において、着座者の一対の坐骨と重複する位置に配置された、無底又は有底の第1穴と、
水平投影面において、前記第1穴の面積よりも小さな面積を有する、3つ以上の無底又は有底の第2穴と、
を有し、
水平投影面において、前記第1穴の中心点が、前記3つ以上の第2穴のうちのいずれか3つのそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形の上又は内部にあり、
前記着座部は、
前記第1穴の内部が空隙であるか、又は、
前記第1穴の内部に、前記第1樹脂発泡体よりも軟らかい第2樹脂発泡体から形成された軟材質部が配置されており、
前記第1穴は、無底であるとともに水平投影面において略U字型に延在する部分を含む、クッションパッド。
【請求項3】
着座者を支持するための着座部を有する、クッションパッドにおいて、
前記着座部は、第1樹脂発泡体から形成された着座本体部を有し、
前記着座本体部は、
水平投影面において、着座者の一対の坐骨と重複する位置に配置された、無底又は有底の第1穴と、
水平投影面において、前記第1穴の面積よりも小さな面積を有する、3つ以上の無底の第2穴と、
を有し、
水平投影面において、前記第1穴の中心点が、前記3つ以上の第2穴のうちのいずれか3つのそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形の上又は内部にあり、
前記着座部は、
前記第1穴の内部が空隙であるか、又は、
前記第1穴の内部に、前記第1樹脂発泡体よりも軟らかい第2樹脂発泡体から形成された軟材質部が配置されており、
水平投影面において、前記3つ以上の第2穴が、前記第1穴の外縁の外側を囲む幅80mmの環状領域内に配置されており、
前記着座本体部は、水平投影面において、前記環状領域よりも前側に配置された、無底又は有底の第3穴と、前記環状領域よりも左右両側又は後側に配置された第4穴と、をさらに有しており、
水平投影面において、前記環状領域の全体面積に対する、前記第2穴の総面積の比率が、前記着座部のうち、前記環状領域よりも外側の領域の全体面積に対する、前記第3穴及び前記第4穴の総面積の比率よりも、高い、クッションパッド。
【請求項4】
水平投影面において、前記3つ以上の第2穴が、前記第1穴の外縁の外側を囲む幅80mmの環状領域内に配置されている、請求項1又は2に記載のクッションパッド。
【請求項5】
前記第1穴は、有底であり、前記着座本体部の裏面に開口している、請求項1~4のいずれか一項に記載のクッションパッド。
【請求項6】
前記クッションパッドは、上下方向の厚みの最大値が、70mm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のクッションパッド。
【請求項7】
前記着座本体部は、左右方向に互いから離間された2つの前記第1穴を有しており、
水平投影面において、前記第1穴の直径が、30~100mmである、請求項1~のいずれか一項に記載のクッションパッド。
【請求項8】
水平投影面において、前記第1穴は、左右方向の寸法よりも、前後方向の寸法のほうが長い、請求項1~のいずれか一項に記載のクッションパッド。
【請求項9】
水平投影面において、前記第2穴の直径が、5~35mmである、請求項1~8のいずれか一項に記載のクッションパッド。
【請求項10】
前記着座本体部は、水平投影面において、前記環状領域よりも前側に配置された、無底又は有底の第3穴を、さらに有している、請求項に記載のクッションパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートパッドに用いられるのに好適な、クッションパッドに関する。
本願は、2018年9月21日に、日本に出願された特願2018-177925号に基づく優先権を主張するものであり、その内容の全文をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来のクッションパッドとして、着座者を支持するための着座部に、着座者の一対の坐骨に対応する位置に有底の凹部又は貫通孔を設けたものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2002-45259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のクッションパッドにおいては、座り心地に関し、さらなる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、座り心地を向上できる、クッションパッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクッションパッドは、
着座者を支持するための着座部を有する、クッションパッドにおいて、
前記着座部は、第1樹脂発泡体から形成された着座本体部を有し、
前記着座本体部は、
水平投影面において、着座者の一対の坐骨と重複する位置に配置された、無底又は有底の第1穴と、
水平投影面において、前記第1穴の面積よりも小さな面積を有する、3つ以上の無底又は有底の第2穴と、
を有し、
水平投影面において、前記第1穴の中心点が、前記3つ以上の第2穴のうちのいずれか3つのそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形の上又は内部にあり、
前記着座部は、
前記第1穴の内部が空隙であるか、又は、
前記第1穴の内部に、前記第1樹脂発泡体よりも軟らかい第2樹脂発泡体から形成された軟材質部が配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、座り心地を向上できる、クッションパッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るクッションパッドを備えた、車両用シートを示す、斜視図である。
図2図1のクッションパッドを上側から観たときの様子を示す、平面図である。
図3図3(a)は、図2のクッションパッドの裏面の一部を示す斜視図であり、図3(b)は、図2のクッションパッドの一部を、図2のA-A線に沿う断面により示す、A-A断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るクッションパッドを上側から観たときの様子を示す、平面図である。
図5図4のクッションパッドの一部を、図4のB-B線に沿う断面により示す、B-B断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るクッションパッドを上側から観たときの様子を示す、平面図である。
図7図7(a)は、図6のクッションパッドの裏面の一部を示す斜視図であり、図7(b)は、図6のクッションパッドの一部を、図6のC-C線に沿う断面により示す、C-C断面図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るクッションパッドを上側から観たときの様子を示す、平面図である。
図9図9(a)は、図8のクッションパッドの裏面の一部を示す斜視図であり、図9(b)は、図8のクッションパッドの一部を、図8のD-D線に沿う断面により示す、D-D断面図である。
図10】本発明の第5実施形態に係るクッションパッドを上側から観たときの様子を示す、平面図である。
図11図11(a)は、図10のクッションパッドの裏面の一部を示す斜視図であり、図11(b)は、図10のクッションパッドの一部を、図10のE-E線に沿う断面により示す、E-E断面図である。
図12】本発明の第6実施形態に係るクッションパッドを上側から観たときの様子を示す、平面図である。
図13】本発明の第7実施形態に係るクッションパッドの一部を示す、断面図である。
図14】本発明の第8実施形態に係るクッションパッドの一部を示す、断面図である。
図15】本発明の第9実施形態に係るクッションパッドを上側から観たときの様子を示す、平面図である。
図16】本発明の実施例1、比較例1に係るクッションパッドの試験結果を示す図面である。
図17】本発明の実施例1、比較例2に係るクッションパッドの試験結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のクッションパッドは、車両用シートパッドに好適に利用できるものである。また、本発明のクッションパッドは、任意の種類の車両に利用できる。
以下、本発明に係るクッションパッドの実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。以下では、車両用シートパッドを、単に「シートパッド」ともいう。
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態に係るクッションパッド1aを備えた、車両用シート100を示している。車両用シート100は、シートパッド1を備えている。図1に破線で示すように、シートパッド1は、着座者が着座するための本実施形態のクッションパッド1aと、着座者の背中を支持するためのバックパッド1bと、を備えている。車両用シート100は、シートパッド1に加え、例えば、シートパッド1の表側(着座者側)を覆う表皮101と、クッションパッド1aを下から支持するフレーム(図示せず)と、バックパッド1bの裏側に設置されるフレーム(図示せず)と、バックパッド1bの上側に設置され、着座者の頭部を支持するためのヘッドレスト102と、を備える。表皮101は、例えば、通気性のよい材料(布等)から構成される。クッションパッド1aとバックパッド1bとは、それぞれ樹脂発泡体から形成されている。クッションパッド1aとバックパッド1bとを構成する樹脂発泡体(後述する第1樹脂発泡体、第2樹脂発泡体を含む。)は、軟質樹脂発泡体が好ましく、軟質ポリウレタンフォームがより好ましい。クッションパッド1aとバックパッド1bとは、互いに別体に構成されることができる。
本明細書では、各図面に表記するとおり、クッションパッド1aに着座した着座者から観たときの「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の各方向を、それぞれ単に「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などという。
以下では、シートパッド1のうち、バックパッド1bではなくクッションパッド1aについて説明する。
【0011】
図2は、図1のシートパッド1のクッションパッド1aを上側から観たときの様子を示す平面図であり、言い換えれば、クッションパッド1aを水平投影面に投影させた様子を示す水平投影図でもある。図1及び図2に示すように、クッションパッド1aは、着座者を下から支持するように構成された着座部(「メインパッド部」とも呼ばれる。)10と、着座部10の左右両側に位置し、着座部10よりも上側へ盛り上がり、着座者を左右両側から支持するように構成された、一対のサイドパッド部20と、着座部10よりも後側に位置し、バックパッド1bと上下方向に対向配置するように構成された、バックパッド対向部30と、を有している。
着座部10は、着座者の大腿部を下から支持するように構成された、腿下部11と、腿下部11に対し後側に位置し、着座者の尻部を下から支持するように構成された尻下部12と、からなる。
図2の例において、クッションパッド1aの上面(表面)USには、着座部10とサイドパッド部20との間において略前後方向に延びる溝40aと、着座部10とバックパッド対向部30との間において略左右方向に延びる溝40bと、着座部10の内部において略左右方向に延びる溝40cとが、それぞれ設けられている。これらの溝40a、40b、40cの内部には、例えば、表皮101(図1)をクッションパッド1aに取り付けるための取付具(図示せず)が配置される。図2の例では、水平投影面において、着座部10とサイドパッド部20との境界線が、両者間の溝40aの溝幅中心線であり、また、着座部10とバックパッド対向部30との境界線が、両者間の溝40bの溝幅中心線である。
ただし、溝40a、40bは、着座部10とサイドパッド部20との境界線や、着座部10とバックパッド対向部30との境界線とは、異なる位置にあってもよい。ただし、クッションパッド1aの上面USには、溝40a~40cが設けられていなくてもよい。
【0012】
本実施形態において、着座部10は、第1樹脂発泡体から形成された着座本体部10Mのみからなる。
なお、着座本体部10Mは、後に第7実施形態(図13)、第8実施形態(図14)において説明する第2樹脂発泡体から形成された軟材質部10Sに対して区別されるものである。ただし、着座本体部10Mを構成する第1樹脂発泡体は、組成や発泡率が均一である場合に限られず、着座本体部10Mの部分に依って組成や発泡率が異なっていてもよい。
【0013】
本例において、クッションパッド1aは、従来一般的なクッションパッドに比べ、薄肉化されている。具体的に、クッションパッド1aは、上下方向の厚みT(図3(b))の最大値(上下方向の厚みが最大値となるところの厚みT)が、60mm以下である。
これにより、軽量化が可能である。クッションパッド1aの軽量化は、車両の燃費の向上、ひいては、省エネに繋がる。
軽量化の観点から、クッションパッド1aは、上下方向の厚みTの最大値が、55mm以下であると、好適である。
一方、座り心地を確保する観点から、クッションパッド1aは、上下方向の厚みTの最大値が、40mm以上であると好適であり、45mm以上であるとより好適である。
ただし、クッションパッド1aは、薄肉化されていなくてもよく、上下方向の厚みTの最大値が、60mm超であってもよい。
【0014】
図3(a)は、図2のクッションパッド1aの裏面BSの一部を示す斜視図であり、図3(b)は、図2のクッションパッドの一部を、図2のA-A線に沿う断面により示す、A-A断面図である。図2及び図3に示すように、着座本体部10Mは、複数の無底又は有底の穴50を有している。
穴50に関し、「無底」とは、穴50が貫通孔であることを指しており、すなわち、穴50が着座本体部10Mを貫通していることを指している。また、穴50に関し、「有底」とは、穴50が窪みであることを指しており、すなわち、穴50の一端が、着座本体部10Mのいずれかの面に開口するとともに、穴50の他端(底部)が、着座本体部10Mのいずれの面にも開口しておらず、着座本体部10Mの内部で終端していることを指す。
着座本体部10Mは、複数の穴50を有しているので、仮に穴50を有していない場合に比べて、クッションパッド1aの軽量化、通気性の向上、蓄熱性の低減などが可能である。クッションパッド1aの軽量化は、車両の燃費の向上、ひいては、省エネに繋がる。クッションパッド1aの通気性の向上や蓄熱性の低減は、車両内のエアコンの効き具合の向上、ひいては、省エネに繋がる。
【0015】
図2及び図3に示す例において、着座本体部10Mに設けられた複数の穴50は、1つ又は2つ(図の例では2つ)の無底又は有底(図の例では有底)の第1穴51と、3つ以上の無底又は有底(図の例では無底)の第2穴52と、1つ又は複数(図の例では複数)の無底又は有底(図の例では無底)の第3穴53と、1つ又は複数(図の例では複数)の無底又は有底(図の例では無底)の第4穴54と、からなる。ただし、着座本体部10Mは、少なくとも第1穴51及び第2穴52を有していればよく、第3穴53や第4穴54を有していなくてもよい。
【0016】
水平投影面において、2つの第1穴51は、着座部10の尻下部12において、左右方向に互いから離間されており、また、着座部10の左右方向中心を通る仮想線(以下、「左右方向中心線」という。)Cの両側に位置している。より具体的に、水平投影面において、2つの第1穴51は、着座部10に着座者が着座した際に、着座者の一対の坐骨と重複する位置に、それぞれ配置されている。
本明細書において、水平投影面における「着座者の一対の坐骨」の位置は、クッションパッド1aの着座本体部10Mに設けられた複数の穴50の全てを第1樹脂発泡体で埋めてなるクッションパッドに、JIS D 4607に規定される3Dマネキン(自動車室内寸法測定用三次元座位人体模型(3DM-JM 50))を着座させた際、水平投影面において、当該クッションパッドにかけられる座圧の最も高い部分の位置であるものとする。
図3に示すように、本例において、各第1穴51は、着座本体部10Mの裏面BSに開口した、有底の窪みである。第1穴51の内部は、空隙であり、何も設けられていない。図2に示すように、本例において、各第1穴51の外縁51eは、水平投影面において、円形である。図3に示すように、各第1穴51は、鉛直方向(上下方向)の断面において、上側に凸に湾曲した形状をなしている。各第1穴51は、着座本体部10Mの裏面BSから上面USに向かうにつれて、徐々に面積及び直径が小さくなる。
ただし、第1穴51は、鉛直方向の断面において、任意の形状をなしていてよく、例えば、上側に凸の略三角形状又は略台形をなして、着座本体部10Mの裏面BSから上面USに向かうにつれて、徐々に面積及び直径が小さくなるようにされてもよい。あるいは、第1穴51は、鉛直方向の断面において、略四角形をなしていてもよく、ひいては、上下方向に沿って面積及び直径が均一(一定)でもよい。
【0017】
図2に示すように、水平投影面において、各第1穴51の中心点O51は、それぞれ、着座部10に設けられた3つ以上の第2穴52のうちの少なくともいずれか3つの第2穴52によって囲まれている。より具体的に、水平投影面において、各第1穴51の中心点O51は、それぞれ、着座部10に設けられた3つ以上の第2穴52のうちのいずれか3つの第2穴52のそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形TRの上(三角形TRの境界線上)又は内部(三角形TRの境界線より内側)にある。図2の例では、各第1穴51が、それぞれ、複数の三角形TR上又は内部にあるが、図2では、便宜のため、1つの三角形TRのみを示している。
なお、本明細書において、穴50(第1穴51、第2穴52、第3穴53、第4穴54)の「中心点」は、水平投影面において穴50が非円形の形状をなす場合、水平投影面における穴50の外接円の中心点を指すものとする。
【0018】
図2に示すように、水平投影面において、各第1穴51の外縁51eの外側を囲む幅Wの各環状領域AR内には、3つ以上の第2穴52が、それぞれ配置されている。本明細書において、第2穴52は、着座本体部10Mに設けられた複数の穴50のうち、環状領域AR内に位置する穴50であるものとする。環状領域ARの外縁51e上に位置する穴50も、第2穴52であるものとする。環状領域ARは、第1穴51の外縁51eと、第1穴51の外縁51eから外側へ幅Wだけ離れた仮想環状線(環状領域ARの外縁)AReとの間の、環状の領域である。1つの第1穴51につき、1つの環状領域ARがある。図2の例では、2つの環状領域ARがある。環状領域ARの幅Wは、第1穴51の外縁51eに対する垂線に沿って測るものとする。環状領域ARの幅Wは、環状領域ARの全体にわたって均一である。
環状領域AR(第1環状領域)の幅Wは、80mmである。
なお、3つ以上の第2穴52は、第1穴51の近くに配置されると好適である。この観点から、第1穴51の外縁51eの外側を囲む幅60mmの環状領域(第2環状領域、図示せず)内に、3つ以上の第2穴52が、配置されていると好適であり、第1穴51の外縁51eの外側を囲む幅40mmの環状領域(第3環状領域、図示せず)内に、3つ以上の第2穴52が、配置されていると、より好適である。
【0019】
図3に示すように、本例において、各第2穴52は、着座本体部10Mを上下方向に貫通する貫通孔である。図2に示すように、本例において、各第2穴52は、水平投影面において、円形である。図3に示すように、各第2穴52は、鉛直方向の断面において、上下方向に平行に直線状に延在している。各第2穴52は、上下方向に沿って、面積及び直径が均一(一定)である。
【0020】
図2の例では、水平投影面において、各第2穴52は、それぞれ、第1穴51の面積よりも小さな面積を有している。
ここで、水平投影面における、穴50(第1穴51、第2穴52、第3穴53、第4穴54)の「面積」とは、特に断りが無い限り、特定の上下方向位置(上面US、裏面BS等)における穴50の面積ではなく、水平投影面を観たときに、穴50が占める領域の面積である。例えば、図2の例において、水平投影面における第1穴51の面積は、着座本体部10Mの裏面BSにおける第1穴51の面積に相当する。
【0021】
同様に、図2の例では、水平投影面において、各第2穴52は、それぞれ、第1穴51の直径よりも小さな直径を有している。
ここで、水平投影面における、穴50(第1穴51、第2穴52、第3穴53、第4穴54)の「直径」とは、特に断りが無い限り、特定の上下方向位置(上面US、裏面BS等)における穴50の直径ではなく、水平投影面を観たときに、穴50が占める領域の直径である。例えば、図2の例において、水平投影面における第1穴51の直径は、着座本体部10Mの裏面BSにおける第1穴51の直径に相当する。
【0022】
着座本体部10Mに設けられた複数の穴50のうち、水平投影面において、環状領域ARよりも前側に配置された穴50は、第3穴53である。
着座本体部10Mに設けられた複数の穴50のうち、水平投影面において、環状領域ARよりも左右両側又は後側に配置された穴50は、第4穴54である。
図2の例において、第3穴53、第4穴54は、第2穴52と同様の構成を有している。すなわち、各第3穴53、各第4穴54は、着座本体部10Mを上下方向に貫通する貫通孔である。図2に示すように、本例において、各第3穴53、各第4穴54は、水平投影面において、円形である。図示は省略するが、各第3穴53、各第4穴54は、鉛直方向の断面において、上下方向に平行に直線状に延在している。各第3穴53、各第4穴54は、上下方向に沿って、面積及び直径が均一(一定)である。
なお、第2穴52、第3穴53、第4穴54は、水平投影面における面積、直径、形状等が、それぞれ異なっていてもよい。
【0023】
穴50(第1穴51、第2穴52、第3穴53、第4穴54)の水平投影面における形状は、それぞれ、図2の例では円形(正円)であるが、それ以外にも、例えば、楕円形や、三角形、四角形、ひし形、台形等の多角形状等、任意の形状でよい。
水平投影面において各第2穴52のそれぞれの面積が第1穴51の面積よりも小さくされている限り、第2穴52の配置パターン、個数、水平投影面における直径、面積、形状等は、任意でよい。また、第3穴53、第4穴54の配置パターン、個数、水平投影面における直径、面積、形状等は、任意でよい。座り心地向上の観点からは、水平投影面における第3穴53、第4穴54の面積及び直径は、第1穴51の面積及び直径よりも小さくされていると、好適である。また、座り心地を向上させる観点から、穴50の配置パターンは、着座部10の左右方向中心線Cに対し、対称であると、好適である。
なお、本明細書において、穴50(第1穴51、第2穴52、第3穴53、第4穴54)の「直径」は、水平投影面において穴50が非円形の形状をなす場合、水平投影面における穴50の外接円の直径を指すものとする。
【0024】
着座本体部10Mに穴50を形成する手法としては、例えば、クッションパッド1aを発泡成形するための金型における、クッションパッド1aの裏面BSを成形するための上型と、クッションパッド1aの上面USを成形するための下型とのうち、少なくともいずれか一方の成形面に、突起を設けておき、上型及び下型が合わせられた状態で、突起の表面によって穴50が成形されるようにする手法が、好適である。
ただし、これとは異なる手法によって、穴50を形成してもよい。
【0025】
つぎに、第1実施形態の作用効果について説明する。
一般的に、穴が設けられていないクッションパッドの上に着座者が着座した際の座圧分布においては、着座者の坐骨及びその周辺では、他の部分に比べ、座圧が高くなり、特に、坐骨の位置では、座圧が最も高くなる。
本実施形態では、水平投影面において着座者の一対の坐骨と重複する位置に、第1穴51が配置されているので、仮に第1穴51が無い場合(第1穴51が第1樹脂発泡体で埋められた場合)に比べて、着座者が着座した際に、もともと最も座圧が高くなりやすい一対の坐骨直下において、座圧を大きく低減させることができる。これにより、座り心地を向上できる。
また、例えば特許文献1のように、仮に、第1穴51が設けられているものの、第2穴52が無い場合(第2穴52が第1樹脂発泡体で埋められた場合)、着座した際に、第1穴51の外縁51e近傍の上面US側に、大きなテンションが掛かり、着座者の坐骨の周辺の座圧が高くなる結果、着座者が、坐骨周辺において、つっぱり感を感じやすくなる。
これに対し、本実施形態においては、水平投影面において、第1穴51が少なくともいずれか3つの第2穴52によって囲まれており、具体的には、第1穴51の中心点O51が、少なくともいずれか3つの第2穴52のそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形TRの上又は内部にあるので、着座者の一対の坐骨の周辺に掛かる荷重が分散され、坐骨周辺の座圧、ひいては、つっぱり感を、低減でき、座り心地をさらに向上できる。また、第2穴52が設けられることにより、第2穴52が無い場合に比べて、クッションパッド1aの空隙率を向上できるので、軽量化、通気性の向上、蓄熱性の低減なども可能である。クッションパッド1aの軽量化は、車両の燃費の向上、ひいては、省エネに繋がる。クッションパッド1aの通気性の向上や蓄熱性の低減は、車両内のエアコンの効き具合の向上、ひいては、省エネに繋がる。
なお、本実施形態では、上述のように、クッションパッド1aが薄肉化されているため、仮にクッションパッド1aに穴50が設けられていない場合は、薄肉化されていない従来一般的なクッションパッドに比べ、着座者は、着座した際に、自身の坐骨及びその周辺における座圧が、特に高くなり易く、底付き感を特に感じやすくなる。したがって、本実施形態のようにクッションパッド1aが薄肉化されている場合、上述した第1穴51及び第2穴52により発揮される座圧低減作用によって、底付き感を低減でき、座り心地を向上できるので、第1穴51及び第2穴52が、特に有利となる。
また、各第2穴52は、それぞれ、第1穴51の面積よりも小さな面積を有するので、仮に第1穴51の面積以上の面積を有する場合に比べて、着座部10の尻下部12が過度に柔らかくなって着座者の尻部が沈み込むのを防ぎ、着座者の尻部をしっかりと支えられるようにすることができる。よって、座り心地を向上できる。また、水平投影面において、第1穴51の中心点O51が、少なくともいずれか3つの第2穴52のそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形TRの上又は内部にあるので、仮に、第1穴51の中心点O51が、3つの第2穴52のそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形TRのそれぞれの外部にある場合に比べて、着座者の坐骨周辺の座圧を、より偏り無く均等に低減させることができる。
【0026】
また、図2の例では、第1穴51の周辺の環状領域AR内に3つ以上の第2穴52が配置されているので、仮に環状領域AR内に第2穴52が2つ以下のみ設けられている場合に比べて、着座者の一対の坐骨の周辺に掛かる荷重が分散され、坐骨周辺の座圧、ひいては、つっぱり感を、低減でき、座り心地をさらに向上できる。
同様の観点から、図2の例のように、第1穴51の周辺の環状領域(第1環状領域)AR内にある3つ以上の第2穴52のうち、少なくともいずれか3つの第2穴52のそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形TRの上又は内部に、第1穴51の中心点O51があると、好適である。また、第1穴51の周辺の第2環状領域内にある3つ以上の第2穴52のうち、少なくともいずれか3つの第2穴52のそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形TRの上又は内部に、第1穴51の中心点O51があると、より好適である。また、第1穴51の周辺の第3環状領域内にある3つ以上の第2穴52のうち、少なくともいずれか3つの第2穴52のそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形TRの上又は内部に、第1穴51の中心点O51があると、さらに好適である
【0027】
図2の例では、上述のように、第1穴51は、有底の窪みであり、着座本体部10Mの裏面BSに開口している。すなわち、第1穴51は、着座本体部10Mの上面USには開口しておらず、第1穴51の底部が、着座本体部10Mの上面USと裏面BSとの間に位置している。また、第1穴51の内部は、空隙である。この場合でも、仮に、第1穴51を有底としつつ着座本体部10Mの上面USに開口させた場合や、第1穴51を無底とし、着座本体部10Mを上下方向に貫通させた場合と同様に、第1穴51によって、着座者の坐骨直下における座圧を低減させることができる。
また、この場合、仮に、第1穴51を有底としつつ着座本体部10Mの上面USに開口させた場合や、第1穴51を無底とし、着座本体部10Mを上下方向に貫通させた場合に比べて、着座者は、着座した際に、第1穴51があることによる違和感を感じ難くなる。よって、座り心地を向上できる。
ただし、第1穴51は、有底としつつ着座本体部10Mの上面USに開口させてもよいし、あるいは、無底とし、着座本体部10Mを上下方向に貫通させてもよい。
【0028】
図2の例において、着座本体部10Mは、水平投影面において、環状領域ARよりも前側に配置された、第3穴53と、環状領域ARよりも左右両側又は後側に配置された、第4穴54とを、さらに有しているので、仮に第3穴53や第4穴54が無い場合に比べて、穴50を着座本体部10Mの全体にわたって、より均一に配置することができ、それにより、着座部10のうち、環状領域ARの外側の部分の硬さと、着座部10のうち、環状領域ARの内側の部分の硬さとの、バランスを向上でき、座り心地をより向上できる。
より具体的に、第3穴53があることにより、着座部10の腿下部11を柔らかくすることができ、着座者の一対の腿の直下における座圧を低減でき、座り心地を向上できる。
また、第4穴54があることにより、着座部10の尻下部12の外縁側部分を軟らかくすることができ、着座者の尻部の外縁側部分の直下における座圧を低減でき、座り心地を向上できる。
【0029】
上述のように、第2穴52、第3穴53、第4穴54は、図2の例において、無底であり、すなわち、着座本体部10Mを上下方向に貫通する貫通孔である。これにより、仮に第2穴52、第3穴53、第4穴54を有底とした場合に比べて、座圧の低減ひいては座り心地の向上が可能であり、また、軽量化、通気性向上、蓄熱性の低減などが可能である。ただし、第2穴52、第3穴53、第4穴54は、有底であってもよく、その場合、着座本体部10Mの裏面BSに開口してもよいし、あるいは、着座本体部10Mの上面USに開口してもよい。
【0030】
以下では、本発明の第2実施形態~第9実施形態について、説明する。第2実施形態~第9実施形態は、主に、第1穴51の形状が、第1実施形態とは異なる。その他の構成(第2穴52、第3穴53、第4穴54等)は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。第2実施形態~第9実施形態も、第1実施形態と同様に、水平投影面において、第1穴51の中心点O51が、少なくともいずれか3つの第2穴52のそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形TRの上又は内部にある。また、第1穴51の周辺の環状領域AR内に3つ以上の第2穴52が配置されている。そして、第1穴51の周辺の環状領域(第1環状領域)AR内にある3つ以上の第2穴52のうち、少なくともいずれか3つの第2穴52のそれぞれの中心点どうしを結んでなる三角形TRの上又は内部に、第1穴51の中心点O51がある。
【0031】
図4及び図5に示す第2実施形態においては、第1穴51が、無底であり、着座本体部10Mを上下方向に貫通する貫通孔である。
第2実施形態によれば、例えば図2及び図3に示す第1実施形態のように第1穴51を有底とした場合に比べて、着座者の坐骨直下の座圧を低減できるとともに、空隙率が高くなるので、軽量化、通気性の向上、蓄熱性の低減などが可能である。
なお、第2実施形態において、各第1穴51の水平投影面における形状は、それぞれ、図4及び図5の例では円形(正円)であるが、それ以外にも、例えば、楕円形や、三角形、四角形、ひし形、台形等の多角形状等、任意の形状でよい。
また、図5の例では、鉛直方向の段面における第1穴51の壁面は、鉛直方向に平行である。そのため、第1穴51は、上下方向に沿って、面積及び直径が一定である。ただし、鉛直方向の段面における第1穴51の壁面は、例えば、鉛直方向に対して傾斜していてもよいし、あるいは、湾曲していてもよい。その場合、第1穴51は、着座本体部10Mの裏面BSから上面USに向かうにつれて、徐々に面積及び直径が小さくなるようにされてもよいし、あるいは、徐々に面積及び直径が大きくなるようにされてもよい。
なお、図示は省略するが、水平投影面において、第1穴51は、着座部10の裏面BSにおける面積が、着座部10の上面USにおける面積よりも、大きいようにすると、好適である。これにより、仮に、第1穴51の着座部10の裏面BSにおける面積を、着座部10の上面USにおける面積以上とした場合に比べて、第1穴51によって、坐骨直下での座圧を低減し座り心地を向上しつつ、第1穴51があることにより着座者が感じ得る違和感を低減できる。
ここで、水平投影面における、穴50(第1穴51、第2穴52、第3穴53、第4穴54)の「着座部10(又は着座本体部10M)の裏面BSにおける面積」は、水平投影面における、穴50の着座部10(又は着座本体部10M)の裏面BSへの開口の面積である。同様に、水平投影面における、穴50(第1穴51、第2穴52、第3穴53、第4穴54)の「着座部10(又は着座本体部10M)の上面USにおける面積」は、水平投影面における、穴50の着座部10(又は着座本体部10M)の上面USへの開口の面積である。
【0032】
図6及び図7に示す第3実施形態においては、第1穴51が、有底である有底部51rと、無底である無底部51tとを、有している。
有底部51rは、着座本体部10Mの上面US又は裏面BS(図の例では、裏面BS)に開口している。無底部51tは、水平投影面において、有底部51rの外縁51eで囲まれた領域の面積よりも小さな面積を有しており、有底部51rの外縁51eの内側に配置されている。したがって、有底部51rの外縁51eは、第1穴51の外縁51eでもある。図6及び図7の例では、水平投影面において、1つの有底部51rの外縁51eの内側に、1つの無底部51tが設けられているが、1つの有底部51rの外縁51eの内側に、複数の無底部51tが設けられていてもよい。
第3実施形態によれば、例えば図2及び図3に示す第1実施形態のように第1穴51の全体を有底とした場合に比べて、着座者の坐骨直下の座圧を低減できるとともに、空隙率が高くなるので、軽量化、通気性の向上、蓄熱性の低減などが可能である。
また、図6及び図7の例では、第1穴51の有底部51rが、着座本体部10Mの裏面BSに開口しているため、水平投影面において、第1穴51は、着座部10の裏面BSにおける面積が、着座部10の上面USにおける面積よりも、大きい。これにより、仮に、第1穴51の着座部10の裏面BSにおける面積を、着座部10の上面USにおける面積以上とした場合に比べて、第1穴51によって、坐骨直下での座圧を低減し座り心地を向上しつつ、第1穴51があることにより着座者が感じ得る違和感を低減できる。
ただし、第3実施形態において、有底部51rは、着座本体部10Mの上面USに開口していてもよく、ひいては、水平投影面において、第1穴51は、着座部10の裏面BSにおける面積が、着座部10の上面USにおける面積よりも、小さくてもよい。
なお、第3実施形態において、各第1穴51の有底部51r及び無底部51tの水平投影面における形状は、それぞれ、図6及び図7の例では円形(正円)であるが、それ以外にも、例えば、楕円形や、三角形、四角形、ひし形、台形等の多角形状等、任意の形状でよい。
また、図6及び図7の例において、第1穴51の有底部51rは、鉛直方向の断面において、上側に凸に湾曲した形状をなしており、着座本体部10Mの裏面BSから上面USに向かうにつれて、徐々に面積及び直径が小さくなるようにされている。ただし、第1穴51の有底部51rは、鉛直方向の断面において、任意の形状をなしていてよく、例えば、上側に凸の略三角形状又は略台形状をなして、着座本体部10Mの裏面BSから上面USに向かうにつれて、徐々に面積及び直径が小さくなるようにされてもよい。あるいは、第1穴51の有底部51rは、鉛直方向の断面において、略四角形をなしていてもよく、ひいては、上下方向に沿って面積及び直径が均一(一定)でもよい。
【0033】
図8及び図9に示す第4実施形態においては、水平投影面において、第1穴51は、前後方向に長く延びており、言い換えれば、左右方向の寸法lbよりも、前後方向の寸法laのほうが長い(la>lb)。
一般的に、穴が設けられていないクッションパッドの上に着座者が着座した際の座圧分布においては、着座者の坐骨及びその周辺において比較的座圧が高くなる領域が、前後方向に長く延びた形状となる。
第4実施形態によれば、仮に第1穴51の前後方向の寸法laを、左右方向の寸法lbと同じとした場合(la=lb)、又は、左右方向の寸法lbより小さくした場合(la<lb)に比べて、水平投影面において、第1穴51の形状を、座圧分布において比較的座圧が高くなる領域の形状に沿った形状とすることができるので、より効果的に坐骨直下及びその近傍の座圧を低減でき、座り心地を向上できる。
なお、第4実施形態において、各第1穴51の水平投影面における形状は、それぞれ、図8及び図9の例では楕円形であるが、それ以外にも、例えば、三角形、四角形、ひし形、台形等の多角形状等、任意の形状でよい。
また、図8及び図9の例において、第1穴51は、鉛直方向の断面において、上側に凸に湾曲した形状をなしており、着座本体部10Mの裏面BSから上面USに向かうにつれて、徐々に面積及び直径が小さくなるようにされている。ただし、第1穴51は、鉛直方向の断面において、任意の形状をなしていてよく、例えば、上側に凸の略三角形状又は略台形状をなして、着座本体部10Mの裏面BSから上面USに向かうにつれて、徐々に面積及び直径が小さくなるようにされてもよい。あるいは、第1穴51は、鉛直方向の断面において、略四角形をなしていてもよく、ひいては、上下方向に沿って面積及び直径が均一(一定)でもよい。
また、図8及び図9の例では、各第1穴51は、それぞれ、有底であり、着座本体部10Mの裏面BSに開口している。これにより、第1実施形態と同様に、着座者が第1穴51があることにより感じ得る違和感を低減できる。ただし、第4実施形態において、第1穴51は、有底とし、かつ、着座本体部10Mの上面USに開口していてもよいし、あるいは、無底とし、着座本体部10Mを上下方向に貫通していてもよい。
【0034】
図10及び図11に示す第5実施形態においては、第1穴51は、無底であるとともに水平投影面において略U字型に延在する部分を含む。
より具体的に、図10及び図11の例において、第1穴51は、有底である有底部51rと、無底である無底部51tとを、有している。無底部51tは、着座本体部10Mを上下方向に貫通したスリットであり、水平投影面において、前側が開放され、後側に突出した、略U字型に延在している。有底部51rは、水平投影面において、無底部51tのなす略U字型の内側の領域に位置しており、着座本体部10Mの裏面BSに開口している。そして、無底部51tのなす略U字型の内側、かつ、有底部51rの上側には、第1樹脂発泡体から構成される、片部60が区画されている。片部60
は、その前端のみで、着座本体部10Mを構成する第1樹脂発泡体の残りの部分に連結されている。図11(b)に示すように、有底部51rは、鉛直方向の断面において、後側に向かうにつれて徐々に深さd51rが増大するように形成されている。これにより、片部60は、後側に向かうにつれて徐々に上下方向の厚みt60が小さくなる。なお、有底部51rの「深さd51r」は、上下方向に平行に測るものとする。このように構成された片部60は、着座者の着座時に、着座者の坐骨が片部60の上に載ることによって、片部50の周りの第1樹脂発泡体に対してほぼ独立して変形することができ、より具体的には、片持ち梁のように、片部60の前端を固定端として、下側へ倒れるようになる。
第5実施形態によっても、第1穴51によって、効果的に坐骨直下の座圧を低減でき、座り心地を向上できる。
なお、図10及び図11に示す第5実施形態においては、水平投影面において、無底部51tがなす略U字型の突出部分Upが、湾曲(図10の例では、後側へ凸に湾曲)している。ただし、これに代えて、図12に示す第6実施形態のように、水平投影面において、無底部51tがなす略U字型の突出部分Upは、直線状に延在(図12の例では、左右方向に平行に延在)していてもよい。
図10及び図11の例や、図12の例では、有底部51rが、着座本体部10Mの裏面BSに開口しているので、着座者が第1穴51があることにより感じ得る違和感を低減できる。
また、図10及び図11の例や、図12の例では、鉛直方向の断面において、有底部51rの壁面は、直線状に延在しているが、その代わりに、下側に凸の湾曲状、又は、上側に凸の湾曲状に延在していてもよい。また、図10及び図11の例や、図12の例では、有底部51rは、後側に向かうにつれて徐々に深さd51rが増大するように形成されているが、有底部51rの深さd51rは、有底部51rの全体にわたって均一でもよい。
また、図10及び図11の例や、図12の例では、無底部51tが、水平投影面において、前側が開放され、後側に突出した、略U字型に延在しているが、水平投影面において無底部51tがなす略U字型の向きは任意でよく、例えば、前側に突出し、後側が開放されていてもよい。
また、図10及び図11の例や、図12の例において、第1穴51は、有底部51rを有さずに、無底部51tのみを有してもよい。
【0035】
上述した各例では、第1穴51の内部が空隙とされていた。しかし、上述した各例において、図13に示す第7実施形態や、図14に示す第8実施形態のように、着座本体部10Mの第1穴51の内部には、着座本体部10Mを構成する第1樹脂発泡体よりも軟らかい第2樹脂発泡体から形成された、軟材質部10Sが、配置されていてもよい。この場合、着座部10は、着座本体部10Mと、軟材質部10Sと、からなる。図13に示す例では、第1穴51が、有底であり、着座本体部10Mの裏面BSに開口しており、その第1穴51の内部に、軟材質部10Sが配置されている。図14に示す例では、第1穴51が、無底であり、着座本体部10Mを上下方向に貫通しており、その第1穴51の内部に、軟材質部10Sが配置されている。ただし、第1穴51が、有底で、かつ、着座本体部10Mの上面USに開口しており、その第1穴51の内部に、軟材質部10Sが配置されていてもよい。
なお、着座本体部10Mを構成する第1樹脂発泡体が、着座本体部10Mの部分に依って、組成や発泡率(ひいては硬さ)が異なる場合は、第1樹脂発泡体の中で最も軟らかい部分よりも、第2樹脂発泡体のほうが軟らかいものとする。
第1樹脂発泡体及び第2樹脂発泡体の硬さは、それぞれ、「JIS K 6400-2:2012 6.1 試験の種類」における「D法」に準拠して測定されるものとする。
軟材質部10Sは、着座本体部10Mと別体に構成されてもよいし、あるいは、着座本体部10Mと一体に構成されてもよい。
このような場合も、程度の差はあり得るものの、第1穴51の内部が空隙とされた第1実施形態~第6実施形態と同様に、座圧を低減し、座り心地を向上できる。
【0036】
上述した各例においては、着座本体部10Mが、左右方向に互いから離間されているとともに、着座部10の左右方向中心線Cの両側に配置された、2つの第1穴51を有していた。しかし、着座本体部10Mは、図15に示す第9実施形態のように、第1穴51を1つのみ有していてもよい。この場合、第1穴51は、着座部10の左右方向中心線Cを跨るように(すなわち、着座部10の左右方向中心線C上に位置するように)配置されるとよい。
より具体的に、図15の例においては、第1穴51が、着座部10の左右方向中心線Cの両側に配置された2つの無底又は有底の大領域部51Lと、これら2つの大領域部51Lどうしを連結するとともに、着座部10の左右方向中心線Cを跨るように左右方向に延在する無底又は有底の連結部51Cと、からなる。各大領域部51Lは、それぞれ、上述した第1実施形態~第8実施形態における第1穴51と同様の構成を有すると、好適である。図15の例において、連結部51Cの幅w51Cは、大領域部51Lの直径よりも小さくされている。これにより、仮に連結部51Cの幅w51Cを大領域部51Lの直径以上とした場合に比べて、着座者の尻部が過度に沈み込むのを抑制でき、座り心地を向上できる。
ここで、大領域部51Lの「直径」は、水平投影面において大領域部51Lが非円形の形状をなす場合、水平投影面における大領域部51Lの外接円の直径を指すものとする。
また、各大領域部51Lの中心点O51Lは、それぞれ、いずれか3つ(好ましくは、環状領域AR内のいずれか3つ)の第2穴52の中心点どうしを結んでなる三角形TRLの上又は内部にあると、好適である。
ここで、大領域部51Lの「中心点」は、水平投影面において大領域部51Lが非円形の形状をなす場合、水平投影面における大領域部51Lの外接円の中心点を指すものとする。
【0037】
図2図12の各例のように、着座本体部10Mが、左右方向に互いから離間されているとともに着座部10の左右方向中心線Cの両側に配置された、2つの第1穴51を有する場合、坐骨直下の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、水平投影面において、第1穴51の直径が、30~100mmであると好適であり、40~80mmであるとより好適である。同様の観点から、水平投影面において、第1穴51の面積は、706~7850mm2であると好適であり、1256~5024mm2であるとより好適である。
同様に、図15の例のように、着座本体部10Mが、着座部10の左右方向中心線Cを跨るように配置された、1つの第1穴51のみを有し、第1穴51が、左右方向に互いから離間されているとともに着座部10の左右方向中心線Cの両側に配置された、2つの大領域部51Lと、これら2つの大領域部51Lどうしを連結する連結部51Cとを、有する場合、坐骨直下の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、水平投影面において、大領域部51Lの直径が、30~100mmであると好適であり、40~80mmであるとより好適である。同様の観点から、水平投影面において、大領域部51Lの面積は、706~7850mm2であると好適であり、1256~5024mm2であるとより好適である。
【0038】
図2図12の各例のように、着座本体部10Mが、左右方向に互いから離間されているとともに着座部10の左右方向中心線Cの両側に配置された、2つの第1穴51を有する場合、坐骨直下の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、水平投影面において、各第1穴51の中心どうしの間の左右方向距離p51(図2)が、60~160mmであると好適であり、70~150mmであるとより好適である。
ここで、第1穴51の「中心」は、水平投影面において第1穴51が非円形の形状をなす場合、水平投影面における第1穴51の外接円の中心を指すものとする。
同様に、図15の例のように、着座本体部10Mが、着座部10の左右方向中心線Cを跨るように配置された、1つの第1穴51のみを有し、第1穴51が、左右方向に互いから離間されているとともに着座部10の左右方向中心線Cの両側に配置された、2つの大領域部51Lと、これら2つの大領域部51Lどうしを連結する連結部51Cとを、有する場合、坐骨直下の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、水平投影面において、各大領域部51Lの中心どうしの間の左右方向距離p51L(図15)が、60~160mmであると好適であり、70~150mmであるとより好適である。
ここで、大領域部51Lの「中心」は、水平投影面において大領域部51Lが非円形の形状をなす場合、水平投影面における大領域部51Lの外接円の中心を指すものとする。
【0039】
図2及び図3図8及び図9図13図15の各例のように、第1穴51が有底である場合、坐骨直下の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、第1穴51の深さd51(図3(b))は、クッションパッド1aの上下方向の厚みT(図3(b))の最大値の20%以上であると好適であり、30%以上であるとより好適である。一方、クッションパッド1aが使用時において第1穴51のところで穴開き等の破損が生じないようにする観点から、第1穴51の深さd51は、クッションパッド1aの上下方向の厚みTの最大値の80%以下であると好適であり、70%以下であるとより好適である。
なお、第1穴51の「深さd51」は、上下方向に平行に測ったときに、第1穴51において最も深くなる位置での深さを差すものとする。
【0040】
上述した各例において、坐骨周辺の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、水平投影面において、第2穴52の直径は、5~35mmであると好適であり、10~30mmであるとより好適である。同様の観点から、水平投影面において、第2穴52の面積は、19~962mm2であると好適であり、78~707mm2であるとより好適である。
【0041】
上述した各例において、着座本体部10Mに第3穴53及び/又は第4穴54が設けられる場合、着座時の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、水平投影面において、第3穴53、第4穴54の直径は、5~35mmであると好適であり、10~30mmであるとより好適である。同様の観点から、水平投影面において、第3穴53、第4穴54の面積は、19~962mm2であると好適であり、78~707mm2であるとより好適である。
【0042】
坐骨周辺の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、図2等に示すように、穴50は、環状領域ARの外側よりも、環状領域ARの内側のほうが、より密集して設けられると好適である。
このような観点から、図2等に示すように、水平投影面において、3つ以上の第2穴52のうち、最も互いに近接する一対の第2穴52どうしの間の距離l52(図2)が、複数の第3穴53のうち、最も互いに近接する一対の第3穴53どうしの間の距離l53(図2)よりも、小さい(l52<l53)と、好適である。
ここで、第2穴52どうしの間の「距離l52」は、水平投影面において、互いに隣接する一対の第2穴52の外縁どうしが互いに最も近接する位置での、当該一対の第2穴52の外縁どうしの間の距離である。第3穴53どうしの間の「距離l53」は、水平投影面において、互いに隣接する一対の第3穴53の外縁どうしが互いに最も近接する位置での、当該一対の第3穴53の外縁どうしの間の距離である。
【0043】
また、坐骨周辺の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、水平投影面において、環状領域ARの全体面積AARに対する、第2穴52の総面積A52の比率RAR(RAR=A52×100/AAR [%])が、着座部10のうち、環状領域ARよりも外側の領域の全体面積AOに対する、第3穴53及び第4穴54の総面積A534の比率RO(RO=A534×100/AO [%])よりも、高い(RAR>RO)と、好適である。
ここで、水平投影面における「環状領域ARの全体面積AAR」は、水平投影面において第1穴51の外縁51eと環状領域ARの外縁AReとの間で区画された領域全体の面積を指しており、第2穴52の占める面積も含んでいる。図2等の例のように、環状領域ARが2つある場合、いずれか一方の環状領域ARのみについて、比率RARを算出するものとする。「第2穴52の総面積A52」は、環状領域ARの外縁ARe上にある第2穴52の全体面積も含む。
水平投影面における「着座部10のうち、環状領域ARよりも外側の領域の全体面積AO」は、水平投影面において、着座部10の外縁と、環状領域ARの外縁AReとの間で区画された領域全体の面積を指しており、第3穴53及び第4穴54の占める面積も含んでいる。図2等の例のように、環状領域ARが2つある場合、両方の環状領域ARの外縁AReよりも外側の領域のみについて、「着座部10のうち、環状領域ARよりも外側の領域の全体面積AO」を算出するものとする。
【0044】
坐骨周辺の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、水平投影面において、環状領域ARの全体面積AARに対する、環状領域AR内の第2穴52の総面積A52の比率RARは、5~25%であると好適であり、8~23%であるとより好適である。
坐骨周辺よりも外側における座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、着座部10のうち、環状領域ARよりも外側の領域の全体面積AOに対する、第3穴53及び第4穴54の総面積A534の比率ROは、1~20%であると好適であり、3~18%であるとより好適である。
【0045】
坐骨周辺の座圧を低減し、座り心地を向上させる観点から、水平投影面において、環状領域ARの全体面積AARに対する、第2穴52の個数N52の密度DAR(DAR=N52/AAR [個/mm2])が、着座部10のうち、環状領域ARよりも外側の領域の全体面積AOに対する、第3穴53及び第4穴54の総個数N534の密度DO(DO=N534/AO [個/mm2])よりも、高い(DAR>DO)と、好適である。
ここで、「第2穴52の個数N52」は、環状領域ARの外縁ARe上にある第2穴52の個数も含むものとする。
【0046】
図2等に示す例においては、水平投影面において、第2穴52が非均一の配置パターンで配置されている。ただし、水平投影面において、第2穴52の配置パターンは、任意でよく、例えば、均一の配置パターンでもよく、より具体的には、左右方向及び前後方向のそれぞれの方向に一定のピッチ間隔で配列されていてもよい。
図2等に示す例においては、水平投影面において、第3穴53及び第4穴54が均一の配置パターンで配置されており、左右方向及び前後方向のそれぞれの方向に一定のピッチ間隔で配列されている。ただし、水平投影面において、第3穴53及び第4穴54の配置パターンは、それぞれ、任意でよく、非均一の配置パターンでもよい。
ここで、穴50(第1穴51、第2穴52、第3穴53、第4穴54)どうしの「ピッチ間隔」は、水平投影面において、互いに隣接する一対の穴50のそれぞれの中心どうしの間隔である。
【0047】
上述した各例においては、座り心地向上、軽量化、通気性向上、蓄熱性低減の観点から、仮にクッションパッド1aに穴50が無い(穴50が、第1樹脂発泡体で埋められている)場合におけるクッションパッド1aの総重量W1に対する、穴50(軟材質部10Sがある場合は、さらに軟材質部10S)を有する実際のクッションパッド1aの総重量W2の比率RW(RW=W2×100/W1 [%])は、97%以下であると好適であり、92%以下であるとより好適である。一方、座り心地向上の観点から、上記比率RWは、70%以上であると好適であり、75%以上であるとより好適である。
【0048】
上述した各例において、着座本体部10Mに設けられ得る第2穴52、第3穴53、又は第4穴54は、それぞれ、有底である場合、当該第2穴52、第3穴53、又は第4穴54の深さ(上下方向の長さ)が、着座本体部10Mの厚み(上下方向の長さ)の30%以上100%未満であると、好適である。
【0049】
〔実施例、比較例〕
つぎに、図16図17を参照しながら、本発明のクッションパッドにおける実施例、比較例について説明する。
【0050】
<比較例1と実施例1>
図16は、本発明の比較例1、実施例1に係るクッションパッドについて、それぞれ圧縮試験を行った結果(圧縮たわみ曲線)を示している。図16の圧縮たわみ曲線において、横軸は上下方向のたわみ(mm)であり、縦軸は荷重(N)である。圧縮試験においては、比較例1、実施例1の各試験体に対し、上下方向(厚み方向)に荷重を掛けて圧縮させた。
比較例1、実施例1の各試験体は、それぞれ、外形の寸法や材料が同じであった。比較例1、実施例1の各試験体を構成する材料は、いずれも、ポリウレタンフォームであった。比較例1、実施例1の各試験体は、上下方向の厚みの最大値が、50mmであり、すなわち、薄肉化されていた。
比較例1の試験体は、穴50を全く有していなかった。
一方、実施例1の試験体は、複数の穴50を有しており、これら複数の穴50が、図2の例の配置パターンで配置されていた。すなわち、実施例1の試験体は、2つの第1穴51と、環状領域AR内の3つ以上の第2穴52と、環状領域ARの外側の第3穴53及び第4穴54とを、有していた。そして、各第1穴51は、それぞれ、いずれか3つの第2穴52の中心どうしを結んでなる三角形TRの内部に位置していた。
図16の圧縮たわみ曲線において、上側の曲線は圧縮時の曲線を示し、下側の曲線は復元時の曲線を示している。図16から判るように、実施例1は、比較例1に比べ、圧縮時に大きく撓めて、高荷重負荷時の傾きが緩い。そのため、実施例1は、比較例1に比べ、底付き感が少なく、ストローク感が良好であり、座り心地に優れている。
【0051】
<比較例2と実施例1>
図17は、本発明の比較例2、実施例1に係るクッションパッドについて、それぞれ同じ試験者が着座したときに得られた座圧分布を示している。
図17(a)は、比較例2の座圧分布を示しており、図17(b)は、実施例1の座圧分布を示している。図17において、座圧分布は、複数種類のハッチングにより示しており、各種類のハッチングは、それぞれ異なる圧力範囲(1点の圧力値ではない)を示している。
比較例2、実施例1の各試験体は、それぞれ、外形の寸法や材料が同じであった。
実施例1の試験体は、図16の試験で用いた実施例1と同じであり、その構成は上述したとおりである。
比較例2の試験体は、穴50のうち、一対の第1穴51のみを有しており、第2穴52、第3穴53及び第4穴54を有していない点のみで、実施例1と異なるものであった。
図17から判るように、実施例1は、比較例2に比べ、着座者の一対の坐骨の周辺に掛かる荷重が分散され、坐骨周辺の座圧、ひいては、つっぱり感を、低減でき、座り心地を向上できている。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のクッションパッドは、車両用シートパッドに好適に利用できるものである。また、本発明のクッションパッドは、任意の種類の車両に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1:車両用シートパッド(シートパッド)、
1a:クッションパッド、 10:着座部(メインパッド部)、 11:腿下部、 12:尻下部、 10M:着座本体部、 10S:軟材質部、
20:サイドパッド部、 30:バックパッド対向部、 40a、40b、40c:溝、
1b:バックパッド、
50:穴、 51:第1穴(穴)、 O51:第1穴の中心点、 51e:第1穴の外縁、 51r:有底部、 51t:無底部、 51L:大領域部、 O51L:大領域部の中心点、 51C:連結部、 52:第2穴(穴)、 53:第3穴(穴)、 54:第4穴(穴)、
60:片部、
100:車両用シート、 101:表皮、 102:ヘッドレスト、
US:上面、 BS:裏面、 C:左右方向中心線、 TR、TRL:三角形、 AR:環状領域、 ARe:環状領域の外縁、 W:環状領域の幅、
Up:水平投影面において第1穴のなす略U字型の突出部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図11
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図16
図17