(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】取付部材
(51)【国際特許分類】
A61M 60/279 20210101AFI20231018BHJP
A61M 60/113 20210101ALI20231018BHJP
A61M 60/37 20210101ALI20231018BHJP
A61M 60/837 20210101ALI20231018BHJP
A61M 60/849 20210101ALI20231018BHJP
【FI】
A61M60/279
A61M60/113
A61M60/37
A61M60/837
A61M60/849
(21)【出願番号】P 2020562348
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2019035412
(87)【国際公開番号】W WO2020137016
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2018246172
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】森田 将之
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-000425(JP,A)
【文献】特開2015-202248(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225027(WO,A1)
【文献】特開2010-190062(JP,A)
【文献】特開2006-212050(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02682608(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
しごき型ポンプを有する血液浄化装置に取り付けられ、前記しごき型ポンプによって所定方向にしごかれて送液可能なポンプチューブを保持した取付部材において、
前記血液浄化装置の所定位置に取り付け可能な本体部と、
前記本体部に取り付けられ、前記ポンプチューブを保持する保持部と、
を具備するとともに、前記保持部は、
前記本体部から折り曲げられた一体部位から成り、前記ポンプチューブの前記しごき型ポンプに対する取り付け時又は取り外し時に負荷が生じた場合、前記ポンプチューブを保持しつつ当該折り曲げ部を軸として前記本体部に対して
前記負荷を逃がす方向に揺動することにより変位可能とされたことを特徴とする取付部材。
【請求項2】
前記保持部は、前記血液浄化装置が具備する係止部材に係止可能な被係止部を有し、前記被係止部を前記係止部材に係止させることにより前記ポンプチューブを前記しごき型ポンプに取り付け可能とされることを特徴とする請求項1記載の取付部材。
【請求項3】
前記保持部は、前記血液浄化装置が具備する係止部材に係止可能な被係止部を有し、前記被係止部が前記係止部材に係止した状態で当該係止部材を移動させることにより前記ポンプチューブを前記しごき型ポンプから取り外し可能とされることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の取付部材。
【請求項4】
前記保持部は、前記ポンプチューブの吸入側のコネクタと吐出側のコネクタとを保持するとともに、前記吸入側のコネクタの方が吐出側のコネクタより大きく変位可能とされたことを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の取付部材。
【請求項5】
前記本体部は、前記ポンプチューブのコネクタに接続された液体の流路を構成するチューブが配設されたことを特徴とする請求項1~
4の何れか1つに記載の取付部材。
【請求項6】
前記血液浄化装置は、前記保持部内の所定部位と当接して付勢力を付与することにより取付部材の状態を検知する検知部を具備するとともに、当該検知部の付勢力による前記保持部の変位を規制することを特徴とする請求項1~
5の何れか1つに記載の取付部材。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか1つに記載の前記ポンプチューブに接続された、血液を体外循環させる血液回路、前記血液回路に補液を導入する流路、又は前記血液回路に接続された血液浄化器に透析液を導入若しくは当該血液浄化器の排液を排出する流路から成る血液浄化用回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、しごき型ポンプを有する血液浄化装置に取り付けられ、しごき型ポンプによって所定方向にしごかれて送液可能なポンプチューブを保持した取付部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、透析治療を行うための血液浄化装置は、患者の血液を体外循環させるための血液回路を構成する動脈側血液回路及び静脈側血液回路と、血液回路にて体外循環する血液を浄化するための血液浄化手段と、血液回路及び血液浄化手段にて血液浄化治療させるための血液ポンプ等の種々の治療器具が取り付けられている、そして、動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を患者に穿刺した後、血液ポンプを駆動させることにより、患者の血液が動脈側血液回路及び静脈側血液回路を流動することとなり、その流動過程において血液浄化手段にて血液浄化されるようになっている。
【0003】
また、血液浄化装置は、補液や排液等を送液するための複数のしごき型ポンプを有するものがあり、これらしごき型ポンプにそれぞれポンプチューブを取り付けることにより、種々液体を送液可能とされたものが提案されている。従来、例えば特許文献1には、血液浄化装置に配設されたしごき型ポンプにそれぞれ取り付け可能なポンプチューブを複数有するとともに、血液浄化装置の所定位置に取り付けられる取付部材について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の取付部材においては、ポンプチューブのしごき型ポンプに取り付け時又は取り外し時、ポンプチューブがしごき型ポンプを構成するガイドピンやロータ等に干渉して挟み込まれて負荷が生じてしまう場合があった。このように、ポンプチューブが挟み込まれて負荷が生じてしまうと、しごき型ポンプに対するポンプチューブの取り付け作業または取り外し作業を安定して行わせることができないという不具合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ポンプチューブの取り付け時又は取り外し時に生じる負荷を逃がすことができ、しごき型ポンプに対するポンプチューブの取り付け作業又は取り外し作業を安定して行わせることができる取付部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、しごき型ポンプを有する血液浄化装置に取り付けられ、前記しごき型ポンプによって所定方向にしごかれて送液可能なポンプチューブを保持した取付部材において、前記血液浄化装置の所定位置に取り付け可能な本体部と、前記本体部に取り付けられ、前記ポンプチューブを保持する保持部とを具備するとともに、前記保持部は、前記本体部から折り曲げられた一体部位から成り、前記ポンプチューブの前記しごき型ポンプに対する取り付け時又は取り外し時に負荷が生じた場合、前記ポンプチューブを保持しつつ当該折り曲げ部を軸として前記本体部に対して前記負荷を逃がす方向に揺動することにより変位可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の取付部材において、前記保持部は、前記血液浄化装置が具備する係止部材に係止可能な被係止部を有し、前記被係止部を前記係止部材に係止させることにより前記ポンプチューブを前記しごき型ポンプに取り付け可能とされることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の取付部材において、前記保持部は、前記血液浄化装置が具備する係止部材に係止可能な被係止部を有し、前記被係止部が前記係止部材に係止した状態で当該係止部材を移動させることにより前記ポンプチューブを前記しごき型ポンプから取り外し可能とされることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1~3の何れか1つに記載の取付部材において、前記保持部は、前記ポンプチューブの吸入側のコネクタと吐出側のコネクタとを保持するとともに、前記吸入側のコネクタの方が吐出側のコネクタより大きく変位可能とされたことを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載の取付部材において、前記本体部は、前記ポンプチューブのコネクタに接続された液体の流路を構成するチューブが配設されたことを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1~5の何れか1つに記載の取付部材において、前記血液浄化装置は、前記保持部内の所定部位と当接して付勢力を付与することにより取付部材の状態を検知する検知部を具備するとともに、当該検知部の付勢力による前記保持部の変位を規制することを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1~6の何れか1つに記載の前記ポンプチューブに接続された、血液を体外循環させる血液回路、前記血液回路に補液を導入する流路、又は前記血液回路に接続された血液浄化器に透析液を導入若しくは当該血液浄化器の排液を排出する流路から成る血液浄化用回路である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、血液浄化装置の所定位置に取り付け可能な本体部と、本体部に取り付けられ、ポンプチューブを保持する保持部とを具備するとともに、保持部は、本体部に対して変位可能とされたので、ポンプチューブの取り付け時又は取り外し時に生じる負荷を逃がすことができ、しごき型ポンプに対するポンプチューブの取り付け作業又は取り外し作業を安定して行わせることができる。
また、保持部は、本体部に対して揺動して変位可能とされたので、ポンプチューブの取り付け時又は取り外し時に生じる負荷を本体部に対する保持部の揺動によって逃がすことができる。
さらに、保持部は、本体部から折り曲げられた一体部位から成り、当該折り曲げ部を軸として揺動可能とされたので、本体部及び保持部を一体的に形成して保持部を折り曲げることにより取付部材を得ることができ、取付部材を容易に製造することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、保持部は、血液浄化装置が具備する係止部材に係止可能な被係止部を有し、被係止部を係止部材に係止させることによりポンプチューブをしごき型ポンプに取り付け可能とされるので、しごき型ポンプに対するポンプチューブの取り付け作業の自動化を容易に図ることができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、保持部は、血液浄化装置が具備する係止部材に係止可能な被係止部を有し、被係止部が係止部材に係止した状態で当該係止部材を移動させることによりポンプチューブをしごき型ポンプから取り外し可能とされるので、しごき型ポンプに対するポンプチューブの取り外し作業の自動化を容易に図ることができる。
【0029】
請求項4の発明によれば、保持部は、ポンプチューブの吸入側のコネクタと吐出側のコネクタとを保持するとともに、吸入側のコネクタの方が吐出側のコネクタより大きく変位可能とされたので、しごき型ポンプからのポンプチューブの取り外し作業をより一層容易に行わせることができる。
【0030】
請求項5の発明によれば、本体部は、ポンプチューブのコネクタに接続された液体の流路を構成するチューブが配設されたので、ポンプチューブに接続されたチューブの取り回しを容易に行わせることができる。
【0031】
請求項6の発明によれば、血液浄化装置は、保持部内の所定部位と当接して付勢力を付与することにより取付部材の状態を検知する検知部を具備するとともに、当該検知部の付勢力による保持部の変位を規制するので、検知部の付勢力により保持部が不用意に変位してしまうのを回避することができる。
【0032】
請求項7の発明によれば、請求項1~6の効果を有する血液浄化用回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態に係る取付部材が取り付けられた状態を示す血液浄化装置を示す全体模式図
【
図2】同取付部材が取り付けられる前の状態の血液浄化装置を示す全体模式図
【
図3】同取付部材のポンプチューブが取り付けられる前の状態のしごき型ポンプを示す拡大図
【
図4】同血液浄化装置に取付部材が係止された状態を示す拡大図
【
図5】同血液浄化装置のしごき型ポンプにポンプチューブを取り付ける過程を示す模式図であって、(a)係止部材の移動前の状態(b)係止部材の移動後であってローディング前の状態(c)ローディング後の状態を示す図
【
図6】同血液浄化装置のしごき型ポンプからポンプチューブを取り外す過程を示す模式図であって、(a)係止部材の移動前の状態(b)係止部材の移動後であってアンローディング前の状態(c)アンローディング後の状態を示す図
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る取付部材を示す斜視図
【
図11】同取付部材の保持部にポンプチューブを保持させた状態を示す斜視図
【
図12】同ポンプチューブを保持させた取付部材を示す正面図
【
図13】同ポンプチューブを保持させた取付部材を示す側面図
【
図14】同取付部材における保持部を折り曲げる前の状態を示す3面図
【
図15】同取付部材における保持部の被係止部に係止部材を係止させた状態、及び係止部材で押圧した状態を示す模式図
【
図16】同取付部材における保持部が本体部に対して揺動した状態を示す模式図
【
図17】同取付部材を血液浄化装置に取り付けた状態であって血液浄化治療を説明するための模式図
【
図18】同取付部材を血液浄化装置に取り付けた状態であって検知部が保持部内の所定部位に当接した状態(取付部材がセットされる前の状態)を示す模式図
【
図19】同取付部材を血液浄化装置に取り付けた状態であって検知部が保持部内の所定部位に当接した状態(取付部材がセットされた状態)を示す模式図
【
図20】本発明の他の実施形態に係る取付部材であって保持部及び本体部の間に伸縮部(パンタグラフ)を有したものを示す模式図
【
図21】本発明の他の実施形態に係る取付部材であって保持部及び本体部の間に伸縮部(蛇腹)を有したものを示す模式図
【
図22】本発明の第2の実施形態に係る取付部材(本体部に対して保持部が離間した状態)を示す斜視図
【
図23】同取付部材(保持部に対して保持部が離間する前の状態)を示す2面図
【
図24】本発明の第3の実施形態に係る取付部材(本体部に対して保持部が近接した状態)の正面側から見た斜視図
【
図25】同取付部材(本体部に対して保持部が近接した状態)の背面側から見た斜視図
【
図26】同取付部材(本体部に対して保持部が離間した状態)の正面側から見た斜視図
【
図27】同取付部材(本体部に対して保持部が離間した状態)の背面側から見た斜視図
【
図28】本発明の第4の実施形態に係る取付部材(蛇腹部位を有したもの)を示す斜視図
【
図29】本発明の第5の実施形態に係る取付部材(吸入側のコネクタの方が吐出側のコネクタより大きく変位可能とされたもの)を示す斜視図
【
図30】同取付部材の保持部を変位させた状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る取付部材は、しごき型ポンプを有する血液浄化装置に取り付けられ、しごき型ポンプによって所定方向にしごかれて送液可能なポンプチューブを保持したもので、
図1~13に示すように、血液浄化装置Bの所定位置に取り付け可能な本体部2と、本体部2に取り付けられ、ポンプチューブCを保持する保持部3とを具備している。
【0035】
かかる取付部材1は、
図14に示すように、本体部2及び保持部3が一体的に形成された樹脂成形品から成り、本体部2及び保持部3の境界線に沿って形成された折り曲げ部Kを折り曲げることにより、
図7に示すように、本体部2の正面側に保持部3が取り付けられた状態とされている。なお、折り曲げ部Kは、ミシン目等が形成されており、本体部2に対する保持部3の折り曲げが容易とされている。
【0036】
本実施形態に係る本体部2は、
図7~13に示すように、矩形状の樹脂成形部から成り、その両側位置に形成されて本体部2の底面(所定位置Baに対する取り付け面)に対して所定角度α傾斜した傾斜面2aと、本体部2の中央位置であって左右の傾斜面2aの間に位置する中央部2bとを有して構成されている。すなわち、本体部2の中央に中央部2bが形成されるとともに、その中央部2bから左右方向に向かって傾斜角度αの傾斜面2aがそれぞれ形成されており、各傾斜面2a上に複数(本実施形態においては4つ)の保持部3が取り付けられている。
【0037】
保持部3は、本体部2に対してブロック状に突出成形(正面側に膨出して成形)された樹脂成形部から成り、ポンプチューブCの両端に形成されたコネクタDをそれぞれ嵌合して所定高さで固定可能な保持溝3a(
図7~10参照)を有している。すなわち、保持溝3aにコネクタDを嵌合して固定することにより、
図11~13に示すように、ポンプチューブCが保持部3に保持されるようになっている。また、保持部3は、
図9に示すように、所定の部位に係止孔3b(被係止部)が形成されており、血液浄化装置Bが具備する係止部材Aにて係止可能とされている。
【0038】
ポンプチューブCは、比較的大きな径の流路を有する軟質樹脂又はゴム材等で形成されたもので、一端及び他端にコネクタDがそれぞれ形成されている。そして、ポンプチューブCがしごき型ポンプPのステータS内に取り付けられた後、ロータRを回転駆動させると、ローラRaにて長手方向に扱かれ、補液や排液等の液体を送液し得るようになっている。
【0039】
しかるに、本実施形態に係る保持部3は、
図9、10、13に示すように、傾斜面2a上に取り付けられているため、ポンプチューブCが本体部2の底面(所定位置Baに対する取り付け面)に対して所定角度α傾斜(傾斜面2aに沿って傾斜)して延設されるようになっている。すなわち、本実施形態に係る保持部3は、ポンプチューブCのコネクタDを傾斜した状態で保持しており、しごき型ポンプPに対するポンプチューブCの取付方向(
図13の下方に向かう方向)に向かってポンプチューブCを傾斜させつつ保持するよう構成されている。
【0040】
さらに、本実施形態に係る本体部2は、その中央部2bにポンプチューブCのコネクタDに接続された液体の流路を構成するチューブ(不図示)が配設されるよう構成されている。すなわち、本実施形態に係る本体部2の中央部2bは、背面側に開口した凹形状とされており、その凹形状に沿ってポンプチューブCのコネクタDに接続されたチューブ(不図示)が配設されるよう構成されている。
【0041】
本実施形態に適用される血液浄化装置Bは、
図1~3に示すように、血液浄化治療に関わる情報等が表示可能なモニタMと、血液ポンプN等を有する血液透析治療の監視装置から成り、血液ポンプNを駆動させることにより血液回路にて患者の血液を体外循環させつつ血液浄化器(ダイアライザ)にて血液浄化治療を行うよう構成されている。本実施形態に係る血液浄化装置Bは、正面側に複数(本実施形態においては7個)のしごき型ポンプPを具備しており、血液浄化治療時に補液や排液を送液し得るようになっている。
【0042】
しごき型ポンプPは、ポンプチューブCを一定方向に扱いて液体を送液し得るもので、
図3~6に示すように、取付凹部Saを有するステータSと、取付凹部Sa内に配設されて回転軸Lを中心に回転可能なロータRと、ロータRに取り付けられたローラRaとを有して構成されている。そして、ステータSの取付凹部Sa内にポンプチューブCを取り付けてロータRを回転駆動させると、取付凹部Saの壁面とローラRaとの間でポンプチューブCが扱かれて送液可能とされている。
【0043】
また、ロータRは、ステータSから突出形成された上下一対の上ガイドピンa1及び下ガイドピンa2、並びに上下一対の上ガイドピンb1及び下ガイドピンb2を有しており、上ガイドピンa1及び下ガイドピンa2の間、及び上ガイドピンb1及び下ガイドピンb2の間にポンプチューブCが取り付けられるようになっている。なお、上ガイドピンa1、b1は、取付凹部Saの開口側に位置するとともに、下ガイドピンa2、b2は、取付凹部Saの底面側に位置しており、取付凹部Sa内に取り付けられたポンプチューブCが所定位置(ローラRaにてしごかれ得る位置)から外れてしまうのを抑制している。
【0044】
本実施形態に係る血液浄化装置Bは、しごき型ポンプPが配設された正面側の所定位置Baに取付部材1が取り付け可能とされている。具体的には、本実施形態に係る血液浄化装置Bは、
図4に示すように、位置決めピンgが形成されており、その位置決めピンgを取付部材1の本体部2に形成された位置決め孔hに挿通させることにより、血液浄化装置Bの所定位置Baに取付部材1を位置決め可能とされている。
【0045】
さらに、本実施形態に係る血液浄化装置Bの所定位置Baには、
図2に示すように、複数の係止部材Aが取り付けられているとともに、保持部3は、既述のように、係止部材Aに係止可能な係止孔3b(被係止部)を有している。かかる係止部材Aは、
図15、16に示すように、その突端部の一方側に係止爪Aa及び他方側に押圧部Abがそれぞれ形成されており、係止爪Aaを係止孔3bの開口縁部に係止(
図15(a)参照)させることにより取付部材1が係止部材Aに係止されて所定位置Baに取り付けられるようになっている。
【0046】
しかるに、取付部材1が位置決めピンgにて位置決めされつつ係止孔3b(被係止部)が係止部材Aの係止爪Aaにて係止(
図15(a)参照)されると、
図5(a)に示すように、保持部3で保持されたポンプチューブCは、その基端部Ca及び先端部Cbが各しごき型ポンプPにおける上ガイドピンa1、b1より上部に位置することとなる。このとき、各しごき型ポンプPのロータRは、所定位置(
図2~4参照)にて停止状態とされている。かかる係止状態から係止部材Aを所定位置Baに対して引っ込む方向(取付部材1を所定位置Baに近接させる方向)に移動すると、
図5(b)に示すように、ポンプチューブCの基端部Caが上ガイドピンb1と下ガイドピンb2の間に位置するとともに、当該ポンプチューブCの先端部Cbが上ガイドピンa1の上部に位置することとなる。
【0047】
そして、この状態からロータRを回転駆動させると、
図5(c)に示すように、ポンプチューブCの基端部Caが上ガイドピンa1と下ガイドピンa2の間に位置しつつ、ポンプチューブCの先端部Cbが上ガイドピンb1に干渉して巻き込まれ、上ガイドピンb1と下ガイドピンb2の間に位置することとなり、ポンプチューブCがしごき型ポンプPに対してセット状態となる。なお、このように、上ガイドピンa1と下ガイドピンa2の間にポンプチューブCが巻き込まれてセット状態とする取り付け作業をローディングともいう。
【0048】
一方、
図6(a)に示すように、ポンプチューブCがしごき型ポンプPにセットされた状態において、係止孔3b(被係止部)が係止部材Aに係止した状態で当該係止部Aが突出する方向(取付部材1を所定位置Baから持ち上げる方向)に移動させると、係止部材Aの押圧部Abが係止孔3bの開口縁部を押圧(
図15(b)参照)し、ポンプチューブCが取付凹部Saから持ち上げられることとなる。このとき、各しごき型ポンプPのロータRは、ポンプチューブのローディング時と同じ所定位置(
図2~4参照)にて停止状態とされており、
図6(b)に示すように、ポンプチューブCの先端部Cbが上ガイドピンa1と下ガイドピンa2の間に位置するとともに、当該ポンプチューブCの基端部Caが上ガイドピンb1の上部に位置することとなる。
【0049】
そして、この状態からロータRを回転駆動させると、
図6(c)に示すように、ポンプチューブCの基端部Caが上ガイドピンa1の上部に位置しつつ、ポンプチューブCの先端部Cbが上ガイドピンb1に干渉して押し出され、上ガイドピンb1の上部に位置することとなり、しごき型ポンプPに対するポンプチューブCのセット状態が解除され、ポンプチューブCが取り外し可能とされる。なお、このように、上ガイドピンa1と下ガイドピンa2の間からポンプチューブCが押し出されてセット状態を解除する取り外し作業をアンローディングともいう。
【0050】
ここで、本実施形態に係る取付部材1の保持部3は、本体部2に対して変位可能とされており、しごき型ポンプPに対するポンプチューブCの取り付け時又は取り外し時に負荷が生じた場合、その負荷を逃がす方向に保持部3が揺動して本体部2に対して変位し得るよう構成されている。すなわち、保持部3は、折り曲げ部Kを中心軸として本体部2に対して揺動可能とされており、ポンプチューブCに負荷が生じた場合、保持部3が本体部2に対して引っ張られる方向に揺動することにより、その負荷を逃がすようになっている。
【0051】
例えば、しごき型ポンプPにポンプチューブCを取り付ける際、しごき型ポンプPに対してポンプチューブCをローディングする過程においてポンプチューブCに負荷が生じると、
図16に示すように、折り曲げ部Kを中心として保持部3が揺動することにより、負荷を逃がすことができる。なお、保持部3に形成された係止孔3bに係止部材Aを挿通させる過程において、係止部材Aに係止孔3bの開口縁部が干渉して負荷が付与された場合であっても、同図に示すように、折り曲げ部Kを中心として保持部3が揺動することにより、負荷を逃がすことができる。
【0052】
また、しごき型ポンプPからポンプチューブCを取り外す際、しごき型ポンプPに対してポンプチューブCをアンローディングする過程においてポンプチューブCに負荷が生じると、
図16に示すように、折り曲げ部Kを中心として保持部3が揺動することにより、負荷を逃がすことができる。なお、血液浄化治療中、しごき型ポンプPのロータR等にポンプチューブCが干渉して負荷が生じた場合においても、同図に示すように、折り曲げ部Kを中心として保持部3が揺動することにより、負荷を逃がすことができる。
【0053】
取付部材1が血液浄化装置Bの所定位置に係止され、ポンプチューブCが複数のしごき型ポンプPにそれぞれローディングされると、
図17に示すように、血液浄化治療のための治療装置が構築される。かかる治療装置は、ダイアライザQを有する血液回路Uと、ダイアライザQに透析液を導入する第1透析液導入ラインL1a及び第2透析液導入ラインL1bと、血液回路Uに補液を供給する第1補液ラインL2a、第2補液ラインL2b、前補液ラインL2c及び後補液ラインL2dと、ダイアライザQの排液を排出する第1排液排出ラインL3a及び第2排液排出ラインL3bとを有して構成されている。
【0054】
血液回路Uは、動脈側血液回路Ua及び静脈側血液回路Ubを有して構成されており、これら動脈側血液回路Ua及び静脈側血液回路Ubの先端を患者に穿刺して血液ポンプNを駆動させることにより、患者の血液を体外循環可能とするものである。また、ダイアライザQは、その筐体部に、血液導入ポートQa、血液導出ポートQb、透析液導入ポートQc及び透析液導出ポートQdが突出形成されており、このうち血液導入ポートQaには動脈側血液回路Uaが、血液導出ポートQbには静脈側血液回路Ubがそれぞれ接続されるとともに、透析液導入ポートQcには第2透析液導入ラインL1bが、透析液導出ポートQdには第1排液排出ラインL3aがそれぞれ接続されるようになっている。
【0055】
第1透析液導入ラインL1aは、透析液を収容する透析液収容バッグW1に接続されるとともに、小分けチャンバTを介して第2透析液導入ラインL1bと接続されている。そして、第1透析液導入ラインL1a及び第2透析液導入ラインL1bに配設されたしごき型ポンプPを駆動させると、透析液収容バッグW1内の透析液が小分けチャンバTにて小分けされた後、ダイアライザQに導入されるようになっている。
【0056】
第1補液ラインL2aは、補液を収容する補液収容バッグW2に接続されるとともに、小分けチャンバTを介して第2補液ラインL2bと接続されている。かかる第2補液ラインL2bは、動脈側血液回路Uaに接続された前補液ラインL2c及び静脈側血液回路Ubに接続された後補液ラインL2dを介して血液回路Uと接続されている。なお、後補液ラインL2dには、逆止弁V1が接続されている。そして、第1補液ラインL2a及び第2補液ラインL2bに配設されたしごき型ポンプPを駆動させると、補液収容バッグW2内の補液が小分けチャンバTにて小分けされた後、前補液ラインL2cに配設されたしごき型ポンプPの駆動状態に応じて、動脈側血液回路Ua又は静脈側血液回路Ubに導入されるようになっている。
【0057】
第1排液排出ラインL3aは、ダイアライザQに接続されるとともに、小分けチャンバTを介して第2排液排出ラインL3bと接続されている。かかる第2排液排出ラインL3bは、排液を装置の外部に排出可能とされている。そして、第1排液排出ラインL3a及び第2排液排出ラインL3bに配設されたしごき型ポンプPを駆動させると、ダイアライザQ内の排液が小分けチャンバTにて小分けされた後、装置の外部に排出可能とされている。
【0058】
このように、取付部材1のポンプチューブCには、血液回路Uに補液を導入する流路(第1補液ラインL2a、第2補液ラインL2b及び前補液ラインL2c)と、血液回路Uに接続されたダイアライザQ(血液浄化器)に透析液を導入する流路(第1透析液導入ラインL1a及び第2透析液導入ラインL1b)と、当該ダイアライザQ(血液浄化器)の排液を排出する流路(第1排液排出ラインL3a及び第2排液排出ラインL3b)がそれぞれ接続されている。なお、後補液ラインL2dに取付部材1のポンプチューブCを接続させるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態においては、血液ポンプNには、取付部材1のポンプチューブCが取り付けられていないが、かかる血液ポンプNに取付部材1のポンプチューブCをローディングして取り付けるようにしてもよい。この場合、取付部材1のポンプチューブCに血液回路Uが接続されることとなる。すなわち、本発明に係る取付部材1のポンプチューブCにローディング可能なものとして、血液を体外循環させる血液回路U、血液回路Uに補液を導入する流路(第1透析液導入ラインL1a及び第2透析液導入ラインL1b)、血液回路Uに接続されたダイアライザQ(血液浄化器)に透析液を導入する流路(第1補液ラインL2a、第2補液ラインL2b、前補液ラインL2c(若しくは後補液ラインL2d))、又はダイアライザQ(血液浄化器)の排液を排出する流路(第1排液排出ラインL3a及び第2排液排出ラインL3b)から成る血液浄化用回路が挙げられる。
【0060】
さらに、本実施形態に係る血液浄化装置Bは、ポンプチューブCが取付可能状態又は取外可能状態となったことを検知する検知部Hを具備している。かかる検知部Hは、
図18、19に示すように、所定位置Baに取り付けられた取付部材1における保持部3内の所定部位と当接可能な棒状部材Haを有し、当該棒状部材HaがスプリングHbによって突出する側に付勢されている。そして、取付部材1が非セット位置(
図18参照)からセット位置(
図19参照)に変位すると、その取付部材1に追従して検知部Hの棒状部材HaがスプリングHbの付勢力に抗して移動するよう構成されている。なお、スプリングHbは、その一端が血液浄化装置Bに固定された支持フレームf1と当接し、他端が棒状部材Haに当接して組み付けられている。
【0061】
また、検知部Hの棒状部材Haの基端側には、ストッパJbが取り付けられるとともに、その基端側近傍には、抵抗体Jaが支持フレームf2にて固定されている。これら抵抗体Ja及びストッパJbは、ポテンショメータJを構成するもので、検知部Hの棒状部材Haが移動してストッパJbを移動させると、抵抗体Jaによって、そのストッパJbの移動量や位置(すなわち、検知部Hの棒状部材Haの移動量や位置)に応じた電圧に変換して出力可能とされている。
【0062】
これにより、取付部材1を非セット位置(
図18参照)からセット位置(
図19参照)とする場合、例えばポンプチューブCがしごき型ポンプPの構成部品等に干渉してセット位置とならず、取付可能状態に至らないとき、ポテンショメータJにて出力された電圧に基づいて、棒状部材Haの移動量が正規の移動量と異なることを検知することができる。また、本実施形態においては、検知部Hにて取付可能状態とならないポンプチューブCを検知すると、その取付対象であるしごき型ポンプPを特定し得るよう構成されている。
【0063】
同様に、取付部材1をセット位置(
図19参照)から非セット位置(
図18参照)とする場合、例えばポンプチューブCがしごき型ポンプPの構成部品等に干渉して非セット位置とならず、取外可能状態に至らないとき、ポテンショメータJにて出力された電圧に基づいて、棒状部材Haの移動量が正規の移動量と異なることを検知することができる。また、本実施形態においては、検知部Hにて取外可能状態とならないポンプチューブCを検知すると、その取付対象であるしごき型ポンプPを特定し得るよう構成されている。
【0064】
ここで、取付部材1は、検知部Hの付勢力(具体的にはスプリングHbの付勢力)による保持部3の変位を規制するものとしてもよく、この場合、
図18、19に示すように、保持部3内において棒状部材Ha(検知部H)の先端が上部内周面t1及び側部内周面t2の両方に当接するよう構成されたもの(例えば、保持部3における取付部材1の中央側(側部内周面t2側)に上部内周面t1及び側部内周面t2で形成された隅部を設ける等)とすることができる。これにより、検知部Hの付勢力により保持部3が不用意に変位してしまうのを回避することができ、係止部材Aによる係止が意図せず外れてしまうのを防止することができる。
【0065】
また、上記形態に代えて、保持部3の外周面t3(ステータSと対向する面)をしごき型ポンプPのステータSに当接させることにより、検知部Hの付勢力による保持部3の変位を規制するもの(例えば、ステータSに外周面t3と当接する凸部を設けたもの、保持部3の外周面t3にステータSと当接する凸部を設けたもの、若しくはステータSと外周面t3との間にスペーサを介在させたもの等)、或いは保持部3内における棒状部材Haが当接する部位に凹形状を形成することにより、検知部Hの付勢力による保持部3の変位を規制するもの等であってもよい。
【0066】
上記実施形態によれば、血液浄化装置Bの所定位置Baに取り付け可能な本体部2と、本体部2に取り付けられ、ポンプチューブCを保持する保持部3とを具備するとともに、保持部3は、本体部2に対して変位可能とされたので、ポンプチューブCの取り付け時又は取り外し時に生じる負荷を逃がすことができ、しごき型ポンプPに対するポンプチューブCの取り付け作業(ローディング)又は取り外し作業(アンローディング)を安定して行わせることができる。特に、本実施形態に係る本体部2は、ポンプチューブCのコネクタDに接続された液体の流路を構成するチューブ(不図示)が配設されたので、ポンプチューブCに接続されたチューブ(不図示)の取り回しを容易に行わせることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る保持部3は、血液浄化装置Bが具備する係止部材Aに係止可能な係止孔3b(被係止部)を有し、係止孔3b(被係止部)を係止部材Aに係止させることによりポンプチューブCをしごき型ポンプPに取り付け可能とされるので、しごき型ポンプPに対するポンプチューブCの取り付け作業の自動化を容易に図ることができる。同様に、本実施形態に係る保持部3は、血液浄化装置Bが具備する係止部材Aに係止可能な係止孔3b(被係止部)を有し、係止孔3b(被係止部)が係止部材Aに係止した状態で当該係止部材Aを移動させることによりポンプチューブCをしごき型ポンプPから取り外し可能とされるので、しごき型ポンプPに対するポンプチューブCの取り外し作業の自動化を容易に図ることができる。
【0068】
さらに、本実施形態に係る保持部3は、本体部2に対して揺動して変位可能とされたので、ポンプチューブCの取り付け時又は取り外し時に生じる負荷を本体部2に対する保持部3の揺動によって逃がすことができる。またさらに、本実施形態に係る保持部3は、本体部2から折り曲げられた一体部位から成り、当該折り曲げ部Kを軸として揺動可能とされたので、本体部2及び保持部3を一体的に形成して保持部3を折り曲げることにより取付部材1を得ることができ、取付部材1を容易に製造することができる。
【0069】
上記実施形態に係る保持部3は、本体部2に対して揺動して変位可能とされているが、これに代えて、保持部3及び本体部2の間に伸縮部を有し、当該伸縮部が伸縮することによって保持部3が本体部2に対して変位可能なものであってもよい。例えば、
図20に示すように、保持部3及び本体部2の間に伸縮部としてのパンタグラフ部4を形成し、当該パンタグラフ部4の伸縮によって保持部3を本体部2に対して変位させるもの、或いは
図21に示すように、保持部3及び本体部2の間に伸縮部としての蛇腹部5を形成し、当該蛇腹部5の伸縮によって保持部3を本体部2に対して変位させるものであってもよい。
【0070】
このように、保持部3及び本体部2の間にパンタグラフ部4又は蛇腹部5から成る伸縮部を有し、当該伸縮部が伸縮することによって保持部3が本体部2に対して変位可能とされたので、保持部3の本体部2に対する変位量を任意に設定することができる。なお、伸縮部は、パンタグラフ部4又は蛇腹部5に限らず、伸縮することによって保持部3が本体部2に対して変位して負荷を吸収可能なものであれば足りる。
【0071】
次に、本発明の第2の実施形態に係る取付部材について説明する。
本実施形態に係る取付部材1は、第1の実施形態と同様、しごき型ポンプを有する血液浄化装置に取り付けられ、しごき型ポンプによって所定方向にしごかれて送液可能なポンプチューブを保持したもので、
図22、23に示すように、血液浄化装置Bの所定位置に取り付け可能な本体部2と、本体部2に取り付けられ、ポンプチューブCを保持する保持部3とを具備している。なお、適用される血液浄化装置本体Bは、第1の実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0072】
本実施形態に係る保持部3及び本体部2は、別体とされ、当該保持部3が本体部2に対して離間することにより変位可能とされている。本実施形態に係る本体部2には、
図22に示すように、保持部3を係止し得る係止部fが形成されており、係止部fに保持部3を係止することにより本体部2に保持部3が取り付けられて一体化されている。そして、しごき型ポンプPに対するポンプチューブCの取り付け時又は取り外し時に負荷が生じた場合、係止部fに対する係止が解かれて保持部3が本体部2から離間して負荷を逃がし得るようになっている。
【0073】
本実施形態によれば、保持部3及び本体部2が別体とされ、当該保持部3が本体部2に対して離間することにより変位可能とされたので、ポンプチューブCの取り付け時又は取り外し時に生じる負荷を本体部2に対する保持部3の離間によって逃がすことができる。なお、係止部fによる保持部3の係止力を任意に調整することにより、逃がし得る負荷の程度を調整することができる。
【0074】
次に、本発明の第3の実施形態に係る取付部材について説明する。
本実施形態に係る取付部材1は、第1の実施形態と同様、しごき型ポンプを有する血液浄化装置に取り付けられ、しごき型ポンプによって所定方向にしごかれて送液可能なポンプチューブを保持したもので、
図24~27に示すように、血液浄化装置Bの所定位置に取り付け可能な本体部6と、本体部6に取り付けられるとともに、ポンプチューブCを保持する保持部3とを具備している。なお、適用される血液浄化装置本体Bは、第1の実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0075】
本実施形態に係る本体部6は、保持部3がそれぞれ形成された複数の別部品(本実施形態においては第1本体部6a及び第2本体部6b)から成り、これら別部品が互いに近接又は離間することによりポンプチューブCに付与された負荷を逃がし得るよう構成されている。具体的には、第1本体部6a及び第2本体部6bは、連結部6cによって互いに独立してスライド可能に連結されており、第1本体部6a及び第2本体部6bが近接した状態(
図24、25参照)で血液浄化装置Bの所定位置Baに取り付けられるとともに、ポンプチューブCに負荷が生じた場合、第1本体部6a及び第2本体部6bが離間した状態(
図26、27参照)となり、負荷を逃がし得るようになっている。
【0076】
本実施形態によれば、本体部6は、保持部3がそれぞれ形成された複数の別部品(第1本体部6a及び第2本体部6b)から成り、これら別部品が互いに近接又は離間可能とされたので、ポンプチューブCの取り付け時又は取り外し時に生じる負荷を別部品の近接又は離間によって逃がすことができる。なお、保持部3は、3個以上の別部品から成り、互いに近接又は離間可能なものであってもよく、複数の別部品の連結は、他の形態であってもよい。
【0077】
次に、本発明の第4の実施形態に係る取付部材について説明する。
本実施形態に係る取付部材1は、第1の実施形態と同様、しごき型ポンプを有する血液浄化装置に取り付けられ、しごき型ポンプによって所定方向にしごかれて送液可能なポンプチューブを保持したもので、
図28に示すように、血液浄化装置Bの所定位置に取り付け可能な本体部7と、本体部7に取り付けられるとともに、ポンプチューブCを保持する保持部3とを具備している。なお、適用される血液浄化装置本体Bは、第1の実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0078】
本実施形態に係る本体部7は、その中央部に伸縮可能な蛇腹部位7aを有し、当該蛇腹部位7aの伸縮によって保持部3が変位可能とされたもので、蛇腹部7aが伸縮することによりポンプチューブCに付与された負荷を逃がし得るよう構成されている。具体的には、本体部7は、保持部3を有した一方の側部領域と保持部3を有した他方の側部領域との間に蛇腹部7aが形成され、血液浄化装置Bの所定位置Baに取り付けられるとともに、ポンプチューブCに負荷が生じた場合、蛇腹部7aが伸びて負荷を逃がし得るようになっている。
【0079】
本実施形態によれば、本体部7は、伸縮可能な蛇腹部位7aを有し、当該蛇腹部位7aの伸縮によって保持部3が変位可能とされたので、ポンプチューブCの取り付け時又は取り外し時に生じる負荷を蛇腹部位7aの伸縮によって逃がすことができる。なお、蛇腹部7aは、本体部7に一体に形成されているが、伸縮可能な別体の蛇腹部7aを本体部7の中央部に取り付けるようにしてもよい。
【0080】
次に、本発明の第5の実施形態に係る取付部材について説明する。
本実施形態に係る取付部材1は、第1の実施形態と同様、しごき型ポンプを有する血液浄化装置に取り付けられ、しごき型ポンプによって所定方向にしごかれて送液可能なポンプチューブを保持したもので、
図29、30に示すように、血液浄化装置Bの所定位置に取り付け可能な本体部2と、本体部2に取り付けられ、ポンプチューブCを保持する保持部3とを具備している。なお、適用される血液浄化装置本体Bは、第1の実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0081】
本実施形態に係る保持部3は、ポンプチューブCの吸入側のコネクタDと吐出側のコネクタDとを保持するとともに、吸入側のコネクタDの方が吐出側のコネクタDより大きく変位可能とされている。すなわち、保持部3は、本体部2の幅方向に延びた折り曲げ部Kに沿って折り曲げ可能とされており、しごき型ポンプPに対してポンプチューブCをアンローディングする際、
図30に示すように、血液浄化装置Bに配設された作動部材Fにて保持部3における吸入側のコネクタDが固定された側が押圧されることにより、吸入側のコネクタDの方が吐出側のコネクタDより大きく変位可能とされている。しかして、ポンプチューブCに負荷が生じた場合、折り曲げ部Kを中心として保持部3が揺動することにより負荷を逃がし得るようになっている。
【0082】
本実施形態によれば、保持部3は、ポンプチューブCの吸入側のコネクタDと吐出側のコネクタDとを保持するとともに、吸入側のコネクタDの方が吐出側のコネクタDより大きく変位可能とされたので、しごき型ポンプPからのポンプチューブCの取り外し作業をより一層容易に行わせることができる。なお、本実施形態においては、保持部3が本体部2に一体形成され、折り曲げ部Kにて折り曲げられているが、本体部2と保持部3とが別体とされ、これらを揺動可能に連結することにより、吸入側のコネクタDの方が吐出側のコネクタDより大きく変位可能としてもよい。
【0083】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば血液浄化装置Bに配設されたしごき型ポンプPが7個以外の複数、或いは単数配設され、ポンプチューブCが当該しごき型ポンプPの個数に対応する数だけ保持部3に保持されたものであってもよい。また、本実施形態に係る取付部材1は、血液浄化装置Bが具備する係止部材Aにて係止され、当該係止部材Aが突出方向に移動することによりポンプチューブCをしごき型ポンプPに対してアンローディングしているが、係止部材Aをアクチュエータで移動させるもの、或いは手動で移動させるもの等であってもよい。なお、位置決めピンg及び位置決め孔hの位置は他の任意位置であってもよく、或いは、位置決めピンgを有さない血液浄化装置Bに適用し、位置決め孔hを具備しない取付部材1であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
血液浄化装置の所定位置に取り付け可能な本体部と、本体部に取り付けられ、ポンプチューブを保持する保持部とを具備するとともに、保持部は、本体部に対して変位可能とされた取付部材であれば、他の機能が付加されたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 取付部材
2 本体部
2a 傾斜面
2b 中央部
3 保持部
3a 保持溝
3b 係止孔(被係止部)
4 パンタグラフ部(伸縮部)
5 蛇腹部(伸縮部)
6 本体部
6a 第1本体部
6b 第2本体部
6c 連結部
7 本体部
7a 蛇腹部
K 折り曲げ部(揺動軸)
A 係止部材
Aa 係止爪
Ab 押圧部
B 血液浄化装置(監視装置)
Ba 所定位置
C ポンプチューブ
D コネクタ
M モニタ
P しごき型ポンプ
S ステータ
Sa 取付凹部
R ロータ
Ra ローラ
a1、b1 上ガイドピン
a2、b2 下ガイドピン
L 回転軸
g 位置決めピン
h 位置決め孔