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特許7369144エアロゾル発生物品及びエアロゾル発生物品を加熱するためのエアロゾル発生デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品及びエアロゾル発生物品を加熱するためのエアロゾル発生デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20231018BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20231018BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20231018BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/50
A24F40/465
H05B6/10 371
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020563689
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019062465
(87)【国際公開番号】W WO2019219740
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】18173128.2
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ギル,マーク
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/177264(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/068094(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/029269(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/068098(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/50
A24F 40/465
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル形成材料の本体(92)と、
第1の共振周波数を有する第1の誘導加熱可能サセプタ(96)と、
前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数を有する第2の誘導加熱可能サセプタ(98)と
を備え
前記第1のサセプタ(96)が前記本体の第1の領域(92A)にのみ配置され、
第2のサセプタ(98)が、前記本体の前記第1の領域(92A)及び前記本体の第2の領域(92B)のうちの少なくとも前記本体の第2の領域(92B)に配置され、
前記第1の領域(92A)が、前記物品内のエアロゾルの流れ方向に対して前記第2の領域(92B)の下流にある、
エアロゾル発生物品(90)。
【請求項2】
エアロゾル形成材料の本体(12)と、
第1の共振周波数を有する第1の誘導加熱可能サセプタ(18)と、
前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数を有する第2の誘導加熱可能サセプタ(20)
を備え
前記第1のサセプタ(18)及び前記第2のサセプタ(20)のうちの少なくとも一方が、前記本体(12)を取り囲むラッパー(16)の部分を形成する、
エアロゾル発生物品(10)
【請求項3】
前記第1のサセプタ(96)及び前記第2のサセプタ(98)のうちの少なくとも一方が、複数の微粒子として形成され、
前記微粒子が、前記本体のそれぞれの1つ若しくは複数の領域(92A、92B)内に実質的に均一に分散される、
請求項1に記載のエアロゾル発生物品(90)。
【請求項4】
前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数とは異なる第3の共振周波数を有する第3の誘導加熱可能サセプタ(22)をさらに備える、
請求項2に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項5】
前記第3のサセプタ(22)が、前記本体(12)を取り囲むラッパー(16)の部分を形成する、
請求項4に記載のエアロゾル発生物品(10)。
【請求項6】
ユーザが吸入するためのエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生システムであって、前記エアロゾル発生システムが
アロゾル発生デバイス(110)であって、エアロゾル発生物品を使用中に受け入れるように適合された空洞(114)を画定する誘導コイル(112)と、第1の周波数で第1の電磁場を、及び前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で第2の電磁場を選択的に及び/又は順次発生させるために前記誘導コイル(112)を制御するように適合されたコントローラ(118)とを備える、エアロゾル発生デバイス(110)と、
請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品(10;90)であって、前記エアロゾル発生物品が、前記エアロゾル発生デバイス(110)の前記空洞(114)に受け入れられ、
前記第1の電磁場の前記第1の周波数が、前記第1のサセプタ(18;96)の前記第1の共振周波数に実質的に等しく、
前記第2の電磁場の前記第2の周波数が、前記第2のサセプタ(20;98)の前記第2の共振周波数に実質的に等しい、エアロゾル発生物品と
を備える、
エアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記誘導コイルが前記第1の電磁場を発生するときに、前記第1のサセプタ(18;96)が熱量Aを発生し、前記第2のサセプタ(20;98)が熱量Bを発生し、
前記誘導コイルが前記第2の電磁場を発生するときに、前記第1のサセプタ(18;96)が熱量Cを発生し、前記第2のサセプタ(20;98)が熱量Dを発生し、
前記熱量B及び前記熱量Cが前記熱量A未満であり、
前記熱量B及び前記熱量Cが前記熱量D未満である、
請求項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
エアロゾル発生物品(10)を製造する方法であって、前記方法が、
第1のエリア(16A)において、第1の共振周波数を有する第1の誘導加熱可能サセプタ(18)と、第2のエリア(16B)において、前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数を有する第2の誘導加熱可能サセプタ(20)とを備えるラッパー(16)を形成するステップであって、前記第2のエリア(16B)が前記第1のエリア(16A)とは異なる、ステップと、
前記ラッパー(16)によりエアロゾル形成材料の本体(12)を取り囲むステップと
を含む、
方法。
【請求項9】
前記ラッパー(16)を形成するステップが、前記ラッパー(16)の長手方向に沿って、前記第1のサセプタ(18)の第1のエリア(16A)と前記第2のサセプタ(20)の第2のエリア(16B)とを交互に形成するステップをさらに含む、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記ラッパー(16)は、第3のエリア(16C)において、前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数とは異なる第3の共振周波数を有する第3の誘導加熱可能サセプタ(22)をさらに備え、
前記第3のエリア(16C)は、前記第1のエリア(16A)及び前記第2のエリア(16B)とは異なる、
請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、エアロゾル発生物品に関し、より具体的には、エアロゾル発生デバイスの誘導コイルによって加熱されると、ユーザが吸入するためのエアロゾルを発生するエアロゾル発生物品に関する。
【0002】
本開示の実施形態は、エアロゾル発生物品を誘導加熱する方法、及びエアロゾル発生物品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
昨今、エアロゾル形成材料を燃やすのではなく加熱して吸入用のエアロゾルを生成するデバイスが、消費者に人気になってきている。
【0004】
そのようなデバイスは、いくつかの異なる方式の1つを使用して、エアロゾル形成材料に熱を提供することができる。そのような方式の1つは、誘導加熱システムを用いるエアロゾル発生デバイスを提供することであり、このエアロゾル発生デバイスには、エアロゾル形成材料を含むエアロゾル発生物品をユーザが着脱可能に挿入することができる。そのようなデバイスでは、誘導コイルがデバイスに備えられ、誘導加熱可能サセプタもデバイスに備えられる。ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、これにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を発生させ、この熱が、例えば伝導によって、エアロゾル形成材料に伝達され、エアロゾル形成材料を燃やすのではなく加熱するとエアロゾルが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施形態の目的は、エアロゾルの特性が最適化され、エアロゾル発生物品の加熱がより正確に制御される、改善されたユーザ体験を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、
エアロゾル形成材料の本体と、
第1の共振周波数を有する第1の誘導加熱可能サセプタと、
第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数を有する第2の誘導加熱可能サセプタと
を備える、エアロゾル発生物品が提供される。
【0007】
一般論として、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を下げることなく圧力を増加させることにより、蒸気を液体に凝縮させることができることを意味する一方、エアロゾルとは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために発生される吸入可能媒体の形態に関して交換可能に使用され得ることに留意されたい。
【0008】
エアロゾル形成材料は、任意のタイプの固体又は半固体の材料であり得る。固体又は半個体の材料の例示的なタイプとしては、粉末、顆粒、ペレット、細片、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、又はシートが挙げられる。エアロゾル形成材料は、植物由来の材料、特にタバコを含み得る。
【0009】
エアロゾル形成材料は、エアロゾルフォーマを含み得る。エアロゾルフォーマの例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。通常、エアロゾル形成材料は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾルフォーマ含有率を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成材料は、乾燥重量ベースで約15%のエアロゾルフォーマ含有率を含み得る。
【0010】
また、エアロゾル形成材料は、エアロゾルフォーマそのものであってもよい。この場合、エアロゾル形成材料は液体であり得る。また、この場合、エアロゾル発生物品は液体保持物質(例えば、繊維の束、セラミックなどの多孔質材料など)を含むことがあり、この液体保持物質は、エアロゾル化されることになる液体を保持し、液体保持物質からエアロゾルを形成し、例えばユーザによる吸入のために排気口に向けて、放出/放射することを可能にする。
【0011】
加熱すると、エアロゾル形成材料は揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。
【0012】
本体の異なる領域が、異なるタイプのエアロゾル形成材料を含んでもよいし、異なるエアロゾルフォーマを含んでもよい、若しくは異なるエアロゾルフォーマ含有量を有してもよいし、加熱時に異なる揮発性化合物を放出してもよい。
【0013】
エアロゾル発生物品の形状及び形態に制限はない。いくつかの実施形態では、エアロゾル発生物品は実質的に円筒形の形状であり得るため、エアロゾル発生物品を加熱するためのエアロゾル発生デバイス内の任意の空洞は、実質的に円筒形の物品を受け入れるように構成され得る。このことは、気化性又はエアロゾル性の物質、特にタバコ製品が円筒形の形態で包装及び販売されることが多いため、有利であり得る。さらに、らせんコイルを使用して(サセプタに渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を誘導することにより)サセプタを加熱すると好都合であり、そのようにエアロゾル発生物品を円筒形で提供することにより、過剰な材料の使用を最小限に抑えながららせんコイル内に効率的に嵌まるようにサイズ決めできるため、有利である。
【0014】
エアロゾル形成材料は通気性材料の内部に保持され得る。通気性材料は、電気絶縁性で非磁性の通気性材料を含み得る。この材料は、高温に対する耐性を備えた状態で、この材料を通して空気が流れることを可能にする高い通気性を有し得る。適切な通気性材料の例としては、セルロース繊維、紙、綿、及び絹が挙げられる。通気性材料は、フィルタとしても機能し得る。一実施形態では、エアロゾル形成材料は紙に巻かれ得る。エアロゾル形成材料はまた、通気性を持たないが空気が流れることを可能にするための適切な打ち抜き穴又は開口部を備える材料の内部に保持されてもよい。或いは、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成材料自体の本体で構成されてもよい。
【0015】
エアロゾル発生物品はまた、第1の共振周波数及び第2の共振周波数とは異なる第3の共振周波数を有する第3の誘導加熱可能サセプタも備え得る。
【0016】
各サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅のうちの1種又は複数種を含み得るが、これらに限定されない。適切な周波数の交流電磁場を印加すると、渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされるのに起因して、各サセプタは熱を発生し得る。
【0017】
1つ又は複数のサセプタは、コンデンサと直列に(任意選択で、ループ自体が与える他に、さらなるインダクタンスとも直列に)導電性材料(例えば、上述の材料のうちの1種を含む導電性材料)のループを備える共振回路の形態をとることができる。コンデンサの適切な静電容量を選択することにより、共振回路を任意の所望の共振周波数に調整できる。コンデンサは、エアロゾル発生物品に備えられてもよいし、コンデンサがエアロゾル発生デバイス内に設けられて、導電性ループの両端をデバイス上の対応する端子に接続するための電気接続端子が物品に設けられ、デバイスが、エアロゾル発生物品がデバイスに嵌め込まれた場合にのみコンデンサに接続されて、共振サセプタ要素を形成してもよい。
【0018】
第1、2、及び任意選択の第3の共振周波数は、以下の共振周波数:約250kHz、約200kHz、及び約180kHzから選択され得る。
【0019】
一実施形態では、第1の共振周波数は第1の範囲内にあり、第2の共振周波数は第2の範囲内にあり、第3の共振周波数は第3の範囲内にある。
【0020】
共振周波数及び周波数間隔の特定の組み合わせを用いることにより、エアロゾル形成材料の効果的な選択的(又は「ゾーン」)加熱を実現できる。
【0021】
一般的に言えば、エアロゾル発生物品は2つ以上の誘導加熱可能サセプタを有することができ、各サセプタが約80kHz~約500KHzにそれぞれ固有の共振周波数を有することが理解されよう。異なる共振周波数を使用することにより、誘導加熱されるサセプタの共振周波数に実質的に等しい周波数で誘導コイルを制御して電磁場を発生し、これによりサセプタが隣接するエアロゾル形成材料を燃焼させるのではなく加熱してエアロゾルを放出することで、エアロゾル形成材料の選択的(又は「ゾーン」)加熱を実行できる。本体の異なる領域を選択的に加熱して、例えば、エアロゾル発生物品からのエアロゾルの放出の一貫性を維持したり、ユーザに所望の体験を提供したりできる。エアロゾル形成材料のこの選択的加熱は、好ましくは、以下でより詳細に説明するエアロゾル発生デバイスを使用して行われる。
【0022】
特定のサセプタの共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生することにより、そのサセプタが熱量を発生する。このことはまた、エアロゾル発生物品の他のサセプタのうちの1つ又は複数のサセプタ(すなわち、発生された電磁場の周波数に実質的に等しくない共振周波数を有するサセプタ)に、特定のサセプタによって発生された熱量よりも通常小さく、ゼロ又は実質的にゼロであり得る熱量を発生させ得る。したがって、特定のサセプタの任意の選択的加熱は、他のサセプタがまったく加熱されないことを意味すると解釈されるべきではなく、特定のサセプタの選択的加熱は、特定のサセプタに隣接するエアロゾル形成材料からのエアロゾルの放出に通常主に関与することだけを意味する。
【0023】
一実施形態では、エアロゾル形成材料の選択的加熱を可能にするために、第1のサセプタは本体の第1の領域にのみ配置され得、第2のサセプタは、本体の第2の領域に配置され得、任意選択で本体の第1の領域にも配置され得、又はその逆とすることもできる。したがって、本体は、第1のサセプタ及び第2のサセプタの両方が配置される第1の領域と、第2のサセプタのみが配置される第2の領域とを有し得る。第1の領域は、物品内のエアロゾルの流れ方向に対して第2の領域の下流にあり得る。この場合、本体の第1の領域は、加熱シーケンスの第1のステップにおいて、第1の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生して、それにより第1のサセプタを選択的に加熱することによって選択的に加熱され得、本体の第1の領域及び第2の領域は、加熱シーケンスの第2のステップにおいて、第2の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生して、それにより第2のサセプタを選択的に加熱することによって選択的に加熱され得る。このような加熱シーケンスは、例えば、第1ステップで第1の領域からエアロゾルを発生し、第2ステップで第2の領域からエアロゾルを発生し、エアロゾルが第1の領域に捕捉されるのを防ぐことができる。
【0024】
一実施形態では、第1のサセプタ及び第2のサセプタのうちの少なくとも一方、より好ましくは第1のサセプタ及び第2のサセプタの両方が、エアロゾル形成材料の本体を取り囲むラッパーの部分を形成し得る。ラッパーの表面は、物品内のエアロゾルの流れ方向に実質的に平行であり得る。このようなエアロゾル発生物品は製造が容易である。
【0025】
ラッパーの第1のエリアは第1のサセプタを備えることができ、第1のエリアとは異なるラッパーの第2のエリアは第2のサセプタを備えることができる。第1のエリアと第2のエリアとは重なってもよいし、相互に共有部分がなくてもよい。エアロゾル形成材料の本体は、第1のサセプタと略整列する第1の領域と、第2のサセプタと略整列する第2の領域とを有し得る。この場合、本体の第1の領域は、第1の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生して、それにより第1のサセプタを選択的に加熱することによって選択的に加熱され得、本体の第2の領域は、第2の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生して、それにより第2のサセプタを選択的に加熱することによって選択的に加熱され得る。
【0026】
第1のサセプタ及び第2のサセプタのうちの少なくとも一方、より好ましくは第1のサセプタ及び第2のサセプタの両方が、本体を取り囲む電気経路の部分を形成し得る。各サセプタが延び得るのは本体の周りに部分的にでしかないが、通常、各サセプタは本体の周りに完全に延びて電気経路を形成するバンドを備える。電気経路を形成することにより、エアロゾル形成材料の加熱がより均一で効率的になり得る。
【0027】
第1のエリア及び第2のエリアとは異なるラッパーの第3のエリアは、第1の共振周波数及び第2の共振周波数とは異なる第3の共振周波数を有する第3の誘導加熱可能サセプタを備え得る。第3のエリアは、本体の第3の領域と略整列され得る。本体の第3の領域は、第3の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生して、それにより第3のサセプタを選択的に加熱することによって選択的に加熱され得る。
【0028】
一実施形態では、第1のサセプタ及び第2のサセプタのうちの少なくとも一方、より好ましくは第1のサセプタ及び第2のサセプタの両方が、少なくとも部分的に本体内に配置されたプレートとして形成され得る。第1及びサセプタをプレートとして形成することにより、エアロゾル形成材料の本体の効果的な加熱を生み出すことができる。各プレートの表面は、物品内のエアロゾルの流れ方向に実質的に垂直であり得る。本体は、第1のサセプタに隣接する第1の領域と第2のサセプタに隣接する第2の領域とを有し得る。この場合、本体の第1の領域は、第1の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生して、それにより第1のサセプタを選択的に加熱することによって選択的に加熱され得、本体の第2の領域は、第2の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生して、それにより第2のサセプタを選択的に加熱することによって選択的に加熱され得る。
【0029】
第1の共振周波数及び第2の共振周波数とは異なる第3の共振周波数を有する第3の誘導加熱可能サセプタもまた、少なくとも部分的に本体内に配置されたプレートとして形成され得る。本体は、第3の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生することによって選択的に加熱され得る第3のサセプタに隣接する第3の領域を有し得る。
【0030】
プレートは、例えばエアロゾルの流れ方向に平行である本体の軸に沿って、本体内で間隔を空けて配置され得る。各プレートは任意の適切な形状を有し得るが、通常、円形のディスクとして形成され得る。
【0031】
第1のサセプタ及び第2のサセプタのうちの少なくとも一方は、エアロゾル形成材料の本体に結合された平面条片として形成され得る。平面条片は、例えば紙又は他の織布若しくは不織布或いは適切なセラミックなどの電気絶縁材料にラミネートされ得る。第3のサセプタはまた、本体に結合される平面条片として形成され得る。このように結合された平面条片を形成することにより、エアロゾル発生物品を容易に製造できる。エアロゾル形成材料の本体にサセプタが結合される場合、エアロゾル形成材料は、再構成タバコ(RTB)などの実質的に固体若しくは硬質な形態、例えばRTB紙の形態、又は固体又は半固体であるが多孔質の発泡体、ムース、若しくはゲルの形態、又は固体材料と液体材料との混合物の凝固物などであることが好ましい。
【0032】
一実施形態では、第1のサセプタ及び第2のサセプタのうちの少なくとも一方、より好ましくは第1のサセプタ及び第2のサセプタの両方が、複数の微粒子として形成され得る。微粒子は、本体内又は本体のそれぞれの1つ若しくは複数の領域内に実質的に均一に分散され得る。エアロゾル形成材料の本体内に微粒子が実質的に均一に分散されることにより、エアロゾル発生物品を容易に製造できる。エアロゾル形成材料の選択的加熱を可能にするために、第1のサセプタを規定する微粒子は本体の第1の領域にのみ配置され得、第2のサセプタを規定する微粒子は、本体の第2の領域に配置され得、また任意選択で本体の第1の領域にも配置され得、又はその逆とすることもできる。したがって、本体は、第1のサセプタ及び第2のサセプタの両方が配置される第1の領域と、第2のサセプタのみが配置される第2の領域とを有し得る。第1の領域は、物品内のエアロゾルの流れ方向に対して第2の領域の下流にあり得る。この場合、本体の第1の領域は、加熱シーケンスの第1のステップにおいて、第1の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生して、それにより第1のサセプタの微粒子を優先的に加熱することによって選択的に加熱され得、本体の第1の領域及び第2の領域は、加熱シーケンスの第2のステップにおいて、第2の共振周波数に実質的に等しい周波数で電磁場を発生して、それにより第2のサセプタの微粒子を選択的に加熱することによって選択的に加熱され得る。このような加熱シーケンスは、第1ステップで第1の領域からエアロゾルを発生し、第2ステップで第2の領域からエアロゾルを発生し、例えばエアロゾルが第1の領域に捕捉されるのを防ぐことができる。
【0033】
第1の共振周波数及び第2の共振周波数とは異なる第3の共振周波数を有する第3のサセプタもまた、複数の微粒子として形成され得る。微粒子は、本体内又は本体のそれぞれの1つ若しくは複数の領域内に実質的に均一に分散され得る。
【0034】
各サセプタの微粒子は、任意の適切な形状及びサイズを有し得る。
【0035】
本開示の第2の態様によれば、
エアロゾル発生物品を使用中に受け入れるように適合された場所、好ましくは空洞を画定する誘導コイルと、
第1の周波数で第1の電磁場を、及び第1の周波数とは異なる第2の周波数で第2の電磁場を選択的に及び/又は順次発生するために誘導コイルを制御するように適合されたコントローラと
を備える、エアロゾル発生デバイスが提供される。
【0036】
エアロゾル発生デバイスは、約20mT~最高密度のポイントで約2.0Tの磁束密度を有する変動電磁場により動作するように配置され得る。
【0037】
エアロゾル発生デバイスは、例えば電池などの電源及び関連する回路を備え得る。
【0038】
誘導コイルは、任意の好適な材料を含み得るが、一般に、誘導コイルは、Litzワイヤ又はLitzケーブルを備え得る。
【0039】
エアロゾル発生デバイスは、任意の形状及び形態をとることができるが、過剰な材料の使用を減らし、電磁場のサセプタへの結合効率を改善するために、実質的に誘導コイルの形態をとるように構成され得る。誘導コイルは実質的にらせん状の形状であってもよい。
【0040】
らせん状誘導コイルが円形の断面を有することにより、エアロゾル発生物品をデバイス内に挿入するのが容易になり、均一な加熱が確保される。結果として得られるデバイスの形状は、ユーザが持ちやすいものでもある。
【0041】
エアロゾル発生デバイスは、加熱時に放出されるエアロゾルをユーザが吸入できる一体型フィルタを備える第1のタイプにしたがって、エアロゾル発生物品を収容するように構成され得る。エアロゾル発生デバイスはまた、第2のタイプにしたがって、デバイスがマウスピースをさらに備え得る場合に、エアロゾル発生物品を収容するように構成され得る。
【0042】
コントローラは、プログラム可能なデジタルコントローラを含み得る。
【0043】
一般的に言えば、各エアロゾル発生物品は2つ以上の誘導加熱可能サセプタを有することができ、各サセプタがそれぞれ固有の共振周波数を有することが理解されよう。コントローラは、対応する数の周波数で電磁場を選択的に発生させるために誘導コイルを制御するように適合させることができ、各周波数は、誘導加熱されるサセプタのそれぞれの共振周波数に実質的に等しい。その結果、コントローラは、実行されるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成材料の選択的(又は「ゾーン」)加熱を提供できる。本体の異なる領域を選択的に加熱して、例えば、エアロゾル発生物品からのエアロゾルの放出の一貫性を維持したり、ユーザに所望の体験を提供したりできる。共振周波数は、最小周波数ギャップによって分離されて、誘導コイルによって発生された電磁場の周波数が適切に選択又は「調整」されて、特定のサセプタを加熱できるようにし得る。
【0044】
コントローラは、1つ又は複数の加熱シーケンスにしたがって異なる周波数を発生するために誘導コイルを制御するようにさらに適合され得る。これはユーザにとって有用であり得る。加熱シーケンスの間、異なる周波数が特定のシーケンスで特定の期間発生され得る。各加熱シーケンスについて、周波数のシーケンス又は順序、及び各周波数が発生される期間を選択して、所望の加熱効果を提供できる。
【0045】
本開示の第3の態様によれば、ユーザが吸入するためのエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生システムであって、エアロゾル発生システムが、
上述のエアロゾル発生デバイスと、
上述のエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生デバイスの場所、好ましくは空洞に受け入れられ、
第1の電磁場の第1の周波数が、第1のサセプタの第1の共振周波数に実質的に等しく、第2の電磁場の第2の周波数が、第2のサセプタの第2の共振周波数に実質的に等しい、エアロゾル発生物品と
を備える、エアロゾル発生システムが提供される。
【0046】
誘導コイルが第1の電磁場を発生するときに、第1のサセプタが熱量Aを発生でき、第2のサセプタが熱量Bを発生でき、誘導コイルが第2の電磁場を発生するときに、第1のサセプタが熱量Cを発生でき、第2のサセプタが熱量Dを発生できる。熱量B及び熱量Cは、熱量A未満であり得る。熱量B及び熱量Cは、熱量D未満であり得る。熱量B及び/又は熱量Cは、誘導コイルが第1の電磁場を発生するときに第2のサセプタが熱を発生しない、及び/又は誘導コイルが第2の電磁場を発生するときに第1のサセプタが熱を発生しないように、ゼロ又は実質的にゼロであり得る。
【0047】
コントローラは、加熱シーケンスにしたがって異なる周波数を発生し、エアロゾル発生物品における検出された変化に応じて加熱シーケンスをリセットするために、誘導コイルを制御するようにさらに適合され得る。例えば、エアロゾル発生物品が加熱シーケンス中に除去され、新しいエアロゾル発生物品がデバイス内に挿入された場合、加熱シーケンスは再始動され得る。
【0048】
コントローラは、複数の加熱シーケンスにしたがって異なる周波数を発生し、検出されたエアロゾル発生物品のタイプに基づいて自動的に、又は手動の入力に応じて、特定の加熱シーケンスを選択するために、誘導コイルを制御するようにさらに適合され得る。例えば、コントローラが、特定のタイプのエアロゾル発生物品に適する(例えば、正しい加熱効果を提供する)ように特別に設計された特定の加熱シーケンスを自動的に選択することもできるし、ユーザが、個人の好みに基づいて特定の加熱シーケンスを手動で選択することもできる。この自動又は手動の選択は、エアロゾル発生デバイスのユーザにとって有用であり得る。
【0049】
本開示の第4の態様によれば、エアロゾル形成材料の本体と、第1の共振周波数を有する第1の誘導加熱可能サセプタと、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数を有する第2の誘導加熱可能サセプタとを備えるエアロゾル発生物品を誘導加熱する方法であって、
方法が、
第1の共振周波数に実質的に等しい第1の周波数により第1の電磁場を発生することにより第1のサセプタが発生した熱量A及び第2のサセプタが発生した熱量Bによって、本体を加熱するステップと、
第2の共振周波数に実質的に等しい第2の周波数により第2の電磁場を発生することにより第1のサセプタが発生した熱量C及び第2のサセプタが発生した熱量Dによって、本体を加熱するステップと
を含み、
熱量B及び熱量Cが熱量A未満であり、
熱量B及び熱量Cが熱量D未満である、方法が提供される。
【0050】
熱量B及び/又は熱量Cは、ゼロ又は実質的にゼロであり得る。
【0051】
本開示の第5の態様によれば、エアロゾル発生物品を製造する方法であって、方法が、
第1のエリアにおいて、第1の共振周波数を有する第1の誘導加熱可能サセプタと、第2のエリアにおいて、第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数を有する第2の誘導加熱可能サセプタとを備える、ラッパーを形成するステップであって、第2のエリアが第1のエリアとは異なる、ステップと、
ラッパーによりエアロゾル形成材料の本体を取り囲むステップと
を含む、方法が提供される。
【0052】
方法は、本体を取り囲む電気経路を形成するためにラッパーを使用するステップをさらに含み得る。電気経路は、エアロゾル形成材料のより均一又は効率的な加熱を提供し得、ラッパーの縁部を接合することによって、例えば、導電性接着剤で縁部を接着することによって、溶接若しくははんだ付けによって、又は縁部を接触させることによって、形成され得る。
【0053】
ラッパーを形成するステップは、例えば紙又は他の織布若しくは不織布或いは適切なセラミックなどの電気絶縁材料にラッパーをラミネートするステップをさらに含み得る。
【0054】
ラッパーを形成するステップは、ラッパーの長手方向に沿って、第1のサセプタの第1のエリアと第2のサセプタの第2のエリアとを交互に形成するステップをさらに含み得る。第1のエリアと第2のエリアとは重なってもよいし、相互に共有部分がなくてもよい。第1の共振周波数及び第2の共振周波数とは異なる第3の共振周波数を有する第3の誘導加熱可能サセプタの第3のエリアもまた、ラッパー上に形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】サセプタがラッパーの部分を形成する、エアロゾル発生物品の第1の実施形態の概略断面図である。
図2図1のラッパーの概略図である。
図3】サセプタがディスクとして形成されるエアロゾル発生物品の第2の実施形態の概略断面図である。
図4】サセプタがディスクとして形成されるエアロゾル発生物品の第3の実施形態の概略断面図である。
図5】サセプタが複数の微粒子として形成されるエアロゾル発生物品の第4の実施形態の概略断面図である。
図6】サセプタが複数の微粒子として形成されるエアロゾル発生物品の第5の実施形態の概略断面図である。
図7】サセプタがエアロゾル形成材料の本体内で特定の分散状態を有する複数の微粒子として形成されるエアロゾル発生物品の第6の実施形態の概略断面図である。
図8】サセプタが条片として形成されるエアロゾル発生物品の第7の実施形態の概略断面図である。
図9】エアロゾル発生デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、例示のみを目的として、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明する。
【0057】
図1を参照すると、本開示の例によるエアロゾル発生物品10が概略的に示されている。エアロゾル発生物品10は、いわゆる「スティック」型であり、実質的に円筒形である。
【0058】
エアロゾル発生物品10は、エアロゾル形成材料の本体12とフィルタ14とを備える。この場合、エアロゾル形成材料は、固体又は半固体の材料のタイプであり、植物由来の材料、特にタバコを含み得る。エアロゾル形成材料は、エアロゾルフォーマを含み得る。
【0059】
エアロゾル形成材料は、第1のサセプタ18と、第2のサセプタ20と、第3のサセプタ22とを備えるラッパー16内に保持される。各サセプタは、本体12の周りに完全に延びる円筒形のバンドとして形成されて、より均一で効率的な加熱のための電気経路を画定する。図示していないが、ラッパー16は、電気絶縁材料にラミネートされ得る。
【0060】
第1のサセプタ18の共振周波数は250kHzである。第2のサセプタ20の共振周波数は200kHzである。第3のサセプタ22の共振周波数は180kHzである。
【0061】
この実施形態では、第1のサセプタ18、第2のサセプタ20、及び第3のサセプタ22は、コンデンサと直列に導電性材料(例えば、上述の材料のうちの1種を含む導電性材料)の円筒形バンド又はループを備える共振回路の形態をとる。コンデンサの適切な静電容量(例えば、第1のサセプタに25マイクロファラッド、第2のサセプタに35マイクロファラッド、第3のサセプタに40マイクロファラッド)を選択することにより、共振回路を所望の共振周波数に調整できる。正確な静電容量値は、ループの寸法、サセプタの材料、デバイスの特性などの要因に依存し、必要に応じて計算されることが理解されよう。本実施形態では、コンデンサは、エアロゾル発生物品10に備えられている。しかしながら、他の実施形態では、コンデンサがエアロゾル発生デバイス内に設けられ、各導電性ループの2つの端部をデバイス上の対応する端子に接続するための電気接続端子が物品に設けられ、デバイスは、エアロゾル発生物品がデバイスに嵌め込まれた場合にのみ、それぞれのコンデンサに接続されて、共振サセプタ要素を形成する。
【0062】
本体の第1の領域12Aは、第1のサセプタ18と略整列される。本体の第2の領域12Bは、第2のサセプタ20と略整列される。本体の第3の領域12Cは、第3のサセプタ22と略整列される。
【0063】
領域12A、12B、及び12Cは、図1では単に明確にするために重ならないように示され、エアロゾル発生物品の実際の実施において、特定のサセプタによって加熱される本体12の部分のみを厳密に特定することを意図するものではない。意図されているのは、どのように本体12の異なる領域が各サセプタによって選択的に加熱され得るかを概略的に単に説明することである。同じことが、図3図4、及び図7に示される対応する領域にも当てはまる。
【0064】
エアロゾル発生物品10に隣接して配置された誘導コイル(図示せず)が250kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第1のサセプタ18が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、第1の領域12Aに伝達される。エアロゾルは、本体の第1の領域12Aが加熱されると発生し、フィルタ14を通してユーザに吸入される。誘導コイルが200kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第2のサセプタ20が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、第2の領域12Bに伝達される。エアロゾルは、本体の第2の領域12Bが加熱されると発生し、フィルタ14を通してユーザに吸入される。誘導コイルが180kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第3のサセプタ22が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、第3の領域12Cに伝達される。エアロゾルは、本体の第3の領域12Cが加熱されると発生し、フィルタ14を通してユーザに吸入される。したがって、異なる共振周波数のサセプタを使用することにより、誘導加熱されるサセプタの共振周波数に実質的に等しい周波数で誘導コイルを制御して電磁場を発生し、次にサセプタが隣接するエアロゾル形成材料を燃焼させるのではなく加熱してエアロゾルをユーザの吸入のために放出することで、エアロゾル形成材料の選択的(又は「ゾーン」)加熱を実行できる。
【0065】
エアロゾル形成材料に巻き付けられて個々のセグメント24に切断される前の拡張ラッパー16の部分が、図2に概略的に示されている。本実施形態では、拡張ラッパー16は、2つのエリア間の境界で切断されるが、ラッパーは、エリアの中央で切断されてもよい。或いは、拡張ラッパーを個々の長さに切断してから、エアロゾル形成材料に巻き付けてセグメント24を形成することができる。
【0066】
各セグメント24は、フィルタ14に接続されて、図1に示すエアロゾル発生物品10を形成する。
【0067】
拡張ラッパーの第1のエリア16Aは第1のサセプタ18を備え、拡張ラッパーの第2のエリア16Bは第2のサセプタ20を備え、拡張ラッパーの第3のエリア16Cは第3のサセプタ22を備える。各セグメント24は、第1のエリア16Aと、第2のエリア16Bと、第3のエリア16Cとを備える。図2に示す拡張ラッパー16は3つのエリアを有するが、必要に応じて2つのエリア又は4つ以上のエリアを有してもよく、各エリアは独自のサセプタを有することが理解されよう。図2を参照すると、エリアは相互に共有部分を持たない、又は重ならないことが示されている。しかし、異なる実施形態では、エリアは、それぞれのサセプタの対応する重なりで重なり合うことができる。
【0068】
拡張ラッパー16の長い縁部、又はラッパーが事前に切断されている場合は個々の長さは、例えば、縁部を導電性接着剤で接着することによって、溶接若しくははんだ付けすることによって、又は縁部を接触させることによって、エアロゾル形成材料の周りで一緒に接合され得る。本開示による「スティック」型エアロゾル発生物品を形成する適用可能な方法は、国際公開第2016/184928号パンフレット及び国際公開第96/39880号パンフレットにさらに詳細に記載されており、これらの国際公開の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。特に、国際公開第2016/184928号パンフレットは、紙又は箔で作られ得るラッパー材料内に保持されるタバコ基材内に完全に埋め込まれた個々のサセプタセグメントを用いて、誘導加熱可能なタバコロッドをどのように製造し得るかを説明している。タバコロッドは、サセプタセグメントの長さによって事前定義された長さをそれぞれ有する個々のタバコプラグにサセプタセグメント間で切断される。同様の方法が用いられて、エアロゾル形成材料からサセプタセグメントを省略し、国際公開第2016/184928号パンフレットに説明されている従来のラッパー材料の代わりに拡張ラッパーを使用することにより、図1に示す「スティック」型エアロゾル発生物品を形成できる。
【0069】
図3を参照すると、本開示の例によるエアロゾル発生物品30が概略的に示されている。エアロゾル発生物品30は、いわゆる「スティック」型であり、実質的に円筒形である。
【0070】
エアロゾル発生物品30は、エアロゾル形成材料の本体32とフィルタ34とを備える。この場合、エアロゾル形成材料は、固体又は半固体の材料のタイプであり、植物由来の材料、特にタバコを含み得る。エアロゾル形成材料は、エアロゾルフォーマを含み得る。本体32は、適切な材料、例えば紙のラッパー42内に保持される。
【0071】
第1のサセプタ36、第2のサセプタ38、及び第3のサセプタ40は、本体32内に配置される。各サセプタは、プレート、例えば円筒形のディスクとして形成され、サセプタは本体の軸に沿って間隔を空けて配置される。図3を参照すると、サセプタプレートは、本体32内に完全に埋め込まれている。第1のサセプタ36の共振周波数は250kHzである。第2のサセプタ38の共振周波数は200kHzである。第3のサセプタ40の共振周波数は180kHzである。
【0072】
本体の第1の領域32Aは、第1のサセプタ36に隣接する。本体の第2の領域32Bは、第2のサセプタ38に隣接する。本体の第3の領域32Cは、第3のサセプタ40に隣接する。
【0073】
エアロゾル発生物品30に隣接して配置された誘導コイル(図示せず)が250kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第1のサセプタ36が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、第1の領域32Aに伝達される。エアロゾルは、エアロゾル形成材料の第1の領域32Aが加熱されると発生し、フィルタ34を通してユーザに吸入される。誘導コイルが200kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第2のサセプタ38が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、第2の領域32Bに伝達される。エアロゾルは、エアロゾル形成材料の第2の領域32Bが加熱されると発生し、フィルタ34を通してユーザに吸入される。誘導コイルが180kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第3のサセプタ40が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、第3の領域32Cに伝達される。エアロゾルは、エアロゾル形成材料の第3の領域32Cが加熱されると発生し、フィルタ34を通してユーザに吸入される。
【0074】
図4を参照すると、本開示の例によるエアロゾル発生物品50が概略的に示されている。エアロゾル発生物品50は、いわゆる「ポッド」型であり、実質的に円筒形である。
【0075】
エアロゾル発生物品50は、エアロゾル形成材料の本体52を備える。この場合、エアロゾル形成材料は、固体又は半固体の材料のタイプであり、植物由来の材料、特にタバコを含み得る。エアロゾル形成材料は、エアロゾルフォーマを含み得る。
【0076】
第1のサセプタ54、第2のサセプタ56、及び第3のサセプタ58は、本体52内に配置される。各サセプタは、プレート、例えば円筒形のディスクとして形成され、サセプタは本体の軸に沿って間隔を空けて配置される。図4を参照すると、サセプタプレートは、本体52内に完全に埋め込まれている。第1のサセプタ54の共振周波数は250kHzである。第2のサセプタ56の共振周波数は200kHzである。第3のサセプタ58の共振周波数は180kHzである。
【0077】
本体の第1の領域52Aは、第1のサセプタ54に隣接する。本体の第2の領域52Bは、第2のサセプタ56に隣接する。本体の第3の領域52Cは、第3のサセプタ58に隣接する。
【0078】
エアロゾル発生物品50に隣接して配置された誘導コイル(図示せず)が250kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第1のサセプタ54が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、第1の領域52Aに伝達される。エアロゾルは、エアロゾル形成材料の第1の領域52Aが加熱されると発生し、ユーザに吸入される。誘導コイルが200kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第2のサセプタ56が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、第2の領域52Bに伝達される。エアロゾルは、エアロゾル形成材料の第2の領域52Bが加熱されると発生し、ユーザに吸入される。誘導コイルが180kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第3のサセプタ58が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、第3の領域52Cに伝達される。エアロゾルは、エアロゾル形成材料の第3の領域54Cが加熱されると発生し、ユーザに吸入される。
【0079】
図5を参照すると、本開示の例によるエアロゾル発生物品60が概略的に示されている。エアロゾル発生物品60は、いわゆる「スティック」型であり、実質的に円筒形である。
【0080】
エアロゾル発生物品60は、エアロゾル形成材料の本体62とフィルタ64とを備える。エアロゾル形成材料は固体又は半固体の材料のタイプであり、植物由来の材料、特にタバコを含み得る。エアロゾル形成材料は、エアロゾルフォーマを含み得る。本体62は、適切な材料、例えば紙のラッパー72内に保持される。
【0081】
第1のサセプタ66、第2のサセプタ68、及び第3のサセプタ70は、本体62内に配置される。各サセプタは、本体62全体に実質的に均一に分散する複数の微粒子として形成される。
【0082】
第1のサセプタ66の共振周波数は250kHzである。第2のサセプタ68の共振周波数は200kHzである。第3のサセプタ70の共振周波数は180kHzである。
【0083】
図6を参照すると、本開示の例によるエアロゾル発生物品80が概略的に示されている。エアロゾル発生物品80は、いわゆる「ポッド」型であり、実質的に円筒形である。
【0084】
エアロゾル発生物品80は、エアロゾル形成材料の本体82を備える。エアロゾル形成材料は固体又は半固体の材料のタイプであり、植物由来の材料、特にタバコを含み得る。エアロゾル形成材料は、エアロゾルフォーマを含み得る。
【0085】
第1のサセプタ84、第2のサセプタ86、及び第3のサセプタ88は、本体82内に配置される。図5に示すエアロゾル発生物品60と同様に、各サセプタは、本体82全体に実質的に均一に分散する複数の微粒子として形成される。
【0086】
第1のサセプタ84の共振周波数は250kHzである。第2のサセプタ86の共振周波数は200kHzである。第3のサセプタ88の共振周波数は180kHzである。
【0087】
エアロゾル発生物品60及び80に隣接して配置された誘導コイル(図示せず)が250kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、それぞれの第1のサセプタ66及び84の微粒子が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、それぞれの本体62及び82に伝達される。エアロゾルは、エアロゾル形成材料が加熱されると発生し、エアロゾル発生物品60においてはフィルタ64を通して、ユーザに吸入される。誘導コイルが200kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、それぞれの第2のサセプタ68及び86の微粒子が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、それぞれの本体62及び82に伝達される。エアロゾルは、エアロゾル形成材料が加熱されると発生し、エアロゾル発生物品60においてはフィルタ64を通して、ユーザに吸入される。誘導コイルが180kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、それぞれの第3のサセプタ70及び88の微粒子が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、それぞれの本体62及び82に伝達される。エアロゾルは、エアロゾル形成材料が加熱されると発生し、エアロゾル発生物品60においてはフィルタ64を通して、ユーザに吸入される。
【0088】
図7を参照すると、本開示の例によるエアロゾル発生物品90が概略的に示されている。エアロゾル発生物品90は、いわゆる「スティック」型であり、実質的に円筒形である。
【0089】
エアロゾル発生物品90は、エアロゾル形成材料92の本体とフィルタ94とを備える。この場合、エアロゾル形成材料は、固体又は半固体の材料のタイプであり、植物由来の材料、特にタバコを含み得る。エアロゾル形成材料は、エアロゾルフォーマを含み得る。
【0090】
第1のサセプタ96は、本体の第1の領域92A全体に実質的に均一に分散する複数の微粒子として形成される。第2のサセプタ98は、本体の第1の領域92A及び第2の領域92B全体に実質的に均一に分散する複数の微粒子として形成される。第1のサセプタ96の共振周波数は250kHzである。第2のサセプタ98の共振周波数は200kHzである。
【0091】
エアロゾル発生物品90に隣接して配置された誘導コイル(図示せず)が250kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第1のサセプタ96の微粒子が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、本体の第1の領域92Aに伝達される。誘導コイルが200kHzに実質的に等しい周波数で電磁場を発生する場合、第2のサセプタ98の微粒子が誘導加熱され、この熱が、例えば伝導によって、本体の第1の領域92A及び第2の領域92Bに伝達される。
【0092】
図7の矢印は、エアロゾル発生物品90内のエアロゾルの流れ方向を示している。したがって、第1の領域92Aは第2の領域92Bの下流にあることがわかる。本体の第1の領域92Aは、加熱シーケンスの第1のステップにおいて、250kHzの周波数で電磁場を発生することにより選択的に加熱されて、フィルタ94を通してユーザに吸入されるエアロゾルを第1の領域において発生し得る。本体の第1の領域92A及び第2の領域92Bは、加熱シーケンスの第2のステップにおいて、200kHzの周波数で電磁場を発生することにより選択的に加熱されて、第2の領域92Bにおいてエアロゾルを発生し、第1の領域92Aにエアロゾルが捕捉されるのを防ぐことができる。
【0093】
図8を参照すると、本開示の例によるエアロゾル発生物品100の部分が概略的に示されている。
【0094】
第1のサセプタ102は平面条片として形成される。第2のサセプタ104は平面条片として形成される。第3のサセプタ106は平面条片として形成される。条片は、電気絶縁材料108にラミネートされ、エアロゾル形成材料の本体(図示せず)に結合された後、個々のセグメントに切断される。或いは、条片は、エアロゾル形成材料に結合する前に、個々のセグメントに切断することもできる。
【0095】
第1のサセプタ102の共振周波数は250kHzである。第2のサセプタ104の共振周波数は200kHzである。第3のサセプタ106の共振周波数は180kHzである。
【0096】
図9を参照すると、本開示の例によるエアロゾル発生デバイス110が概略的に示されている。
【0097】
エアロゾル発生デバイス110は、エアロゾル発生物品、この場合、図4及び図6に示されるいわゆる「ポッド」型エアロゾル発生物品を受け入れるように適合された空洞114を画定するらせん状の誘導コイル112を備える。エアロゾル発生デバイス110はマウスピース116を備え、マウスピース116を通して、ユーザが放出されたエアロゾルを吸入できる。同様のエアロゾル発生デバイスは、「スティック」型エアロゾル発生物品を受け取るように適合され得る。そのようなエアロゾル発生デバイスでは、ユーザがエアロゾル発生物品の一体型フィルタを通して放出されたエアロゾルを吸入するため、マウスピースが含まれない。
【0098】
エアロゾル発生デバイスは、コントローラ118と電源120とを備える。
【0099】
コントローラ118は、特定の周波数で交流電磁場を選択的に発生するように誘導コイル112を制御するように適合される。特に、コントローラ118は、第1のサセプタを誘導加熱するための250kHzの第1の周波数で第1の電磁場を、また第2のサセプタを誘導加熱するための200kHzの第2の周波数で第2の電磁場を発生するように誘導コイル112を制御し得る。エアロゾル発生物品が第3のサセプタを備える場合、コントローラ118は、第3のサセプタを誘導加熱するための180kHzの第3の周波数で第3の電磁場を発生するように誘導コイル112を制御し得る。
【0100】
コントローラ118は、1つ又は複数の加熱シーケンスにしたがって異なる周波数を発生するために誘導コイル112を制御し得る。加熱シーケンスの間、異なる周波数が特定のシーケンス又は順序で特定の期間発生され得る。各加熱シーケンスについて、周波数の順序、及び各周波数を発生させる期間を選択して、所望の加熱効果を提供できる。例えば、図7に示すエアロゾル発生物品90に関連して、加熱シーケンスは、250kHzの第1の周波数で第1の電磁場を発生して、第1のサセプタ96の微粒子を一定期間誘導加熱する第1のステップと、200kHzの第2の周波数で第2の電磁場を発生して、第2のサセプタ98の微粒子を一定期間誘導加熱する第2のステップとを含み得る。それぞれ図1図3図6、及び図8に示す、エアロゾル発生物品10、30、50、60、80、及び100の場合、加熱シーケンスは、250kHzの第1の周波数で第1の電磁場を発生して、第1のサセプタを一定期間誘導加熱する第1のステップと、200kHzの第2の周波数で第2の電磁場を発生して、第2のサセプタを一定期間誘導加熱する第2のステップと、180kHzの第3の周波数で第3の電磁場を発生して、第3のサセプタを誘導加熱する第3のステップとを含み得る。第1、第2、及び第3のサセプタは、任意の順序で、任意の適切な期間、誘導加熱することができる。加熱シーケンスは適切な回数繰り返すことができる。コントローラによってより複雑な加熱シーケンスを利用でき、例えば、サセプタが加熱される順序や加熱時間が変化する加熱シーケンスを利用できる。コントローラは、必要に応じて加熱シーケンスを起動、停止、又はリセットできる。適切な加熱シーケンスは、エアロゾル発生デバイス110によって、例えば空洞114に挿入されるエアロゾル発生物品のタイプに基づいて、自動的に、又はユーザによって手動で選択され得る。
【0101】
以上の段落では例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対する様々な修正がなされ得ることを理解されたい。したがって、特許請求の範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0102】
文脈上、明らかに別段の要請のない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9