(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】バイクフィッテイングのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/20 20200101AFI20231018BHJP
B62J 99/00 20200101ALI20231018BHJP
G06F 30/15 20200101ALI20231018BHJP
【FI】
G06F30/20
B62J99/00
G06F30/15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021059328
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2021-03-31
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594046167
【氏名又は名称】巨大機械工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】張 雅涵
(72)【発明者】
【氏名】謝 長欣
(72)【発明者】
【氏名】呉 佩旻
(72)【発明者】
【氏名】朱 晏慶
(72)【発明者】
【氏名】許 勝賀
(72)【発明者】
【氏名】陳 俊榮
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0332956(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0379135(US,A1)
【文献】特開2010-105474(JP,A)
【文献】特開2017-013657(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0065733(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0142177(US,A1)
【文献】NORMAN, P.,New idmatch bike fitting system automatically adjusts your fit as you pedal,Cycling Weekly [online],Future Publishing Limited,2018年08月14日,[検索日 2022.05.17], インターネット,URL:https://www.cyclingweekly.com/news/product-news/new-idmatch-bike-fitting-system-automatically-adjusts-fit-pedal-391108
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
B62J 1/00 -99/00
B62K 1/00 -23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイクフィッテイングのための方法であって、
1以上のシナリオパラメータに基づき、複数の評価係数を特定することと、
ユーザがペダリングしているとき、サドルとハンドルバーのうちの少なくとも1つを1以上の位置に配置することと、
前記1以上の位置で1以上のセンサから受け取ったデータに応じて、前記複数の評価係数のための値を決定することと、
前記サドル又は前記ハンドルバーのための1以上の推奨位置を特定するた
め、処理すること
であって、前記1以上の推奨位置が、前記ハンドルバーと前記サドルのうちの少なくとも1つのための推奨位置の範囲を含む、処理することとを含み、
前記処理することは、
前記1以上の推奨位置の関心領域を複数のサブ領域に分割することと、
前記複数のサブ領域内の複数のサンプル点を、前記サドルと前記ハンドルバーのうちの少なくとも1つを配置するための複数の位置として選択することと、
最高スコアを有する、前記複数のサンプル点のうちの対応する1つに関連付く、前記複数のサブ領域のうちの1つを、次の反復サイクルにおける前記関心領域として特定することと、
現在の反復サイクルにおける前記複数のサンプル点のスコアが同一又は閾値範囲内にある場合、前記現在の反復サイクルにおける前記関心領域の中心点を、前記1以上の推奨位置として特定することとを含み、
前記バイクフィッテイングのための方法は、さらに、
特定した前記サドル又は前記ハンドルバーの前記1以上の推奨位置に基づいて前記サドル又は前記ハンドルバーの位置を調
整することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記関心領域を分割することが、
前記関心領域をMとNが整数であるM×Nマトリックスに分割することであって、前記M×Nマトリックスの各セルが前記複数のサンプル点のうちの1つを含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の評価係数が、ペダリングの機械効率に関連付く係数、ペダリングの生体力学的効率に関連付く係数、又はペダリングの間のユーザ快適性係数を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1以上のセンサが、パワーセンサ、ケイデンスセンサ、位置センサ、速度センサ、モーションセンサ、筋電位センサ、心拍センサ、圧力センサ、呼吸センサ、慣性計測ユニットセンサ、又はそれらの任意の組合せを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
騎乗持続時間、騎乗パフォーマンス、傷害パラメータ、騎乗条件、前記ユーザの体力情報、又はそれらの組合せに関連付く情報を含む、前記1以上のシナリオパラメータを受け取ることを更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の評価係数のための複数の重み付け組合せをデータベースに格納することと、
前記1以上の位置に対応するスコアを算出するための前記複数の評価係数の重みを決定するため、前記1以上のシナリオパラメータに一致する前記複数の重み付け組合せのうちの1つを選択するため前記データベースにアクセスすることと
を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
バイクフィッテイングのための装置であって、
1以上のセンサと、
サドル及びハンドルバーと、
命令のセットを格納するよう構成された、1以上の記憶装置と、
前記装置に、
1以上のシナリオパラメータに基づき、複数の評価係数を特定することと、
ユーザがペダリングしているとき、前記サドルと前記ハンドルバーのうちの少なくとも1つを1以上の位置に配置することと、
前記1以上の位置で前記1以上のセンサから受け取ったデータに応じて、前記複数の評価係数のための値を決定することと、
前記サドル又は前記ハンドルバーのための1以上の推奨位置を特定するた
め、値を処理すること
であって、前記1以上の推奨位置が、前記ハンドルバーと前記サドルのうちの少なくとも1つのための推奨位置の範囲を含む、処理することと
を行わせるため前記命令のセットを実行するよう構成された、1以上のプロセッサと
を含
み、
前記1以上のプロセッサが、前記装置に、
前記1以上の推奨位置の関心領域を複数のサブ領域に分割することと、
前記複数のサブ領域内の複数のサンプル点を、前記サドルと前記ハンドルバーのうちの少なくとも1つを配置するための複数の位置として選択することと、
最高スコアを有する、前記複数のサンプル点のうちの対応する1つに関連付く、前記複数のサブ領域のうちの1つを、次の反復サイクルにおける前記関心領域として特定することと、
現在の反復サイクルにおける前記複数のサンプル点のスコアが同一又は閾値範囲内にある場合、前記現在の反復サイクルにおける前記関心領域の中心点を、前記1以上の推奨位置として特定することと、
特定した前記サドル又は前記ハンドルバーの前記1以上の推奨位置に基づいて前記サドル又は前記ハンドルバーの位置を調
整することと
を行わせるため前記命令のセットを実行するよう構成され
た、装置。
【請求項8】
前記1以上のプロセッサが、前記装置に前記関心領域をMとNが整数であるM×Nマトリックスに分割させるため、前記命令のセットを実行するよう構成され、前記M×Nマトリックスの各セルが前記複数のサンプル点のうちの1つを含む、
請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の評価係数が、ペダリングの機械効率に関連付く係数、ペダリングの生体力学的効率に関連付く係数、又はペダリングの間のユーザ快適性係数を含む、
請求項
7に記載の装置。
【請求項10】
前記1以上のセンサが、パワーセンサ、ケイデンスセンサ、位置センサ、速度センサ、モーションセンサ、筋電位センサ、心拍センサ、圧力センサ、呼吸センサ、慣性計測ユニットセンサ、又はそれらの任意の組合せを含む、
請求項
7に記載の装置。
【請求項11】
前記1以上のプロセッサが、前記装置に、騎乗持続時間、騎乗パフォーマンス、傷害パラメータ、騎乗状況、前記ユーザの体力情報、又はそれらの組合せに関連付く情報を含む前記1以上のシナリオパラメータを受け取らせるため、前記命令のセットを実行するよう構成された、
請求項
7に記載の装置。
【請求項12】
前記1以上のプロセッサが、前記装置に、
前記複数の評価係数のための複数の重み付け組合せをデータベースに格納することと、
前記1以上の位置に対応するスコアを算出するための前記複数の評価係数の重みを決定するため、前記1以上のシナリオパラメータに一致する前記複数の重み付け組合せのうちの1つを選択するため前記データベースにアクセスすることと
を行わせるため、前記命令のセットを実行するよう構成された、
請求項
7に記載の装置。
【請求項13】
バイクフィッテイングのための方法を開始するため装置の1以上のプロセッサにより実行可能な命令のセットを格納する、非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記方法が、
1以上のシナリオパラメータに基づき、複数の評価係数を特定することと、
ユーザがペダリングしているとき、サドルとハンドルバーのうちの少なくとも1つを1以上の位置に配置することと、
前記1以上の位置で1以上のセンサから受け取ったデータに応じて、前記複数の評価係数のための値を決定することと、
前記サドル又は前記ハンドルバーのための1以上の推奨位置を特定するため、値を
反復処理すること
であって、前記1以上の推奨位置が、前記ハンドルバーと前記サドルのうちの少なくとも1つのための推奨位置の範囲を含む、処理することと
を含
み、
前記命令のセットが、前記装置に
前記1以上の推奨位置の関心領域を複数のサブ領域に分割することと、
前記複数のサブ領域内の複数のサンプル点を、前記サドルと前記ハンドルバーのうちの少なくとも1つを配置するための複数の位置として選択することと、
最高スコアを有する、前記複数のサンプル点のうちの対応する1つに関連付く、前記複数のサブ領域のうちの1つを、次の反復サイクルにおける前記関心領域として特定することと、
現在の反復サイクルにおける前記複数のサンプル点のスコアが同一又は閾値範囲内にある場合、前記現在の反復サイクルにおける前記関心領域の中心点を、前記1以上の推奨位置として特定することと
を更に実行させるため、前記1以上のプロセッサにより実行可能であり、
前記方法が、さらに、
特定した前記サドル又は前記ハンドルバーの前記1以上の推奨位置に基づいて前記サドル又は前記ハンドルバーの位置を調
整することと
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記命令のセットが、前記装置に、騎乗持続時間、騎乗パフォーマンス、傷害パラメータ、騎乗状況、前記ユーザの体力情報、又はそれらの組合せに関連付く情報を含む前記1以上のシナリオパラメータを受け取ることを更に実行させるため、前記1以上のプロセッサにより実行可能である、
請求項1
3に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記命令のセットが、前記装置に、
前記複数の評価係数のための複数の重み付け組合せをデータベースに格納することと、
前記1以上の位置に対応するスコアを算出するための前記複数の評価係数の重みを決定するため、前記1以上のシナリオパラメータに一致する前記複数の重み付け組合せのうちの1つを選択するため前記データベースにアクセスすることと
を更に実行させるため、前記1以上のプロセッサにより実行可能である、
請求項1
3に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサイクリングに関するものであり、より具体的には、バイクフィッテイングのための方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイクリングは、人間が機械と共に作業する1つの例である。人間が機械とシームレスに作業するため、2者の間のフィッテイングが重要な考慮事項である。人はそれぞれ他人とは身長、体重、性別、体格、ボディマス指数、筋力、筋密度、身体の異なる部分の長さと強度、姿勢、能率、速度、及び多くの他の考慮事項と測定値が異なる。これら要素の1つ以上を、機械、機械のジオメトリ、地形、道路状況、及び他の変数に適合させることが重要となる。これにはまた、安全性、健康、パフォーマンス、及び他の指標が含まれる。サイクリングがレジャー、トレーニング、競技スポーツ、又は他の理由で行われるかに関わらず、適切またはより好ましい適合が、1以上の指標における改善又は変化をもたらし、サイクリング活動をより楽しく、やりがいのある、効率的、及び/又は安全なものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
サイクリングレース又は他のサイクリングイベントにおいて、アスリートの持久力を向上させ、騎乗者と自転車との間の適切な「フィット」を実現するため、所謂「バイクフィッティング」技術が開発されている。騎乗者に自転車をフィットさせることにより、自転車の様々な様態、変数、及び/又はジオメトリが、個人の騎乗パフォーマンス、効率、及び/又は安全性を向上させるため、騎乗者のサイズ、体格、能力、騎乗スタイル、騎乗習慣、及び/又は他の側面に応じて調整される。サイクリングの人気が高まり続け、特定のイベントや活動の競争が激化するにつれ、正確、効果的、及び/又は効率的なバイクフィッテイングが望まれる。また、フィッティング方法又はシステムを提供し、それらをプロ、セミプロ、及びレジャーのサイクリストに提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態と一致し、バイクフィッティングのための方法を提供する。バイクフィッティングのための方法は、1以上のシナリオパラメータに基づき複数の評価係数を受け取ることと、ユーザがペダリングしているときサドルとハンドルバーのうちの少なくとも1つを1以上の位置に配置することと、1以上の位置で1以上のセンサから受け取ったデータに基づき複数の評価係数のための値を決定することと、サドル又はハンドルバーのための1以上の推奨位置を特定するため値を処理することを含む。
【0005】
いくつかの実施形態と一致し、装置を提供する。該装置は、1以上のセンサと、サドル及びハンドルバーと、命令のセットを格納するよう構成された1以上の記憶装置と、装置に、1以上のシナリオパラメータに基づき複数の評価係数を受け取ることと、ユーザがペダリングしているときサドルとハンドルバーのうちの少なくとも1つを1以上の位置に配置することと、1以上の位置で1以上のセンサから受け取ったデータに基づき複数の評価係数のための値を決定することと、サドル又はハンドルバーのための1以上の推奨位置を特定するため値を処理することとを行わせるため、命令のセットを実行するよう構成された1以上のプロセッサとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態と一致し、非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。非一時的なコンピュータ可読媒体は、装置にバイクフィッテイングのための方法を開始させるため、該装置の1以上のプロセッサにより実行可能な命令のセットを格納する。該方法は、1以上のシナリオパラメータに基づき複数の評価係数を受け取ることと、ユーザがペダリングしているときサドルとハンドルバーのうちの少なくとも1つを1以上の位置に配置することと、1以上の位置で1以上のセンサから受け取ったデータに基づき複数の評価係数のための値を決定することと、サドル又はハンドルバーのための1以上の推奨位置を特定するため値を処理することとを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィッターを訓練する時間が削減でき、異なるフィッターにより実行されたフィッテイングについて結果の一貫性が保証できる。加えて、単純化され自動化されたフィッテイング処理は、必要となるフィッテイング時間を短縮させ、手動処理により引き起こされるエラーを低減し、精度を向上させることができる。このため、より効果的で効率的なバイクフィッテイングが達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に包含され本明細書の一部を構成する添付図面は、いくつかの実施形態を表し、明細書と共に、開示された原理を説明するための例である。
【0009】
【
図1A】
図1Aは、本発明のいくつかの実施形態に一致する、バイクフィッテイングのための例示的なシステムを表す。
【
図1B】本発明のいくつかの実施形態に一致する、例示的なフィッテイングプラットフォームの斜視図と側面図を表す。
【
図1C】本発明のいくつかの実施形態に一致する、例示的なフィッテイングプラットフォームの斜視図と側面図を表す。
【
図1D】本発明のいくつかの実施形態に一致する、
図1Bと
図1Cのフィッテイングプラットフォーム上でペダリングする騎乗者を表す。
【
図1E】本発明のいくつかの実施形態に一致する、
図1Bと
図1Cのフィッテイングプラットフォーム上でペダリングする騎乗者を表す。
【
図2A】
図2Aは、本発明のいくつかの実施形態に一致する、バイクフィッテイングのための例示的な反復処理を表す。
【
図2B】本発明のいくつかの実施形態に一致する、モーションパラメータが対応する好ましい範囲内にあるか否かをそれぞれ表す。
【
図2C】本発明のいくつかの実施形態に一致する、モーションパラメータが対応する好ましい範囲内にあるか否かをそれぞれ表す。
【
図2D】本発明のいくつかの実施形態に一致する、モーションパラメータが対応する好ましい範囲内にあるか否かをそれぞれ表す。
【
図2E】本発明のいくつかの実施形態に一致する、モーションパラメータが対応する好ましい範囲内にあるか否かをそれぞれ表す。
【
図3】
図3は、本発明のいくつかの実施形態に一致する、バイクフィッテイングのた
【
図4A】
図4Aは、本発明のいくつかの実施形態に一致する、バイクフィッテイングのためのもう1つの例示的なシステムを表す。
【
図4B】本発明のいくつかの実施形態に一致する、フィッテイングプラットフォーム上でペダリングする騎乗者を表す。
【
図4C】本発明のいくつかの実施形態に一致する、フィッテイングプラットフォーム上でペダリングする騎乗者を表す。
【
図5】
図5A、5B、5Cは、本発明のいくつかの実施形態に一致する、騎乗者の騎乗効率を評価するための例示的なパラメータをそれぞれ表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は添付の図面に示されここに開示される。都合のよい場合、同一又は同様の部材を参照するため、図面全体で同一の参照符号を用いる。例示的な実施形態の以下の説明に示される実装は、添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の例であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0011】
図1Aは、本発明のいくつかの実施形態に一致する、バイクフィッテイングのための例示的なシステム100を表すブロック図である。いくつかの実施形態において、システム100は、サイクリストの好ましい又は適したサドル及びハンドルバー位置を決定するためのフィッテイングプラットフォームを提供する。バイクフィッテイングシステム100は、フレームサイズ、タイヤサイズ、ハンドルバーサイズ、サドルフィット等を含む、騎乗者に適した自転車のジオメトリ、並びに騎乗者に適した騎乗ポジション、騎乗挙動、騎乗又はペダリング効率、ハンドルバー及びサドル(又はシートポスト)位置と調節を評価又は決定することを助ける。考慮される又は評価されるジオメトリ係数には、シートチューブ長、シートチューブ角、トップチューブ長、ヘッドチューブ長、ヘッドチューブ角、フォークレイク、トレイル、ホイールベース、チェーンステー長、ボトムブラケットドロップ、スタック、リーチ、スタンドオーバーハイト等を含む。バイクフィッティングシステムは、レース、競技、トライアスロン、レジャーライド、長距離ライド、及び様々な騎乗状況や課題のため、騎乗者、プロのサイクリスト、又はマウンテンバイカーを評価、決定、微調整、訓練、又はフィッティングする助けにもなる。
【0012】
いくつかの実施形態において、システム100は、1以上のセンサ110と、制御モジュール120と、メモリデバイス130と、プロセッサ140と、フィッテイングプラットフォーム150とを含む。いくつかの実施形態において、メモリデバイス130とプロセッサ140は、フィッテイングプラットフォーム150内に統合されてよい。いくつかの実施形態において、メモリデバイス130とプロセッサ140は、センサ110、制御モジュール120、及びフィッテイングプラットフォーム150と通信可能に連接された、手持ち型デバイス、タブレット、パーソナルコンピュータ、ネットワークPC、又はクラウドサーバに含まれてよい。
【0013】
制御モジュール120は、1以上の駆動装置122a~122gと、対応する1以上のモーター124a~124gとを含んでよい。フィッテイングプラットフォーム150は、サドル152と、ハンドルバー154、傾斜調節部156a、156bと、抵抗調節部158とを有するバイクフレームを含んでよい。サドル152とハンドルバー154はそれぞれ、x軸(例えば、長手方向)、y軸(例えば、垂直方向)、又は両方に沿ってといった、移動可能に構成されてよい。構成によって、各移動の軸又は複数の軸は、対角線、又は水平線からの傾斜角を有する方向といった、任意の他の方向であってよい。傾斜調節部156a、156bは、道路状況の異なる坂をシミュレートするため傾斜度又は上昇/下降角度を調節するよう構成されてよい。抵抗調節部158は、異なる騎乗条件をシミュレートするためフィッテイングプラットフォーム150の騎乗抵抗を調節するよう構成されてよい。
【0014】
制御モジュール120は、モーター124a~124dにより1以上の軸に沿ってサドル152又はハンドルバー154の位置を調節するよう構成されてよい。いくつかの実施形態において、制御モジュール120は、道路条件、傾斜角、フィッテイングプラットフォーム150の騎乗抵抗、レース又は競技シナリオ、ターン、風、抗力等といった、異なるサイクリングシナリオをシミュレートするためフィッテイングプラットフォーム150を作動する又は動的に作動するよう更に構成されてよい。制御モジュール120は、対応するモーター124e~124gへの適切な命令を用いることにより、これら様々な設定を制御又は実装してよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、センサ110は、1以上のパワーセンサ111、1以上の位置センサ112、1以上のモーションセンサ113、1以上の速度センサ114、1以上の筋電位(EMG)センサ115、1以上の心拍(HR)センサ116、1以上のケイデンスセンサ117、1以上の圧力センサ118、1以上の呼吸センサ119、及びいくつかの他のセンサを含んでよい。
図1Bと
図1Cは、本発明のいくつかの実施形態に一致する、例示的なフィッテイングプラットフォーム150の斜視図と側面図である。センサ110は、フィッテイングプラットフォーム150の対応する位置、又は適切であればフィッテイングプラットフォーム150に乗るユーザに搭載することができる。
【0016】
図1Bと1Cに示されるように、パワーセンサ111a又は111b、速度センサ114a又は114b、ケイデンスセンサ117a又は117bは、抵抗調節部158のエクササイズホイールに搭載する、又はフィッテイングプラットフォーム150のクランクセットの表面に搭載することができる。パワーセンサ111a又は111bは、パワーメータ又は他のパワーセンサといったものから選択できる。圧力センサ118a~118cは、サドル152又はハンドルバー154上に搭載することができる。電荷結合素子(CCD)又は赤外線カメラデバイスといった、位置センサ112a~112cとモーションセンサ113a~113eは、プラットフォームベースの表面、管、又は任意の適切な位置に搭載することができる。いくつかの実施形態において、位置センサ112a~112eとモーションセンサ113a~113eは、例示的なフィッテイングプラットフォーム150から独立した、1以上の外部カメラにより達成することもできる。
【0017】
図1Dと
図1Eは、本発明のいくつかの実施形態に一致する、
図1Bと
図1Cの例示的なフィッテイングプラットフォーム150をペダリングする騎乗者を表す。
図1Dと1Eに示されるように、EMGセンサ115a~115dは、騎乗者の脚の筋肉又は腕の筋肉へ取り付けることができ、HRセンサ116は騎乗者の胸又は手首へ取り付けることができる。呼吸センサ119は、騎乗者の顔の上又は周囲の、呼吸管、カニューレ、マスク又は他の装置内に組み込むことができる。位置センサ112a~112eとモーションセンサ113a~113eに対応する感知タグTa、Tb、Tc、Td、Te、Tfが、騎乗者の身体関節(例えば、足首、膝、腰、肩、肘、手首)に取り付けられることができる。感知タグTa、Tb、Tc、Td、Te、Tfは、ペダリングの間の身体関節の位置と動きを特定するため、光学又は電磁信号を送信する、又は位置センサ112a~112eとモーションセンサ113a~113eからの信号を反射することができる。
【0018】
再び
図1Aを参照し、1以上のセンサ110は、データを測定するよう構成することができる。測定データは、メモリデバイス130内のデータベースに格納することができる。加えて、メモリデバイス130は、開示される実施形態に一致する動作を実行するためプロセッサ140により実行されるソフトウェア命令を格納できる。例えば、プロセッサ140は、以下に詳細に説明する、ユーザがシステム100のフィッテイングプラットフォーム上でペダルを踏んだときシステム100にバイクフィッテイングのための方法を実行させるため、メモリデバイス130に格納された命令のセットを実行するよう構成することができる。ここで説明される例は例示的なものであり、センサ110、制御モジュール120、メモリデバイス130、プロセッサ140、及びフィッテイングプラットフォーム150の間の通信を確立する他の方法を使用できることが理解されよう。例えば、ネットワーク環境において、プログラマブルコード、アプリケーションプログラム、ソフトウェア命令、及びデータベースは、リモートコンピュータ又はクラウドサーバに格納されてもよい。命令を実行することにより、プロセッサ140は、評価のために用いられる様々な係数を得るため、センサ110からのデータに基づき様々な処理又は計算を実行することができる。例えば、これら係数には、下記の段落において詳細に説明される、1以上の機械効率係数、1以上の生体力学的効率係数、及び1以上のユーザ快適性係数を含んでよい。ここで特定される評価係数は単なる例であり、本発明を限定することを意図していないことが理解されよう。
【0019】
いくつかの実施形態において、システム100は、1以上のモーション又は身体位置又は姿勢センサ113により撮像された画像に基づき、評価係数を取得してもよい。いくつかの実施形態において、1以上のモーション又は身体位置又は姿勢センサ113は、ユーザ又はサイクリストが騎乗している間にユーザ又はサイクリストの身体部分の様々な部分を特定するよう構成されたカメラを含んでよい。例えば、センサ113は、様々な関節(例えば、腰、膝、足首)での又はその付近の角度(例えば、
図1Eに示された腰角度Ang1、膝角度Ang2、足首角度Ang3)又は動きの範囲、もしあれば、理想的又は現在の角度と範囲からの変位、異常等を特定できる。
【0020】
プロセッサ140は、センサ113により取得された様々なパラメータを更に処理してよい。例えば、プロセッサ140は、これらパラメータが対応する望ましい範囲内にあるかを知るため、これらパラメータを異なる閾値と比較してよく、比較結果に基づき係数を適宜決定してよい。これら係数はセンサ110からのデータとセンサ113からのデータに基づき取得されてもよいことが理解されよう。理解し易いように、評価係数の処理又は計算を以下の段落で詳細に説明する。以下で説明される計算は単なる例であり、本発明を限定することを意図していないことに注意されたい。
【0021】
いくつかの実施形態において、機械効率係数は、パワーセンサ111、ケイデンスセンサ117、速度センサ114、及びモーションセンサ113からのデータに基づき算出してよい。パワーセンサ111は、ユーザの踏力を得るよう構成される。モーションセンサ113は、ペダリングの間の、足首角度、膝角度、腰角度、肩角度、肘角度、手首角度といった様々な身体関節角度と、異なるケイデンス値におけるこれら身体関節の水平及び垂直変位といった、モーションパラメータを測定するよう構成される。ケイデンスセンサ117は、ケイデンス、即ち毎分回転数(rpm)を感知するよう構成される。速度センサ114は、ペダリングケイデンスとギヤ比とに基づき比較されることができる自転車の速度を感知するよう構成される。
【0022】
これらデータに基づき、プロセッサ140は、合力に対する有効力の割合を算出し、速度が力とどう相関するかを算出することができ、これはユーザの騎乗効率を示す。いくつかの実施形態において、有効力は、クランクアームに垂直に作用する力を指し、合力はペダルに加えられる総力を指す。
【0023】
プロセッサ140は、モーションパラメータが機械効率のための対応する好ましい範囲にあるか否かも判定する。いくつかの実施形態において、実験結果に基づき、身体関節角度の最大及び最小値の好ましい範囲は、メモリデバイス130内のデータベースに格納されることができる。例えば、下記表1は、機械効率のための身体関節角度の最大及び最小値の例示的な好ましい範囲を示している。
【0024】
【0025】
従って、プロセッサ140は、評価されたモーションパラメータの総数に対する、範囲内のモーションパラメータの数の割合を算出することにより、騎乗姿勢指標を取得する。次いで、プロセッサ140は、取得されたデータ、計算結果、騎乗姿勢指標、又はそれらの組合せに基づき機械効率係数を決定できる。いくつかの実施形態において、機械効率係数は、フィッテイング処理の間に騎乗者に取り付けられた1以上のIMUセンサからの慣性計測ユニット(IMU)データに基づき決定されたペダリング効率であってもよい。例えば、1以上のIMUセンサは、フィッテイング処理の間に1以上のライダーギアの適切な位置に搭載することができる。ライダーギアは、ヘルメット、サイクリングゴーグル、サイクリングジャケット、サイクリングパンツ、サイクリンググローブ、サイクリングシューズ/ブーツ、又は騎乗者のための他のアクセサリを含んでよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、生体力学的効率係数は、パワーセンサ111、EMGセンサ115、心拍センサ116、呼吸センサ119、及びモーションセンサ113からのデータに基づき算出することができる。EMGセンサ115と心拍センサ116は、ペダリングの間のユーザのEMG振幅と心拍数を検出するよう構成される。呼吸センサ119は、ユーザの酸素摂取量又は呼吸数を検出するよう構成される。加えて、いくつかの実施形態において、呼吸センサ119は、ペダリングの間のユーザのトレーニング状態を特定するよう更に構成されることができる。例えば、呼吸センサ119は、ユーザの呼吸が好気性であるか嫌気性であるかを示すために用いることもできる。
【0027】
これらデータに基づき、プロセッサ140は、EMG振幅により除算した有効力を算出し、心拍数により除算したパワー出力を算出し、酸素摂取量により除算したパワー出力を算出できる。次いで、プロセッサ140は、取得されたデータ、計算結果、騎乗姿勢指標、適用されたエネルギーシステム、又はそれらの組合せに基づき、生体力学的効率係数を決定できる。例えば、いくつかの実施形態において、生体力学的効率係数は、EMG振幅により除算された有効力として定義されるペダリング効率であってよい。いくつかの実施形態において、生体力学的効率係数は、フィッテイング処理の間、騎乗者に取り付けられた又は1以上のライダーギアに搭載された1以上のIMUセンサからのIMUデータに基づき決定されたペダリング効率であってよい。
【0028】
プロセッサ140は、モーションパラメータが生体力学的効率係数のための対応する好ましい範囲内にあるか否かを判定することもできる。例えば、下記表2と表3はそれぞれ、筋電位振幅及び生体力学的効率のための、身体関節角度の最大及び最小値の例示的な好ましい範囲を示す。
【0029】
【0030】
【0031】
いくつかの実施形態において、ユーザ快適性係数は、EMGセンサ115、心拍センサ116、圧力センサ118、及びユーザのフィードバックに基づく快適性アンケートに基づき算出できる。
【0032】
圧力センサ118は、サドル又はハンドルバー上の圧力を検出するよう構成される。例えば、圧力センサ118は、ピーク圧力値、サドル又はハンドルバー上の圧力の分布と面積、サドル又はハンドルバー上の特定の位置の圧力値等を含む情報を提供してよい。これらデータに基づき、プロセッサ140は、単位面積当たりの圧力値を算出できる。次いで、プロセッサ140は、サドル圧力又はハンドルバー圧力、心拍数、EMG振幅、計算結果、騎乗姿勢指標、快適性アンケート、又はそれらの組合せを含む、取得されたデータに基づきユーザ快適性係数を決定できる。
【0033】
プロセッサ140は、モーションパラメータが快適性のための対応する好ましい範囲内にあるか否かも判定できる。例えば、下記表4は、快適性のための身体関節角度の最大及び最小値の例示的な好ましい範囲を示している。
【0034】
【0035】
いくつかの実施形態において、プロセッサ140は、これら評価係数を算出するとき、標準化処理を適用することができる。次いで、プロセッサ140は、標準化された評価係数に基づき全体的なスコアを算出できる。いくつかの実施形態において、標準化された評価係数は、全体的なスコアを算出するため、それぞれの重みにより乗算される。評価係数のための重みは、ユーザ又はフィッティングを担当するスタッフ(フィッター)により選択又は特定された1以上のシナリオパラメータに基づき変化してよい。例えば、シナリオパラメータは、騎乗持続時間パラメータ、騎乗パフォーマンスパラメータ、傷害パラメータ、騎乗環境パラメータ、身体適性パラメータ等を含んでよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、騎乗持続時間パラメータは、騎乗時間又は騎乗距離を含んでよい。騎乗パフォーマンスパラメータは、騎乗の推定速度又は推定パワーを含んでよい。傷害パラメータは、傷害の種類と負傷した身体部分とを含んでよい。騎乗環境パラメータは、推定される風の抵抗、温度、湿度といった天候条件と、上り坂及び下り坂と路面の質(例えば、舗装面、未舗装路、砂利、草、又はそれらの混合条件)といったルート状況とを含む。身体適性パラメータは、筋肉の持久力や柔らかさなど、ユーザの個人的な体力評価を含む。
【0037】
例えば、第1の騎乗者のためのフィッテイングを実行するとき、フィッターは、コンピュータデバイスのキーボード、マウス、タッチスクリーン、ボタン等といったユーザインターフェイスを介し、風速毎時20キロメートルを有し50キロメートルにわたり2パーセント(即ち2%)の傾斜を毎時20キロメートルで騎乗する第1のシナリオを設定し、第1の騎乗者は右膝を負傷しており、第1の騎乗者の柔軟性と体力条件は相対的に不良あることを特定する。従って、プロセッサ140は、これらシナリオパラメータに基づき評価係数の重みを設定又は算出できる。
【0038】
例えば、第1のシナリオにおいて、対応するモーター124c~124fに適切な命令を送出することにより、プロセッサ140はフィッテイングプラットフォームの傾斜度を2%に調節できる。加えて、履歴データ、実験結果、コンピュータシミュレーション、又はAIに基づく分析に基づき、プロセッサ140は生体力学的効率係数が最も重要な係数であり、ユーザ快適性が最も重要でない係数であると決定してよい。従って、機械効率係数のための重みが0.3として設定され、生体力学的効率係数のための重みが0.5として設定され、ユーザ快適性係数のための重みが0.2として設定される。
【0039】
プロセッサ140は、機械効率係数として有効力に対する速度の割合を生体力学的効率係数として、心拍数毎のパワー出力をユーザ快適性係数として、サドルのピーク圧力値をユーザ快適性係数として、適宜用いることができる。次いで、標準化処理の後、各サンプル位置のスコアが、標準化された係数の加重和により取得できる。
【0040】
もう1つの例として、第2の騎乗者のためのフィッテイングを実行するとき、フィッターは、ラップトップ又はスマートフォンといったユーザインターフェイスを介し、毎時10キロメートルの風速において50キロメートルにわたり平坦な道を毎時30キロメートルで騎乗する第2のシナリオを設定し、第2の騎乗者は傷害の履歴がなく、第2の騎乗者の柔軟性と体力条件は相対的に良好であることを特定する。従って、プロセッサ140は、これらシナリオパラメータに基づき、第2のシナリオのための評価係数の重みを設定又は算出できる。このため、プロセッサ140は、騎乗者のための特定の条件に基づく個人向けフィッテイングを実行する、又は同一の騎乗者のための異なるバイクルート又は異なる天候条件に対応する異なるフィッテイング設定を提供できる。
【0041】
第2のシナリオにおいて、プロセッサ140は、ユーザ快適性が最も重要な係数であり、機械効率と生体力学的効率が比較的重要でないと決定してよい。従って、機械効率係数のための重みが0.2として設定され、生体力学的効率係数のための重みが0.2として設定され、ユーザ快適性係数のための重みが0.6として設定される。
【0042】
プロセッサ140は、合力に対する有効力の割合を機械効率係数として、EMG振幅毎のパワー出力を生体力学的効率として用いることができ、ユーザにより入力された主観的快適スコアをユーザ快適性係数として適宜適用することができる。次いで、標準化処理の後、各サンプル位置のスコアが、標準化された係数の加重和により取得できる。
【0043】
様々な指標を評価係数として用いることが可能であり、これに基づきセンサがシステム100に取り付けられることに注意されたい。例えば、プロセッサ140は、最初に、機械効率係数のための重みを0.3、生体力学的効率係数をのための重みを0.5、ユーザ快適性係数のための重みを0.2と決定してよい。パワーセンサ111とモーションセンサ113とを有するシステム100において、機械効率係数は合力に対する有効力の割合であることができ、生体力学的効率係数は騎乗姿勢指標であることができる。加えて、機械効率係数及び生体力学的効率係数のための重みは、システム100のセンサに基づきユーザ快適性係数として適切な指標が取得できない(例えば、ユーザ快適性係数のための重みが0に設定される)場合、それぞれ0.375及び0.625に割合を調節できる。
【0044】
様々な実施形態において、上述した対応する重みは、様々な方法を用いて決定できる。例えば、ユーザにより提供されたシナリオパラメータに基づき各評価係数のための対応する重みを決定するため、マッピングテーブルをメモリデバイス130に格納することができる。換言すれば、評価係数のための異なる重み付けの組合せを、メモリデバイス130内のデータベースに格納することができる。従って、プロセッサ140は、対応する重みを決定するため、シナリオパラメータに一致する重み付けの組合せを選択するためデータベースにアクセスできる。いくつかの他の実施形態において、各評価係数のための対応する重みを決定するため、様々な人工知能(AI)又は機械学習(ML)アルゴリズム、又はビッグデータ分析を採用した実験結果を統合することができる。
【0045】
従って、システム100は、特定のサドル位置で騎乗するユーザの合計スコアを算出できる。フィッテイング処理の間、システム100は、ユーザのための適する又は最適化したサドル位置を決定するための異なる位置での対応するスコアを順に取得するため、サドル位置をx軸及びy軸の両方に沿って調節し、感知動作と計算を繰り返すことができる。同様に、いくつかの実施形態において、システム100は、ユーザのための適する又は最適化したハンドルバー位置を決定するため、同様の動作を実行できる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態に一致する、バイクフィッテイングのための例示的な反復処理を表す
図2Aを参照する。
図2Aに示されるように、いくつかの実施形態において、システム100は反復処理によりサドル位置を最適化できる。第1の反復において、調節のための可能な領域200が、9つの候補領域(例えば、左上、上、右上、左中央、中央、右中央、左下、下、右下の領域210~290)を含む3×3マトリックスに分割される。例えば、サドル152は、長手方向又は垂直方向に沿って、45mm×45mmの正方形領域内に移動可能であり、各領域210~290は15mm×15mmの正方形である。いくつかの実施形態において、サドル152は100mm×100mmの正方形領域内を移動可能である。ユーザのペダリングの間にサドル位置を調節することにより、システム100は、各領域210~290の中心位置で評価係数を取得し、重み付けされたスコアを適宜算出するよう構成される。領域210~290のスコアを比較することにより、システム100は最高スコアを有する右中央領域260を選択領域として特定できる。
【0047】
次いで、システム100は、選択領域(例えば、領域260)を再び9つの候補サブ領域(例えば、左上、上、右上、左中央、中央、右中央、左下、下、右下の領域261~269)に分割する。例えば、各候補サブ領域261~269は5mm×5mmの正方形である。同様に、システム100は、各サブ領域261~269の中心位置で評価係数を取得し、重み付けされたスコアを適宜算出するよう構成される。サブ領域261~269のスコアを比較することにより、システム100は最高スコアを有する左上サブ領域261を選択領域として特定できる。いくつかの実施形態において、上述した反復処理は、最適サドル位置が見つかるまで何度も来る返すことができる。例えば、サブ領域261内の全サブ領域2611~2619の中心位置でのスコアが実質的に同一又は閾値範囲内(例えば、±1%、±5%、±10%等)にある場合、システム100は反復処理を終了し、サブ領域261の中心位置(例えば、サブ領域2615の中心位置)を最適サドル位置として設定する。いくつかの他の実施形態において、上述した反復処理は、現在の反復サイクルのサブ領域のサイズが閾値(例えば、3mm×3mm)に達した場合、終了することもできる。
【0048】
上述した動作は、ハンドルバー位置を調節して対応するスコアを算出することにより、最適ハンドルバー位置を決定するために適用されてもよい。換言すれば、システム100は、先ず最適サドル位置を決定し、次いで最適ハンドルバー位置を決定するため類似の反復処理を実行できる。いくつかの他の実施形態において、システム100は先にハンドルバー位置を決定し、次いで最適サドル位置を決定するため類似の反復処理を実行してもよい。
【0049】
図2Aの実施形態は単なる例であり、本発明を限定することを意図していないことに注意されたい。当業者にとって、反復処理において様々な改変又は変形を行うことができることは明らかであろう。例えば、いくつかの実施形態において、候補領域の数及びその形状は異なる設定に基づき改変されてよい。例えば、反復処理のための候補となる関心領域は、MとNが整数であるM×Nマトリックスに分割される、又は、三角形のサブ領域又は六角形のサブ領域といった異なる種類の多角形状に分割されることができる。
【0050】
本発明のいくつかの他の実施形態に一致する、サドル152又はハンドルバー154が候補領域に位置するとき、モーションパラメータが機械効率、筋電位振幅、生体力学的効率、及び快適性のための対応する好ましい範囲内にあるか否かをそれぞれ表す
図2B~2Eを参照する。
図2Bに示されるように、領域260、270、280、290は、機械効率のための好ましい範囲を満たす領域である。
図2Cに示されるように、領域230、260、290は、筋電位振幅のための好ましい範囲を満たす領域である。
図2Dに示されるように、領域260、280、290は、生体力学的効率のための好ましい範囲を満たす領域である。
図2Eに示されるように、領域230、250、260は、ユーザ快適性のための好ましい範囲を満たす領域である。従って、これら係数を考慮することにより、システム100は、位置センサ112とモーションセンサ113とにより測定された評価データにより、右中央領域260を選択領域として特定することもできる。上述した反復処理を繰り返すことにより、システム100はサドル位置又はハンドルバー位置を最適化できる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態に一致する、バイクフィッテイングのための例示的な方法300のフロー図である
図3を参照する。方法300は、バイクフィッテイングシステム(例えば、
図1Aのシステム100)により実行されることができるが、発明はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、プロセッサ140は、システム100にバイクフィッテイングのための方法300を実行させるため、メモリデバイス130内に格納された命令を実行するよう構成されることができる。
【0052】
ステップS310において、プロセッサ140は、ユーザインターフェイスを介し騎乗者又はフィッターにより提供された、騎乗時間、騎乗パフォーマンス、傷害パラメータ、騎乗状況、ユーザの身体適性パラメータ、又はそれらの組合せに関連付く情報を含む、シナリオパラメータを受け取る。
【0053】
ステップS320において、プロセッサ140は、受け取ったシナリオパラメータに基づき評価係数の対応する重みを決定する。いくつかの実施形態において、評価係数は、ペダリングの機械効率に関連付く係数と、ペダリングの生体力学的効率に関連付く係数と、ペダリングの間のユーザの快適性に関連付くユーザ快適性係数とを含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、評価係数のための複数の重み付け組合せをデータベースに格納することができる。プロセッサ140は、対応する重みを決定するため、1以上のシナリオパラメータに一致する重み付け組合せを選択するためデータベースにアクセスできる。
【0055】
ステップS330において、プロセッサ140は、関心領域内の複数位置を選択する。例えば、プロセッサ140は、関心領域をサブ領域に分割し、サブ領域内の対応するサンプル点を選択領域として選択してよい。いくつかの実施形態において、プロセッサ140は、関心領域をMとNが整数であるM×Nマトリックスに分割してよい。M×Nマトリックスの各セル(例えば、
図2Aの第1の反復における領域210~290、第2の反復におけるサブ領域261~269、又は第3の反復におけるサブ領域2611~2619)はサンプル点のうちの1つを含む。
【0056】
ステップS331において、プロセッサ140は、ユーザがペダリングしているとき、サドル又はハンドルバーを目標位置に移動させるため、対応するモーター124a~124dを制御する、ステップS332において、サドル又はハンドルバーが目標位置に配置されたとき、センサ110は感知を行いデータをプロセッサ140に提供する。いくつかの実施形態において、センサ110は、パワーセンサ111、ケイデンスセンサ117、位置センサ112、モーションセンサ113、速度センサ114、筋電位センサ115、心拍センサ116、圧力センサ118、呼吸センサ119、IMUセンサ(
図1Aには図示せず)、又はそれらの任意の組合せを含む。ステップS333において、プロセッサ140は、受け取ったデータに基づき評価係数のための値を決定する。ステップS334において、プロセッサ140は、決定した値に基づき目標位置のスコアを算出する。
【0057】
ステップS335において、プロセッサ140は、全ての位置のスコアが算出されたか否かを判定する。否の場合(ステップS335がno)、全ての選択位置のスコアが算出されるまでステップS331~S334を繰り返し実行する。次いで、全ての選択位置が算出された場合(ステップS335がyes)、ステップS340~S360において、プロセッサ140は、スコアに基づき最適なサブ領域又は位置を特定する。
【0058】
例えば、ステップS340において、プロセッサ140は、全ての位置のスコアが同一又は閾値範囲内(例えば、±1%、±5%、±10%等)であるか否かを判定する。否の場合(ステップS340がno)、ステップS350において、プロセッサ140は、最高スコアを有するサンプル点に関連付くサブ領域を新たな関心領域として特定する。ステップS330~S350は、現在の反復サイクルにおけるサンプル点のスコアが実質的に同一又は閾値範囲内となるまで、複数の反復サイクル実行することができる。
【0059】
従って、全ての位置のスコアが同一(ステップS340がyes)又は閾値範囲内にある場合、ステップS360において、プロセッサ140は、現在の反復サイクルにおける関心領域の中心点を最適位置として特定する。上述した反復処理により、プロセッサ140は、算出されたスコアに基づき複数位置から最適位置を特定できる。
【0060】
バイクフィッテイングのための方法300を適用することにより、自動フィッテイング処理が達成できる。バイクフィッテイングシステムは、センサから正確なデータを受け取り、フィッテイング評価のための適切なパラメータを得るため、適宜計算を実行することができる。フィッターの経験と個人的判断に大きく基づく従来のバイクフィッテイング手順と比較し、本発明において開示されたバイクフィッテイングシステムは標準的な動作手順を提供する。従って、フィッターを訓練する時間が削減でき、異なるフィッターにより実行されたフィッテイングについて結果の一貫性が保証できる。加えて、単純化され自動化されたフィッテイング処理は、必要となるフィッテイング時間を短縮させ、手動処理により引き起こされるエラーを低減し、精度を向上させることができる。このため、より効果的で効率的なバイクフィッテイングが達成できる。
【0061】
図4Aは、本発明のいくつかの実施形態に一致する、バイクフィッテイングのための例示的なシステム400を表すブロック図である。
図1Aのシステム100と比較し、システム400において、センサ110は、フィッテイングプラットフォーム150に騎乗する騎乗者に搭載されることのできる1以上の慣性計測ユニット(IMU)センサ415を更に含む。
【0062】
図4Bと
図4Cは、本発明のいくつかの実施形態に一致する、
図1Bと
図1Cの例示的なフィッテイングプラットフォーム150上でペダリングする騎乗者を表す。
図4Bと
図4Cに示されるように、いくつかの実施形態において、1以上のIMUセンサ415a~415dは、ペダリングの間の騎乗者の動きを測定するため、騎乗者の頭、背中、手(ハンドルバー154に隣接した位置)、及び/又は肩に取り付けることができる。上記で説明したように、IMUセンサ415a~415dは、ヘルメット、サイクリングゴーグル、サイクリングジャケット、サイクリングパンツ、サイクリンググローブ、サイクリングシューズ/ブーツ、又は他のアクセサリといった、1以上のライダーギアの1以上の適切な位置に搭載することができる。例えば、IMUセンサ415aは、頭の動きを検出するため騎乗者のヘルメットに搭載されてよい。IMUセンサ415bは、体の動きを検出するため騎乗者のサイクリングジャケットに搭載されてよい。IMUセンサ415cと415dは、手の動きを検出するため騎乗者のサイクリンググローブに搭載されてよい。
【0063】
従って、IMUセンサ415a~415dは、騎乗者の身体の変位や横方向の動き又は揺れを検出し、対応するデータを取得するよう構成されることができる。いくつかの実施形態において、取得されたデータは無線通信を介し送信され、
図4Aに示されたシステム400のメモリデバイス130内のデータベースに格納されることができる。いくつかの実施形態において、IMUセンサ415a~415dは
図3のバイクフィッテイングのための方法300において用いられるセンサである。例えば、方法300のステップS332において、IMUセンサ415a~415dは感知を行いIMUデータをプロセッサ140に提供でき、プロセッサ140はステップS333において受け取ったIMUデータに基づき評価係数のための値を決定できる。上述したように、生体力学的効率又は機械効率係数といった1以上の評価係数は、フィッテイング処理の間に取得されたIMUデータに基づき決定されてよい。
【0064】
図5A、
図5B、
図5Cはそれぞれ、本発明のいくつかの実施形態に一致する、IMUセンサ415a~415dにより取得された例示的なパラメータを表す。
図5A、
図5B、
図5Cに示されたパラメータをは、騎乗者の騎乗効率を評価するために用いることができる。
【0065】
これらパラメータにより、騎乗者のペダリング効率を適宜評価することができる。いくつかの実施形態において、生体力学的効率係数及び/又は機械効率係数は、IMUセンサ415a~415dからのデータに基づき算出できる。例えば、騎乗者の身体のより小さな変位は、ペダリングの間のより少ないパワー損失と、改善された生体力学的効率係数及び/又は機械効率係数を示す。
【0066】
IMUセンサ415a~415dにより検出されメモリデバイス130内に格納された測定データを受け取ることにより、プロセッサ140は取得したデータに基づき生体力学的効率係数及び/又は機械効率係数を決定し、次いでサドル位置又はハンドルバー位置を最適化するため上述した反復処理を実行することができる。
【0067】
ここで説明された様々な例示的な実施形態は、ネットワーク環境においてコンピュータにより実行される、プログラムコードといったコンピュータ実行可能命令を含む、一時的又は非一時的なコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム製品により1つの態様で実装される方法ステップ又は処理の一般的な文脈で説明されている。非一時的な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は他の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の光学データ記憶媒体、穴のパターンを有する物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM又は他のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他のメモリチップ又はカートリッジ、及びそれらのネットワーク化バージョンを含む。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含んでよい。コンピュータ実行可能命令、関連付くデータ構造、及びプログラムモジュールは、ここで説明される方法のステップを実行するためのプログラムコードの例を表す。そのような実行可能命令又は関連付くデータ構造の特定のシーケンスは、そのようなステップ又は処理で説明された機能を実装するための対応する活動の例を表す。
【0068】
特に言及しない限り、ここで用いられる用語「又は」は、実行不可能な場合を除き、全ての可能な組合せを包含する。例えば、データベースはA又はBを含んでよいと言及されている場合、特に明記しない又は実行不可能でない限り、データベースには、A、又はB、又はAとBを含んでよい。2つ目の例として、データベースはA、B、又はCを含んでよいと言及されている場合、特に明記しない又は実行不可能でない限り、データベースには、A、又はB、又はC、又はAとB、又はAとC、又はBとC、又はAとBとCを含んでよい。
【0069】
図面と明細書において例示的な実施形態を開示した。当業者にとって、開示されたシステム及び関連するほうほうに対し様々な改変と変形を行うことができることは明らかであろう。当業者にとって、開示されたシステム及び関連する方法の仕様及び実施を考慮した他の実施形態が明らかであろう。明細書及び実施例は例示のみであり、真の範囲は以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって示されると見なされることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のフィッティング方法又はシステムは、フィットネス機器およびその製造方法に応用することができる。
【符号の説明】
【0071】
100、400…システム
110…センサ
111、111a、111b…パワーセンサ
112、112a~112e…位置センサ
113、113a~113e…モーションセンサ
114、114a、114b…速度センサ
115、115a~115d…筋電位センサ
116…心拍センサ
117、117a、117b…ケイデンスセンサ
118、118a~118c…圧力センサ
119、119a…呼吸センサ
120…制御モジュール
122a~122g…駆動装置
124a~124g…モーター
130…メモリ
140…プロセッサ
150…フィッテイングプラットフォーム
152…サドル
154…ハンドルバー
156a、156b…傾斜調節部
158…抵抗調節部
200、210~290…領域
261~269、2611~2619…サブ領域
300…方法
415、415a~415d…IMUセンサ
510…基準軸
520…曲線
Ang1…腰角度
Ang2…膝角度
Ang3…足首角度
Ta~Tf…感知タグ
S310~S360…ステップ