IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-液化システム 図1
  • 特許-液化システム 図2
  • 特許-液化システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】液化システム
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20231018BHJP
   F25J 1/02 20060101ALI20231018BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
F25J1/00 B
F25J1/02
F25J3/06
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021106431
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2022013820
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】16/916,918
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジュリアン ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エー.ダリー
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-507736(JP,A)
【文献】特開2009-019192(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0061633(US,A1)
【文献】特表2018-530726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する方法であって、前記方法が、
(a)リサイクルガスの1つ以上の流を天然ガス供給流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成することと、前記組み合わせ供給流、もしくは前記天然ガス供給流と組み合わせる前の前記リサイクルガスの1つ以上の流のいずれか、またはその両方を圧縮することと、によって、高圧組み合わせ供給流を形成するステップと、
(b)前記高圧組み合わせ供給流を膨張させて、前記流を冷却し、それによって、冷却された組み合わせ供給流を形成するステップと、
(c)前記冷却された組み合わせ供給流を少なくとも3つの別個の流に分割し、それによって、第1の供給流、第2の供給流、および第3の供給流を形成するステップと、
(d)ガス状冷媒流との間接熱交換を介して、前記第1の供給流をさらに冷却するステップであって、前記第1の供給流が、第1のLNG流を形成するように冷却され、前記ガス状冷媒流が、前記リサイクルガスの1つ以上の流のうちの1つを形成する加温されたガス状冷媒の流を形成するように加温される、冷却するステップと、
(e)前記第2の供給流をさらに膨張させて、前記流をさらに冷却し、それによって、液体画分および蒸気画分を有する2相である、さらに膨張および冷却された第2の供給流を形成し、前記液体画分および前記蒸気画分を分離して、前記蒸気画分から前記ガス状冷媒流を形成し、前記液体画分から第2のLNG流を形成するステップと、
(f)第1のフラッシュガス流との間接熱交換を介して、前記第3の供給流をさらに冷却して、第3のLNG流を形成するステップと、
(g)各流が液体画分および蒸気画分を有するように、前記第1のLNG流、前記第2のLNG流、および前記第3のLNG流をフラッシュし、前記液体画分および前記蒸気画分を分離して、前記流のうちの1つ以上の前記液体画分から第1のLNG生成物流を形成し、前記流のうちの1つ以上の前記蒸気画分から前記第1のフラッシュガス流を形成するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記高圧組み合わせ供給流が、少なくとも150baraの圧力にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)は、前記高圧組み合わせ供給流がおよそ周囲温度になるように、前記リサイクルガスの1つ以上の流および/または前記組み合わせ供給流を、圧縮の後に1つ以上の周囲温度流体との間接熱交換を介して冷却することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却された組み合わせ供給流が、0℃未満の温度にあり、前記さらに膨張および冷却された第2の供給流が、-110~-140℃の温度にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b)および(e)において、前記高圧組み合わせ供給流および前記第2の供給流が、実質的に等エントロピー的に各々膨張される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)において、前記冷却された組み合わせ供給流は、前記第2の供給流が、前記冷却された組み合わせ供給流が分割される前記別個の流の最大質量流量を有し、前記第1の供給流が、前記冷却された組み合わせ供給流が分割される前記流の第2の最大流量を有するように分割される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の供給流の質量流量が、前記冷却された組み合わせ供給流の質量流量の65~75%であり、前記第1の供給流の質量流量が、前記冷却された組み合わせ供給流の質量流量の20~30%である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記さらに膨張および冷却された第2の供給流の前記蒸気画分が、前記流のうち最大の部分を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のフラッシュガス流が、前記第3の供給流との間接熱交換を介してステップ(f)において加温された後、前記リサイクルガスの1つ以上の流のうちの別の1つを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(d)において、前記第1の供給流が、コイル巻き熱交換器セクション内の前記ガス状冷媒流との間接熱交換を介してさらに冷却され、前記第1の供給流が、前記コイル巻き熱交換器セクションのチューブ側においてさらに冷却され、前記ガス状冷媒流が、前記コイル巻き熱交換器セクションのシェル側において加温される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(a)が、リサイクルガスの1つ以上の流を前記天然ガス供給流と組み合わせて、前記組み合わせ供給流を形成することと、次いで、前記組み合わせ供給流を圧縮することと、によって、前記高圧組み合わせ供給流を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(g)は、各流が液体画分および蒸気画分を有するように、前記第1のLNG流、前記第2のLNG流、および前記第3のLNG流をフラッシュし、前記液体画分および前記蒸気画分を分離して、前記流の全ての前記液体画分から前記第1のLNG生成物流を形成し、前記流の全ての前記蒸気画分から前記第1のフラッシュガス流を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(c)が、前記冷却された組み合わせ供給流を少なくとも4つの別個の供給流に分割し、それによって、第1の供給流、第2の供給流、第3の供給流、および第4の供給流を形成することを含み、
前記方法が、
(h)前記第4の供給流を、第2のフラッシュガス流との間接熱交換を介してさらに冷却して、第4のLNG流を形成するステップと、
(i)各流が液体画分および蒸気画分を有するように、前記第4のLNG流および前記第1のLNG生成物流をフラッシュし、前記液体画分および前記蒸気画分を分離して、前記流のうちの一方または両方の前記液体画分から第2のLNG生成物流を形成し、前記流のうちの一方または両方の前記蒸気画分から前記第2のフラッシュガス流を形成するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(i)は、各流が液体画分および蒸気画分を有するように、前記第4のLNG流および前記第1のLNG生成物流をフラッシュし、前記液体画分および前記蒸気画分を分離して、前記流の両方の前記液体画分から前記第2のLNG生成物流を形成し、前記流の両方の前記蒸気画分から前記第2のフラッシュガス流を形成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法を介して天然ガスを液化するためのシステムであって、前記システムが、
リサイクルガスの1つ以上の流を天然ガス供給流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成することによって高圧組み合わせ供給流を形成し、前記組み合わせ供給流、もしくは前記天然ガス供給流と組み合わせる前の前記1つ以上のリサイクル流のいずれか、またはその両方を圧縮するための、1つ以上の圧縮器を備える、圧縮トレインと、
前記高圧組み合わせ供給流を受容し、かつ膨張させて前記流を冷却し、それによって、冷却された組み合わせ供給流を形成するための、前記圧縮トレインと流体流連通する、第1の膨張デバイスと、
前記冷却された組み合わせ供給流を、第1の供給流、第2の供給流、および第3の供給流を含む、少なくとも3つの別個の流に分割するための、前記第1の膨張デバイスと流体流連通する、導管のセットであって、前記導管のセットが、前記第1の供給流を受容するための第1の導管、前記第2の供給流を受容するための第2の導管、および前記第3の供給流を受容するための第3の導管を備える、導管と、
前記第1の供給流を受容し、ガス状冷媒流との間接熱交換を介してさらに冷却するための、前記第1の導管と流体流連通する、第1の熱交換器セクションであって、前記第1の供給流が、第1のLNG流を形成するように冷却され、前記ガス状冷媒流が、前記リサイクルガスの1つ以上の流のうちの1つを形成する加温されたガス状冷媒の流を形成するように加温される、第1の熱交換器セクションと、
前記第2の供給流を受容し、さらに膨張させて前記流をさらに冷却し、それによって、液体画分および蒸気画分を有する2相であるさらに膨張および冷却された第2の供給流を形成するための、前記第2の導管と流体流連通する、第2の膨張デバイスと、
前記さらに膨張および冷却された第2の供給流を受容し、前記流の前記液体画分および前記蒸気画分を分離して、前記蒸気画分から前記ガス状冷媒流を形成し、前記液体画分から第2のLNG流を形成するための、前記第2の膨張デバイスおよび前記第1の熱交換器セクションと流体流連通する、第1の分離セクションと、
前記第3の供給流を受容し、第1のフラッシュガス流との間接熱交換を介してさらに冷却して、第3のLNG流を形成するための、前記第3の導管と流体流連通する、第2の熱交換器セクションと、
各流が液体画分および蒸気画分を有するように、前記第1のLNG流、前記第2のLNG流、および前記第3のLNG流を受容およびフラッシュするための第3の膨張デバイスまたは膨張デバイスのセット、ならびに前記液体画分および前記蒸気画分を分離して、前記流のうちの1つ以上の前記液体画分から第1のLNG生成物流を形成し、前記流のうちの1つ以上の前記蒸気画分から前記第1のフラッシュガス流を形成するための、前記第3の膨張デバイスまたは膨張デバイスのセットと流体流連通する、第2の分離セクションまたは分離セクションのセットと、を備える、システム。
【請求項16】
ガス状冷媒流との間接熱交換を介して1つ以上の供給流を冷却するのに好適なコイル巻き熱交換器ユニットであって、前記コイル巻き熱交換器ユニットが、熱交換器セクションを囲むシェルケーシングと、前記熱交換器セクションの上に位置する分離セクションと、前記熱交換器セクションを前記分離セクションから分離するパーティションと、前記パーティションを通って延在する、前記熱交換器セクションと分離セクションとの間の1つ以上の導管と、を備え、
前記熱交換器セクションが、前記熱交換器セクションのチューブ側およびシェル側を画定する少なくとも1つのコイル巻きチューブ束を備え、前記チューブ側が、前記1つ以上の供給流を冷却して、1つ以上の冷却された供給流を形成するための前記熱交換器セクションを通る1つ以上の通路を画定し、前記シェル側が、前記ガス状冷媒流を加温して、加温されたガス状冷媒の流を形成するための前記熱交換器セクションを通る通路を画定し、
前記分離セクションが、蒸気画分および液体画分を有する2相流を受容し、前記流の前記液体画分および前記蒸気画分を分離するように構成され、前記液体画分が前記分離セクションの下部に収集され、前記蒸気画分が前記分離セクションの上部に収集され、
前記パーティションおよび前記1つ以上の導管が、前記1つ以上の導管を通る以外の前記分離セクションと前記熱交換器セクションとの間の流体の流れを防止するように構成され、前記1つ以上の導管が、前記分離セクションの前記上部に向かって前記パーティションの上に位置する入口と、前記熱交換器セクションの前記シェル側の前記熱交換器セクションの前記上部に向かって前記パーティションの下に位置する出口と、を各々有し、それによって、前記分離セクションの前記下部に収集された液体が、前記熱交換器セクションに流入することができず、一方で、前記分離セクションの前記上部に収集された蒸気が、前記1つ以上の導管を通って前記熱交換器セクションの前記シェル側の前記上部に流入して、前記ガス状冷媒流を形成することができ、前記ガス状冷媒流が、前記熱交換器セクションの前記シェル側を通って流れ、加温され、
前記シェルケーシングが、前記1つ以上の供給流を導入するための、前記熱交換器セクションの前記チューブ側と流体流連通する、第1の入口または入口のセットと、前記1つ以上の冷却された供給流を引き出すための、前記熱交換器セクションの前記チューブ側と流体流連通する、第1の出口または出口のセットと、前記2相流を導入するための前記分離セクションと流体流連通する、第2の入口と、前記分離セクションの前記下部に収集された前記液体の流を引き出すための、前記分離セクションと流体流連通する、第2の出口と、前記熱交換器セクションの前記シェル側の前記下部から前記加温されたガス状冷媒の流を引き出すための、前記熱交換器セクションの前記シェル側と流体流連通する、第3の出口と、を有する、コイル巻き熱交換器ユニット
を含み、
前記コイル巻き熱交換器ユニットの前記熱交換器セクションが、前記システムの前記第1の熱交換器セクションであり、前記コイル巻き熱交換器ユニットによって冷却された前記1つ以上の供給流が、前記第1の供給流であり、前記第1の出口または出口のセットから引き出された前記1つ以上の冷却された供給流が、第1のLNG流であり、
前記コイル巻き熱交換器ユニットの前記分離セクションが、前記システムの前記第1の分離セクションであり、前記分離セクションによって受容された前記2相流が、前記さらに膨張および冷却された第2の供給流であり、前記第2の出口から引き出される前記分離セクションの前記下部に収集された前記液体の前記流が、前記第2のLNG流である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記方法が、ステップ(d)を行うために、ならびにステップ(e)において前記さらに膨張および冷却された第2の供給流の前記液体画分および前記蒸気画分を分離して、前記ガス状冷媒流および第2のLNG流を形成するために、ガス状冷媒流との間接熱交換を介して1つ以上の供給流を冷却するのに好適なコイル巻き熱交換器ユニットであって、前記コイル巻き熱交換器ユニットが、熱交換器セクションを囲むシェルケーシングと、前記熱交換器セクションの上に位置する分離セクションと、前記熱交換器セクションを前記分離セクションから分離するパーティションと、前記パーティションを通って延在する、前記熱交換器セクションと分離セクションとの間の1つ以上の導管と、を備え、
前記熱交換器セクションが、前記熱交換器セクションのチューブ側およびシェル側を画定する少なくとも1つのコイル巻きチューブ束を備え、前記チューブ側が、前記1つ以上の供給流を冷却して、1つ以上の冷却された供給流を形成するための前記熱交換器セクションを通る1つ以上の通路を画定し、前記シェル側が、前記ガス状冷媒流を加温して、加温されたガス状冷媒の流を形成するための前記熱交換器セクションを通る通路を画定し、
前記分離セクションが、蒸気画分および液体画分を有する2相流を受容し、前記流の前記液体画分および前記蒸気画分を分離するように構成され、前記液体画分が前記分離セクションの下部に収集され、前記蒸気画分が前記分離セクションの上部に収集され、
前記パーティションおよび前記1つ以上の導管が、前記1つ以上の導管を通る以外の前記分離セクションと前記熱交換器セクションとの間の流体の流れを防止するように構成され、前記1つ以上の導管が、前記分離セクションの前記上部に向かって前記パーティションの上に位置する入口と、前記熱交換器セクションの前記シェル側の前記熱交換器セクションの前記上部に向かって前記パーティションの下に位置する出口と、を各々有し、それによって、前記分離セクションの前記下部に収集された液体が、前記熱交換器セクションに流入することができず、一方で、前記分離セクションの前記上部に収集された蒸気が、前記1つ以上の導管を通って前記熱交換器セクションの前記シェル側の前記上部に流入して、前記ガス状冷媒流を形成することができ、前記ガス状冷媒流が、前記熱交換器セクションの前記シェル側を通って流れ、加温され、
前記シェルケーシングが、前記1つ以上の供給流を導入するための、前記熱交換器セクションの前記チューブ側と流体流連通する、第1の入口または入口のセットと、前記1つ以上の冷却された供給流を引き出すための、前記熱交換器セクションの前記チューブ側と流体流連通する、第1の出口または出口のセットと、前記2相流を導入するための前記分離セクションと流体流連通する、第2の入口と、前記分離セクションの前記下部に収集された前記液体の流を引き出すための、前記分離セクションと流体流連通する、第2の出口と、前記熱交換器セクションの前記シェル側の前記下部から前記加温されたガス状冷媒の流を引き出すための、前記熱交換器セクションの前記シェル側と流体流連通する、第3の出口と、を有する、コイル巻き熱交換器ユニットを使用し、前記コイル巻き熱交換器ユニットによって冷却された前記1つ以上の供給流が、前記第1の供給流であり、前記コイル巻き熱交換器ユニットシェルケーシングの前記第1の出口または出口のセットから引き出された前記1つ以上の冷却された供給流が、前記第1のLNG流であり、前記コイル巻き熱交換器ユニットの前記分離セクションによって受容された前記2相流が、前記さらに膨張および冷却された第2の供給流であり、前記コイル巻き熱交換器ユニットシェルケーシングの前記第2の出口から引き出される前記分離セクションの前記下部に収集された前記液体の前記流が、前記第2のLNG流である、請求項1に記載の天然ガスを液化する方法。
【請求項18】
開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する前に、前記天然ガスから重成分を除去する方法であって、前記方法が、
(i)重成分を含有する天然ガス供給流を膨張させて、冷却された天然ガス供給流を形成するステップと、
(ii)前記冷却された天然ガス供給流を、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流と、重成分が濃縮された液体流とに分離するステップと、
(iii)前記ガス状天然ガス供給流をリサイクルガスの1つ以上の流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成するステップであって、前記流が、メタンの臨界圧力を下回る圧力において組み合わされ、前記ガス状天然ガス供給流が、前記リサイクルガスの1つ以上の流と組み合わされる前に外部駆動圧縮を受けない、組み合わせるステップと、
(iv)前記組み合わせ供給流を、1つ以上の圧縮器を備える圧縮トレインにおいて圧縮して、高圧組み合わせ供給流を形成するステップと、
(v)開ループ天然ガス冷凍サイクルにおいて前記高圧組み合わせ供給流の第1の部分を、前記第1の部分を液化するための冷却デューティを提供するための冷媒としての前記高圧組み合わせ供給流の第2の部分を使用して液化するステップであって、前記第2の部分を、前記圧縮トレインの圧縮器に直接結合されていて、前記圧縮トレインの圧縮器を駆動する膨張デバイスにおいて膨張させて、前記第2の部分が、一度加温されると、前記リサイクルガスの1つ以上の流のうちの1つ以上を形成する、液化するステップと、を含み、
ステップ(i)および(ii)は、前記天然ガス供給流が前記開ループ天然ガス冷凍サイクルからのリサイクルガスの任意の流と組み合わされる前に行われる、方法。
【請求項19】
ステップ(a)が、
(i)重成分を含有する天然ガス供給流を膨張させて、冷却された天然ガス供給流を形成することと、
(ii)前記冷却された天然ガス供給流を、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流と、重成分が濃縮された液体流とに分離することと、
(iii)前記ガス状天然ガス供給流を前記リサイクルガスの1つ以上の流と組み合わせて、前記組み合わせ供給流を形成することであって、前記流が、メタンの臨界圧力を下回る圧力において組み合わされ、前記ガス状天然ガス供給流が、前記リサイクルガスの1つ以上の流と組み合わされる前に外部駆動圧縮を受けない、組み合わせることと、
(iv)前記組み合わせ供給流を圧縮して、前記高圧組み合わせ供給流を形成することと、を含む、請求項1に記載の天然ガスを液化する方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法を行うためのシステムであって
重成分を含有する天然ガス供給流を受容し、かつ膨張させて、冷却された天然ガス供給流を形成するための第1の膨張デバイスと、
前記冷却された天然ガス供給流を受容し、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流と、重成分が濃縮された液体流とに分離するための、前記第1の膨張デバイスと流体流連通する、1つ以上の分離デバイスと、
前記ガス状天然ガス供給流およびリサイクルガスの1つ以上の流を受容し、前記流を組み合わせて組み合わせ供給流を形成し、前記組み合わせ供給流を圧縮して高圧組み合わせ供給流を形成するための1つ以上の圧縮器を備える圧縮トレインであって、前記ガス状天然ガス供給流およびリサイクルガスの1つ以上の流が、メタンの臨界圧力を下回る圧力において組み合わされ、前記ガス状天然ガス供給流が、前記リサイクルガスの1つ以上の流と組み合わされる前に外部駆動圧縮を受けない、圧縮トレインと、
開ループ天然ガス冷凍サイクルにおいて前記高圧組み合わせ供給流の第1の部分を、前記第1の部分を液化するための冷却デューティを提供するための冷媒としての前記高圧組み合わせ供給流の第2の部分を使用して液化するための、前記圧縮トレインと流体流連通する、液化システムであって、前記液化システムが、前記第2の部分を膨張させるための第2の膨張デバイスであって、前記圧縮トレインの圧縮器に直接結合されていて、前記圧縮トレインの圧縮器を駆動する第2の膨張デバイスを備え、前記第2の部分が、一度加温されると、前記リサイクルガスの1つ以上の流のうちの1つ以上を形成する、液化システムと、を備える、システム。
【請求項21】
前記圧縮トレインが、前記リサイクルガスの1つ以上の流を、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成することと、前記組み合わせ供給流を圧縮して、前記高圧組み合わせ供給流を形成することと、によって、前記高圧組み合わせ供給流を形成し、前記ガス状天然ガス供給流およびリサイクルガスの1つ以上の流が、メタンの臨界圧力を下回る圧力において組み合わされ、前記ガス状天然ガス供給流が、前記リサイクルガスの1つ以上の流と組み合わされる前に外部駆動圧縮を受けず、前記システムが、
重成分を含有する天然ガス供給流を受容し、かつ膨張させて、冷却された天然ガス供給流を形成するための第4の膨張デバイスと、
前記冷却された天然ガス供給流を受容し、重成分が枯渇した前記ガス状天然ガス供給流と、重成分が濃縮された液体流とに分離するための、前記第4の膨張デバイスと流体流連通する、1つ以上の分離デバイスと、をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する方法およびシステムに関する。本発明はまた、ガス状冷媒との間接熱交換を介して、例えば、1つ以上の天然ガス供給流など、1つ以上の供給流を冷却するのに好適なコイル巻き熱交換器ユニットに関する。本発明はさらに、開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する前に天然ガスから重成分を除去するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスの液化は重要な産業プロセスである。LNGの世界生産能力は年間3億トン(MTPA)を超える。天然ガスを前処理、冷却、および液化するためのいくつかの方法およびシステムが当技術分野において周知である。
【0003】
天然ガスを液化するための典型的な方法およびシステムでは、天然ガス供給流は、開ループまたは閉ループサイクル内で循環する1つ以上の冷媒との間接熱交換を介して冷却され、液化される。天然ガスの冷却および液化は、限定はしないが、コイル巻き、シェルおよびチューブまたはプレートおよびフィンタイプの熱交換器など、いくつかの異なるタイプであり得る1つ以上の熱交換器セクションにおいて行われる。冷却および液化される前に、天然ガス供給流は、必要な場合および必要に応じて、水分、酸性ガス、水銀、および/またはより重い炭化水素などの任意の(比較的)高い凍結点成分のレベルを、熱交換器セクションまたは天然ガスが冷却および液化されるセクションにおける凍結または他の操作上の問題を回避するために必要なレベルまで低減するように処理される。
【0004】
US2017/0167786A1は、開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化するための方法およびシステムを開示している。特にこの文献の図6を参照すると、(天然ガス供給流とリサイクルガスの流とを組み合わせて圧縮することから形成された)高圧組み合わせ供給流が膨張されて、流が冷却され、次いで、第1の冷媒流、第2の冷媒流、および第1の供給流に分割される。第1の冷媒流は膨張され、次いで、第1の熱交換器の低温側における通路のうちの1つを通過し、加温される。膨張後の第1の冷媒流がガス状であるか、液体であるか、または2相であるかは記載されていない。第2の冷媒流は、第1の熱交換器の高温側における通路のうちの1つを通過し、冷却され、次いで膨張されて2相流が形成され、この2相流は分離されて、ガス状冷媒流および第1のLNG流を形成し、ガス状冷媒流は、第1の熱交換器の低温側における通路のうちの別の1つを通過し、加温される。第1の供給流は、第1の熱交換器の高温側における通路のうちの別の通路を通過し、冷却および液化されて、第2のLNG流が形成され、この第2のLNG流は、次いで、フラッシュガス熱交換器内でさらに冷却される。第1および第2のLNG流は、次いで、フラッシュされ、エンドフラッシュセパレータに送られて、フラッシュガス流およびLNG生成物流が形成され、フラッシュガス流は、フラッシュガス熱交換器内で加温され、次いで、第1の熱交換器の低温側における別の通路内でさらに加温される。加温された第1の冷媒流、加温されたガス状冷媒流、および加温されたフラッシュガス流は、次いで圧縮され、組み合わされて、天然ガス供給流と組み合わされたリサイクルガスの流が形成される。第1の熱交換器は、熱交換器に冷却デューティを提供するために熱交換器の低温側で3つの別個の流を利用するため、これは、コイル巻き熱交換器が熱交換器のシェル側(通常は低温側)で1つの冷媒流しか収容することができないので、この熱交換器へのコイル巻き熱交換器の使用を効果的に排除することに留意されたい。理論的には、コイル巻き交換器のチューブ側(通常は高温側)を通る通路のうちの1つに低圧冷媒流のうちの1つ以上を割り当てることが可能であるが、チューブ側の高圧降下損失は非常に高い電力要件をもたらすことになり、これは実用的でなくなる。
【0005】
US2014/0083132A1は、開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化するための別の方法およびシステムを開示している。特にこの文献の図1を参照すると、リサイクルガス流は2つの部分に分割される。一方の部分は膨張されて第1の冷媒流が形成され、この第1の冷媒流は、次いで、第1および第2の予冷却器熱交換器内で加温される。他方の部分は、天然ガス供給流と組み合わされて、組み合わせ供給流が形成される。組み合わせ供給流は、次いで、第1の予冷却器熱交換器内で冷却され、その後、重成分(具体的にはより重い炭化水素)が除去される(これらは天然ガス液体(NGL)流として分離される)。重成分が枯渇した組み合わせ流は、次いで、第2の予冷却器熱交換器内でさらに冷却され、その後、第1の供給流および第2の供給流内に吐出される。第1の供給流は、第1のLNG流のために主熱交換器内で冷却および液化される。第2の供給流は膨張されて、2相流が形成され、この2相流は、次いで分離されて、第2のLNG流およびガス状冷媒流が形成される。ガス状冷媒流は、主熱交換器内で加温され、次いで、予冷却器熱交換器内でさらに加温される。第1および第2のLNG流は、フラッシュされ、次いで、フラッシュガス流およびLNG生成物に分離され、フラッシュガス流は、主熱交換器内で加温され、次いで、予冷却器熱交換器内でさらに加温される。加温された冷媒流およびフラッシュガス流は、次いで、圧縮され、組み合わされて、リサイクルガス流が形成される。
【0006】
US2019/0346203A1は、フラッシュLNG流を受容および分離して、フラッシュガス流およびLNG生成物を形成し、かつ供給流との間接熱交換を介して、分離されたフラッシュガスを加温して、供給流を冷却し、フラッシュガス流から冷凍を回収するのに好適な、組み合わせ熱交換器およびセパレータユニットを開示している。このユニットは、同じシェルケーシング内に封入された熱交換器セクションおよび分離セクションを備え、熱交換器セクションは、コイル巻き熱交換器セクションであり、かつ分離セクションの上に位置し、それにより、分離セクション内のフラッシュLNG流から分離されたフラッシュガスは、熱交換器セクションのシェル側を通って上昇し、熱交換器セクションに冷凍が提供される。
【0007】
US9,310,127は、閉ループ冷媒サイクルを使用して天然ガスを液化する前に、天然ガスから重成分を除去する方法を開示している。特にこの文献の図2を参照すると、天然ガス供給流は、冷却され、膨張され、蒸留カラムに導入されて、供給流から重成分(具体的にはより重い炭化水素)が除去される(より重い炭化水素は天然ガス液体流として分離される)。重成分が枯渇した天然ガス供給流は、次いで、圧縮トレイン内で圧縮され、その後、閉ループ回路内で循環する冷媒との間接熱交換を介して主熱交換器内で液化される。得られたLNG流は、次いで、フラッシュされて、LNG生成物およびフラッシュガスが生成される。フラッシュガスの一部は、重成分が枯渇した天然ガス供給流に戻されてリサイクルされ得る。
【0008】
US10,641,548は、天然ガスから重成分を除去し、開ループ冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する方法を開示している。特にこの文献の図1を参照すると、天然ガス供給流は、第1のリサイクル流と組み合わされて、第1の組み合わせ供給流が生成され、第1の組み合わせ供給流は、次いで膨張されて、第1の冷却された組み合わせ供給流が生成される。第1の冷却された組み合わせ供給流は、次いで、セパレータ内で、重成分(具体的にはより重い炭化水素)が枯渇したガス状供給流と、重成分が濃縮された液体流(NGL流)とに分離される。重成分が枯渇したガス状供給流は、次いで、第1の熱交換器内で加温され、第2のリサイクル流と組み合わせされ、圧縮されて、第2の組み合わせ供給流が形成される。第2の組み合わせ供給流は分割されて、第1のリサイクル流および第1の供給流が形成される。第1の供給流は、第1の熱交換器内で冷却され、次いで分割されて、第2の供給流および第3の供給流が形成される。第2の供給流は、第2の熱交換器内でさらに冷却されて、第1のLNG流が形成される。第3の供給流は、膨張され、分離されて、第2のLNG流およびガス状冷媒流が形成される。ガス状冷媒流は、次いで、第2の熱交換器および第1の熱交換器内で加温されて、第2のリサイクル流が形成される。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に開示されるのは、開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化するための方法およびシステム、ガス状冷媒との間接熱交換を介して、例えば、1つ以上の天然ガス供給流などの1つ以上の供給流を冷却するのに好適なコイル巻き熱交換器ユニット、ならびに開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する前に天然ガスから重成分を除去するための方法およびシステムである。開示される方法およびシステムおよびユニットは、効率の向上、資本コストの低減、フットプリントの低減、および/または機械的設計の改善に関連する様々な利点を提供する。
【0010】
本発明による装置、システム、および方法のいくつかの好ましい態様を以下に概説する。
【0011】
態様1:開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する方法であって、この方法が、
(a)リサイクルガスの1つ以上の流を天然ガス供給流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成することと、組み合わせ供給流、もしくは天然ガス供給流と組み合わせる前のリサイクルガスの1つ以上の流のいずれか、またはその両方を圧縮することと、によって、高圧組み合わせ供給流を形成するステップと、
(b)高圧組み合わせ供給流を膨張させて、流を冷却し、それによって、冷却された組み合わせ供給流を形成するステップと、
(c)冷却された組み合わせ供給流を少なくとも3つの別個の流に分割し、それによって、第1の供給流、第2の供給流、および第3の供給流を形成するステップと、
(d)ガス状冷媒流との間接熱交換を介して、第1の供給流をさらに冷却するステップであって、第1の供給流が、第1のLNG流を形成するように冷却され、ガス状冷媒流が加温されて、リサイクルガスの1つ以上の流のうちの1つを形成する加温されたガス状冷媒の流を形成する、冷却するステップと、
(e)第2の供給流をさらに膨張させて、流をさらに冷却し、それによって、液体画分および蒸気画分を有する2相である、さらに膨張および冷却された第2の供給流を形成し、液体画分および蒸気画分を分離して、蒸気画分からガス状冷媒流を形成し、液体画分から第2のLNG流を形成するステップと、
(f)第1のフラッシュガス流との間接熱交換を介して、第3の供給流をさらに冷却して、第3のLNG流を形成するステップと、
(g)各流が液体画分および蒸気画分を有するように、第1のLNG流、第2のLNG流、および第3のLNG流をフラッシュし、液体画分および蒸気画分を分離して、流のうちの1つ以上の液体画分から第1のLNG生成物流を形成し、流のうちの1つ以上の蒸気画分から第1のフラッシュガス流を形成するステップと、を含む、方法。
【0012】
態様2:高圧組み合わせ供給流が、少なくとも150bara、より好ましくは少なくとも200baraの圧力にある、態様1に記載の方法。
【0013】
態様3:ステップ(a)は、高圧組み合わせ供給流がおよそ周囲温度になるように、リサイクルガスの1つ以上の流および/または組み合わせ供給流を、圧縮の後に1つ以上の周囲温度流体との間接熱交換を介して冷却することをさらに含む、態様1または2に記載の方法。
【0014】
態様4:冷却された組み合わせ供給流が、0℃未満の温度にあり、より好ましくは-20~-40℃、より好ましくは約-30℃の温度にあり、さらに膨張および冷却された第2の供給流が、-110~-140℃、より好ましくは約-125℃の温度にある、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
態様5:ステップ(b)および(e)において、高圧組み合わせ供給流および第2の供給流が、実質的に等エントロピー的に各々膨張される、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
態様6:ステップ(c)において、冷却された組み合わせ供給流は、第2の供給流が、冷却された組み合わせ供給流が分割される別個の流の最大質量流量を有し、第1の供給流が、冷却された組み合わせ供給流が分割される流の第2の最大流量を有するように分割される、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
態様7:第2の供給流の質量流量が、冷却された組み合わせ供給流の質量流量の65~75%、より好ましくは約70%であり、第1の供給流の質量流量が、冷却された組み合わせ供給流の質量流量の20~30%、より好ましくは約25%である、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
態様8:さらに膨張および冷却された第2の供給流の蒸気画分が、流のうち最大の部分、より好ましくは75~95モル%を構成する、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
態様9:第1のフラッシュガス流が、第3の供給流との間接熱交換を介してステップ(f)において加温された後、リサイクルガスの1つ以上の流のうちの別の1つを形成する、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
態様10:ステップ(d)において、第1の供給流が、コイル巻き熱交換器セクション内のガス状冷媒流との間接熱交換を介してさらに冷却され、第1の供給流が、コイル巻き熱交換器セクションのチューブ側においてさらに冷却され、ガス状冷媒流が、コイル巻き熱交換器セクションのシェル側において加温される、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
態様11:ステップ(a)が、リサイクルガスの1つ以上の流を天然ガス供給流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成することと、次いで、組み合わせ供給流を圧縮することと、によって、高圧組み合わせ供給流を形成することを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
態様12:ステップ(g)は、各流が液体画分および蒸気画分を有するように、第1のLNG流、第2のLNG流、および第3のLNG流をフラッシュし、液体画分および蒸気画分を分離して、流の全ての液体画分から第1のLNG生成物流を形成し、流の全ての蒸気画分から第1のフラッシュガス流を形成することを含む、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
態様13:ステップ(c)が、冷却された組み合わせ供給流を少なくとも4つの別個の供給流に分割し、それによって、第1の供給流、第2の供給流、第3の供給流、および第4の供給流を形成することを含み、
方法が、
(h)第4の供給流を、第2のフラッシュガス流との間接熱交換を介してさらに冷却して、第4のLNG流を形成するステップと、
(i)各流が液体画分および蒸気画分を有するように、第4のLNG流および第1のLNG生成物流をフラッシュし、液体画分および蒸気画分を分離して、流のうちの一方または両方の液体画分から第2のLNG生成物流を形成し、流のうちの一方または両方の蒸気画分から第2のフラッシュガス流を形成するステップと、をさらに含む、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
態様14:ステップ(i)は、各流が液体画分および蒸気画分を有するように、第4のLNG流および第1のLNG生成物流をフラッシュし、液体画分および蒸気画分を分離して、流の両方の液体画分から第2のLNG生成物流を形成し、流の両方の蒸気画分から第2のフラッシュガス流を形成することを含む、態様13に記載の方法。
【0025】
態様15:態様1~14のいずれか1つに記載の方法を介して天然ガスを液化するためのシステムであって、このシステムが、
リサイクルガスの1つ以上の流を天然ガス供給流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成することによって高圧組み合わせ供給流を形成し、組み合わせ供給流、もしくは天然ガス供給流と組み合わせる前の1つ以上のリサイクル流のいずれか、またはその両方を圧縮するための、1つ以上の圧縮器を備える、圧縮トレインと、
高圧組み合わせ供給流を受容し、かつ膨張させて流を冷却し、それによって、冷却された組み合わせ供給流を形成するための、圧縮トレインと流体流連通する、第1の膨張デバイスと、
冷却された組み合わせ供給流を、第1の供給流、第2の供給流、および第3の供給流を含む、少なくとも3つの別個の流に分割するための、第1の膨張デバイスと流体流連通する、導管のセットであって、導管のセットが、第1の供給流を受容するための第1の導管、第2の供給流を受容するための第2の導管、および第3の供給流を受容するための第3の導管を含む、導管と、
第1の供給流を受容し、ガス状冷媒流との間接熱交換を介してさらに冷却するための、第1の導管と流体流連通する、第1の熱交換器セクションであって、第1の供給流が、第1のLNG流を形成するように冷却され、ガス状冷媒流が加温され、リサイクルガスの1つ以上の流のうちの1つを形成する加温されたガス状冷媒の流を形成する、第1の熱交換器セクションと、
第2の供給流を受容し、さらに膨張させて流をさらに冷却し、それによって、液体画分および蒸気画分を有する2相であるさらに膨張および冷却された第2の供給流を形成するための、第2の導管と流体流連通する、第2の膨張デバイスと、
さらに膨張および冷却された第2の供給流を受容し、流の液体画分および蒸気画分を分離して、蒸気画分からガス状冷媒流を形成し、液体画分から第2のLNG流を形成するための、第2の膨張デバイスおよび第1の熱交換器セクションと流体流連通する、第1の分離セクションと、
第3の供給流を受容し、第1のフラッシュガス流との間接熱交換を介してさらに冷却して、第3のLNG流を形成するための、第3の導管と流体流連通する、第2の熱交換器セクションと、
各流が液体画分および蒸気画分を有するように、第1のLNG流、第2のLNG流、および第3のLNG流を受容およびフラッシュするための第3の膨張デバイスまたは膨張デバイスのセット、ならびに液体画分および蒸気画分を分離して、流のうちの1つ以上の液体画分から第1のLNG生成物流を形成し、流のうちの1つ以上の蒸気画分から第1のフラッシュガス流を形成するための、第3の膨張デバイスまたは膨張デバイスのセットと流体流連通する、第2の分離セクションまたは分離セクションのセットと、を備える、システム。
【0026】
態様16:ガス状冷媒流との間接熱交換を介して1つ以上の供給流を冷却するのに好適なコイル巻き熱交換器ユニットであって、コイル巻き熱交換器ユニットが、熱交換器セクションを囲むシェルケーシングと、熱交換器セクションの上に位置する分離セクションと、熱交換器セクションを分離セクションから分離するパーティションと、パーティションを通って延在する、熱交換器セクションと分離セクションとの間の1つ以上の導管と、を備え、
熱交換器セクションが、熱交換器セクションのチューブ側およびシェル側を画定する少なくとも1つのコイル巻きチューブ束を備え、チューブ側が、1つ以上の供給流を冷却して、1つ以上の冷却された供給流を形成するための熱交換器セクションを通る1つ以上の通路を画定し、シェル側が、ガス状冷媒流を加温して、加温されたガス状冷媒の流を形成するための熱交換器セクションを通る通路を画定し、
分離セクションが、蒸気画分および液体画分を有する2相流を受容し、流の液体画分および蒸気画分を分離するように構成され、液体画分が分離セクションの下部に収集され、蒸気画分が分離セクションの上部に収集され、
パーティションおよび1つ以上の導管が、1つ以上の導管を通る以外の分離セクションと熱交換器セクションとの間の流体の流れを防止するように構成され、1つ以上の導管が、分離セクションの上部に向かってパーティションの上に位置する入口と、熱交換器セクションのシェル側の熱交換器セクションの上部に向かってパーティションの下に位置する出口と、を各々有し、それによって、分離セクションの下部に収集された液体が、熱交換器セクションに流入することができず、一方で、分離セクションの上部に収集された蒸気が、1つ以上の導管を通って熱交換器セクションのシェル側の上部に流入して、ガス状冷媒流を形成することができ、ガス状冷媒流が、熱交換器セクションのシェル側を通って流れ、加温される、
シェルケーシングが、1つ以上の供給流を導入するための、熱交換器セクションのチューブ側と流体流連通する、第1の入口または入口のセットと、1つ以上の冷却された供給流を引き出すための、熱交換器セクションのチューブ側と流体流連通する、第1の出口または出口のセットと、2相流を導入するための分離セクションと流体流連通する、第2の入口と、分離セクションの下部に収集された液体の流を引き出すための、分離セクションと流体流連通する、第2の出口と、熱交換器セクションのシェル側の下部から加温されたガス状冷媒の流を引き出すための、熱交換器セクションのシェル側と流体流連通する、第3の出口と、を有する、コイル巻き熱交換器ユニット。
【0027】
態様17:シェルケーシングの第1の入口または入口のセットが、熱交換器セクションのチューブ側の下部に1つ以上の供給流を導入するためのものであり、シェルケーシングの第1の出口または出口のセットが、熱交換器セクションのチューブ側の上部から1つ以上の冷却された供給流を引き出すためのものである、態様16に記載のコイル巻き熱交換器ユニット。
【0028】
態様18:シェルケーシングの第2の入口が、1つ以上の導管の各々への入口の位置の下の位置において2相流を分離セクションに導入するように位置する、態様16または17に記載のコイル巻き熱交換器ユニット。
【0029】
態様19:コイル巻き熱交換器ユニットが、シェルケーシングの第2の入口と、1つ以上の導管の各々への入口との間に位置する分離セクション内のミスト除去器をさらに備える、態様16~18のいずれか1つに記載のコイル巻き熱交換器ユニット。
【0030】
態様20:熱交換器セクションが、コイル巻きチューブ束のチューブが巻かれたマンドレルをさらに備え、マンドレルがパーティションを通って上向きに延在し、マンドレルの上向き延在部が、中空であり、かつパーティションを通って延在する1つ以上の導管のうちの少なくとも1つを形成する、態様16~19のいずれか1つに記載のコイル巻き熱交換器ユニット。
【0031】
態様21:
コイル巻き熱交換器ユニットの熱交換器セクションが、システムの第1の熱交換器セクションであり、コイル巻き熱交換器ユニットによって冷却された1つ以上の供給流が、第1の供給流であり、第1の出口または出口のセットから引き出された1つ以上の冷却された供給流が、第1のLNG流であり、
コイル巻き熱交換器ユニットの分離セクションが、システムの第1の分離セクションであり、分離セクションによって受容された2相流が、さらに膨張および冷却された第2の供給流であり、第2の出口から引き出される分離セクションの下部に収集された液体の流が、第2のLNG流である、態様16~20のいずれか1つに記載のコイル巻き熱交換器ユニットを含む、態様15に記載のシステム。
【0032】
態様22:態様16~20のいずれか1つに記載のコイル巻き熱交換器ユニットを使用して1つ以上の供給流を冷却する方法であって、この方法が、
シェルケーシングの第1の入口または入口のセットを通して1つ以上の供給流を熱交換器セクションのチューブ側に導入することと、
熱交換器セクションのチューブ側から、シェルケーシングの第1の出口または出口のセットを通して、1つ以上の冷却された供給流を引き出すことと、
シェルケーシングの第2の入口を通して分離セクションに2相流を導入することと、
分離セクションの下部に収集された液体の流をシェルケーシングの第2の出口を通して引き出すことと、
加温されたガス状冷媒の流を熱交換器セクションのシェル側の下部からシェルケーシングの第3の出口を通して引き出すことと、を含む、方法。
【0033】
態様23:1つ以上の供給流が、天然ガス供給流を含む、態様22に記載の方法。
【0034】
態様24:1つ以上の冷却された供給流が、LNG流を含む、態様23に記載の方法。
【0035】
態様25:2相流が、膨張および冷却された天然ガス供給流である、態様23または24に記載の方法。
【0036】
態様26:方法が、ステップ(d)を行うために、ならびにステップ(e)においてさらに膨張および冷却された第2の供給流の液体画分および蒸気画分を分離して、ガス状冷媒流および第2のLNG流を形成するために、態様16~20のいずれか1つに記載のコイル巻き熱交換器ユニットを使用し、コイル巻き熱交換器ユニットによって冷却された1つ以上の供給流が、第1の供給流であり、コイル巻き熱交換器ユニットシェルケーシングの第1の出口または出口のセットから引き出された1つ以上の冷却された供給流が、第1のLNG流であり、コイル巻き熱交換器ユニットの分離セクションによって受容された2相流が、さらに膨張および冷却された第2の供給流であり、コイル巻き熱交換器ユニットシェルケーシングの第2の出口から引き出される、分離セクションの下部に収集された液体の流が、第2のLNG流である、態様1~14のいずれか1つに記載の天然ガスを液化する方法。
【0037】
態様27:開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する前に、天然ガスから重成分を除去する方法であって、この方法が、
(i)重成分を含有する天然ガス供給流を膨張させて、冷却された天然ガス供給流を形成するステップと、
(ii)冷却された天然ガス供給流を、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流と、重成分が濃縮された液体流とに分離するステップと、
(iii)ガス状天然ガス供給流をリサイクルガスの1つ以上の流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成するステップであって、流が、メタンの臨界圧力を下回る圧力において組み合わされ、ガス状天然ガス供給流が、リサイクルガスの1つ以上の流と組み合わされる前に外部駆動圧縮を受けない、組み合わせるステップと、
(iv)組み合わせ供給流を圧縮して、高圧組み合わせ供給流を形成するステップと、
(v)開ループ天然ガス冷凍サイクルにおいて高圧組み合わせ供給流の第1の部分を、第1の部分を液化するための冷却デューティを提供するための冷媒としての高圧組み合わせ供給流の第2の部分を使用して液化するステップであって、第2の部分が、一度加温されると、リサイクルガスの1つ以上の流のうちの1つ以上を形成する、液化するステップと、を含み、
ステップ(i)および(ii)は、天然ガス流が開ループ天然ガス冷凍サイクルからのリサイクルガスの任意の流と組み合わされる前に行われる、方法。
【0038】
態様28:ステップ(a)が、
(i)重成分を含有する天然ガス供給流を膨張させて、冷却された天然ガス供給流を形成することと、
(ii)冷却された天然ガス供給流を、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流と、重成分が濃縮された液体流とに分離することと、
(iii)ガス状天然ガス供給流をリサイクルガスの1つ以上の流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成することであって、流が、メタンの臨界圧力を下回る圧力において組み合わされ、ガス状天然ガス供給流が、リサイクルガスの1つ以上の流と組み合わされる前に外部駆動圧縮を受けない、組み合わせることと、
(iv)組み合わせ供給流を圧縮して、高圧組み合わせ供給流を形成することと、を含む、態様1~14のいずれか1つに記載の天然ガスを液化する方法。
【0039】
態様29:システムが、
重成分を含有する天然ガス供給流を受容し、かつ膨張させて、冷却された天然ガス供給流を形成するための第1の膨張デバイスと、
冷却された天然ガス供給流を受容し、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流と、重成分が濃縮された液体流とに分離するための、第1の膨張デバイスと流体流連通する、1つ以上の分離デバイスと、
ガス状天然ガス供給流およびリサイクルガスの1つ以上の流を受容し、流を組み合わせて組み合わせ供給流を形成し、組み合わせ供給流を圧縮して高圧組み合わせ供給流を形成するための1つ以上の圧縮器を備える圧縮トレインであって、ガス状天然ガス供給流およびリサイクルガスの1つ以上の流が、メタンの臨界圧力を下回る圧力において組み合わされ、ガス状天然ガス供給流が、リサイクルガスの1つ以上の流と組み合わされる前に外部駆動圧縮を受けない、圧縮トレインと、
開ループ天然ガス冷凍サイクルにおいて高圧組み合わせ供給流の第1の部分を、第1の部分を液化するための冷却デューティを提供する冷媒としての高圧組み合わせ供給流の第2の部分を使用して液化するための、圧縮トレインと流体流連通する、液化システムであって、第2の部分が、一度加温されると、リサイクルガスの1つ以上の流のうちの1つ以上を形成する、液化システムと、を備える、態様27に記載の方法を行うためのシステム。
【0040】
態様30:圧縮トレインが、リサイクルガスの1つ以上の流を、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流と組み合わせて、組み合わせ供給流を形成することと、組み合わせ供給流を圧縮して、高圧組み合わせ供給流を形成することと、によって、高圧組み合わせ供給流を形成し、ガス状天然ガス供給流およびリサイクルガスの1つ以上の流が、メタンの臨界圧力を下回る圧力において組み合わされ、ガス状天然ガス供給流が、リサイクルガスの1つ以上の流と組み合わされる前に外部駆動圧縮を受けず、システムが、
重成分を含有する天然ガス供給流を受容し、かつ膨張させて、冷却された天然ガス供給流を形成するための第4の膨張デバイスと、
冷却された天然ガス供給流を受容し、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流と、重成分が濃縮された液体流とに分離するための、第4の膨張デバイスと流体流連通する、1つ以上の分離デバイスと、をさらに備える、態様15に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、開ループ冷凍サイクルを利用する天然ガス液化方法およびシステムを描写する概略フロー図である。
図2図2は、ガス状冷媒との間接熱交換を介して1つ以上の供給流を冷却するためのコイル巻き熱交換器ユニットを描写する概略フロー図である。
図3図3は、開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する前に天然ガスから重成分を除去する方法およびシステムを描写する概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書に記載されるのは、開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化するための方法およびシステム、ガス状冷媒との間接熱交換を介して、例えば、1つ以上の天然ガス供給流などの1つ以上の供給流を冷却するのに好適なコイル巻き熱交換器ユニット、ならびに開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化する前に天然ガスから重成分を除去するための方法およびシステムである。開示される方法およびシステムおよびユニットは、図1図3を参照して以下にさらに詳細に説明されるように、効率の向上、資本コストの低減、フットプリントの低減、および/または機械的設計の改善に関連する様々な利点を提供する。
【0043】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「a」および「an」という冠詞は、本明細書および特許請求の範囲に記載される本発明の実施形態における任意の特徴に適用されるとき、1つ以上を意味する。「a」および「an」の使用は、そのような限定が具体的に記載されていない限り、意味を単一の特徴に限定するものではない。単数形または複数形の名詞または名詞句に先行する「the」という冠詞は、1つ以上の特定の指定された特徴を表し、それが使用される文脈に応じて単数または複数の意味を有し得る。
【0044】
本明細書では、方法の列挙されたステップを識別するために文字が使用される場合(例えば、(a)、(b)、および(c))、これらの文字は、方法のステップを参照するのを助けるためにのみ使用され、そのような順序が具体的に列挙されている場合を除き、およびそのような場合までのみ、特許請求されるステップが実行される特定の順序を示すことを意図しない。
【0045】
方法またはシステムの列挙された特徴を識別するために本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、当該の特徴を参照し、それを区別するのを助けるためにのみ使用され、そのような順序が具体的に列挙されている場合までのみを除き、特徴の任意の特定の順序を示すことを意図しない。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「天然ガス」および「天然ガス流」という用語は、合成および/または代替天然ガスを含むガスおよび流も包含する。天然ガスの主成分は、(通常、供給流の少なくとも85モル%、より多くの場合、少なくとも90モル%、および平均約95モル%を構成する)メタンである。より少量で存在し得る生の天然ガスの他の典型的な成分としては、窒素、ヘリウム、および水素などの1つ以上の「軽成分」(すなわち、メタンよりも沸点が低い成分)、ならびに/または二酸化炭素および他の酸ガス、水分、水銀、およびエタン、プロパン、ブタン、ペンタンなどのより重い炭化水素などの1つ以上の「重成分」(すなわち、メタンよりも沸点が高い成分)が挙げられる。しかしながら、天然ガスが冷却および液化される1つ以上の熱交換器セクションにおける凍結または他の操作上の問題を回避するために必要とされるようなレベルまで、存在し得る任意の重成分のレベルを低減するために、液化する前に、必要な場合および必要に応じて、生の天然ガス供給流を処理する(本明細書では天然ガスを「調整する」とも称される)。「重成分が枯渇する」ように処理された天然ガス流供給流は、初期の未処理の天然ガス供給流と比較して重成分の含有量が減少している。同様に、「重成分が濃縮された」液体は、天然ガス供給流を処理して、そこから重成分を除去した結果として生成され、初期の未処理の天然ガス供給流と比較して重成分の含有量が増加している。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「冷凍サイクル」という用語は、別の流体に冷凍を提供するために循環冷媒が経る一連のステップを指す。「開ループ冷凍サイクル」において、冷却/液化される流体を含む供給流は、液化供給だけでなく、循環冷媒も提供する。例えば、「開ループ天然ガス冷凍サイクル」において、天然ガス供給流の第1の部分は冷却され、液化されてLNG生成物が形成される一方で、第2の部分は冷媒として使用され、次いで、天然ガス供給流に戻ってリサイクルされる(これは通常、第2の部分を膨張させ、冷却して、冷却冷媒を形成することと、第1の部分との間接熱交換を介して冷媒を加温して、第1の部分を冷却および/または液化するための冷却デューティを提供することと、次いで、加温された冷媒を供給流に戻してリサイクルすることとを伴う)。逆に、「閉ループ冷媒サイクル」において、冷媒は、閉ループ回路内で循環し、通常の循環中には冷却/液化される流体と混合しない(ただし、冷媒が、冷却/液化される流体の組成と同じ組成を有するか、または同じ成分を含有する場合、流体供給流は、閉ループ回路を充填するために初期に使用され得、および/または漏れもしくは他の動作損失を考慮して回路を定期的に補充するために使用され得る)。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「流体流連通」という用語は、当該のデバイスまたは構成要素が、言及される流(複数可)を当該のデバイスまたは構成要素によって送り出し、かつ受容することができるような仕方で互いに接続されることを示す。デバイスまたは構成要素は、例えば、当該の流(複数可)を転送するための好適なチューブ、通路、または他の形態の導管によって接続でき、それらはまた、それらを分離し得るシステムの他の構成要素を介して、例えば、1つ以上のバルブ、ゲート、または流体流を選択的に制限もしくは方向づけし得る他のデバイスなどを介して互いに結合できる。
【0049】
本明細書で使用されるとき、「膨張デバイス」という用語は、流体を膨張させ、それによって圧力を低下させるのに好適な任意のデバイスまたはデバイスの集合を指す。流体を膨張させるための好適なタイプの膨張デバイスとしては、流体が膨張され、それによって流体の圧力および温度が実質的に等エントロピー的様態で(すなわち、作業を生成する様態で)低下するターボ膨張器または水力タービンなどの「等エントロピー」膨張デバイス、ならびに流体が膨張され、それによって作業生成なしに流体の圧力および温度が低下するバルブまたは他の絞りデバイスなどの「等エンタルピー」膨張デバイスが挙げられる。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「フラッシュ」という用語(当技術分野では「フラッシュ蒸発」とも称される)は、流を部分的に蒸発させるために液体流または2相流(すなわち、蒸気と液体の両方を含有する流)の圧力を低下させるプロセスを指す。フラッシュ流に存在する蒸気は、本明細書では「フラッシュガス」と称される。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「間接熱交換」という用語は、2つの流体間の熱交換を指し、これらの2つの流体は、何らかの形態の物理的バリアによって互いに分離されて保たれる。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「熱交換器セクション」という用語は、熱交換器セクションの低温側を通って流れている流体の1つ以上の流と、熱交換器セクションの高温側を通って流れている流体の1つ以上の流との間で間接熱交換が行われているユニットまたはユニットの一部を指し、低温側を通って流れている流体の流(複数可)はそれによって加温され、高温側を流れている流体の流(複数可)はそれによって冷却される。「高温側」という用語は、本明細書では熱交換器セクションの一部を指すために使用されるとき、低温側を通って流れている流体との間接熱交換によって冷却される流体の1つ以上の流が通過する、熱交換器の側を指す。「低温側」という用語は、本明細書では熱交換器セクションの一部を指すために使用されるとき、高温側を通って流れている流体との間接熱交換によって加温される流体の1つ以上の流が通過する、熱交換器の側を指す。別段の指示がない限り、熱交換器セクションは、限定はしないが、シェルおよびチューブ、コイル巻き、またはプレートおよびフィンタイプの熱交換器など、任意の好適なタイプの熱交換器であってもよい。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「コイル巻き熱交換器」という用語は、シェルケーシング内に封入された1つ以上のチューブ束を含む、当技術分野で既知のタイプの熱交換器を指し、各チューブ束は、独自のシェルケーシングを有し得るか、または2つ以上のチューブ束は、共通のシェルケーシングを共有し得る。「コイル巻き熱交換器セクション」は、1つ以上のチューブ束を含み得、1つ以上の束のチューブ側(束(複数可)内のチューブの内部)は典型的に、セクションの高温側を表し、セクションを通る1つまたはそれ以上の通路を画定し、1つ以上の束のシェル側(シェルケーシングの内部とチューブの外部との間の、かつそれらによって画定される空間)は典型的に、セクションの低温側を表し、セクションを通る単一の通路を画定する。コイル巻き熱交換器は、それらの堅牢性、安全性、および熱伝達効率に関して既知の熱交換器のコンパクトな設計であり、したがって、それらのフットプリントに対して非常に効率的なレベルの熱交換を提供する利点がある。しかしながら、シェル側は熱交換器セクションを通る単一の通路のみを画定するため、コイル巻き熱交換器セクションのシェル側における冷媒の2つ以上の流は、上記熱交換器セクションのシェル側において冷媒の上記流が混合せずに使用することは不可能である。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「分離セクション」という用語は、2相流または混合物(液体と蒸気の両方を含有する流または混合物)の蒸気画分および液体画分の分離が行われている、ユニットまたはユニットの一部を指す。分離セクションは、単純に、液体の収集のためのセクションの下部におけるサンプゾーンと、蒸気ガスの収集のためのそのサンプゾーンの上のヘッド空間ゾーンとを画定する開放領域、または容器もしくはシェルケーシングであり得る。代替的に、分離セクションは、下向きに流れている流体を上向きに上昇している蒸気と接触させることで、セクション内で上向きに上昇している蒸気と下向きに流れている流体との間の質量移動を増強するための1つ以上の質量移動デバイスを含むことができる。1つ以上の質量移動デバイスは、例えば、ランダムパッキング、構造化パッキング、および/または1つ以上のプレートもしくはトレイなど、当技術分野で既知の任意の好適なタイプであり得る。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「蒸留カラム」という用語は、1つ以上の分離セクションを含むカラムを指し、各分離セクションは、下向きに流れている流体を上向きに上昇している蒸気と接触させることで、カラム内のセクションを通って流れる、上向きに上昇している蒸気と下向きに流れている流体との間の質量移動を増強するための1つ以上の質量移動デバイス(例えば、ランダムパッキング、構造化パッキング、および/または1つ以上のプレートもしくはトレイなど)を収容する。このようにして、オーバーヘッド蒸気中のより軽い成分の濃度が増加し、下部液体中のより重い成分の濃度が増加する。「オーバーヘッド蒸気」という用語は、この文脈では、カラムの上部に収集される蒸気を指す。「下部液体」という用語は、この文脈では、カラムの下部に収集される液体を指す。カラムの「上部」は、分離セクションの上のカラムの部分を指す。カラムの「下部」は、分離セクションの下のカラムの部分を指す。カラムの「中間位置」は、2つの分離セクション間の、カラムの上部と下部との間の位置を指す。「還流」という用語は、カラムの上部から下向きに流れている液体の源を指す。「ボイルアップ」という用語は、カラムの下部から上向きに上昇している蒸気の源を指す。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「ノックアウト」ドラムという用語(当技術分野ではフラッシュドラムまたは蒸気-液体セパレータとも称される)は、液体の収集のための容器の下部におけるサンプゾーンと、蒸気ガスの収集のためのそのサンプゾーンの上のヘッド空間ゾーンとを画定する開放領域を有する容器を指す。容器の上部に収集される蒸気はここでも「オーバーヘッド蒸気」と称され、容器の下部に収集される液体は本明細書ではここでも「下部液体」と称される。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「ミスト除去器」という用語は、蒸気流から、同伴する液滴またはミストを除去するためのデバイスを指す。ミスト除去器は、メッシュパッド除去器またはベーン型ミスト除去器を含むが、これらに限定されない、当技術分野で既知の任意の好適なデバイスであり得る。
【0058】
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態による天然ガス液化方法およびシステムが示され、この方法およびシステムは、開ループ天然ガス冷凍サイクルを使用して天然ガスを液化し、液化天然ガス(LNG)生成物を生成する。
【0059】
リサイクルガスの流104が、圧縮段階100、106、108、および110を含む圧縮トレインの第1の段階100において圧縮され、これらの各々は、個々の圧縮器または多段圧縮器の1つ以上の段階を表し得る。したがって、例えば、圧縮段階100は、(1つ以上の段階を有する)スタンドアロン圧縮器であってもよく、またはそれは、1つ以上のより高い圧力段階として圧縮器段階106を含む多段圧縮器の1つ以上のより低い圧力段階であってもよい。圧縮トレインはまた、示されるように、空気または水などの1つ以上の周囲温度流体との間接熱交換を介して圧縮段階間で圧縮ガスを冷却するための1つ以上の段階間冷却器107を組み込み得る。(例えば、図1に示すような圧縮段階108および110などの)圧縮段階のいくつかは、「コンパンダ」デバイスの形態で膨張器に直接結合することによって駆動され得、他のものは、電気モータまたはガスタービンによって駆動され得る。
【0060】
第1の圧縮段階100を出たリサイクルガスの流105は、天然ガス供給流102と組み合わされて、組み合わせ供給流103が形成され、この組み合わせ供給流は、次いで、圧縮トレインのさらなる圧縮段階106、108、および110において、典型的には圧力または150bara以上、より好ましくは200bara以上の圧力にさらに圧縮され、それによって、高圧組み合わせ供給流114が形成される。図1に示されるように、(典型的には、天然ガス供給流102の質量流量の10%未満の質量流量を有する)少量の燃料流112もまた、所望される場合、圧縮トレインの中間位置において組み合わせ供給流から引き出され得る。好ましくは、最終圧縮段階110を出た高圧組み合わせ供給流114は、空気または水などの1つ以上の周囲温度流体との間接熱交換を介して後置冷却器116内で冷却されて、周囲温度にあるかまたはほぼ周囲温度にある高圧組み合わせ供給流118が形成される。
【0061】
図1では、天然ガス供給流は、圧縮トレインの圧縮段階100と圧縮段階106の間でリサイクルガスの流105と組み合わされるように示されているが、代替的に、天然ガス供給流は、天然ガス供給流の開始圧力(すなわち、システムによって天然ガス供給流が受容される圧力)に応じて、圧縮段階100、106、108、110のいずれかの前または後においてリサイクルガスの流と組み合わされ得ることに留意されたい。このようにして、天然ガス供給流は、例えば、リサイクルガスの流の何らかの圧縮が行われる前にリサイクルガスの流104と組み合わせることができ、結果として生じる組み合わせ供給流は、圧縮トレインの段階100、106、108、110の各々において圧縮されるか、または天然ガス供給流は、段階106と段階108の間など、後続の(より高圧の)圧縮段階のうちの2つの間でリサイクルガスの流と組み合わせることができるか、または天然ガス供給流は、天然ガス供給流自体の圧縮を行わず、最終圧縮段階110から出たリサイクルガスの完全に圧縮された流と組み合わせて高圧組み合わせ供給流114を形成することができる。
【0062】
高圧組み合わせ供給流118は、第1の膨張デバイス119において膨張され、より好ましくは、例えば、ターボ膨張器119などの等エントロピー膨張デバイスにおいて実質的に等エントロピー的に膨張されることにより、流は、好ましくは0℃未満の温度に、より好ましくは-20~-40℃の温度に、最も好ましくは約-30℃の温度に冷却され、それによって、冷却された組み合わせ供給流120が形成される。冷却された組み合わせ供給流120の圧力は、膨張前の高圧組み合わせ供給流118の圧力および温度、ならびに所望のレベルの冷却をもたらすために必要とされる結果として生じる膨張比(すなわち、膨張開始前の圧力に対する膨張後の流の圧力の比)に依存するが、例えば、約90baraであり得る。高圧組み合わせ供給流118の等エントロピー膨張によって生成される作業は、任意の好適な使用に供され得るが、好ましい実施形態では、図1に示すように、第1の膨張デバイス119が圧縮段階110に直接結合され、かつ圧縮段階110を駆動するターボ膨張器である場合など、圧縮トレインの圧縮段階のうちの1つ以上を駆動するために使用され得る。
【0063】
冷却された組み合わせ供給流120は、次いで、少なくとも3つの部分に分割され、それによって、冷却された組み合わせ供給流と全て同じ圧力および温度にある、少なくとも第1の供給流122、第2の供給流127、および第3の供給流146が形成される。図1に示される特定の実施形態では、組み合わせ供給流120は4つの部分に分割され、結果として第4の供給流154も形成されるが、そのような追加の供給流の生成は任意選択である。
【0064】
第1の供給流122は、冷却された組み合わせ供給流120が分割される流の中で第2の最大流である(すなわち、第2の最大質量流量を有する)。典型的には、第1の供給流122の質量流量は、冷却された組み合わせ供給流120の質量流量の20~30%であり、より好ましくは約25%である。第1の供給流122は、第1の熱交換器セクション124内のガス状冷媒流134との間接熱交換によってさらに冷却および凝縮され、第1の供給流122は、冷却および凝縮されて、第1のLNG流126が形成され、ガス状冷媒流134は、加温されて、加温されたガス状冷媒の流が形成され、この流は、リサイクルガスの流138、104を形成し、これらの流138、104は、上に記載されるように、圧縮され、天然ガス供給流102と組み合わされる。第1の熱交換器セクション124を出た第1のLNG流126の温度は、典型的には、第1の熱交換器セクション124に入るガス状冷媒流134の温度になるか、またはそれに近くなる(ただし、それよりもわずかに高温になる)。好ましい実施形態では、第1のLNG流126の温度は、約-120℃であり得る。第1の熱交換器セクション124は、例えば、プレートおよびフィン、シェルおよびチューブ、またはコイル巻きタイプなど、任意のタイプの熱交換器セクションであってもよいが、最も好ましくは、図1に示すように、コイル巻きタイプの熱交換器セクションであり、第1の供給流122は、コイル巻き熱交換器セクションのチューブ側を通過し、さらに冷却および凝縮され、ガス状冷媒流134は、コイル巻き熱交換器セクションのシェル側を通過し、加温される。
【0065】
第2の供給流127は、冷却された組み合わせ供給流120が分割される流の中で最大の流である(すなわち、最大の質量流量を有する)。典型的には、第2の供給流127の質量流量は、冷却された組み合わせ供給流120の質量流量の65~75%であり、より好ましくは約70%である。第2の供給流127は、第2の膨張デバイス128においてさらに膨張され、より好ましくは、例えば、ターボ膨張器128などの等エントロピー膨張デバイスにおいて実質的に等エントロピー的にさらに膨張されることで、流は、好ましくは-110~-140℃の温度に、最も好ましくは約-125℃の温度にさらに冷却され、それによって、2相である(すなわち、液体画分と蒸気画分の両方を有する)さらに膨張および冷却された第2の供給流130が形成される。さらに膨張および冷却された第2の供給流130の液体の割合および蒸気の割合は、膨張前の第2の供給流127の圧力および温度、ならびに膨張比に依存するが、好ましくは、さらに膨張および冷却された第2の供給流の蒸気画分が、さらに膨張および冷却された第2の供給流のうち最大の部分を占め、より好ましくは75~95モル%を占める(したがって、液体画分は、好ましくは、流の小部分を占め、より好ましくは5~25モル%を占める)ようなものになる。さらに膨張および冷却された第2の供給流130の圧力は、同様に、膨張前の高圧組み合わせ供給流118の圧力および温度、ならびに所望のレベルの冷却をもたらし、かつ所望の蒸気対液体比を生成するために必要とされる結果として生じる膨張比に依存するが、例えば、約9baraであり得る。第2の供給流127の等エントロピー膨張によって生成される作業は、任意の好適な使用に供され得るが、好ましい実施形態では、図1に示すように、第2の膨張デバイス128が圧縮段階108に直接結合され、圧縮段階108を駆動するターボ膨張器である場合など、圧縮トレインの圧縮段階のうちの1つ以上を駆動するために使用され得る。
【0066】
さらに膨張および冷却された第2の供給流130は、次いで、第1の分離セクション132に導入され、そこにおいて、流の液体画分と蒸気画分が分離され、蒸気画分は、ガス状冷媒流134を形成し、このガス状冷媒流134は、次いで、第1の熱交換器セクション124内で加温されて、上に記載されるように第1の供給流122をさらに冷却および凝縮するための冷却デューティを提供し、液体画分は、第2のLNG流136を形成する。好ましい実施形態では、第1の分離セクション132は、単一のユニットのシェルケーシング内の第1の熱交換器セクション124と統合され、第1の分離セクション132は、図1に示されるように、かつ図2を参照して以下でさらに説明されるように、第1の熱交換器セクション124の上に位置する。他の実施形態では、第1の分離セクションは、単一のユニットのシェルケーシング内の第1の熱交換器セクションと統合され得るが、分離セクションは、例えば、その内容全体が本明細書に組み込まれるUS2019/0346203A1に記載されるような組み合わされた熱交換器およびセパレータユニットが使用される場合など、熱交換器セクションの下に位置する。さらに他の実施形態では、第1の分離セクションおよび第1の熱交換器セクションは、好適な配管を介して接続された別個のユニットを構成し得る。
【0067】
第3の供給流146、および存在する場合、第4の供給流154は、冷却された組み合わせ供給流120が分割される流の中で最小の流である(すなわち、最小の質量流量を有する)。典型的には、第3の供給流146の質量流量は、冷却された組み合わせ供給流120の質量流量の1~5%に過ぎない。同様に、存在する場合、第4の供給流154の質量流量は、典型的には、冷却された組み合わせ供給流120の質量流量の1~5%に過ぎない。
【0068】
第3の供給流146は、第2の熱交換器セクション142内の第1のフラッシュガス流150との間接熱交換によってさらに冷却および凝縮され、第3の供給流146は、さらに冷却および凝縮されて、第3のLNG流148が形成され、第1のフラッシュガス流150は、加温されて、加温された第1のフラッシュガス流152が形成される。第2の熱交換器セクション142を出た第3のLNG流148の温度は、好ましくは第1のLNG流126の温度よりも低く、例えば、約-140℃であり得る。第1の熱交換器セクション124と同様に、第2の熱交換器セクション142は、任意のタイプの熱交換器セクションであってもよいが、最も好ましくは、図1に示されるようなコイル巻きタイプの熱交換器セクションであり、第3の供給流146は、コイル巻き熱交換器セクションのチューブ側を通過し、さらに冷却および凝縮され、第1のフラッシュガス流150は、コイル巻き熱交換器セクションのシェル側を通過し、加温される。
【0069】
第1のLNG流126、第2のLNG流136、および第3のLNG流148は、次いで、第2の膨張デバイス141、143のセットの第3の膨張デバイス内で、第2の膨張デバイス128の吐出圧力を下回る(かつ大気圧を上回る)圧力まで下方に、例えば、約4baraの圧力まで下方にフラッシュされ、その結果、各流は液体画分および蒸気画分を有し、液体画分および蒸気画分は、次いで、第2の分離セクション140または分離セクションのセット内で分離され、液体画分は、第1のLNG生成物流144を形成し、蒸気画分は、第1のフラッシュガス流150を形成し、この第1のフラッシュガス流150は、次いで、上記のように第2の熱交換器セクション142内で加温される。
【0070】
図1に示される構成では、別個の膨張デバイス141、143を使用して、第1のLNG流、第2のLNG流、および第3のLNG流の各々を別々にフラッシュし、第1のLNG流126は、例えば、密集流体膨張器または水力タービン143(またはバルブが後続する水力タービン)などの等エントロピー膨張デバイスを使用してフラッシュされ、第2のLNG流136および第3のLNG流148は、バルブ141などの等エンタルピー膨張デバイスを使用してフラッシュされ、これらの流は、次いで、混合され、単一の流145として単一の分離セクション140に導入され、ここにおいて、流の全ての液体画分および蒸気画分が収集され、分離される。図1に示される構成では、第2の分離セクション140はまた、単一のユニットのシェルケーシング内の第2の熱交換器セクション124と統合され、分離セクションは、例えば、US2019/0346203A1に記載されるような組み合わされた熱交換器およびセパレータユニットが使用される場合など、熱交換器セクションの下に位置する(かつ、例えば、液体画分の収集のためのセクションの下部におけるサンプゾーンと、蒸気画分の収集のためのそのサンプゾーンの上のヘッド空間ゾーンとを画定するシェルケーシングの空のセクションである)。しかしながら、代わりに他の構成を使用することができる。第2の分離セクションは、単一のユニットのシェルケーシング内の第2の熱交換器セクションと統合され得るが、第2の分離セクションは、(図2を参照しながら以下にさらに説明するユニットを使用して)第2の熱交換器セクションの上に位置するか、または代替的に、第2の分離セクションおよび第2の熱交換器セクションは、好適な配管を介して接続された別個のユニットを構成し得る。第1、第2、および第3のLNG流をフラッシュするために、等エントロピー膨張デバイスおよび等エンタルピー膨張デバイスの任意の形態または組み合わせが使用され得る。第1、第2、および第3のLNG流は、フラッシュされる前に組み合わせることができ、組み合わせ流は、次いで、フラッシュされ、第2の分離セクションに導入される。代替的に、別個の膨張デバイスを使用して、第1のLNG流、第2のLNG流、および第3のLNG流の各々を別々にフラッシュし、次いで別個の分離セクションを使用して、フラッシュ流の各々を受容し、各流の液体画分および蒸気画分を分離し、分離された液体画分を次いで組み合わせ、分離された蒸気画分を次いで組み合わせることができる(そのような構成はまた、代替的に、第1のLNG流、第2のLNG流、および第3のLNG流のうちの1つもしくは2つのみの蒸気画分のみから第1のフラッシュガス流を形成すること、ならびに/または第1のLNG流、第2のLNG流、および第3のLNG流のうちの1つもしくは2つのみから第1のLNG生成物流を形成することを可能にする)。
【0071】
第4の供給流154は、存在する場合、第3の熱交換器セクション156内の第2のフラッシュガス流164との間接熱交換によってさらに冷却および凝縮され得、第4の供給流154は、さらに冷却および凝縮されて、第4のLNG流158が形成され、第2のフラッシュガス流164は、加温されて、加温された第2のフラッシュガス流166が形成される。第3の熱交換器セクション156を出た第4のLNG流158の温度は、好ましくは第3のLNG流148の温度よりも低く、例えば、約-150℃であり得る。第1および第2の熱交換器セクションと同様に、第3の熱交換器セクション156は、任意のタイプの熱交換器セクションであってもよいが、最も好ましくは、図1に示されるようなコイル巻きタイプの熱交換器セクションであり、第4の供給流154は、コイル巻き熱交換器セクションのチューブ側で通過され、さらに冷却および凝縮され、第2のフラッシュガス流164は、コイル巻き熱交換器セクションのシェル側で通過され、加温される。
【0072】
上に記載されるように、第4のLNG流158が生成される場合、第4のLNG流158および第1のLNG生成物流144は、次いで、膨張デバイス161のセットの第4の膨張デバイス内で、第3の膨張デバイスまたは膨張デバイス141、143のセットの吐出圧力を下回る(かつ大気圧以上の)圧力まで下方に、例えば、1~1.5baraの圧力まで下方にフラッシュされ得、その結果、各流は液体画分および蒸気画分を有し、液体画分および蒸気画分は、次いで、第3の分離セクション160または分離セクションのセット内で分離され、液体画分は、第2のLNG生成物流162を形成し、蒸気画分は、第2のフラッシュガス流160を形成し、この第2のフラッシュガス流160は、次いで、上記のように第3の熱交換セクション156内で加温される。
【0073】
図1に示される構成では、別個の膨張デバイス161を使用して、第4のLNG流158および第1のLNG生成物流144を別々にフラッシュし、上記流158と流144の両方が、バルブ161などの等エンタルピー膨張デバイスを使用してフラッシュされ、これらの流は、次いで、混合され、単一の流165として単一の分離セクション160に導入され、そこにおいて、両方の流の液体画分および蒸気画分が収集され、分離される。図1に示される構成では、第3の分離セクション160はまた、単一のユニットのシェルケーシング内の第3の熱交換器セクション156と統合され、分離セクションは、例えば、US2019/0346203A1に記載されるような組み合わされた熱交換器およびセパレータユニットが使用される場合など、熱交換器セクションの下に位置する(かつ、例えば、液体画分の収集のためのセクションの下部におけるサンプゾーンと、蒸気画分の収集のためのそのサンプゾーンの上のヘッド空間ゾーンとを画定するシェルケーシングの空のセクションである)。しかしながら、この場合も、代わりに他の構成を使用することができる。第3の分離セクションは、単一のユニットのシェルケーシング内の第3の熱交換器セクションと統合され得るが、第3の分離セクションは、(図2を参照しながら以下にさらに説明するユニットを使用して)第3の熱交換器セクションの上に位置するか、または代替的に、第3の分離セクションおよび第3の熱交換器セクションは、好適な配管を介して接続された別個のユニットを構成し得る。第4のLNG流および第1のLNG生成物流をフラッシュするために、等エントロピー膨張デバイスおよび等エンタルピー膨張デバイスの任意の形態または組み合わせが使用され得る。第4のLNG流および第1のLNG生成物流は、フラッシュされる前に組み合わせることができ、組み合わせ流は、次いで、フラッシュされ、第3の分離セクションに導入される。代替的に、別個の膨張デバイスを使用して、第4のLNG流および第1のLNG生成物流の各々を別々にフラッシュすることができ、次いで、別個の分離セクションを使用して、フラッシュ流の各々を受容し、各流の液体画分および蒸気画分を分離することができ、分離された液体画分を次いで組み合わせ、分離された蒸気画分を次いで組み合わせる。
【0074】
最後に、加温された第1のフラッシュガス流152、および存在する場合、加温された第2のフラッシュガス流166はまた、天然ガス供給流と組み合わされるリサイクルガスの1つ以上の追加の流としてリサイクルされ得る。図1に示される特定の構成では、第1のフラッシュガス流152および第2のフラッシュガス流は、多段圧縮器168内で組み合わされ、圧縮され、好ましくは、空気または水などの1つ以上の周囲温度流体との間接熱交換を介して後置冷却器170内で冷却されて、リサイクルガスの追加の流172が形成される(ただし、別個の圧縮器は、フラッシュガス流を別々に圧縮するために等しく使用され得、圧縮された流れは、次いで、組み合わされるか、または別の方法でリサイクルガスの2つの別個の流を形成する)。リサイクルガスの追加の流172が、第1の熱交換器セクション124から引き出されるリサイクルガスの流138と同じ圧力にある場合、これらの2つの流は、図1に示されるように組み合わされて、リサイクルガスの単一の流104が形成され得、この単一の流104は、次いで、圧縮トレインの第1の段階100において圧縮される。代替的に、リサイクルガスの追加の流172が、第1の熱交換器セクション124から引き出されるリサイクルガスの流138の圧力とは異なる圧力にある場合、これらの2つの流は、異なる位置において圧縮トレインに導入され得る。例えば、リサイクルガスの追加の流172がリサイクルガスの流138よりも高い圧力にある場合、リサイクルガスの追加の流172は、リサイクルガスの追加の流172の圧力に応じて、圧縮段階100、106、108、110のうちの2つの間で、または最後の圧縮段階110の後でも、圧縮トレインに導入されることによって、リサイクルガスの流138および天然ガス供給流102と組み合わされ得る。
【0075】
図1に描写され、上に記載される天然ガス液化方法およびシステムは、いくつかの利点を提供する。
【0076】
まず、リサイクルガス、および必要に応じて、天然ガス供給流を非常に高圧に圧縮して、典型的には150bara以上、より好ましくは200bara以上の圧力における高圧組み合わせ供給流114、118を形成することによって、第1の膨張デバイス119と第2の膨張デバイス128の両方にわたって高い膨張比および大きい圧力低下を達成することが可能であり、それによって、高圧組み合わせ供給流118を膨張させて、冷却された組み合わせ供給流120を生成するときと、第2の供給流127を膨張させて、さらに膨張および冷却された第2の供給流130を生成するときの両方において、著しい量の冷却を生成する。これは、今度は、第1の供給流122が第1の熱交換器セクション124内に導入され、さらに冷却される前に、かつさらに膨張および冷却された第2の供給流130が分離されて、第1の熱交換器セクション124に冷却デューティを提供するガス状冷媒流134が提供される前に、第1の供給流122、ならびにさらに膨張および冷却された第2の供給流130が、任意の追加の熱交換器セクション内でのこれらの流のどんな予冷却の必要性も排除する低温において生成されることを可能にする。(第1の供給流122、ならびにさらに膨張および冷却された第2の供給流130の著しい質量流量を収容するために適切なサイズにする必要がある)任意のそのような追加の熱交換器の必要性を排除することによって、液化設備の資本コストおよびフットプリントを低減することができる。
【0077】
第2に、第1の分離セクション132内のさらに膨張および冷却された第2の供給流130をその液体画分および蒸気画分に分離し、上記蒸気画分からガス状冷媒流134を形成し、次いで、上記ガス状冷媒流134のみ(かつ分離された液体画分のいずれもない)を第1の熱交換器セクション124内の冷媒として使用することによって、第1の熱交換器セクション124内の2相冷媒流の使用を回避する。代わりに、第1の熱交換器セクション124内の2相冷媒流を使用して、第1の供給流をさらに冷却および凝縮するための冷却デューティを提供することは、第1の熱交換器セクションの低温端部における液体の沸騰が交換器内の温度差を増加させ、エクセルギー損失を生じさせるため、プロセスおよびシステムの効率を低下させる。本発明者らによって行われたシミュレーションは、第1の分離セクション132内のさらに膨張および冷却された第2の供給流130をその液体画分および蒸気画分に分離し、第1の熱交換器セクション内の冷媒として蒸気画分のみを使用することによって、さらに膨張および冷却された第2の供給流の液体画分が上記流のわずか14モル%を表す比較的希薄な天然ガス供給流においても、プロセスの電力要件が4%低下することを示している。
【0078】
第3に、第1の熱交換器セクション124、第2の熱交換器セクション142、および(存在する場合)第3の熱交換器セクション156は全て、必要な冷却デューティ(すなわち、第1の熱交換器セクション124の場合はガス状冷媒流134、第2の熱交換器セクション142の場合は第1のフラッシュガス流150、および第3の熱交換器セクション156の場合は第2のフラッシュガス流164)を提供するために冷媒の単一の流のみを使用するため、これらの熱交換器セクションの各々にコイル巻き熱交換器セクションを使用することが可能であり、それによって、このタイプの交換器を使用する利点(すなわち、コンパクトさおよび高効率性)を得ることができる。
【0079】
ここで図2を参照すると、本発明の別の実施形態によるコイル巻き熱交換器ユニットが示され、このコイル巻き熱交換器ユニットは、ユニットによって分離された2相流の蒸気画分から形成されるガス状冷媒流との間接熱交換を介して1つ以上の供給流を冷却するために使用される。上に記載されるように、この実施形態のコイル巻き熱交換器ユニットは、例えば、図1に示されるシステムの第1の分離セクション132および第1の熱交換器セクション124として有利に使用され得、コイル巻き熱交換器ユニットによって冷却される供給流は、図1の第1の供給流122であり、ユニットによって使用される2相流およびガス状冷媒流は、それぞれ、図1のさらに膨張および冷却された第2の供給流130、ならびにガス状冷媒流134である。しかしながら、コイル巻き熱交換器ユニットは、任意の他のタイプの2相流の蒸気画分から形成されたガス状冷媒流との間接熱交換器を介して、任意の他のタイプの供給流を冷却するために等しく使用され得る。例えば、上でも説明したように、コイル巻き熱交換器ユニットは、図1に示されるシステムの第2の分離セクション140および第2の熱交換器セクション142として、または第3の分離セクション160および第3の熱交換器セクション156として使用することができ、供給流、2相流、およびガス状冷媒流は、それぞれ流146、145、および150、または154、165、および164である。同様に、コイル巻き熱交換器ユニットを使用して、限定はしないが、それら自体が天然ガス供給流に由来する2相流およびガス状冷媒流など、任意のタイプの2相流およびガス状冷媒流を使用して、任意の他のタイプの天然ガス供給流を冷却することができる。
【0080】
コイル巻き熱交換器ユニットは、熱交換器セクション224を封入するシェルケーシング(容器シェル)282、熱交換器セクション224の上に位置する分離セクション232、分離セクション232から熱交換器セクション224を分離するパーティション279、およびパーティション279を通って延在する熱交換器セクション224と分離セクション232との間の1つ以上の導管276を備える。
【0081】
熱交換器セクションは、熱交換器セクションのチューブ側およびシェル側を画定する(図2にシェードセクション278として概略的に描写される)少なくとも1つのコイル巻きチューブ束を備えるコイル巻き熱交換器セクション224であり、チューブ側は、(例えば、図1の第1の供給流122などの)1つ以上の供給流222を冷却して(例えば、図1の第1のLNG流126などの)1つ以上の冷却された供給流226を形成するために熱交換器セクションを通る1つ以上の通路を画定し、シェル側は、(図1の流134などの)ガス状冷媒流234を加温して(図1の流138などの)加温されたガス状冷媒の流238を形成するために熱交換器セクションを通る通路を画定する。1つ以上の供給流222は、熱交換器セクションのチューブ側に、好ましくは熱交換器セクションの下部において、熱交換器セクションのチューブ側と流体流連通するシェルケーシングの第1の入口または入口のセットを介して導入され、1つ以上の冷却された供給流226は、熱交換器セクションのチューブ側から、好ましくは熱交換器セクションの上部において、およびコイル巻き熱交換器ユニット全体から、熱交換器セクションのチューブ側と流体流連通するシェルケーシングの第1の出口または出口のセットを介して引き出される。理論的には、コイル巻き熱交換器ユニットおよび熱交換器セクション224はまた、冷却を必要とするガス状流234とともに、かつ冷媒として作用する供給流222とともに動作することができ、ガス状流234は、熱交換器セクションのシェル側を通過して冷却され、供給流222は、チューブ側を通過して加温されるが、そのような構成は、実際には非常に非効率的であろう。
【0082】
分離セクション232は、(例えば、図1のさらに膨張および冷却された第2の供給流130などの)2相流230を受容し、流の液体画分および蒸気画分を分離するように構成され、液体画分は分離セクションの下部に収集され、蒸気画分は分離セクションの上部に収集される。2相流230の蒸気画分は、例えば、2相流230の2~98モル%のいずれかを構成し得るが、ほとんどの用途では、蒸気画分は、2相流のうち最大の部分を構成し、好ましくは、蒸気画分は、2相流の75~98モル%、より好ましくは75~95モル%、または80~98モル%、または80~95モル%を構成する(したがって、液体画分は、2相流の小部分を構成し、好ましくは2~25モル%、より好ましくは5~25モル%、または2~20モル%、または5~20モル%を構成する)。2相流230は、分離セクション232と流体流連通するシェルケーシングの第2の入口を介して分離セクション232に導入される。シェルケーシングはまた、分離セクションの下部に収集される液体の流236を引き出すために分離セクションと流体流連通する第2の出口を有する。
【0083】
例えば、隔壁板の形態をとり得るパーティション279、および1つ以上の導管276は、1つ以上の導管276を通る以外の分離セクション232と熱交換器セクション224との間の流体の流れを防止するように構成される。 また、シェルケーシングのパーティション279および第2の出口は、コイル巻き熱交換器ユニットの通常の動作において、分離セクションの下部に収集される液体のレベルがシェルケーシングの第2の出口の位置の上にあり、したがって、液体のみ(および蒸気なし)が第2の出口を介して分離セクションを出ることができるように位置し、構成される。1つ以上の導管276は、分離セクションの上部に向かってパーティション224の上に位置する入口273と、熱交換器セクションのシェル側の熱交換器セクションの上部に向かってパーティション224の下に位置する出口274と、を各々有し、それによって、分離セクションの下部に収集された液体は、熱交換器セクションに流入することができず、一方で、分離セクションの上部に収集された蒸気は、1つ以上の導管276を通って熱交換器セクションのシェル側の上部に流入し、それによって、ガス状冷媒流234を形成することができ、このガス状冷媒流234は、次いで、熱交換器セクションのシェル側を通って流れて加温される。加温されたガス状冷媒から得られた流238は、次いで、熱交換セクションのシェル側と流体流連通するシェルケーシングの第3の出口を介して、熱交換器セクションのシェル側の下部から、およびコイル巻き熱交換器ユニット全体から引き出される。
【0084】
2相流230が分離セクション232にそれを介して導入されるシェルケーシングの第2の入口は、好ましくは、ガス状冷媒流234が分離セクション232から熱交換器セクション224にそれを介して流れる導管(複数可)276への入口(複数可)273の位置の下の位置において、2相流を分離セクションに導入するように位置する。何らかの液体が熱交換器セクションに流れるのを防ぐのを助けるために、コイル巻き熱交換器ユニットはまた、(2相流230が分離セクション232にそれを介して導入される)シェルケーシングの第2の入口と、導管(複数可)276への入口(複数可)273との間の分離セクション232に位置するミスト除去器272をさらに備え得、ミスト除去器は、分離セクションの上部に収集された蒸気から、上記蒸気が導管276に入ってガス冷媒流234を形成する前に何らかの同伴する液体の高い除去を確実にするように設計および構成される。
【0085】
図2に示される構成において、熱交換器セクション224は、コイル巻きチューブ束のチューブが巻かれているマンドレル277をさらに含み、このマンドレルは、パーティション279を通って上向きに延在し、マンドレルの上向き延在部は、中空であり、導管276を形成し、この導管276を介して、分離セクションの上部に収集された蒸気は、ガス状冷媒流234として、熱交換器セクションのシェル側の上部を通ってそれに流入する。マンドレルの上向き延在部の上端は開放されており、これにより、導管への入口273が形成され、この入口273を介して分離セクションの上部の蒸気が導管276に入ってガス状冷媒流234を形成する。パーティション279の下では、マンドレルの上向き延在部内の様々な円周方向のスロットまたは穴が出口274を形成し、この出口274を介して、ガス状冷媒流234は導管を出て、熱交換器セクションのシェル側の上部に入る。出口274の下のマンドレル内のシールプレート280は、ガス状冷媒がマンドレルの内側をさらに下に通過し、それによって熱交換器セクションのシェル側を迂回するのを防ぐ。示される構成では、コイル巻きチューブ束の重量は、マンドレル/導管276の上向き延在部の上部を容器シェル282に接続する支持構造270を介して支持される。図2にはまた、マンドレルとシェルとの間にピン留めされた支持アーム271を使用する、より大きくより重い束に好適な追加または代替的な支持構成も示されている。
【0086】
図2には示されていない代替的な構成では、ガス状冷媒流234が分離セクション232から熱交換器セクション224にそれを介して流れる1つ以上の導管276は、コイル巻きチューブ束を支持するマンドレルとは別個であってもよい。この構成では、マンドレルと導管の直径は異なってもよく、それらのそれぞれの機能の必要に応じてサイズを決定することができ、蒸気分布を改善するために所望される場合は複数の導管を使用することができる。
【0087】
US2019/0346203A1に記載されているような組み合わされた熱交換器およびセパレータユニットと比較したときの、図2に描写され上に記載されたコイル巻き熱交換器ユニットの利点は、以下の通りである。
【0088】
機械的設計および配管の理由から、シェル側の流れがコイル巻き束にわたって下向きになるように(すなわち、シェル側冷媒が使用される場合、コイル巻き熱交換器セクションの低温端部が上になる配向になるように)コイル巻き熱交換器セクションを構成することが多くの場合有利である。コイル巻き熱交換器束の支持構造は、束の重量と、動作時のシェル側の流れによる圧力の両方を支えるように設計される。US2019/0346203A1のユニットのように上向きのシェル側の流れを有する熱交換器ユニットの場合、重力は、圧力低下力とは反対方向にあり、支持システムは、それらの両方を処理するように設計される必要がある。シャットダウンまたはターンダウン状態では、正味の力は、下向きの方向であり、高生成状態では、正味の力は上向きの方向であり得る。これは、両方向の力を処理するための支持を必要とするため、また正味の力の方向の切り替えが頻繁である場合に材料の疲労を引き起こすことがあるため、交換器の機械的設計に困難をもたらす可能性がある。下向きのシェル側の流れ用に設計された交換器は、プラントのレイアウトに応じて、他の機器に配管を接続するレイアウトにも利点をもたらす場合がある。そのような問題は、図2に示される構成において解決され、それは、下向きのシェル側の流れ(すなわち、熱交換器セクションのシェル側を下向きに通るガス状冷媒流の流)を提供する一方で、2相流を分離し、次いで、熱交換器セクションのシェル側においてガス状冷媒として蒸気画分を使用(し、それによって、別個の分離容器および熱交換器を使用するシステムよりもコンパクトで、コスト効率が良く、かつより小さいフットプリント構成を提供)する単一のユニットを提供するという点で、US2019/0346203に開示され記載されたユニットと同じ機能を依然として実行するからである。
【0089】
ここで図3を参照すると、本発明の別の実施形態による、天然ガス供給流から重成分を除去し、その後の液化のために必要に応じて天然ガスを調製および調整するための方法およびシステムが示される。この方法およびシステムは、任意のタイプの開ループ天然ガス冷凍サイクルにおいて、天然ガスが液化される前に、重成分を除去するために使用することができるが、好ましい構成では、図3に描写される方法およびシステムは、図1に示され上に記載される方法およびシステムにおいて、天然ガスの液化の前に、天然ガス供給流から重成分を除去するために使用される。
【0090】
重成分を含有する天然ガス供給流390は、液体蒸気相平衡に基づいてより重い成分からメタンを分離する重成分除去システム391において処理される。様々なそのようなシステムが既知であるが、例示のために、Ortloff GSPプロセスを使用するシステム391が図3に示されている。天然ガス供給流390は、好ましくは、まずエコノマイザ熱交換器セクション384内で冷却され、次いで、流を冷却するために1つ以上の膨張デバイス392内で膨張され、それによって、冷却された天然ガス供給流398が形成される。好ましくは、膨張デバイス392は、実質的に等エントロピー的様態で天然ガス供給流を膨張させる1つ以上の等エントロピー膨張デバイス、例えば、1つ以上のターボ膨張器392などを備えるが、追加的または代替的には、1つ以上のバルブまたは他のそのような等エンタルピー膨張デバイスを利用する等エンタルピー膨張が使用され得る。
【0091】
冷却された天然ガス流398は、次いで、例えば、1つ以上のノックアウトドラム397および/または蒸留カラム395など、1つ以上の分離デバイス397、395内で分離されて、重成分が枯渇した(かつ元の天然ガス供給流中に存在するメタンの大部分を保持する)ガス状天然ガス供給流394と、重成分が濃縮された液体流395とが形成される。図3に示される特定の構成では、2相である冷却された天然ガス流398は、まず、ノックアウトドラム398内で液体供給流385および蒸気供給流386に分離される。液体供給流385は、蒸留カラム395の中間位置に送られる。蒸気供給流386は、オーバーヘッド熱交換器セクション388内でさらに冷却され、蒸留カラムの上部に送られて、冷却およびカラムの上部への還流が提供される。蒸留カラムのためのボイルアップは、リボイラ389によって提供される。蒸留カラム395は、液体供給流385および蒸気供給流385を、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流394を形成するオーバーヘッド蒸気と、重成分が濃縮された液体流395を形成する下部液体とに分離する。重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流394は、次いで、オーバーヘッド熱交換器セクション388内で加温され、存在する場合、エコノマイザ熱交換器セクション384内でさらに加温されて、開ループ冷凍サイクルを介して液化される準備ができた、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流302が提供される。
【0092】
開ループ冷凍サイクルにおいて、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流302は、次いで、リサイクルガスの1つ以上の流304と組み合わされ、上記流は、メタンの臨界圧力を下回る圧力において組み合わされ、結果として生じる組み合わせ供給流303は、次いで、圧縮されて、(好ましくは、重成分を含有する天然ガス供給流390の開始圧力を上回る圧力を有する)高圧組み合わせ流が形成され、高圧組み合わせ供給流の第1の部分は、第1の部分を液化するための冷却デューティを提供するための冷媒として高圧組み合わせ供給流の第2の部分を使用して液化され、第2の部分(すなわち、冷媒)は、一度加温されると、リサイクルガスの1つ以上の流のうちの1つ以上を形成する。リサイクルガスの1つ以上の流はまた、加温された冷媒の1つ以上の流に加えて、(好ましくは加温された)フラッシュガスの1つ以上の流を含んでもよいが、リサイクルガス流(複数可)中のガスの好ましくは50モル%超、好ましくは70モル%超が、リサイクルされる加温された冷媒である。図3に示されるように、リサイクルガスの1つ以上の流304は、リサイクルガスの流、および重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流の相対圧力に応じて、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流302と組み合わされる前に、1つ以上の任意選択の圧縮段階300において任意選択で圧縮され得る。上に記載されるように、任意のタイプの開ループ冷凍サイクルを使用することができるが、好ましい実施形態では、図1の方法およびシステムが使用され、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流302は、図1の天然ガス供給流102に対応し、リサイクルガスの流304は、図1のリサイクルガスの流104に対応し、図3に描写される圧縮段階300および306ならびに中間冷却器307は、図1の圧縮段階100および106ならびに中間冷却器107に対応する。
【0093】
1つ以上の等エントロピー膨張デバイス392を使用して、重成分を含有する天然ガス供給流390を膨張させた場合、例えば、任意選択の圧縮器393が「コンパンダ」デバイスの形態でターボ膨張器392に直接結合することによって駆動される図3に示されるように、上記流302がリサイクルガスの1つ以上の流304と組み合わされる前に、上記等エントロピー膨張デバイス(複数可)392によって生成される作業によって駆動される1つ以上の圧縮段階393を使用して、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流394を圧縮し得る。しかしながら、図3の方法およびシステムでは、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流394、304は、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流394、304がリサイクルガスの1つ以上の流304と組み合わされる前に、いかなる外部駆動圧縮(すなわち、天然ガス供給流を膨張させることによって生成される電力以外の電源によって駆動される任意の圧縮)も受けないことに留意されたい。また、図3の方法およびシステムでは、重成分を含有する天然ガス供給流390は、(流304などの)開ループ天然ガス冷凍サイクルからのリサイクルガスの任意の流と組み合わされる前に、重成分を除去して、それによって、重成分が枯渇したガス状天然ガス供給流394を形成するように処理されることに留意されたい。
【0094】
図3に描写される方法およびシステムの利点は、後続の液化のために天然ガス供給流を調製するために外部駆動圧縮が使用されない、または必要とされないことである。天然ガス供給流から重成分を効率的に除去するためには、典型的には、重成分の分離のためにより有利な重成分から軽成分の相対的な揮発性を有するように、また、供給流を冷却し、かつ液体として重成分を除去するために必要な冷凍を提供するために、供給流の圧力を低下させる必要がある。逆に、供給流の効率的な液化のためには、典型的には、天然ガス供給流を高圧に圧縮する必要がある。しかしながら、図3に示される実施形態では、開ループ冷凍サイクルにおいてリサイクルガスを圧縮するために使用される圧縮トレイン内の圧縮器はまた、上記供給流から重成分を除去した後に天然ガス供給流を再圧縮するために使用され、それによって、重成分を除去した後に天然ガス供給流を再圧縮するための別個の外部駆動圧縮器および駆動システムの追加費用を回避する。
【0095】
図3に描写される方法およびシステムのさらなる利点は、天然ガス供給流からの重成分の除去が、天然ガス供給流と開ループ冷凍サイクルからのリサイクルガスとを組み合わせる前に行われることである。天然ガス供給流から重成分を除去する前にリサイクルガスを天然ガス供給流と組み合わせると、流から重成分を除去する前の天然ガス供給流中の重成分の濃度が希釈されることになり、それにより、重成分の除去がより困難になり、したがって、プロセスの効率が低下することになる。
【実施例
【0096】
図1に記載および描写された方法およびシステムをシミュレーションし、シミュレーションの結果を以下の表1aおよび表1bに示した。これらの表では、列挙された流の番号は、図1において使用される参照番号に対応する。
【表1a】
【表1b】
【0097】
本発明は、好ましい実施形態を参照しながら上に記載される詳細に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲において定義される本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形を行うことができることが理解されよう。
図1
図2
図3