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特許7369173バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021200798
(22)【出願日】2021-12-10
(62)【分割の表示】P 2019546348の分割
【原出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2022022421
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】201710108673.2
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520015461
【氏名又は名称】アドバンスド ニュー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】チャン ホン
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0255748(US,A1)
【文献】実開昭59-106127(JP,U)
【文献】特開2009-025367(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103525(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/026371(WO,A1)
【文献】特開2016-173313(JP,A)
【文献】特開2017-017565(JP,A)
【文献】特開平06-175066(JP,A)
【文献】特開平08-160494(JP,A)
【文献】特開平11-044862(JP,A)
【文献】国際公開第2017/026371(WO,A1)
【文献】特開2013-054076(JP,A)
【文献】特開2013-044870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64- 5/655
G02B 27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置であって、装置本体と、前記装置本体に設けられた凸レンズと、前記バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置を装着しているユーザの眼の画像を取得するためのカメラとを含む少なくとも1つの発熱要素とを備え、前記装置本体は、前記凸レンズの前記発熱要素に近い側に少なくとも1つの設置空間と、少なくとも1つの放熱チャネルとを備え、前記発熱要素は、前記設置空間に設置され、前記少なくとも1つの放熱チャネルは、前記少なくとも1つの発熱要素と前記凸レンズとの間の前記設置空間の領域に接続された第1の端部、および前記装置本体の外側に接続された第2の端部を有し、
前記少なくとも1つの放熱チャネルの両端部の間に光が伝搬可能な直線経路が形成されておらず、
前記少なくとも1つの放熱チャネルは空の内部を有し、前記少なくとも1つの放熱チャネルの前記第1の端部および前記第2の端部は反対方向に向かって開いており、
前記カメラは、前記少なくとも1つの発熱要素として前記装置本体に設けられ、ユーザの眼の前記画像を取得するために、前記バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置を装着している前記ユーザの前記眼に面する、装置。
【請求項2】
前記カメラは、前記凸レンズの前記ユーザに近い側に設けられ、前記カメラは、前記ユーザに対して前記凸レンズの可視エリア外に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カメラは、前記凸レンズの縁部に密着して配設される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記カメラは、赤緑青および赤外統合カメラを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置であって、装置本体と、前記装置本体に設けられた凸レンズと、前記装置本体に設けられたカメラとを備え、前記装置本体は、前記凸レンズの前記バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置を装着しているユーザから遠い側に少なくとも1つの収容空間と、少なくとも1つの第1の放熱チャネルとを備え、前記収容空間は、バーチャル・リアリティー表示コンテンツを再生するための電子デバイスを保持するように構成され、
前記カメラのレンズは、前記ユーザの眼の画像を取得するために、前記ユーザの前記眼に面し、
前記装置本体は、少なくとも1つの設置空間と、外部光が前記装置本体の内側に入射することを防止する第2の放熱チャネルとを更に備え、前記カメラは、前記設置空間に設置され、前記第2の放熱チャネルの第1の端部は、前記設置空間に接続され、前記第2の放熱チャネルの第2の端部は、前記装置本体の側に接続され、
前記第2の放熱チャネルの両端部の間に光が伝搬可能な直線経路が形成されておらず、
前記第2の放熱チャネルは空の内部を有し、前記第2の放熱チャネルの前記第1の端部および前記第2の端部は反対方向に向かって開いている、装置。
【請求項6】
前記カメラは、前記凸レンズの前記ユーザに近い側に設けられ、前記カメラは、前記ユーザに対して前記凸レンズの可視エリア外に位置する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記カメラは、前記凸レンズの縁部に密着して配設される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記カメラは、赤緑青および赤外統合カメラを備える、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、バーチャル・リアリティーの技術分野に関し、特に、バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーチャル・リアリティー(VR)技術は、コンピュータ上で対話型の3次元インタラクション環境を生成してユーザに没入型の体験を提供するためにコンピュータ・グラフィック・システムおよび様々な制御インタフェースを総合的に利用する技術である。関連技術において、ユーザは、対応するバーチャル・リアリティー体験を得るために、VRメガネ、VRヘルメット、または別のVR装置等のVRヘッドマウント装置を装着することができる。
【0003】
VR装置は、動作プロセス中に大量の熱を発生させる。熱は、時間内に放散することができない場合、VR装置を装着しているユーザのユーザ体験に影響し、VR装置におけるVR再生コンポーネントに対しても過熱を生じ、それにより、VRコンテンツの通常の再生でも、その通常動作に影響を与える場合がある。
【発明の概要】
【0004】
これらの制限に鑑みて、本出願は、VRヘッドマウント装置の放熱性能を改善し、また、外部光が入射するのを防止し、このため、VRヘッドマウント装置が没入型VR体験をユーザに提供することを確実にすることができるVRヘッドマウント装置を提供する。
【0005】
上述した目的を達成するために、本出願は、以下の技術的解決策を提供する。
【0006】
本出願の第1の態様によれば、装置本体と少なくとも1つの発熱要素とを含むVRヘッドマウント装置が提供され、その場合、装置本体は、少なくとも1つの設置空間と、非直線構造を有する少なくとも1つの放熱チャネルとを含む。発熱要素は設置空間に設置され、放熱チャネルの2つの端部は、それぞれ、設置空間および装置本体の外側に接続される。
【0007】
任意選択で、発熱要素は、
VR表示コンテンツを再生するためのVR表示コンポーネントと、
VRヘッドマウント装置を装着しているユーザの眼の画像を取得するためのカメラとのうちの少なくとも一方を含む。
【0008】
任意選択で、装置は、
装置本体に設けられたカメラを更に含み、カメラのレンズは、ユーザの眼の画像を取得するために、VRヘッドマウント装置を装着しているユーザの眼に面する。
【0009】
任意選択で、装置は、
装置本体に設けられた凸レンズを更に含み、
その場合、カメラは凸レンズのユーザに近い側に設けられ、カメラはユーザに対して凸レンズの可視エリア外に位置する。
【0010】
任意選択で、カメラは、凸レンズの縁部に密着して配設される。
【0011】
任意選択で、カメラは、赤緑青および赤外統合カメラを含む。
【0012】
本出願の第2の態様によれば、装置本体を含むVRヘッドマウント装置が設けられ、装置本体は、少なくとも1つの収容空間と、非直線構造を有する少なくとも1つの放熱チャネルとを含む。収容空間は、VR表示コンテンツを再生するための電子デバイスを保持するように構成され、放熱チャネルの2つの端部は、それぞれ、収容空間および装置本体の外側に接続される。
【0013】
任意選択で、装置は、
装置本体に設けられたカメラを更に含み、カメラのレンズは、ユーザの眼の画像を取得するために、VRヘッドマウント装置を装着しているユーザの眼に面する。
【0014】
任意選択で、装置本体は、少なくとも1つの設置空間を更に含む。カメラは設置空間に設置され、少なくとも1つの放熱チャネルの2つの端部は、それぞれ、設置空間および装置本体の外側に接続される。
【0015】
任意選択で、装置は、
装置本体に設けられた凸レンズを更に含む。カメラは、凸レンズのユーザに近い側に設けられ、ユーザに対して凸レンズの可視エリア外に位置する。
【0016】
任意選択で、カメラは、凸レンズの縁部に密着して配設される。
【0017】
任意選択で、カメラは、赤緑青および赤外統合カメラを含む。
【0018】
上記の技術的解決策から見て取ることができるように、本出願において、放熱チャネルをVRヘッドマウント装置の装置本体上に設けることによって、放熱または補助放熱を装置本体における発熱要素または電子デバイスに対して行うことができる。それにより、VRコンテンツの通常の再生が過熱によって影響を受けるのが防止されるだけでなく、VRヘッドマウント装置の重量も低減されて、ユーザの装着体験が高まる。一方、放熱チャネルが非直線構造を有するので、外部光が、放熱チャネルを通じて装置本体の内側に入射することができず、(すなわち、光漏れを防止し)、このため、VRヘッドマウント装置によって生じる没入型VR体験は、悪影響を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本出願の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの3D構造図である。
図2図1に示すVRヘルメットの方向A―A’の断面図である。
図3図1に示すVRヘルメットの方向B―B’の断面図である。
図4】本出願の例示的な実施形態によって提供される放熱チャネルの横断面構造図である。
図5】本出願の例示的な実施形態によって提供される組立状態のVRヘルメットの構造図である。
図6】本出願の例示的な実施形態によって提供される組み立てられた状態のVRヘルメットの構造図である。
図7】本出願の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの側横断面図である。
図8】本出願の例示的な実施形態によって提供される、装着者の方向から観察された、VRヘルメッの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願を更に説明するために、以下の実施形態は、本出願のVRヘッドマウント装置の関連構造を紹介するためにVRヘルメットを例として用いて提供される。
【0021】
図1は、本出願の例示的な実施形態によって提供されるVRヘルメットの3D構造図である。図1に示すように、本出願のVRヘルメットは、ホスト100(PCホスト、ゲーム機、または別の外部装置等)と対になった分割型VRヘッドマウント装置でもよく、ホスト100は、VR表示コンテンツをレンダリングする。相応に、図2に示すA―A’横断面図を参照すると、VRヘルメットの装置本体1は、VRコンテンツを表示するためにホスト100と対になった対応するVR表示コンポーネント2Aを含むことができる。同様に、本実施形態におけるVRヘルメットは、統合型VRヘッドマウント装置でもよい。すなわち、VRヘルメットは、外部装置に頼ることなく、VRコンテンツを独立して再生することができてもよく、装置本体1におけるVR表示コンポーネント2Aを通じてVRコンテンツを独立して表示してもよい。確かに、ホスト100と対になった、上述した分割型VRヘッドマウント装置および統合型VRヘッドマウント装置では、VRヘルメットにおけるVR表示コンポーネント2Aは、或る構造的および機能的相違を有するが、本明細書ではそれを詳細に説明しない。
【0022】
図2に示すように、VRヘルメットの装置本体1は、設置空間10を含み、上述したVR表示コンポーネント2Aは、設置空間10に設置される。VR表示コンポーネント2Aは、連続動作に起因して大量の熱を発生させる場合があり、それにより、VRヘルメットが任意の時間において加熱し、ユーザの装着感に影響を与える場合があるだけでなく、過熱の結果として通常の処理または表示機能に影響を与え、またはVR再生の遅延等が生じさえする場合もある。
【0023】
したがって、本出願のVR装置の装置本体1は、図1および図2に示すように、複数の放熱チャネル3を更に含むことができる。放熱チャネル3の2つの端部は、それぞれ、設置空間10および装置本体1の外側に接続される。放熱または補助放熱は、VR表示コンポーネント2Aの温度を低減するのに役立たせるために、設置空間10に設置されたVR表示コンポーネント2Aに対して行うことができる。例えば、放熱チャネル3は、装置本体1の頂部、底部、および側部のうちの少なくとも1つに設けることができる。
【0024】
放熱チャネル3は、外部光が放熱チャネル3を通じて装置本体1の内側に入射するのを防止するために非直線構造を有することができる。例えば、図3は、図1のVRヘルメットの方向B―B’の断面図である。例として装置本体1の側部に形成された放熱チャネル3を用いて、放熱チャネル3をポリラインまたは曲線等の形状に設定することによって、外部光が放熱チャネル3を通じて装置本体1の内側に入射するのを(特にVR表示コンポーネント2Aとユーザの眼との間に入射し、それにより、VR表示コンテンツのユーザの通常の視聴が妨害されるのを)防止することができる。VRヘルメットの「光漏れ」問題が防止され、VRヘルメットによって生じる没入型アプリケーション体験は、漏れた光による悪影響を受けない。
【0025】
「非直線構造」とは、光が中を伝搬することを可能にする直線経路が放熱チャネル3内に何もないと理解するべきであることを指摘するべきである。それは放熱チャネル3が、全体として、直線ではないことを単に意味するのではない。例えば、図4に示すように、頂部のチャネル3Aでは、その頂部とその底部との間に光伝搬用の直線経路を形成することができないので、外部光は放熱チャネル3Aを通過することができず、VRヘルメットの内側に入射するのが防止される。この放熱チャネルは、本出願において、放熱チャネル3として用いることができる。中間のチャネル3Bでは、その頂部とその底部との間に水平の直線経路があり、それによって、外部光は、水平方向に経路を通過し、次にVRヘルメットの内側に入射することができる。この放熱チャネルは、本出願において、放熱チャネル3として用いない場合がある。底部の放熱チャネル3Cでは、外部光1を水平方向にVRヘルメットの内側に入射するのを防止することができるが、その頂部とその底部との間に斜めの直線経路があり、それによって、外部光2が、経路を斜めに通過し、VRヘルメットの内側に(例えば、VR表示コンポーネント2Aとユーザの眼との間に)入射することができる。この放熱チャネルは、本出願において、放熱チャネル3として用いない場合がある。
【0026】
加えて、放熱チャネル3の内側が空であるので、すなわち、放熱チャネル3内の材料が除去されているので、放熱チャネル3は、放熱機能を提供する一方で、VRヘルメットの重量を低減し、ユーザの装着感を改善することができる。
【0027】
図5は、本出願の例示的な実施形態によって提供される組立状態のVRヘルメットの構造図である。図5に示すように、VRヘルメットは、分割型VRヘッドマウント装置でもよい。例えば、VRヘルメットの装置本体1は、VR表示コンテンツを再生するモバイル・フォン2B(またはタブレットまたは別の電子デバイス、特にモバイル・デバイス)を保持するための少なくとも1つの収容空間11を含むことができる。実施形態において、図5に示すように、装置本体1は、主本体12と、主本体12の側面上のカバー13とを更に含むことができ、したがって、上述した収容空間11が、モバイル・フォン2Bを保持するために主本体12とカバー13との間に形成される。更に、モバイル・フォン2Bを収容空間11に配置し、カバー13を閉じることによって、VRヘルメットは、図6に示すように、組み立てられた状態に切り替えることができる。レンダリングにプロセッサまたはグラフィックス・カード・チップ等を用い、およびコンテンツ表示に画面コンポーネントを用いることによって、モバイル・フォン2Bは、VRヘルメットのVR再生機能を達成することができる。確かに、図5に示す実施形態に加えて、VRヘルメットは、収容空間11の他の形態を更に含むことができ、他の形態は、本出願において、限定されない。
【0028】
モバイル・フォン2BがVR再生機能を達成したとき、プロセッサ、グラフィックス・カード・チップ等は、連続動作に起因して大量の熱を発生する場合があり、それにより、VRヘルメットが任意の時間において加熱し、ユーザの装着感に影響を与える場合があるだけでなく、プロセッサ、グラフィック・カード・チップ等に過熱が生じ、それらの通常の計算機能に影響を与え、VR再生の遅延等が生じさえする場合もある。
【0029】
したがって、本出願のVR装置の装置本体1は、図5および図6に示すように、複数の放熱チャネル3を含む。放熱チャネル3の2つの端部は、それぞれ、収容空間11および装置本体1の外側に接続される。放熱または補助放熱は、モバイル・フォン2Bの温度を低減するのに役立たせるために収容空間11に配置されたモバイル・フォン2Bに対して行うことができる。例えば、上述したモバイル・フォン2Bでは、放熱チャネル3は、装置本体1(特に、主本体12またはカバー13)の頂部、底部、および側部のうちの少なくとも1つに設けることができる。放熱チャネル3の位置は、収容空間11に配設された電子デバイスの発熱位置に適合させることができる。例えば、収容空間11がモバイル・フォン2Bを保持するように構成されるとき、より特定の発熱位置が、プロセッサまたはモバイル・フォン2Bの画面に通常位置する。したがって、放熱チャネル3は、モバイル・フォン2Bの放熱効率を改善するために発熱位置に対応する装置本体1上に配設することができる。
【0030】
図1から図4に示す実施形態と同様に、図5および図6に示す実施形態における放熱チャネル3は、外部光が放熱チャネル3を通じて装置本体1の内側に入射するのを防止するために非直線構造を有することもできる。したがって、図2から図4に示す実施形態は、図5および図6に示す実施形態における放熱チャネル3の特定の構造に関して参照することができ、それは本明細書では繰り返さない。一方、放熱チャネル3の内側が空であるので、すなわち、放熱チャネル3における材料が除去されているので、放熱チャネル3は、VRヘルメットの重量を低減し、放熱機能を提供する一方で、ユーザの装着感を改善することができる。
【0031】
本出願の上述した技術的解決策において、VRヘルメット(上記に説明した様々な分割型VRヘッドマウント装置または統合型VRヘッドマウント装置を含む)は、以下の構造を更に含むことができる。図7に示すように、VRヘルメットの装置本体1は、カメラ4を更に含むことができ、カメラ4は装置本体1に設けられ、カメラ4のレンズは、ユーザの眼の画像を取得するためにVRヘッドマウント装置を着用しているユーザの眼5に面する。カメラ4は、RGB(赤緑青)カメラでもよく、RGBカメラはユーザに対してアイ・パターン認識を行うためにユーザの眼5のRGB画像を取得する。代替案として、カメラ4は、IR(赤外線)カメラでもよく、IRカメラはユーザに対する視線追跡、虹彩認識等のためにユーザの眼5の赤外線画像を取得する。更に、カメラ4は、RGB-IRカメラでもよく、RGB-IRカメラは、RGB画像およびIR画像の両方を同時に取得することができる。すなわち、1つのカメラ4だけがRGB画像およびIR画像を取得するのに必要であり、RGBカメラおよびIRカメラを別々に設置することが不必要であり、それにより、VRヘルメットの内側空間占有が低減されるだけでなく、単一のカメラ4が、限定された内側空間内の、より最適化された位置および向きに調整されることも可能になる。カメラ4の組立ては以下に詳細に説明する。
【0032】
図7に示すように、装置本体1は、凸レンズ6を含むことができる。凸レンズ6は、ユーザ(図7はユーザの眼5を示す)と装置本体1におけるVR再生コンポーネント2(例えば、図2に示す実施形態におけるVR表示コンポーネント2A、または図5に示す実施形態におけるモバイル・フォン2B)との間に位置する。VR再生コンポーネント2によって再生されるVR表示コンテンツは、可視光S1の形態で、凸レンズ6を通過し、ユーザの眼5に伝搬することができる。ユーザの眼5は、VR表示コンテンツのビューに対する可視光S1を受けることができる。
【0033】
次に、VR再生コンポーネント2によって再生されたVR表示コンテンツを阻害することを回避するために、すなわち、可視光S1の伝搬を阻害することを回避するために、カメラ4は、最大限可能な範囲まで、ユーザの眼5に対して凸レンズ6の可視エリアから離れて(例えば、可視エリアは、図7に示すように、上側境界T1および下側境界T2によって示すことができる)配置される必要がある。このため、カメラ4は、通常、図7に示す装置本体1の底部位置等の装置本体1の頂部または底部に、および凸レンズ6のユーザに近い側に(すなわち、図7に示すように、左側に)設置される。
【0034】
更に、カメラ4が眼5から放出された光S2(可視光または赤外光)を取得するとき、カメラ4は上述した可視エリアから離れて配置される必要があり、ユーザの眼5は、VRヘルメットを装着しているユーザ、すなわち、光S2が実質的に水平に伝搬している間、基本的に図7に示す正視状態に維持することができるので、カメラ4は、必然的に、光S2と角度αを形成する。次に、大きな角度αによって生じた取得画像の極度の変形を回避するために、カメラ4は、凸レンズ6の縁部に密着して(水平距離および垂直距離のうちの少なくとも一方の観点から)配設することができる。すなわち、カメラ4と眼5との間の距離(水平距離および垂直距離のうちの少なくとも一方の観点から)は、他の全ての条件が同じままである間、角度αを最小限に抑えるように最大限可能な範囲まで拡大することができる。
【0035】
図8は、本出願の例示的な実施形態によって提供される、装着者の方向から観察された、VRヘルメットの構造図である。図8に示すように、VRヘルメットは、通常、ユーザの2つの眼に対応する2つの凸レンズ6を含むことができる。次に、本出願の技術的解決策においては、1つの実施形態において、単一のカメラ4を設けることができる。例えば、装着者の右眼に対して画像取得を行い、それにより、アイ・パターン認識、視線追跡、および虹彩認識等の上述した機能を達成するために、図8に示すように、カメラ4を凸レンズ61よりも下に斜めに設けることができ、凸レンズ62の対応する位置は空である。別の実施形態において、2つのカメラ4を設けることができ、それによって、2つのカメラ4のそれぞれは、それぞれ、凸レンズ61および凸レンズ62と1対1の対応にあり、装着者の眼に対して画像取得を別々にまたは同時に行い、それにより、アイ・パターン認識、視線追跡、および虹彩認識等の上述した機能を達成することができる。
【0036】
加えて、カメラ4は、動作中に、特に長時間の連続動作の後に、大量の熱を発生させる傾向がある。例えば、図1または図5に示す実施形態において、カメラ4が装置本体1におけるあらかじめ設定された設置空間に設置されたとき、装置本体1は、設置空間におけるカメラ4から熱を放散するために、および外部光が放熱チャネル3を通じて装置本体1の内側に入射するのを防止するために、非直線構造を有する少なくとも1つの放熱チャネル3を更に含むことができ、放熱チャネル3の2つの端部は、それぞれ、設置空間および装置本体1の外側に接続される。放熱チャネル3の設置位置は、カメラ4の設置位置に対応することができる。例えば、カメラ4が、図8に示すように、右の凸レンズ61よりも下に位置するとき、放熱チャネル3は、カメラ4の設置空間に対応する装置本体1の右の底部に位置することができる。確かに、放熱チャネル3は、実際の条件により、装置本体1の頂部または側部等の他の位置に配設することもでき、他の位置は本出願において限定されない。
【0037】
用語「含む」、「備える」、または任意の他の派生形は、非排他的な包含をカバーすることを意図することにも留意するべきである。したがって、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、またはデバイスは、これらの要素を含むだけでなく、明記されていないその他の要素をも含むか、または、そのプロセス、方法、物品、デバイスに固有な要素をも含む。更なる制限がなければ、「1つの~を含む(include one…)」というフレーズによって定義される要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品、またはデバイスにおける他の同じ要素を除外するものではない。
【0038】
ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。例示的な実施形態の例は、添付の図面に示されている。以上の説明は添付の図面を参照し、添付の図面において、別段の指定がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一または同様の要素を表す。以上の例示的な実施形態の説明において示される実施態様は、本出願に一致する全ての実施態様を表しているわけではない。そうではなく、これらの実施態様は、添付の特許請求の範囲に記載されるような本出願に関連する態様に一致する装置および方法の例にすぎない。
【0039】
本出願において用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみのものであり、本出願を制限することは意図されていない。文脈上そうでないと明示的に示されない限り、本出願および添付の特許請求の範囲において用いられる単数形の「一」、「上記」および「前記」は、複数形を含むことが意図される。また、本明細書において用いられる「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連する記載項目のありとあらゆる可能な組み合わせを表し、含むことが理解されるべきである。
【0040】
第1、第2および第3等の用語が、本明細書において様々な情報を説明するのに用いられる場合があるが、そのような情報は、これらの用語に限定されるべきではないことが理解されるべきである。これらの用語は、互いに同一の種類の情報を区別するためにのみ用いられる。例えば、本出願の範囲内で、第1の情報は、第2の情報と呼ばれる場合もあり、同様に、第2の情報は、第1の情報と呼ばれる場合もある。文脈に応じて、本明細書において用いられる「場合」という語は、「~のとき」、または「~の際」または「判断に応答して」と解釈される場合がある。
【0041】
上述した説明は、本出願の例示的な実施形態にすぎず、本出願を制限することを意図したものではない。本開示の趣旨および原則から逸脱することなく行われるあらゆる修正、同等の置き換えまたは改善は、本出願の保護範囲内にあるものとする。
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置であって、装置本体と、前記装置本体に設けられた凸レンズと、少なくとも1つの発熱要素とを備え、前記装置本体は、前記凸レンズの前記発熱要素に近い側に少なくとも1つの設置空間と、非直線構造を有する少なくとも1つの放熱チャネルとを備え、前記発熱要素は、前記設置空間に設置され、前記放熱チャネルの2つの端部は、それぞれ、前記設置空間および前記装置本体の外側に接続される、装置。
(付記2)
前記発熱要素は、
バーチャル・リアリティー表示コンテンツを再生するためのバーチャル・リアリティー表示コンポーネントと、
前記バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置を装着しているユーザの眼の画像を取得するためのカメラとのうちの少なくとも一方を備える、付記1に記載の装置。
(付記3)
前記装置本体に設けられたカメラを更に備え、前記カメラのレンズは、ユーザの眼の画像を取得するために、前記バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置を装着している前記ユーザの前記眼に面する、付記1に記載の装置。
(付記4)
前記カメラは、前記凸レンズの前記ユーザに近い側に設けられ、前記カメラは、前記ユーザに対して前記凸レンズの可視エリア外に位置する、付記3に記載の装置。
(付記5)
前記カメラは、前記凸レンズの縁部に密着して配設される、付記4に記載の装置。
(付記6)
前記カメラは、赤緑青および赤外統合カメラを備える、付記3に記載の装置。
(付記7)
バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置であって、装置本体と、前記装置本体に設けられた凸レンズとを備え、前記装置本体は、前記凸レンズの前記バーチャル・リアリティー・ヘッドマウント装置を装着しているユーザから遠い側に少なくとも1つの収容空間と、非直線構造を有する少なくとも1つの放熱チャネルとを備え、前記収容空間は、バーチャル・リアリティー表示コンテンツを再生するための電子デバイスを保持するように構成され、前記放熱チャネルの2つの端部は、それぞれ、前記収容空間および前記装置本体の外側に接続される、装置。
(付記8)
前記装置本体に設けられたカメラを更に備え、前記カメラのレンズは、前記ユーザの眼の画像を取得するために、前記ユーザの前記眼に面する、付記7に記載の装置。
(付記9)
前記装置本体は、少なくとも1つの設置空間を更に備え、前記カメラは、前記設置空間に設置され、前記少なくとも1つの放熱チャネルの2つの端部は、それぞれ、前記設置空間および前記装置本体の前記外側に接続される、付記8に記載の装置。
(付記10)
前記カメラは、前記凸レンズの前記ユーザに近い側に設けられ、前記カメラは、前記ユーザに対して前記凸レンズの可視エリア外に位置する、付記8に記載の装置。
(付記11)
前記カメラは、前記凸レンズの縁部に密着して配設される、付記10に記載の装置。
(付記12)
前記カメラは、赤緑青および赤外統合カメラを備える、付記8に記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8