IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特許-農業用種子のための流動性濃縮組成物 図1
  • 特許-農業用種子のための流動性濃縮組成物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】農業用種子のための流動性濃縮組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/14 20060101AFI20231018BHJP
   A01N 51/00 20060101ALI20231018BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20231018BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20231018BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20231018BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20231018BHJP
   A01C 1/06 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A01N25/14
A01N51/00
A01P7/04
A01N25/30
A01N25/04 102
A01N25/10
A01C1/06 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021549812
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 CN2019076512
(87)【国際公開番号】W WO2020172857
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】チー、チン
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、リン
(72)【発明者】
【氏名】シォン、チョン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ポン
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-522174(JP,A)
【文献】国際公開第2013/166020(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/14
A01N 51/00
A01P 7/04
A01N 25/30
A01N 25/04
A01N 25/10
A01C 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ASTM D6604-00(2017)に従って測定される10~30℃のガラス転移温度(Tg)を有する最大8.5重量パーセント(重量%)のアクリルポリマーと、
b)5~50重量%の農業活性化合物と、
c)1~15重量%の水溶性界面活性剤と、
d)水と、を含む、農業用種子上にコーティングを形成するための流動性濃縮(FS)組成物であって、前記水の、前記FS組成物の重量%を100重量%にし、前記重量%値、前記FS組成物の総重量に基づ
前記アクリルポリマーが、アクリル酸ブチルと、メタクリル酸メチル、メチルアクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸t-アミル、メタクリル酸n-デシル、アクリル酸n-ドデシル、アクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、アクリロニトリル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加のモノマーと、から形成されるか、または
前記アクリルポリマーが、アクリル酸、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびスチレンから形成される、流動性濃縮組成物。
【請求項2】
記FS組成物が、0.225~5.5重量%の前記アクリルポリマーを含むか、または
前記農業活性化合物が、殺真菌剤、殺虫剤、成長調節剤、薬害軽減剤、植物活性化剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるか、または
前記水溶性界面活性剤が、水溶性湿潤剤、水溶性分散剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のFS組成物。
【請求項3】
請求項2に記載のFS組成物であって、前記水溶性湿潤剤が、少なくとも1つの非イオン性アルコールアルコキシレート界面活性剤からなる群から選択されるか、または
前記水溶性分散剤が、アニオン性ポリカルボン酸塩ポリマー、ナフタレン縮合ポリマー、非イオン性エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、アニオン性スルホン酸塩界面活性剤、アニオン性硫酸塩界面活性剤、アニオン性リン酸塩界面活性剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるか、または
前記FS組成物が、
1~5重量%の前記水溶性湿潤剤と、
1~10重量%の前記水溶性分散剤と、を含む、請求項2に記載のFS組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のFS組成物であって、前記アクリルポリマーで形成されるフィルムが、前記フィルムの総重量に基づいて2~30重量パーセントの23℃で24時間にわたる吸水率を有するか、または
前記アクリルポリマーで形成されるフィルムが、前記フィルムの総重量に基づいて2~15重量パーセントの23℃で24時間にわたる吸水率を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のFS組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のFS組成物でコーティングされる農業用種子。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載のFS組成物を使用して形成される農業用種子上のコーティング。
【請求項7】
容器に請求項1~4のいずれか一項に記載のFS組成物を提供することと、
前記容器に農業用種子を加えることと、
前記農業用種子を前記FS組成物でコーティングすることと、
前記農業用種子を前記FS組成物とともに乾燥させて、前記農業用種子上にコーティングを形成することと、を含む、農業用種子上にコーティングを形成する方法。
【請求項8】
農業用種子上にコーティングを形成するための請求項1~4のいずれか一項に記載の流動性濃縮(FS)組成物においてASTM D6604-00(2017)に従って測定される10~30℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマーを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、農業用種子のためのコーティング、より具体的には、農業用種子のための流動性濃縮組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種子コーティング製剤は、作物性能を改善または強化するのを助けるために使用されてきた。一般に、そのような種子コーティング製剤は、種子処理のために流動性濃縮物を利用する。流動性濃縮(FS)組成物は、植える前に種子上にコーティングを形成するために種子に塗布される水中の固体活性成分の懸濁液である。FS組成物は、典型的には、種子が処理されたことを示す着色剤とともに、コーティングを種子表面に結合するのを助ける添加剤(例えば、フィルム形成剤)を含む。FS組成物はまた、種子表面にわたって均一に分布される活性成分を含む。FS組成物の他の成分は、典型的には、湿潤剤、分散剤、および増粘剤を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
FS組成物についてのすべての研究および既知の選択肢を考えると、種子コーティングは依然として重大な問題に直面している。例えば、FS組成物で形成される種子コーティングは、低い耐水性を有することが知られており、その結果、コーティングされた種子を水に浸漬すると、活性成分が失われる。加えて、フィルム形成剤は、通常、低い接着強度を有し、その結果、コーティングの排除率が高くなる(すなわち、コーティングが失われる)。最後に、FS組成物で形成されるコーティングは、種子の発芽に悪影響を及ぼし得、これは資源の浪費につながる。結果として、すべてコーティングされた種子の発芽に悪影響を及ぼさずに、活性成分の損失を防止するための耐水性を提供し、種子表面からの排除に抵抗するFS組成物が当該技術分野で必要とされている。
【0004】
本開示は、農業用種子上にコーティングを形成することができる流動性濃縮(FS)組成物を提供する。本開示のFS組成物は、フィルム形成剤としてアクリルポリマーを使用し、アクリルポリマーは、ASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のガラス転移温度(Tg)を有する。列挙されたTgを有するアクリルポリマーを有することは、その排除率を低減しながら、FS組成物で形成されるコーティングの接着強度を高めると考えられている。本開示のFS濃縮組成物で形成されるコーティングはまた、対照と比較してトウモロコシ種子の発芽率に悪影響を及ぼさず、改善された耐水性および低減した排除率と相まって、本開示のFS濃縮組成物で形成されるコーティングが、すべてコーティングされた種子の発芽に悪影響を及ぼさずに、活性成分の損失を防ぐための耐水性を提供し、種子表面からの排除に抵抗するFS組成物の当該技術分野における必要性を満たすのに役立ち得ることを示す。
【0005】
農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物は、a)ASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のガラス転移温度(Tg)を有する最大8.5重量パーセント(重量%)のアクリルポリマーと、b)5~50重量%の農業活性化合物と、c)1~15重量%の水溶性界面活性剤と、d)水と、を含み、水の量は、FS組成物の重量%を100重量%にし、重量%値は、FS組成物の総重量に基づく。好ましくは、FS組成物は、0.225~5.5重量%のアクリルポリマーを含む。加えて、アクリルポリマーは、アクリルポリマーで形成されるフィルムが、フィルムの総重量に基づいて2~30重量パーセントの23℃で24時間にわたる吸水率を有するようなものである。好ましくは、アクリルポリマーは、アクリルポリマーで形成されるフィルムが、フィルムの総重量に基づいて2~15重量パーセントの23℃で24時間にわたる吸水率を有するようなものである。
【0006】
様々な実施形態について、アクリルポリマーは、これらに限定されないが、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メチルアクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸t-アミル、メタクリル酸n-デシル、アクリル酸n-ドデシル、アクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、アクリロニトリル、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上からなる群から選択されるモノマーから形成される。追加の実施形態において、アクリルポリマーは、アクリル酸ブチルと、メタクリル酸メチル、メチルアクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸t-アミル、メタクリル酸n-デシル、アクリル酸n-ドデシル、アクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、アクリロニトリル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加のモノマーと、から形成される。
【0007】
本開示の実施形態はまた、スチレン、アクリルアミド、およびそれらの組み合わせからなる群からさらに選択されるモノマーから形成されるアクリルポリマーを提供する。1つの好ましい実施形態において、アクリルポリマーは、アクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、およびメタクリル酸メチルから形成される。追加の実施形態において、アクリルポリマーは、アクリル酸、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびスチレンから形成される。本明細書に記載されるように、FS組成物に使用されるアクリルポリマーは、ASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のTgを有する。好ましくは、FS組成物に使用されるアクリルポリマーは、ASTM D6604-00(2017)に従って測定される10~30℃のTgを有する。様々な実施形態について、農業活性化合物は、殺真菌剤、殺虫剤、成長調節剤、薬害軽減剤、植物活性化剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態について、水溶性界面活性剤は、水溶性湿潤剤、水溶性分散剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態について、湿潤剤は、これらに限定されないが、少なくとも1つの非イオン性アルコールアルコキシレート界面活性剤からなる群から選択される。様々な実施形態について、分散剤は、これらに限定されないが、アニオン性ポリカルボン酸塩ポリマー、ナフタレン縮合ポリマー、非イオン性エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、アニオン性スルホン酸塩界面活性剤、アニオン性硫酸塩界面活性剤、アニオン性リン酸塩界面活性剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。FS組成物は、1~5重量%の水溶性湿潤剤および1~10重量%の水溶性分散剤を含むことができ、重量%値は、FS組成物の総重量に基づく。
【0008】
本開示はまた、本開示のFS組成物を使用して農業用種子上にコーティングを形成する方法を提供する。例えば、方法は、容器に本開示のFS組成物を提供することと、農業用種子を容器に加えることと、農業用種子をFS組成物でコーティングすることと、農業用種子をFS組成物と乾燥させて、農業用種子上にコーティングを形成することと、を含むことができる。方法の間、農業用種子は、本開示のFS組成物でコーティングされる。乾燥後、得られる生成物は、本開示のFS組成物を使用して形成される農業用種子上のコーティングである。
【0009】
本開示はまた、農業用種子上にコーティングを形成するための流動性濃縮(FS)組成物においてASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマーを使用する方法を提供する。一実施形態において、FS組成物は、本明細書で提供されるFS組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、排除率結果の分類を提供する。グレード1が最も良く、グレード3が最も悪い。許容される排除率は、グレード1およびグレード2である。
図2図2は、耐水性結果の分類を提供する。グレード1が最も良く、グレード5が最も悪い。許容される耐水性は、グレード1およびグレード2である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、農業用種子上にコーティングを形成するための流動性濃縮(FS)組成物を提供する。本開示のFS組成物は、フィルム形成剤としてアクリルポリマーを使用し、アクリルポリマーは、ASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のガラス転移温度(Tg)を有する。列挙されたTgを有するアクリルポリマーを有することは、その排除率を低減しながら、FS組成物で形成されるコーティングの接着強度を高めると考えられている。本開示のFS濃縮組成物で形成されるコーティングはまた、対照と比較してトウモロコシ種子の発芽率に悪影響を及ぼさず、改善された耐水性および低減した排除率と相まって、本開示のFS濃縮組成物で形成されるコーティングが、すべてコーティングされた種子の発芽に悪影響を及ぼさずに、活性成分の損失を防ぐための耐水性を提供し、種子表面からの排除に抵抗するFS組成物の当該技術分野における必要性を満たすのに役立ち得ることを示す。
【0012】
本明細書で使用される場合、「農業用種子上のコーティング」という用語は、農業用種子が本開示のFS組成物の1つ以上の接着コーティング層で処理される手順に供された農業用種子を意味する。
【0013】
農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物は、a)ASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマーと、b)農業活性化合物と、c)水溶性界面活性剤と、d)水と、を含む。FS組成物は初期に濃縮物として提供され得る可能性があり、(i)水または(ii)水および農業活性化合物のいずれかは組成物中に存在しない。(i)の場合、水をその後濃縮物に加えて、本開示のFS組成物を提供することができる。(ii)の場合、水および必要に応じて農業活性化合物の両方をその後濃縮物に加えて、本開示のFS組成物を提供することができる。
【0014】
様々な実施形態について、農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物は、a)ASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のTgを有する最大8.5重量パーセント(重量%)のアクリルポリマーと、b)5~50重量%の農業活性化合物と、c)1~15重量%の水溶性界面活性剤と、d)水と、を含む。水の量は、FS組成物の重量%を100重量%にすることができる。本明細書で提供される重量%値は、特に記載されない限り、FS組成物の総重量に基づく。
【0015】
アクリルポリマー
農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物は、ASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のTgを有する最大8.5重量%のアクリルポリマーを含む。好ましくは、FS組成物は、0.225~5.5重量%のアクリルポリマーを含む。FS組成物中のアクリルポリマーの重量%の他の範囲、例えば、0.25~8重量%、0.5~7重量%、1~5重量%、および2~4重量%も可能であり、重量%は、FS組成物の総重量に基づく。典型的には、アクリルポリマーは、アクリルポリマーエマルジョンとして提供され、アクリルエマルジョン中のアクリルポリマーは、アクリルエマルジョンの総重量に基づいて45~55重量%の範囲で存在する。しかしながら、本明細書で使用される場合、アクリルポリマーの重量%値は、アクリルポリマー単独についてであり、アクリルポリマーとともに存在してアクリルポリマー水性エマルジョンを形成または提供する任意の水は、アクリルポリマーの重量%値を決定する際に考慮されない。しかしながら、アクリルポリマー水性エマルジョン中に存在する任意の水は、本開示のFS組成物の水成分の少なくとも一部分とみなされる。
【0016】
実施形態について、アクリルポリマーは、これらに限定されないが、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メチルアクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸t-アミル、メタクリル酸n-デシル、アクリル酸n-ドデシル、アクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、アクリロニトリル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーから形成される。メタクリレートなどの別の用語が続く用語「(メタ)」の使用は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を指す。本開示の実施形態はまた、スチレン、アクリルアミド、およびそれらの組み合わせからなる群からさらに選択されるモノマーから形成されるアクリルポリマーを提供する。好ましくは、アクリルポリマーは、アクリル酸ブチル、メチルアクリル酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択されるモノマーで形成される。追加の実施形態において、アクリルポリマーは、アクリル酸、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、およびスチレンから形成される。
【0017】
本明細書に記載されるように、FS組成物に使用されるアクリルポリマーは、ASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のTgを有する。好ましくは、FS組成物に使用されるアクリルポリマーは、ASTM D6604-00(2017)に従って測定される10~30℃のTgを有する。アクリルポリマーのTgは、フォックス方程式(T.G.Fox,Bull.Am.Physics Soc.,Volume 1,Issue No.3,page 123(1956))を使用することによって計算することができ、モノマーM~MのコポリマーのTg,mixは、以下の式を使用して決定される。
1/Tg,mix≒Σω/Tg,i
【0018】
式中、Tg,mixは、コポリマーについて計算されるガラス転移温度であり、wは、コポリマー中のモノマーMの重量分率であり、Tgは、Mのホモポリマーのガラス転移温度であり、すべての温度はケルビン度である。ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、J.Brandrup and E.H.Immergut,Interscience Publishersによって編集された、“Polymer Handbook”に見出され得る。本明細書においてTgを計算する際に、共重合されたグラフト結合モノマーの寄与は除外される。計算されたTgは、アクリルポリマーの全体的な組成から計算される。
【0019】
FS組成物に使用されるアクリルポリマーは、50,000~500,000の重量平均分子量を有することができる。重量平均分子量を測定するための技法には、当該技術分野で知られるように、ポリスチレン標準を使用する静的光散乱またはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
アクリルポリマーを調製するために使用される重合技法は、当該技術分野(例えば、とりわけ米国特許第4,325,856号、同第4,654,397号、および同第4,814,373号に開示される例)において周知である。本明細書に記載されるように、アクリルポリマーは、乳化重合技法を使用して形成されるアクリルポリマー水性エマルジョンとして調製することができる。従来の界面活性剤、例えば、アニオン性および/または非イオン性乳化剤、例えば、アルカリ金属またはアンモニウムアルキルスルフェート、アルキルスルホン酸、脂肪酸、およびオキシエチル化アルキルフェノールなどが使用され得る。使用される界面活性剤の量は、全モノマーの重量に基づいて、0.1~6重量%であり得る。サーマルまたはレドックス開始プロセスのいずれかが使用され得る。例えば、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-アミルヒドロペルオキシド、過硫酸アンモニウム、および/または過硫酸アルカリなどの従来のフリーラジカル開始剤は、典型的には、全モノマーの重量に基づいて0.01%~3.0重量%のレベルで使用され得る。例えば、スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド、ヒドロ亜硫酸ナトリウム、イソアスコルビン酸、硫酸ヒドロキシルアミン、および重亜硫酸ナトリウムなどの好適な還元剤と結合した同じ開始剤を使用するレドックス系は、任意に金属のための錯化剤をさらに含む、金属イオン、例えば、鉄および銅と任意に組み合わせて、同様のレベルで使用され得る。段階のためのモノマー混合物は、そのまま、または水中のエマルジョンとして加えられ得る。段階のためのモノマー混合物は、均一なまたは変動する組成物を使用して、その段階のために割り当てられた反応期間にわたって、単一の添加もしくはそれ以上の添加で、または連続的に添加され得、ポリマーモノマーエマルジョンの単一の添加としての添加が好ましい。例えば、フリーラジカル開始剤、酸化剤、還元剤、連鎖移動剤、中和剤、界面活性剤、および分散剤などの追加成分が、この段階の前、最中、または後に加えられ得る。
【0021】
FS組成物中に存在する水は、少なくとも部分的に、アクリルポリマーによって提供することができ、これは、本明細書で論じられるように、典型的には、アクリルポリマー水性エマルジョンとして水性エマルジョンで提供される。アクリルポリマー水性エマルジョン(acrylic polymer waterborne emulsion)は、水性エマルジョン(water-based emulsion)を指し、アクリルポリマー水性エマルジョンのアクリルポリマーは、本明細書で提供されるモノマーで形成される。そのような水性エマルジョンの例には、当該技術分野で知られているものが含まれ、例えば、いくつかは、PRIMAL(商標)AC-6501EF、PRIMAL(商標)AC-261T、PRIMAL(商標)SF-366、PRIMAL(商標)DC-420、およびPRIMAL(商標)SF-155として特定され、すべてDow Chemical Companyから入手可能である。
【0022】
様々な実施形態について、本開示のアクリルポリマーは、本開示のアクリルポリマーで形成されるフィルムが、フィルムの総重量に基づいて2~30重量パーセントの23℃で24時間にわたる吸水率を有する点でさらに特徴付けることができる。好ましくは、アクリルポリマーは、アクリルポリマーで形成されるフィルムが、フィルムの総重量に基づいて2~15重量パーセントの23℃で24時間にわたる吸水率を有するようなものである。そのようなフィルムを製造する方法および吸水率の測定は、以下の実施例セクションに提供されるため、ここでは繰り返さない。
【0023】
農業活性化合物
様々な実施形態について、農業活性化合物は、殺真菌剤、殺虫剤、成長調節剤、薬害軽減剤、植物活性化剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。FS組成物に使用される農業活性化合物の量は、活性成分の強度によって変動し得る。本実施形態について、FS組成物に使用される農業活性化合物の量は、FS組成物の総重量に基づいて5~50重量%である。好ましくは、FS組成物に使用される農業活性化合物の量は、FS組成物の総重量に基づいて10~30重量%である。FS組成物中の農業活性化合物の量は、種子のタイプおよび特定の農業活性化合物に応じて変動し得る。
【0024】
適切な殺真菌剤の例には、キャプタン(N-(トリクロロメチル)チオ-4-シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシイミド)、チラム(テトラメチルチオペルオキシジカルボン酸ジアミド、メタラキシル(メチルN-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(メトキシアセチル)-DL-アラニネート、フルジオキソニル(4-(2,2-ジフルオロ-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル)-1H-ピロール-3-カルボニトリル、およびオキサジキシル(N-(2,6-ジメチルフェニル)-2-メトキシ-N-(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)アセトアミドから選択されるものが含まれる。当業者であれば、コーティングされた種子が栽培される特定の場所にとって問題であるだけでなく、植える前に貯蔵中の種子の保護にも適している有害な病原体と闘うために適した他の有益な殺真菌剤を認識しているであろう。
【0025】
適切な殺虫剤の例には、チアメトキサム、アゾール、例えば、トリアゾールなどのアゾール、アジン、ピレスロイド、有機リン酸塩、カラモイルオキシム、ピロール、ピラゾール、ピリジン、アミジン、ハロゲン化炭化水素、およびカルバメート、ならびにそれらの組み合わせおよび誘導体から選択されるものが含まれる。特に適切なクラスの殺虫剤には、昆虫成長調節剤、有機リン酸塩、フェニルピラゾール、およびピレスロイドが含まれる。追加の殺虫剤には、テルブホス、クロルピリホス、フィプロニル、クロルエトキシホス、テフルトリン、フィプロル、フェノキシカルブ、ジオフェノラン、ピメトロジン、カルボフラン、テブピリムホス、およびイミダクロプリドとして知られているものが含まれ、イミダクロプリド類似体、例えば、(置換または非置換)ニトロ-、オキソ-、またはシアノ-置換-グアニジン、エナミン、イミノモルホリン、ピペラジン、イミノピペラジン、オキサピペラジン、オキサジアジン、オキサピリジン、ジアゾシクロヘキサン、ジアゾリジン、およびモルホリンが含まれる。
【0026】
適切な成長調節剤の例には、アンチオーキシン、例えば、クロフィブリン酸および2,3,5-トリヨード安息香酸;オーキシン、例えば、4-CPA、2,4-D、2,4-DB、2,4-DEP、ジクロルプロップ、フェノプロップ、IAA、IBA、ナフタレンアセトアミド、α-ナフタレン酢酸、1-ナフトール、ナフトキシ酢酸、MCPA-チオエチル、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸ナトリウム、および2,4,5-T;サイトカイニン、例えば、2iP、ベンジラデニン、6-ベンジルアミノプリン、カイネチン、およびゼアチン;枯葉剤、例えば、カルシウムシアナミド、ジメチピン、エンドタール、エテホン、メルホス、メトクスロン、ペンタクロロフェノール、チジアズロン、およびトリブホス;エチレン阻害剤、例えば、アビグリシン、1-メチルシクロプロペン;成長阻害剤、例えば、アブシジン酸、アンシミドール、ブトラリン、カルバリル、クロルホニウム、クロルプロファム、ジケグラク、フルメトラリン、フルオリダミド、ホサミン、ジベレリン酸、グリホシン、イソプリモール、ジャスモン酸、マレイン酸ヒドラジド、メピコート、ピプロクタニル、プロヒドロジャスモン、プロファム、2,3,5-トリヨード安息香酸、モルファクチン[クロルフルレン、クロルフルレノール、ジクロルフルレノール、フルレノール]、テブコナゾール、メトコナゾール;成長遅延剤、例えば、クロルメコート、ダミノジド、フルプリミドール、メフルイジド、パクロブトラゾール、テトシクラシス、およびウニコナゾール;成長刺激剤、例えば、ブラシノライド、フォルクロルフェヌロン、ヒメキサゾール、およびチアメトキサム;未分類植物調節剤、例えば、アゾキシストロビン、ベンゾフルオル、ブミナホス、カルボン、シオブチド、クロフェンセット、クロキシホナック、シアナミド、シクラニリド、シクロヘキシミド、シプロスルファミド、エポコレオン、エチクロゼート、フェンリダゾン、ヘプトパルギル、ホロスルフ、イナベンフィド、カレタザン、ヒ酸鉛、メタスルホカルブ、プロヘキサジオン、ピダノン、シントフェン、スルホメツロン、トリアペンテノール、およびトリネキサパック;植物活性剤、例えば、アシベンゾラル、アシベンゾラル-S-メチル、およびプロベナゾール;サリチル酸塩、例えば、サリチル酸およびサリチル酸ナトリウム;ジャスモン酸塩、例えば、ジャスモン酸、ジャスモン酸メチル、およびシス-ジャスモンから選択されるものが含まれる。
【0027】
適切な薬害軽減剤の例には、ベンゾオキサジン、ベンズヒドリル誘導体、N,N-ジアリルジクロロアセトアミド、様々なジハロアシル、オキサゾリジニルおよびチアゾリジニル化合物、エタノン、ナフタル酸無水物化合物、およびオキシム誘導体から選択されるものが含まれる。
【0028】
適切な植物活性剤の例には、ハーピン、オオイタドリ(reynoutria sachalinensis)、ジャスモン酸塩、リポキトオリゴ糖、およびイソフラボンから選択されるものが含まれる。
【0029】
上記化合物は、例として列挙されており、本開示のFS組成物で使用することができる化合物の網羅的なリストであることを意図するものではない。
【0030】
水溶性界面活性剤
農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物は、1~15重量%の水溶性界面活性剤を含む。本明細書で使用される場合、水溶性とは、水溶性界面活性剤が、水溶性界面活性剤および水の総重量に基づいて2重量%を超える25℃での水への溶解度を有することを意味する。様々な実施形態について、水溶性界面活性剤は、水溶性湿潤剤、水溶性分散剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。例えば、本開示のFS組成物は、1~5重量%の水溶性湿潤剤および1~10重量%の水溶性分散剤を含むことができる。好ましくは、水溶性界面活性剤は、非イオン性水溶性界面活性剤である。
【0031】
水溶性湿潤剤
農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物は、1~5重量%の水溶性湿潤剤を含むことができる。好ましくは、農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物は、1~3重量%の水溶性湿潤剤を含む。様々な実施形態について、水溶性湿潤剤は、少なくとも1つの非イオン性アルコールアルコキシレート界面活性剤からなる群から選択される。水溶性湿潤剤の例には、ともにDow Chemical Companyから入手可能な湿潤剤である、TERGITOL(商標)15-S-9およびTERGITOL(商標)W-600から選択されるものが含まれる。好ましくは、水溶性湿潤剤は、非イオン性水溶性湿潤剤である。
【0032】
水溶性分散剤
農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物は、1~10重量%の水溶性分散剤を含むことができる。好ましくは、農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物は、2~8重量%の水溶性分散剤を含む。様々な実施形態について、水溶性分散剤は、アニオン性ポリカルボン酸塩ポリマー、ナフタレン縮合ポリマー、非イオン性エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、アニオン性スルホン酸塩界面活性剤、アニオン性硫酸塩界面活性剤、アニオン性リン酸塩界面活性剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。水溶性分散剤の例には、非イオン性エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーから選択されるものが含まれ、商品名TERGITOL(商標)XD、Dowfax(商標)D-800、Dowfax(商標)D-850、およびそれらの組み合わせ下の市販製品が含まれる。他の適切な水溶性分散剤の例には、Powerblox(商標)D-305、Powerblox(商標)D-205、およびOROTAN(商標)SNなどの市販製品が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、水溶性分散剤は、非イオン性水溶性湿潤剤である。
【0033】

FS組成物は、水を含み、水の量は、FS組成物の重量%を100重量%にすることができる。本明細書に記載されるように、本開示のアクリルポリマーは、アクリルポリマー水性エマルジョンの形態で供給することができ、それによってFS組成物のための水の少なくとも一部分を提供する。
【0034】
方法
本開示はまた、本開示のFS組成物を使用して農業用種子上にコーティングを形成する方法を提供する。例えば、方法は、容器に本開示のFS組成物を提供することと、農業用種子を容器に加えることと、農業用種子をFS組成物でコーティングすることと、農業用種子をFS組成物と乾燥させて、農業用種子上にコーティングを形成することと、を含むことができる。方法の間、農業用種子は、FS組成物でコーティングされる。乾燥後、得られる生成物は、本開示のFS組成物を使用して形成される農業用種子上のコーティングである。
【0035】
本開示はまた、農業用種子上にコーティングを形成するためのFS組成物においてASTM D6604-00(2017)に従って測定される0~35℃のTgを有するアクリルポリマーを使用する方法を提供する。様々な実施形態について、FS組成物は、本明細書で提供されるFS組成物である。他のFS組成物における本明細書で提供される0~35℃のTgを有するアクリルポリマーの使用も可能である。
【0036】
コーティングの従来の手段は、本開示のFS組成物を使用して農業用種子上にコーティングを形成するために使用され得る。ドラムコーターおよび流動層技法などの様々なコーティング機が知られており、コーティングプロセスを実施するために当業者に利用可能である。噴流層などの他の方法も有用であり得る。農業用種子は、コーティング前に予め選別され得る。コーティング後、農業用種子は、乾燥され、次いで選別機への移行によって任意に選別される。これらの機械、例えば、産業において種トウモロコシを選別する場合に使用される典型的な機械は、当該技術分野で知られている。
【0037】
コーティングされた種子を封入するためのフィルム形成組成物は、当該技術分野で周知であり、フィルムオーバーコーティングは、本開示のコーティングされた種子に任意に適用することができる。フィルムオーバーコートは、FS組成物を使用して形成されるコーティングを保護することができ、任意に、処理された種子の容易な特定を可能にする。一般に、添加剤は、液体接着剤、通常は乾燥前に種子が浸漬または噴霧されるポリマーに溶解または分散される。あるいは、粉末接着剤を使用することができる。これらに限定されないが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、ガム、ワックス、植物油またはパラフィン油;水溶性または水分散性多糖類およびそれらの誘導体、例えば、アルギン酸塩、デンプン、およびセルロース;ならびに合成ポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドン、ならびにそれらのコポリマーおよび関連するポリマー、ならびにこれらの混合物を含む、様々な材料がオーバーコーティングに適している。
【0038】
任意に可塑剤、着色剤、光沢剤、および界面活性剤、例えば、分散剤、乳化剤、ならびに例えば、ステアリン酸カルシウム、タルク、およびバーミキュライトを含む流動剤を含む、さらなる材料がオーバーコートに加えられ得る。以上に記載される流動層およびドラムフィルムコーティング技法を、フィルムコーティングに使用することができる。
【0039】
本開示のFS組成物は、充填剤をさらに含むことができる。充填剤は、充填率を高め、FS組成物で形成されるコーティングからの農業活性化合物の放出を調整するのに役立ち得る。使用される充填剤の量は、変動し得るが、一般に、充填剤は、FS組成物中に0.005重量%~5重量%の範囲で存在することができる。そのような充填剤の例には、木粉、粘土、活性炭、糖、珪藻土、穀物粉、細粒無機固体、炭酸カルシウムなどのような吸収性または不活性充填剤が含まれるが、これらに限定されない。粘土および無機固体には、カルシウムベントナイト、カオリン、陶土、タルク、パーライト、雲母、バーミキュライト、シリカ、石英粉末、モンモリロナイト、およびそれらの混合物が含まれ得る。糖には、デキストリンおよびマルトデキストリンが含まれ得る。穀物粉には、小麦粉、オート麦粉、および大麦粉が含まれ得る。当業者であれば、これが材料の非網羅的リストであり、コーティングされる農業用種子およびFS組成物に使用される農業活性化合物に応じて、他の認識された充填剤材料が使用され得ることを理解するであろう。
【0040】
本開示のFS組成物はまた、不凍剤、消泡剤、増粘剤、および/または顔料のうちの1つ以上を含むことができ、顔料は、顔料スラリーの形態であり得る。使用されるこれらの追加の成分のうちのいずれか1つの量は、変動し得るが、一般に、FS組成物中に0.005重量%~5重量%の範囲で存在することができる。不凍剤の例には、これらに限定されないが、プロピレングリコール、エチレングリコールが含まれる。消泡剤の例には、DOW CORNING(商標)AFE-0020消泡エマルジョンが含まれるが、これらに限定されない。増粘剤の例には、キサンタンガムが含まれるが、これに限定されない。顔料の例には、ピグメントパーマネントレッド、ピグメントフタロシアニンブルーが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
実質的にいかなる農業用種子もFS組成物でコーティングして、農業用種子にコーティングを形成することができる。そのような農業用種子には、これらに限定されないが、穀物、野菜、観賞用、果実種子、トウモロコシ(食用および飼料用)、大豆、小麦、大麦、オート麦、米、綿、ヒマワリ、アルファルファ、ソルガム、菜種、テンサイ、アブラナ属、トマト、豆、ニンジン、タバコ、ならびにパンジー、インパチェンス、ペチュニア、およびゼラニウムなどの花の種が含まれる。最も好ましい農業用種子には、トウモロコシおよび大豆が含まれる。
【0042】
ここで、本開示のいくつかの実施形態について、以下の実施例で詳細に記載する。
【実施例
【0043】
実施例において、例えば、以下を含む、材料の様々な用語および呼称を使用した。
【0044】
材料
実施例および/または比較例で使用される材料には、以下が含まれる。
トウモロコシ種子、タイプXinyu No.1。
チアメトキサム(96.3%)、Noposionから入手可能な殺虫剤。
TERGITOL(商標)W-600、Dow Chemical Companyから入手可能な湿潤剤。
DOWFAX(商標)D-800およびPOWERBLOX(商標)D-305、Dow Chemical Companyから入手可能な分散剤。
プロピレングリコール、Shanghai Chemical Reagent社から入手可能な不凍剤。
KATHON(登録商標)LX 150、Rohm & Haas Electronic Materials Companyから入手可能な殺生物剤。
Shanghai Chemical Reagent社から入手可能なメタケイ酸アルミン酸マグネシウム。
DOW CORNING(商標)AFE-0020消泡エマルジョン、Dow Chemical Companyから入手可能な消泡剤。
Shanghai Chemical Reagent社から入手可能なキサンタンガム(2重量%)。
Dycoseed Red R2002-S、Tianjin Dychromから入手可能なカラースラリー。
ROVACE(商標)662V、Dow Chemical Companyから入手可能なビニル-アクリルコポリマーエマルジョン。
ROVACE(商標)SF-191M、Dow Chemical Companyから入手可能なビニル-アクリルコポリマーエマルジョン。
DirtShield(商標)12、Dow Chemical Companyから入手可能な純粋アクリルエマルジョン。
PRIMAL(商標)ECONEXT 919、Dow Chemical Companyから入手可能な純粋アクリルエマルジョン。
RHOPLEX(商標)TR934HS、Dow Chemical Companyから入手可能な自己架橋型水系アクリルエマルジョン。
MAINCOTE(商標)HG100、Dow Chemical Companyから入手可能な水性アクリルポリマー。
PRIMAL(商標)AC-6501EF、Dow Chemical Companyから入手可能な純粋アクリルエマルジョン。
PRIMAL(商標)AC-261T、Dow Chemical Companyから入手可能な純粋アクリルエマルジョン。
PRIMAL(商標)SF-155、Dow Chemical Companyから入手可能な純粋アクリルエマルジョン。
PRIMAL(商標)DC420、Dow Chemical Companyから入手可能なアクリルコポリマーエマルジョン。
RHOPLEX(商標)AC-2235Mエマルジョン、Dow Chemical Companyから入手可能な純粋アクリルエマルジョン。
市販品は、Jiangsu Rotamから入手可能なアクリルエマルジョンである。
【0045】
FS組成物調製
以下のように表1に示される30重量%のチアメトキサムFS製剤を調製する。
(a)サンドミラー(GERUISI(登録商標)、タイプ:SMJ-2-180)のステンレス鋼ジャーに水、湿潤剤、および分散剤を加え、完全に溶解するまで混合して、溶液を形成する。
(b)消泡剤を溶液に加え、よく混ぜる。
(c)チアメトキサムを溶液に、まずガラス棒で混合し、次いで高速ホモジナイザー(IKA(登録商標)T25デジタル)で4,000rpmで5分間混合することによって加え、均一なスラリーを形成する。
(d)50グラムの粉砕ビーズ(Φ=2mm)をスラリーに加え、スラリーを室温(23℃)で3時間粉砕する。
(e)粉砕後、100メッシュのストレーナーに通してスラリーを濾過して、粉砕ビーズおよび任意の大きなチアメトキサム粒子を取り除き、初期製剤を得る。
(f)顔料スラリー、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、2重量%キサンタンガム、および不凍剤を初期製剤に加え、高速ホモジナイザーで4,000rpmで15分間混合する。
(g)アクリルポリマーを表1で見られ、表2および3で特定される量で加え、よく混ぜる。ポリマーの詳細を表2に列挙する。
【表1】
【表2】
【0046】
トウモロコシ種子をコーティング
以下の表1および2のFS組成物を使用して、室温(23℃)でトウモロコシ種子上にコーティングを形成する。1グラム(g)のFS組成物を200ミリリットル(ml)のプラスチックボトルに入れる。プラスチックボトルに50gのトウモロコシ種子を加え、ボトルを封止する。ボトルおよびその内容物を1秒間に2回の頻度で1分間手で振る。1分後、ボトルを開け、種子を濾紙上に注ぐ。種子のFS組成物を室温で乾燥させて、トウモロコシ種子上にコーティングを形成する。
【0047】
FS組成物性能試験
以下の試験を使用して、本開示の実施例および比較例を評価する。
【0048】
24時間の吸水
吸水を測定するために、10gのアクリルポリマーをプラスチックプレート(直径約10mm)上に注ぐ。アクリルポリマーに室温(23℃)で48時間(hrs)にわたってポリマーフィルムを形成させる。ポリマーフィルムをプラスチックプレートから剥がし、ポリマーフィルムを約1cmx2cm片に切る。ポリマーフィルム(m1)の一片を計量し、室温の水に入れる。24時間後、水からポリマーフィルム片を取り出し、ポリマーフィルム(m2)片を再度計量する。以下の式で24時間の吸水率を計算する。
【数1】
【0049】
排除率
排除率を測定するために、10gのコーティングされたトウモロコシ種子を250mL三角フラスコに入れ、蓋をする。封止された三角フラスコをIKA(登録商標)回転振盪機、タイプKS501に置く。種子を三角フラスコにおいて毎分300回転の速度で10分間振盪する。10分後、種子を取り除き、それらをコーティングへの損傷について目視検査する。コーティングされた種子の外観を、図1に例示されるように、3つのグレード:グレード1、グレード2、およびグレード3に基づいて分類する。許容される排除率は、グレード1およびグレード2である。
【0050】
耐水性
耐水性を測定するために、コーティングされたトウモロコシ種子のうちの3つをペトリ皿に入れる。種子を室温(23℃)の水で完全に覆い、室温で24時間放置する。24時間後、水を色の変化について目視検査する。図2に示されるように、耐水性は、5つのグレードとして分類される。グレード5が最も悪く、グレード1が最も良い。許容される耐水性は、グレード1およびグレード2である。
【0051】
発芽率
発芽率を測定するために、20個のコーティングされた種子を発芽プレートに入れる。種子の周りの環境における十分な湿度を確保するために、発芽プレートに十分な水を加える。種子を23℃で7日間インキュベートする。7日後、発芽した種子の数を観察する。許容される発芽率は、コーティングされていない種子と同じか、またはそれよりも良好である。
結果
【0052】
表3は、FS組成物性能試験の結果を示す。
【表3】
【0053】
表3に示されるように、EX1、EX2、およびEX3は、所与のFS組成物で形成されるコーティングの耐水性、排除率、および種子発芽率のそれぞれについて許容される性能を提供する。
図1
図2