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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】切削加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/72 20060101AFI20231018BHJP
   B23Q 1/01 20060101ALI20231018BHJP
   B23Q 1/00 20060101ALI20231018BHJP
   B23Q 1/56 20060101ALI20231018BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B23Q1/72 B
B23Q1/01 F
B23Q1/00 U
B23Q1/56 B
B23Q11/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021576186
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004362
(87)【国際公開番号】W WO2021157703
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2020018548
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390003665
【氏名又は名称】株式会社日進製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】村岡 嵩平
(72)【発明者】
【氏名】藪中 智也
(72)【発明者】
【氏名】田中 和宏
【審査官】永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-43453(JP,A)
【文献】特開2015-205349(JP,A)
【文献】特開平2-211917(JP,A)
【文献】特開平11-70428(JP,A)
【文献】特開2010-253663(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106334950(CN,A)
【文献】特開2014-115932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00-1/76,11/00,
F16F 15/02-15/08,
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に緩衝部材を介して接続されたベース部材と、
前記筐体の内側において前記筐体から離間した状態で前記ベース部材に固定されるとともに、被加工物を保持する被加工物保持ユニットと、
前記筐体の内側において前記筐体から離間した状態で前記ベース部材に立設され前記被加工物を加工する加工ユニットと、を備え、
前記筐体は、
前記被加工物保持ユニットおよび前記加工ユニットを挟んで離間して配置された一対のフレームセットと、
前記緩衝部材を介して前記ベース部材を支持する支持プレートと、
前記一対のフレームセットそれぞれに互いに近づく方向へ突出した状態で固定され、前記支持プレートが固定されたプレート固定部材と、を有する、
切削加工装置。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体に緩衝部材を介して接続されたベース部材と、
前記筐体の内側において前記筐体から離間した状態で前記ベース部材に固定されるとともに、被加工物を保持する被加工物保持ユニットと、
前記筐体の内側において前記筐体から離間した状態で前記ベース部材に立設され前記被加工物を加工する加工ユニットと、を備え、
前記被加工物保持ユニットは、前記ベース部材の鉛直下方側に固定され、
前記加工ユニットは、前記ベース部材の鉛直上方側に固定され、
前記加工ユニットは、
ツールが装着される主軸と、
前記主軸を回転駆動する回転駆動部と、
前記回転駆動部を支持する回転駆動部支持部と、
前記回転駆動部支持部を鉛直方向に直交する第1方向へ移動させる水平駆動部と、を有し、
前記回転駆動部支持部は、板状であり厚さ方向における一面側で前記回転駆動部を支持するとともに鉛直方向および前記第1方向に平行に配置された主部と、前記主部における厚さ方向における他面側から前記第1方向に直交する第2方向に沿って突出したサドル部と、前記サドル部を前記第1方向に沿って貫通するように配置されたナット部と、を有し、
前記水平駆動部は、前記ベース部材の鉛直上方に配置され前記第1方向に沿って敷設されたレールと、前記レール上に前記レールに沿って摺動自在に支持されるとともに鉛直上方側に前記回転駆動部支持部が固定されたスライドブロックと、前記第1方向に沿って配置され前記ナット部に螺合するボール螺子と、前記ボール螺子を回転駆動するボール螺子駆動部と、を有する、
切削加工装置。
【請求項3】
発熱部品が実装され前記加工ユニットを制御する制御基板を更に備え、
前記緩衝部材は、断熱性を有する材料から形成され、
前記制御基板は、前記筐体に固定されている、
請求項1または2に記載の切削加工装置。
【請求項4】
前記筐体は、箱状であり、前記ベース部材、前記被加工物保持ユニットおよび前記加工ユニットが配置される第1領域と、前記制御基板が配置される第2領域と、の間に配置され、前記第1領域と前記第2領域とを隔てる隔壁を有する、
請求項に記載の切削加工装置。
【請求項5】
前記筐体は、周壁における前記第2領域に対応する部分に前記第2領域から前記筐体外へ連通する少なくとも1つの連通孔が穿設されている、
請求項に記載の切削加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面視矩形状の扁平なベース部材と、ベース部材の平面視において互いに対向する2辺に対応する両端部それぞれから鉛直上方へ延在する一対の側方部材と、長尺の矩形板状であり長手方向における両端部が一対の側方部材により支持されたガイドレールおよびシャフトと、ガイドレールおよびシャフトそれぞれに摺動自在に支持されたキャリッジと、ベース部材に固定されワークを保持するワーク保持装置と、を備える加工装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、この加工装置では、キャリッジにおいて加工工具が装着される主軸が鉛直方向に移動自在に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-115932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された加工装置では、ベース部材に対して側方部材が相対的に歪んだり振動したりすると、ワーク保持装置に保持されたワークと加工工具が装着された主軸との位置関係に影響してしまう。このため、ワークの加工精度が低下してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、加工精度が向上した切削加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る切削加工装置は、
筐体と、
前記筐体に緩衝部材を介して接続されたベース部材と、
前記筐体の内側において前記筐体から離間した状態で前記ベース部材に固定されるとともに、被加工物を保持する被加工物保持ユニットと、
前記筐体の内側において前記筐体から離間した状態で前記ベース部材に立設され前記被加工物を加工する加工ユニットと、を備え、
前記筐体は、
前記被加工物保持ユニットおよび前記加工ユニットを挟んで離間して配置された一対のフレームセットと、
前記緩衝部材を介して前記ベース部材を支持する支持プレートと、
前記一対のフレームセットそれぞれに互いに近づく方向へ突出した状態で固定され、前記支持プレートが固定されたプレート固定部材と、を有する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ベース部材が、筐体に緩衝部材を介して接続されている。そして、被加工物保持ユニットが、筐体の内側において筐体から離間した状態でベース部材に固定され、加工ユニットが、筐体の内側において筐体から離間した状態でベース部材に立設されている。このように、被加工物保持ユニットと加工ユニットとが筐体から離間した状態で共通のベース部材に固定されていることにより、ベース部材に対して筐体が相対的に歪んだり振動したりしても被加工物保持ユニットに保持された被加工物と加工ユニットとの位置関係が維持される。従って、被加工物の加工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る切削加工装置の断面図である。
図2】実施の形態に係る切削加工装置の断面図である。
図3】実施の形態に係る切削加工装置の斜視図である。
図4】実施の形態に係る切削加工装置の一部を示す斜視図である。
図5】実施の形態に係る切削加工装置の背面図である。
図6】変形例に係る切削加工装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る切削加工装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る切削加工装置は、筐体と、筐体に緩衝部材を介して固定されたベース部材と、筐体の内側において筐体から離間した状態でベース部材に固定されるとともに、被加工物を保持する被加工物保持ユニットと、筐体の内側において筐体から離間した状態でベース部材に固定されるとともに、被加工物を加工する加工ユニットと、を備える。また、本実施の形態に係る切削加工装置は、例えば歯科技工士が義歯または補綴物を作成する際に使用されるいわゆるデスクトップ型の小型の切削加工装置であり、筐体の歪みまたは振動の影響を低減させることにより加工精度を向上させたものである。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態に係る切削加工装置は、いわゆるデスクトップ型の小型の切削加工装置であり、加工ユニット20と、ベース部材134と、ワーク保持ユニット30と、筐体10と、緩衝部材133と、を備える。以下、適宜、+Z方向が鉛直上方、-Z方向が鉛直下方として説明する。また、切削加工装置1は、図2に示すように、加工ユニット20およびワーク保持ユニット30を制御する制御基板721、722、723を備える。加工ユニット20は、ワークを切削加工するものであり、ツール211と、長尺円筒状の主軸214と、回転駆動部213と、回転駆動部支持部420と、を有する。また、加工ユニット20は、後述のX軸方向駆動部510と、Y軸方向駆動部610と、を有する。ツール211は、例えばエンドミル、ミリングバー、ブラシ等である。主軸214の下端部には、ツール211が取り付けられている。回転駆動部213は、モータであり、主軸214を回転駆動する。筐体10は、図3に示すように矩形箱状である。
【0011】
回転駆動部支持部420は、図2に示すように、板状の主部421と、サドル部425と、ナット部426と、を有する。ここで、主部421は、矩形板状であり、+Y方向側で回転駆動部213を支持するとともに、Z軸方向に平行に配置されている。また、サドル部425は、板状であり、主部421の-Y方向側から第2方向、即ち、Y軸方向に沿って突出している。ナット部426は、その中心軸が第1方向、即ち、X軸方向に沿うように配置され、サドル部425をX軸方向に沿って貫通するようにサドル部425に埋設されている。これにより、後述するX軸方向駆動部510のボール螺子511およびボール螺子駆動部512を主部421の側方に配置することができるので、その分、回転駆動部支持部420全体をワーク保持ユニット30に近づけることができる。
【0012】
また、加工ユニット20は、図4に示すように、主部421の+Y方向側においてZ軸方向に延在するレール(図示せず)と、レールに摺動自在に装着されたスライドブロック424と、を有する。スライドブロック424は、回転駆動部213に固定されており、回転駆動部213が、レールに沿って摺動自在となっている。更に、加工ユニット20は、図2に示すように、ボール螺子413と、ボール螺子413を回転駆動するボール螺子駆動部412と、内側にボール螺子駆動部412を支持し主部421に固定される支持部材(図示せず)と、を有する。ボール螺子駆動部412は、モータであり、ボール螺子413をその長手方向に沿った中心軸周りに回転させることにより、スライドブロック424に固定された回転駆動部213をレールに沿って移動させる。
【0013】
X軸方向駆動部510は、図4に示すように、回転駆動部支持部420を鉛直方向に直交する第1方向、即ち、X軸方向へ移動させる水平駆動部である。X軸方向駆動部510は、X軸方向に沿って移動自在なスライドブロック428を有する。スライドブロック428は、回転駆動部支持部420に固定されており、回転駆動部支持部420が、X軸方向に沿って移動自在となっている。また、X軸方向駆動部510は、X軸方向に沿って配置されたボール螺子511と、ボール螺子511を回転駆動するボール螺子駆動部512と、を有する。ボール螺子駆動部512は、モータであり、ボール螺子511をその長手方向に沿った中心軸周りに回転させることにより、回転駆動部支持部420全体をX軸方向へ移動させる。ボール螺子511は、回転駆動部支持部420のナット部426に螺合している。
【0014】
Y軸方向駆動部610は、回転駆動部支持部420を鉛直方向に直交する第2方向、即ち、Y軸方向へ移動させる水平駆動部である。Y軸方向駆動部610は、ベース部材134の+Z方向側においてY軸方向に沿って移動自在なスライドブロック524を有する。スライドブロック524は、回転駆動部支持部420に間接的に固定されており、回転駆動部支持部420が、Y軸方向に沿って移動自在となっている。また、Y軸方向駆動部610は、図2に示すように、Y軸方向に沿って配置されたボール螺子611と、ボール螺子611を回転駆動するボール螺子駆動部612と、を有する。ボール螺子駆動部612は、モータであり、ボール螺子611をその長手方向に沿った中心軸周りに回転させることにより、回転駆動部支持部420をY軸方向へ移動させる。ボール螺子611は、回転駆動部支持部420の-Z方向側に突出するナット部521bに螺合している。
【0015】
ワーク保持ユニット30は、被加工物であるワークを保持するものであり、図1に示すように、ワークをX軸周りに回転する方向へ傾ける回転駆動部313を有する被加工物保持ユニットである。また、ワーク保持ユニット30は、図2に示すように、ワークをY軸周りに回転する方向へ傾ける回転駆動部812を有する。回転駆動部812は、ベース部材134に固定されている。
【0016】
制御基板721、722、723は、抵抗、トランジスタ等の発熱部品が実装されており、加工ユニット20の回転駆動部213およびボール螺子駆動部412、512、612へ供給する電流を制御することによりこれらの動作を制御する。また、制御基板721、722、723は、ワーク保持ユニット30の回転駆動部313、812へ供給する電流を制御することによりこれらの動作を制御する。
【0017】
筐体10は、ワーク保持ユニット30および加工ユニット20を挟んでX軸方向に離間して配置された一対のフレームセット111を有する。ここで、各フレームセット111は、例えば、Y軸方向に並列して配置されZ軸方向に延在する2本の柱フレームと、Y軸方向に延在し2本の柱フレーム同士を連結する少なくとも1本の梁フレームと、から構成される。また、筐体10は、隔壁1181を有する。隔壁1181における-Y方向側には、制御基板721、722、723が固定されている。隔壁1181は、フレームセット111に固定されている。隔壁1181は、ベース部材134、ワーク保持ユニット30および加工ユニット20が配置される第1領域A1と、制御基板721、722、723が配置される第2領域A2と、の間に配置され、第1領域A1と第2領域A2とを隔てている。そして、図3および図5に示すように、筐体10の周壁における第2領域A2に対応する部分には、第2領域A2から筐体10外へ連通する複数の連通孔1211aが穿設されている。複数の連通孔1211aは、少なくとも筐体10の周壁における第2領域A2に対応する部分のZ軸方向における中央部よりも+Z方向側全体に穿設されている。これにより、第2領域A2内において、制御基板721、722、723で発生した熱により温められて第2領域A2内の鉛直上方へ移動した空気を効率良く筐体10外へ排出することができる。
【0018】
また、筐体10は、図1に示すように、ベース部材134を支持するための支持プレート132と、支持プレート132を筐体10のフレームセット111に固定するためのプレート固定部材131と、を有する。プレート固定部材131は、外形が直方体状であり、一対のフレームセット111それぞれに互いに近づく方向へ突出した状態で固定されている。プレート固定部材131は、図2に示すように、フレームセット111に固定されている。支持プレート132は、板状であり、各プレート固定部材131の+Z方向側に固定されている。
【0019】
緩衝部材133は、ゴム、エラストマ等の弾性材料から筒状に形成され、筒軸方向がZ軸方向に平行となる姿勢で支持プレート132の+Z方向側に固定されている。また、緩衝部材133は、断熱性を有する材料から形成されている。
【0020】
以上説明したように、本実施の形態に係る切削加工装置1では、ベース部材134が、筐体10に緩衝部材133を介して接続されている。そして、ワーク保持ユニット30が、筐体10の内側において筐体10から離間した状態でベース部材134に固定され、加工ユニット20が、筐体10の内側において筐体10から離間した状態でベース部材134に立設されている。このように、ワーク保持ユニット30と加工ユニット20とが筐体10から離間した状態で共通のベース部材134に固定されていることにより、ベース部材134に対して筐体10が相対的に歪んだり振動したりしても、ワーク保持ユニット30に保持されたワークと加工ユニット20との位置関係が維持される。従って、ワークの加工精度を向上させることができる。
【0021】
例えば、筐体10が振動している場合、筐体10の振動が緩衝部材133に支持されたベース部材134を介して、ワーク保持ユニット30および加工ユニット20に伝達する。このため、ワーク保持ユニット30および加工ユニット20に伝達する振動は必ず同期することになる。このため、ワーク保持ユニット30に保持されたワークと加工ユニット20との位置関係が維持される。
【0022】
また、本実施の形態に係る筐体10は、ワーク保持ユニット30および加工ユニット20を挟んで離間して配置された一対のフレームセット111を有し、緩衝部材133を介してベース部材134を支持する。そして、プレート固定部材131は、一対のフレームセット111それぞれに互いに近づく方向へ突出した状態で固定されている。これにより、筐体10内におけるプレート固定部材131よりも-Z方向側に空間を確保することができる。また、ワーク保持ユニット30は、ベース部材134の-Z方向側に固定され、加工ユニット20は、ベース部材134の+Z方向側に固定されている。従って、プレート固定部材131よりも-Z方向側に位置するワーク保持ユニット30の周囲に比較的広い空間を確保することができるので、その分、ワーク保持ユニット30へのワークの脱着作業が行い易くなるという利点がある。
【0023】
更に、本実施の形態に係る回転駆動部支持部420は、+Y方向側で回転駆動部213を支持する主部421と、主部421の-Y方向側からY軸方向に沿って突出したサドル部425と、サドル部425に埋設されたナット部426と、を有する。また、X軸方向駆動部510は、ベース部材134の+X方向側に配置されX軸方向に沿って移動自在なスライドブロック428と、ナット部426に螺合するボール螺子511と、ボール螺子511を回転駆動するボール螺子駆動部512と、を有する。これにより、ボール螺子511を回転駆動部支持部420の上方に配置することができるので、その分、回転駆動部支持部420をワーク保持ユニット30側に近づけることができる。そして、回転駆動部支持部420とワーク保持ユニット30との距離が近づいた分、回転駆動部支持部420とワーク保持ユニット30に外部応力が加わったときの回転駆動部213に接続された主軸214に対するワークの位置ずれ量を小さくすることができる。従って、ワークの加工精度を向上させることができる。
【0024】
また、本実施の形態に係る制御基板721、722、723には、発熱部品が実装されており、緩衝部材133は、断熱性を有する材料から形成されている。そして、制御基板721、722、723は、筐体10の隔壁1181に固定されている。これにより、制御基板721、722、723で発生し、隔壁1181、フレームセット111およびプレート固定部材131を介して支持プレート132に伝達した熱のベース部材134への伝達が抑制される。従って、制御基板721、722、723で発生した熱の加工ユニット20およびワーク保持ユニット30への伝達が抑制されるので、加工ユニット20およびワーク保持ユニット30の温度上昇による熱変形が抑制される。従って、ワークの加工精度を向上させることができる。
【0025】
更に、本実施の形態に係る筐体10では、隔壁1181が、ベース部材134、ワーク保持ユニット30および加工ユニット20が配置される第1領域A1と、制御基板721、722、723が配置される第2領域A2と、の間に配置され、第1領域A1と第2領域A2とを隔てている。これにより、制御基板721、722、723で発生した熱により温められた第2領域A2に存在する空気が、第1領域A1へ流入することを抑制できる。従って、第1領域A1に配置されたベース部材134、ワーク保持ユニット30および加工ユニット20の温度上昇による熱変形が抑制される。
【0026】
また、本実施の形態に係る筐体10は、筐体10内の第2領域A2に対応する部分に第2領域A2から筐体10外へ連通する複数の連通孔1211aが穿設されている。これにより、第2領域A2内において、制御基板721、722、723で発生した熱により温められた空気を筐体10外へ排出することができるので、筐体10内に存在する空気の温度上昇を抑制することができる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、図6に示す切削加工装置2のように、長尺の柱状でありZ軸方向に沿って延在しベース部材134を支持する支持部材2131を備えるものであってもよい。なお、図6において、実施の形態と同様の構成については図1と同一の符号を付している。ここで、ベース部材134は、支持部材2131の+Z方向側の端部において緩衝部材133を介して支持されている。また、支持部材2131の-Z方向側の端部は、長尺でありY軸方向に沿って延在し長手方向における両端部が筐体10の下端部分に固定されている。
【0028】
実施の形態では、緩衝部材133が、ゴム、エラストマ等の弾性材料から形成された部材である例について説明した。但し、緩衝部材133は、これに限らず、例えばエアサスペンションから構成されていてもよいし、磁気バネから構成されていてもよい。
【0029】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0030】
本出願は、2020年2月6日に出願された日本国特許出願特願2020-018548号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2020-018548号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、ワークを切削して歯科用補綴物を作製する歯科用補綴物作製装置として好適である。
【符号の説明】
【0032】
1,2:切削加工装置、10:筐体、20:加工ユニット、30:ワーク保持ユニット、111:フレームセット、131:プレート固定部材、132:支持プレート、133:緩衝部材、134:ベース部材、2131:支持部材、211:ツール、213,313,812:回転駆動部、214:主軸、412,512,612:ボール螺子駆動部、413,511,611:ボール螺子、420:回転駆動部支持部、421:主部、426,521b:ナット部、424,428,524:スライドブロック、425:サドル部、510:X軸方向駆動部、610:Y軸方向駆動部、721,722,723:制御基板、1181:隔壁、1211a:連通孔、2131:支持部材、A1:第1領域、A2:第2領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6