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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】電子膨張弁及びその空調ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20231018BHJP
   F25B 41/34 20210101ALI20231018BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F25B41/34
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022080629
(22)【出願日】2022-05-17
(65)【公開番号】P2023035812
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】202122111729.4
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇好
(72)【発明者】
【氏名】趙 俊
(72)【発明者】
【氏名】劉 瞳暉
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212480175(CN,U)
【文献】国際公開第2020/189736(WO,A1)
【文献】特開2020-143718(JP,A)
【文献】特開2014-052078(JP,A)
【文献】特開2013-164125(JP,A)
【文献】特開2012-013095(JP,A)
【文献】特開2012-087841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
F25B 41/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体(101)及びナットアセンブリ(30)を含み、前記弁体(101)内に弁室(41)を有する電子膨張弁であって、
前記ナットアセンブリ(30)は、ナット座(31)及び接続部材(34)を含み、少なくとも一部の前記ナット座(31)は前記接続部材(34)内に設けられ、前記接続部材(34)は前記弁体(101)内に設けられ、前記ナット座(31)内には内部チャンバ(3131)を有し、前記接続部材(34)内に位置する前記ナット座(31)の側壁には前記内部チャンバ(3131)と連通する均衡化孔(314)が穿設されており、前記均衡化孔(314)が接続部材(34)を貫通して均衡チャネル(301)が形成され、前記内部チャンバ(3131)と前記弁室(41)とは前記均衡チャネル(301)を介して連通する、電子膨張弁。
【請求項2】
前記弁体(101)は、弁座(10)及び弁スリーブ(40)を含み、前記弁スリーブ(40)は前記弁座(10)に接続され、前記接続部材(34)の前記弁座(10)から離れた一端の端面には第1の溝(343)が穿設されており、前記第1の溝(343)は前記均衡化孔(314)と連通する、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記第1の溝(343)の横断面は、U型、凵型又はC型を呈する、請求項2に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記接続部材(34)の前記弁座(10)から離れた一端の端面には第2の溝(344)が穿設されており、前記接続部材(34)の軸線に対して前記第2の溝(344)と前記第1の溝(343)とは対称に設けられる、請求項2に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記弁体(101)は、弁座(10)及び弁スリーブ(40)を含み、前記ナット座(31)は、互いに接続された接続セグメント(313)及びガイドセグメント(311)を含み、前記ガイドセグメント(311)は、前記接続セグメント(313)に対して前記弁座(10)に近接して設けられ、前記内部チャンバ(3131)は前記接続セグメント(313)内に位置し、前記均衡化孔(314)は前記接続セグメント(313)の前記ガイドセグメント(311)に近接する一端の側壁に穿設されており、前記均衡化孔(314)の前記ガイドセグメント(311)に近接する一端の内壁と前記内部チャンバ(3131)の底壁とは面一になる、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記電子膨張弁は、スピンドル(20)を更に含み、前記弁座(10)には弁口(14)が穿設されており、前記スピンドル(20)は延伸して前記弁口(14)内に進入でき、前記弁座(10)内には前記弁口(14)と連通する流路(13)を有し、前記ガイドセグメント(311)は前記スピンドル(20)の外部に嵌合され、且つ前記ガイドセグメント(311)の前記弁口(14)に近接する一端が延伸して前記流路(13)内に進入する、請求項5に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記接続部材(34)は、互いに接続された本体セグメント(341)及び嵌め込みセグメント(342)を含み、前記本体セグメント(341)は前記ナット座(31)を取り囲んで設けられ、前記嵌め込みセグメント(342)は前記ナット座(31)に嵌め込まれる、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記本体セグメント(341)の内壁に第2のねじセグメント(3411)が設けられており、前記第2のねじセグメント(3411)は、前記本体セグメント(341)の内壁を取り囲んで周方向に設けられるか、又は前記本体セグメント(341)の内壁に溝が穿設されるか、又は前記本体セグメント(341)の内壁にカムが設けられ、前記ナット座(31)の外壁における前記本体セグメント(341)の内壁と連結される部分に前記第2のねじセグメント(3411)、前記溝、又は前記カムのうち前記内壁に設けられるものに対応する相補的形状の部材が設けられる、請求項7に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
前記弁体(101)は、弁座(10)を含み、前記ナット座(31)と前記弁座(10)との間に隙間を有する、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の電子膨張弁を含む、空調ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷房の技術分野に関し、特に、電子膨張弁及びその空調ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子膨張弁は、冷房循環システムの4大構成要素の一つとして、スロットル断面積を変更させることによって冷媒の流量を制御し、流量を絞って減圧させる役割を果たし、通常は復水器と蒸発器との間に取り付けられる。
【0003】
従来の電子膨張弁は、均衡化孔の位置が比較的高く、スクリュアセンブリの取り付け位置及びナット座の内部チャンバの位置もそれに応じて高くする必要があり、膨張弁全体の高さが比較的高くなってしまい、コストが増加していた。
【発明の概要】
【0004】
これに基づいて、本発明は、上記の技術課題に対して以下の技術態様を有する電子膨張弁を提供する。
【0005】
弁体及びナットアセンブリを含み、弁体内に弁室を有する電子膨張弁であって、ナットアセンブリは弁室内に設けられ、ナットアセンブリは、ナット座及び接続部材を含み、少なくとも一部のナット座は接続部材内に設けられ、接続部材は弁体内に設けられ、ナット座内には内部チャンバを有し、接続部材内に位置するナット座の側壁には内部チャンバと連通する均衡化孔が穿設されており、均衡化孔が接続部材を貫通して均衡チャネルが形成され、内部チャンバと弁室とは均衡チャネルを介して連通する。
【0006】
このような配置によると、均衡化孔の位置を低くすることができ、これによりスクリュの取り付け高さが低くなって、内部チャンバの穿設高さが低くなり、接続部材を退避するために均衡化孔の位置を高くする必要がないので、電子膨張弁全体の高さが低くなり、コストダウンできる。
【0007】
一実施例において、弁体は、弁座及び弁スリーブを含み、弁スリーブは弁座に接続され、接続部材の弁座から離れた一端の端面には第1の溝が穿設されており、第1の溝は均衡化孔と連通する。
【0008】
このような配置によると、第1の溝が弁室と連通することで、内部チャンバが弁室と連通するようにする。
【0009】
一実施例において、第1の溝の横断面は、U型、凵型又はC型を呈する。
【0010】
一実施例において、接続部材の弁座から離れた一端の端面には第2の溝が穿設されており、接続部材の軸線に対して第2の溝と第1の溝とは対称に設けられる。
【0011】
このような配置によると、接続部材とナットとを射出成形により固定する場合に、第1の溝と第2の溝とが対称に設けられるため、フィード液が流れる過程において、接続部材の両側の均衡を確保でき、射出成形後の接続部材とナット座との同軸度が確保される。
【0012】
一実施例において、弁体は、弁座及び弁スリーブを含み、ナット座は、互いに接続された接続セグメント及びガイドセグメントを含み、ガイドセグメントは、接続セグメントに対して弁座に近接して設けられ、内部チャンバは接続セグメント内に位置し、均衡化孔は接続セグメントのガイドセグメントに近接する一端の側面に穿設されており、均衡化孔のガイドセグメントに近接する一端の内壁と内部チャンバの底壁とは面一になる。
【0013】
このような配置によると、より多くの媒体が内部チャンバから順調に流れ出るようにすることができる。
【0014】
一実施例において、電子膨張弁は、スピンドルを更に含み、弁座には弁口が穿設されており、スピンドルは延伸して弁口内に進入でき、弁座内には弁口と連通する流路を有し、ガイドセグメントはスピンドルの外部に嵌合され、且つガイドセグメントの弁口に近接する一端が延伸して流路内に進入する。
【0015】
このような配置によると、スピンドルが媒体からの直接衝撃を受けないように保護でき、スピンドルの振動によって弁口の内壁に衝撃を与えてノイズが発生することを防止する。
【0016】
一実施例において、接続部材は、互いに接続された本体セグメント及び嵌め込みセグメントを含み、本体セグメントはナット座を取り囲んで設けられ、嵌め込みセグメントはナット座に嵌め込まれる。
【0017】
このような配置によると、弁座に着座する接続部材の着座面積が増加して、接続部材と弁座との接続強度を強化することができるとともに、接続部材とナット座との接触面積も増加して、接続部材とナット座との接続強度を強化することができる。
【0018】
一実施例において、本体セグメントの内壁に第2のねじセグメントが本体セグメントの内壁を取り囲んで周方向に設けられるか、又は本体セグメントの内壁に溝が穿設されるか、又は本体セグメントの内壁にカムが設けられる。
【0019】
このような配置によると、ナット座と接続部材との間の射出成形による連結強度を増加できる。
【0020】
一実施例において、弁体は、弁座を含み、ナット座と弁座との間に隙間を有する。
【0021】
このような配置によると、ナット座と弁座との間に断熱チャンバが形成されて、ナット座を保護する作用を果たす。
【0022】
本発明は、技術態様として上記の電子膨張弁を含む空調ユニットを更に提供する。
【0023】
従来の技術に比べて、本発明で提供される電子膨張弁は、ナット座の接続部材内に位置する部分の側壁に均衡化孔が穿設され、且つ均衡化孔が接続部材を貫通して均衡チャネルが形成されることで、均衡化孔の穿設位置の高さが低くなり、ナット座の内部チャンバの位置及びスクリュの取り付け位置もそれに応じて低くなって、電子膨張弁の内部構造がより小型になり、電子膨張弁全体の高さが低くなり、コストダウンできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明で提供される電子膨張弁の断面図である。
図2図1におけるAでの部分拡大図である。
図3】ナット座と接続部材とが係合されている断面図である。
図4】一実施例の接続部材の構造模式図である。
図5】別の実施例の接続部材の構造模式図である。
図6】別の実施例の接続部材の構造模式図である。
【0025】
図面において、各符号の意味は以下の通りである。
100 電子膨張弁、101 弁体、10 弁座、11 第1の開口、111 第1の接続管、12 第2の開口、121 第2の接続管、13 流路、14 弁口、20 スピンドル、21 ドレーンセグメント、30 ナットアセンブリ、301 均衡チャネル、31 ナット座、311 ガイドセグメント、312 傾斜面、313 接続セグメント、3131 内部チャンバ、3132 第1のねじセグメント、314 均衡化孔、32 スクリュ、321 バネ溝、322 軸受、323 第1の止め部材、33 弾性部材、34 接続部材、341 本体セグメント、3411 第2のねじセグメント、342 嵌め込みセグメント、343 第1の溝、344 第2の溝、40 弁スリーブ、41 弁室、50 動止アセンブリ、51 接続柱、511 ガイド部、512 止めブロック、52 第2の止め部材。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例における図面と組み合わせて本発明の実施例における技術態様を明確且つ完全に説明するが、もちろん、説明する実施例は本発明の実施例の一部にすぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力なしに得られる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0027】
説明すべきことは、アセンブリが他のアセンブリに「装設される」とされる場合、他のアセンブリに直接装設されてもよく、又は介在するアセンブリが存在してもよい。アセンブリが他のアセンブリに「設けられる」とみなされる場合、他のアセンブリに直接設けられてもよく、又は介在するアセンブリが同時に存在してもよい。アセンブリが他のアセンブリに「固定される」とみなされる場合、他のアセンブリに直接固定されてもよく、又は介在するアセンブリが同時に存在してもよい。
【0028】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語や科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者が一般に理解している意味と同じである。ここで、本発明の明細書に使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することを目的とし、本発明を制限するものではない。本明細書に使用される「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の/及び全ての組み合わせを含む。
【0029】
図1を参照すると、本発明で提供される電子膨張弁100は、空調ユニットに取り付けられており、媒体流量を絞って減圧させる作用を実現するために用いられ、且つ空調ユニットのパイプラインにおける媒体流量を制御できる。
【0030】
具体的には、電子膨張弁100は、弁体101、スピンドル20及びナットアセンブリ30を含み、弁体101は、弁座10及び弁スリーブ40を含み、弁体101内に弁室41を有し、少なくとも一部のナットアセンブリ30は弁室41内に設けられ、スピンドル20は、弁座10内に挿設され、且つナットアセンブリ30に接続され、ナットアセンブリ30は、スピンドル20がスピンドル20の軸方向に沿って移動するように連動できる。
【0031】
弁座10には第1の開口11、弁口14及び第2の開口12が穿設されており、第2の開口12は弁口14と連通し、弁座10内には流路13を有し、流路13はそれぞれ第1の開口11及び弁口14と連通する。
【0032】
第1の開口11内には第1の接続管111が設けられ、第2の開口12内には第2の接続管121が設けられており、第1の接続管111及び第2の接続管121により、ユーザは空調ユニットのパイプラインに接続することが容易になる。
【0033】
スピンドル20の一端にはドレーンセグメント21が設けられており、スピンドル20が軸方向に沿って移動する過程において、ドレーンセグメント21は延伸して弁口14内に進入でき、ドレーンセグメント21は錐形を呈し、ドレーンセグメント21が延伸して弁口14内に進入する深さが異なることに従って、ドレーンセグメント21の外壁と弁口14の内壁の間の流通チャンバの横断面が異なり、これにより媒体の流通量を制御する。
【0034】
ナットアセンブリ30は、ナット座31及びスクリュ32を含み、少なくとも一部のナット座31は弁座10に挿設され、ナット座31には内部チャンバ3131を有し、内部チャンバ3131の内壁には第1のねじセグメント3132が設けられており、スクリュ32は第1のねじセグメント3132を介してナット座31に螺合され、ナット座31は弁座10に接続され、スクリュ32の一端はスピンドル20に回転接続される。
【0035】
ナット座31はエンジニアリングプラスチックを採用して作製し、ナット座31の重量を軽減できるだけでなく、射出加工を利用して成形でき、射出成形過程において、ナット座31内のねじの品質を確保できる。
【0036】
ナット座31は、PPS(Phenylenesulfide、ポリフェニレンスルファイド)を採用して作製し、PPSは自己潤滑性を有し、スピンドル20とナット座31との間の摩耗を減少させて止まることを回避することができる。
【0037】
好ましくは、ナット座31は接続セグメント313及びガイドセグメント311を含み、ガイドセグメント311はスピンドル20の外部に嵌合され、内部チャンバ3131は接続セグメント313に穿設される。本実施例において、第1の開口11は入口であり、媒体が第1の開口11から流路13内に入るとき、ガイドセグメント311はスピンドル20に対してガイド作用を果たす。
【0038】
図2を参照すると、ガイドセグメント311の弁口14に近接する一端が延伸して流路13内に進入し、延伸して流路13内に進入したガイドセグメント311はスピンドル20が媒体からの直接衝撃を受けないように保護でき、スピンドル20の振動によって弁口14の内壁に衝撃を与えてノイズが発生することを防止する。
【0039】
延伸して流路13内に進入したガイドセグメント311の長さはLであり、第1の接続管111の内径はRであり、4R/5>L>R/5である。このような配置によると、ナット座31が延伸して流路13内に進入した長さが適切な値を維持するようにすることができ、長さが長すぎる場合、流路13の流通量に影響を与え、長さが短すぎる場合、ナット座31のスピンドル20に対する保護作用に影響を与える。延伸して流路13内に進入したガイドセグメント311の長さはLであり、3R/5、2R/5等であり得る。
【0040】
具体的には、ガイドセグメント311の外側壁とガイドセグメント311の弁口14に向かう一端の端面との間を面取り配置とすることで、傾斜面312を形成して、媒体が順調に流れるようにし、流れの抵抗を減少させ、渦電流のノイズを低減する。
【0041】
傾斜面312とスピンドル20の軸線との間の夾角θの範囲は15°~75°である。このような配置により、ガイドセグメント311の面取りを適切な範囲に配置でき、面取りが大きすぎると、ガイドセグメント311のスピンドル20に対する保護作用に影響を与え、面取りが小さすぎると、傾斜面312の媒体の流れに対するガイド作用に影響を与えることが理解できる。傾斜面312とスピンドル20の軸線との間の夾角θは、15°、25°、35°、60°、65°、75°等であり得る。
【0042】
ナット座31と弁座10との間に隙間を有することで、ナット座31と弁座10との間に断熱チャンバが形成されて、ナット座31を保護する作用を果たし、第1の接続管111等の部品を半田溶接するとき、断熱チャンバは半田溶接する際に発生した高温がナット座31に影響を与えることを防止できる。
【0043】
図3を参照すると、ナットアセンブリ30は、接続部材34を更に含み、接続部材34の硬度はナット座31の硬度より大きく、接続部材34はナット座31を保護する作用を果たす。
【0044】
接続部材34と弁座10とは締まり嵌めされ、接続部材34は金属又は粉末冶金を採用して作製し、金属又は粉末冶金が比較的固いので、弁座10と締まり嵌めにする場合、接続部材34はナット座31を損傷から保護し、ナット座31の完全性が確保される。
【0045】
接続部材34は、ステンレス等の硬度がエンジニアリングプラスチックより大きい材料で作製できる。
【0046】
具体的には、接続部材34と弁座10とを締まり嵌めにし、且つ接続部材34の硬度が弁座10の硬度以上であることにより、接続部材34が弁座10に締まり嵌めして圧入される際に、接続部材34の変形が非常に小さい又はほとんど変形しないように確保され、弁座10は接続部材34及びナット座31に対して回転止め作用を果たすことができる。
【0047】
一実施例において、接続部材34は環状を呈し、環状の接続部材34はナット座31の外側を取り囲む。
【0048】
別の実施例において、接続部材34はストリップ状を呈し、且つ接続部材34は複数であり、複数の接続部材34がナット座31の外側を取り囲む。
【0049】
接続部材34は、互いに接続された本体セグメント341及び嵌め込みセグメント342を含み、本体セグメント341はナット座31の外側に設けられ、嵌め込みセグメント342はナット座31の中心線方向に向かって延在し且つナット内に嵌め込まれる。嵌め込みセグメント342により接続部材34とナット座31との接触面積が増加し、接続部材34とナット座31との接続強度を強化することができる。
【0050】
嵌め込みセグメント342は本体セグメント341の弁口14に近接する一端に設けられ、本体セグメント341と嵌め込みセグメント342との間の夾角は、直角、鈍角又は鋭角である。嵌め込みセグメント342により、弁座10に着座する接続部材34の着座面積が増加し、接続部材34と弁座10との接続強度を強化することができる。
【0051】
一実施例において、本体セグメント341は環状を呈し、嵌め込みセグメント342はストリップ状を呈し、且つ嵌め込みセグメント342は複数であり、複数の嵌め込みセグメント342は互いに間隔をおいてナット座31の外側を取り囲み、ナット座31と接続部材34とを射出成形により固定する場合に、フィード液が嵌め込みセグメント342の間の隙間に流れ込むことで、ナット座31と接続部材34との接触面積を増加させ、両者の接続強度を強化することができる。
【0052】
一実施例において、本体セグメント341の内壁には第2のねじセグメント3411が設けられており、第2のねじセグメント3411は、本体セグメント341内壁を取り囲んで周方向に設けられ、第2のねじセグメント3411により本体セグメント341の内壁とナット座31との連結面積が増加し、ナット座31と接続部材34との間の射出成形による連結強度を強化できる。
【0053】
別の実施例において、本体セグメント341の内壁には溝(図示せず)が穿設されており、同様に、溝により本体セグメント341の内壁とナット座31との連結面積を増加できる。
【0054】
他の実施例において、本体セグメント341の内壁にはカム(図示せず)が設けられており、同様に、カムにより本体セグメント341の内壁とナット座31との連結面積を増加できる。本体セグメント341は、他の構造を設けて、本体セグメント341とナット座31との間の射出成形による連結強度を強化することもできる。
【0055】
ナットアセンブリ30は、弾性部材33を更に含み、スクリュ32の一端にはバネ溝321が穿設されており、弾性部材33はバネ溝321内に設けられ、弾性部材33の一端はスクリュ32に当接され、他端はスピンドル20に当接され、スクリュ32は弾性部材33を介してスピンドル20を押し下げる。
【0056】
スクリュ32とスピンドル20とは軸受322を介して回転接続され、軸受322は転がり軸受322であり、軸受322の外輪とバネ溝321の内壁とは固定して接続され、スピンドル20は軸受322の内輪に挿設されることで、スピンドル20の回転を防止し、スクリュ32はスピンドル20の軸方向の移動のみを制御する。
【0057】
ナット座31の接続部材34内に位置する部分の側壁には均衡化孔314が穿設されており、均衡化孔314が接続部材34を貫通して均衡チャネル301が形成され、内部チャンバ3131と弁室41とが均衡チャネル301を介して連通することで、スクリュ32両端の圧力を均衡化させることができ、スクリュ32の一端の媒体圧力が大きすぎてスクリュ32が降下できないことが発生するのを回避する。均衡チャネル301が接続部材34を貫通すると、均衡化孔314の位置は相対的に弁座10に近接して設けることができ、接続部材34を退避するために均衡化孔314の位置を高く設ける必要がなく、ナット座31の内部チャンバ3131の位置及びスクリュ32の弁座10に近接する一端の位置も比較的低く設けることができ、即ち、これにより電子膨張弁100の構造がより小型になり、高さが低く、材料が節約される。
【0058】
接続部材34の弁座10から離れた一端の端面には第1の溝343が穿設されており、第1の溝343は均衡化孔314と連通する。このような配置によると、第1の溝343の開口が弁室41向かって、弁室41と直接連通することができる。
【0059】
均衡化孔314の数は1つでもよく、2つ、3つ以上でもよく、これに対応する第1の溝343も1つ又は複数でもよい。
【0060】
図4を参照すると、一実施例において、第1の溝343の横断面はC型を呈し、第1の溝343は均衡化孔314を遮らない。
【0061】
図5を参照すると、別の実施例において、第1の溝343の横断面はU型を呈する。
【0062】
図6を参照すると、別の実施例において、第1の溝343の横断面は凵型を呈する。
【0063】
他の実施例において、第1の溝343の横断面は、台形等であってもよく、均衡化孔314と連通できればよい。
【0064】
接続部材34の弁座10から離れた一端の端面には第2の溝344が穿設されており、接続部材34の軸線に対して第2の溝344と第1の溝343とは対称に設けられる。
【0065】
ナット座31と接続部材34とは射出成形により固定され、且つ第1の溝343と第2の溝344とは対称に設けられるので、フィード液が流れる過程において、接続部材34の両側の均衡を確保でき、射出成形後の接続部材34とナット座31との同軸度が確保される。
【0066】
接続部材34が弁座10に取り付けられる際に、弁座10の内壁が変形し、第1の溝343及び第2の溝344の内壁と本体セグメント341の外側壁との間は回転止め作用を果たすことができ、接続部材34がナット座31を連動して弁座10に対して移動することを防止する。
【0067】
均衡化孔314は第1のねじセグメント3132とガイドセグメント311との間に位置し、均衡化孔314のガイドセグメント311に近接する一端の内壁と内部チャンバ3131の底壁とは面一になり、即ち、均衡化孔314は接続セグメント313の最底端の側壁に位置し、より多くの媒体が内部チャンバ3131から順調に流れ出るようにすることができる。
【0068】
電子膨張弁100は、動止アセンブリ50を更に含み、弁スリーブ40は弁座10に設けられ、動止アセンブリ50は弁スリーブ40の内壁に接続される。スクリュ32のスピンドル20から離れた一端には第1の止め部材323が設けられており、第1の止め部材323は動止アセンブリ50に係合されてスクリュ32に対して軸方向における位置決め作用を果たすことができ、スクリュ32がスピンドル20を無制限に押し下げることを防止するとともに、スクリュ32がスピンドル20から離れる方向に向かって無制限に移動することを防止する。
【0069】
具体的には、動止アセンブリ50は第2の止め部材52及び接続柱51を含み、接続柱51は弁スリーブ40の内壁に接続され、接続柱51の外側面には螺旋形のガイド部511が設けられており、螺旋形のガイド部511がガイド経路を形成し、第2の止め部材52はガイド部511上で移動することができる。
【0070】
接続柱51の両端にはそれぞれ止めブロック512が設けられており、第2の止め部材52が接続柱51の上部まで移動した場合、止めブロック512は第2の止め部材52の更なる移動を阻止し、第2の止め部材52は第1の止め部材323に当接されて、スクリュ32の更なる回転を阻止することで、スクリュ32がスピンドル20から離れる方向に向かって更に移動することを防止する。第2の止め部材52が接続柱51の下部まで移動した場合、下部に位置する止めブロック512は第2の止め部材52の更なる移動を阻止し、第2の止め部材52と第1の止め部材323とが当接して、スクリュ32の更なる回転を阻止することで、スクリュ32がスピンドル20に近接する方向に向かって更に移動することを防止する。
【0071】
電子膨張弁100は、ロータ及びコイル(図示せず)を更に含み、ロータはスクリュ32に接続され、コイルは弁スリーブ40の外部に設けられ、コイルに通電するとロータを駆動して回転させることができ、ロータはスクリュ32を連動して回転させ、ナット座31が弁座10によって位置決めされるので、ナット座31は回転せず、これによりスクリュ32がスクリュ32の軸方向に沿って移動するようにすることで、スピンドル20を駆動してスクリュ32の軸方向に沿って移動させる。
【0072】
ロータは弁室41内に設けられ、ロータと弁スリーブ40の内壁とが間隔をおいて設けられることで、均衡チャネル301から流れ出る媒体がロータと弁スリーブ40との隙間からスクリュ32の弁座10から離れた一端に入るようにして、スクリュ32の両端の圧力の均衡を実現する。
【0073】
本発明は、上記の電子膨張弁100を含む空調ユニットを更に提供する。
【0074】
作動過程において、電子膨張弁100は、空調ユニットの実際の状況に基づいて、スピンドル20のドレーンセグメント21が延伸して弁口14に進入する深さを制御することで、流量を制御する。ナット座31の内部チャンバ3131と連通する均衡化孔314は、接続部材34内に位置する部分のナット座31の側壁に設けられ、次に接続部材34を貫通して均衡チャネル301が形成され、ナット座31内の媒体は均衡チャネル301からスクリュ32の弁座10から離れた一端に流れ出ることができ、スクリュ32の両端の圧力の均衡を実現し、スクリュ32が下へ移動できない問題が発生することを回避する。本発明は、接続部材34を退避するために、均衡化孔314の位置を高く設定する必要がないので、スクリュ32の取り付け高さが低くなって、電子膨張弁100の構造がより小型になり、全体の高さが低くなり、コストダウンできる。
【0075】
以上の実施例の各技術特徴は、任意に組み合わせてもよく、説明を簡潔にするために上記の実施例における各技術特徴の可能な組み合わせについて全部説明していないが、これらの技術特徴の組み合わせが矛盾しない限り、いずれも本明細書に記載されている範囲とみなすべきである。
【0076】
以上の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示すものにすぎず、その説明が具体的且つ詳細であるが、発明の範囲を制限するものとして理解するべきではない。指摘すべきこととして、当業者にとって、本発明の思想を逸脱しない範囲で更にいくつかの変形及び改良を行うことができるが、これらはいずれも本発明の保護範囲に属する。よって、本発明の保護範囲は添付の請求項に準ずるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6