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特許7369243給与前払時過払防止装置、給与前払時過払防止方法および給与前払時過払防止プログラム
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  • 特許-給与前払時過払防止装置、給与前払時過払防止方法および給与前払時過払防止プログラム 図1
  • 特許-給与前払時過払防止装置、給与前払時過払防止方法および給与前払時過払防止プログラム 図2
  • 特許-給与前払時過払防止装置、給与前払時過払防止方法および給与前払時過払防止プログラム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】給与前払時過払防止装置、給与前払時過払防止方法および給与前払時過払防止プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20231018BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022107860
(22)【出願日】2022-07-04
(62)【分割の表示】P 2020152127の分割
【原出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022121748
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 直之
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079307(JP,A)
【文献】特開2020-135507(JP,A)
【文献】特開2006-004263(JP,A)
【文献】特開2019-144614(JP,A)
【文献】特開2008-171048(JP,A)
【文献】特開2017-191595(JP,A)
【文献】武田 安恵,INDUSTRY 台頭するフィンテックの新サービス 法的にグレーも広がる「給料前払い」,日経ビジネス,日本,日経BP社,2017年12月04日,第1919号,p.16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備え、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、過払いを防止することができる給与前払時過払防止装置であって、
前記制御部は、
前記派遣スタッフを識別するための派遣スタッフ識別データと、契約期間と、契約により予め定められた所定の労働時間である所定労働時間と、単価情報と、を含む契約データから、前記前払いを希望する前記派遣スタッフについての入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記派遣スタッフが前記前払いを希望する入力された年月が属する契約期間と紐づく所定労働時間および単価情報を取得する単価情報等取得手段と、
前記派遣スタッフ識別データと、前記派遣スタッフが勤務した日である勤務日と、を含む勤怠実績データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する勤務日を取得する勤務日取得手段と、
前記単価情報等取得手段で取得した所定労働時間および単価情報と、前記勤務日取得手段で取得した勤務日の日数と、に基づいて、前記派遣スタッフが既に勤務した日のうち最後の日を現時点と考えた場合に、前記入力された年月における前記現時点までの給与額である現時点給与額を計算する現時点給与額計算手段と、
前記現時点給与額計算手段で計算した現時点給与額から所定の金額を控除した額を、前記派遣スタッフに対して前記前払いをすることが可能な額である前払可能額として算出する前払可能額算出手段と、
を備えること、
を特徴とする給与前払時過払防止装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記派遣スタッフ識別データと、年月と、当該年月に控除された額である控除額と、を含む控除データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月の前の月と紐づく控除額を取得する前月控除額取得手段を更に備え、
前記前払可能額算出手段は、前記現時点給与額計算手段で計算した現時点給与額から、前記前月控除額取得手段で取得した前月控除額を控除した額を、前記前払可能額として算出すること、
を特徴とする請求項1に記載の給与前払時過払防止装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記派遣スタッフ識別データと、前記前払いを行った日である前払日と、前記前払いをした額である前払金額と、を含む前払データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する前払日と紐づく前払金額を取得する前払金額取得手段を更に備え、
前記前払可能額算出手段は、前記現時点給与額計算手段で計算した現時点給与額から、少なくとも前記前払金額取得手段で取得した前払金額を控除した額を、前記前払可能額として算出すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の給与前払時過払防止装置。
【請求項4】
制御部を備える情報処理装置で実行される、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、過払いを防止することができる給与前払時過払防止方法であって、
前記制御部で実行される、
前記派遣スタッフを識別するための派遣スタッフ識別データと、契約期間と、契約により予め定められた所定の労働時間である所定労働時間と、単価情報と、を含む契約データから、前記前払いを希望する前記派遣スタッフについての入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記派遣スタッフが前記前払いを希望する入力された年月が属する契約期間と紐づく所定労働時間および単価情報を取得する単価情報等取得ステップと、
前記派遣スタッフ識別データと、前記派遣スタッフが勤務した日である勤務日と、を含む勤怠実績データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する勤務日を取得する勤務日取得ステップと、
前記単価情報等取得ステップで取得した所定労働時間および単価情報と、前記勤務日取得ステップで取得した勤務日の日数と、に基づいて、前記派遣スタッフが既に勤務した日のうち最後の日を現時点と考えた場合に、前記入力された年月における前記現時点までの給与額である現時点給与額を計算する現時点給与額計算ステップと、
前記現時点給与額計算ステップで計算した現時点給与額から所定の金額を控除した額を、前記派遣スタッフに対して前記前払いをすることが可能な額である前払可能額として算出する前払可能額算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする給与前払時過払防止方法。
【請求項5】
制御部を備える情報処理装置に実行させるための、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、過払いを防止することができる給与前払時過払防止プログラムであって、
前記制御部に実行させるための、
前記派遣スタッフを識別するための派遣スタッフ識別データと、契約期間と、契約により予め定められた所定の労働時間である所定労働時間と、単価情報と、を含む契約データから、前記前払いを希望する前記派遣スタッフについての入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記派遣スタッフが前記前払いを希望する入力された年月が属する契約期間と紐づく所定労働時間および単価情報を取得する単価情報等取得ステップと、
前記派遣スタッフ識別データと、前記派遣スタッフが勤務した日である勤務日と、を含む勤怠実績データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する勤務日を取得する勤務日取得ステップと、
前記単価情報等取得ステップで取得した所定労働時間および単価情報と、前記勤務日取得ステップで取得した勤務日の日数と、に基づいて、前記派遣スタッフが既に勤務した日のうち最後の日を現時点と考えた場合に、前記入力された年月における前記現時点までの給与額である現時点給与額を計算する現時点給与額計算ステップと、
前記現時点給与額計算ステップで計算した現時点給与額から所定の金額を控除した額を、前記派遣スタッフに対して前記前払いをすることが可能な額である前払可能額として算出する前払可能額算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする給与前払時過払防止プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給与前払時過払防止装置、給与前払時過払防止方法および給与前払時過払防止プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「近年は派遣労働者をはじめとして、アルバイト、契約社員、パート社員など労働形態が多様化するとともに、生活様式や価値観も多様化し、定められた給料日を待たずして就業後直ちに給与の支払を受ける、給与の前払い需要が増加してきた。」ことが記載されており(特許文献1の0003段落参照)、また、当該前払い需要に対応するために、「前払要求受付部23は、労働者の労働に対する給与として前払用口座に入金された金額を参照して、労働者に前払いが可能な上限金額を計算し、前払要求における前払金額を上限金額と比較する。」ことが記載されている(特許文献1の0036段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-4143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
派遣業界等においては、給与の前払いの需要が高まっており、上記特許文献1に記載のように、前払いの金額を自動計算できる技術も登場してきている。しかしながら、給与の前払いを行った社員がその後すぐに退職してしまうと、過払いが発生してしまうという問題があった。このため、可能な限り過払いが発生しないような前払いの額を算出できる方法が求められているが、いまだ実現には至っていない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、前記派遣スタッフが既に稼働した日数に基づいて、前払可能な額を算出することで、給与前払い時の過払いを防止することができる給与前払時過払防止装置、給与前払時過払防止方法および給与前払時過払防止プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る給与前払時過払防止装置は、制御部を備え、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、過払いを防止することができる給与前払時過払防止装置であって、前記制御部が、前記派遣スタッフを識別するための派遣スタッフ識別データと、契約期間と、所定労働時間と、単価情報と、を含む契約データから、前記前払いを希望する前記派遣スタッフについての入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記派遣スタッフが前記前払いを希望する入力された年月が属する契約期間と紐づく所定労働時間および単価情報を取得する単価情報等取得手段と、前記派遣スタッフ識別データと、前記派遣スタッフが勤務した日である勤務日と、を含む勤怠実績データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する勤務日を取得する勤務日取得手段と、前記単価情報等取得手段で取得した所定労働時間および単価情報と、前記勤務日取得手段で取得した勤務日の日数と、に基づいて、前記派遣スタッフが既に勤務した日のうち最後の日を現時点と考えた場合に、前記入力された年月における前記現時点までの給与額である現時点給与額を計算する現時点給与額計算手段と、前記現時点給与額計算手段で計算した現時点給与額から所定の金額を控除した額を、前記派遣スタッフに対して前記前払いをすることが可能な額である前払可能額として算出する前払可能額算出手段と、を備えること、を特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る給与前払時過払防止装置は、前記制御部が、前記派遣スタッフ識別データと、年月と、当該年月に控除された額である控除額と、を含む控除データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月の前の月と紐づく控除額を取得する前月控除額取得手段を更に備え、前記前払可能額算出手段は、前記現時点給与額計算手段で計算した現時点給与額から、前記前月控除額取得手段で取得した前月控除額を控除した額を、前記前払可能額として算出すること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る給与前払時過払防止装置は、前記制御部が、前記派遣スタッフ識別データと、前記前払いを行った日である前払日と、前記前払いをした額である前払金額と、を含む前払データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する前払日と紐づく前払金額を取得する前払金額取得手段を更に備え、前記前払可能額算出手段は、前記現時点給与額計算手段で計算した現時点給与額から、少なくとも前記前払金額取得手段で取得した前払金額を控除した額を、前記前払可能額として算出すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る給与前払時過払防止方法は、制御部を備える情報処理装置で実行される、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、過払いを防止することができる給与前払時過払防止方法であって、前記制御部で実行される、前記派遣スタッフを識別するための派遣スタッフ識別データと、契約期間と、所定労働時間と、単価情報と、を含む契約データから、前記前払いを希望する前記派遣スタッフについての入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記派遣スタッフが前記前払いを希望する入力された年月が属する契約期間と紐づく所定労働時間および単価情報を取得する単価情報等取得ステップと、前記派遣スタッフ識別データと、前記派遣スタッフが勤務した日である勤務日と、を含む勤怠実績データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する勤務日を取得する勤務日取得ステップと、前記単価情報等取得ステップで取得した所定労働時間および単価情報と、前記勤務日取得ステップで取得した勤務日の日数と、に基づいて、前記派遣スタッフが既に勤務した日のうち最後の日を現時点と考えた場合に、前記入力された年月における前記現時点までの給与額である現時点給与額を計算する現時点給与額計算ステップと、前記現時点給与額計算ステップ計算した現時点給与額から所定の金額を控除した額を、前記派遣スタッフに対して前記前払いをすることが可能な額である前払可能額として算出する前払可能額算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る給与前払時過払防止プログラムは、制御部を備える情報処理装置に実行させるための、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、過払いを防止することができる給与前払時過払防止プログラムであって、前記制御部に実行させるための、前記派遣スタッフを識別するための派遣スタッフ識別データと、契約期間と、所定労働時間と、単価情報と、を含む契約データから、前記前払いを希望する前記派遣スタッフについての入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記派遣スタッフが前記前払いを希望する入力された年月が属する契約期間と紐づく所定労働時間および単価情報を取得する単価情報等取得ステップと、前記派遣スタッフ識別データと、前記派遣スタッフが勤務した日である勤務日と、を含む勤怠実績データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する勤務日を取得する勤務日取得ステップと、前記単価情報等取得ステップで取得した所定労働時間および単価情報と、前記勤務日取得ステップで取得した勤務日の日数と、に基づいて、前記派遣スタッフが既に勤務した日のうち最後の日を現時点と考えた場合に、前記入力された年月における前記現時点までの給与額である現時点給与額を計算する現時点給与額計算ステップと、前記現時点給与額計算ステップ計算した現時点給与額から所定の金額を控除した額を、前記派遣スタッフに対して前記前払いをすることが可能な額である前払可能額として算出する前払可能額算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、前記派遣スタッフが既に稼働した日数に基づいて、前払可能な額を算出することで、給与前払い時の過払いを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、給与前払時過払防止装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、成約ワークデータ、勤怠実績データ、給与控除データおよび前払データの一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態における画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る給与前払時過払防止装置、給与前払時過払防止方法および給与前払時過払防止プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.概要]
派遣業界においては、給与が不安定なスタッフが多く、スタッフの採用に給与の前払い制度が有効であるため、給与の前払いを行う会社が多く存在する。しかしながら、スタッフが退職した場合には、過剰に給与を前払いしていると、前払いした給与分を回収できなくなるという問題があった。
【0015】
このため、従来においては、過剰な前払いが発生しないように、前払いを行う時点で既に発生している給与額およびその月に発生するであろう控除額(社会保険費や社宅費)等を把握し、手計算により、いくらまで前払いを行ってよいかを計算していたが、作業効率が非常に悪く時間もかかるという問題があった。
【0016】
そこで、本実施形態においては、例えば、派遣システム、給与システムおよび前払いシステム等を組合せることで、スタッフが既に稼働した日数から現時点での概算給与を計算し、当該概算給与から、社会保険費および寮費等を控除することで、いくらまで前払いしても過払いにならないかを自動で計算できるようにした。
【0017】
これにより、例えば、給与の前払いを行ったスタッフが急に辞めてしまい前払いした給与分を回収しきれないというリスクを低減することができるようになった。また、いくらまで前払いしてよいかを把握するために、勤怠実績、社会保険控除および社宅控除等をスタッフ毎に調べる作業を行う必要もなくなった。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0018】
[2.構成]
本実施形態に係る給与前払時過払防止装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、給与前払時過払防止装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
給与前払時過払防止装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、給与前払時過払防止装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0020】
給与前払時過払防止装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。給与前払時過払防止装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0021】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、給与前払時過払防止装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、給与前払時過払防止装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0022】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0023】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0024】
記憶部106は、例えば、契約データとしての成約ワークデータ106aと、勤怠実績データ106bと、控除データとしての給与控除データ106cと、前払データ106dと、を備えている。
【0025】
ここで、本実施形態に係る給与前払時過払防止装置100によれば、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、過払いを防止することができる。本実施形態に係る給与前払時過払防止装置100の使用者は、例えば、派遣会社である。前記前払いとは、例えば、所定の給料日よりも前に、前記派遣スタッフに対して給料を支払うことである。前記過払いとは、例えば、前記派遣スタッフが前記前払い後にすぐに退職してしまったこと等の理由により、前記前払いした金額のうち回収できない部分が発生してしまうことである。以下、各データの具体的内容について説明する。
【0026】
成約ワークデータ106aは、前記派遣スタッフとの契約情報を保持するデータである。成約ワークデータ106aは、図2に示すように、例えば、前記派遣スタッフを識別するための派遣スタッフ識別データ(スタッフコード)と、契約期間と、所定労働時間(所定時間)と、単価情報(基本単価)と、等を含む。
【0027】
勤怠実績データ106bは、前記派遣スタッフの勤怠実績を保持するデータである。勤怠実績データ106bは、図2に示すように、例えば、前記派遣スタッフ識別データ(スタッフコード)と、前記派遣スタッフが勤務した日である勤務日と、等を含む。
【0028】
給与控除データ106cは、前記派遣スタッフの給与額から控除される控除額等を保持するデータである。給与控除データ106cは、図2に示すように、例えば、前記派遣スタッフ識別データ(スタッフコード)と、年月と、当該年月に控除された額である控除額と、等を含む。当該控除額としては、例えば、社会保険料や寮費等が挙げられる。
【0029】
前払データ106dは、前記派遣スタッフに対して既に前払いした前払金額等を保持するデータである。前払データ106dは、図2に示すように、例えば、前記派遣スタッフ識別データ(スタッフコード)と、前記前払いを行った日である前払日と、前記前払いをした額である前払金額と、等を含む。
【0030】
制御部102は、給与前払時過払防止装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0031】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記派遣スタッフを識別するための派遣スタッフ識別データと、契約期間と、所定労働時間と、単価情報と、を含む契約データから、前記前払いを希望する前記派遣スタッフについての入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記派遣スタッフが前記前払いを希望する入力された年月が属する契約期間と紐づく所定労働時間および単価情報を取得する単価情報等取得手段としての単価情報等取得部102aと、(2)前記派遣スタッフ識別データと、前記派遣スタッフが勤務した日である勤務日と、を含む勤怠実績データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する勤務日を取得する勤務日取得手段としての勤務日取得部102bと、(3)前記単価情報等取得手段で取得した所定労働時間および単価情報と、前記勤務日取得手段で取得した勤務日の日数と、に基づいて、前記派遣スタッフが既に勤務した日のうち最後の日を現時点と考えた場合に、前記入力された年月における前記現時点までの給与額である現時点給与額を計算する現時点給与額計算手段としての現時点給与額計算部102cと、(4)前記派遣スタッフ識別データと、年月と、当該年月に控除された額である控除額と、を含む控除データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月の前の月と紐づく控除額を取得する前月控除額取得手段としての前月控除額取得部102dと、(5)前記派遣スタッフ識別データと、前記前払いを行った日である前払日と、前記前払いをした額である前払金額と、を含む前払データから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する前払日と紐づく前払金額を取得する前払金額取得手段としての前払金額取得部102eと、(6)前記現時点給与額計算手段で計算した現時点給与額から所定の金額を控除した額を、前記派遣スタッフに対して前記前払いをすることが可能な額である前払可能額として算出する前払可能額算出手段としての前払可能額算出部102fと、を備えている。
【0032】
単価情報等取得部102aは、前記派遣スタッフ識別データと前記契約期間と前記所定労働時間と前記単価情報とを含む成約ワークデータ106aから、前記前払いを希望する前記派遣スタッフについての入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記派遣スタッフが前記前払いを希望する入力された年月が属する契約期間と紐づく所定労働時間および単価情報を取得する。
【0033】
勤務日取得部102bは、前記派遣スタッフ識別データと前記勤務日とを含む勤怠実績データ106bから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する勤務日を取得する。
【0034】
現時点給与額計算部102cは、単価情報等取得部102aで取得した所定労働時間および単価情報と、勤務日取得部102bで取得した勤務日の日数と、に基づいて、前記派遣スタッフが既に勤務した日のうち最後の日を現時点と考えた場合に、前記入力された年月における前記現時点までの給与額である現時点給与額を計算する。
【0035】
前月控除額取得部102dは、前記派遣スタッフ識別データと前記年月と前記控除額とを含む給与控除データ106cから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月の前の月と紐づく控除額を取得する。
【0036】
前払金額取得部102eは、前記派遣スタッフ識別データと前記前払日と前記前払金額とを含む前払データ106dから、前記入力された派遣スタッフ識別データと紐づき、かつ、前記入力された年月に属する前払日と紐づく前払金額を取得する。
【0037】
前払可能額算出部102fは、現時点給与額計算部102cで計算した現時点給与額から所定の金額を控除した額を、前記派遣スタッフに対して前記前払いをすることが可能な額である前払可能額として算出する。
【0038】
前払可能額算出部102fは、現時点給与額計算部102cで計算した現時点給与額から、前月控除額取得部102dで取得した前月控除額を控除した額を、前記前払可能額として算出してもよい。すなわち、前払可能額算出部102fは、「前記現時点給与額-前記前月控除額」という計算式により前記前払可能額を算出してもよい。
【0039】
前払可能額算出部102fは、現時点給与額計算部102cで計算した現時点給与額から、少なくとも前払金額取得部102eで取得した前払金額を控除した額を、前記前払可能額として算出してもよい。すなわち、前払可能額算出部102fは、「前記現時点給与額-前記前払金額」という計算式または「前記現時点給与額-前記前月控除額-前記前払金額」という計算式により前記前払可能額を算出してもよい。
【0040】
[3.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。本項目では、2020年7月分の勤怠実績に基づいて算出される2020年8月支給の給与について、スタッフコード「1000」の派遣スタッフが前払を希望するという場面を想定して説明をする。また、本項目では、派遣会社における給与支払担当者が、給与前払時過払防止装置100を使用するという場面を想定して説明をする。
【0041】
なお、本項目における説明の前提として、前記派遣スタッフの契約情報を保持する成約ワークデータ106aは、図2に示す内容で予め登録されているものとする。また。前記派遣スタッフの2020年7月分の勤怠実績を保持する勤怠実績データ106bは、前記派遣スタッフ等により図2に示す内容で予め登録されているものとする。そして、前記派遣スタッフの2020年6月分の控除額を保持する給与控除データ106cは、図2に示す内容で予め登録されているものとする。更に、前記派遣スタッフに対して2020年7月に既に支払われた前払金額を保持する前払データ106dは、図2に示す内容で予め登録されているものとする。
【0042】
[3-1.単価情報等取得処理]
まず、単価情報等取得部102aは、スタッフおよび年月をキーとして、その時点でそのスタッフが稼働している契約を、成約ワークデータ106aから取得する。当該取得した契約のイメージが、図3に示す「対象ワーク」のテーブルである。
【0043】
具体的には、図3に示すように、前記給与支払担当者により、スタッフコードとして「1000」が入力され、年月度として「2020/07」が入力されたとする。この場合、単価情報等取得部102aは、図2の成約ワークデータ106aから、前記入力されたスタッフコード「1000」と紐づき、かつ、前記入力された「2020/07」が属する契約期間「2020/7/1~2020/9/30」と紐づく情報として、所定時間8:00および基本単価2500円を取得する。
【0044】
[3-2.勤務日取得処理]
次に、勤務日取得部102bは、現時点で既に稼働している日を勤怠実績データ106bから取得する。具体的には、勤務日取得部102bは、図2の勤怠実績データ106bから、前記入力されたスタッフコード「1000」と紐づき、かつ、前記入力された「2020/07」に属する勤務日として、2020/07/01,02,03,04,05,08,09,10,11,12という10日分の勤務日を取得する。
【0045】
[3-3.現時点給与額計算処理]
次に、現時点給与額計算部102cは、現時点で発生している概算給与額を計算する。具体的には、現時点給与額計算部102cは、単価情報等取得部102aで取得した所定時間8:00および基本単価2500円と、勤務日取得部102bで取得した勤務日の日数10日と、に基づいて、10日×基本単価2500円×所定時間8:00=200,000円と算出する。当該200,000円は、前記派遣スタッフについての2020年7月における現時点(=2020/07/12)までの給与額である。
【0046】
[3-4.前月控除額取得処理]
次に、前月控除額取得部102dは、前月控除された社会保険料や社会保険以外で前月控除された金額を、給与システム(給与控除データ106c)から取得する。具体的には、前月控除額取得部102dは、図2の給与控除データ106cから、前記入力されたスタッフコード「1000」と紐づき、かつ、前記入力された「2020/07」の前の月である「2020/06」と紐づく控除額として、社会保険料である20,000円および控除合計(=社会保険以外の控除額)である65,000円を取得する。
【0047】
[3-5.前払金額取得処理]
次に、前払金額取得部102eは、既に今月前払い済の金額を前払データ106dから取得する。当該取得した前払い済の金額のイメージが、図3に示す「前払履歴」のテーブルである。具体的には、前払金額取得部102eは、前記入力されたスタッフコード「1000」と紐づき、かつ、前記入力された「2020/07」に属する前払日「2020/07/01」と紐づく前払金額として、20,000円を取得する。
【0048】
[3-6.前払可能額算出処理]
最後に、前払可能額算出部102fは、前払可能な残高を算出して表示する。具体的には、前払可能額算出部102fは、現時点給与額計算部102cで計算した200,000円から、前月控除額取得部102dで取得した社会保険料20,000円および控除合計65,000円ならびに前払金額取得部102eで取得した前払金額20,000円を控除することにより、すなわち、計算式でいうと、200,000円-20,000円-65,000円-20,000円という計算をすることにより、95,000円という金額を前払可能な残高として算出する。
【0049】
そして、前記給与支払担当者は、図3に示す「今回前払」のテーブルにおける「前払額」の箇所に、算出された残高95,000円の範囲内で、今回前払する金額を入力する。図3の例では、「前払額」の箇所に40,000円が入力されているが、当該入力された前払額40,000円は、前払可能な残高95,000円以下の金額であるため、問題なく前払いが行われることとなる。そして、図3の「今回前払」のテーブルにおける「残高」の箇所に、前払可能な残高95,000円から前記入力された前払額40,000円を差し引いた残高として、55,000円が表示される。
【0050】
[3-7.まとめ]
以上、[3-1]~[3-6]で説明してきたように、本実施形態に係る給与前払時過払防止装置100によれば、前記派遣スタッフが2020年7月分の勤怠実績に基づいて算出される2020年8月支給の給与の前払いを希望してきた場合に、前記派遣スタッフが現時点(=2020/07/12)までに勤務した日数に基づいて概算給与額を計算し、更に、2020年6月分の控除額および2020年7月に既に前払された給与額を当該概算給与額から控除することで、過払いが発生しないであろう範囲内で前払いを行うことができる。
【0051】
[4.本実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る給与前払時過払防止装置100によれば、派遣スタッフに対して給与を前払いする場合において、前記派遣スタッフが既に稼働した日数に基づいて、前払可能な額を算出することで、給与前払い時の過払いを防止することができる。
【0052】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0053】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0054】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0055】
また、給与前払時過払防止装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0056】
例えば、給与前払時過払防止装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて給与前払時過払防止装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0057】
また、このコンピュータプログラムは、給与前払時過払防止装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0058】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0059】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0060】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0061】
また、給与前払時過払防止装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、給与前払時過払防止装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0062】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、派遣業界等の給与の前払い制度のある業界において有用である。
【符号の説明】
【0064】
100 給与前払時過払防止装置
102 制御部
102a 単価情報等取得部
102b 勤務日取得部
102c 現時点給与額計算部
102d 前月控除額取得部
102e 前払金額取得部
102f 前払可能額算出部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 成約ワークデータ
106b 勤怠実績データ
106c 給与控除データ
106d 前払データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3