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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 7/00 20060101AFI20231018BHJP
   G01D 9/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
G01D7/00 303Z
G01D7/00 301A
G01D7/00 302A
G01D9/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022143589
(22)【出願日】2022-09-09
【審査請求日】2022-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】関澤 信悟
(72)【発明者】
【氏名】前島 英生
(72)【発明者】
【氏名】松田 豊彦
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-32195(JP,A)
【文献】特開2019-100907(JP,A)
【文献】特開2007-192791(JP,A)
【文献】特表2019-537118(JP,A)
【文献】特開2012-184971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00- 9/42
G01B 3/00- 3/56
G01B 5/20- 5/28
G01B 21/20-21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に表示される画像を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記表示部に表示されるモードボタンにより、計測結果の表示方法の異なる複数のモードからいずれかのモードが選択されたとき、前記選択されたモードに対応する表示を前記表示部に行い、
前記複数のモードは、少なくとも、
(i) 目盛りの画像に指針を重ねて表示し、前記指針の指し示す値を表示するダイヤルモードと、
(ii) 少なくとも、計測値と、所定期間内における最大の計測値と、所定期間内における最小の計測値と、を表示する数値モードと、を含み、
前記表示制御部は、前記ダイヤルモードにおいて、ユーザからのレンジ変更指示に基づいて前記表示部に表示される前記目盛りの範囲を変更し、かつ、
前記表示制御部は、前記ダイヤルモードにおいて、前記指針の動いた範囲が分かるように前記表示部に表示させる、表示装置。
【請求項2】
前記複数のモードには、更に、円形構造物の外周計測の結果を示す円測定モードが含まれる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数のモードには、更に、計測値の変化履歴を示すチャートモードが含まれる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数のモードには、更に、計測値および計測値の変化範囲の双方または一方を棒グラフとして示すバーモードが含まれる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記モードに対応する表示を行う第1領域と、操作のためのアイコンを表示する第2領域と、を備え、
前記表示制御部は、(i)前記アイコンが選択されると、前記モードボタンを前記表示部に表示し、(ii)前記モードボタンの表示後、前記ダイヤルモードを選択し、前記アイコンが選択されると、前記モードボタンを前記表示部から消す、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示技術、特に、計測器における画像表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤルゲージなどの計測器は、スピンドル、レバーとよばれる物理的に変位可能なセンサ部材を備える。ダイヤルゲージは、センサ部材の変位量を指針により示す。特許文献1は、スピンドルの変位量を画像として表示可能な計測器を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-185990号公報
【文献】特開平8-61907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
計測結果をデジタル画像で示す場合には、計測目的に応じて適切な表示方法にて計測値を表示することが望ましい。また、レバーゲージの場合には、構造の特性上、計測精度が比較的高い範囲と低い範囲があるため、計測精度の高い範囲にてレバーゲージの変位量を計測することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様における表示装置は、表示部と、表示部に表示される画像を制御する表示制御部と、を備える。
表示制御部は、表示部に表示されるモードボタンにより、計測結果の表示方法の異なる複数のモードからいずれかのモードが選択されたとき、選択されたモードに対応する表示を前記表示部に行う。
複数のモードには、少なくとも、
(i) 目盛りの画像に指針を重ねて表示し、前記指針の指し示す値を表示するダイヤルモードと、
(ii) 少なくとも、計測値と、所定期間内における最大の計測値と、所定期間内における最小の計測値と、とを表示する数値モードと、が含まれる。
【0006】
本発明の別の態様における表示装置は、可変のレバーによる変位量を計測値として表示する表示部と、表示部に表示される画像を制御する表示制御部と、を備える。
レバーには、初期位置とは異なる位置であって、基準の変位量に対応する基準位置を含む所定の計測範囲として有効計測範囲が設定されている。
表示制御部は、有効計測範囲を示すインジケータを表示させるとともに、レバーの現在の変位量が有効計測範囲内にあるか否かを示す。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、計測結果の視認性を向上させやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】レバーゲージの斜視図である。
図2図2(a)は、表示装置の上面図である。図2(b)は、表示装置の正面図である。図2(c)は、表示装置の側面図である。
図3】表示装置の斜視図である。
図4】レバーゲージによる円形構造物の計測方法を示す模式図である。
図5】表示装置の機能ブロック図である。
図6】ダイヤルモード画面の第1画面図である。
図7】ダイヤルモード画面の第2画面図である。
図8】バーモード画面の画面図である。
図9】数値モード画面の画面図である。
図10】チャートモード画面の画面図である。
図11】円測定モード画面の画面図である。
図12】レバーゲージにおけるレバーの可動範囲を説明するための模式図である。
図13】基準位置探索時におけるインジケータの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、レバーゲージ200の斜視図である。
レバーゲージ200は、本体部206と、接続端子204と、変位可能に構成されるレバー202を備える。レバー202は、図1の矢印で示すように、垂直方向に変位可能である。レバーゲージ200は、レバー202の物理的な変位量を計測する計測器である。レバーゲージ200は、接続端子204を介して後述の表示装置100と接続される。レバーゲージ200は、レバー202の変位量を示す電気信号(以下、「変位信号」とよぶ)を生成し、接続端子204から表示装置100に送信する。
【0010】
図2(a)は表示装置100の上面図、図2(b)は表示装置100の正面図、図2(c)は表示装置100の側面図である。図3は、表示装置100の斜視図である。
図2(a)から図2(c)、図3に示すように、XYZ軸を設定した上で説明する。Z軸方向は鉛直方向、X方向およびY方向は水平方向であるとする。
【0011】
表示装置100は、フルカラーLCD(Liquid Crystal Display)としてのモニタ102を搭載する。レバーゲージ200からの変位信号として受信した計測値は、モニタ102に表示される。モニタ102は、図5における表示部110に対応する。また、モニタ102の表面にはタッチパネルが設置されており、ユーザはタッチパネルを介して表示装置100を操作できる。このタッチパネルは、図5における入力部112に対応する。
【0012】
図2(b)に示すように、表示装置100の上辺(第1辺)側にはUSB(Universal Serial Bus)端子108が形成される。表示装置100は、USB端子108によりケーブルを介してレバーゲージ200と接続される。背部106には図示しない二次電池が収納される。
【0013】
表示装置100はBluetooth(登録商標)により外部装置と通信可能である。表示装置100は、マイクロSDカードの挿入口なども備える。表示装置100は、マイクロSDカードに計測値を保存することもできる。また、マイクロSDカードを通してファームウェアの更新等も可能である。表示装置100のボディは樹脂製である。背部106は鉄板を内蔵するため、背部106を磁石に取り付けることもできる。
【0014】
図4は、レバーゲージ200による円形構造物210の計測方法を示す模式図である。
円形構造物210は、計測対象となるワークであり、円柱形状を有する。図4においては、円形構造物210の「真円度」、より具体的には、円形構造物210と真円の差分をレバーゲージ200により計測する。まず、レバーゲージ200のレバー202を円形構造物150の表面に押し当てた状態で、レバーゲージ200を固定する。レバーゲージ200は表示装置100と接続される。円形構造物150は、回転テーブル212に乗せられる。回転テーブル212は一定の回転速度にて回転し、円形構造物150を軸回転させる。
【0015】
円形構造物210の外周が真円形状であれば、レバー202は初期設定位置から動くことはない。しかし、通常、円形構造物210の表面にはわずかな歪みや凹凸があるため、回転中にレバー202はわずかに変位する。このときのレバー202の変位履歴により、円形構造物210の真円度が測定されるが、詳細については後述する。
【0016】
図5は、表示装置100の機能ブロック図である。
表示装置100の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサ(Co-processor)などの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0017】
表示装置100は、ユーザインタフェース処理部114、データ処理部116、通信部118およびデータ格納部120を含む。
ユーザインタフェース処理部114は、ユーザからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。通信部118は、Bluetooth(登録商標)などにより外部装置との通信を担当する。データ処理部116は、ユーザインタフェース処理部114および通信部118により取得されたデータおよびデータ格納部120に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部116は、ユーザインタフェース処理部114、通信部118およびデータ格納部120のインタフェースとしても機能する。データ格納部120は、各種プログラムと設定データを格納する。
【0018】
ユーザインタフェース処理部114は、入力部112および出力部122を含む。
入力部112は、モニタ102上のタッチパネルを介してユーザからの入力を受け付ける。出力部122は、表示部110を含む。表示部110は、各種画像を表示する。
【0019】
データ処理部116は、計測部124と表示制御部126を含む。
計測部124は、レバーゲージ200から受信した変位信号を計測値に変換する。表示制御部126は、画像を生成し、表示部110に表示させる。
【0020】
図6は、ダイヤルモード画面130の第1画面図である。
表示制御部126は、初期状態においてはダイヤルモード画面130をモニタ102に表示させる。ダイヤルモード画面130には、上部領域132、計測領域134および下部領域136を含む。計測領域134は、目盛りを設定されたメータ500を示す画像と、その上に表示される指針162を示す画像により、レバー202の変位量を計測値として表示する。上部領域132および下部領域136は、表示装置100の状態確認および操作のためのアイコン領域138である。メータ500には、レバーの上下の変位量を示す目盛りが含まれる。
【0021】
図6に示すように、ダイヤルモード画面130はZ軸方向を長手方向とする長方形の画像領域として構成される。上部領域132はX軸方向に延伸し、X軸方向に沿って複数のアイコン(拡張ボタン140、バッテリーアイコン142、回転ボタン144、通信状態アイコン146およびメニューボタン148)が配列される。アイコンの一部は「操作ボタン」として機能する。下部領域136も、X軸方向に延伸し、X軸方向に沿って複数のアイコン(保存ボタン150、ホールドボタン152、スタートボタン154およびリセットボタン156)が配列される。
【0022】
計測領域134は、本実施形態においては、略正方形の表示領域として形成される。表示制御部126は、初期設定位置(後述)からのレバー202の変位量を指針162により視覚的に示す。たとえば、レバー202の変位量がKXとなる地点を初期設定位置とした場合において、レバー202の変位量がKXであるときには、指針162はメータ500の中央である「0」に対応する位置に表示される。レバー202の変位量がKXよりも大きいときには指針162は中央よりも右側、KXよりも小さいときには中央よりも左側に表示される。図6においては、指針162は中央よりも左側に表示されているので、レバー202の変位量は初期設定位置KXよりも小さい。
【0023】
レバー202には、計測精度保証できる範囲として「有効計測範囲」が設定される。計測範囲メータ158は、初期設定位置(後述)からの距離を示す指針162の単位を示す。レバーゲージ200のレバー202を円形構造物210に押し当てた状態で、円形構造物210を軸回転させながらユーザは計測値の初期設定位置からの変化を確認する。PP範囲メータ160は、計測値の変化履歴における最低値および最大値の範囲を示す。計測値表示領域164は、現在の計測値、すなわち、初期設定位置からの変位量を数値で示す。レンジボタン166をタッチすることで、メータ500のレンジ(目盛り)を変更できる。
【0024】
上部領域132における拡張ボタン140がタッチされたとき、表示制御部126は拡張領域220を表示させる(後述)。バッテリーアイコン142は、バッテリー残量を表示させる。回転ボタン144がタッチされたとき、表示制御部126は画面の表示方向を変化させる。通信状態アイコン146は、Bluetooth(登録商標)の接続状態を示す。メニューボタン148がタッチされたとき、メニュー画面(不図示)が表示される。
【0025】
下部領域136における保存ボタン150がタッチされると、計測値および設定値などの各種データが保存される。ホールドボタン152は、トグルボタンであり、ホールド状態に設定されるときには計測値の更新が止められる。レバーゲージ200は、一定の時間間隔にて変位信号を表示装置100に送信し、表示制御部126は新たな計測値が取得されるごとに、画面を更新する。スタートボタン154が選択されると、計測値の最大値および最小値をリアルタイム表示させる。リセットボタン156は、計測値をリセットするための操作ボタンである。
【0026】
ダイヤルモード画面130には、更に、インジケータ230が表示される。インジケータ230は、レバー202が有効計測範囲内にあるか、基準位置にどのくらい近いかを視覚的に示す。インジケータ230については、図13以降に関連して詳述する。
【0027】
図7は、ダイヤルモード画面130の第2画面図である。
ダイヤルモード画面130の拡張ボタン140がタッチされたとき、表示制御部126は拡張領域220を表示させる。図7に示すように、拡張領域220は計測領域134と重なるように、いいかえれば、アイコン領域138と重ならないように表示される。このため、拡張領域表示中においても、アイコン領域138における操作性は維持される。拡張領域220は、7つのアイコン(モードボタン222、機器情報ボタン224、カードボタン226、ロックボタン228、計測単位ボタン232、計測表示ボタン234および比較ボタン236)を含む。モードボタン222は、計測値の表示方法であるモードを切り替えるための操作ボタンである。ダイヤルモード以外のモードについては、図8以降に関連して説明する。モードボタン222をタッチするごとに、モードを切り替えることができる。より具体的には、モードボタン222をタッチするごとにモードボタン222のアイコンが変化するとともに、計測領域134における表示態様も変化する。
【0028】
機器情報ボタン224は、表示装置100の設定情報を表示させる。カードボタン226は、マイクロSDカードを取り外すためのボタンである。ロックボタン228は、画面をロックするためのボタンである。画面がロックされると、スタートボタン154およびリセットボタン156が無効化される。
【0029】
計測単位ボタン232は、計測単位を変更する。計測表示ボタン234は、表示対象となる計測値を切り替える。計測値は、具体的には、リアルタイムの計測値を表示する「REAL」、計測期間における最大値を表示する「MAX」、計測期間における最小値を表示する「MIN」、最大値と最小値の幅を示す「PP」のいずれかにより表示される。比較ボタン236は、あらかじめ設定される複数の許容範囲からいずれかを選択する。許容範囲は、計測値として許容される範囲を示す。
【0030】
なお、拡張領域220は計測領域134およびアイコン領域138と重なる位置あるいは大きさにて表示されてもよい。あるいは、ダイヤルモード画面130の拡張ボタン140がタッチされたとき、表示制御部126は計測領域134を拡大して、拡張領域220に含まれる7つのアイコンを拡大された計測領域134に追加表示してもよい。
【0031】
拡張ボタン140がタッチされたとき、上述したようにモードボタン222等を含む拡張領域220が表示される。ここでダイヤルモードを選択したあと、再び拡張ボタン140をタッチすると、表示制御部126はモードボタン222等を含む拡張領域220を非表示とする。
【0032】
図8は、バーモード画面240の画面図である。
ユーザがモードボタン222により「バーモード」を選択したとき、表示制御部126はバーモード画面240を表示させる。ユーザが、ダイヤルモード時において(図7参照)、モードボタン222を1回タッチすると、表示制御部126はダイヤルモードからバーモードに変更する。モードは、ダイヤルモード、バーモード、数値モード、チャートモード、簡易円測定モードの順に、循環的に切りかわる。バーモード画面240は、現在値バー242およびPP値バー244を含む。PP値バー244は、基準位置K1からの変位量をバーチャートとして示す。表示制御部126は、変位量が許容範囲から外れたとき、バーを緑色などの通常色から、赤色などの特定色に変更することで、ユーザに「許容できない変位量が発生していること」を通知する。
【0033】
PP値バー244は、所定の計測期間、たとえば、計測の開始時点から現在時点までの計測値の変化幅を示す。表示制御部126は、変化幅が許容範囲から外れたとき、バーを橙色などの通常色から、赤色などの特定色に変更することでユーザに警告する。
【0034】
拡張ボタン140をタッチすると、拡張領域220が表示される。ダイヤルモード中に拡張ボタン140をタッチすると、拡張領域220にはダイヤルモードであることを示すモードボタン222が表示される。ここでモードボタン222をタッチすると、ダイヤルモードからバーモードに変更される。また、バーモードであることを示すモードボタン222が表示される。バーモードに変更後、ユーザが拡張ボタン140をタッチすると、拡張領域220は非表示となり、図8に示すバーモード画面240が表示される。
【0035】
バーモード中に拡張ボタン140をタッチすると、拡張領域220にはバーモードであることを示すモードボタン222が表示される。ここでモードボタン222をタッチすると、バーモードから数値モードに変更される。また、数値モードであることを示すモードボタン222が表示される。数値モードに変更後、ユーザが拡張ボタン140をタッチすると、拡張領域220は非表示となり、次の図9に示す数値モード画面250が表示される。
数値モード以降の切換方法も同様である。
【0036】
図9は、数値モード画面250の画面図である。
ユーザがモードボタン222により「数値モード」を選択したとき、表示制御部126は数値モード画面250を表示させる。数値モード画面250は、REAL数値領域252、MAX数値領域254、MIN数値領域256およびPP数値領域258を含む。REAL数値領域252は、最新の計測値を表示する。通常、レバーゲージ200は高頻度で最新の計測値に対応する変位信号を送信するため、REAL数値領域252に表示される計測値も高頻度で更新される。MAX数値領域254は、計測期間中における計測値の最大値を示す。MIN数値領域256は、計測期間中における計測値の最小値を示す。PP数値領域258は、計測期間中における計測値の最大値と最小値の幅を示す。表示制御部126は、4つの計測値を白色の数値により示す。計測値が許容範囲から外れたときには、表示制御部126は計測値の表示色を白色から赤色に変更する。このように、数値モードにおいては、計測結果を複数の形式にて示す複数の数値が並べてリスト表示される。
【0037】
図10は、チャートモード画面260の画面図である。
ユーザがモードボタン222により「チャートモード」を選択したとき、表示制御部126はチャートモード画面260を表示させる。チャートモード画面260は、チャート領域262を含む。チャート領域262の横軸は時間、縦軸は計測値(REAL値)を示す。チャート領域262は、計測期間中における計測値の時間変化を示す。また、表示制御部126は、許容範囲を点線264により示す。
【0038】
図11は、円測定モード画面270の画面図である。
ユーザがモードボタン222により「円測定モード」を選択したとき、表示制御部126は円測定モード画面270を表示させる。円測定モード画面270は、円測定領域278を含む。円測定モードにおいては、円形構造物210を回転させたときの円形構造物210の外径の変化を計測することで、円形構造物210と真円の差を測定する。たとえば、回転テーブル212が円形構造物210を60秒で1回転させるとする。この場合、円形構造物210の1秒間あたりの回転角、すなわち、角速度は6(度/秒)となる。
【0039】
レバーゲージ200が1秒間に10回計測可能であるとすれば、表示装置100は円形構造物210が0.6度回転するごとに計測値を取得することになる。表示制御部126が0.6度の回転ごとに得られる計測値を円測定領域278においてプロットすることで、計測円274が得られる。計測円274は、円形構造物210の各計測地点における計測値をつなぎあわせたものである。最小円276および最大円272の幅が許容範囲に対応する。
【0040】
図12は、レバーゲージ200におけるレバー202の可動範囲を説明するための模式図である。
初期状態においては、レバー202の延伸方向とレバーゲージ200の延伸方向は一致する(図1参照)。このときのレバー202の初期位置を「K0」とする。レバー202は、初期位置K0を中心として上下に変位可能である。レバー202の上方向(第2方向)の最大変位位置を「KP」、下方向(第1方向)の最大変位位置を「KQ」とする。すなわち、レバー202は、KP-KQの範囲(以下、「可動範囲」とよぶ)にて変位可能である。
【0041】
可動範囲においては比較的高精度にて計測可能な範囲もあれば、比較的低精度な範囲もある。通常、レバーゲージ200は、上方向においては、初期位置K0と最大変位位置KPの間で計測精度を保証できる有効計測範囲として区間KA-KBがある。区間KA-KBの中心を基準位置K1とする。また、下方向においては、初期位置K0と最大変位位置KQの間にも計測精度を保証できる有効計測範囲として区間KC-KDがある。区間KC-KDの中心を基準位置K2とする。ユーザは、有効計測範囲中の任意の変位位置を初期設定位置とする。本実施形態においては、基準位置K1またはK2を初期設定位置とするものとして説明する。
【0042】
レバー202が基準位置K1(初期位置K0の上側)よりも上方向に変位するとき、上限界位置KAまでは一定以上の計測精度を保証できる。また、レバー202が基準位置K1よりも下方向に変位するとき、下限界位置KBまでは一定以上の計測精度を保証できる。一定以上の計測精度を保証できる範囲としての有効計測範囲は、基準位置K1を含み、かつ、上限界位置KAと下限界位置KBを境界とする。同様にして、基準位置K2を含む有効計測範囲は、上限界位置KCと下限界位置KDを境界とする。このように、レバーゲージ200は初期位置K0の下方向(第2の方向)と上方向(第1の方向)それぞれに2つの有効計測範囲を有する。
【0043】
有効計測範囲はレバーゲージ200の構造によって決まる範囲であるが、ユーザには有効計測範囲、特に、基準位置K1,K2がどこにあるのかがわかりにくい。一般的には、ユーザは、レバー202を初期位置K0から少し変位するようにワークに押し当てた状態でレバーゲージ200を固定し、このときの位置を「初期設定位置」とする。その後、図4に例示したようにワークを動かしながらワーク表面を計測する。初期位置K0から少し変位させた初期設定位置が、有効計測範囲内にあれば高い計測精度を期待できる。一般的には、ユーザはレバー202をワークに押し当てたときに手に伝わる感覚から有効計測範囲、特に、基準位置K1、K2を探って初期設定位置を決めることが多い。しかし、このような初期設定位置の探し方は経験の浅いユーザにとっては非常に難しい。以下においては、基準位置K1またはK2を初期設定位置とする場合を想定して説明する。
【0044】
図13は、基準位置探索時におけるインジケータ230の表示例を示す図である。
インジケータ230は、ボックス280aからボックス280iまで9個のボックス280を含む(図6参照)。中央のボックス280eが基準位置に対応する。ユーザがレバー202を上方向に変位させた場合には、中央のボックス280eが基準位置K1に対応し、ボックス280bは上限界位置KA、280hは下限界位置KBに対応する。したがって、ボックス280bからボックス280hまでが初期位置K0から上側の有効計測範囲に対応する。
【0045】
表示制御部126はインジケータ230に含まれる9個のボックス280のうち、レバー202の位置に対応するボックス280を光らせる。図13においてはボックス280eよりもひとつ左にあるボックス280dが光っている。ユーザはインジケータ230を確認することで、レバー202の現在の変位量が基準位置K1よりもやや上にあることを視覚的に認識できる。ユーザはレバー202の初期設定位置を決めるときには、インジケータ230においてボックス280eが光るようにレバー202の変位量を調整すれば、レバーを基準位置K1付近に初期設定位置を設定できる。なお、初期設定位置は基準位置K1と一致する必要はなく、初期設定位置は少なくとも有効計測範囲内に設定されればよい。上述したように、初期設定位置からのレバー202の変位量が計測対象となる。
【0046】
一方、ユーザがレバー202を下方向に変位させた場合には、中央のボックス280eが基準位置K2に対応し、ボックス280bは上限界位置KC、280hは下限界位置KDに対応する。したがって、ボックス280bからボックス280hまでが下側の有効計測範囲に対応する。下側の有効計測範囲を使う場合であっても、ユーザはボックス280eが光るようにレバー202の変位量を調整した上で、レバーゲージ200の初期設定位置を決めればよい。
【0047】
<総括>
以上、実施形態にもとづいて、レバーゲージ200および表示装置100について説明した。
表示装置100によれば、計測目的に応じて、計測値を多彩なモードにて表示させることができる。たとえば、計測値を数字で確認したいときには数値モード画面250を表示させ、レバー202の変位量を直感的に把握したいときにはダイヤルモード画面130を表示させればよい。また、本実施形態においては、円形構造物210の真円度を簡易に計測できる。一般的には、円形構造物210の外径を計測するときには、計測時点における円形構造物210の回転角をエンコーダで取得し、計測値と回転角を対応づけて記録することが多い。本実施形態においては、円形構造物210を一定速度で回転させ、計測時点における回転角を計測開始から経過した時間により求めることができる。
【0048】
本実施形態における表示装置100によれば、レバーゲージ200の基準位置を視覚的に確認できる。レバーゲージ200の触感に慣れていないユーザであっても、レバーゲージ200によりワークを適切に計測しやすくなる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0050】
<変形例>
本実施形態においては、レバーゲージ200と表示装置100を接続する形態を想定して説明した。このほか、表示装置100にはインジケータゲージなど他の種類の計測器と接続されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
100 表示装置、102 モニタ、106 背部、108 USB端子、110 表示部、112 入力部、114 ユーザインタフェース処理部、116 データ処理部、118 通信部、120 データ格納部、122 出力部、124 計測部、126 表示制御部、130 ダイヤルモード画面、132 上部領域、134 計測領域、136 下部領域、138 アイコン領域、140 拡張ボタン、142 バッテリーアイコン、144 回転ボタン、146 通信状態アイコン、148 メニューボタン、150 保存ボタン、152 ホールドボタン、154 スタートボタン、156 リセットボタン、158 計測範囲メータ、160 PP範囲メータ、162 指針、164 計測値表示領域、166 レンジボタン、200 レバーゲージ、202 レバー、204 接続端子、206 本体部、210 円形構造物、212 回転テーブル、220 拡張領域、222 モードボタン、224 機器情報ボタン、226 カードボタン、228 ロックボタン、230 インジケータ、232 計測単位ボタン、234 計測表示ボタン、236 比較ボタン、240 バーモード画面、242 現在値バー、244 PP値バー、250 数値モード画面、252 REAL数値領域、254 MAX数値領域、256 MIN数値領域、258 PP数値領域、260 チャートモード画面、262 チャート領域、264 点線、270 円測定モード画面、272 最大円、274 計測円、276 最小円、278 円測定領域、280 ボックス、500 メータ
【要約】
【課題】 計測目的に応じた表示方法にて計測値を表示させる。
【解決手段】 表示装置は、表示部と、表示部に表示される画像を制御する表示制御部と、を備える。表示制御部は、表示部に表示されるモードボタンにより、計測結果の表示方法の異なる複数のモードからいずれかのモードが選択されたとき、選択されたモードに対応する表示を前記表示部に行う。複数のモードには、少なくとも、(i) 目盛りの画像に指針を重ねて表示し、前記指針の指し示す値を表示するダイヤルモードと、(ii) 少なくとも、計測値と、所定期間内における最大の計測値と、所定期間内における最小の計測値と、とを表示する数値モードと、が含まれる。
【選択図】図7
図1
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図13