(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】クロマトグラフィー分析システム、クロマトグラムの検出分析方法及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G16C 20/62 20190101AFI20231018BHJP
G01N 30/02 20060101ALI20231018BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20231018BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
G16C20/62
G01N30/02 Z
G01N30/86 Q
G01N33/15 Z
(21)【出願番号】P 2022516419
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 CN2022076808
(87)【国際公開番号】W WO2022179444
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】202110208286.2
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110830533.2
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110830534.7
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522099397
【氏名又は名称】華譜科儀(大連)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACCHROM TECH (DALIAN) TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 102, Floor 1, Front Building, No. 909c, Huangpu Road, High Tech Industrial Park Dalian, Liaoning 116085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 東強
(72)【発明者】
【氏名】冀 禹璋
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104297504(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102193900(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16C 10/00-99/00
G01N 30/02
G01N 30/86
G01N 33/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィー分析機器によって生成された元データを収集するためのデータ収集ユニットと、
ユーザーが設定した分析操作によって前記元データを分析して分析データを取得するための分析処理ユニットと、
前記元データ、前記分析データ、および記憶分析システムの方法パラメータと管理データを記憶するための記憶管理ユニットと、
ユーザーにシステムの対話型インタフェースを提供するためのクライアントユニットと、を含み、
前記記憶管理ユニットは第1のデータベースと第2のデータベースを含み、前記第1のデータベースは前記元データと前記分析データを記憶するために使用され、前記第2のデータベースは分析システムの方法パラメータと管理データを記憶するために使用され、
前記第2のデータベースには標準方法ライブラリ、典型的なアイテムライブラリおよびユーザー方法ライブラリが内蔵され、
前記標準方法ライブラリには様々な漢方薬分析方法が統合され、様々な前記漢方薬分析方法は薬局方における対応する漢方薬の分離要求と含有量分析方法に基づいて確立され、
前記典型的なアイテムライブラリは、クロマトグラフィー分析の分野でよく使用される検出アイテムを記憶するために使用され、前記検出アイテムは対応するアイテムに対応する分析方法およびスペクトログラムデータを含み、
前記ユーザー方法ライブラリは、該分析方法の再利用を容易にするように、ユーザーが確立した分析方法を記憶するために使用される、
ことを特徴とするデュアルデータベース構造に基づくクロマトグラフィー分析システム。
【請求項2】
前記典型的なアイテムライブラリにワンクリック検出型アイテムが記憶され、
前記ワンクリック検出型アイテムに、ユーザーが対話型インタフェースを介して該アイテムを呼び出してワンクリック検出型の分析作業を実行することを容易するように、サンプル配置要求、機器と操作要求、分析方法配置と分析レポートテンプレートが内蔵される、ことを特徴とする請求項
1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項3】
前記記憶管理ユニットには第2のデータベース管理モジュールがさらに含まれ、
前記第2のデータベース管理モジュールは、追加及び削除機能、認証管理機能、アイテムロックとアンロック機能、アイテムオンラインユーザーのチェックインとチェックアウト機能を実現する、ことを特徴とする請求項
1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項4】
インテリジェント診断モジュールを備えるインテリジェント補助ユニットをさらに含み、
前記インテリジェント診断モジュールは、機器故障を自動的に分析および診断し、診断レポートおよび解決策とアドバイスを生成して、ユーザーの故障排除を支援する、ことを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項5】
前記インテリジェント補助ユニットは、インテリジェントクロマトグラフィーエキスパートシステムモジュールをさらに含み、
前記インテリジェントクロマトグラフィーエキスパートシステムモジュールは、ユーザーの方法開発を補助し、方法推奨およびインテリジェント方法マッチング機能を実現するために使用され
、
前記インテリジェントクロマトグラフィーエキスパートシステムモジュールは、
ユーザーが分析方法を確立する場合、設定された方法パラメータをインテリジェント診断およびパラメータ推奨するために使用される方法パラメータのインテリジェント推奨サブモジュールと、
業界で使用されている業界標準資料、国家標準と薬局方方法資料が内蔵され、ユーザーにローカル知識ライブラリクエリ機能を提供するために使用される、アプリケーション知識ライブラリサブモジュールと、
ユーザーが対話型操作をする場合、ユーザーに関連する補助提示をプッシュするために使用される、インテリジェント対話サブモジュールと、
分析結果が不十分な場合、ユーザーにグラジエント最適化の方法アドバイスを提供するために使用される、グラジエント方法最適化サブモジュールと、を含む、
ことを特徴とする請求項
4に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項6】
ユーザーにブラウザページの形態でシステムの対話型インタフェースを提供するために使用される、Webサーバーユニットをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項7】
前記第1のデータベースと第2のデータベースはいずれもクラウドに配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項8】
前記第1のデータベースはMongoDBデータベースシステムを採用し、前記第2のデータベースはMysqlデータベースシステムを採用する、ことを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システム。
【請求項9】
請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システムのスペクトログラムデータを処理する元のスペクトログラムデータ
として取得し、前記元のスペクトログラムデータをノイズ除去処理して、ノイズ除去されたスペクトログラムデータを取得するステップと、
前記元のスペクトログラムデータに基づいてクロマトグラフィー曲線上の各点の曲率を算出し、クロマトグラフィー曲線上の曲率値が、前記元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出と分析によって決定された第1の閾値よりも大きい点を一時的なピーク頂点として決定するステップと、
ガウス波をマッチング波として使用して前記ノイズ除去されたスペクトログラムデータをパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点基準点とするステップと、
各前記一時的なピーク頂点と各前記ピーク頂点基準点をペアで比較し、縦座標値の大きい点をピーク頂点として決定するステップと、
前記ノイズ除去されたスペクトログラムデータに対応するクロマトグラフィー曲線について、該曲線上の各前記ピーク頂点から、それぞれ対応する頂点の両側に向かってポイントごと拡張検出を実行し、検出プロセス中各点の曲率に基づいて対応する頂点に対応するピーク始点とピーク終点を決定するステップと、
各前記ピーク頂点および対応するピーク始点とピーク終点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークを検出されたクロマトグラフィーピークとして、検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成するステップと、を含むことを特徴とするクロマトグラムの検出分析方法。
【請求項10】
前記元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析プロセスは、
クロマトグラフィー機器が無負荷の場合の出力基準線の勾配変化を統計的に分析し、勾配変化の分散を算出して、さらに勾配変化の標準差を決定することと、
プリセットされた倍数の前記勾配変化の標準差を前記第1の閾値とすることと、を含むことを特徴とする請求項
9に記載の検出分析方法。
【請求項11】
前記ポイントごとに拡張検出を実行することは、それぞれのピーク頂点に対して以下の処理を行うステップを含むことを特徴とする請求項
9に記載の検出分析方法。
該ピーク頂点の両側の曲率屈曲点を決定し、
該ピーク頂点の左側の曲率屈曲点を基点として左側に向かってポイントごとに検出を行い、ある点の曲率が第2の閾値よりも小さく該点の前の点の曲率が第2の閾値よりも大きい場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の小さい点を該ピーク頂点に対応するピーク始点として決定し、
該ピーク頂点の右側の曲率屈曲点を基点として右側に向かってポイントごとに検出を行い、ある点の曲率が第3の閾値よりも小さく該点の前の点の曲率が第3の閾値よりも大きい場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の小さい点を該ピーク頂点に対応するピーク終点として決定する。
【請求項12】
前記第2の閾値と第3の閾値はユーザーが入力した値に基づいて設定および決定され、ユーザーの入力がない場合、両者のデフォルト値はゼロになる、ことを特徴とする請求項
11に記載の検出分析方法。
【請求項13】
前記ガウス波をマッチング波として前記ノイズ除去されたスペクトログラムデータをパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点基準点とすることは、
前記ノイズ除去されたスペクトログラムデータに対応するクロマトグラフィー曲線を検出する曲線とし、ガウス波の波形を前記検出する曲線上で左端点から右端点に向かって摺動させると同時に両者の相関係数を算出し、算出結果に基づいて前記検出する曲線のクロマトグラフィーデータのガウス波に対する相関係数グループを取得し、
前記相関係数グループ中の各相関係数と所定の値を比較および分析し、係数値が前記所定の値よりも大きい相関係数に基づいてガウス波ピーク位置を決定し、前記検出する曲線上の該位置の点を前記ピーク頂点基準点として決定する、ことを特徴とする請求項
9に記載の検出分析方法。
【請求項14】
前記検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成することは、
検出されたクロマトグラフィーピークを積分し、クロマトグラフィーピークの面積と高さを算出して決定する、ことを特徴とする請求項
9に記載の検出分析方法。
【請求項15】
前記元のスペクトログラムデータに対して参照クロマトグラム検出アルゴリズムによって検出処理して、参照検出結果を得、
前記検出結果と前記参照検出結果を比較および分析して、検出評価レポートを生成して出力を表示することをさらに含む、ことを特徴とする請求項
14に記載の検出分析方法。
【請求項16】
前記検出結果と前記参照検出結果を比較および分析することは、
前記検出結果および前記参照検出結果中の検出されたクロマトグラフィーピークをマッチングさせ、マッチングしたクロマトグラフィーピークを決定し、マッチングしたクロマトグラフィーピークの検出されたクロマトグラフィーピークでの比率、およびマッチングしたクロマトグラフィーピークの差に基づいて、検出評価レポートを生成することを含む、ことを特徴とする請求項
15に記載の検出分析方法。
【請求項17】
請求項1に記載のクロマトグラフィー分析システムのスペクトログラムデータを処理する元のスペクトログラムデータ
として取得し、
前記元のスペクトログラムデータに対して、プリセットサイズのタイムウィンドウを使用してクロマトグラフィー曲線の始点から順次摺動させて、前記元のスペクトログラムデータ処理が完了するまで、クロマトグラフィーピークの検出処理を行い、曲線中のすべてのクロマトグラフィーピークを検出し、検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成し、ここで、それぞれのクロマトグラフィーピークの検出処理プロセス中、
クロマトグラフィー曲線上の各点の勾配と閾値を比較し、比較結果に基づいてクロマトグラフィーピークの基準点を決定し、ここで、前記基準点はピーク始点基準点、一時的なピーク頂点基準点およびピーク終点基準点を含み、前記閾値は前記元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析によって決定され、
前記基準点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークがクロマトグラフィー曲線上の位置にあり、ガウス波をマッチング波として前記位置の近くのクロマトグラフィー曲線をパターン認識検出して、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点補正点とし、
前記ピーク頂点補正点に基づいて一時的なピーク頂点基準点を補正処理し、補正された点をピーク頂点基準点とし、
前記ピーク始点基準点、前記ピーク終点基準点および前記ピーク頂点基準点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークを検出されたクロマトグラフィーピークとして決定する、ことを含む、ことを特徴とするクロマトグラムの検出分析方法。
【請求項18】
前記クロマトグラフィー曲線上の各点の勾配と閾値を比較して、比較結果に基づいてクロマトグラフィーピークの基準点を決定することは、
タイムウィンドウ摺動プロセス中のクロマトグラフィー曲線上の点の勾配をリアルタイムで算出し、
算出された勾配と所定の第4の閾値を比較し、2つの連続する点の勾配が前記第4の閾値よりも大きい場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の小さい点を前記ピーク始点基準点として決定し、
前記ピーク始点基準点の後の点の勾配の正負変化を解析判断し、1点の勾配が負であり該点の前の点の勾配が正である場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の大きい点を前記一時的なピーク頂点基準点として決定し、
前記一時的なピーク頂点基準点の後の点の勾配と所定の第5の閾値を比較し、2つの連続する点の勾配が前記第5の閾値よりも小さい場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の小さい点をピーク終点基準点として決定することを含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の検出分析方法。
【請求項19】
前記元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析プロセスは、
クロマトグラフィー機器が無負荷の場合の出力基準線の勾配変化を統計的に分析し、勾配変化の分散を算出し決定して、さらに勾配変化の標準差を決定し、
前記勾配変化の標準差の3倍を前記第4の閾値とし、前記勾配変化の標準差のマイナス3倍を前記第5の閾値とすることを含む、ことを特徴とする請求項
18に記載の検出分析方法。
【請求項20】
前記ピーク頂点補正点に基づいて一時的なピーク頂点基準点を補正処理し、補正された点をピーク頂点基準点とすることは、具体的に、
前記ピーク頂点補正点と前記一時的なピーク頂点基準点の縦座標値を比較し、縦座標値の大きい点をピーク頂点基準点として決定する、ことを特徴とする請求項
17に記載の検出分析方法。
【請求項21】
前記ガウス波をマッチング波として前記位置の近くのクロマトグラフィー曲線をパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点補正点とすることは、
前記位置の近くのクロマトグラフィー曲線を検出する曲線として、ガウス波の波形を前記検出する曲線上で左端点から右端点に向かって摺動させると同時に、両者の相関係数を算出し、算出結果に基づいて前記検出する曲線のクロマトグラフィーデータのガウス波に対する相関係数グループを取得し、
前記相関係数グループ中の各相関係数と所定の値を比較分析し、係数値が所定の値よりも大きい相関係数をガウス波ピーク位置として決定し、前記検出する曲線上の該位置での点を前記ピーク頂点補正点として決定することを含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の検出分析方法。
【請求項22】
前記検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成することは、
検出されたクロマトグラフィーピークを積分し、クロマトグラフィーピークの面積と高さを算出し決定することを含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の検出分析方法。
【請求項23】
前記元のスペクトログラムデータに対して参照クロマトグラム検出アルゴリズムを使用して検出処理して、参照検出結果を取得し、
前記検出結果と前記参照検出結果を比較分析し、検出評価レポートを生成して出力を表示することをさらに含む、ことを特徴とする請求項
22に記載の検出分析方法。
【請求項24】
前記検出結果と前記参照検出結果を比較分析することは、
前記検出結果および前記参照検出結果中の検出されたクロマトグラフィーピークをマッチングさせ、マッチングしたクロマトグラフィーピークを決定し、マッチングしたクロマトグラフィーピークの検出されたクロマトグラフィーピーク中の比率、およびマッチングしたクロマトグラフィーピークの差に基づいて、検出評価レポートを生成することを含む、ことを特徴とする請求項
23に記載の検出分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、クロマトグラフィー分析の技術分野に属し、具体的には、クロマトグラフィー分析システム、クロマトグラムの検出分析方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
化学の一分野として、クロマトグラフィーは、主にいくつかの混合物質を分離および精製するために使用される。科学技術の継続的な発展に伴い、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフ、またはイオンクロマトグラフなど、関連する分析機器やデバイスが登場した。これらの機器とデバイスは、分離された物質の種類と状態が異なるだけであり、それらが基づいている原理は、依然としてクロマトグラフィーの理論的基礎である。
【0003】
実際のアプリケーションでは、混合物質の分離後にデータ収集とデータ分析が行われる。クロマトグラフィー分析が適用される一部のシナリオ(医薬品など)では、業界でのデータの審査が必要になり、関連データを分析し、対応するレポートを発行する必要があり、政府部門または対応する規制部門は、データの整合性をチェックする必要がある。クロマトグラフィー分析プロセスにおけるデータ管理の新しい要件が要求されるが、既存のクロマトグラフィーワークステーションシステムはこの要件を満たすことができない。
【0004】
同時に、関連技術のクロマトグラフィー分析では、コンピューターを使用してクロマトグラムの定性および定量分析を実行する必要がある。分析の重要な基礎は、クロマトグラフィーのピークを特定することであり、クロマトグラフィーのピークは複雑で多様であり、オーバーラップピーク、フロントショルダーピーク、バックショルダーピーク、テーリングピーク、ネガティブピークなどがある。
【0005】
現在、クロマトグラフィーピークの検出と同定には、一般的にタイムウィンドウ法と微分法が採用されている。タイムウィンドウ法は、成分の保持時間範囲内の極値を見つけることにより、クロマトグラフィーのピーク位置を取得し、微分法は、元のクロマトグラフィーデータの微分をとることによって一連の極値を取得し、コンポーネントの保持時間範囲に従ってクロマトグラフィーのピーク位置を見つける。
【0006】
タイムウィンドウ法と微分法の実施プロセスでは、振幅閾値を組み合わせて、それが実際のクロマトグラフィーピークであるか否かを判断する必要があるため、閾値を適切に設定するか否かは非常に重要であり、設定が大きすぎると、実際のクロマトグラフィーピークが失われ、クロマトグラフィーコンポーネントの分離能が低下する可能性があり、設定が小さすぎると、ノイズによって形成されたいくつかの小さなピークがクロマトグラフィーピークと見なされ、誤判定につながる。タイムウィンドウ法と微分法はどちらも、クロマトグラフィーのピーク位置を見つけるために成分の保持時間範囲を必要とするため、ピークがこの範囲から外れると、誤ったクロマトグラフィーピークや成分の誤判定の問題が発生する。さらに、一次導関数と二次導関数の組み合わせを使用してクロマトグラフィーピークを見つける方法は、単一のピークに対して比較的高い認識率を示すが、複数のピークが重なっている場合、特にショルダーピークが現れる場合、認識率は大幅に低下する。
【0007】
関連技術では、パターンマッチングに基づいてクロマトグラフィーのピークを特定する方法もある。該方法はピークを特定する際のクロマトグラフィーコンポーネントの保持時間とは関係がなく、ノイズやクロマトグラフのピーク幅と振幅の変化の影響を受けにくいが、該アルゴリズムは相関係数の統計的手法を使用してマッチング波形とクロマトグラフ曲線の類似性を計算するため、相関度の閾値設定が非常に重要であり、パターンマッチング手法の一般性が失われる。
【0008】
上記の内容は、本発明の技術的解決策の理解を助けるためにのみ使用され、上記の内容が先行技術であることを意味するものではない。
【発明の概要】
【0009】
関連技術に存在する問題を少なくともある程度克服するために、本出願は、デュアルデータベース構造に基づくクロマトグラフィー分析システムを提供し、収集された元データを別個のデータベースを使用して記憶および管理し、元の収集データの完全性および安全性を確保し、業界の実際の新しいニーズを満たすことができる。
【0010】
上記の目的を達成するために、本出願は以下の技術的解決策を採用する。
第1の態様では、
本出願によって提供されるデュアルデータベース構造に基づくクロマトグラフィー分析システムは、
クロマトグラフィー分析機器によって生成された元データを収集するためのデータ収集ユニットと、
ユーザーが設定した分析操作によって前記元データを分析して分析データを取得するための分析処理ユニットと、
前記元データ、前記分析データ、および記憶分析システムの方法パラメータと管理データを記憶するための記憶管理ユニットと、
ユーザーにシステムの対話型インタフェースを提供するためのクライアントユニットと、を含み、
前記記憶管理ユニットは第1のデータベースと第2のデータベースを含み、前記第1のデータベースは前記元データと前記分析データを記憶するために使用され、前記第2のデータベースは分析システムの方法パラメータと管理データを記憶するために使用される。
【0011】
選択可能に、前記第2のデータベースには標準方法ライブラリ、典型的なアイテムライブラリおよびユーザー方法ライブラリが内蔵され、
前記標準方法ライブラリには様々な漢方薬分析方法が統合され、様々な前記漢方薬分析方法は薬局方における対応する漢方薬の分離要求と含有量分析方法に基づいて確立され、
前記典型的なアイテムライブラリは、この分野でよく使用される検出アイテムを記憶するために使用され、前記検出アイテムは対応するアイテムに対応する分析方法およびスペクトログラムデータを含み、
前記ユーザー方法ライブラリは、該分析方法の再利用を容易にするように、ユーザーが確立した分析方法を記憶するために使用される。
【0012】
選択可能に、前記典型的なアイテムライブラリにワンクリック検出型アイテムが記憶され、
前記ワンクリック検出型アイテムに、ユーザーが対話型インタフェースを介して該アイテムを呼び出してワンクリック検出型の分析作業を実行することを容易するように、サンプル配置要求、機器と操作要求、分析方法配置と分析レポートテンプレートが内蔵される。
【0013】
選択可能に、前記記憶管理ユニットには第2のデータベース管理モジュールがさらに含まれ、
前記第2のデータベース管理モジュールは、追加及び削除機能、認証管理機能、アイテムロックとアンロック機能、アイテムオンラインユーザーのチェックインとチェックアウト機能を実現する。
【0014】
選択可能に、インテリジェント診断モジュールを備えるインテリジェント補助ユニットをさらに含み、
前記インテリジェント診断モジュールは、機器故障を自動的に分析および診断し、診断レポートおよび解決策とアドバイスを生成して、ユーザーの故障排除を支援する。
【0015】
選択可能に、前記インテリジェント補助ユニットは、インテリジェントクロマトグラフィーエキスパートシステムモジュールをさらに含み、
前記インテリジェントクロマトグラフィーエキスパートシステムモジュールは、ユーザーの方法開発を補助し、方法推奨およびインテリジェント方法マッチング機能を実現するために使用される。
【0016】
選択可能に、前記インテリジェントクロマトグラフィーエキスパートシステムモジュールは、
ユーザーが分析方法を確立する場合、設定された方法パラメータをインテリジェント診断およびパラメータ推奨するために使用される方法パラメータのインテリジェント推奨サブモジュールと、
業界で使用されている業界標準資料、国家標準と薬局方方法資料が内蔵され、ユーザーにローカル知識ライブラリクエリ機能を提供するために使用される、アプリケーション知識ライブラリサブモジュールと、
ユーザーが対話型操作をする場合、ユーザーに関連する補助提示をプッシュするために使用される、インテリジェント対話サブモジュールと、
分析結果が不十分な場合、ユーザーにグラジエント最適化の方法アドバイスを提供するために使用される、グラジエント方法最適化サブモジュールと、を含む。
【0017】
選択可能に、ユーザーにブラウザページの形態でシステムの対話型インタフェースを提供するために使用される、Webサーバーユニットをさらに含む。
【0018】
選択可能に、前記第1のデータベースと第2のデータベースはいずれもクラウドに配置される。
【0019】
選択可能に、前記第1のデータベースはMongoDBデータベースシステムを採用し、前記第2のデータベースはMysqlデータベースシステムを採用する。
【0020】
第2の態様では、
本出願は、クロマトグラムの検出分析方法を提供し、該方法は、
処理する元のスペクトログラムデータを取得し、前記元のスペクトログラムデータをノイズ除去処理して、ノイズ除去されたスペクトログラムデータを取得するステップと、
前記元のスペクトログラムデータに基づいてクロマトグラフィー曲線上の各点の曲率を算出し、クロマトグラフィー曲線上の曲率値が、前記元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出と分析によって決定された第1の閾値よりも大きい点を一時的なピーク頂点として決定するステップと、
ガウス波をマッチング波として使用して前記ノイズ除去されたスペクトログラムデータをパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点基準点とするステップと、
各前記一時的なピーク頂点と各前記ピーク頂点基準点をペアで比較し、縦座標値の大きい点をピーク頂点として決定するステップと、
前記ノイズ除去されたスペクトログラムデータに対応するクロマトグラフィー曲線について、該曲線上の各前記ピーク頂点から、それぞれ対応する頂点の両側に向かってポイントごと拡張検出を実行し、検出プロセス中各点の曲率に基づいて対応する頂点に対応するピーク始点とピーク終点を決定するステップと、
各前記ピーク頂点および対応するピーク始点とピーク終点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークを検出されたクロマトグラフィーピークとして、検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成するステップと、を含む。
【0021】
選択可能に、前記元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析プロセスは、
クロマトグラフィー機器が無負荷の場合の出力基準線の勾配変化を統計的に分析し、勾配変化の分散を算出して、さらに勾配変化の標準差を決定することと、
プリセットされた倍数の前記勾配変化の標準差を前記第1の閾値とすることと、を含む。
【0022】
選択可能に、前記ポイントごとに拡張検出を実行することは、それぞれのピーク頂点に対して以下の処理を行うステップを含む:
該ピーク頂点の両側の曲率屈曲点を決定し、
該ピーク頂点の左側の曲率屈曲点を基点として左側に向かってポイントごとに検出を行い、ある点の曲率が第2の閾値よりも小さく該点の前の点の曲率が第2の閾値よりも大きい場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の小さい点を該ピーク頂点に対応するピーク始点として決定し、
該ピーク頂点の右側の曲率屈曲点を基点として右側に向かってポイントごとに検出を行い、ある点の曲率が第3の閾値よりも小さく該点の前の点の曲率が第3の閾値よりも大きい場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の小さい点を該ピーク頂点に対応するピーク終点として決定する。
【0023】
選択可能に、前記第2の閾値と第3の閾値はユーザーが入力した値に基づいて設定および決定され、ユーザーの入力がない場合、両者のデフォルト値はゼロになる。
【0024】
選択可能に、前記ガウス波をマッチング波として前記ノイズ除去されたスペクトログラムデータをパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点基準点とすることは、
前記ノイズ除去されたスペクトログラムデータに対応するクロマトグラフィー曲線を検出する曲線とし、ガウス波の波形を前記検出する曲線上で左端点から右端点に向かって摺動させると同時に両者の相関係数を算出し、算出結果に基づいて前記検出する曲線のクロマトグラフィーデータのガウス波に対する相関係数グループを取得し、
前記相関係数グループ中の各相関係数と所定の値を比較および分析し、係数値が前記所定の値よりも大きい相関係数に基づいてガウス波ピーク位置を決定し、前記検出する曲線上の該位置の点を前記ピーク頂点基準点として決定する。
【0025】
選択可能に、前記検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成することは、
検出されたクロマトグラフィーピークを積分し、クロマトグラフィーピークの面積と高さを算出して決定することを含む。
【0026】
選択可能に、前記元のスペクトログラムデータに対して参照クロマトグラム検出アルゴリズムによって検出処理して、参照検出結果を得、
前記検出結果と前記参照検出結果を比較および分析して、検出評価レポートを生成して出力を表示することをさらに含む。
【0027】
選択可能に、前記検出結果と前記参照検出結果を比較および分析することは、
前記検出結果および前記参照検出結果中の検出されたクロマトグラフィーピークをマッチングさせ、マッチングしたクロマトグラフィーピークを決定し、マッチングしたクロマトグラフィーピークの検出されたクロマトグラフィーピークでの比率、およびマッチングしたクロマトグラフィーピークの差に基づいて、検出評価レポートを生成することを含む。
【0028】
第3の態様では、
本出願はクロマトグラムの検出分析方法を提供し、該方法は、
処理する元のスペクトログラムデータを取得し、
前記元のスペクトログラムデータに対して、プリセットサイズのタイムウィンドウを使用してクロマトグラフィー曲線の始点から順次摺動させて、前記元のスペクトログラムデータ処理が完了するまで、クロマトグラフィーピークの検出処理を行い、曲線中のすべてのクロマトグラフィーピークを検出し、検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成する。ここで、それぞれのクロマトグラフィーピークの検出処理プロセス中、
クロマトグラフィー曲線上の各点の勾配と閾値を比較し、比較結果に基づいてクロマトグラフィーピークの基準点を決定する。ここで、前記基準点はピーク始点基準点、一時的なピーク頂点基準点およびピーク終点基準点を含み、前記閾値は前記元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析によって決定され、
前記基準点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークがクロマトグラフィー曲線上の位置にあり、ガウス波をマッチング波として前記位置の近くのクロマトグラフィー曲線をパターン認識検出して、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点補正点とし、
前記ピーク頂点補正点に基づいて一時的なピーク頂点基準点を補正処理し、補正された点をピーク頂点基準点とし、
前記ピーク始点基準点、前記ピーク終点基準点および前記ピーク頂点基準点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークを検出されたクロマトグラフィーピークとして決定する、ことを含む。
【0029】
選択可能に、前記クロマトグラフィー曲線上の各点の勾配と閾値を比較して、比較結果に基づいてクロマトグラフィーピークの基準点を決定することは、
タイムウィンドウ摺動プロセス中のクロマトグラフィー曲線上の点の勾配をリアルタイムで算出し、
算出された勾配と所定の第4の閾値を比較し、2つの連続する点の勾配が前記第4の閾値よりも大きい場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の小さい点を前記ピーク始点基準点として決定し、
前記ピーク始点基準点の後の点の勾配の正負変化を解析判断し、1点の勾配が負であり該点の前の点の勾配が正である場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の大きい点を前記一時的なピーク頂点基準点として決定し、
前記一時的なピーク頂点基準点の後の点の勾配と所定の第5の閾値を比較し、2つの連続する点の勾配が前記第5の閾値よりも小さい場合、該両点の縦座標値を比較し、縦座標値の小さい点をピーク終点基準点として決定することを含む。
【0030】
選択可能に、前記元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析プロセスは、
クロマトグラフィー機器が無負荷の場合の出力基準線の勾配変化を統計的に分析し、勾配変化の分散を算出し決定して、さらに勾配変化の標準差を決定し、
前記勾配変化の標準差の3倍を前記第4の閾値とし、前記勾配変化の標準差のマイナス3倍を前記第5の閾値とすることを含む。
【0031】
選択可能に、前記ピーク頂点補正点に基づいて一時的なピーク頂点基準点を補正処理し、補正された点をピーク頂点基準点とする。
具体的には、前記ピーク頂点補正点と前記一時的なピーク頂点基準点の縦座標値を比較し、縦座標値の大きい点をピーク頂点基準点として決定する。
【0032】
選択可能に、前記ガウス波をマッチング波として前記位置の近くのクロマトグラフィー曲線をパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点補正点とすることは、
前記位置の近くのクロマトグラフィー曲線を検出する曲線として、ガウス波の波形を前記検出する曲線上で左端点から右端点に向かって摺動させると同時に、両者の相関係数を算出し、算出結果に基づいて前記検出する曲線のクロマトグラフィーデータのガウス波に対する相関係数グループを取得し、
前記相関係数グループ中の各相関係数と所定の値を比較分析し、係数値が所定の値よりも大きい相関係数をガウス波ピーク位置として決定し、前記検出する曲線上の該位置での点を前記ピーク頂点補正点として決定することを含む。
【0033】
選択可能に、前記検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成することは、
検出されたクロマトグラフィーピークを積分し、クロマトグラフィーピークの面積と高さを算出し決定することを含む。
【0034】
選択可能に、前記元のスペクトログラムデータに対して参照クロマトグラム検出アルゴリズムを使用して検出処理して、参照検出結果を取得し、
前記検出結果と前記参照検出結果を比較分析し、検出評価レポートを生成して出力を表示することをさらに含む。
【0035】
選択可能に、前記検出結果と前記参照検出結果を比較分析することは、
前記検出結果および前記参照検出結果中の検出されたクロマトグラフィーピークをマッチングさせ、マッチングしたクロマトグラフィーピークを決定し、マッチングしたクロマトグラフィーピークの検出されたクロマトグラフィーピーク中の比率、およびマッチングしたクロマトグラフィーピークの差に基づいて、検出評価レポートを生成することを含む。
【0036】
第4の態様では、
本出願は、実行可能なプログラムが記憶されているメモリと、
前記メモリ中の前記実行可能なプログラムを実行して、前記方法のステップを実現するプロセッサと、を備えることを特徴とする電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0037】
本出願は、以上の技術的解決策を採用して、少なくとも以下の有益な効果を有する。
クロマトグラフィー分析システムでは、デュアルデータベース構造により、収集された元データを別個のデータベースで記憶および管理し、元の収集データの完全性と安全性を確保し、業界の実際の新しいニーズ(例えば、電子承認およびデータ安全などの要件)を満たすことができる。パターンマッチングに基づいて、クロマトグラフィー曲線の曲率を組み合わせて実際に液体と気体クロマトグラムを具体的に検出し、全体的に検出信頼性を向上させる。この方法では、曲率検出方法中の閾値は機器自身の信号に基づいて自動的に算出されて決定され、パターンマッチングによって検出されたピーク特徴点は、基準点として曲率に基づいて検出されたピーク特徴点を補正することにのみ使用され、これは同時に従来技術における2つの方法の欠点も補足する。
【0038】
本発明の他の利点、目的、および特徴は、ある程度、以下の明細書で説明され、そして以下の研究に基づいて当業者にとって自明なことであり、または本発明の実施によって教示され得る。本発明の目的および他の利点は、以下の明細書、特許請求の範囲、および図面において特に指摘された構造によって実現および達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
添付の図面は、本出願の技術的解決策または従来技術のさらなる理解のために使用され、明細書の一部を構成する。ここで、本出願の実施例を示す図面は本出願の実施例とともに本出願の技術的解決策の解釈に使用されるが、本出願の技術的解決策を限定するものではない。
【
図1】本出願の一実施例によって提供されるデュアルデータベース構造のクロマトグラフィー分析システムの構造概略図である。
【
図2】本出願の一実施例によって提供されるデュアルデータベース構造のクロマトグラフィー分析システムの応用概略図である。
【
図3】本出願の一実施例におけるワンクリック検出と従来の検出のフローの比較説明の概略図である。
【
図4】本出願の一実施例におけるワンクリック検出の対話型インタフェースの概略説明図である。
【
図5】本出願の一実施例における第2のデータベース管理モジュールの機能の実現の説明概略図である。
【
図6】本出願の一実施例におけるインテリジェント診断モジュールの機能の実現の説明概略図である。
【
図7】本出願の一実施例によって提供されるクロマトグラムの検出分析方法のフローの概略説明図である。
【
図8】本出願の一実施例によって提供されるクロマトグラムの検出分析方法の別のフローの概略説明図である。
【
図9】
図8に示す実施例におけるあるクロマトグラフィーピーク検出のフローの概略説明図である。
【
図10】本出願の一実施例における異なる検出結果間でのクロマトグラフィーピークマッチング実現フローの概略説明図である。
【
図11】本出願の一実施例における検出評価レポートの表示および出力の実現フローの概略説明図である。
【
図12】本出願の一実施例によって提供される電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本出願の目的、技術的解決策および利点をより明らかにするために、以下、本出願の技術的解決策を詳細に説明する。説明される実施例は本出願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないのは言うまでもない。本出願の実施例に基づいて、創造的な労働をすることなく当業者によって得られた他の実施形態は、すべて本出願の保護範囲に含まれる。
【実施例1】
【0041】
クロマトグラフィーの発展過程で、分析機器の発展に伴い、サポートソフトウェアは常に更新されてきた。ここでのサポートソフトウェアは、一般にクロマトグラフィーワークステーションと呼ばれ、クロマトグラフィーワークステーションは、ホスト機器に相当し、下位機器(液体クロマトグラフィーシステム装置など)を制御する一方、下位機器によって収集されたクロマトグラフィーデータを分析処理して、測定するサンプルの分析を達成する。
【0042】
最初のクロマトグラフワークステーションは、スタンドアロンワークステーション(コンピューターにインストールされた、機器の制御専用のワークステーション、専用コンピューターと同等)であり、その後、ネットワークバージョンのワークステーションが開発され、ローカルエリアネットワークで使用された機器は複数の収集サーバーに接続され、1台の収集サーバーは単一の機器または複数の機器に接続され、データを収集し、クライアントを使用して機器の収集制御および分析処理操作を達成する。
【0043】
スタンドアロンソフトウェアシステムでは、アイテムに関連するファイルとデータは通常、フォルダの形式で保存され、ユーザーはそれらを直接削除でき、データの安全性および完全性にリスクがある。データベースを使用する既存のワークステーションは単一のデータベースシステムを使用し、関係者はシステムパラメータデータをデータベースに保存し、収集された元データについて、依然としてファイルの形式で記憶する。つまり、データの安全性と完全性にはまだリスクがある。
【0044】
背景技術で説明したように、業界関連の実務家やレビュー担当者がデータのセキュリティにますます注意を払うにつれて、既存のクロマトグラフィーワークステーションシステムのデータ管理の問題がますます顕著になっている。これを考慮して、本出願はデュアルデータベース構造に基づくクロマトグラフィー分析システムを提出する。
【0045】
一実施例では、
図1に示すように、該デュアルデータベース構造に基づくクロマトグラフィー分析システムは、
クロマトグラフィー分析機器によって生成された元データを収集するためのデータ収集ユニットと、
ユーザーが設定した分析操作によって前記元データを分析して分析データを取得するための分析処理ユニットと、
前記元データ、前記分析データ、および記憶分析システムの方法パラメータと管理データを記憶するための記憶管理ユニットと、を含み、
図1に示すように、ここでの記憶管理ユニットは第1のデータベースと第2のデータベースを含み、第1のデータベースは元データと分析データを記憶するために使用され、第2のデータベースは分析システムの方法パラメータおよび管理データを記憶するために使用され、システムは、ユーザーにシステムの対話型インタフェースを提供するために使用されるクライアントユニットをさらに含む。
【0046】
本出願の技術的解決策として、クロマトグラフィー分析システムでは、デュアルデータベース構造により、収集された元データを別個のデータベースで記憶および管理し、元の収集データの完全性と安全性を確保し、業界の実際の新しいニーズを満たすことができる。
【0047】
さらに、具体的な実施形態として、システムは、ユーザーにブラウザページの形態でシステムの対話型インタフェースを提供するために使用されるWebサーバーユニットをさらに含む。つまり、該実施形態では、BS構造に基づいて関連ネットワーク技術を使用して、リモート送信および処理の問題を解決し、クロマトグラフィー分析システムのリモート制御および応用を実現する。
【0048】
具体的な実施形態として、データベースはローカルに配置され、具体的には、第1のデータベースはMongoDBデータベースシステムを採用し、第2のデータベースはMysqlデータベースシステムを採用する。別の具体的な実施形態では、第1のデータベースと第2のデータベースはいずれもクラウドに配置される。クラウド技術は、ローカルデータベースよりも、関連データの記憶、バックアップおよび共有をより適切に実現することができる。
【0049】
例えば、
図2は実施例のクロマトグラフィー分析システムの応用概略図である。
【0050】
図2に示すように、それぞれの収集ワークステーションに複数のクロマトグラフィー分析機器(図のS3-1、S6-1など)が接続される。図中の収集ワークステーションは2つに限定されず、収集サーバーの数は接続された機器の数に関連し、接続されている機器が多いほど、必要な収集ワークステーションも多くなる(例えば、1台の収集ワークステーションに最大4つの液体クロマトグラフィーシステムが接続され得、システム全体で設計されたワークステーションが20以上である場合、サポートできる液体クロマトグラフィーシステムは200以上に達する)。
【0051】
図2では、データセンター、クライアントはシステム中のソフトウェア機能エンティティであり、対応するコンピューティングデバイスに配置され得る。データフローの観点から、クライアントは収集指令を発行し、データセンターの収集サービスが実行され、収集ワークステーションを制御して機器の元のデータを収集し、収集された機器運転の元のデータを収集データサーバー(第1のデータベースが内蔵)とシステムデータベースサーバー(第2のデータベースが内蔵)にそれぞれ記憶する。
【0052】
収集が完了した後、分析作業が実行され、クライアントは分析指令を発行し、データセンターの分析サービスが実行され、データベースにアクセスして、分析アルゴリズムに基づいて、分析サービスを実行し、得られた分析データを第1のデータベースに記憶する。
【0053】
図2では、収集データサーバーに配置されたMongoDBデータベースシステムは主に処理元データおよびデータ分析結果に関するデータを記憶しているが、システムデータベースサーバーに配置されたMysqlデータベースシステムは主に処理管理データおよび方法パラメータのデータを記憶し、両方のデータは同期しないが、関連している。MongoDBは非リレーショナルデータデータベースであり、元データの記憶にこのデータベースを使用すれば、従来のリレーションナルデータベースが大量のデータを処理する場合クエリが遅くなり、高頻度の読み取りと書き込み効率が低下するという問題を解決し、MySQLはリレーションナルデータベースであり、方法パラメータとデータ管理パラメータを記憶する場合、データ冗長性とデータ不整合の確率を大幅に削減し、データの完全性を確保する。
【0054】
本出願の技術的解決策は、市販されている既存の単一のデータベースシステムに基づいて、データベースシステムを追加することと同等であり、その目的は、従来単一データベースが方法パラメータ/管理データのみを記憶する欠点を補うことである。
【0055】
図2に示すように、
図2に示す実施例では、かかるウェブぺージアクセスサービスを提供し、ブラウザ端末を使用してシステム管理/データクエリ/レポート/署名などの機能を実現するために使用されるWebサーバーをさらに含む。
【0056】
他方、業界の発展に伴い、クロマトグラフィーソフトウェアシステムの操作管理機能、相互作用のしやすさ、インテリジェンスに対して新しい要求も提唱されている。これを考慮して、本出願の技術的解決策は、デュアルデータベース構造に基づくクロマトグラフィー分析システムについても改善する。
【0057】
まず、使用の利便性、一般性を考慮する。分析検出作業の困難点は分析方法の確立であり、安定した分析方法が確立された後、検出作業は繰り返し検出のプロセス作業になる。同時に、ある分野、例えば、第三者の検出機関、QC実験室などでは、その研究開発が少なく、薬局方、国家標準に準じて検出することが多く、その分析検出作業は基本的に繰り返し作業である。ここでの繰り返し作業は主に、セット手順、実行方法、データ処理、およびレポート要件がすべて同じであることを示し、サンプルの異なるバッチを検出すればよい。
【0058】
一実施例では、クロマトグラフィー分析システムの利便性、一般性を向上させるために、本出願はシステムに典型的な方法ライブラリ(ここでの典型的な方法ライブラリは、分析方法の次元から考慮したものである)が内蔵されている。
【0059】
本出願の第2のデータベースは分析システムの方法パラメータおよび管理データを記憶し、該実施例では、具体的には、第2のデータベースに標準方法ライブラリ、典型的なアイテムライブラリおよびユーザー方法ライブラリが内蔵されている(分析方法の次元から見ていずれも典型的な方法ライブラリに属する)。
【0060】
漢方薬は中華民族の貴重な財宝であり、その分離および分析は常に研究の焦点であり困難な点であった。漢方薬に関する分析方法の確立根拠は薬局方である。これを考慮して、本実施例では、標準方法ライブラリに様々な漢方薬分析方法が統合され、様々な漢方薬分析方法は薬局方の対応する漢方薬の分離要求および含有量の分析方法に基づいて確立される。標準方法ライブラリには食品や医薬品、環境などの分野の分析方法が統合され得ることは容易に理解できる。
【0061】
ユーザー方法ライブラリは、従来のソフトウェア機能と同様に、ユーザーが確立した分析方法、および方法に関するデータを、該分析方法の再利用を容易にするように記憶する。
【0062】
典型的なアイテムライブラリは、主に分野内でよく使用されている検出アイテムのために設置され、分野内でよく使用されている検出アイテムを記憶するために使用され、これらの検出アイテムは対応するアイテムに対応する分析方法とスペクトログラムデータを含む。典型的なアイテムライブラリの具体的な構成は、顧客自身のニーズに応じて配置されることは容易に理解できる。実際には、カスタマイズ方法を使用して、顧客に関するデータを該データベースにパッケージ化できる。
【0063】
さらに、従来技術と同様に、該実施例では、第2のデータベースはサンプル純度の分析および検出を実現するスペクトルライブラリを含む。
【0064】
さらに、具体的な実施形態として、典型的なアイテムライブラリにはワンクリック検出型アイテムがさらに記憶され、ワンクリック検出型アイテムにサンプル配置要求、機器と操作要求、分析方法配置と分析レポートテンプレートが内蔵され、ユーザーが対話型インタフェースを介して該アイテムを呼び出してワンクリック検出型の分析作業を実行する。
【0065】
以下、ワンクリック検出の実現方法を説明する。
ワンクリック検出型アイテムは、2つの方法によって実現される。1つの方法は、薬局方方法、業界標準検出方法、国家標準検出方法などを関連アイテムに組み込んで、アイテムを取得する。例えば、薬局方の方法に従って大量の実験を実行して、サンプル配置要求、機器と操作要求、分析方法配置(分析方法、手順、処理方法)、分析レポートテンプレートなどの相関情報を取得し、これらの情報を統合的にパッケージ化して必要なアイテムを取得するか、顧客のニーズに応じてマッチングしたアイテムを確立し、顧客自身のニーズから、ワンクリック検出型のカスタマイズアイテムを構築する。
【0066】
実際の応用操作中、ワンクリック検出型アイテムを呼び出して、ワンクリック検出を実現できる。従来の検出と比較すると、ユーザー側から見て、開発方法、分析データ、レポート発行作業の一部を省略できる。具体的な省略部分は
図3に示すように、
図3の上側に示すフローの暗いプロセスステップはユーザーにとって省略されているのと同じである。
【0067】
図4に示すように、これは、実施例のワンクリック検出の対話操作インタフェースの概略図である。実際の操作では、操作者は
図4に示すインタフェースに、アイテムを選択し、実行するアイテムを呼び出す。サンプルの配置提示に従って、サンプルディスクマークに従ってサンプルを配置し、つまり、標準サンプルのマークがある箇所に標準サンプルを配置し、不明なサンプルのマークがある箇所に不明なサンプルを設定した後、検出開始をクリックすると、システムは自動的にサンプルを検出し、指定フォーマットの検出レポートを生成し発行する。
【0068】
第2のデータベースの管理配置を容易にするために、記憶管理ユニットに第2のデータベース管理モジュールがさらに含まれる。第2のデータベース管理モジュールは、追加および削除機能、認証管理機能、アイテムロックおよびアンロック機能、アイテムオンラインユーザーのチェックインとチェックアウト機能を実現するために使用される。
【0069】
具体的には、第2のデータベース管理モジュール中の追加機能は主に、最初のソフトウェアインストール期間中に、ソフトウェアインストールエンジニアがユーザーのニーズに応じて必要な方法をデータベースに追加し、
認証管理機能は主に、権限の割り当て、つまり、データベース内のメソッドを呼び出すことができるユーザーまたはユーザーグループ、許可されたユーザーがデータベースに対して実行できる操作などが含まれ、
アイテムロック及びアンロック機能は、ロックとアンロックがいずれも検出アイテム用であり、例えば、該機能を使用し、ユーザーaおよびユーザーグループAに対して、アイテムXをロック状態に設定すると、ユーザーaおよびユーザーグループAのアイテムXの操作権限が変更され、ユーザーグループAおよびユーザーaは表示権限のみを有し、修正、データ処理などの権限を有しておらず、ユーザーbおよびユーザーグループBに対して、アイテムXをアンロック状態に設定すると、ユーザーbおよびユーザーグループBは該アンロックアイテムを表示するか、データ処理することもでき、
削除機能は主に、データベース中の分析方法および検出アイテムの削除操作を実現するために使用され、
アイテムオンラインユーザーのチェックインとチェックアウト機能は、ユーザーのオンライン数を制限し、単一のユーザーがオンラインで検出アイテムをデータ収集操作、データ処理などの操作を実行できるように確保し、複数人の操作によるデータの混乱を回避する。
【0070】
例えば、
図5に示すように、これは、第2のデータベース管理モジュールの各具体的なライブラリの機能の実現を説明する概略図である。
【0071】
次に、相互作用のしやすさとインテリジェント性の点から見て、従来のクロマトグラフィーソフトウェアシステムは、ある程度のインテリジェント補助機能、例えば、ファイル検索、故障通知などを有するが、使用者は機器の具体的なデータに応じて判断する必要がある。実際の使用中、機器に不慣れな使用者にとっては、困難である。そして、従来のクロマトグラフィーソフトウェアシステムは方法の確立および最適化方法のインテリジェント化の点で十分でなく、使用者を次の作業、例えば、パラメータの最適化、方法の最適化や分離作業に導くことが困難である。
【0072】
これを考慮して、本出願のクロマトグラフィー分析システムは、インテリジェント補助ユニットをさらに含む。インテリジェント補助ユニットはインテリジェント診断モジュールを含み、インテリジェント診断モジュールは、機器故障を自動的に分析および診断し、診断レポートおよび解決策アドバイスを生成して、ユーザーの故障排除を支援するために使用される。
【0073】
ここでのインテリジェント診断は主に、機器ハードウェアまたは機器使用プロセス中の故障の自動検出を指す。機器の使用プロセス中、使用者は機器のインジケーターを監視して、機器の状態に問題がないことを確認し、安定した機器の状態を保証する必要がある。しかしながら、多くの場合、解決する必要がある問題がいくつかあり、ソフトウェアに関しては、例えば、機器に接続できず、機器性能に関しては、例えば、カラム圧が高すぎ、カラム温度ボックスが大きく変動し、初期データをゼロにするのが困難であり、消耗品に関しては、例えば、ランプエネルギーが低すぎるなどが含まれる。インテリジェント診断により、ソフトウェアシステムは関連する問題を自動的に分析および診断し、分析後に解決策を提供する。操作者は提示に従って操作すればよく、ユーザーができるだけ早く問題を解決できるように支援する。
【0074】
例えば、インテリジェント診断はワンクリック診断操作であり得る。具体的な操作は以下の通りである:関連権限を有するユーザーおよびユーザーグループは、インタフェースにログインし、通常の方法設定の後、インテリジェント診断システムをクリックしてワンクリックインテリジェント診断操作を実行する。
【0075】
具体的には、ワンクリック診断操作は主に、ソフトウェアにより機器ハードウェアを制御するプロセス中、データを収集してフィードバックすることで判断することによって実現される。例えば、機器内部のパラメータを収集してフィードバックし、システムはフィードバックされたデータに基づいて判断し、最終的に診断結果を提供する。実現プロセス中、まずシステムは機器接続状態を内部でチェックし、各モジュールの運転状態を読み取って、接続状態が正常であるか否かを判断し、検出が正常であれば、指定の分析方法に従って運転を継続し、次に、パラメータを判断し、システムは機器の状態を自動的に検出して、状態パラメータが基準を満たしているか否かを判断し、基準を満たしていれれば、パラメータを良好パラメータに分類し、システムによって検出されたパラメータが不良であれば、該パラメータを不良パラメータに分類し、最終的に良好パラメータと不良パラメータをまとめ、診断レポートと診断ログを生成する。該プロセスは
図6に示される。
【0076】
本出願中のインテリジェント補助ユニットは、インテリジェントクロマトグラフィーエキスパートシステムモジュールを含み、インテリジェントクロマトグラフィーエキスパートシステムモジュールは、ユーザーの方法開発を補助し、方法推奨およびインテリジェント方法マッチング機能を実現する。ここでのクロマトグラフィーエキスパートシステムとは方法開発「コンサルタント」を指す。
【0077】
具体的には、インテリジェントクロマトグラフィーエキスパートシステムモジュールは、
ユーザーが分析方法を確立する場合、設定された方法パラメータをインテリジェント診断およびパラメータ推奨するために使用される方法パラメータのインテリジェント推奨サブモジュールと、業界内で使用される業界標準資料、国家標準と薬局方方法資料が内蔵され、ユーザーにローカル知識ライブラリクエリ機能を提供するために使用されるアプリケーション知識ライブラリサブモジュールと、ユーザーが対話型操作をする場合、ユーザーに関連補助提示をプッシュするために使用されるインテリジェント対話サブモジュールと、分析結果が不十分な場合、ユーザーにグラジエント最適化の方法アドバイスを提供するために使用されるグラジエント方法最適化サブモジュールと、を含む。以下比較することで簡単に説明する:
A、方法パラメータのインテリジェント推奨とは、ユーザーが分析方法を確立する場合、設定された方法に対して、システムが設定に応じて一定の提示をすることを指す。具体的には、実際にユーザーが方法パラメータを設定した後、システムは機器システム配置、移動相およびクロマトグラフィーカラムなどの情報を取得し、顧客が設定した方法パラメータをインテリジェント診断およびパラメータ推奨し、高度なパラメータの設定を導き、不合理なパラメータ設定を表示して、顧客の誤操作を回避し、作業効率および精度を向上させ、運営コストを削減する目的を達成する。
【0078】
例えば、ユーザーがまず機器システムを選択し、次に、方法設定インタフェースに移行し、通常の方法設定の後、ワンクリックによって方法パラメータのインテリジェント推奨インタフェースに移行し、ユーザーが自分のニーズに応じて必要な診断および推奨機能を選択し、機能が選択されると、システムは各診断機能に従ってパラメータを推奨し、推奨および診断結果を表示する。
【0079】
B、アプリケーション知識ライブラリサブモジュールは、Off-lineアプリケーション知識ライブラリ(ローカル知識ライブラリ)を含む。実際には、操作者の検出分析作業のプロセス中資料参照の必要があり、アプリケーション知識ライブラリは薬局方、国家標準方法、ソフトウェア使用ヘルプファイル、ソフトウェア操作ビデオファイル、実験常識などに対して知識ライブラリライブラリを構築し、外部ネットワークがない場合、ユーザーの参照およびクエリが容易になり、効率を向上させ、時間を節約する。
【0080】
C、インテリジェント対話サブモジュールはOn-lineの対話機能を含み、ローカル知識ライブラリに基づいて、ユーザー対話操作プロセス中、関連提示を行う。具体的には、クロマトグラフィーワークステーションの使用プロセス中、使用者は注意を払う必要のある多くのポイントおよびヒントがあり、特に初心者にとって、注意を払うべきポイントがより多くある。したがって、クロマトグラフィーソフトウェアの使用プロセス中、パラメータ設定、収集管理、データ処理などの点で、いずれもソフトウェアのインテリジェント提示を必要とする。
【0081】
このようなニーズに応じて、システムの運転プロセス中、使用者側から、システムは使用者が設定したパラメータおよび方法に対して、インテリジェントポップアップ(プロンプトボックス)を表示し、例えば、クロマトグラフィーカラム、溶媒、方法、パラメータなどに対して、システムバックグランドはローカル知識ライブラリをインテリジェントに選択して、いくつかの使用ヒント、知識ライブラリ、注意点などを表示する。具体的には、例えば、使用者は自分のニーズに応じて、パラメータを設定する場合、分離パターン、具体的にモードクロマトグラフィーカラム、具体的な種類の移動相(例えば、メタノール)、ニードル洗浄液の種類、注入方法などのパラメータを選択した後、これらの方法条件に基づいて、システムはインテリジェントにいくつかの提示、例えば、波長設定の場合の不具合など、分離パターンを選択すると、移動相の割合が適切ではないなどを表示する。
【0082】
D、クロマトグラフィーソフトウェアの最も重要な目的は、機器を制御してデータを収集し、データを分析し、パラメータを最適化することで、要件を満たすデータを生成し、レポートを発行することである。ここで、パラメータを最適化して分析要件を満たすデータを生成するコストが最も高い。パラメータ配置を最適化する場合、単一の機器パラメータの最適化だけでなく、外部条件の最適化、例えば、移動相(種類:塩を含むか、酸を加えるか、移動相比の調整)、クロマトグラフィーカラム変更(長さ、種類、粒子径等)、検出波長変更等も含む。クロマトグラフィーの分析プロセス中、最初の設定パラメータに従って運転すると要件を満たす検出を完了できるのではない。多くの場合パラメータの最適化が複数回必要であり、
グラジエント方法最適化サブモジュールはこのような状況に応じて使用され、分析結果が不十分な場合、ユーザーにグラジエント最適化の方法アドバイスを提供する。例えば、現在測定されているスペクトログラムデータとプリセット論理に基づいて、ユーザーにより小さな粒子径のクロマトグラフィーカラムを使用して分析する方法を推奨する。
【実施例2】
【0083】
背景技術で説明したように、従来、クロマトグラムの検出および分析に関連する技術では、タイムウィンドウ法、微分法およびパターンマッチングなどの方法は、マルチピークオーバーラップの認識が良好であるか、または一般性が不十分などの欠点がある。
【0084】
これを考慮して、実施例1に基づいて、本出願はさらにクロマトグラムの検出分析方法を提供し、パターンマッチングに基づいてクロマトグラフィー曲線の曲率を組み合わせてクロマトグラフィーピークを検出する。この方法は従来技術の欠点を補い、綜合性能がより良好なスペクトログラム検出分析を実現する。
【0085】
図7に示すように、一実施例では、本出願によって提案されるクロマトグラムの検出分析方法は、以下のステップを含む。
【0086】
ステップS710、処理する元のスペクトログラムデータを取得し、元のスペクトログラムデータをノイズ除去処理して、ノイズ除去されたスペクトログラムデータを取得する。
例えば、ここでSavgol_filterフィルターを使用して元のスペクトログラムデータをフィルター処理し、元信号中のいくつかのノイズを除去してノイズ除去されたスペクトログラムデータFを取得する。
【0087】
ステップS720、元のスペクトログラムデータに基づいてクロマトグラフィー曲線上の各点の曲率を算出し、クロマトグラフィー曲線上の曲率値が第1の閾値よりも大きい点を一時的なピーク頂点として決定する。第1の閾値は元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析によって決定される。
該ステップは従来技術と異なり、曲率に基づいて検出するプロセスにおいて、閾値は手動で設定されるのではなく、元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析によって決定される。このような方法によれば、閾値を手動で設定する方法と比べると、その信頼性がより高く、認識の解像度および認識精度を向上させるのに寄与する。
【0088】
当業者が理解できるように、スペクトログラムデータの特徴に基づいて、ステップS720で得られた一時的なピーク頂点は、実質的にクロマトグラフィー曲線上の曲率の局所の最大値ポイントである。一般に、あるスペクトログラムデータについて、ステップS720で得られた一時的なピーク頂点が複数存在する。
【0089】
ステップS730、ガウス波をマッチング波としてノイズ除去されたスペクトログラムデータをパターン認識および検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点基準点とする。ここにはピーク頂点基準点も複数存在することは容易に理解できる。
【0090】
一時的なピーク頂点とピーク頂点基準点を決定した後、ステップS740に移行し、各一時的なピーク頂点と各ピーク頂点基準点をペアで比較し、縦座標値の大きい点をピーク頂点として決定する。
【0091】
容易に理解できることであるが、検出対象は実質的に同じスペクトログラムデータであり、ステップS720で得られた一時的なピーク頂点、およびステップS730で得られた複数のピーク頂点基準点は1対1で対応する(つまり、ある横座標Xの近くに、対応する一時的なピーク頂点(x1、y1)とピーク頂点基準点(x2、y2)が存在する)。
ステップS740中のペアでの比較とは、複数の一時的なピーク頂点とピーク頂点基準点について、1対1で対応する一時的なピーク頂点とピーク頂点基準点をそれぞれ比較し、例えば、ある横座標Xの近くに、対応する一時的なピーク頂点(x1、y1)とピーク頂点基準点(x2、y2)が存在し、ステップS740のペアでの比較は、(x1、y1)と(x2、y2)を比較することである。
【0092】
ステップS740の後、ステップS750に移行し、ノイズ除去されたスペクトログラムデータに対応するクロマトグラフィー曲線について、該曲線上の各ピーク頂点から、それぞれ対応する頂点両側に向かってポイントごとに拡張検出し、検出プロセス中の各点の曲率に応じて対応する頂点に対応するピーク始点およびピーク終点を決定する。
ピーク頂点は曲線上にない可能性があるため、ステップS740中のピーク頂点とは曲線上の頂点の横座標に対応する点を指すことは容易に理解できる。
【0093】
最後にステップS760を実行し、各ピーク頂点およびその対応するピーク始点とピーク終点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークを検出されたクロマトグラフィーピークとし、検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成する。
【0094】
具体的には、ステップS760では、検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成することは、検出されたクロマトグラフィーピークを積分して、クロマトグラフィーピークの面積と高さを算出および決定することを含む。
【0095】
本出願の技術的解決策は、パターンマッチングに基づいてクロマトグラフィー曲線の曲率を組み合わせて実際に液体と気体クロマトグラムを具体的に検出し、全体的に検出信頼性を向上させる。この方法では、曲率検出方法中の閾値は機器自身の信号に基づいて自動的に算出して決定され、パターンマッチングによって検出されたピーク特徴点は基準点として曲率検出によって得られたピーク特徴点を補正する。これも従来技術における2つの方法の欠点を補う。
【0096】
本出願の技術的解決策を容易に理解できるようにするために、以下、別の実施例を用いて本出願の技術的解決策を説明する。
【0097】
該実施例では、同様に、まずステップS7210を実行し、処理する元のスペクトログラムデータを取得し、元のスペクトログラムデータをノイズ除去処理して、ノイズ除去されたスペクトログラムデータFを取得し、次にステップS7220およびステップS7230に移行する。
ステップS7220では、元のスペクトログラムデータに基づいてクロマトグラフィー曲線上の各点の曲率を算出し、クロマトグラフィー曲線上の曲率値が第1の閾値よりも大きい点を一時的なピーク頂点として決定する。ここで、第1の閾値は元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出および分析によって決定される。
具体的には、ステップS7220において、元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出および分析プロセスは、以下を含む。
クロマトグラフィー機器が無負荷の場合の出力基準線の勾配変化に基づいて統計的に分析し、勾配変化の分散を算出および決定し、さらに勾配変化の標準差を決定する。
分析機器の技術分野では、一般に、ランダムノイズと基準線ドリフトの勾配変化は正規分布に従い、平均がゼロであると考えられているため、ここでは以下の式(1)に基づいてその分散を算出するだけでよい。
【0098】
【0099】
ピーク頂点基準点を取得するために、さらにステップS7230を実行する必要があり、ガウス波をマッチング波としてノイズ除去されたスペクトログラムデータをパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点基準点とする。
【0100】
具体的には、該実施例では、ガウス波をマッチング波としてノイズ除去されたスペクトログラムデータをパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点基準点とする。従来技術と同様に、該プロセスは以下を含む。
【0101】
まず、ノイズ除去されたスペクトログラムデータFに対応するクロマトグラフィー曲線を検出する曲線とし、ガウス波の波形を検出する曲線上で左端点から右端点に向かって摺動させると同時に両者の相関係数を算出し、算出結果に基づいて検出する曲線のクロマトグラフィーデータのガウス波に対する相関係数グループを取得する。
その算出プロセスの式は、
【0102】
その後、相関係数グループ中の各相関係数と所定の値を比較分析し、係数値が所定の値よりも大きい相関係数に基づいてガウス波ピーク位置を決定し、検出する曲線上の該位置での点をピーク頂点基準点として決定する。
【0103】
例えば、ここでの所定の値が0.8であり、相関係数が0.8よりも大きい場合、両者の相関性が高いことを示す。ガウス波ピーク位置の決定プロセスは従来技術と同様であるため、本出願では省略する。
【0104】
ステップS7220とステップS7230の後、ステップS7240を実行し、各一時的なピーク頂点と各ピーク頂点基準点をペアで比較し、縦座標値の大きい点をピーク頂点として決定する。該ステップは前記実施例と同様であるため、ここでは省略する。
【0105】
ステップS7240の後、ステップS7250を実行し、ノイズ除去されたスペクトログラムデータに対応するクロマトグラフィー曲線について、該曲線上の各ピーク頂点から、それぞれ対応する頂点両側に向かってポイントごとに拡張検出し、検出プロセス中の各点の曲率に基づいて対応する頂点に対応するピーク始点とピーク終点を決定する。
該実施例では、ここでのポイントごとに拡張検出することは、それぞれのピーク頂点に対して以下の処理を行うステップを含む:
【0106】
【0107】
最後にステップS7260を実行し、各ピーク頂点およびその対応するピーク始点とピーク終点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークを検出されたクロマトグラフィーピークとし、検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成する。
具体的には、検出されたクロマトグラフィーピークを積分し、クロマトグラフィーピークの面積と高さを算出および決定する。
【実施例3】
【0108】
背景技術で説明したように、従来、クロマトグラムの検出および分析に関連する技術では、タイムウィンドウ法、微分法およびパターンマッチングなどの方法は、マルチピークオーバーラップの認識が良好であるか、または一般性が不十分などの欠点がある。
【0109】
これを考慮して、実施例1に基づいて、本出願はさらにクロマトグラムの検出分析方法を提供し、パターンマッチングに基づいてクロマトグラフィー曲線の曲率を組み合わせてクロマトグラフィーピークを検出する。この方法は従来技術の欠点を補い、綜合性能がより良好なスペクトログラム検出分析を実現する。
【0110】
図8および
図9に示すように、一実施例では、本出願によって提案されるクロマトグラムの検出分析方法は、以下のステップを含む。
【0111】
ステップS810では、処理する元のスペクトログラムデータを取得する。
ステップS820では、元のスペクトログラムデータについて、プリセットサイズのタイムウィンドウ(ウィンドウの大きさが機器の標準リテンション時間パラメータに基づいて設定される。例えば、標準リテンション時間パラメータの10%)を使用して、クロマトグラフィー曲線の始点から順次摺動させて、元のスペクトログラムデータ処理が完了するまでクロマトグラフィーピークの検出処理を行い、曲線中のすべてのクロマトグラフィーピークを検出し、検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成する。
ある完全なスペクトログラムデータについては、一般にクロマトグラフィーピークが複数存在することは容易に理解できる。言い換えれば、ステップS820の検出プロセス中、タイムウィンドウの摺動に従い、順次各クロマトグラフィーピークを検出する。具体的には、
図9に示すように、ステップS820では、それぞれのクロマトグラフィーピークの検出処理プロセスは以下のステップを含む。
【0112】
ステップS121では、クロマトグラフィー曲線上の各点の勾配と閾値を比較し、比較結果に基づいてクロマトグラフィーピークの基準点を決定する。ここで、基準点はピーク始点基準点、一時的なピーク頂点基準点およびピーク終点基準点を含み、ここでの閾値は元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析によって決定される。
ステップS121では、従来技術と異なり、勾配に基づいて検出するプロセスにおいて、閾値は手動で設定されるのではなく、元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析によって決定される。このような方法によれば、閾値を手動で設定する方法と比べると、その信頼性がより高く、認識の解像度および認識精度を向上させるのに寄与する。
【0113】
ステップS122では、基準点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークのクロマトグラフィー曲線上の位置に基づいて、ガウス波をマッチング波として該位置の近くのクロマトグラフィー曲線をパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点補正点とする。
ステップS123では、ピーク頂点補正点に基づいて一時的なピーク頂点基準点を補正処理し、補正された点をピーク頂点基準点とする。
具体的には、該ステップでは、ピーク頂点補正点と一時的なピーク頂点基準点の縦座標値を比較することで、縦座標値の大きい点をピーク頂点基準点として決定する。
【0114】
ステップS124では、ピーク始点基準点、ピーク終点基準点およびピーク頂点基準点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークを検出されたクロマトグラフィーピークとして決定する。
【0115】
ステップS820では、タイムウィンドウの摺動に従い、それぞれのクロマトグラフィーピークの検出プロセスにおいて、すべての元のスペクトログラムデータの処理が完了するまで、S121~S124のステップを繰り返す。
【0116】
本出願の技術的解決策は、パターンマッチングに基づいてクロマトグラフィー曲線の曲率を組み合わせて実際に液体と気体クロマトグラムを具体的に検出し、全体的に検出信頼性を向上させる。この方法では、勾配検出方法中の閾値は機器自身の信号に基づいて自動的に算出して決定され、パターンマッチングによって検出されたピーク特徴点は基準点として勾配検出によって得られたピーク特徴点を補正し、これも従来技術における2つの方法の欠点を補う。
【0117】
本出願の技術的解決策を容易に理解できるようにするために、以下、別の実施例を用いて本出願の技術的解決策を説明する。
【0118】
該実施例では、同様に、まずステップS1210を実行し、処理する元のスペクトログラムデータを取得する。
【0119】
次にステップS1220を実行し、元のスペクトログラムデータについて、プリセットサイズのタイムウィンドウを使用してクロマトグラフィー曲線の始点から順次摺動させて、元のスペクトログラムデータ処理が完了するまで、クロマトグラフィーピークの検出処理を行い、曲線中のすべてのクロマトグラフィーピークを検出し、検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成する。
例えば、ここで検出されたクロマトグラフィーピークに基づいて検出結果を生成することは、検出されたクロマトグラフィーピークを積分し、クロマトグラフィーピークの面積と高さを算出および決定することを含む。
【0120】
同様に、該実施例では、ステップS1220では、それぞれのクロマトグラフィーピークの検出処理プロセスは以下のステップを含む:
ステップS1221では、クロマトグラフィー曲線上の各点の勾配と閾値を比較し、比較結果に基づいてクロマトグラフィーピークの基準点を決定する。ここで、基準点はピーク始点基準点、一時的なピーク頂点基準点およびピーク終点基準点を含み、ここでの閾値は元のスペクトログラムデータを生成するクロマトグラフィー機器に対する無負荷出力信号の算出分析によって決定される。
具体的には、クロマトグラフィー曲線上の各点の勾配と閾値を比較し、比較結果に基づいてクロマトグラフィーピークの基準点を決定することは、
【0121】
クロマトグラフィー機器が無負荷の場合の出力基準線の勾配変化を統計的に分析し、勾配変化の分散を算出および決定し、さらに勾配変化の標準差を決定する。
分析機器の技術分野では、一般に、ランダムノイズと基準線ドリフトの勾配変化は正規分布に従い、平均がゼロであると考えられているため、ここでは以下の式(3)に基づいてその分散を算出するだけでよい。
【0122】
【0123】
ステップS1221の後、ステップS1222を実行し、基準点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークに基づいてクロマトグラフィー曲線上の位置で、ガウス波をマッチング波として該位置の近くのクロマトグラフィー曲線をパターン認識検出し、認識検出結果中のピーク頂点をピーク頂点補正点とする。
具体的には、ステップS1222では、従来技術と同様に、まず、該位置の近くのクロマトグラフィー曲線を検出する曲線とし、ガウス波の波形を検出する曲線上で左端点から右端点に向かって摺動させると同時に両者の相関係数を算出し、算出結果に基づいて前記検出する曲線のクロマトグラフィーデータのガウス波に対する相関係数グループを取得する。
その算出プロセスの式は、
【0124】
その後、相関係数グループ中の各相関係数と所定の値を比較し分析して、係数値が所定の値よりも大きい相関係数に基づいてガウス波ピーク位置を決定し、検出する曲線上の該位置での点をピーク頂点補正点として決定する。
【0125】
例えば、ここでの所定の値が0.8であり、相関係数が0.8よりも大きい場合、両者の相関性が高いことを示す。ガウス波ピーク位置の決定プロセスは従来技術と同様であるため、本出願では省略する。
【0126】
ステップS1222の後、ステップS1223を実行し、ピーク頂点補正点と一時的なピーク頂点基準点の縦座標値を比較することで、縦座標値の大きい点をピーク頂点基準点として決定する。
【0127】
該実施例では、最後にステップS1224を実行し、ピーク始点基準点、ピーク終点基準点およびピーク頂点基準点によって特徴付けられたクロマトグラフィーピークを検出されたクロマトグラフィーピークとして決定する。
【0128】
該実施例では、ステップS1220では、タイムウィンドウの摺動に従い、それぞれのクロマトグラフィーピークの検出プロセスにおいて、すべての元のスペクトログラムデータの処理が完了するまで、S1221~S1224ステップを繰り返す。
【0129】
本出願の技術的解決策は、パターンマッチングに基づいてクロマトグラフィー曲線の勾配を組み合わせて実際に液体と気体クロマトグラムを具体的に検出し、2つの方法の利点を組み合わせ(例えば、パターン認識がノイズ、クロマトグラフィーピーク幅、振幅値の変化に対する感度が低く、非常に優れた干渉防止能力、耐故障性と堅牢性を有する)、全体的に検出信頼性を向上させる。該分析方法では、タイムウィンドウ摺動によりスペクトログラムデータ認識を行い、スペクトログラムデータの出力と同時に検出分析処理を行うことができ、検出分析結果をより速く出力する。
【0130】
また、この方法では、勾配検出方法中の閾値は機器自身の信号に基づいて自動的に算出および決定され、パターンマッチングによって検出されたピーク特徴点は、基準点として曲率に基づいて検出されたピーク特徴点を補正することにのみ使用される。これは同時に従来技術における2つの方法の欠点も補足する。
【0131】
また、ユーザーが本出願の検出分析方法の性能を迅速に理解および評価することを容易にするために、具体的な応用シナリオにおいて、以上の実施例2と3に基づいて、本出願の技術的解決策はさらに以下を含む:
元のスペクトログラムデータについて参照クロマトグラム検出アルゴリズムを使用して検出処理し、参照検出結果を取得し、検出結果と参照検出結果を比較および分析し、検出評価レポートを生成して表示および出力する。ここでの参照クロマトグラム検出アルゴリズムとは、本出願の検出分析方法以外の、本出願の方法と同じ機能目的を実現する他の検出分析方法を指す。
【0132】
上記の検出結果と参照検出結果を比較および分析することは、検出結果と参照検出結果中の検出されたクロマトグラフィーピークをマッチングさせ、マッチングしたクロマトグラフィーピークを決定し(フローチャート10に示す)、マッチングしたクロマトグラフィーピークの検出されたクロマトグラフィーピークでの割合、およびマッチングしたクロマトグラフィーピークの差に基づいて検出評価レポートを生成する(フローチャート11に示す)。
【0133】
言い換えれば、本出願の評価分析プロセスは、時系列で結果を1対1で比較する代わりに、検出されたピーク結果を、高いピーク高さから降順でソートすることであり、ピーク結果には、ピークの始点、終点、ピーク高さ、面積、保持時間(ピーク頂点に対応する時間)、基準線始点、および基準線終点が含まれ、次にソートされた結果を比較しマッチングさせる(1つのピーク結果は1つのデータに対応し、全データはピークの高さの順に変動する)。
【0134】
図10に示すように、この実施では、まずピーク高さとリテンション時間の2つの条件を比較してマッチングさせる。まずピーク高さを比較し、比較アルゴリズムによるピーク高さの差が一定範囲内にある場合、リテンション時間の比較を行う。その差も一定の範囲内にある場合、比較アルゴリズムの対応するピークがマッチングすることを意味し、比較結果を保存して後のインジケーター値を算出する。
【0135】
2つの条件のいずれか1つが満たされない場合、現在の比較データがマッチングせず、一方のインデックスを固定し、マッチング可能なデータが見つかるまたは他方のデータインデックスが最後まで移動するまで、他方の結果インデックスを後方に移動させる。なお、同じクロマトグラフデータの同じピークに対する異なるアルゴリズムの計算結果は、必ずしも完全に同じであるとは限らないことに注意されたい。アルゴリズムの違いにより、得られる結果にも一定の違いがあるが、違いはそれほど大きくないため、違いが一定の範囲にあればよい。もちろん、同じクロマトグラフィーデータに同様のピーク高さが存在する場合がある。したがって、結果を比較する場合、本出願は対応する状況に応じてリテンション時間の比較を追加することで結果の精度を確保する。
【0136】
マッチングプロセスが完了した後、マッチングしたピーク結果情報を1対1で保存し、それぞれのピーク結果情報に基づいて対応するインジケーターを算出し、
図11に示す検出評価レポート可視化出力階段に入る。具体的には該階段で評価レポートを検出することは以下を含む。
【0137】
A、マッチング結果の概観
マッチングした、およびマッチングしなかったピークの数をプロットして表示する。例えば、bar図で表示し、method1(本出願の検出分析方法)で検出されたピーク数をnとし、method2(参照クロマトグラム検出アルゴリズム)で検出されたピーク数をmとし、マッチングしたピークの数をsとすると、s<min(n,m)である。ヒストグラムは3つの部分を含み、下側はmethod1のマッチングしなかったピークの数n-sであり、中間は2つのアルゴリズムのマッチングしたピークの数sであり、上側部分はmethod2のマッチングしなかったピークの数m-sである。中間部分の割合が比較的大きい場合、2つのアルゴリズムの検出されたピークの数が多く、検出性能が比較的近いことを意味する。
【0138】
【0139】
C、マッチング結果が異常か否かを確認
具体的には、例えば、それぞれマッチングするピークの始点と終点の差std(二乗平均平方根誤差)を算出する。ピーク面積の差stdの場合、stdがある範囲で変動すると、2つの比較アルゴリズムのマッチングするピークの始点と終点に特別な異常がないと見なす。それ以外の場合、異常点があると見なし、異常データに基づいて検出アルゴリズムの異常を確認することができる。
【0140】
また、理解できるように、異なる元データについて、対応する結果に基づいてアルゴリズムを比較および分析し、1つのデータが1つの評価レポートに対応し、これらのレポートに基づいてデータ結果全体を包括的に評価し、アルゴリズム性能を包括的に評価することができる。
【0141】
上記の実施例1、実施例2と実施例3中のスペクトログラムデータから分かるように、本出願の実施例1、実施例2と実施例3はいずれもクロマトグラムのデータ処理を行い、元の収集データの完全性と安全性を確保するという技術的効果を実現できる。
【0142】
図12は本出願の一実施例によって提供される電子機器の構造概略図である。
図12に示すように、該電子機器1200は、
実行可能なプログラムが記憶されているメモリ1201と、
メモリ1201中の実行可能なプログラムを実行して、上記方法のステップを実現するプロセッサ1202と、を備える。
【0143】
上記実施例における電子機器1200については、プロセッサ1202によってメモリ1201中のプログラムを実行する具体的な方法は、該方法の実施例で詳細に説明されているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0144】
以上のように、本発明の好ましい具体的な実施形態を説明したが、本発明の保護範囲はこれらに限定されず、当業者が本発明の技術範囲内で容易に想到できる変更や置換は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。したがって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に従うべきである。