(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231018BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20231018BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231018BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231018BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20231018BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20231018BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/30 349Z
H10K59/00
H01L29/78 626C
H01L29/78 612C
H01L21/90 S
H01L21/90 M
G09F9/00 338
(21)【出願番号】P 2022516485
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(86)【国際出願番号】 JP2020017048
(87)【国際公開番号】W WO2021214829
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】神崎 庸輔
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 貴翁
(72)【発明者】
【氏名】三輪 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】山中 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】孫 屹
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061007(JP,A)
【文献】特開2019-109506(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0006442(US,A1)
【文献】特開2011-90153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 ー 9/46
H10K 59/10
H05B 33/06
H10K 50/10
H05B 33/22
H05B 33/10
H05B 33/02
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタを含む表示領域と、前記表示領域を囲む額縁領域と、前記額縁領域に設けられた端子部と、
基材の上方に設けられる樹脂層と、
前記樹脂層の上に設けられ、開口部を有する無機絶縁層と、
前記開口部の上側の位置以外の位置であって前記無機絶縁層の上に設けられた、導電パターンと、
を備え、
前記表示領域と前記端子部との間に、
前記樹脂層、前記無機絶縁層および前記導電パターンが設けられる折り曲げ部を備え、
前記導電パターンが、前記端子部と前記薄膜トランジスタとを電気的に接続する、表示装置。
【請求項2】
前記基材と前記樹脂層との間に前記薄膜トランジスタが設けられており、
前記導電パターンが、前記薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記無機絶縁層において、前記導電パターンの下側の位置以外の全ての位置に前記開口部が設けられている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記無機絶縁層の縁が、平面視において、前記導電パターンの縁を囲んでいる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
基材の上方に、樹脂層を形成し、
前記樹脂層の上に、無機絶縁層を形成し、
前記無機絶縁層の上に導電パターンを形成し、
前記無機絶縁層に開口部を形成し、
前記無機絶縁層の上に前記導電パターンを形成するときに、前記導電パターンをパターニングするためのレジストパターンを残し、
前記レジストパターンを残した状態で、前記無機絶縁層をエッチングして前記開口部を形成する、表示装置の製造方法。
【請求項6】
薄膜トランジスタを含む表示領域と、前記表示領域を囲む額縁領域と、前記額縁領域に設けられた端子部と、
基材の上方に設けられる樹脂層と、
前記樹脂層の上に設けられ、開口部を有する無機絶縁層と、
前記開口部の上側の位置以外の位置であって前記無機絶縁層の上に設けられた、導電パターンと、
を備え、
前記無機絶縁層において、前記導電パターンの下側の位置以外の全ての位置に前記開口部が設けられている、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は表示装置および表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、可撓性を有する基材を用いて、フレキシブルな表示装置が開発されている。例えば、特許文献1には、フレキシブルプリント基板および駆動回路などの部品が実装された部品実装領域において、基材に配線が形成された部分を表示領域の裏側へ折り返した表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の表示装置の表示領域および部品実装領域には、配線の高さを調整したり、配線同士を絶縁したりするための複数の絶縁層が積層されている。それら絶縁層には樹脂材料で形成された樹脂層が含まれている。樹脂層を加熱して硬化させるときに、樹脂層からガスが発生することがある。また、樹脂層が硬化した後でも熱が加わると、樹脂層はガスを発生することがある。そのため、樹脂層をガスが透過し難い材料で覆った場合、樹脂層から発生したガスが樹脂層とそれを覆った材料(例えば、無機材料で形成された無機絶縁層)との間に溜まってしまう。その結果、溜まったガスによって、樹脂層とそれを覆った材料とが剥離するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記の問題に鑑みてなされたものである。本開示の一態様は、樹脂層とそれを覆った材料とが剥離することを抑制することができる表示装置および表示装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、薄膜トランジスタを含む表示領域と、前記表示領域を囲む額縁領域と、前記額縁領域に設けられた端子部と、基材の上方に設けられる樹脂層と、前記樹脂層の上に設けられ、開口部を有する無機絶縁層と、前記開口部の上側の位置以外の位置であって前記無機絶縁層の上に設けられた、導電パターンと、を有する。
【0007】
本開示の表示装置の製造方法は、基材の上方に、樹脂層を形成し、前記樹脂層の上に、無機絶縁層を形成し、前記無機絶縁層の上に導電パターンを形成し、前記無機絶縁層に開口部を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様は、樹脂層とそれを覆った材料とが剥離することを抑制することができる表示装置および表示装置の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1の表示装置を示す概略平面図である。
【
図4】実施形態1の折り曲げ部の部分平面図である。
【
図8】実施形態2の折り曲げ部の部分平面図である。
【
図10】実施形態3の折り曲げ部の部分平面図である。
【
図12】本開示の表示装置の製造方法での製造フローに含まれる第1工程における半製品の構造を示す断面図である。
【
図13】本開示の表示装置の製造方法での製造フローに含まれる第2工程における半製品の構造を示す断面図である。
【
図14】本開示の表示装置の製造方法での製造フローに含まれる第3工程における半製品の構造を示す断面図である。
【
図15】本開示の表示装置の製造方法での製造フローに含まれる第4工程における半製品の構造を示す断面図である。
【
図16】本開示の製造方法での製造フローに含まれる第5工程における半製品の構造を示す断面図である。
【
図17】本開示の製造方法での製造フローに含まれる第6工程における半製品の構造を示す断面図である。
【
図18】本開示の表示装置の製造方法の第1工程~第6工程のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付す。各実施形態における同一または同等の構成については説明を繰り返さない。
【0011】
<実施形態1>
図1は実施形態1の表示装置1を示す概略平面図である。表示装置1は、表示領域2と当該表示領域2を囲む額縁領域Fとを有する。額縁領域Fは折り曲げ部Bおよび端子部Tを含む。額縁領域Fにおいて、表示領域2と端子部Tとの間に折り曲げ部Bが設けられている。
【0012】
図1に示すように、表示領域2には、複数の画素21が、例えば、マトリクス状に並べられる。複数の画素21のそれぞれには、薄膜トランジスタ3(以下、「TFT(Thin Film Transistor)」と称する)が設けられている。端子部Tには、図示はしないが、複数の端子が設けられ、当該複数の端子には、端子部Tに設置された電気回路および制御回路が電気的に接続されている。
図1において、X方向が第1方向であり、Y方向が第1方向と交差する第2方向である。X方向とY方向とは平面内において直交している。X方向およびY方向は、長方形の輪郭を有する表示装置1の横方向と縦方向とに相当する。表示領域2、折り曲げ部Bおよび端子部Tは、第1方向に沿って配列されている。
【0013】
第1方向はX方向のみに限定されず、表示領域2から端子部Tまで至る方向であれば、いかなる方向であってもよい。例えば、第1方向はX方向に対して傾斜した方向であってもよい。
【0014】
図1において、Y方向に沿った仮想線を曲げ線として、折り曲げ部Bを曲げることによって、端子部Tを表示領域2の裏側に折り返す。それによって、端子部Tの裏側面と表示領域2の裏側面とが対向するように配置される。つまり、平面視において、額縁領域Fの一部が表示領域2と重なる。そのため、額縁領域Fの占有面積を小さくすることができ、狭額縁の表示装置1を実現できる。
【0015】
図2は、
図1のII-II線断面図である。
図2は、表示領域2の主にTFT3近傍のX方向に沿って切った表示領域2の部分断面構造を示している。
図2では、X方向に直交した表示装置1の上下方向をZ方向として示す。本明細書において、上記したX方向、Y方向、およびZ方向は、それぞれ、直交座標系の3軸に沿った方向である。
【0016】
図2から分かるように、複数の画素21は、それぞれ、液晶または有機EL(Electro-Luminescence)などの発光素子230と発光素子230を制御するためのTFT3とを含む。
【0017】
基材7は、例えば、可撓性を有する樹脂材料で形成される。
【0018】
ベースコート膜24は、基材7の上に設けられた層である。
【0019】
ベースコート膜24の上には、TFT3が形成される。TFT3は、チャネル部、ソース領域およびドレイン領域を含む半導体層34と、ゲート絶縁膜35と、ゲート電極33と、ドレイン電極31と、ソース電極32と、第1層間膜36と、第2層間膜37とを含む。
【0020】
また、複数の画素21のそれぞれには、ゲート配線38、高電圧電源線40および容量配線39なども含まれる。図示していないが、表示領域2には、発光制御線、初期化電源線およびソース線などが含まれる。第2層間膜37の上に延びるように、ソース電極32の一部、ドレイン電極31の一部、および高電圧電源線40が、形成されている。
【0021】
図2から分かるように、TFT3の上には樹脂層8および無機絶縁層9が積層される。樹脂層8は、平坦化膜と呼ばれる場合もある。樹脂層8および無機絶縁層9には、それぞれ、ドレイン電極31まで延びるコンタクトホール8aおよびコンタクトホール9aが形成されている。コンタクトホール8aおよびコンタクトホール9aの周辺を除いて無機絶縁層9が除去され、開口部10が形成されている。
【0022】
樹脂層8上には、無機絶縁層9、中継電極111、および保護層22が積層される。表示領域2においては、無機絶縁層9の一部を覆うとともに、コンタクトホール9aを埋めるように中継電極111が形成されている。中継電極111は、ドレイン電極31に電気的に接続されている。ここで、中継電極111は、後述の導電パターン11の一種である。
図2は、中継電極111がTFT3のドレイン電極31に接続される形態を示す。発光素子230とTFT3とが中継電極111を介して電気的に接続される。詳しくは後述するが、中継電極111は、TFT3のドレイン電極31に電気的に接続され、TFT3のソース電極32は、ソース線(図示せず)に電気的に接続され、ソース線(図示せず)の端部が第1額縁配線20(
図4および
図5参照)の一方の端部に電気的に接続され、第1額縁配線20(
図4および
図5参照)の他方の端部が、第1額縁配線20(
図4および
図5参照)の他方の端部上の第1層間膜36、第2層間膜37、樹脂層8、及び、無機絶縁層9(
図5参照)に設けられたコンタクトホール91(
図4および
図5参照)を介して、後述される折り曲げ部Bに設けられた導電パターン11(
図4および
図5参照)の一方の端部に電気的に接続される。導電パターン11(
図4および
図5参照)の他方の端部は、第2額縁配線51(
図4および
図5参照)の一方の端部上の第1層間膜36、第2層間膜37、樹脂層8、及び、無機絶縁層9(
図5参照)に設けられたコンタクトホール91(
図4および
図5参照)を介して、第2額縁配線51(
図4および
図5参照)の一方の端部と電気的に接続される。第2額縁配線51(
図4および
図5参照)の他方の端部は、端子部Tの端子(図示せず)と電気的に接続される。中継電極111は、後述される導電パターン11(
図4および
図5参照)と同一材料で形成されており、導電パターン11(
図4および
図5参照)が形成された層と同一層上に形成されている。
【0023】
中継電極111の一部および樹脂層8を覆うように保護層22が形成されている。保護層22は、可撓性を有する材料で形成される。保護層22は、例えば、有機樹脂材料で形成される。なお、基材7から保護層22までの積層体をTFT層300と称する。TFT層300は、図示しないが電力供給用配線および信号伝送用配線なども含む。
【0024】
樹脂層8は、表示装置1の製造プロセスに含まれる加熱工程および表示装置1を使用する際の温度上昇によって、ガスを発生することがある。しかしながら、無機絶縁層9に開口部10が設けられているため、無機絶縁層9の下に位置する樹脂層8から発生したガスを開口部10から上側へ逃がすことができる。その結果、樹脂層8と無機絶縁層9との間にガス溜まりが生じることを抑制できる。したがって、樹脂層8と無機絶縁層9とが剥離することが抑制される。
【0025】
樹脂層8上に無機絶縁層9が必要な理由について説明する。
図3に、比較例として、樹脂層8の上に無機絶縁層9を設けない場合の断面図を示す。
図3は、樹脂層8の全面に積層された導電層をドライエッチングで部分的に除去することで配線層112を形成した状態を示している。
図3から分かるように、配線層112がある部分以外では樹脂層8が露出する。よって、ドライエッチングの際に露出した樹脂層8の表面がダメージを受ける。それによって、樹脂層8の表面からダストが発生し、そのダストによってエッチング不良による膜残りなどの配線形成不良が発生する。よって、樹脂層8上に無機絶縁層9を設けて、ドライエッチングの際に樹脂層8が露出しないようにする必要がある。しかしながら、樹脂層8の全面が無機絶縁層9で被覆されていると、前述したように樹脂層8から発生したガスの逃げ場がなくなる。よって、ガスを逃がすための開口部10を設ける必要があった。
【0026】
図2から分かるように、無機絶縁層9の縁が、中継電極111の縁を囲んでいる。すなわち、中継電極111よりも無機絶縁層9のサイズが大きい。よって、すべての中継電極111が無機絶縁層9の上に載っている。それによって、中継電極111を形成するエッチングが樹脂層8へと与えるダメージを低減することができる。すなわち、本開示のエッチングによるダメージの低減の手法は、後述する折り曲げ部Bに設けられる導電パターン11と同層上に設けられる導電体であって、折り曲げ部B以外にも設けられる導電体にも適用でき、例えば、中継電極111にも適用できる。
【0027】
TFT層300上には、第1電極231、発光層23、第2電極233が順に積層された発光素子230と、エッジカバー232とを含む発光素子層234が形成される。発光素子層234上には、第1無機膜235と、有機膜236と、第2無機膜237が順に積層された封止膜238が形成される。
【0028】
図4は、実施形態1の表示装置1において、
図1における、表示領域2の端部周辺および額縁領域Fを示す概略平面図である。
図4では簡単のために保護層22の図示を省略し、導電パターン11より下方の平面図としている。
図1および
図4から分かるように、額縁領域Fには折り曲げ部Bが設けられている。
【0029】
図4から分かるように、導電パターン11は、X方向に沿って延びている。導電パターン11の一端は第1額縁配線20に接続され、導電パターン11の他端は第2額縁配線51に電気的に接続される。図示しないが、導電パターン11に接続された第1額縁配線20は、表示領域2のTFT3のソース電極32に電気的に接続される。また、図示しないが、導電パターン11に接続された第2額縁配線51は、端子部Tの端子に電気的に接続される。
【0030】
図4に示されるように、折り曲げ部Bには、導電パターン11に沿って延びる配線62が設置されている。後で詳細に説明される
図5に示されるように、配線62は、充填層61と樹脂層8との間に設けられている。配線62の一端は第1額縁配線20に接続され、配線62の他端は第2額縁配線51に電気的に接続される。図示しないが、配線62は、第1額縁配線20および第2額縁配線51を介して、導電パターン11が接続される回路と同じ回路とTFT3とを電気的に接続している。配線62は導電性の材料で形成される。
【0031】
配線62および導電パターン11のそれぞれによって、画素21内のTFT3と端子とが電気的に接続される。それによって、端子部Tに接続された不図示の制御回路が、複数の画素21内の、それぞれの発光素子230およびTFT3を制御することで、表示領域2に画像が表示される。
【0032】
図5は、
図4のV-V線断面図である。
図6は、
図4のVI-VI線断面図である。
図4に示すように、折り曲げ部Bには、基材7の上方に、充填層61、配線62、樹脂層8および無機絶縁層9が設けられている。
図4および
図6から分かるように、無機絶縁層9には複数の開口部10が設けられている。
【0033】
充填層61は、第2層間膜37の上面の高さと折り曲げ部Bにおける基材7の上面の高さとの差を低減するための層である。充填層61は、上述の高さに起因する配線62の亀裂の発生および断線を抑制する。充填層61は可撓性を有する材料で形成される。充填層61は、例えば、有機樹脂材料で形成される。
【0034】
樹脂層8は、一般的には平坦化膜であり、表示領域2における表面の段差を低減するための層である。樹脂層8は、折り曲げ部Bにおいては、基材7の上方に配置される。樹脂層8は、可撓性を有する材料で形成される。樹脂層8は、例えば、有機樹脂材料で形成される。
【0035】
無機絶縁層9は、樹脂層8を覆って保護するための層である。無機絶縁層9は、折り曲げ部Bが折り曲げ難くならないよう、可能な限り薄いことが好ましい。無機絶縁層9の厚さは、例えば、100nm~400nmである。
【0036】
図4および
図5を用いて示した構成から分かるように、導電パターン11は、開口部10の上側の位置以外の位置で、無機絶縁層9の上に設けられる。すなわち、導電パターン11は、上述した
図2に示される中継電極111が設けられている層と同一層上に設けられるので、中継電極111と同一材料で形成することができる。中継電極111は表示領域2にのみ設けられ、導電パターン11は折り曲げ部Bのみに設けられる。
図5に示すように、折り曲げ部Bに形成された導電パターン11の一方の端部は、第1額縁配線20の一方の端部上の第1層間膜36、第2層間膜37、樹脂層8、及び、無機絶縁層9に設けたコンタクトホール91を介して、第1額縁配線20の一方の端部と電気的に接続される。また、図示しないが、第1額縁配線20の他方の端部が、第1額縁配線20の他方の端部上の第1層間膜36、第2層間膜37、樹脂層8、及び、無機絶縁層9に設けたコンタクトホール91を介して、表示領域2のソース線(図示せず)の端部に電気的に接続されている。さらに、図示しないソース線は、
図2のTFT3のソース電極32に電気的に接続される。
図2に示されるように、TFT3のドレイン電極31は、ドレイン電極31上の無機絶縁層9に設けたコンタクトホール9aと、樹脂層8に設けたコンタクトホール8aを介して表示領域2の中継電極111と電気的に接続される。
【0037】
図4および
図6から分かるように、複数の導電パターン11は、Y方向において並んでいる。それら複数の導電パターン11の間の位置において、例えば、3つの開口部10が、X方向に沿って、それぞれ間隔を空けて設けられている。しかしながら、開口部10の数はいかなるものであってもよい。また、開口部10を設ける位置もいかなるものであってもよい。さらに、各開口部10の大きさおよび形状もいかなるものであってもよい。加えて、開口部10の平面視における輪郭の形状は、
図4に例示した長方形状に限らず、円状、楕円状、正方形状など、いかなるものであってもよい。つまり、導電パターン11に形成された開口部10は、樹脂層8が発したガスを保護層22まで通過させるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0038】
図7は、
図4のVII-VII線断面図である。
図7から分かるように、樹脂層8で発生したガスは、開口部10内の保護層22を経由して無機絶縁層9の上方へ流れることができる。つまり、樹脂層8の上に無機絶縁層9が配置されない部分を設けることで、樹脂層8から発生したガスが無機絶縁層9の上方へ移動することができる経路が形成される。それによって、樹脂層8で発生したガスが無機絶縁層9と樹脂層8との間に溜まり難くなる。したがって、無機絶縁層9と樹脂層8とが剥がれたり無機絶縁層9の亀裂が発生したりすることを抑制することができる。
【0039】
<実施形態2>
以下、本開示の実施形態2について説明する。実施形態2は、開口部10の形状において実施形態1と相違する。上述した実施形態1と共通の事項については適宜説明を省略する。
図8は、実施形態2の表示装置1において、表示領域2の端部周辺と額縁領域Fを示す概略平面図である。
図8では簡単のために保護層22の図示を省略し、導電パターン11より下方の平面図としている。
【0040】
なお、
図8において、X方向に延びる導電パターン11に沿った断面構造は、実施形態1の
図5に示される断面構造と同じになる。よって、
図8において、X方向に延びる導電パターン11に沿った断面の位置をV-V線として示している。以下、実施形態2の説明において、
図8のV-V線断面については
図5を参照する。
【0041】
実施形態2では、
図8に示すように、開口部10は、折り曲げ部Bの全長にわたって、X方向に沿って延びている。また、開口部10は、導電パターン11に沿って延びている。つまり、開口部10と導電パターン11とが、ほぼ平行に延びている。
【0042】
図8から分かるように、Y方向において、無機絶縁層9の幅が、平面視で重畳する導電パターン11の幅よりも大きい。それによって、無機絶縁層9の縁が、平面視において、導電パターン11の縁に沿って延びている。それによって、導電パターン11を形成するエッチングのときに、樹脂層8が受けるダメージを低減できる。
【0043】
図9は、
図8のIX-IX線断面図である。
図6と
図9とを比較して分かるように、実施形態1の開口部10と比較して、実施形態2の開口部10は占有領域が大きくなる。それによって、樹脂層8が発したガスをより効率的に無機絶縁層9の上方へ導くことができる。
【0044】
図5および
図8から分かるように、導電パターン11は、開口部10の上側の位置以外の位置で、無機絶縁層9の上に設けられる。すなわち、導電パターン11は、上述した
図2に示される中継電極111が設けられている層と同一層上に設けられるので、中継電極111と同一材料で形成することができる。中継電極111は表示領域2にのみ設けられ、導電パターン11は折り曲げ部Bのみに設けられる。
図5に示すように、折り曲げ部Bに形成された導電パターン11の一方の端部は、第1額縁配線20の一方の端部上の第1層間膜36、第2層間膜37、樹脂層8、及び、無機絶縁層9に設けたコンタクトホール91を介して、第1額縁配線20の一方の端部と電気的に接続される。また、図示しないが、第1額縁配線20の他方の端部が、第1額縁配線20の他方の端部上の第1層間膜36、第2層間膜37、樹脂層8、及び、無機絶縁層9に設けたコンタクトホール91を介して、表示領域2のソース線(図示せず)の端部に電気的に接続されている。さらに、図示しないソース線は、
図2のTFT3のソース電極32に電気的に接続される。
図2に示されるように、TFT3のドレイン電極31は、ドレイン電極31上の無機絶縁層9に設けたコンタクトホール9aと、樹脂層8に設けたコンタクトホール8aを介して表示領域2の中継電極111と電気的に接続される。
【0045】
<実施形態3>
以下、本開示の実施形態3について説明する。本実施形態は、開口部10の形状において実施形態1および実施形態2と相違する。本実施形態の説明においては、上述した実施形態1および実施形態2と共通の事項については適宜説明を省略する。
図10は、実施形態3の表示装置1において、表示領域2の端部周辺および額縁領域Fを示す平面図である。
図11は、
図10のXI-XI線断面図である。
図10では簡単のために保護層22の図示を省略し、導電パターン11より下方の平面図としている。
【0046】
なお、
図10において、X方向に延びる導電パターン11に沿った断面構造は、実施形態1の
図5に示される断面構造と同じになる。よって、
図10において、X方向に延びる導電パターン11に沿った断面の位置をV-V線として示している。以下、実施形態2の説明において、
図8のV-V線断面については
図5を参照する。
【0047】
なお、
図10において、X方向に延びる配線62に沿った断面構造は、実施形態2の
図9に示される断面構造と同じになる。よって、
図10において、X方向に延びる配線62に沿った断面の位置をIX-IX線として示している。以下、実施形態3の説明において、
図10のIX-IX線断面については
図9を参照する。
【0048】
図9、
図10および
図11から分かるように、無機絶縁層9において、導電パターン11の下側の位置以外の全ての位置に開口部10が設けられている。すなわち、折り曲げ部Bにおいて、平面視で導電パターン11と重畳している位置以外では、
図11に示されるように、無機絶縁層9が除去されている。
【0049】
図10および
図11から分かるように、Y方向において、無機絶縁層9の幅が、平面視で重畳する導電パターン11の幅とほぼ同じにされている。それによって、開口部10の領域がさらに大きくなり、さらに効率的に樹脂層8が発したガスを無機絶縁層9の上方へ逃がすことができる。
【0050】
図5および
図10から分かるように、導電パターン11は、開口部10の上側の位置以外の位置で、無機絶縁層9の上に設けられる。すなわち、導電パターン11は、上述した
図2に示される中継電極111が設けられている層と同一層上に設けられるので、中継電極111と同一材料で形成することができる。中継電極111は表示領域2にのみ設けられ、導電パターン11は折り曲げ部Bのみに設けられる。
図5に示すように、折り曲げ部Bに形成された導電パターン11の一方の端部は、第1額縁配線20の一方の端部上の第1層間膜36、第2層間膜37、樹脂層8、及び、無機絶縁層9に設けたコンタクトホール91を介して、第1額縁配線20の一方の端部と電気的に接続される。また、図示しないが、第1額縁配線20の他方の端部が、第1額縁配線20の他方の端部上の第1層間膜36、第2層間膜37、樹脂層8、及び、無機絶縁層9に設けたコンタクトホール91を介して、表示領域2のソース線(図示せず)の端部に電気的に接続されている。さらに、図示しないソース線は、
図2のTFT3のソース電極32に電気的に接続される。
図2に示されるように、TFT3のドレイン電極31は、ドレイン電極31上の無機絶縁層9に設けたコンタクトホール9aと、樹脂層8に設けたコンタクトホール8aを介して表示領域2の中継電極111と電気的に接続される。
【0051】
<本開示の表示装置の製造方法>
図12~
図17は、本開示の表示装置1の製造方法における、製造フローに含まれる第1工程~第6工程での構造を示す断面図である。
図12~
図17では、上述した実施形態3において説明された、折り曲げ部Bにおける構造を製造する方法を例示するが、実施形態1および実施形態2において説明された構造を製造する方法または各実施形態における表示領域2における構造を製造する方法においても、本開示の表示装置1の製造方法を適用することができる。
【0052】
図18は、本開示の表示装置1の製造方法の第1工程~第6工程のフロー図である。第1工程S1~第6工程S6は順次処理される。
図12~
図17は、第1工程S1~第6工程S6の各工程の処理を行った直後での断面図を示している。
【0053】
第1工程S1では、
図12に示されるように、基材7の上に充填層61が形成され、充填層61の上にパターニングされた配線62が形成された状態から、配線62を覆うように樹脂層8を形成する。
【0054】
次に、第2工程S2では、
図13に示されるように、樹脂層8の上に無機絶縁層9となる絶縁層90が形成される。その後、無機絶縁層9となる絶縁層90の上にスパッタリング法により導電パターン11となる導電層110を形成する。
【0055】
次に、第3工程S3では、
図14に示されるように、導電層110をパターニングするために、導電層110の上にレジストを塗布する。このレジストをリソグラフィ工程などによってパターニングする。その結果、
図14に示されるように、レジストパターン63が形成される。
【0056】
次に、第4工程S4では、
図15に示されるように、レジストパターン63をエッチングマスクとして、導電層110をエッチングにより除去する。その結果、
図14に示されるように、レジストパターン63の下側に導電パターン11が残存する。つまり、レジストパターン63で覆われた部分以外の導電層110がエッチングで除去されて、導電パターン11が無機絶縁層9の上に形成される。
【0057】
次に、第5工程S5では、
図16に示されるように、レジストパターン63をエッチングマスクとして、絶縁層90をエッチングする。その結果、レジストパターン63および導電パターン11の下側に無機絶縁層9が残存し、
図16に示される構造が形成される。レジストパターン63の下方以外の絶縁層90が除去された部分が、開口部10となる。実施形態4では、導電パターン11の下方以外の絶縁層90を除去する場合を例示する。この場合、フォトリソグラフィ工程を増やさずに開口部10を設けることができる。
【0058】
次に、第6工程S6では、
図17に示されるように、導電パターン11上のレジストパターン63をアッシングおよびレジスト剥離により除去する。
図17に示された構造が形成された後において、加熱処理を行ったときに樹脂層8から発生するガスを開口部10から上方へ逃がすことができる。
【0059】
本開示の表示装置1の製造方法では、導電パターン11の下方以外の絶縁層90を除去する場合を例示する。しかしながら、上述した実施形態において、
図4および
図8から分かるように、例えば、導電パターン11の下方以外の部分にも無機絶縁層9を残すように開口部10を設けてもよい。この場合は、第4工程S4を行った後、
図15に示される構造からレジストパターン63を一旦除去する。その後、あらためて、絶縁層90をパターニングするためのフォトリソグラフィ工程を行って、開口部10を設ける。
【0060】
また、上述の本開示の表示装置1の製造方法において、導電パターン11を中継電極111に置き換えることで、表示領域2においても、同様の製造方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 表示装置
2 表示領域
3 薄膜トランジスタ(TFT)
F 額縁領域
T 端子部
B 折り曲げ部
7 基材
8 樹脂層
9 無機絶縁層
10 開口部
11 導電パターン
31 ドレイン電極
32 ソース電極
63 レジストパターン