(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】吸引装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20231018BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20231018BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20231018BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/60
A24F40/65
(21)【出願番号】P 2022527294
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2020020611
(87)【国際公開番号】W WO2021240617
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】芹田 和俊
(72)【発明者】
【氏名】菅野 有香
(72)【発明者】
【氏名】千住 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】手塚 寛
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/093281(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/175810(WO,A1)
【文献】特表2019-521739(JP,A)
【文献】特表2018-524971(JP,A)
【文献】特開2020-68739(JP,A)
【文献】中国実用新案第209328040(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作を受け付ける操作部と、
前記ユーザの生体情報を検出する生体情報検出部と、
前記操作部により受け付けられた操作に応じて、前記ユーザに吸引されるエアロゾルを生成する生成部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記生体情報検出部は、前記操作部又は前記操作部の近傍に配置され
、
前記制御部は、特定の操作が前記操作部により受け付けられた際に前記生体情報検出部による前記生体情報の検出が成功したことを条件に、エアロゾルの生成を開始するよう前記生成部を制御する、
吸引装置。
【請求項2】
前記生体情報検出部は、送信波を送信し、前記送信波が前記ユーザの体により反射された反射波を受信し、受信した前記反射波に基づいて前記生体情報を検出する、
請求項1に記載の吸引装置。
【請求項3】
前記操作部、又は前記操作部の近傍の少なくとも一方に、前記送信波及び前記反射波を透過する透過部を備える、
請求項2に記載の吸引装置。
【請求項4】
前記生体情報は、血圧、心拍数、血中酸素濃度、及び酸素飽和度の少なくもいずれかを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項5】
前記生体情報検出部は、前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始されるより前に、前記生体情報を検出する、
請求項
1~4のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項6】
前記特定の操作は、所定の操作を所定期間継続して行う第1の操作
であり、
前記生体情報検出部は、前記第1の操作が行われる期間において前記生体情報を検出する、
請求項
5に記載の吸引装置。
【請求項7】
前記特定の操作は、所定の操作を所定回数連続して行う第2の操作
であり、
前記生体情報検出部は、前記第2の操作が行われる期間において前記生体情報を検出する、
請求項
5に記載の吸引装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記特定の操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記生体情報検出部による前記生体情報の検出が成功したと判定する、
請求項6又は7に記載の吸引装置。
【請求項9】
前記生体情報検出部は、前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始された後に前記生体情報を検出する、
請求項
1~8のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始される前に検出された第1の前記生体情報と前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始された後に検出された第2の前記生体情報との差分が所定条件を満たす場合に、所定の制御を行う、
請求項9に記載の吸引装置。
【請求項11】
前記所定の制御は、前記生成部の動作を定義する動作プロファイルを変更すること、及び前記エアロゾルを生成する機能に制限を課すことの少なくともいずれかを含む、
請求項10に記載の吸引装置。
【請求項12】
前記所定の制御が行われたことを示す情報を通知する通知部をさらに備える、
請求項10又は11に記載の吸引装置。
【請求項13】
前記吸引装置は、
他の装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
情報を記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記無線通信部と前記他の装置とが無線接続されているときに前記生体情報検出部により前記生体情報が検出された場合、前記無線通信部は前記生体情報を送信し、
前記無線通信部と前記他の装置とが無線接続されていないときに前記生体情報検出部により前記生体情報が検出された場合、前記記憶部は前記生体情報を記憶する、
請求項
1~12のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項14】
前記無線通信部は、前記生体情報の検出時刻、前記生成部がエアロゾルを生成するために使用した基材の識別情報、及び前記吸引装置の識別情報の少なくともいずれかと前記生体情報とを対応付けて送信し、
前記記憶部は、前記生体情報の検出時刻、前記基材の識別情報、及び前記吸引装置の識別情報の少なくともいずれかと前記生体情報とを対応付けて記憶する、
請求項1
3に記載の吸引装置。
【請求項15】
前記操作部は、ボタンであり、前記ボタンの表面への接触を検知するタッチセンサを有し、
前記特定の操作は、前記ボタンの押下を含み、
前記生体情報検出部は、前記タッチセンサによる接触検知をトリガとして、前記生体情報の検出を開始する、
請求項1~14のいずれか一項に記載の吸引装置。
【請求項16】
操作部
、生体情報検出部
及び生成部を有する吸引装置を制御する制御方法であって、
前記操作部へのユーザによる操作を検出することと、
前記操作部又は前記操作部の近傍に配置された前記生体情報検出部により前記ユーザの生体情報を検出することと、
前記操作部により受け付けられた操作に応じて、前記ユーザに吸引されるエアロゾルを生成する前記生成部の動作を制御することと、
を含
み、
前記生成部の動作を制御することは、特定の操作が前記操作部により受け付けられた際に前記生体情報の検出が成功したことを条件に、エアロゾルの生成を開始するよう前記生成部を制御することを含む、
制御方法。
【請求項17】
操作部
、生体情報検出部
及び生成部を有する吸引装置を制御するコンピュータにより、
前記操作部へのユーザによる操作を検出することと、
前記操作部又は前記操作部の近傍に配置された前記生体情報検出部により前記ユーザの生体情報を検出することと、
前記操作部により受け付けられた操作に応じて、前記ユーザに吸引されるエアロゾルを生成する前記生成部の動作を制御することと、
を実行させ
、
前記生成部の動作を制御することは、特定の操作が前記操作部により受け付けられた際に前記生体情報の検出が成功したことを条件に、エアロゾルの生成を開始するよう前記生成部を制御することを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ及びネブライザ等の、ユーザに吸引される物質を生成する吸引装置が広く普及している。例えば、吸引装置は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源、及び生成されたエアロゾルに香味成分を付与するための香味源等を含む基材を用いて、香味成分が付与されたエアロゾルを生成する。ユーザは、吸引装置により生成された、香味成分が付与されたエアロゾルを吸引する(以下、パフとも称する)ことで、香味を味わうことができる。
【0003】
近年では、吸引装置を使用するユーザの生体情報を検出して、各種のサービスに利用することが検討されている。例えば、下記特許文献1には、吸引装置にユーザの指が接触した場合に接触部分からユーザの生体情報を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、吸引装置を使用するユーザの生体情報を検出する技術は、開発されてから未だ日が浅く、さらなる向上が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、吸引装置を使用するユーザの生体情報を適切に検出することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、前記ユーザの生体情報を検出する生体情報検出部と、を備え、前記生体情報検出部は、前記操作部又は前記操作部の近傍に配置される、吸引装置が提供される。
【0008】
前記生体情報検出部は、送信波を送信し、前記送信波が前記ユーザの体により反射された反射波を受信し、受信した前記反射波に基づいて前記生体情報を検出してもよい。
【0009】
前記操作部、又は前記操作部の近傍の少なくとも一方に、前記送信波及び前記反射波を透過する透過部を備えていてもよい。
【0010】
前記生体情報は、血圧、心拍数、血中酸素濃度、及び酸素飽和度の少なくもいずれかを含んでいてもよい。
【0011】
前記操作部により受け付けられた操作に応じて、前記ユーザに吸引されるエアロゾルを生成する生成部の動作を制御する制御部をさらに備えていてもよい。
【0012】
前記生体情報検出部は、前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始されるより前に、前記生体情報を検出してもよい。
【0013】
前記制御部は、所定の操作を所定期間継続して行う第1の操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記第1の操作に対応する動作を行うよう前記生成部を制御し、前記生体情報検出部は、前記第1の操作が行われる期間において前記生体情報を検出してもよい。
【0014】
前記制御部は、所定の操作を所定回数連続して行う第2の操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記第2の操作に対応する動作を行うよう前記生成部を制御し、前記生体情報検出部は、前記第2の操作が行われる期間において前記生体情報を検出してもよい。
【0015】
前記生体情報検出部は、前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始された後に前記生体情報を検出してもよい。
【0016】
前記制御部は、前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始される前に検出された第1の前記生体情報と前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始された後に検出された第2の前記生体情報との差分が所定条件を満たす場合に、所定の制御を行ってもよい。
【0017】
前記所定の制御は、前記生成部の動作を定義する動作プロファイルを変更すること、及び前記エアロゾルを生成する機能に制限を課すことの少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0018】
前記所定の制御が行われたことを示す情報を通知する通知部をさらに備えていてもよい。
【0019】
前記制御部は、前記生体情報検出部により前記生体情報が検出されたことを条件に、前記操作部により受け付けられた操作に応じた制御を実行してもよい。
【0020】
前記吸引装置は、他の装置との間で無線通信を行う無線通信部と、情報を記憶する記憶部と、をさらに備え、前記無線通信部と前記他の装置とが無線接続されているときに前記生体情報検出部により前記生体情報が検出された場合、前記無線通信部は前記生体情報を送信し、前記無線通信部と前記他の装置とが無線接続されていないときに前記生体情報検出部により前記生体情報が検出された場合、前記記憶部は前記生体情報を記憶してもよい。
【0021】
前記無線通信部は、前記生体情報の検出時刻、前記生成部がエアロゾルを生成するために使用した基材の識別情報、及び前記吸引装置の識別情報の少なくともいずれかと前記生体情報とを対応付けて送信し、前記記憶部は、前記生体情報の検出時刻、前記基材の識別情報、及び前記吸引装置の識別情報の少なくともいずれかと前記生体情報とを対応付けて記憶してもよい。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作部及び生体情報検出部を有する吸引装置を制御する制御方法であって、前記操作部へのユーザによる操作を検出することと、前記操作部又は前記操作部の近傍に配置された前記生体情報検出部により前記ユーザの生体情報を検出することと、を含む、制御方法が提供される。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作部及び生体情報検出部を有する吸引装置を制御するコンピュータにより、前記操作部へのユーザによる操作を検出することと、前記操作部又は前記操作部の近傍に配置された前記生体情報検出部により前記ユーザの生体情報を検出することと、を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明によれば、吸引装置を使用するユーザの生体情報を適切に検出することが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】吸引装置の第1の構成例を模式的に示す模式図である。
【
図2】吸引装置の第2の構成例を模式的に示す模式図である。
【
図3】本実施形態に係る生体情報検出部の配置の一例を説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係る生体情報検出部の配置の一例を説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係る吸引装置において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
<<1.吸引装置の構成例>>
吸引装置は、ユーザにより吸引される物質を生成する装置である。以下では、吸引装置により生成される物質が、エアロゾルであるものとして説明する。他に、吸引装置により生成される物質は、気体であってもよい。
【0028】
(1)第1の構成例
図1は、吸引装置の第1の構成例を模式的に示す模式図である。
図1に示すように、本構成例に係る吸引装置100Aは、電源ユニット110、カートリッジ120、及び香味付与カートリッジ130を含む。電源ユニット110は、電源部111A、センサ部112A、通知部113A、記憶部114A、通信部115A、及び制御部116Aを含む。カートリッジ120は、加熱部121A、液誘導部122、及び液貯蔵部123を含む。香味付与カートリッジ130は、香味源131、及びマウスピース124を含む。カートリッジ120及び香味付与カートリッジ130には、空気流路180が形成される。
【0029】
電源部111Aは、電力を蓄積する。そして、電源部111Aは、制御部116Aによる制御に基づいて、吸引装置100Aの各構成要素に電力を供給する。電源部111Aは、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。
【0030】
センサ部112Aは、吸引装置100Aに関する各種情報を取得する。一例として、センサ部112Aは、マイクロホンコンデンサ等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサ等により構成され、ユーザによる吸引に伴う値を取得する。他の一例として、センサ部112Aは、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。
【0031】
通知部113Aは、情報をユーザに通知する。通知部113Aは、例えば、発光する発光装置、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、又は振動する振動装置等により構成される。
【0032】
記憶部114Aは、吸引装置100Aの動作のための各種情報を記憶する。記憶部114Aは、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。
【0033】
通信部115Aは、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行うことが可能な通信インタフェースである。かかる通信規格としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。
【0034】
制御部116Aは、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100A内の動作全般を制御する。制御部116Aは、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。
【0035】
液貯蔵部123は、エアロゾル源を貯蔵する。エアロゾル源が霧化されることで、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体である。エアロゾル源は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。吸引装置100Aがネブライザ等の医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、薬剤を含んでもよい。
【0036】
液誘導部122は、液貯蔵部123に貯蔵された液体であるエアロゾル源を、液貯蔵部123から誘導し、保持する。液誘導部122は、例えば、ガラス繊維等の繊維素材又は多孔質状のセラミック等の多孔質状素材を撚って形成されるウィックである。その場合、液貯蔵部123に貯蔵されたエアロゾル源は、ウィックの毛細管効果により誘導される。
【0037】
加熱部121Aは、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。
図1に示した例では、加熱部121Aは、コイルとして構成され、液誘導部122に巻き付けられる。加熱部121Aが発熱すると、液誘導部122に保持されたエアロゾル源が加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121Aは、電源部111Aから給電されると発熱する。一例として、ユーザが吸引を開始したこと、及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部112Aにより検出された場合に、給電されてもよい。そして、ユーザが吸引を終了したこと、及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部112Aにより検出された場合に、給電が停止されてもよい。
【0038】
香味源131は、エアロゾルに香味成分を付与するための構成要素である。香味源131は、たばこ由来又は非たばこ由来の香味成分を含んでいてもよい。
【0039】
空気流路180は、ユーザに吸引される空気の流路である。空気流路180は、空気流路180内への空気の入り口である空気流入孔181と、空気流路180からの空気の出口である空気流出孔182と、を両端とする管状構造を有する。空気流路180の途中には、上流側(空気流入孔181に近い側)に液誘導部122が配置され、下流側(空気流出孔182に近い側)に香味源131が配置される。ユーザによる吸引に伴い空気流入孔181から流入した空気は、加熱部121Aにより生成されたエアロゾルと混合され、矢印190に示すように、香味源131を通過して空気流出孔182へ輸送される。エアロゾルと空気との混合流体が香味源131を通過する際には、香味源131に含まれる香味成分がエアロゾルに付与される。
【0040】
マウスピース124は、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。マウスピース124には、空気流出孔182が配置される。ユーザは、マウスピース124を咥えて吸引することで、エアロゾルと空気との混合流体を口腔内へ取り込むことができる。
【0041】
以上、吸引装置100Aの構成例を説明した。もちろん吸引装置100Aの構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0042】
一例として、吸引装置100Aは、香味付与カートリッジ130を含んでいなくてもよい。その場合、カートリッジ120にマウスピース124が設けられる。
【0043】
他の一例として、吸引装置100Aは、複数種類のエアロゾル源を含んでいてもよい。複数種類のエアロゾル源から生成された複数種類のエアロゾルが空気流路180内で混合され化学反応を起こすことで、さらに他の種類のエアロゾルが生成されてもよい。
【0044】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部121Aによる加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、振動霧化、又は誘導加熱であってもよい。
【0045】
(2)第2の構成例
図2は、吸引装置の第2の構成例を模式的に示す模式図である。
図2に示すように、本構成例に係る吸引装置100Bは、電源部111B、センサ部112B、通知部113B、記憶部114B、通信部115B、制御部116B、加熱部121B、保持部140、及び断熱部144を含む。
【0046】
電源部111B、センサ部112B、通知部113B、記憶部114B、通信部115B、及び制御部116Bの各々は、第1の構成例に係る吸引装置100Aに含まれる対応する構成要素と実質的に同一である。
【0047】
保持部140は、内部空間141を有し、内部空間141にスティック型基材150の一部を収容しながらスティック型基材150を保持する。保持部140は、内部空間141を外部に連通する開口142を有し、開口142から内部空間141に挿入されたスティック型基材150を保持する。例えば、保持部140は、開口142及び底部143を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間141を画定する。保持部140は、スティック型基材150へ供給される空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部143に配置される。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口142である。
【0048】
スティック型基材150は、基材部151、及び吸口部152を含む。基材部151は、エアロゾル源を含む。なお、本構成例において、エアロゾル源は液体に限られるものではなく、固体であってもよい。スティック型基材150が保持部140に保持された状態において、基材部151の少なくとも一部は内部空間141に収容され、吸口部152の少なくとも一部は開口142から突出する。そして、開口142から突出した吸口部152をユーザが咥えて吸引すると、図示しない空気流入孔から内部空間141に空気が流入し、基材部151から発生するエアロゾルと共にユーザの口内に到達する。
【0049】
加熱部121Bは、第1の構成例に係る加熱部121Aと同様の構成を有する。ただし、
図2に示した例では、加熱部121Bは、フィルム状に構成され、保持部140の外周を覆うように配置される。そして、加熱部121Bが発熱すると、スティック型基材150の基材部151が外周から加熱され、エアロゾルが生成される。
【0050】
断熱部144は、加熱部121Bから他の構成要素への伝熱を防止する。例えば、断熱部144は、真空断熱材、又はエアロゲル断熱材等により構成される。
【0051】
以上、吸引装置100Bの構成例を説明した。もちろん吸引装置100Bの構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0052】
一例として、加熱部121Bは、ブレード状に構成され、保持部140の底部143から内部空間141に突出するように配置されてもよい。その場合、ブレード状の加熱部121Bは、スティック型基材150の基材部151に挿入され、スティック型基材150の基材部151を内部から加熱する。他の一例として、加熱部121Bは、保持部140の底部143を覆うように配置されてもよい。また、加熱部121Bは、保持部140の外周を覆う第1の加熱部、ブレード状の第2の加熱部、及び保持部140の底部143を覆う第3の加熱部のうち、2以上の組み合わせとして構成されてもよい。
【0053】
他の一例として、保持部140は、内部空間141を形成する外殻の一部を開閉する、ヒンジ等の開閉機構を含んでいてもよい。そして、保持部140は、外殻を開閉することで、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を挟持してもよい。その場合、加熱部121Bは、保持部140における当該挟持箇所に設けられ、スティック型基材150を押圧しながら加熱してもよい。
【0054】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部121Bによる加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、誘導加熱であってもよい。
【0055】
また、吸引装置100Bは、第1の構成例に係る加熱部121A、液誘導部122、液貯蔵部123、及び空気流路180をさらに含んでいてもよく、空気流路180の空気流出孔182が内部空間141への空気流入孔を兼ねていてもよい。この場合、加熱部121Aにより生成されたエアロゾルと空気との混合流体は、内部空間141に流入して加熱部121Bにより生成されたエアロゾルとさらに混合され、ユーザの口腔内に到達する。
【0056】
<<2.技術的課題>>
上記特許文献1には、吸引装置に設けられたくぼみにセンサを設け、くぼみにユーザの指が接触した場合に、当該くぼみにおける接触部分からユーザの生体情報を検出する技術が開示されている。
【0057】
しかし、接触部分から生体情報を検出するという特性上、ユーザがセンサに指を接触させなければ生体情報を検出することができない。その上、特許文献1では、センサが設けられるくぼみは、パフに必要な操作との関係が無い位置に設けられている。生体情報を検出するための方策として、指をセンサに接触させるようユーザに促すことも考えられるが、パフに不要な動作をユーザに要求することとなり、ユーザビリティの観点から適切であるとは言い難い。
【0058】
上記課題を解決するために、本実施形態に係る仕組みが提供される。
【0059】
<<3.技術的特徴>>
(1)吸引装置100の構成の補足
吸引装置100は、ユーザにより吸引される物質を生成する装置である。ユーザが吸引装置100を用いて、吸引装置100により生成された物質を吸引しようとする動作を、以下では単に吸引(パフ)又は吸引動作とも称する。パフの一例は、吸引装置100Aのマウスピース124を咥えて吸引することである。パフの他の一例は、吸引装置100Bに挿入されたスティック型基材150の吸口部152を咥えて吸引することである。ユーザは、パフを行うことで、吸引装置100により生成された物質を吸引することができる。
【0060】
吸引装置100は、基材に含まれる内容物を消費することで、ユーザに吸引される物質を生成する。上述した、カートリッジ120、香味付与カートリッジ130、及びスティック型基材150は、基材の一例である。液貯蔵部123に貯蔵されたエアロゾル源、香味付与カートリッジ130に含まれる香味源131、及びスティック型基材150に含まれるエアロゾル源は、基材に含まれる内容物の一例である。エアロゾルは、ユーザに吸引される物質の一例である。
【0061】
本実施形態では、吸引装置100は、上記説明した第1の構成例、又は第2の構成例のうち任意の構成例を取り得る。即ち、本実施形態に係る吸引装置100は、吸引装置100A又は吸引装置100Bのいずれか、又はこれらの構成例の変形例と同様の構成を有する。
【0062】
以下では、本実施形態に係る吸引装置100の構成のうち、上記各構成例において説明した吸引装置100A及び吸引装置100Bの構成に対し、補足又は強調すべき点について主に説明する。
【0063】
第1の構成例において、電源ユニット110とカートリッジ120とは、互いに電気的及び/又は機械的(物理的を含む)に接続可能である。電源ユニット110とカートリッジ120とは、着脱可能に構成されている。同様に、カートリッジ120と香味付与カートリッジ130とは、互いに電気的及び/又は機械的(物理的を含む)に接続可能である。カートリッジ120と香味付与カートリッジ130とは、着脱可能に構成されている。
【0064】
典型的には、電源ユニット110とカートリッジ120とが接続され、且つカートリッジ120と香味付与カートリッジ130とが接続された状態で、ユーザによる吸引が行われる。そして、カートリッジ120に含まれるエアロゾル源が枯渇した場合には、古いカートリッジ120は取り外され、新たなカートリッジ120に交換される。また、香味付与カートリッジ130に含まれる香味成分が枯渇した場合には、古い香味付与カートリッジ130は取り外され、新たな香味付与カートリッジ130に交換される。
【0065】
(2)吸引装置100に関する情報の検出機構
吸引装置100は、吸引装置100に関する情報を検出する吸引関連情報検出部を備える。吸引関連情報検出部は、例えばセンサ部112に含まれる。以下、吸引関連情報検出部により検出される情報の一例を説明する。
【0066】
吸引関連情報検出部は、吸引装置100に関する情報として、吸引装置100に対してユーザ操作が入力されたことを検出してもよい。吸引装置100は、ユーザによる操作を受け付ける操作部を備える。そして、吸引関連情報検出部は、操作部への操作を検出する。第1の構成例における基材とは、カートリッジ120及び香味付与カートリッジ130である。第2の構成例における基材とは、スティック型基材150である。操作部の一例は、ボタンである。ユーザによる操作の一例は、ボタンの押下である。
【0067】
吸引関連情報検出部は、吸引装置100に関する情報として、吸引装置100により生成されたエアロゾルをユーザが吸引しようとしたこと、即ちパフが行われたことを検出してもよい。例えば、吸引関連情報検出部は、マイクロホンコンデンサ等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサ等により取得された、ユーザによる吸引に伴う値に基づいて、パフが行われたことを検出する。
【0068】
吸引関連情報検出部は、吸引装置100に関する情報として、吸引装置100がエアロゾルを生成するために使用する基材に関する情報を検出してもよい。一例として、吸引関連情報検出部は、吸引装置100に基材が設定されたことを検出する。吸引装置100に基材を設定するとは、第1の構成例において電源ユニット110、カートリッジ120及び香味付与カートリッジ130を接続すること、及び第2の構成例において吸引装置100Bにスティック型基材150を挿入することを指す。他の一例として、吸引関連情報検出部は、吸引装置100における基材の設定が解除されたことを検出する。基材の設定を解除するとは、第1の構成例において電源ユニット110、カートリッジ120及び香味付与カートリッジ130の接続を解除すること、及び第2の構成例において吸引装置100Bからスティック型基材150を抜去することを指す。他の一例として、吸引関連情報検出部は、吸引装置100に設定された基材の識別情報を検出する。基材の識別情報の一例は、基材の種別を示す情報である。吸引関連情報検出部は、カメラを含んでいてもよく、撮像した画像に基材が含まれるか否かにより基材の設定/解除を検出し、基材を含む画像を解析することで基材の識別情報を検出してもよい。
【0069】
(3)生体情報の検出機構
吸引装置100は、ユーザの生体情報を検出する生体情報検出部を備える。生体情報検出部は、例えばセンサ部112に含まれる。生体情報とは、体に関する情報全般を指す。例えば、生体情報は、血圧、心拍数(若しくは脈拍)、血中酸素濃度、及び酸素飽和度の少なくもいずれかを含む。他にも、生体情報は、体温、及び呼吸数等の他の任意の情報を含んでいてもよい。また、生体情報は、血圧等の1次的に取得される情報を加工することで得られる、眠気等の2次的に取得される情報を含んでいてもよい。なお、2次的に取得される情報は、血圧等の物理的な情報から推定される、ユーザの感情等の精神的な情報を含んでいてもよい。
【0070】
生体情報検出部は、送信波を送信し、送信した送信波がユーザの体から反射された反射波を受信し、受信した反射波に基づいて生体情報を検出する。詳しくは、生体情報検出部は、反射波単体に基づいて、もしくは反射波と送信波との関係性に基づいて、生体情報を検出する。例えば、生体情報検出部は、反射波の時系列推移により示される血管の直径の時系列推移に基づいて、血圧等の血管に関する情報を検出する。他にも、生体情報検出部は、赤外線カメラを含んでいてもよく、皮膚表面の温度としての体温を検出してもよい。
【0071】
送信波の一例は、光である。送信波は、可視光線であってもよいし、赤外線及び紫外線等の不可視光線であってもよい。生体情報検出部は、複数種類の送信波を送信してもよい。もちろん、送信波は、ユーザの体により反射された反射波に基づいて生体情報を検出可能な他の任意の波であってもよい。一例として、送信波は、電波であってもよい。
【0072】
生体情報検出部は、操作部又は操作部の近傍に配置される。かかる構成により、操作部をユーザが操作するタイミングで、生体情報を検出することが可能となる。即ち、生体情報検出部は、ユーザが吸引装置100を操作しようとするタイミングで、生体情報を検出することが可能である。従って、不要な動作をユーザに要求してユーザビリティを害するようなことなく、自然に生体情報を検出することが可能となる。
【0073】
吸引装置100は、操作部、又は操作部の近傍の少なくとも一方に、送信波及び反射波を透過する透過部を備える。一例として、透過部は、透明又は半透明に構成されてもよい。かかる構成により、生体情報検出部は、操作部をユーザが操作するタイミングで、送信波を送信して反射波を受信し、生体情報を検出することが可能となる。
【0074】
生体情報検出部の配置例について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0075】
図3は、本実施形態に係る生体情報検出部の配置の一例を説明するための図である。
図3に示すように、操作部160はボタンであり、ユーザは指Fで操作部160を押下する。
図3に示す例では、生体情報検出部170は、操作部160であるボタンに内蔵、即ち操作部160に配置されている。操作部160の表面は透過部161として構成されており、生体情報検出部170から送信された送信波W
T、及び送信波W
Tがユーザの指Fにより反射された反射波W
Rを透過する。
【0076】
図4は、本実施形態に係る生体情報検出部の配置の一例を説明するための図である。
図4に示すように、操作部160はボタンであり、ユーザは指Fで操作部160を押下する。
図4に示す例では、生体情報検出部170は、操作部160であるボタンの土台部分、即ち操作部160の近傍に配置されている。操作部160の土台部分のうち操作部160の周縁部は透過部161として構成されており、生体情報検出部170から送信された送信波W
T、及び送信波W
Tがユーザの指Fにより反射された反射波W
Rを透過する。
【0077】
(4)生体情報の検出に関する他の特徴
制御部116は、操作部160により受け付けられた操作に応じてエアロゾルを生成する生成部の動作を制御する。本実施形態における生成部とは、加熱部121である。一例として、制御部116は、電源部111から加熱部121への給電を開始して、加熱部121による加熱を開始することで、エアロゾルを生成させる。他の一例として、制御部116は、電源部111から加熱部121への給電が可能な状態にすることで、エアロゾルの生成を開始可能な状態にする。制御部116は、かかる状態において追加の操作がなされた場合に電源部111から加熱部121への給電を開始して、加熱部121による加熱を開始することで、エアロゾルを生成させる。追加の操作の一例は、パフである。これらの、エアロゾルの生成を開始する動作、及びエアロゾルの生成を開始可能な状態にする動作を、エアロゾル生成開始動作とも称する。ユーザは、エアロゾル生成開始動作が行われた後にパフを行うことで、エアロゾルを吸引することが可能となる。
【0078】
このように、ユーザは、操作部160を操作することで、吸引装置100にエアロゾル生成開始動作を実行させ、パフを行ってエアロゾルを吸引することが可能となる。即ち、生体情報検出部は、エアロゾルを吸引するために必要な操作である操作部160の操作をユーザが行うタイミングで、生体情報を検出することが可能である。従って、エアロゾルを吸引するために不要な動作をユーザに要求してユーザビリティを害するようなことなく、自然に生体情報を検出することが可能となる。
【0079】
生体情報検出部170は、加熱部121によるエアロゾルの生成が開始されるより前に、生体情報を検出してもよい。かかる構成により、ユーザがエアロゾルを体内に取り込む前の、即ち、パフにより体内にエアロゾルが取り込まれる前の生体情報を検出することが可能となる。
【0080】
制御部116は、所定の操作を所定期間継続して行う第1の操作が操作部160により受け付けられた場合に、第1の操作に対応する動作を行うよう加熱部121を制御してもよい。その場合、生体情報検出部170は、第1の操作が行われる期間において生体情報を検出する。所定の操作の一例は、ボタンである操作部160の押下である。即ち、第1の操作の一例は、ボタンの長押しである。第1の操作に対応する動作の一例は、エアロゾル生成開始動作である。かかる構成によれば、エアロゾルを吸引するために必要な操作であるボタンの長押しをユーザが行っている間に、ユーザビリティを害することなく自然に生体情報を検出することが可能である。
【0081】
制御部116は、所定の操作を所定回数連続して行う第2の操作が操作部160により受け付けられた場合に、第2の操作に対応する動作を行うよう加熱部121を制御してもよい。その場合、生体情報検出部170は、第2の操作が行われる期間において生体情報を検出する。所定の操作の一例は、ボタンである操作部160の押下である。即ち、第2の操作の一例は、ボタンの連続押下である。第2の操作に対応する動作の一例は、エアロゾル生成開始動作である。かかる構成によれば、エアロゾルを吸引するために必要な操作であるボタンの連続押下をユーザが行っている間に、ユーザビリティを害することなく自然に生体情報を検出することが可能である。
【0082】
ここで、反射波に基づく生体情報の検出精度は、反射波が得られた期間が長くなるほど、及び当該期間において得られた反射波の数が多いほど、高まる傾向にある。例えば、反射波の時系列推移により示される血管の直径の時系列推移に基づいて、血圧等の血管に関する情報を検出する技術においては、最低限の検出精度を満たすために、所定期間(例えば、数秒)の時系列推移のデータが求められる場合がある。この点、ボタンの長押し、又はボタンの連続押下が行われる期間において生体情報を検出することで、反射波が得られる期間を長くし、且つ得られる反射波の数を多くすることができるので、生体情報の検出精度を向上させることが可能となる。
【0083】
制御部116は、生体情報検出部170により生体情報が検出されたことを条件に、操作部160により受け付けられた操作に応じた制御を実行してもよい。例えば、制御部116は、生体情報が検出された場合に、エアロゾル生成開始動作を実行してもよい。他方、制御部116は、生体情報が検出されない場合に、エアロゾル生成開始動作を実行しなくてもよい。かかる構成によれば、吸引装置100を操作しようとするユーザから、確実に生体情報を検出することが可能となる。
【0084】
生体情報検出部170は、加熱部121によるエアロゾルの生成が開始された後に生体情報を検出してもよい。例えば、ユーザがエアロゾル生成開始動作を実行させるためにボタンを押下した後、パフを行っている間も継続してボタンに指を接触させている場合に、生体情報検出部170は生体情報を検出する。また、生体情報検出部170は、パフが検出されるたびに、生体情報を検出してもよい。かかる構成によれば、ユーザがエアロゾルを体内に取り込んだ後の、即ち、パフにより体内に取り込んだエアロゾルがユーザの体に影響を与えた後の生体情報を検出することが可能となる。
【0085】
(5)所定の制御の実行
制御部116は、加熱部121によるエアロゾルの生成が開始される前に検出された第1の生体情報と加熱部121によるエアロゾルの生成が開始された後に検出された第2の生体情報との差分が所定条件を満たす場合に、所定の制御を行ってもよい。差分は、例えば血圧の差及び心拍数の差等であってもよいし、血圧の差及び心拍数の差等の1次的な差分を加工することで得られる、リラックスレベル等の2次的な差分であってもよい。例えば、血圧及び心拍数が低下した度合いが高いほど、リラックスレベルが高いことが推定される。所定条件の一例は、第1の生体情報と第2の生体情報との差分が所定の閾値を超えたことである。かかる構成によれば、パフにより体内に取り込んだエアロゾルがユーザの体に所定の影響を与えた場合に所定の制御を行うことが可能となる。
【0086】
所定の制御は、加熱部121の動作を定義する動作プロファイルを変更することを含んでいてもよい。動作プロファイルは、一例として、加熱開始からの経過時間と、当該経過時間における加熱部121の温度とを定義する。動作プロファイルを変更することで、例えば、エアロゾルの生成量、及びエアロゾルに含まれる香味成分の量等を変更することができる。従って、動作プロファイルを変更することで、例えばリラックス効果をより高める等の、ユーザの体に与える影響を変化させることが可能となる。
【0087】
所定の制御は、エアロゾルを生成する機能に制限を課すことを含んでいてもよい。エアロゾルを生成する機能に制限を課すことの一例は、加熱部121による加熱を所定時間実行しないことである。エアロゾルを生成する機能に制限を課すことの他の一例は、操作部160への操作に応じた処理を実行しないことである。エアロゾルを生成する機能に制限を課すことの他の一例は、吸引装置100を電源OFF状態にすることである。電源OFF状態とは、吸引装置100が有する機能のうち一部が実行可能な状態である。例えば、電源OFF状態においては、センサ部112の機能のうち、吸引装置100を起動状態にする動作(例えば、操作部160の操作)を検出する機能のみが、実行可能であってもよい。なお、起動状態とは、吸引装置100が有する全ての機能を実行可能な状態である。かかる構成によれば、パフにより体内に取り込んだエアロゾルがユーザに所定の影響を与えた場合に、エアロゾルを生成する機能に制限を課すことが可能となる。
【0088】
通知部113は、上述した所定の制御が行われた場合、所定の制御が行われたことを示す情報を通知してもよい。一例として、通知部113は、変更後の動作プロファイル、又はエアロゾルを生成する機能に課された制限に対応する発光パターンで発光したり、振動パターンで振動したりする。情報の通知は、スマートフォン等の他の装置を介して行われてもよい。かかる構成により、ユーザは、上述した所定の制御が行われたことを認識することが可能となる。
【0089】
制御部116は、所定の制御を行うか否かを判定するための、第1の生体情報と第2の生体情報との差分に係る所定条件を、ユーザ入力に応じて設定してもよい。例えば、ユーザは、スマートフォン等を介して、事前に所定条件を設定する。かかる構成によれば、所定条件をユーザの好みに応じて設定することが可能となる。
【0090】
(6)生体情報の送信
通信部115は、他の装置との間で無線通信を行う無線通信部の一例である。通信部115は、他の装置に生体情報を送信してもよい。他の装置の一例は、吸引装置100に対応付けられたスマートフォン等の端末装置である。かかる構成によれば、スマートフォン等により、ユーザの生体情報に応じた処理を実行することが可能となる。
【0091】
通信部115は、生体情報に関連する情報と生体情報とを対応付けて送信してもよい。生体情報に関連する情報は、一例として、生体情報の検出時刻、加熱部121がエアロゾルを生成するために使用した基材の識別情報、及び吸引装置100の識別情報の少なくともいずれかを含む。かかる構成によれば、受信側の装置は、生体情報に関連する情報と生体情報との関係を分析することが可能となる。
【0092】
記憶部114は、生体情報を記憶してもよい。かかる構成によれば、吸引装置100に生体情報を蓄積することが可能である。さらに、記憶部114は、生体情報に関連する情報と生体情報とを対応付けて記憶してもよい。かかる構成によれば、生体情報に関連する情報と生体情報との関係を、蓄積された情報に基づいて後に分析することが可能となる。
【0093】
吸引装置100は、通信部115と他の装置との無線接続の有無に応じて、生体情報を送信するか記憶するかを切り替えてもよい。例えば、通信部115と他の装置とが無線接続されているときに生体情報検出部170により生体情報が検出された場合、通信部115は生体情報を送信してもよい。また、通信部115と他の装置とが無線接続されていないときに生体情報検出部170により生体情報が検出された場合、記憶部114は生体情報を記憶してもよい。その後、通信部115と他の装置とが無線接続された場合に、通信部115は、記憶部114に蓄積された生体情報を送信してもよい。もちろん、上記切り替えにおいて、生体情報に関連する情報と生体情報とが対応付けられて、送信又は記憶されてもよい。かかる構成によれば、無線接続されている場合には生体情報を即時送信しつつ、無線接続されていない場合には生体情報を蓄積しておき、事後的にまとめて送信することが可能となる。
【0094】
(7)処理の流れ
図5は、本実施形態に係る吸引装置100において実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0095】
図5に示すように、まず、吸引装置100は、操作部160への操作が開始されたか否かを判定する(ステップS102)。例えば、吸引装置100は、ボタンの長押し又はボタンの連続押下が開始されたか否かを判定する。操作部160への操作が開始されていないと判定された場合(ステップS102:NO)、吸引装置100は、操作部160への操作が開始されるまで待機する。
【0096】
操作部160への操作が開始されたと判定された場合(ステップS102:YES)、吸引装置100は、生体情報を検出する(ステップS104)。
【0097】
次に、吸引装置100は、生体情報の検出に成功したか否かを判定する(ステップS106)。所定精度の生体情報を検出するためには、ボタンが長押しされた期間が所定期間以上になること、又はボタンが連続押下された回数が所定回数以上になることが望ましい。そのため、吸引装置100は、ボタンが長押しされた期間が所定期間以上になること、又はボタンが連続押下された回数が所定回数以上になった場合に、生体情報の検出に成功したと判定し、そうでない場合に生体情報の検出に成功していないと判定してもよい。
【0098】
生体情報の検出に成功していないと判定された場合(ステップS106:NO)、吸引装置100は、操作部160への操作が終了したか否かを判定する(ステップS108)。操作部160への操作が終了していないと判定された場合(ステップS108:NO)、処理は再度ステップS104に戻り、吸引装置100は、生体情報の検出を継続する。他方、操作部160への操作が終了したと判定された場合(ステップS108:YES)、処理は終了する。
【0099】
生体情報の検出に成功したと判定された場合(ステップS106:YES)、吸引装置100は、電源部111から加熱部121への給電を開始し、エアロゾルの生成を開始する(ステップS110)。その後、処理は終了する。
【0100】
<<4.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
例えば、上記実施形態では、操作部160がボタンである例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。操作部160は、タッチパネル及びスイッチ等の他の任意の入力装置として構成されてもよい。
【0102】
例えば、上記実施形態では操作部160への操作が開始されたと判定された場合に(ステップS102:YES)、吸引装置100が生体情報を検出する(ステップS104)例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、操作部160(例えば、ボタン表面)にタッチセンサが設けられていてもよい。そして、操作部160に指が触れた瞬間(即ち、操作部160への操作が開始されたと判定されるよりも前)に、タッチセンサによる接触検知をトリガとして、生体情報検出部は、送信波を送信し、生体情報の検出を開始してもよい。かかる構成によれば、ボタンが押下されてから生体情報の検出を開始する場合と比較して、生体情報の検出時間を長くすることができるので、正確なデータの取得に寄与することが可能となる。なお、ボタン押下又は接触検知のいずれをトリガとして生体情報を検出するかは、ユーザにより設定されてもよい。
【0103】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0104】
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0105】
なお、以下のような構成も本発明の技術的範囲に属する。
(1)
ユーザによる操作を受け付ける操作部と、
前記ユーザの生体情報を検出する生体情報検出部と、
を備え、
前記生体情報検出部は、前記操作部又は前記操作部の近傍に配置される、
吸引装置。
(2)
前記生体情報検出部は、送信波を送信し、前記送信波が前記ユーザの体により反射された反射波を受信し、受信した前記反射波に基づいて前記生体情報を検出する、
前記(1)に記載の吸引装置。
(3)
前記操作部、又は前記操作部の近傍の少なくとも一方に、前記送信波及び前記反射波を透過する透過部を備える、
前記(2)に記載の吸引装置。
(4)
前記生体情報は、血圧、心拍数、血中酸素濃度、及び酸素飽和度の少なくもいずれかを含む、
前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(5)
前記操作部により受け付けられた操作に応じて、前記ユーザに吸引されるエアロゾルを生成する生成部の動作を制御する制御部をさらに備える、
前記(1)~(4)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(6)
前記生体情報検出部は、前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始されるより前に、前記生体情報を検出する、
前記(5)に記載の吸引装置。
(7)
前記制御部は、所定の操作を所定期間継続して行う第1の操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記第1の操作に対応する動作を行うよう前記生成部を制御し、
前記生体情報検出部は、前記第1の操作が行われる期間において前記生体情報を検出する、
前記(6)に記載の吸引装置。
(8)
前記制御部は、所定の操作を所定回数連続して行う第2の操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記第2の操作に対応する動作を行うよう前記生成部を制御し、
前記生体情報検出部は、前記第2の操作が行われる期間において前記生体情報を検出する、
前記(6)に記載の吸引装置。
(9)
前記生体情報検出部は、前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始された後に前記生体情報を検出する、
前記(5)~(8)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(10)
前記制御部は、前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始される前に検出された第1の前記生体情報と前記生成部による前記エアロゾルの生成が開始された後に検出された第2の前記生体情報との差分が所定条件を満たす場合に、所定の制御を行う、
前記(9)に記載の吸引装置。
(11)
前記所定の制御は、前記生成部の動作を定義する動作プロファイルを変更すること、及び前記エアロゾルを生成する機能に制限を課すことの少なくともいずれかを含む、
前記(10)に記載の吸引装置。
(12)
前記所定の制御が行われたことを示す情報を通知する通知部をさらに備える、
前記(10)又は(11)に記載の吸引装置。
(13)
前記制御部は、前記生体情報検出部により前記生体情報が検出されたことを条件に、前記操作部により受け付けられた操作に応じた制御を実行する、
前記(5)~(12)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(14)
前記吸引装置は、
他の装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
情報を記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記無線通信部と前記他の装置とが無線接続されているときに前記生体情報検出部により前記生体情報が検出された場合、前記無線通信部は前記生体情報を送信し、
前記無線通信部と前記他の装置とが無線接続されていないときに前記生体情報検出部により前記生体情報が検出された場合、前記記憶部は前記生体情報を記憶する、
前記(5)~(13)のいずれか一項に記載の吸引装置。
(15)
前記無線通信部は、前記生体情報の検出時刻、前記生成部がエアロゾルを生成するために使用した基材の識別情報、及び前記吸引装置の識別情報の少なくともいずれかと前記生体情報とを対応付けて送信し、
前記記憶部は、前記生体情報の検出時刻、前記基材の識別情報、及び前記吸引装置の識別情報の少なくともいずれかと前記生体情報とを対応付けて記憶する、
前記(14)に記載の吸引装置。
(16)
操作部及び生体情報検出部を有する吸引装置を制御する制御方法であって、
前記操作部へのユーザによる操作を検出することと、
前記操作部又は前記操作部の近傍に配置された前記生体情報検出部により前記ユーザの生体情報を検出することと、
を含む、制御方法。
(17)
操作部及び生体情報検出部を有する吸引装置を制御するコンピュータにより、
前記操作部へのユーザによる操作を検出することと、
前記操作部又は前記操作部の近傍に配置された前記生体情報検出部により前記ユーザの生体情報を検出することと、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0106】
100 吸引装置
110 電源ユニット
111 電源部
112 センサ部
113 通知部
114 記憶部
115 通信部
116 制御部
120 カートリッジ
121 加熱部
122 液誘導部
123 液貯蔵部
124 マウスピース
130 香味付与カートリッジ
131 香味源
140 保持部
141 内部空間
142 開口
143 底部
144 断熱部
150 スティック型基材
151 基材部
152 吸口部
160 操作部
161 透過部
170 生体情報検出部
180 空気流路
181 空気流入孔
182 空気流出孔