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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】薬剤供給装置および薬剤供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/30 20060101AFI20231018BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B65B1/30 A
A61J3/00 310F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022558883
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2021031580
(87)【国際公開番号】W WO2022091558
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2020179599
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 朗
(72)【発明者】
【氏名】濱 浩志
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-225561(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244878(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を1錠ずつ排出する複数のカセットと、
前記複数のカセットの中から選択された複数のカセットからなる複数のグループを設定する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、薬剤排出動作を行う複数のカセットから排出される薬剤の錠数それぞれが、前記複数のグループの1つの中においても前記複数のグループの間においても平準化されるように、1回の分包動作で同時に薬剤排出動作を行うことが可能なカセット数に対して、前記複数のグループそれぞれに属する前記複数のカセットの中から同時に薬剤排出動作を行うカセットを選択する、
薬剤供給装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記複数のグループそれぞれについて、前記薬剤排出動作を行うカセットから排出される薬剤の錠数の平均値を算出し、
算出された前記平均値それぞれが前記複数のグループの間において平準化されるように、前記薬剤排出動作を行うカセットを選択する、
請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記複数のグループそれぞれについて平準化された前記平均値に基づいて、前記薬剤排出動作を行うカセットから排出される薬剤の錠数それぞれを、前記複数のグループの1つの中において平準化されるように設定する、
請求項2に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記複数のグループの1つの中において、前記複数のカセットに収納されている薬剤の残りの錠数それぞれが平準化されるように、前記薬剤排出動作を行うカセットを選択する、
請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記複数のカセットを分担して収納する複数の棚をさらに備え、
前記制御装置は、前記複数の棚のうち1つの棚に収納された前記複数のカセットの中から前記複数のグループの1つを構成するカセットを選択する、
請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
前記複数のカセットを分担して収納する複数の棚と、
前記複数の棚の下方に配置され、前記薬剤排出動作を行うカセットから排出された前記薬剤を集める集合部と、をさらに備え、
前記制御装置は、
他の前記薬剤排出動作を行うカセットに比べて排出する薬剤の錠数が多い前記薬剤排出動作を行うカセットを、前記複数の棚の中の他の棚より前記集合部の近くに配置された棚に収納された前記複数のカセットの中から選択する、
請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項7】
薬剤を1錠ずつ排出する複数のカセットの中から選択された複数のカセットからなる複数のグループを設定するステップと、
薬剤排出動作を行う複数のカセットから排出される薬剤の錠数それぞれが、前記複数のグループの1つの中においても前記複数のグループの間においても平準化されるように、1回の分包動作で同時に薬剤排出動作を行うことが可能なカセット数に対して、前記複数のグループそれぞれに属する前記複数のカセットの中から同時に薬剤排出動作を行うカセットを選択するステップと、を含む、
薬剤供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤供給装置および薬剤供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上下方向および左右方向に複数並べられた棚それぞれに収容された複数のカセットから処方せんで指定された薬剤を排出し、排出された薬剤を棚の下方に配置されたホッパで集めて分包する薬剤供給装置が記載されている。
【0003】
カセットは薬剤を一つずつ排出するため、一包当たりに指定された同一種類の薬剤の個数が多くなるにしたがって、一包当たりの薬剤が供給される時間が長くなる。そこで、同一種類の薬剤を収容する複数のカセットをまとめてグループを設定し、グループから同一種類の薬剤を同時に複数排出することで、薬剤を供給する時間を短くすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平7-35301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した薬剤供給装置において、一包当たりに薬剤排出動作を行うことができるカセットの総数が制限され、かつ、複数のグループが設定されることにより、1つのカセットから排出される薬剤の錠数が比較的多くなると、薬剤を供給する時間が比較的長くなる。
【0006】
本開示は、薬剤供給装置において、薬剤を供給する時間の短時間化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本開示における薬剤供給装置は、薬剤を1錠ずつ排出する複数のカセットと、複数のカセットの中から選択された複数のカセットからなる複数のグループを設定する制御装置と、を備え、制御装置は、薬剤排出動作を行う複数のカセットから排出される薬剤の錠数それぞれが、複数のグループの1つの中においても複数のグループの間においても平準化されるように、1回の分包動作で同時に薬剤排出動作を行うことが可能なカセット数に対して、複数のグループそれぞれに属する前記複数のカセットの中から同時に薬剤排出動作を行うカセットを選択する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の薬剤供給装置によれば、薬剤を供給する時間の短時間化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る薬剤供給装置の斜視図
図2】薬剤供給装置の縦断面図
図3】制御装置が実行するプログラムのフローチャート
図4】情報テーブルを示す図
図5A】情報テーブルを示す図
図5B】情報テーブルを示す図
図5C】情報テーブルを示す図
図5D】情報テーブルを示す図
図5E】情報テーブルを示す図
図5F】情報テーブルを示す図
図5G】情報テーブルを示す図
図5H】情報テーブルを示す図
図5I】情報テーブルを示す図
図5J】情報テーブルを示す図
図5K】情報テーブルを示す図
図5L】情報テーブルを示す図
図6】制御装置が実行するプログラムのフローチャート
図7】排出数テーブルを示す図
図8】制御装置の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の薬剤供給装置1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、図1における上側および下側をそれぞれ薬剤供給装置1の上方および下方とし、同じく左側および右側をそれぞれ薬剤供給装置1の左方および右方とし、同じく左下側および右上側をそれぞれ薬剤供給装置1の前方および後方として説明する。
【0011】
図1は、薬剤供給装置1の一例を示す斜視図である。薬剤供給装置1は、1階部10および2階部20を有する。
【0012】
1階部10は、操作部11と、取り出し部12とを備える。また、1階部10は、入力部(不図示)を備える。
【0013】
操作部11は、操作者によって操作される装置であり、例えば、ディスプレイ、操作ボタン等を備える。使用者によって操作部11が操作されることにより、薬剤供給装置1に対して各種情報が入力される。
【0014】
取り出し部12からは、薬剤供給装置1において分包された薬剤が取り出される。取り出し部12は開口を有し、使用者は開口から薬剤を取り出す。
【0015】
入力部は、外部機器から各種情報が入力される入力装置である。入力部は、例えば、パーソナルコンピュータに接続され、パーソナルコンピュータから、例えば、医療機関において発行された処方せんの情報が入力される。
【0016】
2階部20は、複数のカセットCを分担して収納する複数の棚21を備えている。2階部20は、棚21を20個備えている。複数の棚21は、上下方向に5段、左右方向に4列並ぶように配置されている。なお、2階部20が備える棚21の数および配置は、本実施形態のものに限られず、上下の段数および/または左右の列数が、上述のものより多くても少なくてもよい。
【0017】
次に、2階部20および1階部10の内部構造について図2を用いて説明する。
【0018】
複数の棚21それぞれには、複数のカセットCが、棚21の左右方向両側に前後方向に沿って収納されている。各カセットCには、複数の薬剤が収納されている。複数のカセットCの中の1つには、1種類の薬剤が収納されている。複数のカセットCのうち互いに異なるカセットCに収納されている薬剤の種類は、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。複数のカセットCそれぞれは、収納されている薬剤を1錠ずつ排出するように構成されている。
【0019】
カセットCから排出された薬剤は、通路Rを落下して、1階部10に導出される。通路Rは、複数の棚21それぞれを上下方向に貫通するように設けられている。
【0020】
次に、1階部10について説明する。1階部10は、集合部13と、包装ユニット14と、制御装置15と、を備える。
【0021】
集合部13は、1階部10に導出された薬剤を受け止めて、受け止めた薬剤を包装ユニット14に導出口13aから導出するものである。導出口13aは、集合部13のおよそ中央部に設けられている。集合部13は、例えばホッパである。
【0022】
包装ユニット14は、集合部13から導出された薬剤を包装するものである。包装ユニット14は、搬送部14aと、プリンタ14bと、シール装置14cとを有する。
【0023】
搬送部14aは、例えば、二つ折りにされた帯状の包装紙が巻かれたローラ(不図示)から包装紙を繰り出し、繰り出した包装紙をシール装置14c側に向けて搬送する装置である。集合部13から導出された薬剤は、包装紙に乗せられて、包装紙とともにシール装置14cに向けて搬送される。
【0024】
プリンタ14bは、ローラから繰り出された包装紙の表面に、例えば、患者の氏名、当該包装紙に供給される薬剤名、および、服用日時などを印刷する印刷機である。
【0025】
シール装置14cは、薬剤が包まれた包装紙を封止する装置である。
【0026】
薬剤が封入された包装紙は、例えば、所定のタイミングで切断されるとともに、所定の装置によって取り出し部12に向けて搬送される。
【0027】
制御装置15は、薬剤供給装置1を統括制御するコンピュータである。制御装置15は、所定のプログラムを記憶している記憶部を有している。制御装置15は、入力部に入力された情報を取得して、取得した情報とプログラムに基づいて、各棚21に収納された複数のカセットCの薬剤排出動作を制御する(詳細は後述する)。薬剤排出動作とは、カセットCが薬剤を排出する動作のことである。
【0028】
制御装置15は、記憶部(不図示)を備えている。記憶部には、各棚21における複数のカセットCそれぞれの情報が記憶されている。カセットCの情報は、カセットCに収納されている薬剤の種類(例えば薬剤名)、カセットCの配置位置、および、カセットCに収納されている薬剤の残数などである。薬剤の残数は、操作部11または入力部から入力されるカセットCに薬剤が供給された時点の薬剤の錠数から、カセットCが薬剤排出動作を行う毎に、排出される薬剤の錠数を差し引くことで算出される。
【0029】
また、制御装置15は、所定の条件に基づいて複数のカセットCを選択し、選択されたカセットCによってグループを予め設定する。制御装置15は、グループを複数個設定する。グループは、操作部11または入力部から入力される情報に基づいて設定される。操作部11または入力部から、どの位置のカセットCにどの種類の薬剤が収納されているかということを示す薬剤位置情報が入力される。
【0030】
グループは、薬剤位置情報、つまり、薬剤の種類、および、カセットCの配置位置に基づいて設定される。1つのグループは、同一種類の薬剤を収納するカセットCによって構成される。例えば、第1のグループは、薬剤名「A薬」を収納するカセットCを4つ有している。
【0031】
また、制御装置15は、1つの棚21に収納されているカセットCを複数個選択して1つのグループを設定することができる。換言すれば、複数のグループの1つを構成する複数のカセットCは、1つの棚21に収納されている複数のカセットCの中から選択されていてもよい。また、制御装置15は、互いに異なる棚21に収納されているカセットCを複数個選択して他の1つのグループを設定することができる。換言すれば、複数のグループの1つを構成する複数のカセットCは、1つの棚21に収納されている1つ以上のカセットCと他の1つの棚に収納されている1つ以上のカセットCを含むように選択されていてもよい。
【0032】
制御装置15は、グループを設定したら、設定したグループにグループ番号を割り当てる。制御装置15は、記憶部に、グループ番号とそのグループ番号のグループに含まれるカセットCの配置位置を対応づけて記憶させる。
【0033】
次に、薬剤を分包する際に、制御装置15が実行するプログラム、および、制御装置15が薬剤排出動作を行うカセットCを選択する処理について図面を参照しながら説明する。
【0034】
制御装置15は、例えば、入力部から処方箋の情報が入力された時に、図3に示されるフローチャートによって表されるプログラムを実行する。処方箋の情報は、1包に含まれる薬剤の種類(例えば薬剤名)および各薬剤の錠数を含む。
【0035】
制御装置15は、図3に示すS10にて、情報テーブルT1に情報を入力する。情報テーブルT1は、プログラムを実行する際に記憶部に一時的に生成される。情報テーブルT1では、薬剤名、錠数、グループ番号、最大カセット数、割当カセット数、および、平均値が対応付けられている(図4)。
【0036】
薬剤名および錠数は、入力部から入力された1包あたりの薬剤の情報である。例えば、1包あたりの薬剤の情報は、薬剤名「A薬」が15錠、薬剤名「B薬」が10錠、薬剤名「C薬」が5錠、並びに、薬剤名「D薬」「E薬」「F薬」「G薬」および「H薬」が各1錠という情報である。このような情報が入力部から入力された場合、図4に示されるように、薬剤名および錠数が、情報テーブルT1に入力される。
【0037】
また、予め設定されているグループに含まれているカセットCに収納されている薬剤の薬剤名が入力された場合、制御装置15は、このグループのグループ番号を、入力された薬剤名に対応するグループ番号の欄に入力する。また、制御装置15は、このグループに含まれるカセットCの総数を、入力された薬剤名に対応する最大カセット数の欄に入力する。
【0038】
例えば、「A薬」が収納された4つのカセットCによって第1のグループが構成されている場合、情報テーブルT1において、「A薬」に対応するグループ番号には「1」が入力され、「A薬」に対応する最大カセット数には「4」が入力される。また、「B薬」が収納された4つのカセットCによって第2のグループが構成されている場合、情報テーブルT1において、「B薬」に対応するグループ番号には「2」が入力され、「B薬」に対応する最大カセット数には「4」が入力される。さらに、「C薬」が収納された4つのカセットCによって第3のグループが構成されている場合、情報テーブルT1において、「C薬」に対応するグループ番号には「3」が入力され、「C薬」に対応する最大カセット数には「4」が入力される。
【0039】
割当カセット数は、複数のグループの中の1つの中において薬剤排出動作を行うカセットCの個数である。S10において、割当カセット数は、初期値として「1」が入力されている。割当カセット数の設定についての詳細は後述する。
【0040】
平均値は、予め設定されているグループに含まれているカセットCに収納されている薬剤の薬剤名が入力された場合に入力される値であり、このグループ内で薬剤排出動作をするカセットCが、1包あたりに排出する錠数の平均値である。つまり、平均値は、情報テーブルT1の錠数の欄の値を割当カセット数の欄の値で除した値である。
【0041】
なお、予め設定されているグループに含まれていないカセットCに収納されている薬剤の薬剤名が入力された場合、この薬剤名に対応するグループ番号、最大カセット数、割当カセット数、および、平均値の欄には、情報が入力されない。情報テーブルT1のマス目に示されている「-」は、情報が入力されていないことを示している。
【0042】
図4に示す情報テーブルT1において、割当カセット数は、それぞれ初期値としての「1」が入力されている。また、上述したように、カセットCは薬剤を1つずつ排出する。よって、図4に示す情報テーブルT1に基づいて、制御装置15が複数のカセットCに薬剤排出動作を行わせた場合、第1のグループの中の1つのカセットCは「A薬」を15回排出し、第2のグループの中の1つのカセットCは「B薬」を10回排出し、第3のグループの中の1つのカセットCは「C薬」を5回排出する。また、「D薬」「E薬」「F薬」「G薬」および「H薬」を収納するカセットCそれぞれは、薬剤を1回排出する。
【0043】
図4に示す情報テーブルT1においては、「A薬」を排出するカセットCの薬剤排出動作の回数(15回)が最も多い。一方、他の薬剤を排出するカセットCは、設定された錠数を排出したら「A薬」が全て排出されるまで薬剤排出動作を行わない。よって、「A薬」が15回排出される時間は、1包当たりの薬剤が排出される時間に相当する。つまり、1包当たりの薬剤が排出される時間を短くするには、カセットCの薬剤排出動作の最大回数を少なくするとよい。
【0044】
カセットCの薬剤排出動作の最大回数を少なくするには、グループを構成するカセットCについて、割当カセット数を増やすとよい。割当カセット数を増やすと平均値が下がるため、カセットCの薬剤排出動作の最大回数が少なくなる。割当カセット数は最大カセット数まで増やすことができる。しかしながら、すべての薬剤について、割当カセット数を最大カセット数まで増やすことができない場合がある。なぜならば、薬剤供給装置1においては、1包当たりに薬剤排出動作を行うことができるカセットCの上限数が定められているためである。
【0045】
ここで、1包当たりに薬剤排出動作を行うことができるカセットCの上限数が15に定められている場合における、割当カセット数の総数について説明する。図3に示されているように、グループが設定されていない「D薬」「E薬」「F薬」「G薬」および「H薬」がそれぞれ1錠に設定されていると、「D薬」「E薬」「F薬」「G薬」および「H薬」について薬剤排出動作を行うカセットCが1個ずつ、すなわち合計5個のカセットCが必要となる。よって、1包当たりに薬剤排出動作を行うことができるカセットCの上限数が15である場合、グループが設定されている「A薬」「B薬」および「C薬」について薬剤排出動作を行うことができるカセットCの合計の最大値は15から5を差し引いた10となる。すなわち、グループが設定されている「A薬」「B薬」および「C薬」の割当カセット数の総数は、10までに制限される。
【0046】
つまり、制御装置15は、割当カセット数の総数が制限された状態で、1包当たりの薬剤が排出される時間を短くするように、割当カセット数を設定する。具体的には、制御装置15は、以下に続くプログラムにしたがって、割当カセット数を初期値から増加させて、割当カセット数の増加に応じて算出される平均値それぞれが複数のグループの間において平準化されるように、割当カセット数を設定する。
【0047】
以下、図4に示されている情報が入力された情報テーブルT1おいて、割当カセット数の総数が10までに制限されている状態おいて、制御装置15が割当カセット数を設定する場合について説明する。
【0048】
制御装置15は、S12にて、情報テーブルT1において、グループが設定されている薬剤の情報を平均値が降順になるように並べ替える。図4に示されている情報テーブルT1においては、平均値が降順に並んでいる。よって、情報テーブルT1は、並べ替えられずに、図4に示された状態のままとなる。続けて、制御装置15は、S14にて先頭の薬剤の情報を取得する。具体的には、制御装置15は、図4の情報テーブルT1において先頭に位置する「A薬」に対応する情報を取得する。
【0049】
さらに、制御装置15は、S16にて、取得した薬剤の情報における割当カセット数が最大カセット数より少ないか否かを判定する。取得した「A薬」の割当カセット数「1」は、最大カセット数「4」より少ない。この場合(S16にてYES)、S20に進み、制御装置15は、取得した薬剤の割当カセット数を1増加させる。つづいて、S22に進み、制御装置15は、平均値を算出する。具体的には、制御装置15は、図5Aに示される情報テーブルT1のように、「A薬」の割当カセット数に「2」を入力し、平均値に「7.5」(=錠数(=15)/割当カセット数(=2))を入力する。なお、図5A図5Lに示されている情報テーブルT1については、説明の便宜上、薬剤名「A薬」「B薬」「C薬」についてのみ表されている。
【0050】
続けて、制御装置15は、S24にて、割当カセット数の総数が使用可能カセット数より少ないか否かを確認する。使用可能カセット数は、1包当たりに薬剤排出動作を行うことができるカセットCの上限数から、グループが設定されていない薬剤を排出するカセットCの数を差し引いた値である。
【0051】
上記のように、1包当たりに薬剤排出動作を行うことができるカセットCの上限数は15であり、グループが設定されていない薬剤(「D薬」「E薬」「F薬」「G薬」および「H薬」)を排出するカセットの数は5である。よって、使用可能カセット数は10である。情報テーブルT1が図5Aに示される状態である時点において、割当カセット数の総数は4(=2+1+1)であるため、使用可能カセット数より少ない。
【0052】
この場合(S24にてYES)、制御装置15は、プログラムをS12に戻して、情報テーブルT1において、グループが設定されている薬剤の情報を平均値が降順になるように並べ替える。具体的には、「A薬」の平均値が「7.5」になったため、情報テーブルT1は、図5Bに示されるように、上から「B薬」「A薬」「C薬」の順に並べ替えられる。
【0053】
続けて、制御装置15は、S14にて、先頭の薬剤の情報を取得する。具体的には、制御装置15は、図5Bの情報テーブルT1において先頭に位置する「B薬」に対応する情報を取得する。
【0054】
取得した「B薬」の割当カセット数「1」は、最大カセット数「4」より少ない。この場合(S16にてYES)、S20に進み、制御装置15は、取得した薬剤の割当カセット数を1増加させる。続いて、S22に進み、制御装置15は、平均値を算出する。具体的には、制御装置15は、図5Cに示される情報テーブルT1のように、「B薬」の割当カセット数に1増加して「2」を入力し、平均値に「5」(=錠数(=10)/割当カセット数(=2))を入力する。
【0055】
情報テーブルT1が図5Cに示される状態である時点において、割当カセット数の総数は5(=2+2+1)であるため、使用可能カセット数(=10)より少ない。この場合(S24にてYES)、制御装置15は、プログラムをS12に戻して、情報テーブルT1において、グループが設定されている薬剤の情報を平均値が降順になるように並べ替える。具体的には、「B薬」の平均値が「5」になったため、情報テーブルT1は、図5Dに示されるように、先頭が「A薬」になる。また、「B薬」および「C薬」は、平均値が同じである。平均値が同じである場合、情報テーブルT1は、最初に並べ替えられたときの順番に従って並べ替えられる。つまり、情報テーブルT1は、上から「A薬」「B薬」「C薬」の順に並べ替えられる。
【0056】
続けて、制御装置15は、S14にて、先頭の薬剤の情報を取得する。具体的には、制御装置15は、図5Dの情報テーブルT1において先頭に位置する「A薬」に対応する情報を取得する。
【0057】
取得した「A薬」の割当カセット数「2」は、最大カセット数「4」より少ない。この場合(S16にてYES)、S20に進み、制御装置15は、取得した薬剤の割当カセット数を1増加させる。続いて、S22に進み、制御装置15は、平均値を算出する。具体的には、制御装置15は、図5Eに示される情報テーブルT1のように、「A薬」の割当カセット数に1増加して「3」を入力し、平均値に「5」(=錠数(=15)/割当カセット数(=3))を入力する。
【0058】
情報テーブルT1が図5Eに示される状態である時点において、割当カセット数の総数は6(=3+2+1)であるため、使用可能カセット数(=10)より少ない。この場合(S24にてYES)、制御装置15は、プログラムをS12に戻して、情報テーブルT1において、グループが設定されている薬剤の情報を平均値が降順になるように並べ替える。図5Eに示される情報テーブルT1は、平均値が全て同じであり、かつ、最初に並べ替えられたときの順番になっている。よって、情報テーブルT1は、並べ替えられずに、図5Eに示された状態のままとなる。
【0059】
続けて、制御装置15は、S14にて先頭の薬剤の情報を取得する。具体的には、制御装置15は、図5Eの情報テーブルT1において先頭に位置する「A薬」に対応する情報を取得する。
【0060】
取得した「A薬」の割当カセット数「3」は、最大カセット数「4」より少ない。この場合(S16にてYES)、S20に進み、制御装置15は、取得した薬剤の割当カセット数を1増加させる。続いて、S22に進み、制御装置15は、平均値を算出する。具体的には、制御装置15は、図5Fに示される情報テーブルT1のように、「A薬」の割当カセット数に1増加して「4」を入力し、平均値に「3.75」(=錠数(=15)/割当カセット数(=4))を入力する。
【0061】
情報テーブルT1が図5Fに示される状態である時点において、割当カセット数の総数は7(=4+2+1)であるため、使用可能カセット数(=10)より少ない。この場合(S24にてYES)、制御装置15は、プログラムをS12に戻して、情報テーブルT1において、グループが設定されている薬剤の情報を平均値が降順になるように並べ替える。具体的には、「A薬」の平均値が「3.75」になったため、情報テーブルT1は、図5Gに示されるように、上から「B薬」「C薬」「A薬」の順に並べ替えられる。
【0062】
続けて、制御装置15は、S14にて、先頭の薬剤の情報を取得する。具体的には、制御装置15は、図5Gの情報テーブルT1において先頭に位置する「B薬」に対応する情報を取得する。
【0063】
取得した「B薬」の割当カセット数「2」は、最大カセット数「4」より少ない。この場合(S16にてYES)、S20に進み、制御装置15は、取得した薬剤の割当カセット数を1増加させる。続いて、S22に進み、制御装置15は、平均値を算出する。具体的には、制御装置15は、図5Hに示される情報テーブルT1のように、「B薬」の割当カセット数に1増加して「3」を入力し、平均値に「3.3」(=錠数(=10)/割当カセット数(=3))を入力する。
【0064】
情報テーブルT1が図5Hに示される状態である時点において、割当カセット数の総数は8(=3+1+4)であるため、使用可能カセット数(=10)より少ない。この場合(S24にてYES)、制御装置15は、プログラムをS12に戻して、情報テーブルT1において、グループが設定されている薬剤の情報を平均値が降順になるように並べ替える。具体的には、「B薬」の平均値が「3.3」になったため、情報テーブルT1は、図5Iに示されるように、上から「C薬」「A薬」「B薬」の順に並べ替えられる。
【0065】
続けて、制御装置15は、S14にて、先頭の薬剤の情報を取得する。具体的には、制御装置15は、図5Iの情報テーブルT1において先頭に位置する「C薬」に対応する情報を取得する。
【0066】
取得した「C薬」の割当カセット数「1」は、最大カセット数「4」より少ない。この場合(S16にてYES)、S20に進み、制御装置15は、取得した薬剤の割当カセット数を1増加させる。続いて、S22に進み、制御装置15は、平均値を算出する。具体的には、制御装置15は、図5Jに示される情報テーブルT1のように、「C薬」の割当カセット数に1増加して「2」を入力し、平均値に「2.5」(=錠数(=5)/割当カセット数(=2))を入力する。
【0067】
情報テーブルT1が図5Jに示される状態である時点において、割当カセット数の総数は9(=2+4+3)であるため、使用可能カセット数(=10)より少ない。この場合(S24にてYES)、制御装置15は、プログラムをS12に戻して、情報テーブルT1において、グループが設定されている薬剤の情報を平均値が降順になるように並べ替える。具体的には、「C薬」の平均値が「2.5」になったため、情報テーブルT1は、図5Kに示されるように、上から「A薬」「B薬」「C薬」の順に並べ替えられる。
【0068】
続けて、制御装置15は、S14にて、先頭の薬剤の情報を取得する。制御装置15は、具体的には、図5Kの情報テーブルT1において先頭に位置する「A薬」に対応する情報を取得する。
【0069】
取得した「A薬」の割当カセット数「4」は、最大カセット数「4」と同じとなる。この場合(S16にてNO)、制御装置15は、S18にて次の薬剤の情報を取得する。制御装置15は、具体的には、図5Kの情報テーブルT1において「A薬」の次に位置する「B薬」に対応する情報を取得する。
【0070】
続けて、制御装置15は、S16にて、取得した薬剤の情報における割当カセット数が最大カセット数より少ないか否かを判定する。取得した「B薬」の割当カセット数「3」は、最大カセット数「4」より少ない。この場合(S16にてYES)、S20に進み、制御装置15は、取得した薬剤の割当カセット数を1増加させる。続いて、S22に進み、制御装置15は、平均値を算出する。具体的には、制御装置15は、図5Lに示される情報テーブルT1のように、「B薬」の割当カセット数に1増加して「4」を入力し、平均値に「2.5」(=錠数(=10)/割当カセット数(=4))を入力する。
【0071】
情報テーブルT1が図5Lに示される状態である時点において、割当カセット数の総数は10(=4+4+2)であるため、使用可能カセット数(=10)と同じとなる。この場合(S24にてNO)、制御装置15は、プログラムを終了する。割当カセット数および平均値は、プログラムが終了した時点での値、すなわち、図5Lに示される情報テーブルT1に入力されている値に決定する。プログラムが終了した時点での平均値は、複数のグループの間において平準化されている。
【0072】
さらに、制御装置15は、上述したプログラムが終了したことに応じて、複数のグループそれぞれについて、薬剤排出動作を行うカセットCの選択、および、選択されたカセットCから排出される薬剤の錠数を決定する。
【0073】
制御装置15は、複数のグループの間において平準化された平均値に基づいて、薬剤排出動作を行うカセットCから排出される薬剤の錠数を、複数のグループの1つの中において平準化されるように設定する。つまり、制御装置15は、薬剤排出動作を行う複数のカセットから排出される薬剤の錠数それぞれが、複数のグループの中の1つの中においても複数のグループの間においても平準化されるように、薬剤は支出動作を行うカセットCを選択する。制御装置15は、具体的には、図6に示されるフローチャートによって表されるプログラムをグループ毎に実行する。
【0074】
制御装置15は、はじめに、第1のグループについてプログラムを実行する。制御装置15は、S30にて、情報テーブルT1から第1のグループの平均値を取得し、取得した平均値の小数点以下を切り上げた値を仮排出数とする。第1のグループの「A薬」は平均値が「3.75」(図5L参照)であるため、小数点以下を切り上げられた「4」が仮排出数となる。
【0075】
続けて、制御装置15は、S32にて、第1のグループにおける薬剤排出動作を行うカセットCの1つに排出数として仮排出数を設定する。グループを構成する複数のカセットCそれぞれには、カセット番号が付けられている。排出数を設定されるカセットCは、排出数を設定されていないカセットCの中で、カセット番号が最も小さいカセットCが選択される。なお、排出数を設定されるカセットCは、排出数を設定されていないカセットCの中で、カセット番号が最も小さいカセットCに限られないことは言うまでもない。例えば、排出数を設定されるカセットCは、排出数を設定されていないカセットCの中で、カセット番号が最も大きいカセットCが選択されてもよいし、ランダムに選択されてもよい。
【0076】
制御装置15は、具体的には、図7に示される排出数テーブルT2の、第1のグループのグループ番号「1」に対応するカセット番号「1」の欄に排出数として仮排出数「4」を入力する。排出数テーブルT2は、プログラムを実行する際に記憶部に一時的に生成される。情報テーブルT1には、薬剤名、グループ番号、および、カセット番号に対応付けられた排出数が入力される。
【0077】
さらに、制御装置15は、S34にて、薬剤排出動作を行う全てのカセットCに排出数を設定したか否かを判定する。制御装置15は、具体的には、割当カセット数分のカセットCに排出数が設定されたか否かを判定する。「A薬」に関する第1のグループの割当カセット数は「4」(図5L参照)であるのに対し、排出数が設定されたカセットCは1つである。この場合(S34にてNO)、制御装置15は、S36にて、仮排出数を更新する。
【0078】
S36における仮排出数の更新は次のように行われる。制御装置15は、はじめに、排出数が設定されていないカセットCが排出する錠数の平均値を算出する。続いて、算出された平均値の小数点以下を切り上げた整数を求める。この整数を更新後の仮排出数に設定する。
【0079】
具体的には、以下のように仮排出数が更新される。第1のグループにおいて、「A薬」の錠数は「15」(図5L参照)であり、カセット番号「1」のカセットCの排出数として「4」が設定されたため、第1のグループの他のカセットCが排出すべき残りの錠数は、「11」(=15-4)となる。また、割当カセット数「4」に対して排出数が設定されたカセットCは1つであるため、残りの割当カセット数は「3」(=4-1)となる。よって、排出数が設定されていないカセットCが排出する錠数の平均値は、「3.6」(=11/3)となる。そして、制御装置15は、算出された平均値「3.6」の小数点以下を切り上げた値「4」に仮排出数を更新する。
【0080】
続けて、制御装置15は、S32にて、第1のグループのグループ番号「1」に対応するカセット番号「2」の欄に排出数として更新された仮排出数「4」を入力する。
【0081】
このように、制御装置15がS30~S36を繰り返し実行することで、第1のグループにおいて、割当カセット数「4」個分のカセットC全てに排出数が設定された場合(S34にてYES)、プログラムが終了する。第1のグループについてプログラムが終了した時点において、図7の排出数テーブルT2に示されるように、カセット番号「1」~「3」のカセットCに排出数「4」が設定され、カセット番号「4」のカセットCに排出数「3」が設定される。
【0082】
次に、制御装置15は、第2のグループについてプログラムを実行する。制御装置15は、S30にて、情報テーブルT1から第2のグループの平均値を取得し、取得した平均値の小数点以下を切り上げた値を仮排出数とする。第2のグループの「B薬」は、平均値が「2.5」(図5L参照)であるため、小数点以下を切り上げられた「3」が仮排出数となる。
【0083】
続けて、制御装置15は、S32にて、第2のグループにおける薬剤排出動作を行うカセットCの1つに排出数を設定する。制御装置15は、具体的には、排出数テーブルT2の、第2のグループのグループ番号「2」に対応するカセット番号「1」の欄に排出数として仮排出数「3」を入力する。
【0084】
さらに、制御装置15は、S34にて、薬剤排出動作を行う全てのカセットCに排出数を設定したか否かを判定する。「B薬」に関する第2のグループの割当カセット数は「4」(図5L参照)であるのに対し、排出数が設定されたカセットCの数は1つである。この場合(S34にてNO)、制御装置15は、S36にて、仮排出数を更新する。
【0085】
第2のグループにおいて、「B薬」の錠数「10」(図5L参照)に対して排出数「3」が設定されたため、残りの錠数は、「7」(=10-3)となる。また、割当カセット数「4」に対して排出数が設定されたカセットCは1つであるため、残りの割当カセット数は「3」(=4-1)となる。よって、排出数が設定されていないカセットCが排出する錠数の平均値は、「2.3」(=7/3)となる。そして、制御装置15は、算出された平均値「2.3」の小数点以下を切り上げた値「3」に仮排出数を更新する。
【0086】
続けて、制御装置15は、S32にて、第2のグループのグループ番号「2」に対応するカセット番号「2」の欄に排出数として更新された仮排出数「3」を入力する。
【0087】
このように、制御装置15がS30~S36を繰り返し実行することで、第2のグループにおいて、割当カセット数「4」個分のカセットC全てに排出数が設定された場合(S34にてYES)、プログラムが終了する。第2のグループについてプログラムが終了した時点において、図7の排出数テーブルT2に示されるように、カセット番号「1」「2」のカセットCに排出数「3」が設定され、カセット番号「3」「4」のカセットCに排出数「2」が設定される。
【0088】
次に、制御装置15は、第3のグループについてプログラムを実行する。制御装置15は、S30にて、情報テーブルT1から第3のグループの平均値を取得し、取得した平均値の小数点以下を切り上げた値を仮排出数とする。第3のグループの「C薬」は、平均値が「2.5」(図5L参照)であるため、小数点以下を切り上げられた「3」が仮排出数となる。
【0089】
続けて、制御装置15は、S32にて、第3のグループにおける薬剤排出動作を行うカセットCの1つに排出数を設定する。制御装置15は、具体的には、排出数テーブルT2の、第3のグループのグループ番号「3」に対応するカセット番号「1」の欄に排出数として仮排出数「3」を入力する。
【0090】
さらに、制御装置15は、S34にて、薬剤排出動作を行う全てのカセットCに排出数を設定したか否かを判定する。「C薬」に関する第3のグループの割当カセット数は「2」(図5L参照)であるのに対し、排出数が設定されたカセットCの数は1つである。この場合(S34にてNO)、制御装置15は、S36にて、仮排出数を更新する。
【0091】
第3のグループにおいて、「C薬」の錠数「5」に対して排出数「3」が設定されたため、残りの錠数は、「2」(=5-3)となる。また、割当カセット数「2」に対して排出数が設定されたカセットCは1つであるため、残りの割当カセット数は「1」(=2-1)となる。よって、排出数が設定されていないカセットCが排出する錠数の平均値は、「2」(=2/1)となる。そして、制御装置15は、算出された平均値「2」の小数点以下を切り上げた「2」に仮排出数を更新する。
【0092】
続けて、制御装置15は、S32にて、第3のグループのグループ番号「3」に対応するカセット番号「2」の欄に排出数として仮排出数「2」を入力する。
【0093】
これにより、第3のグループにおいて、割当カセット数「2」個分のカセットC全てに排出数が設定される。この場合(S34にてYES)、プログラムが終了する。第3のグループについてプログラムが終了した時点において、図7の排出数テーブルT2に示されるように、カセット番号「1」のカセットCに排出数「3」が設定され、カセット番号「2」のカセットCに排出数「2」が設定される。
【0094】
全てのグループについてプログラムが終了した時、複数のグループそれぞれについて、排出数は、複数のグループの1つの中において平準化されている。また、上述したように、平均値は、複数のグループの間において平準化されている。つまり、制御装置15は、薬剤排出動作を行う複数のカセットCから排出される薬剤の錠数それぞれが、複数のグループの1つの中においても複数のグループの間においても平準化されるように、複数のグループそれぞれの中から薬剤排出動作を行うカセットCを選択したこととなる。
【0095】
一方、グループが設定されていない薬剤においては、グループが設定されていない薬剤の種類の数分のカセットCが選択され、入力された薬剤の情報に含まれる薬剤の錠数がそのまま排出数に設定される。具体的には、「D薬」「E薬」「F薬」「G薬」および「H薬」が収納されたカセットCそれぞれが1個ずつ選択され、選択されたカセットCそれぞれについて、排出数「1」が設定される。
【0096】
このように、入力された薬剤の情報に基づいて、薬剤排出動作を行うカセットCが複数個選択され、選択されたカセットCそれぞれについて排出数が設定される。このとき、カセットCの薬剤排出動作の最大回数は、「A薬」のカセット番号「1」「2」「3」のカセットCの排出数「4」である。つまり、1包当たりの薬剤が排出される時間は、「A薬」が4回排出される時間に相当する。よって、1包当たりの薬剤が排出される時間は、上述したように割当カセット数が「1」に設定されて「A薬」が15回排出される場合に比べて短くなる。よって、薬剤を供給する時間の短時間化を図ることができる。
【0097】
なお、上述した、入力された薬剤の情報に含まれる値、1包当たりに薬剤排出動作を行うことができるカセットCの上限数、情報テーブルT1に入力される値、および、排出数テーブルT2に入力される値は、例示であって、上述した値に限定されないことは言うまでもない。
【0098】
本開示は、これまでに説明した実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0099】
例えば、制御装置15は、情報テーブルT1における平均値を算出せずに、複数のグループそれぞれについて、薬剤排出動作を行うカセットCの個数および薬剤排出動作を行うカセットCから排出する薬剤の錠数について、全ての組合せを導出してもよい。そして、制御装置15は、導出した全ての組合せから、最も平準化されている組合せを選択してもよい。
【0100】
また、制御装置15は、複数のグループの1つの中において、複数のカセットCに収納されている薬剤の残りの錠数それぞれが平準化されるように、薬剤排出動作を行うカセットCを選択してもよい。具体的には、制御装置15は、薬剤排出動作を行うカセットCをカセット番号の順に繰り返して選択する。例えば、上述した例では、1包に関する薬剤の情報が入力されて、第3のグループにおいて、カセット番号「1」「2」のカセットCが選択されている。さらに、次の1包に関する薬剤の情報が入力され、第3のグループから薬剤が排出される場合においては、制御装置15は、薬剤排出動作を前回行わなかったカセットCのカセット番号「3」「4」「5」の順に、薬剤排出動作を行うカセットCを選択する。なお、上述したように、制御装置15は、カセットCに収納されている薬剤の残数を算出できるため、複数のグループの1つの中において、薬剤の残数が多い順に、薬剤排出動作を行うカセットCを選択してもよい。これによれば、複数のグループそれぞれにおいて、グループを構成するカセットCに収納されている薬剤の残数それぞれが平準化されるため、グループを構成するカセットCについて、薬剤を補給するタイミングをおよそ同じにすることができる。また、上述したように、薬剤排出動作を行う複数のカセットCから排出される薬剤の錠数それぞれが、複数のグループの間においても平準化されているため、複数のグループの間においても、薬剤を補給するタイミングをおよそ同じにすることができる。
【0101】
また、制御装置15は、他の薬剤排出動作を行うカセットCに比べて排出する薬剤の錠数が多い薬剤排出動作を行うカセットCを、複数の棚21の中の他の棚21より集合部13の近くに配置された棚21に収納された複数のカセットCの中から選択してもよい。上述した例では、第1のグループのカセット番号「1」「2」「3」のカセットCが最も多く薬剤を排出する。よって、制御装置15は、第1のグループのカセット番号「1」「2」「3」のカセットCを、集合部13に近い最も下に位置する棚21に収納された複数のカセットCの中から選択する。また、制御装置15は、最も下に位置する複数の棚21の中で、集合部13の導出口13aに最も近い棚21に収納されているカセットCを選択してもよい。具体的には、導出口13aが集合部13の左右方向中央に位置するため、制御装置15は、左右方向中央に配置されている棚21に収納されているカセットCを選択する。これによれば、薬剤排出動作を行うカセットCと導出口13aとの距離、ひいては、排出された薬剤の移動距離の短距離化を図ることができる。よって、薬剤を供給する時間の短時間化をさらに図ることができる。
【0102】
また、制御装置15は、1つのカセットCに収納されている薬剤の残数が所定の錠数以下となった場合に、アラームを発生させてもよい。これによれば、薬剤の残数が所定の錠数以下となったカセットCがグループを構成している場合に、グループを構成する他のカセットCにもタイミングよく薬剤を補給することができる。また、グループを構成するカセットCについて薬剤を全て入れ換えることで、1包に異なるロットの薬剤が混入することを防止できる。
【0103】
また、制御装置15は、1つのカセットCを、収納されている薬剤が無くなるまで選択し続け、1つのカセットCに収納されている薬剤が無くなったら、無くなった薬剤と同じ種類の薬剤を収納する他のカセットCを選択してもよい。
【0104】
また、制御装置15は、図8に示すように、メイン制御部15a、右側制御部15b、左側制御部15c、および、各棚21それぞれに配置された棚制御部15d,15eを備えてもよい。なお、図8には、便宜上、棚制御部15d,15eを合計8つ表示しているが、棚制御部15d,15eの総数は、棚21の総数と同じである。
【0105】
メイン制御部15aは、入力部に入力された情報を取得して、取得した情報に基づいて、右側制御部15bおよび左側制御部15cを制御する。メイン制御部15aは、記憶部(不図示)を備えている。右側制御部15bは、取得した情報に基づいて、2階部の右側にある棚21に配置された棚制御部15dを制御する。左側制御部15cは、取得した情報に基づいて、2階部の左側にある棚21に配置された棚制御部15eを制御する。棚制御部15d,15eは、取得した情報に基づいて、配置された棚21に収納された複数のカセットCの薬剤排出動作を制御する。
【0106】
薬剤排出動作を行うカセットCは、メイン制御部15aにて選択される。メイン制御部15aは、右側に配置された棚21に収納されたカセットCに薬剤排出動作を行わせる場合、右側制御部15bに制御指令値を送信する。右側制御部15bは、送信された制御指令値に基づいて、薬剤排出動作を行わせるカセットCが収納された棚21に配置された棚制御部15dに制御指令値を送信する。制御指令値を送信された棚制御部15dは、送信された制御指令値に基づいて、カセットCに薬剤排出動作を行わせる。この場合、メイン制御部15aは、薬剤排出動作を行うカセットCが収納されている棚21の個数を少なくするように、薬剤排出動作を行うカセットCを選択する。薬剤排出動作を行うカセットCが収納されている棚21の個数が少なくなるにしたがって、カセットCを制御する棚制御部15d,15eの個数が少なくなるため、制御装置15における処理の効率が向上する。よって、薬剤を供給する時間の短時間化を図ることができる。
【0107】
2020年10月27日出願の特願2020-179599の日本出願に含まれる明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示は、薬剤供給装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 薬剤供給装置
13 集合部
15 制御装置
21 棚
C カセット
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図6
図7
図8