(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-17
(45)【発行日】2023-10-25
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231018BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
H05K13/02 B
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2023025680
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2022031700の分割
【原出願日】2015-09-09
【審査請求日】2023-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 正隆
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/136423(WO,A1)
【文献】特開2005-347352(JP,A)
【文献】特開2015-053310(JP,A)
【文献】特開2012-248784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のキャリアテープと第2のキャリアテープとのスプライシング作業を行わなくても部品の供給が中断されないオートローディングフィーダ装置を装着するフィーダ装着部と、
前記第1のキャリアテープを巻回したテープリールを回転可能かつ交換可能に保持する標準リール保持部と、
前記第2のキャリアテープを巻回したテープリールを回転可能かつ交換可能に保持する追加形リール保持装置を取り付ける取り付け座と、を有する部品供給装置と、
前記オートローディングフィーダ装置から前記部品を採取して基板に装着する部品移載装置と、を備え、
前記部品移載装置は、前記オートローディングフィーダ装置が前記標準リール保持部に保持された前記テープリールから引き出した前記第1のキャリアテープから前記部品を採取し、前記第1のキャリアテープが無くなると前記オートローディングフィーダ装置が前記取り付け座に取り付けられた前記追加形リール保持装置に保持された前記テープリールから引き出した前記第2のキャリアテープから前記部品を採取
し、
前記取り付け座は、棒形状であり、
前記追加形リール保持装置は、前記取り付け座に係合する凹形状取り付け部を有する、
部品実装機。
【請求項2】
前記追加形リール保持装置は、複数台の前記オートローディングフィーダ装置が列設される列設方向に取り付け位置が変更可能とされている、請求項
1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記追加形リール保持装置は、複数台の前記オートローディングフィーダ装置が列設される列設方向に複数配置可能とされている、請求項1
または2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記追加形リール保持装置は、前記標準リール保持部の前記オートローディングフィーダ装置から離れた側に取り付けられる、請求項1~
3のいずれか一項に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品供給装置を構成する追加形リール保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の部品が実装された基板を生産する設備として、はんだ印刷機、部品実装機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの設備を連結して基板生産ラインを構成することが一般的になっている。このうち部品実装機は、基板搬送装置、部品供給装置、部品移載装置、および制御装置を備える。多くの部品供給装置は、部品を保持するキャビティ部が一列に並んで形成されたキャリアテープを繰り出す方式のフィーダ装置が複数台列設されて構成される。従来、フィーダ装置は、キャリアテープを巻回したテープリールを保持するリール保持部を一体的に備え、あるいは、別体のリール保持部を備えていた。この種の部品供給装置およびフィーダ装置に関する技術例が、特許文献1~3に開示されている。
【0003】
特許文献1の電子回路部品供給装置は、複数のテープフィーダ(フィーダ装置)と、それらを保持するフィーダ保持装置とを含んでいる。複数のテープフィーダは、リール保持部、部品供給部、およびテープ化部品(キャリアテープ)の案内部を含む第1部と、テープ化部品送り装置を含む第2部とに分離可能とされている。さらに、複数のテープフィーダは、各部品供給部が複数列に並ぶ状態で、フィーダ保持装置に保持される。これによれば、搭載可能なテープフィーダの数を増加させることができる、とされている。
【0004】
また、特許文献2の部品供給装置は、部品保持テープが巻き付けられたリールを保持するリール保持部と、部品保持テープの送り装置を備えた供給装置本体部を含んでいる。リール保持部は、供給装置本体部に取り付けられ、部品供給位置とリール着脱位置へ移動可能となっている。これによれば、複数のリール保持部を互いに近接させて配列することができ、複数の部品供給装置を含む部品供給システムをコンパクトに構成できる、とされている。
【0005】
さらに、特許文献3は、部品実装装置の部品供給部に装着されるリール保持具を開示している。このリール保持具は、キャリアテープを巻回収納したリールを保持する第1および第2のリール保持部を有し、2つのリール保持部がテープ送り方向に直列配置されている。これによれば、複数のリールを保持でき、特にスプライシングレスフィーダにおいて先行リールと後続リールとを作業性良く保持できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-138834号公報
【文献】特開2013-46024号公報
【文献】特開2015-53309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1~3の技術例では、供給する部品の種類を増加させるためにフィーダ装置の装備数を増加させたり、スプライシング作業を省略するために1台のフィーダ装置に2つのテープリールを使用したりする。このような新型のフィーダ装置を部品供給装置に設ける場合に、従来よりも多数のテープリールを保持して送給するキャリアテープの本数を増やす必要が生じる。しかしながら、特許文献1~3の技術例では、新型のフィーダ装置に合わせて新しいリール保持部を新規に製作し、フィーダ装置およびリール保持部の全体を一括して交換する改造が必要になる。したがって、既設のリール保持部は無駄になり、改造に多くのコストが掛かる。
【0008】
また、フィーダ装置は、その種類や構造に関係なく部品供給装置に列設できるように互換性を有している場合が多い。ところが、特許文献1~3の技術例では、フィーダ装置ごとに固有のリール保持部が必要となるため、フィーダ装置の種類や構造を超えての互換性能を確保できない。
【0009】
それゆえ、本明細書では、標準リール保持部から送給するキャリアテープの本数が不足する場合に、フィーダ装置に送給できるキャリアテープの総本数を増やせる追加形リール保持装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で開示する追加形リール保持装置は、複数の部品を保持するキャリアテープをそれぞれ繰り出して前記部品を順次供給する複数台のフィーダ装置のそれぞれが前後方向に延びるスロットに挿入されて列設方向に列設されるフィーダ装着部、および前記キャリアテープをそれぞれ巻回した複数のテープリールを保持する標準リール保持部を有して部品実装機の機台に着脱可能に装備される部品供給装置に取り付けられる追加形リール保持装置であって、前記部品供給装置に取り付けられる取り付け部と、前記標準リール保持部が保持する複数の前記テープリール以外の複数の追加テープリールを回転可能かつ交換可能に保持する保持部と、を備え、前記取り付け部は、前記部品供給装置に前後方向に隔てて設けられた前側取り付け座と後側取り付け座にそれぞれ係合する係合部が形成された。
【発明の効果】
【0011】
開示した追加形リール保持装置は、標準リール保持部から送給するキャリアテープの本数が不足する場合に、複数の追加テープリールからキャリアテープをフィーダ装置に送給する。これにより、フィーダ装置に送給できるキャリアテープの総本数を増やせる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】追加形リール保持装置を用いる部品実装機の全体構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】部品供給装置の基になるデバイスパレットの斜視図である。
【
図3】7個の追加形リール保持装置が部品供給装置に追加で取り付けられた状態を例示する斜視図である。
【
図4】追加形リール保持装置の構造および取り付け方法を説明する側面図である。
【
図5】1個の追加形リール保持装置が部品供給装置に追加で取り付けられた状態を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.部品実装機1の全体構成
実施形態の部品実装機1について、
図1~
図5を参考にして説明する。まず、追加形リール保持装置7を用いる部品実装機1の全体構成について説明する。
図1は、追加形リール保持装置7を用いる部品実装機1の全体構成を模式的に示す平面図である。
図1の紙面左側から右側に向かう方向が基板Kを搬入出するX軸方向、紙面下側の前側から紙面上側の後側に向かう方向がY軸方向である。部品実装機1は、基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4、部品カメラ5、および制御装置6などが機台9に組み付けられて構成されている。基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4、および部品カメラ5は、制御装置6から制御され、それぞれが所定の作業を行うようになっている。
【0014】
基板搬送装置2は、基板搬送部25およびバックアップ部26などで構成されている。基板搬送部25は、一対のガイドレール21、22や一対のコンベアベルトなどからなり、基板Kを装着実施位置に搬入出する。バックアップ部26は、装着実施位置の下側に配設されており、基板Kを押し上げて位置決めする。
【0015】
部品供給装置3は、デバイスパレット31を基にして構成されている。デバイスパレット31は、機台9の前側に着脱可能に装備される。デバイスパレット31は、後側にフィーダ装着部32を有し、前側に標準リール保持部35を有する。フィーダ装着部32は、複数台のフィーダ装置81を列設できるように形成されている。標準リール保持部35は、複数のテープリールTRを回転可能かつ交換可能に保持できるように形成されている。デバイスパレット31の詳細な構成については後述する。追加形リール保持装置7は、
図1に一点鎖線で示されるように、標準リール保持部35の前側に追加で取り付けられる。
【0016】
部品移載装置4は、複数のフィーダ装置81から部品を吸着採取し、位置決めされた基板Kまで搬送して装着する。部品移載装置4は、X軸方向およびY軸方向に水平移動可能なXYロボットタイプの装置である。部品移載装置4は、ヘッド駆動機構を構成する一対のY軸レール41、42およびY軸スライダ43、X軸方向およびY軸方向に駆動される実装ヘッド44、ノズルツール45、吸着ノズル46、ならびに基板カメラ47などで構成されている。ノズルツール45は、実装ヘッド44に交換可能に保持される一方で、部品を吸着して基板Kに装着する吸着ノズル46を保持する。基板カメラ47は、実装ヘッド44に設けられており、基板Kに付設された位置基準マークを撮像して、基板Kの正確な位置を検出する。
【0017】
部品カメラ5は、基板搬送装置2と部品供給装置3との間の機台9の上面に、上向きに設けられている。部品カメラ5は、実装ヘッド44が部品供給装置3から基板K上に移動する途中で、吸着ノズル46に吸着されている部品の状態を撮像する。制御装置6は、機台9に組み付けられており、その配設位置は特に限定されない。制御装置6は、予め保持した装着シーケンスにしたがって部品装着動作を制御する。
【0018】
次に、デバイスパレット31の詳細な構成について説明する。
図2は、部品供給装置3の基になるデバイスパレット31の斜視図である。デバイスパレット31は、後側にフィーダ装着部32を有し、前側に標準リール保持部35を有する。フィーダ装着部32は、略矩形の平面部321の後端に直立部325が立設されて形成されている。平面部321には、前後方向(Y軸方向)に延びるスロット322がX軸方向に並んで刻設されている。本実施形態においては、40条のスロット322が設けられている。直立部325の各スロット322に対応する位置に、それぞれパレット側コネクタ326が設けられている。各パレット側コネクタ326の上下に、それぞれ位置決め孔327が設けられている(
図2で、上側の位置決め孔は見えない)。
【0019】
複数台のフィーダ装置81は、それぞれスロット322の前側から後方へと挿入され、X軸方向に並んで装着される。したがって、複数台のフィーダ装置81が列設される列設方向は、X軸方向となる。フィーダ装置81の後面の上下に設けられた位置決めピンは、それぞれ上下の位置決め孔327に嵌入する。これにより、フィーダ装置81は、デバイスパレット31に対する位置が決められる。同時に、フィーダ装置81の上下の位置決めピンの間に設けられたデバイス側コネクタは、パレット側コネクタ326に嵌合する。これにより、フィーダ装置81は、制御装置6に通信接続されるとともに、電源が供給される。
【0020】
平面部321の前側のX軸方向の両端に、それぞれアーム部材33が固定されている。2本のアーム部材33は、初めは水平前方に延び、続いて前下方向へと傾斜して延び、先端は水平前方に延びるように形成されている。2本のアーム部材33は、部品供給装置3の装備状態において、機台9の前側に突出する。アーム部材33の傾斜部分および前側の水平部分の上側に、標準リール保持部35が配設されている。標準リール保持部35は、平面部321よりも低く配設されており、フィーダ装置81の着脱に干渉しない。標準リール保持部35の下側に、取手355が付設されている。取手355を引くことにより、デバイスパレット31の全体を機台9から取り外せる。
【0021】
標準リール保持部35は、フィーダ装置81と別体で設けられる。標準リール保持部35は、
図2には見えない底板、2枚の側板351、20枚の仕切り板352、および2本の軸部材353などで形成されている。2枚の側板351は、概ね直角三角形の板材である。板材の直角を挟む第1辺が前後方向に延在し、直角を挟む第2辺が後側の上下方向に延在し、斜辺が前側下部から後側上部へと延在している。
図2に示されるように、2枚の側板351は、デバイスパレット31の幅寸法と同等の離隔距離で平行配置され、底板に固定されている。
【0022】
20枚の仕切り板352は、前後方向に長い板材である。これらの仕切り板352は、側板351に平行しつつ相互に等間隔で配置され、底板に固定されている。両端の仕切り板352と2枚の側板351との間には、それぞれ単式リール収容部361が区画されている。合計2箇所の単式リール収容部361は、それぞれ1個のテープリールTRを交換可能に収容する。仕切り板352の相互間に、それぞれ複式リール収容部362が区画されている。合計19箇所の複式リール収容部362は、それぞれ2個のテープリールTRをX軸方向に並べて交換可能に収容する。したがって、標準リール保持部35が保持するテープリールTRの最大個数は40個であり、スロット322の40条と同数になっている。
【0023】
2枚の側板351の底部近くの前側寄り同士、および後側寄り同士をそれぞれ結んで、丸棒形状の2本の軸部材353が架け渡されている。平行する前後2本の軸部材353は、それぞれ各仕切り板352に穿設された軸孔を通り抜けている。単式リール収容部361の内部には、前後2本の軸部材353にそれぞれ回転可能に支承された2個のローラが配置されている。前後2個のローラは、テープリールTRの外周を回転可能に支持する。複式リール収容部362の内部には、前後2本の軸部材353にそれぞれ回転可能に支承されてX軸方向に並ぶ2個のローラが配置されている。合計4個のローラは、前後の2個が組になって、それぞれテープリールTRの外周を回転可能に支持する。
【0024】
1個のテープリールTRに対して前後に離隔配置された2個のローラを用いることにより、外径寸法の異なる複数種類のテープリールTRを交換可能かつ回転可能に支持できる。これに限定されず、1個のテープリールTRの外周の3点以上を支持するようにしてもよい。また、軸部材353の外周面を滑らかに仕上げてローラを省略することもできる。
【0025】
従来型のフィーダ装置81は、1条のスロット322に装着され、1個のテープリールTRを必要としていた。したがって、テープリールTRの保持に関し、標準リール保持部35の構成のみで足りていた。しかしながら、新型のフィーダ装置を部品供給装置3に設ける場合に、従来型のフィーダ装置81よりも多数のテープリールTRを保持する必要が生じる。
【0026】
例えば、特許文献3のスプライシングレスフィーダ(オートローディングフィーダ装置82とも呼称される)は、1条のスロット322に装着されながらも、スプライシング作業を省略するために2個のテープリールTRを必要とする。また、2本のキャリアテープから部品を供給するマルチフィーダ装置(例えば、特許第4856761号参照)も、1条のスロット322に装着され、2個のテープリールTRを必要とする。さらに、特許文献1に例示される複数のテープフィーダを複合一体化した複合フィーダ装置も、スロット322の占有数より多数のテープリールTRを必要とする。
【0027】
2.追加形リール保持装置7の構成および取り付け方法
上記したように従来よりも多数のテープリールTRを保持して送給するキャリアテープの本数を増やす必要が生じた場合に、追加形リール保持装置7が用いられる。
図3は、7個の追加形リール保持装置7が部品供給装置3に追加で取り付けられた状態を例示する斜視図である。
図3には、新型のフィーダ装置の一例としてオートローディングフィーダ装置82が1台例示されている。実際には、多数のフィーダ装置81、82がフィーダ装着部32に装着され、かつ、種類や構造の異なるフィーダ装置81、82が併用され得る。
図4は、追加形リール保持装置7の構造および取り付け方法を説明する側面図である。
図5は、1個の追加形リール保持装置7が部品供給装置3に追加で取り付けられた状態を例示する斜視図である。
【0028】
図3に示されるように、追加形リール保持装置7は、2枚の側板71の間に追加の5個のテープリールTRを保持する。追加形リール保持装置7は、標準リール保持部35の前側に並べて取り付けられる。追加形リール保持装置7は、2枚の側板71、前底板73、支持軸74、および押え軸75などで構成されている。
【0029】
図4に示されるように、側板71の上側の形状は、頂部711から前側の先端部712および後側の後端部713に下降する山形状に形成されている。側板71の下側の形状は、傾斜部714、底部715、および第2底部716が連なって形成されている。傾斜部714は、先端部712から斜め下後方に向かって形成されている。底部715は、傾斜部714の下後端から後側に向かって水平に形成されている。第2底部716は、底部715の後端から一旦は上方に向かい、次いで後側に向かって水平に形成され、後端部713に達している。
【0030】
前底板73は、傾斜配置されており、2枚の側板71の傾斜部714を相互に結合している。支持軸74は、2枚の側板71の底部715より少し高く頂部711よりも少し後方の位置を相互に結合している。押え軸75は、2枚の側板71の頂部711付近の位置を相互に結合している。前底板73、支持軸74、および押え軸75によって、2枚の側板71の離隔平行状態が確保され、2枚の側板71の間にリール保持空間が形成される。
【0031】
支持軸74および押え軸75は、丸棒形状とされている。支持軸74および押え軸75は、標準リール保持部35の軸部材353と同様にローラを有してもよいし、ローラを省略してもよい。5個のテープリールTRは、前底板73と押え軸75との間から、リール保持空間にセットされる。前後に配置された前底板73および支持軸74は、共同でテープリールTRの外周を回転可能に支持する。押え軸75は、テープリールTRから引き出されたキャリアテープCTの張力によってテープリールTRが脱落しないように、浮き上がるテープリールTRの外周上部を押える。
【0032】
なお、必ずしも、5個のテープリールTRをセットする必要はなく、4個以下であってもよい。また、追加で用いるテープリールTRが4個以下の場合、リール保持空間の隙間を埋めるために空のテープリールTRを併せてセットしてもよい。
【0033】
追加形リール保持装置7は、2枚の側板71の下側の前後2箇所に形成された凹形状取り付け部721、717を用いて取り付けられる。詳述すると、側板71の底部715の前寄りには、取り付け部材72が下向きに付設されている。取り付け部材72の下側には、下向きに開口した前側凹形状取り付け部721が形成されている。また、側板71の第2底部716にも、下向きに開口した後側凹形状取り付け部717が形成されている。前側凹形状取り付け部721および後側凹形状取り付け部717の開口は、下側に向かい徐々に拡がっている。
【0034】
一方、標準リール保持部35の側には、X軸方向に延在する丸棒形状の2本の棒形状取り付け座38、39が追加で設けられる。詳述すると、2本のアーム部材33の前端には、前方に向かって延在するアーム延長部材37がそれぞれ追加で設けられる。X軸方向に隔たった2本のアーム延長部材37の前寄り上部を連結して、前側棒形状取り付け座38が追加で設けられる。また、標準リール保持部35のX軸方向に隔たった2枚の側板351の前端を連結して、後側棒形状取り付け座39が追加で設けられる。
【0035】
追加形リール保持装置7は、前側棒形状取り付け座38および後側棒形状取り付け座39に上方から載置されて取り付けられる。前側凹形状取り付け部721は、前側棒形状取り付け座38に対して上方から係合し、後側凹形状取り付け部717は、後側棒形状取り付け座39に対して上方から係合する。したがって、追加形リール保持装置7の追加取り付けは、単に載置するだけであり極めて容易である。
【0036】
合計4箇所での係合により、追加形リール保持装置7は、前後方向(Y軸方向)の位置が決まる。また、追加形リール保持装置7の側板71の後端部713は、標準リール保持部35の隣り合う仕切り板352の間、もしくは仕切り板352と側板351との間に入り込む。これにより、追加形リール保持装置7は、X軸方向の移動が規制される。
【0037】
3.追加形リール保持装置7の作用
上記した構成によれば、標準リール保持部35は、40個のテープリールTRを保持でき、7個の追加形リール保持装置7は、合計で35個のテープリールTRを保持できる。これにより、フィーダ装置81、82に送給できるキャリアテープCTの総本数は、当初の40本から、追加形リール保持装置7を取り付けた後の75本に増加する。なお、追加形リール保持装置7は、フィーダ装置81、82から見て標準リール保持部35よりも遠方に配置されるので、キャリアテープCTが僅かに斜め方向に送給されても、問題は生じない。
【0038】
実施形態によれば、フィーダ装着部32に新型のフィーダ装置が装着されて従来よりも多数のキャリアテープCTの送給が必要になっても、送給できるキャリアテープCTの総本数は不足しない。例えば、1スロット当り2個のテープリールTRを必要とするオートローディングフィーダ装置82およびマルチフィーダ装置の35台と、従来型のフィーダ装置81の5台とが併用されても、送給できるキャリアテープCTの総本数は不足しない。
【0039】
また、X軸方向に並べて配置する追加形リール保持装置7の個数は、
図5に示される1個から
図3に示される7個の範囲内で自由に選択できる。さらに、
図5に矢印Mで示されるように、追加形リール保持装置7の取り付け位置は、X軸方向の所望する位置に変更可能とされている。つまり、追加形リール保持装置7の個数および取り付け位置は、フィーダ装置81、82の種類、装着台数、および配置状況などに合わせて自由に変更できる。
【0040】
図3の例で、オートローディングフィーダ装置82は、標準リール保持部35のテープリールTRから送給された第1のキャリアテープCTを使用する。かつ、オートローディングフィーダ装置82は、追加形リール保持装置7のテープリールTRから送給された第2のキャリアテープCTの先端を保持しており、次に使用する準備を完了している。つまり、追加形リール保持装置7の追加のテープリールTRは、標準リール保持部35が保持するテープリールTRの後に使用される。
【0041】
第1および第2のキャリアテープCTは、それぞれテープリールTRから斜め後上方に向かって送給され、オートローディングフィーダ装置82の前側のテープ挿入口から挿入される。第1および第2のキャリアテープCTは、テープリールTRに近い位置では上下に大きく離れており、オートローディングフィーダ装置82に向かうにつれて相互に接近してゆく。これによれば、第1および第2のキャリアテープCTは、送給ルートが錯綜しない。
【0042】
オートローディングフィーダ装置82において、第1のキャリアテープCTが無くなると、追加形リール保持装置7のテープリールTRから第2のキャリアテープCTが引き出されてゆく。オペレータは、時期を見計らい第1のキャリアテープCTの送給を終えた空のテープリールTRを標準リール保持部35から取り外す。これにより、標準リール保持部35には、遊休のリール保持位置が生じる。
【0043】
次に、オペレータは、第2のキャリアテープCTが引き出されているテープリールTRを、追加形リール保持装置7から標準リール保持部35の遊休のリール保持位置に移送する。さらに、オペレータは、追加形リール保持装置7の空いたリール保持空間に、同種の部品を保持する第3のキャリアテープCTを巻回したテープリールTRをセットする。次いで、オペレータは、第3のキャリアテープCTの先端を引き出して、オートローディングフィーダ装置82に挿入する。上記したテープリールTRの交換作業は、部品実装機1の稼動中でも行える。したがって、オートローディングフィーダ装置82では、スプライシング作業を行わなくても、部品の供給が中断されない。
【0044】
また、フィーダ装着部32に装着されたマルチフィーダ装置は、標準リール保持部35が保持するテープリールTRと、追加形リール保持装置7の追加のテープリールTRとを同時に使用する。このとき、部品実装機1の稼動中でも、標準リール保持部35および追加形リール保持装置7においてスプライシング作業を行える。これによれば、マルチフィーダ装置は、2個のテープリールTRから送給された各キャリアテープCTの繰り出しおよび引き戻しを行って、2種類の部品を交互に供給できる。また、マルチフィーダ装置においても、第1および第2のキャリアテープCTの送給ルートが錯綜しない点は、オートローディングフィーダ装置82の場合と同様である。
【0045】
4.追加形リール保持装置7の態様および効果
追加形リール保持装置7は、複数の部品を保持するキャリアテープCTをそれぞれ繰り出して部品を順次供給する複数台のフィーダ装置81、82、およびキャリアテープCTをそれぞれ巻回した複数のテープリールTRを回転可能かつ交換可能に保持する標準リール保持部35を有して部品実装機1に装備される部品供給装置3に、追加で取り付け可能な追加形リール保持装置7であって、標準リール保持部35に追加で取り付けられ、標準リール保持部35が保持するテープリールTR以外の追加のテープリールTRを回転可能かつ交換可能に保持するとともに、追加のテープリールTRに巻回されたキャリアテープCTをフィーダ装置81、82に送給可能とする。
【0046】
追加形リール保持装置7は、部品供給装置3に設けられた標準リール保持部35から送給するキャリアテープCTの本数が不足する場合に、部品供給装置3に追加で取り付けられて追加のテープリールTRを保持し、追加のテープリールTRからキャリアテープCTをフィーダ装置82に送給できる。これにより、標準リール保持部35および追加形リール保持装置7からフィーダ装置81、82に送給できるキャリアテープCTの総本数を増やせる。
【0047】
さらに、部品実装機1の改造は不要であり、既設の標準リール保持部35はそのまま利用できる。したがって、リール保持部の全体を新規に製作して交換する従来技術と比較して、追加形リール保持装置7は、コンパクトに形成されて使い勝手が良く、かつコストの増加も抑制される。
【0048】
また、追加形リール保持装置7は、フィーダ装置81、82の種類や構造を問わずに用いることができるので、互換性能および汎用性に優れる。
【0049】
さらに、追加形リール保持装置7は、X軸方向(複数台のフィーダ装置の列設方向)に延在する棒形状取り付け座38、39に対して、上方から係合する下向きに開口した凹形状取り付け部721、717を備えている。これによれば、追加形リール保持装置7を極めて容易に追加取り付けできる。
【0050】
さらに、追加形リール保持装置7は、X軸方向(複数台のフィーダ装置の列設方向)に取り付け位置が変更可能とされている。これによれば、追加形リール保持装置7の取り付け位置は、フィーダ装置81、82の種類、装着台数、および配置状況などに合わせて自由に変更できるので、適用範囲が広くかつ用い易い。
【0051】
さらに、追加形リール保持装置7は、フィーダ装置81、82の台数よりも少数のテープリールTRを保持し、X軸方向(複数台のフィーダ装置の列設方向)に複数が配置可能とされている。これによれば、追加形リール保持装置7の個数は、フィーダ装置81、82の種類、装着台数、および配置状況などに合わせて自由に変更できるので、適用範囲が広くかつ用い易い。
【0052】
さらに、追加形リール保持装置7は、標準リール保持部35のフィーダ装置81、82から離れた前側に取り付けられる。これによれば、追加形リール保持装置7から送給されるキャリアテープCTが僅かに斜め方向に送給されても、問題は生じない。また、標準リール保持部35および追加形リール保持装置7から送給される2本のキャリアテープCTは、送給ルートが錯綜しない。したがって、部品供給装置3としての動作信頼性が高い。
【0053】
さらに、マルチフィーダ装置を用いた場合に、追加のテープリールTRは、標準リール保持部35が保持するテープリールTRと同時に使用される。また、オートローディングフィーダ装置82を用いた場合に、追加のテープリールTRは、標準リール保持部35が保持するテープリールTRの後に使用され、かつ、標準リール保持部35に保持されていたテープリールTRが取り外されて遊休のリール保持位置が生じると、当該のリール保持位置に移送される。
【0054】
これらによれば、追加形リール保持装置7は、部品実装機1の稼動中でも、テープリールTRの交換作業やキャリアテープCTのスプライシング作業を行え、作業性に優れる。
【0055】
5.実施形態の応用および変形
なお、追加形リール保持装置7が保持する追加のテープリールTRの個数は、5個に限定されず、1個からスロット322の条数に一致した40個の範囲内で選択できる。また、追加形リール保持装置7から円滑にキャリアテープCTを送給するために、送給ルートを案内するテープガイドを適宜付設してもよい。本実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1:部品実装機 3:部品供給装置 31:デバイスパレット
32:フィーダ装着部 35:標準リール保持部
38:前側棒形状取り付け座 39:後側棒形状取り付け座
7:実施形態の追加形リール保持装置
71:側板 717:後側凹形状取り付け部
72:取り付け部材 721:前側凹形状取り付け部
73:前底板 74:支持軸 75:押え軸
81:フィーダ装置 82:オートローディングフィーダ装置
TR:テープリール CT:キャリアテープ