(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】メタルハライドランプ
(51)【国際特許分類】
H01J 61/36 20060101AFI20231019BHJP
H01J 61/073 20060101ALI20231019BHJP
H01J 61/12 20060101ALI20231019BHJP
H01J 61/20 20060101ALI20231019BHJP
H01J 61/88 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H01J61/36 B
H01J61/073 B
H01J61/12 A
H01J61/20 D
H01J61/88 U
(21)【出願番号】P 2020012142
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100200159
【氏名又は名称】河野 仁志
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】山田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】日野 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】原 拓也
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-255593(JP,A)
【文献】特開2019-061817(JP,A)
【文献】特開2016-126873(JP,A)
【文献】特開2001-068061(JP,A)
【文献】特表2010-528439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0000821(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/30-61/48
H01J 61/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間および前記放電空間の両端に形成され前記放電空間を封止する封止部を有し、前記放電空間に水銀、希ガス、発光金属が封入される発光管と;
一端側が前記放電空間に突出して設けられ、他端側が前記封止部に埋設される電極軸を有する電極と;
前記電極軸の外部を包囲して設けられるガラス筒体と;
を有し、
前記電極軸の全長をL[mm]、外径をR[mm]としたとき、
以下の関係を満たすメタルハライドランプ。
6.0≦L/R≦12.0
15.0[mm]≦L[mm]≦30.0[mm]
2.0[mm]≦R[mm]≦3.0[mm]
【請求項2】
前記封止部の外表面温度をt
1[℃]、前記発光管の外表面温度をt
2[℃]とするとき、|t
2-t
1|≦250[℃]の関係を満たす請求項1に記載のメタルハライドランプ。
【請求項3】
前記電極は放電空間側の前記電極軸にコイルを有し、前記ガラス筒体は前記封止部に埋設され、前記電極軸の前記他端側に設けられ、前記コイルおよび前記ガラス筒体は離間して設けられる請求項1または2に記載のメタルハライドランプ。
【請求項4】
前記発光金属は、鉄と、少なくともスズまたはタリウムのいずれかを含む請求項1~3のいずれか一項に記載のメタルハライドランプ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のメタルハライドランプが搭載される紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、メタルハライドランプに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線を放出する光源として、例えば、印刷工程における紫外線硬化インクの硬化や、液晶製造工程での封止用接着剤の硬化等に放電ランプが用いられている。紫外線を放出する放電ランプには、水銀の他に、例えば、鉄、スズ、タリウム、マグネシウム、ビスマス等の発光金属とハロゲン物質の混合物であるメタルハライドを封入した、メタルハライドランプが開示されている。
【0003】
メタルハライドランプを製造しているときに、電極を支えながら石英ガラスを封止(加熱形成)すると、電極の自重により所望とする位置からずれる、いわゆる偏心が発生してしまうため、電極を支えながら封止することは難しい。特許文献1~3には、メタルハライドランプに設けられる電極の支持を目的として、電極保持材としてガラス筒体を電極の外周に設けることで、発光管の両端に、ガラス筒体を介して電極を封止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-126873号公報
【文献】特開2012-160330号公報
【文献】特開平10-162774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メタルハライドランプは、点灯と消灯を繰り返す、いわゆる点滅点灯が行われる場合がある。メタルハライドランプが点灯することで発光管は昇温し、メタルハライドランプが消灯することで発光管は降温する。点滅点灯により、発光管に用いられている電極、ガラス筒体などのランプ構成部材の温度も昇温や降温を繰り返すこととなる。特に、メタルハライドランプの消灯時には、封止部に設けられた電極とガラス筒体の間に、線膨張係数の差により、ガラス筒体よりも電極の方が早く収縮するため、ガラス筒体と電極との間に隙間が発生する。隙間が発生すると、メタルハライドランプに封入された発光金属、具体的にはハロゲン化金属が隙間を通り、温度の低い封止部へ移動し凝固する。ハロゲン化金属が封止部へ移動した状態でメタルハライドランプを点灯すると、封止部の温度はハロゲン化金属の蒸発温度まで上昇しない。このため、放電空間内に存在するハロゲン化金属の量は点滅を繰り返す毎に放電空間から封止部へ移動するため、放電空間内のハロゲン化金属は減少する。また、隙間は、ランプ点灯時に熱膨張により電極とガラス筒体との隙間が略塞がるものの完全に密閉されておらず、発光部と封止部の温度差が大きくなると、点滅点灯時同様、温度の高い発光部から温度の低い封止部へハロゲン化金属が移動してしまう。結果、ハロゲン化金属が放電空間から減少することにより所望とする紫外線の発光強度が早期に低下してしまうことがあった。
【0006】
また、発光管温度よりも封止部温度を上昇させることで、点灯・消灯時のハロゲン化金属の移動を抑制することができるが、封止部温度を上昇させすぎると、電極溶接箇所の酸化や封止管の溶融等の不具合が発生し、不点灯に至ることがあった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、発光金属の封止部への進入を抑制するメタルハライドランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によれば、メタルハライドランプは、発光管と、電極と、ガラス筒体とを有する。発光管は、放電空間および放電空間の両端に形成され放電空間を封止する封止部を有し、放電空間に水銀、希ガス、発光金属およびハロゲンが封入される。電極は、一端側が放電空間に突出して埋設され、他端側が封止部に埋設される電極軸を有する。ガラス筒体は、電極軸の外部を包囲して設けられる。電極軸の全長をL[mm]、電極軸の外径をR[mm]としたとき、6.0≦L/R≦12.0、15.0[mm]≦L[mm]≦30.0[mm]、2.0[mm]≦R[mm]≦3.0[mm]の関係を満たす。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、発光金属の封止部への進入を抑制するメタルハライドランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るメタルハライドランプ1を例示する模式図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るメタルハライドランプ1の封止部20の拡大図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るメタルハライドランプ1において、電極20の電極軸外径Rと電極軸長Lを変化させて試験を行った結果を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例1と比較例1のメタルハライドランプ1の照度維持率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明する実施形態に係るメタルハライドランプ1は、発光管10と、電極20と、ガラス筒体40とを有する。発光管10は、放電空間12および放電空間12の両端に
形成され放電空間12を封止する封止部14を有し、放電空間12に水銀、希ガス、発光金属16およびハロゲンが封入される。電極20は、一端側が放電空間12に突出して設けられ、他端側が封止部14に埋設される電極軸22を有する。ガラス筒体40は、電極軸22の外部を包囲して設けられる。メタルハライドランプ1は、電極軸22の全長をL[mm]、外径をR[mm]としたとき、6.0≦L/R≦12.0、15.0[mm]≦L[mm]≦30.0[mm]、2.0[mm]≦R[mm]≦3.0[mm]の関係を満たす。
【0012】
本実施形態によれば、発光金属16の封止部14への進入を抑制することができる。
【0013】
また、以下で説明する実施形態に係るメタルハライドランプ1において、封止部14、14の外表面温度をt1[℃]、発光管10の外表面温度をt2[℃]とするとき、|t2-t1|≦250[℃]の関係を満たす。
【0014】
本実施形態によれば、発光金属16の封止部14への進入を抑制することができる。
【0015】
また、以下で説明する実施形態に係るメタルハライドランプ1において、電極20は放電空間12側の電極軸22にコイル24を有し、ガラス筒体40は封止部14に埋設され、電極軸22の他端側に設けられ、コイル24およびガラス筒体40は離間して設けられる。
本実施形態によれば、メタルハライドランプ1の点灯時にガラス筒体40の溶融を抑制することができる。
【0016】
また、以下で説明する実施形態に係るメタルハライドランプ1において、発光金属16は、鉄と、少なくともスズまたはタリウムのいずれかを含む。
【0017】
本実施形態によれば、発光金属16の封止部14への進入を抑制することができる。
【0018】
また、以下で説明する実施形態に係る紫外線照射装置は、メタルハライドランプ1が搭載される。
【0019】
本実施形態によれば、発光金属16の封止部14への進入を抑制することができるメタルハライドランプ1を搭載した紫外線照射装置を得ることができる。
【0020】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るメタルハライドランプについて、
図1を用いて説明する。
図1は、メタルハライドランプ1を例示している。
【0022】
図1に示したように、本実施形態に係るメタルハライドランプ1は、発光管10と、一対の電極、20、20とを有する。メタルハライドランプ1の全長は、1226[mm]である。
【0023】
発光管10は、直管状に形成され、内部に放電空間12を有する。また、発光管10の両端には封止部14、14が形成されることで、放電空間12を気密に保つ。発光管10は、紫外線を透過する材料で構成されており、例えば石英ガラスで構成される。発光管10は、外径φが26.1[mm]である。なお、
図1に示すように、発光管1には封止部14、電極20が一対あるが、両方とも構成が同一であることから、以降説明は一方のみ行い、他方について省略する。
【0024】
放電空間12には、封止部14の外部より電力が印加されることで、放電空間12内に対向して設けられる一対の電極20-20間でアーク放電が生起されて発光する。放電空間12は、例えば内径φが22.5[mm]、発光長(一対の電極20-20間の距離)が1084[mm]で構成される。
【0025】
封止部14は、放電空間12の両端に形成される。封止部14は、発光管10と同じ石英ガラスで構成される。封止部14は、電極20を所望の位置に設けた後に、不図示の減圧手段により放電空間12を減圧したあとで不図示のガスバーナーなどの溶融手段により溶融して成形する、いわゆるシュリンクシールにより形成される。なお、封止部14には、発光管10と異なる石英ガラスなどで構成されても良い。また、封止部14は、不図示のガスバーナーなどの溶融手段により溶融して、不図示のピンチャーなどの成形手段によりピンチして封止する、いわゆるピンチシールにより形成されてもよい。
【0026】
放電空間12には、発光金属として水銀を含むハロゲン化金属16および不図示の希ガスが封入される。ハロゲン化金属16は、放電空間12内でアーク放電が生起されることにより蒸発して発光に寄与する。ハロゲン化金属16は、水銀および金属ハロゲン化物の混合物として、一部が放電空間12中に凝集し、残りが蒸気として放電空間12中に存在する。ハロゲン化金属16は、水銀および金属ハロゲン化物を含む。ハロゲン化金属16は、水銀に加えて、例えば鉄、ヨウ化タリウム、ヨウ化水銀、臭化水銀が封入される。なお、ハロゲン化金属16は上記に限定されず、上記以外の金属ハロゲン化物を含んでいてもよい。また、発光金属はハロゲン化金属に限定されず、金属単体が封入されていてもよい。
【0027】
希ガスは、放電空間12内でアーク放電が生起されることにより発光に寄与する。希ガスは、例えばキセノンが封入される。なお、希ガスは、アルゴン、クリプトン、キセノンなどのいずれか一種、または二種以上の混合ガスでよい。
【0028】
封止部14には、一端側が放電空間12に突出して設けられ、他端側が封止部14に埋設される電極軸22を有する電極20を有する。電極20の詳細については後述する。
【0029】
保温膜30は、発光管10の電極20が設けられる外表面から封止部14に亘って設けられる。保温膜30は、発光管10の電極20が設けられる近傍や封止部14の温度低下を抑制してハロゲン化金属16の封止部14への移動を抑制することで、ハロゲン化金属16が発光に寄与することを補助する。保温膜30は、例えば、ボンド・エックス(登録商標)で構成される。
【0030】
リード線50は、一端が後述するアウターリード28と接続され、他端に後述する端子60が設けられる。リード線50は、芯線52を被覆54で覆うことで形成される。芯線52は、スズめっき軟銅線を撚って形成した、撚り線である。
【0031】
端子60は、リード線50の他端に設けられ、不図示の紫外線照射装置に設けられた端子台を介して、不図示の点灯回路と接続される。端子60は、銅により構成される。
【0032】
口金70は、封止部14の放電空間12と対向する側に設けられる。口金70は、後述するアウターリード28とリード線50との接続部分が外部に露出しないように、アウターリード28とリード線50とを覆う。口金70は、ステアタイトにより構成される。
【0033】
このようにして設けられたメタルハライドランプ1は、不図示の紫外線照射装置に取り付けられ、不図示の点灯回路から、メタルハライドランプ1に電力が供給されることで、紫外線が放出される。
【0034】
ここで、電極20の構成について、
図2を用いて更に詳しく説明する。
図2は、電極20近傍の拡大模式図である。なお、
図2では、保温膜30を省略している。
【0035】
封止部14の内部には、電極20として電極軸22、コイル24、金属箔26、アウターリード28、ガラス筒体40が埋設されている。
【0036】
電極軸22は、放電空間12に電力を印加する。電極軸22は、一端側が放電空間12に突出して設けられ、他端側が封止部14に埋設される。電極軸22の放電空間12側に突出した一端側にはコイル24が設けられる。電極軸22の放電空間12の反対側である他端側は金属箔26と接続される。電極軸22は、例えば、主な材料としてタングステンを含む。また、電極軸22は、メタルハライドランプ1の点灯中に、電極軸22の主な材料として構成されるタングステンの再結晶化による電極軸22の強度低下を抑制するため、微量の金属を含んだ、いわゆるドープタングステンにより構成される。なお、電極軸22には、例えば、電子放射性を良くするため、例えば酸化トリウムを含むトリエーテッドタングステンで構成されても良い。電極軸22は、他端側が平坦となるように加工されている。
【0037】
コイル24は、電極軸22の一端側に設けられ、放電中の電極軸22から温度を放射することで、電極先端を除く電極軸22の温度上昇を抑制する。コイル24は、一端が電極軸22の一端側、すなわち、放電空間12側に設けられ、他端が電極軸22の他端側に設けられる。コイル24は、電極軸22の電極先端側に、例えばコイル24を構成する線材1本を二重に巻回することにより設けられる、いわゆる二重巻構造である。コイル24は、例えばドープタングステンにより構成される。
【0038】
金属箔26は、封止部14に埋設されて封止されることにより、発光管10を気密に保つ。金属箔26は、一端が電極軸22の他端と溶接され、他端が後述するアウターリード28の一端と溶接され、封止部14に埋設して設けられる。金属箔26は、例えばモリブデンにより構成される。なお、金属箔26が複数枚設けられる場合は、複数の金属箔26の間に、絶縁部材として不図示のセパレータガラスが設けられてもよい。
【0039】
アウターリード28は、一部が封止部14に埋設され、他端がリード線50と接続され、発光管10の内部と外部とが電気的に接続される。アウターリード28は、例えば、モリブデンにより構成される。アウターリード28は、直径φが2.0[mm]の棒状体である。
【0040】
ガラス筒体40は、電極22の他端側の外周に、封止部14に埋設されて設けられる。ガラス筒体40は、メタルハライドランプ1を製作するときに、電極20、20を発光管10の長手方向に直交する断面において略中央に設けるために設ける。ガラス筒体40は、石英ガラスにより構成される。ガラス筒体40は、放電空間12側の端部が発光管10の放電空間12を構成する面と略等しい位置に設けられることが望ましいが、ガラス筒体40の放電空間12側の端部が放電空間12側に突出して設けられてもよいし、ガラス筒体40放電空間12側の端部が放電空間12から離間する側に埋没して設けられてもよい。
【0041】
なお、ガラス筒体40は、コイル24と離間して設けられることが望ましい。コイル24とガラス筒体40とが接触して設けられると、ランプ点灯時に昇温するコイル24の熱によりガラス筒体40が溶融することがあり、好ましくない。このため、コイル24とガラス筒体40とは離間して設けられることが望ましい。
【0042】
ここで、電極軸22について、更に詳しく説明する。
【0043】
本実施形態において、電極軸22は、全長L[mm]が30[mm]、外径R[mm]が2.5[mm]であり、L/R=12.0である。このような構成とすることで、ハロゲン化金属の封止部への進入を抑制することが判明した。また、発明者の種々の検討により、6.0≦L/R≦12.0の範囲であればハロゲン化金属の封止部への進入を抑制することが判明した。特に、6.7≦L/R≦12.0の範囲であれば、ハロゲン化金属の封止部への進入をより抑制することが判明した。
【0044】
ここで、メタルハライドランプ1において、電極軸22の全長L[mm]との外径R[mm]とを変化させて4000[時間]後の点灯判定、照度判定を行った。具体的には、電極軸22の全長Lと外径Rとを変更したメタルハライドランプ1を制作し、不図示の点灯回路から、メタルハライドランプ1に電力を供給して4000時間連続点灯を行い、4000時間後にメタルハライドランプ1が点灯しているか否か確認した。また、連続点灯4000時間後にメタルハライドランプ1が点灯している場合は、連続点灯開始直後(0[時間])の365[nm]照度値を100[%]として、500[時間]、1000[時間]、2000[時間]、3000[時間]、4000[時間]点灯後の365[nm]照度値を、連続点灯開始直後の365[nm]照度値で規格化した照度維持率[%]を求めた。365[nm]照度は、照度計:UV-M03A(オーク製作所製)、センサ:UV-SD35(オーク製作所製)を用いて、メタルハライドランプ1の発光管10の表面から1[m]離間した位置で測定した。評価条件は以下のとおりである。
本実施形態のメタルハライドランプ1(実施例1):内径=22.5[mm]、放電空間12の長さ=1084[mm]、メタルハライドランプ1の全長=1226[mm]、ランプ電圧=640[V]、ランプ電流=26[A]。電極20:電極軸22=トリアを含有したタングステン(トリエーテッドタングスステン)、電極軸の全長L=30.0[mm]、電極軸の外径R=φ2.5[mm]、コイル24:ドープタングステン、線径φ0.6[mm]を電極軸22の電極先端22a側に、外径φ3.2[mm]となるように巻き付けた。
ガラス筒体40:外径φ6.0[mm]-内径φ3.3[mm]、全長14.5[mm]。
比較例1:電極軸22の全長L=42.0[mm]、電極軸22の外径R=φ3.0[mm]。
評価項目:4000時間点灯後のメタルハライドランプ1が点灯するか否か(点灯判断)、4000時間点灯後の照度維持率[%]が70[%]以上であるか否か(照度判定)。
評価結果を
図3に示す。なお、
図3で、「点灯判定」が〇のものは4000時間連続点灯後にメタルハライドランプ1が点灯可能であること、×のものは4000時間連続点灯後にメタルハライドランプ1が点灯不可能であることを示す。また、
図3で、「照度判定」が〇のものは4000時間連続点灯後にメタルハライドランプ1の照度維持率が70[%]以上であること、×のものは4000時間連続点灯後にメタルハライドランプ1の照度維持率が70[%]以上であること、-は4000時間連続点灯後にメタルハライドランプ1が点灯できないため評価できなかったことを示す。
図3から明らかであるとおり、6.0≦L/R≦12.0とすることで、4000時間連続点灯後もメタルハライドランプ1が点灯でき、照度維持率が70[%]以上であることが判明した。
【0045】
ここで、電極軸長Lと電極軸径Rとの関係が6.0≦L/R≦12.0の関係式を満たすことが好ましい理由について検証を行った。具体的には、メタルハライド1を点灯させて20分後に、封止部14の外表面温度t1[℃]と発光管10の外表面温度t2[℃]の測定を行い、t2とt1の差の絶対値、すなわち、|t2-t1|[℃]を求めた。なお、封止部14の外表面温度t1は、封止部14の電極軸22と金属箔24の接合箇所近傍の外表面に設けた測定箇所に、K熱電対を取り付けて、データロガーGL-220(グラフテック製)を用いて測定した。同様に、発光管10の外表面温度t2は、発光管10の長手方向略中央部の外表面に、K熱電対を取り付けて、データロガーGL-220(グラフテック製)を用いて測定した。測定したt1、t2により、t2とt1の差の絶対値、すなわち、|t2-t1|を求めた。
【0046】
L、R、L/Rを変化させたときのt
1、t
2、|t
2-t
1|の測定結果を
図3に示す。
図3から明らかであるとおり、電極軸長Lと電極軸径Rとの関係が6.0≦L/R≦12.0の関係式を満たすことで、|t
2-t
1|≦250の関係を満たすことが判明した。|t
2-t
1|≦250[℃]を満たすことで、発光管10と封止部14の温度差を抑制する、すなわち、封止部14の温度を上げることで、ハロゲン化金属の封止部14への進入が抑制され、放電空間12に封入したハロゲン化金属の枯渇が抑制されることから、4000時間連続点灯後もメタルハライドランプを点灯させることが可能となり、365[nm]照度の低下を抑制することができる。特に、|t
2-t
1|≦150[℃]とすることで、発光管10と封止部14の温度差をより抑制することができ、ハロゲン化金属16の封止部14への進入がより抑制される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1…メタルハライドランプ、
10…発光管、
12…放電空間、
14…封止部、
16…発光金属、
20…電極、
22…電極軸、
24…コイル、
26…金属箔、
28…アウターリード、
30…保温膜、
40…ガラス筒体、
50…リード線、
52…芯線、
54…被覆、
60…端子、
70…口金。