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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】異常診断システムおよび異常診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20231019BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20231019BHJP
   G01M 13/003 20190101ALI20231019BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G05B23/02 R
G01M13/003
G01M99/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020049735
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021148648
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 仁美
【審査官】目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159841(JP,A)
【文献】特開2013-227946(JP,A)
【文献】特開2019-064447(JP,A)
【文献】特開2016-003875(JP,A)
【文献】特開2005-241089(JP,A)
【文献】特開平03-245021(JP,A)
【文献】登録実用新案第3166788(JP,U)
【文献】特開2018-175310(JP,A)
【文献】特開昭64-028065(JP,A)
【文献】実開昭61-190768(JP,U)
【文献】特開平10-332477(JP,A)
【文献】特開平01-098938(JP,A)
【文献】特開平09-113351(JP,A)
【文献】特開2019-020264(JP,A)
【文献】特開2015-124726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-13/045
G01M 99/00
G01H 1/00-17/00
G01B 23/00-23/02
F15B 1/00-21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータをオンまたはオフするコンタクタと、
液圧シリンダと、
液体を貯留するタンクと、
前記モータによって駆動し、前記タンクに貯留されている液体を前記液圧シリンダに向けて吐出するポンプと、
前記液体の流れを制御するバルブと、
前記コンタクタのオン又はオフによって生じる振動、および、前記バルブの駆動によって生じる振動を検知するセンサと、
前記コンタクタおよびバルブが正常に動作したときに生じる振動を記憶する記憶装置と、
前記センサで検知された振動と記憶手段に記憶された振動とを比較し、前記コンタクタおよび前記バルブの異常を判定する制御装置と、を備え、
前記コンタクタのオンまたはオフと前記バルブの駆動のタイミングが異なり、
前記コンタクタのオン又はオフによって生じる振動が終了した後に、前記バルブの駆動が行われることで、前記コンタクタによって生じる振動と前記バルブによって生じる振動とを区別する、異常診断システム。
【請求項2】
前記制御装置は、センサで検知された振動と記憶装置に記憶された振動の周波数、振幅、期間および時間の少なくとも1つを比較する請求項に記載の異常診断システム。
【請求項3】
モータと、
前記モータをオンまたはオフするコンタクタと、
液圧シリンダと、
液体を貯留するタンクと、
前記モータによって駆動し、前記タンクに貯留されている液体を前記液圧シリンダに向けて吐出するポンプと、
前記液体の流れを制御するバルブと、
前記コンタクタのオン又はオフによって生じる振動、および、前記バルブの駆動によって
生じる振動を検知するセンサと、
前記コンタクタおよびバルブが正常に動作したときに生じる振動を記憶する記憶装置と、
前記センサで検知された振動と記憶手段に記憶された振動とを比較し、前記コンタクタおよび前記バルブの異常を判定する制御装置と、を備え、
前記コンタクタのオンまたはオフと前記バルブの駆動のタイミングが異なる、液圧装置において、
前記コンタクタがオンまたはオフになることでモータを駆動または停止させるステップと、
前記モータがポンプを駆動または停止させるステップと、
前記バルブの開閉によって液圧シリンダに対して液体を供給または排出させるステップと、
前記センサがコンタクタおよびバルブの少なくとも1つの動作によって生じる振動を検知するステップと、
前記制御装置がセンサで検知された振動と記憶手段に記憶された振動とを比較し、コンタクタおよびバルブの少なくとも1つの異常を判定するステップと、
を備え
前記コンタクタのオン又はオフによって生じる振動が終了した後に、前記バルブの駆動が行われることで、前記コンタクタによって生じる振動と前記バルブによって生じる振動とを区別する、異常診断方法。
【請求項4】
前記制御装置は、センサで検知された振動と記憶装置に記憶された振動の周波数、振幅、期間および時間の少なくとも1つを比較する請求項に記載の異常診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧装置の異常診断システムおよび異常診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、荷役装置などに液圧(油圧)装置が利用されている。液圧装置は、モータによってポンプを駆動させ、ポンプが液体(作動油)を吐出する。液圧装置に備えられた弁が液体の流れる方向を切り替えることで、液圧シリンダに液体を供給したり液圧シリンダから液体を排出したりする。液圧シリンダのピストンが移動することで、そのピストンに固定されたピストンロッドが移動する。たとえばピストンロッドに取り付けられた荷台が昇降される。
【0003】
液圧装置が使用途中で異常停止すると、その状態で液圧装置を修理する必要がある。たとえば、トラックの荷台に荷物を載せて液圧装置によって荷台を昇降させる。この荷台の昇降途中で液圧装置が異常停止すると、その状態で液圧装置を修理する必要があるため、トラックを移動させることができない。倉庫などでおこなわれる荷役作業が中断するおそれがある。そのため、液圧装置の異常箇所を早期に発見し、液圧装置が異常停止する前にその異常箇所を修理する必要がある。
【0004】
下記特許文献1は液圧装置の液体の圧力を計測することで、液圧装置の異常を検知することが開示されている。具体的には、圧力制御弁につながるラインの圧力を計測することで、圧力制御弁のアンロード回路の故障を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開番号WO2017/164370
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、液圧装置で故障する箇所は圧力制御弁のみではない。たとえば、一般的に液圧装置に複数の弁が使用されるため、それぞれの弁に故障するおそれがある。さらに、液圧装置はモータ、ポンプおよび液圧シリンダなどの弁以外の部品も故障するおそれがある。特許文献1はこれらの部品に発生する異常を発見することができない。さらに、液圧装置が異常停止した場合、液圧装置の使用者は原因となった部品を突き止めることはできない。異常箇所が分からなければ、部品の手配をおこなうことができず、修理に時間を要する。
【0007】
本発明の目的は、液圧装置の異常箇所を早期に発見できる異常診断システムおよび異常診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決すべく、本発明に係る異常診断システムおよび異常診断方法は、以下に述べるような構成を有する。
【0009】
本発明の異常診断システムは、モータと、前記モータをオンまたはオフするコンタクタと、液圧シリンダと、液体を貯留するタンクと、前記モータによって駆動し、前記タンクに貯留されている液体を前記液圧シリンダに向けて吐出するポンプと、前記液体の流れを制御するバルブと、前記モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの動作によって生じる振動を検知するセンサと、前記モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つが正常に動作したときに生じる振動を記憶する記憶装置と、前記センサで検知された振動と記憶手段に記憶された振動とを比較し、モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの異常を判定する制御装置とを備える。
【0010】
本発明の異常診断方法は、モータと、前記モータをオンまたはオフするコンタクタと、液圧シリンダと、液体を貯留するタンクと、前記モータによって駆動し、前記タンクに貯留されている液体を前記液圧シリンダに向けて吐出するポンプと、前記液体の流れを制御するバルブと、前記モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの動作によって生じる振動を検知するセンサと、前記モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つが正常に動作したときに生じる振動を記憶する記憶装置と、前記センサで検知された振動と記憶手段に記憶された振動とを比較し、モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの異常を判定する制御装置とを備えた液圧装置において、前記コンタクタがオンまたはオフになることでモータを駆動または停止させるステップと、前記モータがポンプを駆動または停止させるステップと、前記バルブの開閉によって液圧シリンダに対して液体を供給または排出させるステップと、前記センサがモータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの動作によって生じる振動を検知するステップと、前記制御装置がセンサ検知された振動と記憶手段に記憶された振動とを比較し、モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの異常を判定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、センサでコンタクタ等の動作によって生じる振動を検出することでそれらの異常を判定することができる。各部品の振動によって異常を検出できるため、早期に異常箇所となった部品を修理または交換できる。液圧装置が異常停止を予防しやすくなっている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願の異常診断システムの構成を示す図である。
図2】トラックの荷役装置を示す図である。
図3】記憶装置に記憶された振動と異常を有する振動の違いを示す図である。
図4】コンタクタおよび方向制御弁と振動の関係を示すグラフである。
図5】記憶装置に記憶された振動と異常を有する振動の違いを示す図である。
図6】液圧シリンダを2つ用いた液圧装置に対する異常診断システムの構成を示す図である。
図7】通信装置を備えた異常診断システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係るその異常診断システムおよび異常診断方法について図面を参照して説明する。複数の実施形態を説明するが、異なる実施形態であっても同じ手段には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0014】
[実施形態1]
図1に示す本願の異常診断システム10は、液圧(油圧)装置12の異常を診断する。液圧装置12はトラックまたはフォークリフトなどの荷役装置に組み込まれる。たとえば図2に示すトラック14の荷役装置16は液圧装置12と荷受台18を備える。荷受台18が液圧装置12によって昇降させられる。
【0015】
[液圧装置]
液圧装置12は、電源20、その電源20の電力で駆動するモータ22、そのモータ22をオンまたはオフするコンタクタ24、液圧シリンダ26、液体(作動油)を貯留するタンク28、そのタンク28に貯留されている液体を液圧シリンダ26に向けて吐出するポンプ30、液体の流れを制御するバルブ32、34、36、38、40、および制御装置42を備える。
【0016】
電源20は直流電源である。図2のトラック14であれば、トラック14の車載バッテリーが電源20として使用される。トラック14の車載バッテリー以外に液圧装置12のために専用の電源20を備えてもよい。電源20は交流電源の出力を電源回路で直流化したものであってもよい。
【0017】
モータ22は直流ブラシレスモータを使用するが、他のモータを使用してもよい。モータ22はコンタクタ24を介して電源20に接続されている。コンタクタ24がオンになると、電源20とモータ22が接続され、電源20からモータ22に電力が供給される。
【0018】
コンタクタ24は電磁開閉式のスイッチである。コンタクタ24は接点スイッチ44とコイル46を備えている。制御装置42がコンタクタ24のコイル46に電流を流すことができる。コイル46に流れる電流の有無で接点スイッチ44がオンまたはオフになる。接点スイッチ44がオンになるとモータ22と電源20が接続され、モータ22が駆動される。
【0019】
液圧シリンダ26は、その中に液体が供給または排出されることでシリンダ内のピストンが直線運動するものである。ピストンにピストンロッドが取り付けられており、ピストンが直線運動することで、ピストンロッドの先端に取り付けられた部品が移動する。たとえば、ピストンロッドの先端に荷受台18を取り付けた場合、荷受台18を昇降させることができる。
【0020】
ポンプ30は歯車ポンプ、ベーンポンプ、スクリューポンプ、プランジャーポンプなどを利用できる。ポンプ30はモータ22の動力によって駆動する。ポンプ30はタンク28に貯留された液体を液圧シリンダ26に向けて吐出する。
【0021】
バルブ32、34、36、38、40は方向制御弁32、34、圧力制御弁(リリーフ弁)36およびチェック弁(逆止弁)38、40を含む。方向制御弁は第1方向制御弁32と第2方向制御弁34を備える。
【0022】
第1方向制御弁32は液圧シリンダ26への液体の供給と停止を切り替える。第1方向制御弁32は励磁コイルが励磁されていない状態でチェック弁が選択されており、液圧シリンダ26に対する液体供給が停止されている。励磁コイルが励磁されると第1方向制御弁32が開けられ、液圧シリンダ26に液体が供給される。
【0023】
第2方向制御弁34は液圧シリンダ26からの液体の排出と停止を切り替える。第2方向制御弁34は励磁コイルが励磁されていない状態でチェック弁が選択されて閉じており、液圧シリンダ26からの液体の排出が停止されている。励磁コイルが励磁されると第2方向制御弁34が開けられ、液圧シリンダ26から液体が排出される。
【0024】
たとえば、ピストンロッドの先端に荷受台18を取り付けた場合、第1方向制御弁32を開けて第2方向制御弁34のチェック弁を選択すれば荷受台18が上昇する。反対に、第1方向制御弁32のチェック弁を選択して第2方向制御弁34を開ければ荷受台18が下降する。各方向制御弁32、34の励磁コイルは、制御装置42によって励磁電流が流されるように配線される(図示省略)。
【0025】
タンク28と第2方向制御弁34の間に絞り48を備える。液圧シリンダ26から液体を排出するときに、一気に液体が排出されるとピストンが一気に移動する。たとえば、ピストンロッドの先端に荷受台18が取り付けられていれば、荷受台18が一気に下降する。絞り48によって液圧シリンダ26から一気に液体が排出されないようになっている。
【0026】
圧力制御弁36は液体の圧力が一定以上になると開けられるバルブである。ポンプ30から吐出された液体が液圧シリンダ26に最大量供給された後は液圧シリンダ26の中に液体が入らない。また、ポンプ30が駆動した状態で2つの方向制御弁32、34が閉じていれば、液体の行き場が無い。これらの場合、液体の圧力が上昇し、ポンプ30および液圧シリンダ26などの液圧装置12を構成する部品が破損するおそれがある。液体の圧力が一定以上になって圧力制御弁36が開けられ、液体がタンク28に排出されることで、液圧装置12を構成する部品が保護される。
【0027】
チェック弁38、40はポンプ30へ液体を逆流させないためのバルブである。ポンプ30から液圧シリンダ26に向けて液体が流れているときチェック弁38、40が開く。液圧シリンダ26からポンプ30に向けて液体が流れようとするとチェック弁38、40は閉じる。
【0028】
液体の圧力を計測する圧力計50を備える。圧力計50はブルドン管圧力計またはダイアフラム式圧力計などを使用できるが、液体の圧力が計測できれば圧力計50は特に限定されない。圧力計50の値が制御装置42に入力され、液体の圧力を監視する。液体の圧力が上限値よりも高くなれば、制御装置42がコンタクタ24をオフにして、モータ22とポンプ30を停止させる。
【0029】
制御装置42はCPU(Central Processing Unit)またはPLC(Programmable Logic Controller)などの演算回路を含む。制御装置42は上記電源20で動作する。制御装置42はコンタクタ24および各方向制御弁32、34を制御する。制御装置42がコイル46に電流を流せばコンタクタ24がオンになり、電流を流さなければコンタクタ24がオフになる。制御装置42が方向制御弁32、34の励磁コイルに電流を流せば励磁コイルが励磁され、方向制御弁32、34が開けられる。励磁コイルに電流を流さなければ、方向制御弁32、34はチェック弁が選択される。
【0030】
制御装置42にはスイッチSW1、SW2が接続されている。たとえば、液圧装置12が荷受台18を昇降させる場合、荷受台18の上昇スイッチSW1と下降スイッチSW2を備える。いずれかのスイッチSW1、SW2が押されることで、制御装置42がコンタクタ24と方向制御弁32、34を上記のように制御して、液圧シリンダ26への液体の供給と排出を制御する。
【0031】
液圧装置12の一部の部品が筐体52に収納されている。筐体52に収納されるのは、少なくともモータ22、コンタクタ24、ポンプ30、バルブ32、34、36、38、40、制御装置42である。
【0032】
[異常診断システム]
本願の異常診断システム10は、上記液圧装置12のコンタクタ24および方向制御弁32、34の少なくとも1つの異常を診断する。異常診断システム10は、振動を検知するセンサ54、正常な振動を記憶する記憶装置56、および制御装置42を備える。
【0033】
センサ54はコンタクタ24および方向制御弁32、34で生じる振動を検知する。振動は空気中を伝わる音を含み、センサ54はマイクロフォンを含む。コンタクタ24および方向制御弁32、34が動作したときに発生する音をマイクロフォンで集音する。たとえばマイクロフォンはコンデンサマイクを使用できる。コンデンサマイクは音による電極間の変化を検出することができるため、音は可聴音域の音に限定されない。すなわち、コンデンサマイクは振動センサとして使用される。
【0034】
半導体メモリまたは磁気記憶装置が記憶装置56として使用できる。記憶装置56はコンタクタ24および方向制御弁32、34が正常に動作したときの振動を記憶する。振動は音であり、振動の振幅、周波数および時間を記憶する。時間は、振動している期間および振動が開始する時間を含む。振動が開始する時間は、制御装置42がコンタクタ24のコイル46に電流を流しまたは停止してから接点スイッチ44のオンまたはオフするまでの時間、および制御装置42が方向制御弁32、34の励磁コイルを励磁または非励磁にしてから方向制御弁32、34が開けられまたはチェック弁に切り替わるまでの時間を含む。
【0035】
センサ54が検知した振動を記憶装置56に記憶されてもよい。記憶装置56に記憶された振動のデータは、液圧装置12の動作を分析するのに利用できる。
【0036】
制御装置42は液圧装置12のコンタクタ24および方向制御弁32、34を制御する以外に、コンタクタ24および方向制御弁32、34の異常を判断する。制御装置42はセンサ54で検知した振動と記憶装置56に記憶した振動とを比較し、検知した振動が記憶した振動から一定値以上異なれば、異常と判断する。
【0037】
制御装置42がコンタクタ24のコイル46に電流を流したり停止したりして制御することで、コンタクタ24がオンまたはオフする。このとき、コンタクタ24に異常があれば、コンタクタ24で生じる振動の振幅、周波数、振動の期間、制御装置42がコンタクタ24を制御してからコンタクタ24がオンまたはオフするまでの時間の少なくとも1つが異なる。制御装置42が方向制御弁32、34を制御することで、方向制御弁32、34が動作する。方向制御弁32、34に異常があれば、方向制御弁32、34に生じる振動の振幅、周波数、振動の期間、方向制御弁32、34が動作または停止するまでの時間の少なくとも1つが異なる。制御装置42は、これらの異常な振動を正常な振動と比較して、異常を判断する。
【0038】
たとえば、図3の最も上に示す振動はコンタクタ24が正常に動作したときの振動60aであり、記憶装置56に記憶された振動とする。振動60bの振幅は記憶された振動60aの振幅よりも大きく、振動60cの周波数は記憶された振動60aの周波数よりも高く、振動60dの期間は記憶された振動60dの期間よりも長く、振動60eの開始時間は記憶された振動60aの開始時間よりも遅い。このように、振動の振幅、周波数、期間および時間を比較することで、コンタクタ24および方向制御弁32、34が動作したときの音の違い、長さの違い、チャタリング音の有無などが検出できる。具体的な比較方法の一例として、記憶装置56に記憶された振動とセンサ54で検知された振動の差分を取り、得られた差分の値によって異常の有無を判定する。
【0039】
スイッチSW1、SW2をオンまたはオフしたときに、制御装置42がコンタクタ24を制御する時間と方向制御弁32、34を制御する時間を異ならせる。図4に示すように、コンタクタ24がオンになる時間T1と方向制御弁32、34が開けられる時間T2とで時差があり、コンタクタ24がオフになる時間T3と方向制御弁32、34がチェック弁に切り替わる時間T4とで時差がある。コンタクタ24と方向制御弁32、34を同時に駆動させないことで、センサ54で検知される振動を判別しやすくする。さらに、コンタクタ24の振動が終了してから方向制御弁32、34が駆動されるようにすることで、センサ54で振動を区別しやすくなる。
【0040】
上記筐体52の中にセンサ54と記憶装置56も収納されている。筐体52が外部の音を遮断できるため、センサ54がコンタクタ24および方向制御弁32、34の振動を検知しやすくなる。
【0041】
異常診断システム10は、コンタクタ24または方向制御弁32、34の異常を表示するディスプレイ、警告音を発するスピーカーなどを備えてもよい。ディスプレイに故障を表示したり、スピーカーで警告音を発したりして液圧装置12の操作者に液圧装置12の異常を知らせる。
【0042】
[異常診断方法]
次に異常診断システム10を使用した故障診断方法について説明する。(1)操作者がスイッチSW1、SW2を操作することで、液圧装置12が制御される。上昇スイッチSW1がオンされれば、制御装置42がコンタクタ24をオンにする。コンタクタ24がオンになると、モータ22は電源20に接続される。モータ22が駆動し、ポンプ30も駆動される。ポンプ30が液体を液圧シリンダ26に向けて吐出する。上昇スイッチSW1がオフされれば、制御装置42がコンタクタ24をオフにする。電源20とモータ22が切断され、モータ22が停止し、ポンプ30も停止する。
【0043】
また、下降スイッチSW2がオンまたはオフされても、上昇スイッチSW1がオンまたはオフされたときと同様に、制御装置42がコンタクタ24を制御する。
【0044】
(2)スイッチSW1、SW2がオンにされたとき、オンになったスイッチSW1、SW2の種類に応じて方向制御弁32、34を開ける。上昇スイッチSW1がオンにされたとき、制御装置42は第1方向制御弁32の励磁コイルに電流を流して励磁し、第1方向制御弁32を開ける。ポンプ30で吐出された液体が液圧シリンダ26に供給される。ピストンが上昇し、荷受台18が上昇する。上昇スイッチSW1がオフになると、制御装置42は第1方向制御弁32の励磁コイルの励磁を停止し、第1方向制御弁32はチェック弁に切り替えられる。このとき、第2方向制御弁34が閉じていれば、第2方向制御弁34とチェック弁38によって液体が保持される。荷受台18が上昇した状態で保持される。
【0045】
下降スイッチSW2がオンにされると、制御装置42が第2方向制御弁34の励磁コイルを励磁し、第2方向制御弁34を開ける。荷受台18の重量および荷受台18に載せられた荷物の重量によって液圧シリンダ26のピストンが押される。液圧シリンダ26から第1方向制御弁32おおび第2方向制御弁34を通して液体がタンク28に排出される。下降スイッチSW2がオフになると、制御装置42は第2方向制御弁34の励磁コイルの励磁を停止し、第2方向制御弁34はチェック弁に切り替えられる。液圧シリンダ26の液体が保持され、荷受台18が停止した状態で保持される。
【0046】
(3)センサ54が、上記(1)と(2)におけるコンタクタ24のオンおよびオフによって生じる振動および各方向制御弁32、34の駆動によって生じる振動を検出する。センサ54はマイクロフォン、振動は空気中を伝わる音である。
【0047】
(4)制御装置42が、センサ54で検知された振動と記憶装置56に記憶された振動を比較し、センサ54で検知された振動が記憶装置56に記憶された振動に対して一定以上異なれば、コンタクタ24または方向制御弁32、34の異常と判断する。制御装置42は、振動の振幅、周波数、振動している期間および振動が開始する時間を比較する。それらのいずれかが一定以上異なれば、コンタクタ24または方向制御弁32、34に異常を生じている可能性が高く、異常と判断する。たとえば、コンタクタ24のコイル46に電流を流してから接点スイッチ44がオンになる時間が記憶された時間よりも一定以上遅かったり、振動している期間と異なる期間に振動が検知されたりすれば、コンタクタ24に異常が生じていると判断する。制御装置42はディスプレイにその旨を表示したり、スピーカーで警報音を発したりする。
【0048】
以上のように、本願はコンタクタ24と方向制御弁32、34の異常を早期に検出することができる。従来に比べて異常箇所を判別しやすくなっており、修理をおこなうときに、部品の手配などをしやすくなっている。
【0049】
[実施形態2]
コンタクタ24と方向制御弁32、34の振動を検知することを実施形態1で説明したが、他の部品の振動を検知してもよい。具体的には、モータ22およびポンプ30が挙げられる。コンタクタ24の動作にあわせてモータ22およびポンプ30が動作するため、コンタクタ24の振動を検知すると、モータ22およびポンプ30の振動も検知することができる。モータ22またはポンプ30の振動が記憶装置56に記憶された振動と比較して一定以上異なれば、モータ22またはポンプ30の異常と判断する。振動の比較は、実施形態1と同様に、振幅、周波数、期間および時間を比較する。
【0050】
図5に示すように、記憶装置56に記憶されたモータ22の振動を符号66fとする。モータ22はコンタクタ24がオンになっている間駆動するため、コンタクタ24に比べて長期間振動が発生する。そのため、図5の振動66gに示すように、途中に振幅の異なる振動であったり、振動60hのように途中に周波数の異なる振動になる場合がある。そのため、単位時間ごとに振幅および周波数が比較されてもよい。
【0051】
なお、モータ22およびポンプ30に対する負荷が変化すると振動も変化する。記憶装置56に記憶されたモータ22の振動とポンプ30の振動について振幅および周波数の上限と下限の幅が広くなるようにしてもよい。
【0052】
振動が検知されるバルブ32、34、36、38、40は方向制御弁32,34に限定されない。圧力制御弁36およびチェック弁38、40の振動が検知されてもよい。さらに、筐体52の中に収納された部品に限定されず、たとえば液圧シリンダ26にセンサ54を取り付け、液圧シリンダ26の振動を直接検知してもよい。
【0053】
[実施形態3]
センサ54の数は1に限定されず、複数のセンサ54を用いてもよい。たとえば、センサ54を各部品に1つずつ取り付け、直接振動を検知するようにしてもよい。直接振動を検知することで、異常診断の精度が高くなる。センサ54が部品に直接取り付けられることで、可聴音以外の振動を直接検知することも可能になる。たとえばセンサ54を方向制御弁32、34に直接取り付けることで、方向制御弁32、34を流れる液体によって生じる振動を検知することも可能になる。
【0054】
[実施形態4]
制御装置42は振動の振幅、周波数、期間および時間の少なくとも1つを比較してもよい。制御装置42が振幅、周波数、期間および時間を比較した場合に、その中の複数が一定以上異なる場合がある。振幅等の中から少なくとも1つを比較することで異常を判定することができる場合がある。
【0055】
[実施形態5]
センサ54としてコンデンサマイクを例に説明したが、他のマイクロフォンであってもよい。可聴音域の音のみをセンサ54で検知してもよい。各部品にセンサ54を1つずつ取り付ける場合、センサ54はマイクロフォン以外の振動センサを使用することも可能である。
【0056】
[実施形態6]
図4ではコンタクタ24をオンまたはオフさせてから方向制御弁32、34を駆動しているが、方向制御弁32、34を開閉してからコンタクタ24をオンまたはオフしてもよい。コンタクタ24のオンまたはオフと方向制御弁32、34の駆動が同時にならなければよい。また、方向制御弁32、34以外のバルブについてもコンタクタ24とオンまたはオフと同時に駆動しないことが好ましい。複数のバルブ32、34、36、38、40の駆動が同時にならないことが好ましい。液圧装置12に使用される部品が同時に駆動しないことで各部品の振動をセンサ54で検知しやすくする。
【0057】
[実施形態7]
液圧装置12は図1の構成に限定されない。図6の液圧装置62は2つの液圧シリンダ12、64を備えている。たとえば、液圧シリンダ26は荷受台18を昇降させるために使用し、液圧シリンダ64はトラック14の荷受台18で荷台66を開閉するために使用される。方向制御弁32、34のいずれかの励磁コイルを励磁すれば、液圧シリンダ26が動作する。液圧シリンダ26の動作については実施形態1で説明しているので省略する。
【0058】
液圧シリンダ64におけるピストンよりロッドを有する側の空間をロッド側A、その反対側の空間をヘッド側Bとする。方向制御弁64の励磁コイルは制御装置42から励磁電流が流れるようにする。液圧シリンダ64を駆動させる場合、方向制御弁70を励磁し、方向制御弁72を励磁しないと、ポンプ30から液圧シリンダ64のロッド側Aに液体の経路が形成され、液圧シリンダ64のヘッド側Bからタンク28に液体の経路が形成される。チェック弁74は液圧シリンダ64のロッド側Aからポンプ30に液体を逆流させない。液圧シリンダ64のロッド側Aに液体が送られ、ヘッド側Bから液体が排出されて液圧シリンダ64のピストンロッドが収納される。
【0059】
方向制御弁70を励磁せず、方向制御弁72を励磁すると、ポンプ24から液圧シリンダ64のヘッド側Bに液体の経路が形成される。液圧シリンダ64のヘッド側Bがロッド側Aに対して空間が広いため、液圧シリンダ64のヘッド側Bに液体を供給しつつ、ロッド側Aから液体を排出してヘッド側Bに液体が送られる。液圧シリンダ64のピストンロッドが押し出される。
【0060】
液圧シリンダ64を駆動させるときは方向制御弁76の励磁コイルを励磁して、圧力制御弁78が駆動できるようにする。方向制御弁70、72の励磁コイルをいずれも励磁しなければ、液圧シリンダ64は停止する。ポンプ30とチェック弁74の間に絞り80を設けて、液体の流量を調整してもよい。
【0061】
液圧シリンダ26を駆動させるときは、液圧シリンダ64を停止させる。液圧シリンダ64を駆動させるときは、液圧シリンダ26を停止させる。液圧シリンダ64を駆動させるためのスイッチSW3、SW4が制御装置42に接続されている。スイッチSW3をオンにすると上記のようにロッド側Aに液体が供給され、スイッチSW4をオンにすると上記のようにヘッド側Bに液体が供給されるようにする。
【0062】
2つの液圧シリンダ26、64が備えられていても、他の実施例と同様にセンサ54が液圧装置62に備えられた部品の駆動時に生じる振動を検知し、制御装置42で検知した振動と記憶装置56に記憶された振動とを比較し、一定以上異なる場合に異常と判断する。
【0063】
[実施形態8]
異常診断システム10は温度計、湿度計またはその両方を備えてもよい。温度計が計測した温度と湿度計が計測した湿度が制御装置42に入力される。上記のように異常と判断した場合に、制御装置42は異常と判断したときの温度および湿度を記憶装置56に記憶する。記憶された温度と湿度から、異常が生じる温度および湿度を分析することができる。
【0064】
[実施形態9]
図7の異常診断システム82のように、センサ54で検知した振動、制御装置42で判断した異常、またはその両方を通信するための通信装置84を備えてもよい。通信装置84はネットワーク86を介して移動体通信をおこなえる装置、WiFiで通信する装置などが挙げられる。上記データを通信装置84からネットワーク86に送信し、ホストコンピュータ88の記憶手段で記憶する。また、制御装置42がおこなう異常の判断をホストコンピュータ88で行ってもよい。ホストコンピュータ88で判断された結果をネットワーク86を介して液圧装置12の操作者が使用する端末で表示してもよい。異常の判断結果をホストコンピュータ88で統合管理する。さらに、ホストコンピュータ88からネットワーク86を介して液圧装置12の操作者の端末、たとえばコンピュータ、携帯電話、スマートフォンまたはタブレットに結果を送信してもよい。ホストコンピュータ88に繋がるコンピュータで異常を確認できることで、修理部品の名称を確認できたり、修理部品の手配をすることも可能になる。液圧装置12の操作者の端末に結果を送信する以外に、液圧装置12の管理者の端末、たとえばコンピュータ、携帯電話、スマートフォンまたはタブレットに結果を送信してもよい。液圧装置12の管理者の端末に結果を送信することで、その管理者が早期に異常を認識し、迅速に修理のスケジューリングおよび部品等の手配をすることができる。また、液圧装置12の操作者および管理者の両方に結果を送信してもよい。
【0065】
以上、種々の実施形態を説明したが、センサ54で振動を検知して異常を発見できる構成であれば、液圧装置12の構成は限定されない。液圧装置12は、少なくとも電源、モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、タンク、ポンプおよびバルブが備えられていればよい。また、それらの数および種類は限定されない。
【0066】
(第1項)本願の異常診断システムは、モータと、前記モータをオンまたはオフするコンタクタと、液圧シリンダと、液体を貯留するタンクと、前記モータによって駆動し、前記タンクに貯留されている液体を前記液圧シリンダに向けて吐出するポンプと、前記液体の流れを制御するバルブと、前記モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの動作によって生じる振動を検知するセンサと、前記モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つが正常に動作したときに生じる振動を記憶する記憶装置と、前記センサで検知された振動と記憶手段に記憶された振動とを比較し、モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの異常を判定する制御装置とを備える。
【0067】
第1項に記載する異常診断システムによると、センサで検知した振動と記憶装置に記憶された振動とを比較するだけでバルブ等の異常を判定することができる。従来と異なり種々の部品の異常を早期に発見することができる。
【0068】
(第2項)前記センサがマイクロフォンを含み、前記モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの動作によって生じる振動が音を含む。
【0069】
第2項に記載する異常診断システムによると、各部品が駆動したときの音を検知して比較することで異常を判定することができるため、複雑な構成になっていない。
【0070】
(第3項)前記制御装置は、センサで検知された振動と記憶装置に記憶された振動の周波数、振幅、期間および時間の少なくとも1つを比較する。
【0071】
第3項に記載する異常診断システムによると、振動の構成要素である周波数等を比較するだけで異常を判定できる。
【0072】
(第4項)前記モータ、コンタクタ、ポンプ、バルブおよびセンサを収納する筐体を備える。
【0073】
第4項に記載する異常診断システムによると、筐体の中にコンタクタ等が収納されることで、筐体の外部の音が筐体で遮断され、筐体の中にあるセンサが振動を検知しやすくなる。
【0074】
(第5項)前記コンタクタのオンまたはオフとバルブの駆動のタイミングが異なる。
【0075】
第5項に記載する異常診断システムによると、コンタクタで生じる振動とバルブで生じる振動のタイミングが異なり、コンタクタとバルブの振動を判別しやすい。
【0076】
(第6項)前記センサで検知された振動のデータを通信する通信装置を備える。
【0077】
第6項に記載する異常診断システムによると、振動のデータを通信することで、クラウド上でデータを管理することができる。
【0078】
(第7項)本願の異常診断方法は、モータと、前記モータをオンまたはオフするコンタクタと、液圧シリンダと、液体を貯留するタンクと、前記モータによって駆動し、前記タンクに貯留されている液体を前記液圧シリンダに向けて吐出するポンプと、前記液体の流れを制御するバルブと、前記モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの動作によって生じる振動を検知するセンサと、前記モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つが正常に動作したときに生じる振動を記憶する記憶装置と、前記センサで検知された振動と記憶手段に記憶された振動とを比較し、モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの異常を判定する制御装置とを備えた液圧装置において、前記コンタクタがオンまたはオフになることでモータを駆動または停止させるステップと、前記モータがポンプを駆動または停止させるステップと、前記バルブの駆動によって液圧シリンダに対して液体を供給または排出させるステップと、前記センサがモータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの動作によって生じる振動を検知するステップと、前記制御装置がセンサで検知された振動と記憶手段に記憶された振動とを比較し、モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの異常を判定するステップとを備える。
【0079】
第7項に記載する異常診断方法によると、センサで検知された振動と記憶装置に記憶された振動とを比較して異常を判定しており、異常箇所を早期に判定することができる。
【0080】
(第8項)前記センサがマイクロフォンを含み、前記振動を検知するステップが、モータ、コンタクタ、液圧シリンダ、ポンプおよびバルブの少なくとも1つの動作によって生じする音をマイクロフォンが集音する。
【0081】
第8項に記載する異常診断方法によると、各部品が駆動したときの音を検知して比較することで異常を判定することができるため、複雑な構成で異常を検知している。
【0082】
(第9項)前記制御装置は、センサで検知された振動と記憶装置に記憶された振動の周波数、振幅、期間および時間の少なくとも1つを比較する。
【0083】
第9項に記載する異常診断方法によると、振動の構成要素である周波数等を比較するだけで異常を判定している。
【0084】
(第10項)前記コンタクタのオンまたはオフとバルブの駆動のタイミングが異なる。
【0085】
第10項に記載する異常診断方法によると、コンタクタで生じる振動とバルブで生じる振動のタイミングが異なり、コンタクタとバルブの振動を判別しやすい。
【0086】
(第11項)前記センサで検知された振動のデータを通信装置によって通信するステップを含む。
【0087】
第11項に記載する異常診断方法によると、振動のデータを通信することで、クラウド上でデータを管理することができる。
【0088】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0089】
10、82:異常診断システム
12、62:液圧装置
14:トラック
16:荷役装置
18:荷受台
20:電源
22:モータ
24:コンタクタ
26、64:液圧シリンダ
28:タンク
30:ポンプ
32、34、70、72、76:方向制御弁
36、78:圧力制御弁
38、40、74:チェック弁
42:制御装置
44:コンタクタの接点スイッチ
46:コンタクタのコイル
48、80:絞り
50:圧力計
52:筐体
54:センサ
56:記憶装置
84:通信装置
86:ネットワーク
88:ホストコンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7