(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】アンテナ支持装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
H01Q1/12 C
H01Q1/12 E
(21)【出願番号】P 2023029279
(22)【出願日】2023-02-28
【審査請求日】2023-04-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年6月23日 5G情報共有会議・基本設計会議、WEB会議(NTTドコモ東海支社主催)で公開。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000162593
【氏名又は名称】エクシオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】523072315
【氏名又は名称】株式会社エクシオモバイル
(73)【特許権者】
【識別番号】591142921
【氏名又は名称】株式会社CTK
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 昂平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 明
(72)【発明者】
【氏名】関谷 利浩
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197105(JP,A)
【文献】実開昭47-031249(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システム用のアンテナを
支持可能とするように構成されるアンテナ支持装置であって、
前記アンテナを取り付けたポールと、
前記ポール
に対してアンテナ支持装置の前後方向の前方に位置する前方支持体と、
前記前方支持体に対して
アンテナ支持装置の前後方向の後方にて前記前方支持体と間隔を空けて位置する後方支持体と、
前記ポールの長手方向に直交する方向に延び、かつ前記ポールの長手方向の基端部を軸支する回転軸体と、
前記ポールを前記前方支持体に対して固定可能とするように構成される固定具と
を備え、
前記ポールが、前記前方支持体に対して
アンテナ支持装置の前後方向の後方側の領域で、前記回転軸体を中心として起立姿勢と倒伏姿勢との間で旋回可能となっており、
前記固定具が、前記ポールの長手方向にて前記アンテナ及び前記回転軸体の間に位置しており、
前記固定具は、前記ポールが前記起立姿勢にあるときに前記ポールを前記前方支持体に対して固定するように構成され、
前記後方支持体は、前記ポールが前記倒伏姿勢にあるときに、前記ポールを支持するように構成されている、アンテナ支持装置。
【請求項2】
前記後方支持体は、前記ポールが前記倒伏姿勢にあるときに前記起立姿勢のポールに対して45度以上かつ90度以下の角度範囲内に位置し、かつ前記アンテナの高さ位置が前記回転軸体を基準として1.5m以下となるように、前記ポールを支持する構成となっている、請求項1に記載のアンテナ支持装置。
【請求項3】
前記ポールの旋回を補助する旋回補助機構をさらに備え、
前記旋回補助機構が、紐状部材と、前記紐状部材を操作可能な操作ユニットとを有し、
前記操作ユニットが、前記ポールを前記起立姿勢及び前記倒伏姿勢の間で移動させるときに、前記ポール及び前記前方支持体の間で張力を掛けられた状態で延びる前記紐状部材の長さを調節可能とするように構成されている、請求項1に記載のアンテナ支持装置。
【請求項4】
前記ポールの基端部に形成された貫通孔に挿入される筒状体をさらに備え、
前記回転軸体が前記筒状体内に挿入されており、
前記筒状体が、C字状の横断面を成すように、前記筒状体の長手方向にて前記筒状体の全体に亘って延びるスリットを有する、請求項1に記載のアンテナ支持装置。
【請求項5】
前記ポールが
前記起立姿勢にあるときに、前記ポールを仮保持可能とするように構成され、かつ前記
前方支持体に取り付けられる仮保持機構をさらに備え、
前記ポールが、
前記起立姿勢にある状態で前記アンテナ支持装置の前後方向の前方に向かって突出する突起体を有し、
前記仮保持機構が、前記ポールに対して直交する方向に延びるロックバーを有し、
前記突起体は、前記ポールが前記起立姿勢にあるときに前記ロックバーと係合可能となるように上方に開口する係合凹部を有し、
前記突起体の突出方向の先端部は、前記ポールが前記倒伏姿勢から前記起立姿勢に旋回するときに、前記ロックバーを上方に押し上げながら
前記アンテナ支持装置の前後方向の前方に移動可能となるように傾斜して形成されている、請求項1に記載のアンテナ支持装置。
【請求項6】
複数の前記ポールを備え、
前記複数のポールの基端部が、前記前方支持体に沿って水平方向に互いに間隔を空けて配置され、
前記複数のポールが平面視で互いに対して並列となっている、請求項1に記載のアンテナ支持装置。
【請求項7】
移動通信システム用のアンテナを
支持可能とするように構成されるアンテナ支持装置であって、
前記アンテナを取り付けたポールと、
前記ポール
に対してアンテナ支持装置の前後方向の前方に位置する前方支持体と、
前記ポールの旋回を補助する旋回補助機構と、
前記ポールの長手方向に直交する方向に延び、かつ前記ポールの長手方向の基端部を軸支する回転軸体と、
前記ポールを前記前方支持体に対して固定可能とするように構成される固定具と
を備え、
前記ポールが、前記前方支持体に対して
アンテナ支持装置の前後方向の後方側の領域で、前記回転軸体を中心として起立姿勢と倒伏姿勢との間で旋回可能となっており、
前記固定具が、前記ポールの長手方向にて前記アンテナ及び前記回転軸体の間に位置しており、
前記固定具は、前記ポールが前記起立姿勢にあるときに前記ポールを前記前方支持体に対して固定するように構成され、
前記旋回補助機構が、紐状部材と、前記紐状部材を操作可能な操作ユニットとを有し、
前記操作ユニットが、前記ポールを前記起立姿勢及び前記倒伏姿勢の間で移動させるときに、前記ポール及び前記前方支持体の間で張力を掛けられた状態で延びる前記紐状部材の長さを調節可能とするように構成されている、アンテナ支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システム用のアンテナを支持可能とするアンテナ支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムは、携帯電話端末等の通信のための重要なインフラであり、最近では、第5世代移動通信システム(5G)の普及が進められている。このような移動通信システムは、多数の基地局間の通信によって、効率的に広範囲の通信エリアを確保できるようになっている。各基地局においては通信のためのアンテナが設置されている。
【0003】
第4世代移動通信システム(4G)の後期よりも前の移動通信システムにおいては、無線部(以下、必要に応じて「RU(Radio Unit)」という)とアンテナとはそれぞれ独立しており、アンテナはこのようなRUに接続されて用いられてきた。
【0004】
これに対して、4Gの後期以降の移動通信システムにおいては、アンテナと一体となった無線部(以下、必要に応じて「アンテナ一体型RU」という)が開発され、主に品質向上のために用いることが増えてきている。しかしながら、アンテナ一体型RUのアンテナについては、無線部に故障が発生すると、アンテナも交換しなければならないので、アンテナの交換等を含むアンテナの保守、点検等の頻度が増える傾向にある。
【0005】
そして、移動通信システム用のアンテナは建物の屋上に設置される場合があり、この場合、アンテナは、建物の影響を受けないで電波を送受信し易いように屋上の縁部分又は角部分近傍、ペントハウスの側面等において建物の外方に向いて設置される。このようなアンテナは、架台等のアンテナ支持装置によって安定的に支持することを求められる。
【0006】
しかしながら、作業者が屋上の縁部分又は角部分近傍でアンテナ、アンテナ支持装置等の施工、保守、点検等を行うことは難しく、このことは、特に、施工、保守、点検等の作業効率及び安全性の観点で課題がある。そのため、アンテナ、アンテナ支持装置等の施工、保守、点検等の作業効率及び安全性を改善するために様々なアンテナ支持装置が提案されている。
【0007】
このようなアンテナ支持装置の一例としては、アンテナ、制御部、及び送受信部を一括して納めたボックスと、このボックスを取り付けた支柱と、アンテナをボックスと共に下向きに傾斜した状態で設置可能とする支持部材と、支持部材を支柱に固定する固定部材とを有する携帯端末用基地局が提案されており、この携帯端末用基地局では、支持部材が支柱に対して回転自在かつ支柱に沿って上下移動自在となるように取付けられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記アンテナ支持装置の一例においては、支持部材が支柱に対して水平方向に回転するので、アンテナの稼働時にはアンテナを建物の外方に向けて、かつ保守、点検等を行う時には、アンテナを建物の内方に向けることができる。しかしながら、アンテナが屋上の縁部分又は角部分近傍に設置される場合、作業者は、依然として屋上の縁部分又は角部分近傍でアンテナ、アンテナ支持装置等の施工、保守、点検等を実施しなければならない。
【0010】
また、屋上の縁部分から2m以内のエリアを高所作業エリアと呼ぶことがある。このような高所作業エリアでの作業は高所作業として取り扱われ、さらに、高所作業に際して墜落制止用器具の着用及び使用が求められることもある。そのため、アンテナ、アンテナ支持装置等の施工、保守、点検等が高所作業となるのを避けることを求められることがある。
【0011】
上述したアンテナ一体型RUのアンテナにおいては、ビームフォーミング機能を有するアンテナの展開によってスループット・品質向上が可能となっているが、現時点では1つの周波数帯の電波しか輻射できないようになっている。そのため、複数の周波数帯の電波を輻射できるように複数のアンテナを一箇所に集約して設置することが行われている。しかしながら、複数のアンテナの施工、保守、点検等の作業は煩雑であるので、このような作業における作業効率を改善することが望まれる。
【0012】
上記実情を鑑みると、アンテナ支持装置においては、アンテナの稼働時にアンテナを安定的に支持可能であり、かつアンテナによる電波の送受信を効率的に行うことを可能とし、さらには、アンテナ、アンテナ支持装置等の施工、保守、点検等の作業効率及び安全性を改善可能とすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、一態様に係るアンテナ支持装置は、移動通信システム用のアンテナを支持可能とするように構成されるアンテナ支持装置であって、前記アンテナを取り付けたポールと、前記ポールに対してアンテナ支持装置の前後方向の前方に位置する前方支持体と、前記前方支持体に対してアンテナ支持装置の前後方向の後方にて前記前方支持体と間隔を空けて位置する後方支持体と、前記ポールの長手方向に直交する方向に延び、かつ前記ポールの長手方向の基端部を軸支する回転軸体と、前記ポールを前記前方支持体に対して固定可能とするように構成される固定具とを備え、前記ポールが、前記前方支持体に対してアンテナ支持装置の前後方向の後方側の領域で、前記回転軸体を中心として起立姿勢と倒伏姿勢との間で旋回可能となっており、前記固定具が、前記ポールの長手方向にて前記アンテナ及び前記回転軸体の間に位置しており、前記固定具は、前記ポールが前記起立姿勢にあるときに前記ポールを前記前方支持体に対して固定するように構成され、前記後方支持体は、前記ポールが前記倒伏姿勢にあるときに、前記ポールを支持するように構成されている。または、別の一態様に係るアンテナ支持装置は、移動通信システム用のアンテナを支持可能とするように構成されるアンテナ支持装置であって、前記アンテナを取り付けたポールと、前記ポールに対してアンテナ支持装置の前後方向の前方に位置する前方支持体と、前記ポールの旋回を補助する旋回補助機構と、前記ポールの長手方向に直交する方向に延び、かつ前記ポールの長手方向の基端部を軸支する回転軸体と、前記ポールを前記前方支持体に対して固定可能とするように構成される固定具とを備え、前記ポールが、前記前方支持体に対してアンテナ支持装置の前後方向の後方側の領域で、前記回転軸体を中心として起立姿勢と倒伏姿勢との間で旋回可能となっており、前記固定具が、前記ポールの長手方向にて前記アンテナ及び前記回転軸体の間に位置しており、前記固定具は、前記ポールが前記起立姿勢にあるときに前記ポールを前記前方支持体に対して固定するように構成され、前記旋回補助機構が、紐状部材と、前記紐状部材を操作可能な操作ユニットとを有し、前記操作ユニットが、前記ポールを前記起立姿勢及び前記倒伏姿勢の間で移動させるときに、前記ポール及び前記前方支持体の間で張力を掛けられた状態で延びる前記紐状部材の長さを調節可能とするように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
一態様又は別の一態様に係るアンテナ支持装置によれば、アンテナの稼働時にアンテナを安定的に支持することができ、かつアンテナによる電波の送受信を効率的に行うことができ、さらには、アンテナ、アンテナ支持装置等の施工、保守、点検等の作業効率及び安全性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るアンテナ支持装置を屋上の縁部分近傍に設置した状態で概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るアンテナ支持装置のポール単体の基端部を拡大して概略的に示す拡大側面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るアンテナ支持装置において起立姿勢のポールを前方支持体に固定した状態の固定具、仮保持機構、及びこれらの周辺部分を概略的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係るアンテナ支持装置において、倒伏姿勢から起立姿勢に旋回する途中にあるポールと仮保持機構とを
図5のZ-Z線に沿って切断した概略断面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係るアンテナ支持装置において、起立姿勢にあるポールと仮保持機構とを
図5のZ-Z線に沿って切断した概略断面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係るアンテナ支持装置を屋上の角部分近傍に設置した状態で概略的に示す斜視図である。
【
図9】
図9は、一変形形態に係るアンテナ支持装置を
図1のX-X線に相当する線に沿って切断して概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一実施形態に係るアンテナ支持装置について以下に説明する。本実施形態に係るアンテナ支持装置は、移動通信システムのアンテナを支持可能とするように構成されている。本実施形態に係るアンテナ支持装置によって支持されるアンテナは、無線部と一体のものとなっている。しかしながら、アンテナ支持装置によって支持されるアンテナは、無線部と分離したものとすることもできる。
【0017】
なお、本実施形態においては、アンテナ支持装置を基準として屋上の縁部分又は角部分に近い側を前方と定義し、かつアンテナ支持装置を基準として屋上の縁部分又は角部分から離れる側を後方と定義する。以下においては、前方は、アンテナ支持装置の前後方向の前方を指し、かつ後方は、アンテナ支持装置の前後方向の後方を指す。また、アンテナ支持装置を基準として後方から前方を見た状態での左側を幅方向の左方と定義し、かつアンテナ支持装置を基準として後方から前方を見た状態での右側を幅方向の右方と定義する。このような左右方向を幅方向とも呼ぶ。
【0018】
「アンテナ支持装置の概略」
図1~
図7を参照すると、本実施形態に係るアンテナ支持装置10は、概略的には以下のように構成される。
図1を参照すると、アンテナ支持装置10は、移動通信システム用のアンテナ11を取り付けたポール20を有する。アンテナ支持装置10は、ポール20の前方に位置する前方支持体31を有する。アンテナ支持装置10は、前方支持体31に対して後方にて前方支持体31と間隔を空けて位置する後方支持体32を有する。
【0019】
アンテナ支持装置10は、ポール20の長手方向に略直交する方向に延び、かつポール20の長手方向の基端部20aを軸支する回転軸体21を有する。アンテナ支持装置10は、ポール20を前方支持体31に対して固定可能とするように構成される固定具40を有する。
【0020】
図2に示すように、ポール20は、前方支持体31に対して後方側の領域で、回転軸体21を中心として起立姿勢と倒伏姿勢との間で旋回可能となっている。なお、倒伏姿勢にあるポール20は二点鎖線により示し、これは後述する
図9でも同様である。固定具40は、ポール20の長手方向にてアンテナ11及び回転軸体21の間に位置している。固定具40は、ポール20が起立姿勢にあるときにポール20を前方支持体31に対して固定するように構成される。後方支持体32は、ポール20が倒伏姿勢にあるときに、ポール20を支持するように構成される。
【0021】
さらに、本実施形態に係るアンテナ支持装置10は、概略的には以下のように構成することができる。後方支持体32は、ポール20が倒伏姿勢にあるときに、ポール20が起立姿勢のポール20に対して約45度以上かつ約90度以下の角度範囲θに位置し、かつアンテナ11の高さ位置が回転軸体21を基準として約1.5m(メートル)以下となるように、ポール20を支持する構成となっている。この角度範囲θは、好ましくは、約50度以上かつ約90度以下とすることができる。この角度範囲θは、より好ましくは、約60度以上かつ約90度以下とすることができる。
【0022】
図1に示すように、アンテナ支持装置10は、ポール20の旋回を補助する旋回補助機構50を有する。旋回補助機構50は、紐状部材51と、この紐状部材51を操作可能な操作ユニット52とを有する。操作ユニット52は、ポール20を起立姿勢及び倒伏姿勢の間で移動させるときに、ポール20及び前方支持体31の間で張力を掛けられた状態で延びる紐状部材51の長さを調節可能とするように構成されている。
【0023】
図3及び
図4に示すように、アンテナ支持装置10は、ポール20の基端部20aに形成された貫通孔20bに挿入される筒状体22を有する。回転軸体21は筒状体22内に挿入されている。筒状体22は、略C字状の横断面を成すように、筒状体22の長手方向にて筒状体22の全体に亘って延びるスリット22aを有する。
【0024】
図1に示すように、アンテナ支持装置10は、ポール20が起立姿勢にあるときに、ポール20を仮保持可能とするように構成される仮保持機構60を有する。仮保持機構60は、前方支持体31に取り付けられる。ポール20は、
起立姿勢にある状態で前方に向かって突出する突起体23を有する。
【0025】
図5~
図7を参照すると、仮保持機構60は、ポール20に対して直交する方向に延びるロックバー61を有する。突起体23は、
図7に示すように、ポール20が起立姿勢にあるときにロックバー61と係合可能となるように上方に開口する係合凹部23aを有する。突起体23の突出方向の先端部23bは、
図6に示すように、ポール20が倒伏姿勢から起立姿勢に旋回するときに、ロックバー61を上方に押し上げながら前方に移動可能となるように傾斜して形成されている。
【0026】
図1に示すように、アンテナ支持装置10は複数のポール20を有する。複数のポール20の基端部20aは、前方支持体31に沿って水平方向に互いに間隔を空けて配置される。複数のポール20は平面視で互いに対して並列となっている。この並列の状態は、平面視で、複数のポール20がそれらのうち隣り合うポール同士を所定の角度差範囲内で配向するように並べられた状態とする。
【0027】
この角度差範囲は、約-45度以上かつ約45度以下とすることができる。この角度差範囲は、好ましくは、約-30度以上かつ約30度以下とすることができる。この角度差範囲は、より好ましくは、約-15度以上かつ15度以下とすることができる。さらに、並列の状態は、複数のポールを互いに平行に配置した状態とすることもできる。特に、並列の状態では、複数のポールが互いに交差しないとよい。
【0028】
「アンテナ支持装置の詳細」
図1~
図8を参照すると、本実施形態に係るアンテナ支持装置10は、詳細には以下のように構成することができる。
図1において、アンテナ支持装置10は屋上の縁部分Aの近傍に設置されている。一例として、
図1においては、縁部分Aが平面視で略直線状に延びている。しかしながら、縁部分は、平面視で湾曲することもできる。このような縁部分Aには、屋上の床Bから立ち上がる壁Cが設けられている。
【0029】
図8に示すように、アンテナ支持装置10は屋上の角部分Dの近傍に設置することもできる。角部分Dは、2つの縁部分Aを交差させるように形成されており、各縁部分Aには、屋上の床Bから立ち上がるCが設けられる。なお、
図8においては、旋回補助機構50、後述する収納ボックス32f等は省略されている。
【0030】
図1及び
図8においては、アンテナ支持装置10は2つのポール20を有するように構成されている。しかしながら、アンテナ支持装置は、1つのポールを有するように構成することができる。また、アンテナ支持装置は、3つ以上のポールを有するように構成することもできる。例えば、3つ以上のポールを有するアンテナ支持装置は、通信インフラを複数の通信事業者によって共有するインフラシェアリングのために用いることができる。
【0031】
図1及び
図8に示すように、アンテナ支持装置10は、その土台として構成される架台30を有する。この架台30は、上述した前方及び後方支持体31,32を有する。アンテナ支持装置10はまた、架台30を下方から支持する複数の脚体70を有する。各脚体70は、高さ調節可能に構成することができる。各脚体70はまた、防振機能を有することもできる。
【0032】
前方及び後方支持体31,32のそれぞれは、4つの脚体70によって支持されている。しかしながら、前方及び後方支持体31,32のそれぞれは、少なくとも2つの脚体70によって支持することができる。2つの脚体70は、それぞれ、前方支持体31、特に、後述する下端部材31bを支持するように幅方向に間隔を空けて配置される。特に、2つの脚体は、前方支持部材31の幅方向の両端部、特に、後述する下端部材31bの幅方向の両端部を支持することができる。別の2つの脚体70は、それぞれ、後方支持体32の幅方向の両端部、特に、後述する下端部材32bの幅方向の両端部を支持する。
【0033】
さらに、アンテナ支持装置10は、架台30の前方への移動を阻止するように構成されるストッパ71を有する。ストッパ71は、架台30から壁Cに向かって延びる。ストッパ71は、その長手方向の基端部71aを中心として水平方向に旋回するように向きを変えることができる。ストッパ71の基端部71aは、前方支持体31を支持する脚体70に対応するように配置される。
【0034】
ストッパ71の長手方向の先端部71bは壁Cに突き当てられる。特に、ストッパ71の先端部71bは、平面視で壁Cに対して垂直に突き当てられるとよい。ストッパ71は、その先端部71bに位置する押し当て部材71cを有することができる。押し当て部材71cは、床B及び壁Cに沿うように略L字アングル形状に形成される。
【0035】
アンテナ支持装置10は2つのストッパ71を有する。しかしながら、アンテナ支持装置は、1つ又は複数のストッパを有することもできる。
図1に示すように、このようなアンテナ支持装置10が屋上の縁部分Aの近傍に設置される場合、2つのストッパ71は、縁部分Aの壁Cに向かって互いに対して略平行に配置することができる。
【0036】
また、
図8に示すように、アンテナ支持装置10が屋上の角部分Dの近傍に設置される場合、2つのストッパ71は、それぞれ2つの縁部分Aの壁Cに向かうに従って互いに対して離れるように配置することができる。なお、アンテナ支持装置は、このようなストッパを有さないように構成することもできる。
【0037】
図2を参照すると、アンテナ支持装置10において、ポール20は、起立姿勢にあるときに鉛直軸線に沿って配置されている。しかしながら、ポールは、起立姿勢にあるときに、鉛直軸線に対して所定の傾斜角度で傾けることができる。例えば、この傾斜角度は、約-30度以上かつ約30度以下の範囲内とすることができる。
【0038】
アンテナ支持装置10は、ポール20が倒伏姿勢にあるときに、そのポール20に取り付けられたアンテナ11が平面視で屋上の縁部分Aに対して所定の離隔範囲にて離れるように構成することができる。この離隔範囲の下限値は、安全性の観点から、約1mとするとよく、好ましくは、約2mとするとよい。さらに、離隔範囲の上限値は、作業スペース等を考慮した作業効率の観点から、約4mとするとよく、好ましくは、約3mとするとよい。
【0039】
すなわち、離隔範囲は、約1m以上かつ約4m以下の範囲とすることができる。好ましくは、離隔範囲は、約1m以上かつ約3m以下の範囲とすることができる。離隔範囲は、約2m以上かつ約4m以下の範囲とすることができる。さらに好ましくは、離隔範囲は、約2m以上かつ約3m以下の範囲とすることができる。
【0040】
屋上の縁部分Aからアンテナ支持装置10の前端までの前方距離の下限値は、約0mとするとよく、好ましくは、約0.5mとするとよい。前方距離の上限値は、約1.5mとするとよく、好ましくは、約1mとするとよい。なお、アンテナ支持装置10の前端は、前方支持体31の前端又はストッパ71の先端とすることができる。
【0041】
すなわち、前方距離は、約0m以上かつ約1.5m以下の範囲とすることができる。好ましくは、前方距離は、約0m以上かつ約1m以下の範囲とすることができる。前方距離は、約0.5m以上かつ約1.5m以下の範囲とすることができる。さらに好ましくは、前方距離は、約0.5m以上かつ約1m以下の範囲とすることができる。
【0042】
「ポールの詳細」
図1~
図7を参照すると、ポール20は、詳細には以下のように構成することができる。ポール20は略直線状に延びるように形成されている。ポール20は筒状に形成されており、さらに、ポール20の横断面は略円形状に形成されている。しかしながら、ポールの横断面は、略楕円形状、略多角形状等に形成することもできる。
【0043】
図3及び
図4に示すように、筒状体22は、スリット22aを下方に向けるように配置することができる。筒状のポール20の基端部20aには2つの貫通孔20bが形成される。筒状体22の長手方向の両端部は、それぞれ2つの貫通孔20bの周縁部に溶接等によって接合されている。
【0044】
図1~
図4を参照すると、回転軸体21の長手方向の両端部は、それぞれ筒状体22の両端部から突出する。このような回転軸体21の両端部が、それぞれ2つの取付部材24を介して架台30に取り付けられている。例えば、回転軸体21はボルトとすることができる。例えば、取付部材24はアングル部材とすることができる。
【0045】
図1及び
図2に示すように、アンテナ11は、ポール20の長手方向の先端部20c寄りの位置でポール20に取り付けられている。ポール20の長手方向の中間部20dには、略コの字形状の取っ手25が取り付けられている。取っ手25は、アンテナ11に対して、ポール20の基端部20a寄りに位置する。作業者は、取っ手25を掴んだ状態で、ポール20を起立姿勢と倒伏姿勢との間で旋回させることができる。例えば、このような2つの取っ手25を、ポール20を基準として略対称となるようにポール20の中間部20dに取り付けることができる。
【0046】
ポール20の長手方向の中間部20dには、旋回補助機構50を取り付けるために用いられる取付リング26が取り付けられる。取付リング26は、アンテナ11及び取っ手25に対して、ポール20の基端部20a寄りに位置する。取付リング26はまた、ポール20が起立姿勢にあるときに、前方支持体31よりも上方に位置する。例えば、取付リング26は、アイボルトとすることができる。しかしながら、取付リングは、アイボルトに限定されない。
【0047】
図6及び
図7に示すように、ポール20の中間部20dにおいて、突起体23の係合凹部23aは、ポール20の長手方向の先端から基端に向かう方向にて突起体23を切り欠くように形成される。係合凹部23aは、突起体23の先端部23bと隣接している。突起体23の先端部23bは、突起体23の突出方向の基端から先端に向かうに従ってポール20の長手方向の先端から基端に向かう方向に傾斜するように形成されている。さらに、
図1及び
図2に示すように、ポール20の先端部20cには、ポール20の外周から張り出すように形成される張出部材27が取り付けられている。
【0048】
「架台の詳細」
図1及び
図5を参照すると、架台30は、詳細には以下のように構成することができる。
図1に示すように、架台30において、前方支持体31は、その上端及び下端にそれぞれ位置する上端及び下端部材31a,31bを有する。上端及び下端部材31a,31bのそれぞれは幅方向に延びるように形成される。上端及び下端部材31a,31bのそれぞれは直線状に延びることができる。
【0049】
前方支持体31は、上端及び下端部材31a,31bの幅方向の左端部を連結するように延びる左柱部材31cを有する。前方支持体31は、上端及び下端部材31a,31bの幅方向の右端部を連結するように延びる右柱部材31dを有する。前方支持体31は、左柱部材31cの上端部と右柱部材31dの下端部とを連結するように延びる第1ブレース31eを有する。左柱部材31cの下端部と右柱部材31dの上端部とを連結するように延びる第2ブレース31fを有する。
【0050】
前方支持体31、特に、上端部材31aには、旋回補助機構50を取り付けるために用いられる取付リング35が取り付けられている。取付リング35は、起立姿勢のポール20に対応するように配置される。そのため、アンテナ支持装置10が複数のポール20を有する場合、これら複数のポール20にそれぞれ対応する取付リング35が設けられる。取付リング35は、上端部材31aの上面に取り付けることができる。例えば、
図5に示すように、この取付リング35はアイボルトとすることができる。しかしながら、取付リングは、アイボルトに限定されない。
【0051】
図1に示すように、後方支持体32は、その上端及び下端にそれぞれ位置する上端及び下端部材32a,32bを有する。後方支持体32は、その上端及び下端部材32a,32bの左端部を連結するように延びる左柱部材32cを有する。後方支持体32は、上端及び下端部材32a,32bの右端部を連結するように延びる右柱部材32dを有する。
【0052】
後方支持体32は、倒伏姿勢のポール20の先端部20cを支持可能に構成される支持アーム32eを有する。支持アーム32eは、上端部材31aから前方に突出するように配置される。支持アーム32eは、上方に向かって曲がるように略L字形状に形成されている。特に図示はしないが、支持アーム32eの先端部には、倒伏姿勢のポール20を受け入れるように切り欠きを形成することができる。このような支持アーム32eの先端部が、倒伏姿勢のポール20の先端部20cを直接的に支持することができる。
【0053】
アンテナ支持装置10が複数のポール20を有する場合、後方支持体32は、複数のポール20にそれぞれ対応する複数の支持アーム32eを有することができる。しかしながら、後方支持体は、上端部材が倒伏姿勢のポールの先端部、張出部材、又は中間部を支持するように構成することもできる。
【0054】
このような後方支持体32は、アンテナ11以外の通信機器を収納可能とする収納ボックス32fを取付可能となっている。収納ボックス32fに収納される通信機器は重量物となっている。例えば、このような通信機器としては、電源装置、PD(Premise Distribution)盤、引込開閉器盤、光接続箱等が挙げられる。収納ボックス32fは、後方支持体32に対して後方に配置される。さらに、収納ボックス32fは、後方支持体32の上端及び下端部材32a,32b間に配置される。
【0055】
架台30は、互いに幅方向に間隔を空けて配置される左方及び右方連結体33,34を有する。左方連結体33は、前方及び後方支持体31,32の幅方向の左端部を連結するように構成される。右方連結体34は、前方及び後方支持体31,32の幅方向の右端部を連結するように構成される。
【0056】
左方連結体33は、その下端に位置する下端部材33aを有する。この下端部材33aは、前方及び後方支持体31,32における下端部材31b,32bの幅方向の左端部を連結するように延びる。左方連結体33は、前方支持体31の左柱部材31cの上端部と後方支持体32の左柱部材32cの下端部とを連結するように延びるブレース33bを有する。しかしながら、このブレースは、前方支持体の左柱部材の上端部と下端部材の左端部とを連結することもできる。
【0057】
右方連結体34は、その下端に位置する下端部材34aを有する。この下端部材34aは、前方及び後方支持体31,32における下端部材31b,32bの幅方向の右端部を連結するように延びる。右方連結体34は、前方支持体31の右柱部材31dの上端部と後方支持体32の右柱部材32dの下端部とを連結するように延びるブレース34bを有する。しかしながら、このブレースは、前方支持体の右柱部材の上端部と下端部材の右端部とを連結することもできる。
【0058】
このような架台30において、後方支持体32の上端部材32aの高さは、前方支持体31の上端部材31aの高さと略等しくなっている。しかしながら、後方支持体の上端部材の高さは、前方支持体の上端部材の高さ以下とすることができる。後方支持体の上端部材の高さは、前方支持体の上端部材の高さよりも小さくすることができる。なお、前方支持体31の上端部材31aの高さは1.0m以上あると好ましい。しかしながら、前方支持体の上端部材の高さは、これに限定されない。
【0059】
このような架台30、特に、前方支持体31は保護柵として構成することができる。より詳細には、前方支持体31の上端部材31a、左及び右柱部材31c,31d、並びに第1及び第2ブレース31e,31fが、ポール20と一体となって保護柵として構成することができる。また、保護柵として構成される架台30、特に、前方支持体31に、墜落制止用器具を取り付けることができる。
【0060】
そして、前方支持体31の上端部材31aの高さが1.0m以上である場合には、作業者は、屋上の縁部分A又は角部分D付近であっても、保護柵として構成される架台30の内側、特に、前方支持体31の手前側(後方側)の領域で安全に作業できる。そのため、アンテナ11、アンテナ支持装置10等の保守、点検等の安全性を改善することができる。
【0061】
「固定具の詳細」
図2及び
図5~
図7を参照すると、固定具40は、詳細には以下のように構成することができる。
図2に示すように、固定具40は、アンテナ11、取っ手25、及び取付リング26に対して、ポール20の基端部20a寄りに位置する。
図5に示すように、固定具40は、ポール20に固定されるベース部40aを有する。ベース部40aには、ポール20を挿入可能とするように貫通孔40cが形成されている。ベース部40aは、その貫通孔40cにポール20を挿入した状態でポール20の中間部20dに溶接等によって接合される。
【0062】
固定具40は、前方支持体31、特に、上端部材31aに着脱可能に固定される着脱部40bを有する。
図5~
図7を参照すると、着脱部40bは、ポール20が起立姿勢にあるときに、ボルト、ナット等の締結手段41によって前方支持体31に固定可能となるように構成されている。着脱部40bは、ベース部40aに対して幅方向両側に突出するように形成される。このような着脱部40bの幅方向の両端部を、それぞれ、2つの締結手段41によって上端支持部材31aに着脱可能に固定することができる。
【0063】
「旋回補助機構の詳細」
図1を参照すると、旋回補助機構50は、詳細には以下のように構成することができる。旋回補助機構50は、チェーンブロックとなっている。このような旋回補助機構50において、紐状部材51は、ポール20の取付リング25及び前方支持体31の取付リング35の間で張力を掛けられた状態で延びるように設置される。紐状部材51は荷鎖となっている。特に図示はしないが、操作ユニット52は、歯車機構,ブレーキ機構,手鎖車機構,巻取り機構、及び手鎖を有することができる。作業者は、操作ユニット52の手鎖を巻き取ることによって、荷鎖である紐状部材51を巻き上げることができる。しかしながら、旋回補助機構は、チェーンブロックに限定されない。
【0064】
「仮保持機構の詳細」
図5~
図7を参照すると、仮保持機構60は、詳細には以下のように構成することができる。
図5に示すように、仮保持機構60は、ロックバー61を上下動可能とするように支持する2つのバー支持部材62を有する。2つのバー支持部材62は、幅方向に互いに間隔を空けて配置される。各バー支持部材62は、前方支持部材31、特に、その上端部材31aから上方に突出するように配置されている。
【0065】
各バー支持部材62には、それを幅方向に貫通する長孔62aが形成されている。長孔62aは、上下方向を長手方向とするように配向されている。ロックバー61は、2つのバー支持部材62の長孔62aに挿入された状態で、これらの長孔62aにガイドされながら上下方向に移動可能になっている。
【0066】
ロックバー61は、自重によって下方に向かって付勢されている。ロックバー61の長手方向の両端部に重りを付けることができる。例えば、ロックバー61はボルトとすることができる。しかしながら、ロックバーはボルトに限定されない。このようなロックバー61は、
図6に示すように、ポール20が倒伏姿勢から起立姿勢に旋回するときに上方に、突起体23の先端部23bによって押し上げられた後に、
図7に示すように、突起体23の係合凹部23aに係合するように下方に復帰することができる。しかしながら、ロックバーは、バネ等によって付勢手段によって下方に復帰するように構成することもできる。
【0067】
以上、本実施形態に係るアンテナ支持装置10によれば、ポール20が、前方支持体31に対して後方側の領域で、回転軸体21を中心として起立姿勢と倒伏姿勢との間で旋回可能となっており、固定具40が、ポール20の長手方向にてアンテナ11及び回転軸体21の間に位置しており、固定具40は、ポール20が起立姿勢にあるときにポール20を前方支持体31に対して固定するように構成され、後方支持体32は、ポール20が倒伏姿勢にあるときに、ポール20を支持するように構成されている。
【0068】
このようなアンテナ支持装置10によれば、例えば、アンテナ11を建物の屋上に設置する場合、ポール20が起立姿勢にある状態(以下、必要に応じて「起立状態」という)では、アンテナ11を屋上の縁部分A又は角部分D近傍に配置することができ、さらには、ポール20が倒伏姿勢にある状態(以下、必要に応じて「倒伏状態」という)では、アンテナ11を屋上の縁部分A又は角部分Dから十分に離して配置することができる。
【0069】
この起立状態では、アンテナ11はその稼働時に建物の影響を受けないで電波の送受信を効率的に行うことができる。また、この起立状態では、ポール20が固定具40を介して安定的な前方支持体31に固定されるので、アンテナ11の稼働時に、ポール20に取り付けられたアンテナ11を安定的に支持することができる。
【0070】
また、倒伏状態のアンテナ11の位置は、水平方向にて、起立状態のアンテナ11の位置に対してポール20の長さに応じて大きく離すことができる。そのため、倒伏状態では、作業員が、屋上の縁部分A又は角部分Dから十分に離れた位置で、アンテナ11の保守、点検等を安全に行うことができる。
【0071】
特に、倒伏状態では、ポール20が、それに取り付けられたアンテナ11を保守、点検等の作業をし易い位置に配置するように後方支持体32によって支持できる。そのため、アンテナ11の保守、点検等を効率的に行うことができる。さらに、倒伏状態のアンテナ11の周囲に十分なスペースを確実に確保できるので、複数の作業者によって保守、点検等の作業を行うことができる。
【0072】
よって、アンテナ11の稼働時にアンテナ11を安定的に支持することができ、かつアンテナ11による電波の送受信を効率的に行うことができ、さらには、アンテナ11、アンテナ支持装置10等の施工、保守、点検等の作業効率及び安全性を改善することができる。
【0073】
本実施形態に係るアンテナ支持装置10によれば、後方支持体32は、ポール20が倒伏姿勢にあるときに起立姿勢のポール20に対して約45度以上かつ約90度以下の角度範囲θに位置し、かつアンテナ11の高さ位置が回転軸体21を基準として約1.5m以下となるように、ポール20を支持する構成となっている。
【0074】
このようなアンテナ支持装置10によれば、上述のように倒伏状態のアンテナ11の位置が、水平方向にて、起立状態のアンテナ11の位置に対してポール20の長さに応じて大きく離すことができて、これに加えて、倒伏状態では、アンテナ11を保守、点検等の作業をし易いように十分に低い位置に配置することができる。よって、アンテナ11の保守、点検等の作業効率を改善することができる。
【0075】
本実施形態に係るアンテナ支持装置10によれば、ポール20の旋回を補助する旋回補助機構50をさらに備え、旋回補助機構50が、紐状部材51と、この紐状部材51を操作可能な操作ユニット52とを有し、操作ユニット52が、ポール20を起立姿勢及び倒伏姿勢の間で移動させるときに、ポール20及び前方支持体31の間で張力を掛けられた状態で延びる紐状部材51の長さを調節可能とするように構成されている。
【0076】
このようなアンテナ支持装置10によれば、アンテナ11を取り付けたポール20が、旋回補助機構50によって、段階的に起立姿勢と倒伏姿勢との間で旋回することができる。すなわち、旋回補助機構50によって、ポール20が急激に倒れたり又は急激に立ち上がったりする動作を防ぐことができる。よって、アンテナ11の保守、点検等の作業効率及び安全性を改善することができる。
【0077】
本実施形態に係るアンテナ支持装置10によれば、ポール20の基端部20aに形成された貫通孔20bに挿入される筒状体22をさらに備え、回転軸体21が筒状体22内に挿入されており、筒状体22が、C字状の横断面を成すように、筒状体22の長手方向にて筒状体22の全体に亘って延びるスリット22aを有する。
【0078】
このようなアンテナ支持装置10によれば、ポール20が筒状体22を介して回転軸体21によって支持されるので、ポール20を安定的に支持することができる。特に、筒状体22が、スリット22aを下方に向けるように配置される場合、筒状体22内に入り込んだ雨水等を、スリット22aによって筒状体22の外部に容易に排出することができ、その結果、回転軸体21の錆付き等の劣化を効率的に防ぐことができる。よって、アンテナ11の稼働時にアンテナ11を安定的に支持することができる。
【0079】
また、筒状体22のスリット22aを通して、回転軸体21を視認することができるので、回転軸体21の劣化、例えば、錆付き等を容易に点検することができる。よって、アンテナ支持装置10の保守、点検等の作業効率を改善することができる。
【0080】
本実施形態に係るアンテナ支持装置10によれば、ポール20が起立姿勢にあるときに、ポール20を仮保持可能とするように構成され、かつ前方支持体31に取り付けられる仮保持機構60をさらに備え、ポール20が、起立姿勢にある状態で前方に向かって突出する突起体23を有し、仮保持機構60が、ポール20に対して直交する方向に延びるロックバー61を有し、突起体23は、ポール20が起立姿勢にあるときにロックバー61と係合可能となるように上方に開口する係合凹部23aを有し、突起体23の突出方向の先端部23bは、ポール20が倒伏姿勢から起立姿勢に旋回するときに、ロックバー61を上方に押し上げながら前方に移動可能となるように傾斜して形成されている。
【0081】
このようなアンテナ支持装置10によれば、ポール20を倒伏姿勢から起立姿勢に旋回させれば、ポール20の突起体23が、その傾斜した先端部23bによってロックバー61を押し上げながら前方に移動し、その後、ポール20の突起体23の係合凹部23aが仮保持機構60のロックバー61と自動的に係合することとなる。その結果、ポール20は、仮保持機構60によって自動的に起立姿勢で仮保持されることとなる。
【0082】
このような状態で、作業者は、固定具40を介してポール20を前方支持体31に容易に固定することができる。このような作業は、作業者単独でも行うことができる。よって、アンテナ11、アンテナ支持装置10等の施工、保守、点検等の作業効率及び安全性を改善することができる。
【0083】
本実施形態に係るアンテナ支持装置10によれば、複数の前記ポール20を備え、複数のポール20の基端部20aが、前方支持体31に沿って水平方向に互いに間隔を空けて配置され、複数のポール20が平面視で互いに対して並列となっている。
【0084】
このようなアンテナ支持装置10によれば、複数のアンテナ11を倒伏姿勢にしたときに、これらのアンテナ11が同様又は類似の姿勢に維持されることとなる。このような複数のアンテナ11は連続的かつ一括で保守、点検等の作業を行い易くなっており、特に、このような作業は、複数の作業者によって連続的かつ一括で行うことに適している。よって、アンテナ11の保守、点検等の作業効率を改善することができる。
【0085】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【0086】
例えば、
図9に示すように、本実施形態の変形形態に係るアンテナ支持装置80において、後方支持体36が、その下端に位置する下端部材36aを有し、この下端部材36aが、倒伏姿勢のポール20の中間部20dを支持可能に構成することもできる。本実施形態の変形形態に係るアンテナ支持装置においては、下端部材が、倒伏姿勢のポールの先端部又は張出部材を支持することもできる。また、下端部材は、コンクリート基礎等の構造物にアンカーボルト等によって固定されるように構成することもできる。
【0087】
特に図示はしないが、本実施形態の別の変形形態に係るアンテナ支持装置においては、アンテナ支持装置を基準として屋上の縁部分又は角部分から離れる側を前方と定義し、かつアンテナ支持装置を基準として屋上の縁部分又は角部分に近い側を後方と定義することもできる。この場合もまた、前方は、アンテナ支持装置の前後方向の前方を指し、かつ後方は、アンテナ支持装置の前後方向の後方を指す。このようなアンテナ支持装置は、特に、起立姿勢でアンテナが高所に位置することとなる場合に、アンテナを低い位置に降ろすことができるので、アンテナの保守、点検等の作業効率を改善することができる。
【0088】
例えば、前方支持部材がその前面を壁等に向けてこの壁に取り付けられ、その結果、アンテナが高所に位置する場合であっても、アンテナを取り付けたポールを後方側の領域に倒伏させれば、アンテナを低い位置に降ろすことができる。このような状態でのアンテナの保守、点検等の作業は、やり易くかつ安全である。
【符号の説明】
【0089】
10,80…アンテナ支持装置、11…アンテナ、20…ポール、20a…基端部、21…回転軸体、22…筒状体、22a…スリット、23…突起体、23a…係合凹部、23b…先端部、31…前方支持体、32,36…後方支持体、40…固定具、50…旋回補助機構、51…紐状部材、52…操作ユニット、60…仮保持機構、61…ロックバー
θ…角度範囲
【要約】
【課題】アンテナの稼働時にアンテナを安定的に支持し、かつアンテナによる電波の送受信を効率的に行い、さらには、施工、保守、点検等の作業効率及び安全性を改善する。
【解決手段】本発明は、アンテナ支持装置10,80に関する。アンテナ支持装置10,80は、移動通信システム用のアンテナ11を取り付けたポール20と、このポール20の前方の前方支持体31と
、ポール20の長手方向の基端部20aを軸支する回転軸体21と、ポール20を前方支持体31に対して固定する固定具40とを有する。ポール20は、前方支持体31に対して後方側の領域で、回転軸体21を中心として起立姿勢と倒伏姿勢との間で旋回可能であり、固定具40が、起立姿勢のポール20を前方支持体31に固
定する。
【選択図】
図1