(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-18
(45)【発行日】2023-10-26
(54)【発明の名称】接客支援装置、接客支援システム及び接客支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20231019BHJP
【FI】
G06Q30/015
(21)【出願番号】P 2019148960
(22)【出願日】2019-08-14
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】500165795
【氏名又は名称】ネットパイロティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 光太郎
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-230264(JP,A)
【文献】特開2012-141708(JP,A)
【文献】特開2007-022582(JP,A)
【文献】特開2005-196297(JP,A)
【文献】特開2017-228171(JP,A)
【文献】特開2011-187074(JP,A)
【文献】特開2002-063334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者から受け取った第1の媒体から、前記店舗内に設置されたレジ端末において読み取られた、前記顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を、前記顧客の識別情報とあわせて前記レジ端末を介して受信する接客関連情報受信手段と、
前記接客関連情報受信手段が受信した前記顧客の接客好意レベルに関する情報を含む前記顧客に関する情報を、前記顧客の識別情報と関連づけて記憶する顧客情報記憶手段と、
店舗内
に設置された店舗内端末装置で
第2の媒体から読み取られた顧客の識別情報を受信する顧客識別情報受信手段と、
前記顧客識別情報受信手段が前記識別情報を受信すると、前記顧客情報記憶手段に記憶された前記識別情報に対応する顧客の接客好意レベルから、前記顧客に対する接客に用いるための顧客情報の提供の要否を判断し、前記顧客情報の提供が必要と判断した場合には、前
記識別情報に対応する、接客に用いるための顧客情報を前記
顧客情報記憶手段から読み出して、前記店舗内における接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置との通信が可能な配信装置に送信する顧客情報送信手段と、を備えていて、
前記顧客情報は前記配信装置から前記端末装置に配信され、前記端末装置において音声で再生されること
を特徴とする接客支援装置。
【請求項2】
店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者から受け取った第1の媒体から、前記店舗内に設置されたレジ端末において読み取られた、前記顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を、前記顧客の識別情報とあわせて前記レジ端末を介して受信する接客関連情報受信手段と、
前記接客関連情報受信手段が受信した前記顧客の接客好意レベルに関する情報を含む前記顧客に関する情報を、前記顧客の識別情報と関連づけて記憶する顧客情報記憶手段と、
店舗内
に設置された店舗内端末装置で
第2の媒体から読み取られた顧客の識別情報を受信する顧客識別情報受信手段と、
前記顧客識別情報受信手段が前記顧客の識別情報を受信すると、前
記識別情報に対応する、
前記顧客情報記憶手段に記憶された、前記顧客の接客好意レベルに関する情報を含む接客に用いるための顧客情報を読み出して、前記店舗内における接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置との通信が可能な配信装置に送信する顧客情報送信手段と、を備えていて、
前記顧客情報は前記配信装置から前記端末装置に配信され、前記端末装置において音声で再生されること
を特徴とする接客支援装置。
【請求項3】
店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を読み取り可能な、前記顧客が前記接客担当者から受け取る第1の媒体と、
店舗内に設置されたレジ端末と、
店舗内に設置された
、第2の媒体から顧客の識別情報を読み取る機能を備えた店舗内端末装置と、
前記第1の媒体から前記レジ端末において読み取られた、店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を、前記顧客の識別情報とあわせて前記レジ端末を介して受信する接客関連情報受信手段、前記接客関連情報受信手段が受信した前記顧客の接客好意レベルに関する情報を含む前記顧客に関する情報を、前記顧客の識別情報と関連づけて記憶する顧客情報記憶手段、前記店舗内端末装置で第2の媒体から読み取られた顧客の識別情報を受信する顧客識別情報受信手段、
前記顧客識別情報受信手段が前記識別情報を受信すると、前記顧客情報記憶手段に記憶された前記識別情報に対応する顧客の接客好意レベルから、前記顧客に対する接客に用いるための顧客情報の提供の要否を判断し、前記顧客情報の提供が必要と判断した場合には、前
記識別情報に対応する、接客に用いるための顧客情報を前記
顧客情報記憶手段から読み出して送信する顧客情報送信手段を備える接客支援装置と、
前記接客支援装置から前記顧客情報を受信する配信装置と、
前記配信装置から前記顧客情報を受信し、前記顧客情報を音声で再生する、前記店舗内における接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置と、
からなる接客支援システム。
【請求項4】
店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を読み取り可能な、前記顧客が前記接客担当者から受け取る第1の媒体と、
店舗内に設置されたレジ端末と、
店舗内に設置された
、第2の媒体から顧客の識別情報を読み取る機能を備えた店舗内端末装置と、
前記第1の媒体から前記レジ端末において読み取られた、店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を、前記顧客の識別情報とあわせて前記レジ端末を介して受信する接客関連情報受信手段、前記接客関連情報受信手段が受信した前記顧客の接客好意レベルに関する情報を含む前記顧客に関する情報を、前記顧客の識別情報と関連づけて記憶する顧客情報記憶手段、前記店舗内端末装置で第2の媒体から読み取られた顧客の識別情報を受信する顧客識別情報受信手段、
前記顧客識別情報受信手段が前記顧客の識別情報を受信すると、前
記識別情報に対応する、
前記顧客情報記憶手段に記憶された、前記顧客の接客好意レベルに関する情報を含む接客に用いるための顧客情報を読み出して送信する顧客情報送信手段を備える接客支援装置と、
前記接客支援装置から前記顧客情報を受信する配信装置と、
前記配信装置から前記顧客情報を受信し、前記顧客情報を音声で再生する、前記店舗内における接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置と、
からなる接客支援システム。
【請求項5】
店舗内に設置されたレジ端末が、前記店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者から受け取った第1の媒体から、前記顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を読み取るステップと、
接客支援装置が、前記接客好意レベルに関する情報を、前記顧客の識別情報とあわせて前記レジ端末を介して受信する接客関連情報受信ステップと、
前記接客支援装置が、前記接客関連情報受信ステップで受信した前記顧客の接客好意レベルに関する情報を含む前記顧客に関する情報を、前記顧客の識別情報と関連づけて記憶する顧客情報記憶手段に記憶させるステップと、
前記接客支援装置が、店舗内
に設置された店舗内端末装置で
第2の媒体から読み取られた顧客の識別情報を受信する顧客識別情報受信ステップと、
前記接客支援装置が、前記顧客識別情報受信ステップで前記識別情報を受信すると、前記顧客情報記憶手段に記憶された前記識別情報に対応する顧客の接客好意レベルから、前記顧客に対する接客に用いるための顧客情報の提供の要否を判断し、前記顧客情報の提供が必要と判断した場合には、前
記識別情報に対応する、接客に用いるための顧客情報を前記
顧客情報記憶手段から読み出して、前記店舗内における接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置との通信が可能な配信装置に送信する顧客情報送信ステップと、を有していて、
前記顧客情報は前記配信装置から前記端末装置に配信され、前記端末装置において音声で再生されること
を特徴とする接客支援方法。
【請求項6】
店舗内に設置されたレジ端末が、前記店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者から受け取った第1の媒体から、前記顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を読み取るステップと、
接客支援装置が、前記接客好意レベルに関する情報を、前記顧客の識別情報とあわせて前記レジ端末を介して受信する接客関連情報受信ステップと、
前記接客支援装置が、前記接客関連情報受信ステップで受信した前記顧客の接客好意レベルに関する情報を含む前記顧客に関する情報を、前記顧客の識別情報と関連づけて記憶する顧客情報記憶手段に記憶させるステップと、
前記接客支援装置が、店舗内
に設置された店舗内端末装置で
第2の媒体から読み取られた顧客の識別情報を受信する顧客識別情報受信ステップと、
前記接客支援装置が、前記顧客識別情報受信ステップで前記識別情報を受信すると、前
記識別情報に対応する、
前記顧客情報記憶手段に記憶された、前記顧客の接客好意レベルに関する情報を含む接客に用いるための顧客情報を読み出して、前記店舗内における接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置との通信が可能な配信装置に送信する顧客情報送信ステップと、を有していて、
前記顧客情報は前記配信装置から前記端末装置に配信され、前記端末装置において音声で再生されること
を特徴とする接客支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗内における接客担当者の顧客への接客対応を支援する、接客支援装置、接客支援システム及び接客支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットショッピングの利用拡大に伴い、リアル店舗ではインターネット上では提供できないサービスによる差異化が課題となっているが、顧客への声がけ等の接客担当者によるきめ細かな接客サービスがその一例である。こうした接客サービスを実現するために、例えば、店舗に入店した顧客が所持するICタグから顧客を識別する会員IDを読み取り、会員IDに対応する顧客の氏名や過去の購買履歴等の会員情報をデータベースから読み出して接客を担当する販売員が所持する携帯端末に送信する、販売員支援システムに関する発明が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された発明では、販売員が会員情報を受信した会員を店内で判別するために、販売員の携帯端末に会員の顔写真も送信する構成としている。こうした方法によって顔写真を送信するためには、あらかじめ会員である顧客から顔写真の提供を受けてデータベースに登録しておかなければならない。こうした事前の登録を不要にするためには、顧客に会員IDを会員カードからカードリーダで読み取る操作を行わせて、操作中の顧客の顔写真をカードリーダに併設されたカメラで撮影する構成とすれば(例えば、特許文献2参照)、あらかじめ顧客から顔写真の提供を受けることなく、接客を担当する販売員に顧客の顔写真を提示することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-257571号公報
【文献】特開2002-230264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの発明によって、店舗に来店した顧客に関する情報を店内の接客担当者に提供し、そこに顧客の顔写真を含めることとすれば、接客担当者が顔写真によって顧客を判別することが可能になる。ところが実際の運用において問題になるのは、接客担当者は来店する顧客を待ち構えて接客のみを担当しているわけではなく、商品の棚卸しや、調剤薬局であれば調剤や薬の受け渡しなど、他の業務も担当していることが通常であるため、顧客に関する情報が送信された端末を直ちに確認できるわけではないということである。このような課題に対応するためには、接客担当者が他の業務を行っている間であっても、来店した顧客に関する情報を速やかに確認できる方法が求められるところである。
【0006】
また、来店した全ての顧客が接客担当者によるきめ細かな接客を求めているとは限らず、接客担当者に自らの氏名や過去の購買履歴を知られていることを快く思わない顧客も存在することが想定される。こうした顧客に対しては、接客が過剰となってしまうことなく、また、必要以上に接客担当者に来店した顧客に関する情報が提供されることを抑制して、接客担当者への負担を抑える仕組みも求められるところである。
【0007】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、接客担当者への負担に配慮しながら、店舗内における接客担当者の顧客への接客対応を支援する接客支援装置、接客支援システム及び接客支援方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決する本発明は、店舗内で所定の媒体から読み取られた顧客の識別情報を受信する顧客識別情報受信手段と、前記顧客の識別情報に対応する、接客に用いるための顧客情報を読み出して、前記店舗内における接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置との通信が可能な配信装置に送信する顧客情報送信手段と、を備えていて、前記顧客情報は前記配信装置から前記端末装置に配信され、前記端末装置において音声で再生されることを特徴とする接客支援装置である。
【0009】
本発明では、店舗内で読み取られた顧客の識別情報に対応する顧客情報を、接客担当者が装着し、音声再生機能を備えた端末装置に配信して、文字情報ではなく音声で顧客情報を提供することによって、接客担当者は店舗内で他の業務を行っている間であっても、来店した顧客に関する情報を速やかに確認することが可能な構成となっている。接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置には、例えば、トランシーバーにヘッドセットを付属させたインカム(インターカム)を用いることとすればよい。
【0010】
また、本発明は、前記顧客識別情報受信手段は、前記顧客の識別情報と合わせて前記店舗内において前記顧客を撮影した画像を受信し、前記顧客情報送信手段は、前記画像を、前記接客担当者が視認可能な画像の再生機能を備えたモニター、又は前記モニターとの通信が可能な配信装置に送信して、前記画像は前記モニターに再生されることを特徴とすることもできる。
【0011】
あるいは、前記店舗内において撮影された画像を受信する画像受信手段と、前記画像の撮影場所又は撮影時刻の少なくとも一つから、前記顧客識別情報受信手段が受信した顧客の識別情報から識別される顧客が撮影された前記画像の一部を特定する画像特定手段と、を備えていて、前記顧客情報送信手段は、前記画像特定手段が特定した前記画像の一部を、前記接客担当者が視認可能な画像の再生機能を備えたモニター、又は前記モニターとの通信が可能な配信装置に送信して、前記画像は前記モニターに再生されることを特徴としてもよい。
【0012】
これらの構成によると、顧客情報とその顧客を撮影した画像が紐付けられ、顧客情報を受け取った接客担当者が視認可能なモニターに顧客の画像が再生されるので、接客担当者は店舗内において顧客情報に対応する顧客を判別することが可能になる。
【0013】
尚、店舗内において撮影され、モニターに再生される画像は、動画又は静止画のいずれであってもよい。また、店舗内において顧客を撮影するカメラの設置場所は特に限定されるものではなく、店舗内に設置され顧客が操作するKIOSK端末にカメラ機能を設けることとしてもよいし、店舗内の防犯カメラによって撮影された画像を用いることとしてもよい。
【0014】
また、本発明は、店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を受信する接客関連情報受信手段と、前記接客関連情報受信手段が受信した前記顧客の接客好意レベルに関する情報を、前記顧客の識別情報と関連づけて記憶する顧客情報記憶手段と、前記顧客識別情報受信手段が顧客の識別情報を受信すると、前記顧客情報記憶手段に記憶された前記顧客の接客好意レベルから、前記顧客に対する接客に用いるための顧客情報の提供の要否を判断する顧客情報提供判断手段と、を備えていて、前記顧客情報送信手段は、前記顧客情報提供判断手段が前記顧客情報の提供が不要と判断した場合には、前記顧客情報を送信しないことを特徴とすることもできる。
【0015】
あるいは、店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を受信する接客関連情報受信手段と、前記接客関連情報受信手段が受信した前記顧客の接客好意レベルに関する情報を、前記顧客の識別情報と関連づけて記憶する顧客情報記憶手段と、を備えていて、前記顧客識別情報受信手段が顧客の識別情報を受信すると、前記顧客情報送信手段は、前記顧客情報記憶手段に記憶された前記顧客の接客好意レベルに関する情報を読み出して、前記接客好意レベルに関する情報を前記顧客情報と合わせて送信することを特徴としてもよい。
【0016】
これらの構成では、顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルを顧客情報の一部に設定し、この接客好意レベルに関する情報を顧客情報の送信時に用いることによって、接客を好まない顧客を判別することが可能となっている。前者の構成では、接客好意レベルから顧客情報の提供の要否を判断することによって、接客を好まない顧客の場合は接客担当者には顧客情報の提供を停止して、接客担当者に不要な情報が提供されることを抑止している。後者の構成では、接客担当者による接客時の判断材料として、顧客の接客好意レベルに関する情報を提供している。
【0017】
また、本発明は、前記接客関連情報受信手段は、店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者から受け取った所定の媒体から、前記店舗内に設置されたレジ端末において読み取った接客好意レベルに関する情報を、前記レジ端末を介して受信することを特徴とすることもできる。
【0018】
顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルを顧客情報の一部に設定するためには、接客時における顧客の印象に関する情報を収集することが必要であるが、例えば、接客を担当した接客担当者が、その時の印象から判断した接客好意レベルが顧客には認識できないコード等で示されたクーポン券等の媒体を顧客に手渡し、顧客が会計時にその媒体をレジで提示する運用とすれば、顧客にもメリットのある形で接客好意レベルに関する情報を収集することが可能になる。
【0019】
また、本発明は、本発明に係る接客支援装置を含む接客支援システムとして特定することもできる。
【0020】
本発明に係る接客支援システムは、店舗内に設置された所定の媒体から顧客の識別情報を読み取る機能を備えた店舗内端末装置と、前記店舗内端末装置で読み取られた顧客の識別情報を受信する顧客識別情報受信手段、前記顧客の識別情報に対応する、接客に用いるための顧客情報を読み出して送信する顧客情報送信手段を備える接客支援装置と、前記接客支援装置から前記顧客情報を受信する配信装置と、前記配信装置から前記顧客情報を受信し、前記顧客情報を音声で再生する、前記店舗内における接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置と、からなる接客支援システムである。
【0021】
また、本発明は、先に説明した本発明に係る接客支援装置の各々の構成に対応する接客支援システムとして特定することもできる。
【0022】
また、本発明は、本発明に係る接客支援装置に対応するコンピュータよって実行される、接客支援方法として特定することもできる。
【0023】
本発明に係る接客支援システムは、コンピュータが、店舗内で所定の媒体から読み取られた顧客の識別情報を受信する顧客識別情報受信ステップと、前記コンピュータが、前記顧客の識別情報に対応する、接客に用いるための顧客情報を読み出して、前記店舗内における接客担当者が装着する音声再生機能を備えた端末装置との通信が可能な配信装置に送信する顧客情報送信ステップと、を有していて、前記顧客情報は前記配信装置から前記端末装置に配信され、前記端末装置において音声で再生されることを特徴とする接客支援方法である。
【0024】
また、本発明は、先に説明した本発明に係る接客支援装置の各々の構成に対応する接客支援方法として特定することもできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、店舗の接客担当者が他の業務を行っている間であっても、来店した顧客に関する情報を速やかに確認することができるので、例えば、接客担当者が顧客の名前を呼んで声がけをしたり、顧客がよく購入する商品に関する情報を提供したりするなど、来店した顧客に対してきめ細かな接客を行うことが可能になり、リアル店舗における顧客サービスの向上に資するものとなることが期待できる。
【0026】
また、接客を好まない顧客には接客担当者による接客を控えることができるように、各々の顧客が接客担当者による接客を好むか否かを把握して、顧客情報の提供を制御することも可能なので、過剰なサービスによって顧客に不快な印象を与えてしまうリスクの排除や、接客担当者に必要以上の情報が提供されて負担が増すことを防ぐのに有効な構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明を用いた接客方法の概要を示す第1の図である。
【
図2】本発明を用いた接客方法の概要を示す第2の図である。
【
図3】本発明に係る接客支援装置の第1の実施形態の概要を示す図である。
【
図4】本発明に係る接客支援装置の第1の実施形態における構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明において、接客好意レベルによって顧客情報の送信の要否を判断する処理フローを示すフローチャートである。
【
図6】本発明において、クーポン券を用いて接客好意レベルに関する情報を収集する方法を示す図である。
【
図7】本発明に係る接客支援装置の第2の実施形態の概要を示す図である。
【
図8】本発明に係る接客支援装置の第2の実施形態における構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、ここでは本発明をドラッグストアでの接客に用いる例について説明するが、ここに示す例は本発明の実施形態の一例を示したものであって、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0029】
図1、
図2は、本発明を用いた接客方法の概要を示している。本発明は、ドラッグストア等の店舗内において、接客担当者による来店した顧客への接客の支援に用いられる。
図1に示したように、来店した顧客が店舗内に設置されたKIOSK端末にポイントカード等から顧客を識別する顧客IDを読み取らせる操作を行うと、クラウド上に設けられた本発明に係る接客支援装置に顧客IDが送信され、顧客IDに対応する顧客情報がデータベースから読み出される。顧客情報は店舗で接客を担当する接客担当者が装着しているインカム(インターカム)に配信されて、来店した顧客に関する情報が音声で再生される。
【0030】
図2の例に示したように、顧客情報を接客担当者が装着しているインカムに配信することによって、接客担当者が他の業務(この例では処方箋の受付)を行っている状態にあっても、顧客情報を確認するためのPCやタブレット型コンピュータ等の操作を要することなく、速やかに来店した顧客に関する情報を音声で確認することができる。接客担当者が来店した顧客に応対する際には、確認した顧客情報を用いて顧客の名前を呼んで声がけをしたり、顧客がよく購入する商品に関する情報を提供したりして、きめ細かな接客の推進に顧客情報を活用することができる。
【0031】
また、来店した顧客が操作するKIOSK端末付近を防犯カメラ等で撮影した画像を、接客担当者が視認可能なモニターで再生することとすれば、接客担当者はインカムで顧客情報を確認する際に、来店した顧客の顔や服装等をモニターに再生された画像によって確認することができるので、来店した顧客に声がけをする際には、画像で確認した顔や服装を手掛かりにして、店舗内で顧客を探すことが可能になる。
【0032】
こうした顧客の画像は、顧客情報の配信とは別に、防犯カメラシステムを用いてリアルタイムでモニターに再生することとしてもよいが、防犯カメラ等で撮影した画像を顧客IDとあわせてクラウド上に設けられた本発明に係る接客支援装置に送信し、顧客情報とあわせて本発明に係る接客支援装置から配信することとすれば、顧客情報と画像が紐づけられて配信されるので、例えば、接客担当者がリアルタイムで再生される画像を見落とした場合には、顧客情報に対応する画像を後から再生して再確認することが可能になる。
【0033】
図3は、本発明に係る接客支援装置の第1の実施形態の概要を示している。
図3において、店内端末等とインターネットを介して接続された接客支援サーバが、本発明に係る接客支援装置に対応する。第1の実施形態では、顧客IDとあわせて顧客が撮影された画像がクラウド上の接客支援サーバに送信され、顧客情報と顧客の画像が紐づけられて接客管理サーバに送信される構成となる。
【0034】
ドラッグストア等の店舗に来店した顧客が、推奨商品のクーポン券を出力する機能等を備えた店舗内に設置されたKIOSK端末等の店内端末に、ポイントカード等を挿入して顧客を識別する顧客ID(ポイントカードの会員番号等)を読み取らせると、店内端末で読み取られた顧客IDは、インターネットを介して接客支援サーバに送信される。尚、接客支援サーバへの顧客ID等のデータの送信は、店内端末を管理する管理サーバ等を介して接客支援サーバに送信されるものであってもよい。
【0035】
顧客を識別する顧客IDを読み取り、接客支援サーバに送信する方法は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、所定のアプリケーションがインストールされた顧客のスマートフォンから、NFC機能を用いて店内端末が顧客IDを読み取ることとしてもよいし、店舗の入り口にビーコン信号の発信機を設置し、ビーコン信号を受信したスマートフォンから所定のアプリケーションによって顧客IDを接客支援サーバに送信することとしてもよい。
【0036】
顧客IDの読取時に顧客が店内端末を操作している様子は、店内端末に備えられているカメラ、又は防犯カメラ等の店舗内に設置されたカメラによって撮影される。顧客を撮影する画像は、動画であっても静止画であってもよい。店内端末にカメラ機能が備えられている場合は、ポイントカードから顧客IDを読み取る際に、カメラ機能を起動してポイントカードを挿入する操作をしている顧客の顔写真を撮影し、撮影した画像を顧客IDと関連付けて店内端末から接客支援サーバに送信することとすればよい。
【0037】
防犯カメラ等の店舗内に設置されたカメラによって顧客を撮影する場合は、店内端末で読み取った顧客IDと撮影した顧客の画像を紐付けるために、例えば、ポイントカードから顧客IDを読み取る際に、店内端末が防犯カメラや防犯カメラの管理サーバに、その時点で店内端末付近を撮影している画像の送信を要求し、顧客IDとその時点で撮影された店内端末付近の画像を店内端末で関連付けて、接客支援サーバに送信することとすればよい。あるいは、店内端末で読み取った顧客IDと防犯カメラで撮影した店内端末付近の画像を、それぞれ読取時刻、撮影時刻に関する情報とあわせて接客支援サーバに送信して、顧客IDの読取時刻と撮影時刻が一致する顧客の画像を、接客支援サーバ側で顧客IDと関連付けることとしてもよい。複数の防犯カメラから画像を受信している場合は、撮影場所である防犯カメラの位置情報も用いて、顧客IDと関連付ける顧客の画像を選択することとすればよい。
【0038】
顧客IDを受信した接客支援サーバでは、顧客IDに対応する顧客情報をデータベースから読み出して、顧客情報を音声再生用に編集する。編集された顧客情報は、顧客IDと関連付けられた顧客の画像とあわせて、インターネットを介して接客支援サーバから店舗に設置された接客管理サーバに送信される。
【0039】
接客管理サーバでは、店舗で接客を担当する接客担当者が装着するインカム(トランシーバーにヘッドセットを付属させたインターカム)に、音声再生用に編集された顧客情報を無線通信で配信する。インカムへの顧客情報の配信と同時に、接客担当者が視認可能な場所に設置されたモニターに、顧客情報とあわせて送信された顧客の画像が再生されるので、インカムで音声によって顧客情報を確認する接客担当者は、モニターを見ることによってその顧客の顔や服装を確認することができる。
【0040】
尚、インカムへの音声での配信やモニターへの画像の配信を補足する手段として、接客担当者がこれらの情報を手元でも目視で確認できるように、テキストやイメージで表された顧客情報(話し言葉に編集する必要はないので、インカムに送信する音声再生用の顧客情報とは異なる様式とすることが好ましい)や顧客の画像、あるいはこれらの情報にアクセスできるURL等のアドレス情報を、接客担当者が所持するスマートフォンやウェアラブル端末に送信することとしてもよい。
【0041】
ここで、接客支援サーバから受信した顧客情報と顧客の画像を接客管理サーバに関連付けて保存しておくこととすれば、顧客情報が配信された際に接客担当者が他の業務でモニターを見ることができない場合には、例えば、インカムで音声による顧客情報の再生を停止する操作を行い、モニターを確認できる状態になったタイミングで改めて音声による顧客情報の再生を再開する操作を行えば、接客管理サーバに再生する顧客情報と関連付けて保存された顧客の画像をモニターに再生することによって、タイミングが遅れた場合にも接客担当者が顧客の顔や服装を確認することが可能になる。
【0042】
また、接客支援サーバは、店舗内で接客を受けた顧客が接客担当者による接客を好む程度を示した接客好意レベルに関する情報を、店舗内のレジ端末や接客担当者が操作するPCやスマートフォン等のネットワーク端末から受信し、顧客情報の一部としてデータベースに格納することとしてもよい。
【0043】
顧客によっては商品等を自分で探すことを好み、接客担当者による接客を望まない顧客も存在するため、接客担当者が接客時に受けた印象を接客好意レベルとして顧客情報に設定しておけば、接客好意レベルから接客を好まないと判断される顧客に関する情報は接客担当者に送信しない、あるいは、接客担当者への顧客情報の提供時に接客好意レベルに関する情報を提供することによって、接客を好まない顧客には接客を控え、過剰なサービスによって顧客に不快な印象を与えるリスクを排除することや、接客担当者に必要以上の情報が提供されて負担が増すことを防ぐことが可能になる。
【0044】
尚、以上の第1の実施形態に関する説明は、接客支援サーバがクラウド上に設けられることを前提にしているが、インターネットを介することなく接客支援サーバが店舗内に設けられ、有線又は無線LAN等のクローズドなネットワークを介して店内端末や接客管理サーバ等と接続される構成としてもよい。
【0045】
図4は、本発明に係る接客支援装置の第1の実施形態における構成を、機能ブロックで示した図である。
図4において、接客支援サーバ10が本発明に係る接客支援装置に対応する。
【0046】
接客支援サーバ10は、インターネットに接続され通信機能を有するサーバコンピュータで、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置が備えられていて、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、所定の機能が実現される。
【0047】
接客支援サーバ10を構成するコンピュータの構成は特に限定されるものではなく、本発明によって店舗における接客担当者に顧客情報を提供して接客を支援する機能の他に、他の機能が同一のコンピュータに備えられるものであってもよい。本発明に必要な各々の機能は、物理的に一台のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて実現されるものであってもよい。
【0048】
接客支援サーバ10の顧客識別情報受信部11、顧客情報提供判断部12、顧客情報送信部14及び接客関連情報受信部15は、いずれも機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された各部の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。
【0049】
接客支援サーバ10の顧客情報格納部13には、接客支援サーバ10を構成するコンピュータに備えられるHDD等の補助記憶装置の記憶領域が割り当てられる。これらの記憶領域は物理的に一台のコンピュータに設けられることを要件とするものではなく、複数のコンピュータに分散して設けられるものであってもよい。
【0050】
店内端末20には、店舗内に設置されるKIOSK端末等が用いられるが、顧客が所持するポイントカードやスマートフォンから顧客IDを読み取る機能に対応する顧客ID読取部21を備え、接客支援サーバ10とのデータの送受信が可能なネットワーク端末であれば、その構成は特に限定されるものではない。但し、接客支援サーバ10とのデータの送受信は、他のコンピュータを介して行われるものであってもよい。店内端末20には、操作者を撮影することが可能な撮影部22を設けることとしてもよい。
【0051】
防犯カメラ管理サーバ30は、店舗内に設置された防犯カメラ31(通常は店舗内に複数台の防犯カメラが設置されている)を管理するコンピュータで、その構成は特に限定されるものではないが、本発明では、店内端末20からの要求に応じて防犯カメラ31で撮影した画像の一部を店内端末20に送信する機能、あるいは、防犯カメラ31で撮影した画像の全部又は一部を接客支援サーバ10に送信する機能が備えられる。
【0052】
接客管理サーバ40は、店舗内の接客担当者が装着するインカム41(接客担当者が複数名いれば、複数名分のインカムが用意される)に音声再生用に編集された顧客情報を配信する機能と、接客担当者が視認可能な場所に設置された店内モニター42(接客担当者が複数箇所に配置されていれば、店内モニターも複数箇所に設置される)に接客支援サーバ10から顧客情報とあわせて送信された顧客の画像を配信する機能を備えたコンピュータで、これらの機能を備えるものであれば、その構成は特に限定されるものではない。
【0053】
レジ端末50には、店舗内に設置される一般的な代金精算用のPOSレジ端末が用いられるが、商品の販売情報等をPOSシステムに送信する機能に加えて、本発明では、バーコード等から読み取った情報を接客支援サーバ10に送信する機能を備えている。
【0054】
以上の
図4に示した構成を前提に、本発明の第1の実施形態における接客支援方法の流れについて説明する。
【0055】
店舗に来店した顧客は店内端末20を操作し、顧客が所持するポイントカードを店内端末20に挿入して、会員番号等の顧客IDを顧客ID読取部21に読み取らせる(あるいは、所定のアプリケーションがインストールされたスマートフォン等から、顧客IDを顧客ID読取部21に読み取らせる)。顧客ID読取部21で読み取られた顧客IDは、インターネットを介して接客支援サーバ10に送信される。
【0056】
店内端末20に撮影部22が設けられている場合は、顧客ID読取部21が顧客IDを読み取った際に撮影部22が起動されて、店内端末20を操作している顧客の顔写真をカメラで撮影する。撮影された顧客の画像は、顧客ID読取部21で読み取られた顧客IDに関連付けられて、インターネットを介して接客支援サーバ10に送信される。
【0057】
店内端末20に撮影部22が備えられていない場合は、顧客ID読取部21が顧客IDを読み取ると、防犯カメラ管理サーバ30に対して、顧客が操作している店内端末20が撮影範囲に入った防犯カメラ31が撮影している画像、すなわち、店内端末20を操作する顧客が写っている画像の送信を要求する。そのタイミングで防犯カメラ31が撮影した顧客が写っている店内端末20付近の画像は、防犯カメラ管理サーバ30から店内端末20に送信され、店内端末20において顧客ID読取部21で読み取られた顧客IDに関連付けられて、インターネットを介して接客支援サーバ10に送信される。
【0058】
尚、顧客を識別する顧客IDを読み取り、接客支援サーバ10に送信する方法が店内端末20を用いる方法に限定されないことは先に説明したとおりで、例えば、店舗の入り口に設置したビーコン信号の発信機を用いて、ビーコン信号を受信したスマートフォンから所定のアプリケーションによって顧客IDを接客支援サーバ10に送信することとしてもよい。
【0059】
以上のようにして送信された、店舗に来店した顧客の顧客IDと、顧客IDに関連付けられた顧客の画像(顧客が写っている画像)は、接客支援サーバ10の顧客識別情報受信部11で受信されるが、店内端末20からは店舗に来店した顧客の顧客IDのみを、顧客IDを読み取った際の時刻等の顧客が店内端末20を操作している間の時刻に関する情報とあわせて送信し、防犯カメラ31で撮影した店内端末20を操作する顧客が写っている画像は、防犯カメラ管理サーバ30から接客支援サーバ10に直接送信する構成としてもよい。この場合、接客支援サーバ10側において、防犯カメラ31の設置場所(画像の撮影場所)や画像の撮影時刻を店内端末20の設置場所や顧客IDを読み取った時刻等と照合し、店内端末20から受信した顧客IDに対応する顧客の画像(顧客が写っている画像)を特定して、店舗に来店した顧客の顧客IDと顧客の画像が関連付けられることになる。
【0060】
接客支援サーバ10が、顧客識別情報受信部11において、店舗に来店した顧客の顧客IDと顧客IDに関連付けられた顧客の画像を受信する、あるいは、受信した店舗に来店した顧客の顧客IDと顧客の画像が関連付けられると、顧客情報提供判断部12が起動されて、接客担当者に顧客情報を提供するか否かの判断が行われる。
【0061】
その処理フローを示したのが
図5のフローチャートであるが、顧客識別情報受信部11が顧客IDと顧客の画像を受信する(又は、顧客IDと顧客の画像が関連付けられる)と(S1)、顧客情報提供判断部12が起動され、顧客IDをキーに顧客情報格納部13(顧客データベース)を検索して(S2)、顧客IDに対応する顧客情報が存在すれば(S3がYes)、対応する顧客情報を読み出す(S4)。顧客IDに対応する顧客情報が存在しなければ(S3がNo)、接客支援サーバ10における処理を終了して、接客担当者への支援は行われない。
【0062】
顧客情報格納部13(顧客データベース)から顧客IDに対応する顧客情報が読み出されると、顧客情報に含まれる当該顧客の接客好意レベルを確認して(S5)、接客好意レベルが接客対象となる条件に合致するかを判断する(S6)。
【0063】
接客好意レベルが接客対象に該当する、すなわち、当該顧客が接客担当者による接客を好むと判断される場合は(S6がYes)、顧客情報送信部14が起動され、顧客情報格納部13から読み出した顧客情報を音声再生用に編集して、S1で受信した顧客の画像とあわせて、インターネットを介して接客管理サーバ40に送信する(S7)。接客好意レベルが接客対象に該当しない、すなわち、当該顧客が接客担当者による接客を好まないと判断される場合は(S6がNo)、接客支援サーバ10における処理を終了して、接客担当者への支援は行われない。
【0064】
尚、ここでは顧客情報の提供の要否を、接客支援サーバ10側の顧客情報提供判断部12で判断する構成について説明したが、こうした判断を接客支援サーバ10側では行わず、S4で読み出した顧客情報を全てのケースで接客管理サーバ40に送信し、送信する顧客情報に接客好意レベルに関する情報を含めることによって、これを確認した接客担当者側で顧客情報を用いた接客の要否を判断する構成としてもよい。
【0065】
音声再生用に編集された顧客情報と顧客の画像を受信した接客管理サーバ40では、音声再生用に編集された顧客情報を接客担当者が装着したインカム41に無線ネットワークで配信して、インカム41に音声で顧客情報を再生させる。あわせて、店内モニター42に顧客の画像を配信して、インカム41での音声による顧客情報の再生と同期するタイミングで、店内モニター42に顧客の画像を再生させる。尚、顧客の画像が動画でも静止画でもよいこと、補足的にテキスト等で表された顧客情報や顧客の画像等を、接客担当者が所持するスマートフォン等に送信することとしてもよいことは、先に説明したとおりである。
【0066】
また、接客支援サーバ10から受信した音声再生用に編集された顧客情報と顧客の画像を、接客管理サーバ40に関連付けて保存する構成としてもよい。例えば、顧客情報が配信された際に、接客担当者が他の業務で目を離せずモニターを見ることができない場合には、その後に接客担当者がインカム41で顧客情報の再生を要求する操作を行えば、そのタイミングで音声再生用に編集された顧客情報をインカム41に配信して音声で再生するとともに、接客管理サーバ40に顧客情報と関連付けて保存された顧客の画像を店内モニター42に同期して再生させることが可能な構成とすることによって、タイミングが遅れた場合にも接客担当者が顧客の顔や服装を確認することが可能になる。
【0067】
インカム41で顧客情報を、店内モニター42で顧客の顔や服装を確認した接客担当者は、顧客の名前を呼んで声がけをする、顧客がよく購入する商品に関する情報を提供するなど、顧客情報を活用してきめ細かな接客を行う。こうした接客を当該顧客が好むか否かについて、接客担当者が受けた印象を、当該顧客の接客好意レベルとして評価し、接客支援サーバ10に送信する。
【0068】
接客担当者が評価した接客好意レベルに関する情報は、接客担当者がPCやスマートフォンなどのネットワーク端末を操作して、顧客IDとあわせて接客支援サーバ10に送信し、これらを受信した接客関連情報受信部15で、受信した顧客IDに対応する顧客情報格納部13に格納された顧客情報に、顧客IDとあわせて受信した接客好意レベルを設定することとしてもよいが、
図6に示した以下の方法によることも可能である。
【0069】
図6に例示したように、接客担当者が接客を終えた際に、紹介した商品についてボーナスポイント付与等の特典が適用されるクーポン券を顧客に手渡す。このクーポンには、顧客には判別できない二次元コード等の形式で、接客担当者が評価した顧客の接客好意レベルを特定することが可能な情報が表示されている(前提として、接客担当者は評価した接客好意レベルに応じて異なるクーポン券を所持しておくことが必要である)。
【0070】
顧客は商品を購入する際には、ボーナスポイント付与等の特典を受けるために、接客担当者から受け取ったクーポン券をレジで提示する。レジ端末50では、ボーナスポイント等の付与を受けるために顧客が提示したポイントカードから読み取った会員番号等の顧客IDとあわせて、クーポン券に表示された二次元コード等から読み取った接客好意レベルに関する情報を接客支援サーバ10に送信する。
【0071】
レジ端末50から顧客IDと接客好意レベルに関する情報を受信した接客支援サーバ10の接客関連情報受信部15では、レジ端末50から受信した顧客IDに対応する顧客情報格納部13に格納された顧客情報に、レジ端末50から受信した接客好意レベルを設定する。
【0072】
以上に説明した第1の実施形態に対して、
図7は、本発明に係る接客支援装置の第2の実施形態の概要を示している。第1の実施形態と同様に、店舗端末等とインターネットを介して背接続された接客支援サーバが本発明に係る接客支援装置に対応するが、第2の実施形態では、接客支援サーバから送信される顧客情報とは別に、顧客の画像はインターネットを介することなく、防犯カメラシステムによってリアルタイムでモニターに再生される構成となる。
【0073】
図8は、本発明に係る接客支援装置の第2の実施形態における構成を機能ブロックで示した図であるが、
図4に示した第1の実施形態に対して、第2の実施形態では店内端末20に撮影部22が設けられることはなく、防犯カメラ31で撮影された画像(通常であれば動画)は、防犯カメラ管理サーバ30を介して店内モニター42にリアルタイムで再生される。
【0074】
つまり、店舗に来店した顧客が第1の実施形態同様に店内端末20を操作して、会員番号等の顧客IDを顧客ID読取部21に読み取らせると、読み取られた顧客IDはインターネットを介して接客支援サーバ10に送信される。これを受信した接客支援サーバ10では、第1の実施形態と同様に、接客担当者に顧客情報を提供するか否かの判断が行われ、顧客情報を提供すると判断されると、顧客情報格納部13から読み出した顧客IDに対応する顧客情報が、接客管理サーバ40に送信される。この時に送信されるのは音声再生用に編集された顧客情報のみで、顧客の画像は接客支援サーバ10からは送信されない。
【0075】
接客管理サーバ40からは、接客担当者が装着するインカム41に音声再生用に編集された顧客情報が配信され、インカム41において顧客情報が音声で再生されるが、店内モニターには、顧客が操作している店内端末20が撮影範囲に入った防犯カメラ31の画像がリアルタイムで再生されており、顧客情報もほぼタイムラグなしで配信することが可能なので、接客担当者は顧客情報が配信された際に店内モニター42を見れば、顧客の顔や服装を確認することが可能となっている。
【0076】
但し、第2の実施形態では、接客担当者がリアルタイムで顧客情報を確認することが前提となっており、接客管理サーバ40からの要求によって防犯カメラ管理サーバ30に過去の画像を店内モニター42に再生させる機能等を持たせない限りは、接客担当者は顧客情報が配信されたタイミングで店内モニター42を確認しないと、後から顧客の画像を再生して確認することができないことになる。
【符号の説明】
【0077】
10 接客支援サーバ
11 顧客識別情報受信部
12 顧客情報提供判断部
13 顧客情報格納部
14 顧客情報送信部
15 接客関連情報受信部
20 店内端末
21 顧客ID読取部
22 撮影部
30 防犯カメラ管理サーバ
31 防犯カメラ
40 接客管理サーバ
41 インカム
42 店内モニター
50 レジ端末